説明

統合電力制御のための装置と方法

発電装置(22)により生成される電力を分配する方法は、発電装置(22)により生成することができる利用可能電力を判断する工程を含み得る。本方法はまた、電力変換装置(20)から電力要求を取得する工程と、利用可能電力と電力要求とを比較する工程と、電力変換装置(20)に分配するための利用可能な電力の量を判断する工程とを含み得る。本方法は、電力変換装置(20)から動作条件要求を取得する工程と、発電装置(22)が動作すべき動作条件を決定する工程とをさらに含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は統合電力制御のための装置と方法に関し、より詳細には機械の統合電力制御のための装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エンジン、発電機または車両等の機械は、1つまたは複数の電源を含み得る。電源としては、エンジン、電池、そして他の任意の好適なエネルギー生成またはエネルギー蓄積装置が挙げられる。機械はまた、電源により生成されるかあるいはそうでなければ供給される電力を使用して動くことができる電動装置を含み得る。機械の動作中、複数の電動装置が電源から電力を要求することができる。時々、電源はあらゆる電力要求を満たすことができないので電力要求は競合することがある。
【0003】
電動装置により要求された電力が電源からの利用可能電力を越えると、いくつかのまたはすべての電動装置が十分な電力を受け取れない、および/または電源が故障または停止することがある。電源故障は結果として機械休止時間と効率低下をもたらす。電力を機械の様々な部分へ合理的に分配することは電源故障を低減するのに役立つ。電源から電動装置へ電力を合理的に分配することは、どの電動装置が電力を受け取りかつどれくらいの電力を受け取るかを判断することを伴うと考えられる。
【0004】
機械内の電力の分配を制御する1つの試みは「大林」に付与された(特許文献1)に記載されている。大林は電力蓄積部と発電部を含む電力供給部を開示している。電力供給部は複数の車載負荷へ電力を供給する。供給可能電力の合計が必要な電力の合計より小さい場合、あるいは供給可能電力の合計に関係する電気量が必要な電力の合計に関係する電気量より小さい場合、制御部は供給可能電力の合計を増加する、あるいは必要な電力の合計を低減する。しかしながら、場合によっては、必要な電力の合計を低減すると電力供給部は望ましくない結果を生ずることがある。さらに、電力供給部は、生成される電力が好ましいやり方で生成されるように発電部の動作状態の調節もしながら電力を複数の車載負荷へ分配するための枠組みを提供することができない。これらの欠点は、非効率性と、精細を欠いた機械性能とに至る可能性がある。
【0005】
本開示の装置と方法は、上に述べられた課題の1つまたは複数を克服することに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,986,398号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によると、機械を提供することができる。機械は発電モジュールに作動可能に結合された発電装置を含み得る。機械はまた、発電装置から電力を受け取るように構成された電力変換装置を含み得る。電力変換装置は電力要求モジュールと出力命令モジュールとに作動可能に結合されてよい。機械はさらに、発電モジュール、電力要求モジュールおよび出力命令モジュールに作動可能に結合された制御装置を含み得る。制御装置は、発電装置によりどれくらいの電力を生成することができるかを判断するように構成された少なくとも1つの利用可能電力モジュールを含み得る。制御装置はまた、電力変換装置へ分配することができる電力の量を判断するために、利用可能電力モジュールと電力要求モジュールから入力を取得するように構成された配電モジュールを含み得る。制御装置はさらに、発電装置が動作すべき動作条件を決定するために、配電モジュールと出力命令モジュールから入力を取得するように構成された発電制御モジュールを含み得る。
【0008】
本開示の別の態様によると、発電装置により生成される電力を分配する方法を提供することができる。本方法は、発電装置により生成することができる利用可能電力を判断する工程を含み得る。本方法はまた、電力変換装置から電力要求を取得する工程と、利用可能電力と電力要求とを比較する工程と、電力変換装置に分配するための利用可能な電力の量を判断する工程とを含み得る。本方法はさらに、電力変換装置から動作条件要求を取得する工程と発電装置が動作すべき動作条件を決定する工程とを含み得る。
【0009】
さらに本開示の別の態様によると、制御装置を提供することができる。本制御装置は、プラットホームと、表示装置と、プラットホームと表示装置と連通する処理装置とを含み得る。本処理装置は発電装置により生成することができる利用可能電力を判断するように構成されてよい。本処理装置はまた、電力要求を取得するように構成されてよい。本処理装置はさらに、電力要求の大きさに基づき、電力要求を満たすために利用することができる利用可能電力の量を判断するように構成されてよい。本処理装置はさらに、発電装置が1つまたは複数の動作条件下で動作することを要求する動作条件要求を取得するように構成されてよい。本処理装置はさらに、発電装置の動作を制御する基準として使用される動作条件要求の少なくとも1つを選択するように構成されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例示的な機械の図である。
【図2】図1の例示的な開示された機械と共に使用するための例示的な制御装置の略図である。
【図3】本開示の一態様による方法のフロー図である。
【図4A】本開示の別の態様による方法のフロー図である。
【図4B】本開示のさらに別の態様による方法のフロー図である。
【図5A】図2の例示的な制御装置の一部の代替配置の略図である。
【図5B】図2の例示的な制御装置の一部の別の配置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示される例示的な機械10は現場で作業を行うために使用されてよい。機械10は、例えば、本体12、工具14、地面係合装置(ground engaging device)16、および運転台18を含み得る。図2の概略図に示すように、機械10はまた、本体12、工具14、地面係合装置16、および/または運転台18に関連する電力変換装置20(作業を行うための能力を機械10に与えるように構成されてよい)を含み得る。機械10はさらに、電力変換装置20に給電するための電力を生成するように構成された発電装置22を含み得る。用語「電力(power)」は広義には、電気エネルギー、加圧流量形式の油圧エネルギー、トルクおよび/またはエンジン速度を包含し得ると考えられる。機械10はまた、発電装置22の動作を規制し、かつ発電装置22により生成される電力を電力変換装置20に合理的に分配するように構成された制御装置24を含み得る。
【0012】
発電装置22はエンジン26と補助電源28を含み得る。発電装置22は、電力変換装置20の電力要件を満たすのを助けるために、電力を生成しおよび/またはあるタイプのエネルギーを別のものに変換するように構成されてよい。例えば、エンジン26および/または補助電源28は、電力変換装置20と共に使用するための機械力、油圧および/または電力を生成することができる。
【0013】
エンジン26は、ガソリン、ディーゼル燃料または気体燃料等の燃料を燃やすように構成された内燃エンジンを含み得る。内燃エンジンの構造とそれらの動作の詳細は当該技術分野で一般に知られている。内燃エンジンは、1つまたは複数のピストンの直線運動を駆動するために1つまたは複数の燃焼室の燃料を燃焼することができる。1つまたは複数のピストンは、直線ピストン運動をクランク軸に伝達するために連接棒によりクランク軸に連結され、これにより直線運動を回転運動(すなわちクランク軸の回転)に変換する。エンジン26の回転クランク軸(図示せず)に関連する電力またはトルクは電力変換装置20へ分配されてよい。エンジン26が生成できる電力の最大量はそのエンジン速度に左右され得る。エンジン26は高速で動く時に大量の電力を生成するための潜在能力を有し得る。エンジン26が特定のエンジン速度において生成することができる電力より大きな電力を電力変換装置20が取り出そうとすると、エンジン26は失速し、機械動作の中断を引き起こすことがある。利用可能電力の合理的な分配によりエンジン失速の回数を減らすことにより機械効率を改善することができる。
【0014】
補助電源28としては、第2のエンジン、電池、液圧アキュムレータおよび/または他の任意の好適な電源が挙げられる。補助電源28は電力を発生、蓄積、または集めるように構成されてよく、その電力を電力変換装置20に分配することができる。補助電源28からの電力はエンジン26からの電力の補足的なものであってよい。補助電源28に付随する表記「...N」は、発電装置22が上述のものの追加の、またはそれより少ない、またはそれとは異なる電源を含んでよいということを示す。電源の種類および/または数は機械の種類に左右され得る。上に挙げた電源は例示的である。
【0015】
電力変換装置20は、エンジン26および/または補助電源28からの電力またはトルク等の入力を、地面係合装置16または工具14の運動などの出力、および/または機械10の状態の他の任意の変化、に変換するように構成された機械10上の任意の装置を含み得る。地面係合装置16としては車輪アセンブリおよび/または敷設式装置(track type device)を挙げることができ、工具14としては、ブレード、スクレーパ、バケットまたは把持装置を挙げることができる。機械10の電力変換装置20は、例えば、駆動ポンプ30、アイドルポンプ32、冷却装置34、補助ポンプ36および空調装置38を含んでよい。上に挙げた部品は例示的であるので、空調装置38に付随する表記「...N」は電力変換装置20が上に挙げたものの追加の、またはそれより少ないおよび/またはそれとは異なる部品を含んでよいということを示すことを理解すべきである。さらに、電力変換装置20は、駆動装置、油圧作動装置、ファンアセンブリ、変速機、および/または機械内に見られる他の任意の好適な装置の部品であってよい。
【0016】
駆動ポンプ30はエンジン26および/または補助電源28に作動可能に連結されてよい。駆動ポンプ30は機械10の油圧装置(図示せず)の一部であってよく、1つまたは複数の機械部品(例えば、工具14、地面係合装置16等)を駆動するために油圧装置を介し加圧作動油をポンプで送り込むように構成されてよい。駆動ポンプ30にその機能を実行できるようにする電力はエンジン26および/または補助電源28から発生する。
【0017】
アイドルポンプ32もまたエンジン26および/または補助電源28に作動可能に連結されてよい。アイドルポンプ32は機械10の油圧装置の一部であってよく、油圧装置を介し加圧作動油をポンプで送り込むように構成されてよい。アイドルポンプ32は駆動ポンプ30を補完することができる。例えば、工具14がアイドル状態であって駆動ポンプ30からの加圧作動油を必要としない場合、駆動ポンプ30は消勢されてよいが、アイドルポンプ32は運転し続けてよい。したがって、アイドルポンプ32は、オペレータにより工具14の運動が要求されると、工具14に当座の加圧作動油源を供給することができる。アイドルポンプ32はエンジン26および/または補助電源28から電力を取り出すことができる。
【0018】
冷却装置34もまたエンジン26および/または補助電源28に作動可能に連結されてよく、そしてエンジン26の過熱防止を助けるように構成されてよい。冷却装置34は、冷却材を循環させるための1つまたは複数のポンプと導管をエンジン26内および/またはそのまわりに含み得る。冷却装置34はまた、空気流を発生するための1つまたは複数のファンまたは同様の電動装置を含み得る。冷却材はエンジン26からの熱を吸収することができ、冷却材が熱交換器を通過すると熱は空気流により運び去られる。冷却装置34内の1つまたは複数のポンプとファンは、動作中、エンジン26および/または補助電源28から電力を取り出すことができる。
【0019】
補助ポンプ36もまたエンジン26および/または補助電源に作動可能に連結されてよい。補助ポンプ36は機械10の補助流体輸送/蓄積装置の一部であってよく、そして例えば補助装置を介し冷却材、潤滑流体または作動油を含む流体をポンプで送り込むように構成されてよい。補助ポンプ36は動作するためにエンジン26および/または補助電源28から電力を取り出すことができる。
【0020】
空調装置38は、エンジン26および/または補助電源28に作動可能に連結されてよく、運転台18から熱を取り出すように構成されてよい。空調装置38は、冷媒を送り込むためのポンプ(図示せず)、冷媒を加圧するためのコンプレッサ(図示せず)、蓄電器(図示せず)、および当該技術分野で一般に知られた冷却サイクルを実行するための他の部品を含み得る。空調装置38のポンプ、コンプレッサおよび/または蓄電器はエンジン26および/または補助電源28から電力を取り出すことができる。
【0021】
制御装置24は、本開示の実施形態による処理と方法が実施され得る任意の適切なタイプのプロセッサベースの装置を含み得る。制御装置24は、ソフトウェアプログラムを実行するように構成された1つまたは複数のハードウェアおよび/またはソフトウェア部品を含むプラットホームを含み得る。例示的なハードウェア部品としては、中央処理装置、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、記憶装置、データベース、入出力装置、およびインターフェースを挙げることができる。例示的なソフトウェア部品としては、開示された実施形態による方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体が挙げられる。上に挙げられた1つまたは複数のハードウェア部品はソフトウェアを実施することができ、そしてそのようにする際に1つまたは複数の動作を実行することができる。上に挙げた部品は例示的であるので、制御装置24は上に挙げたものに追加の、またはそれより少ない、またはそれとは異なる部品を含んでよいことを理解すべきである。
【0022】
制御装置24は、利用可能電力モジュール40、電力要求モジュール42、主ポンプ電力要求処理モジュール44、配電モジュール46、出力命令モジュール48、発電制御モジュール50、および発電モジュール52を含み得る。
【0023】
利用可能電力モジュール40は、エンジン利用可能電力モジュール54と補助利用可能電力モジュール56を含み得る。エンジン利用可能電力モジュール54は、例えば、エンジン運転条件、トルク、電力、容量および/または速度を示す信号を含むエンジン関連入力を取得することができる。この信号はエンジン26を監視する1つまたは複数のセンサー(図示せず)から取得されてよい。エンジン利用可能電力モジュール54は、動作状態においてエンジン26が生成し得る全電力を判断するためにエンジン関連入力を使用することができる。エンジン26が所定の時刻に生成し得る全電力は機械の高度、燃料品質および/またはエンジン速度等の要素に依存し得るということを理解すべきである。エンジン利用可能電力モジュール54は全利用可能エンジン電力を示す信号を発生することができる。補助利用可能電力モジュール56は、例えば、補助電源動作条件、電圧、電流および/または油圧を示す信号を含む補助電源関連入力を取得することができる。この信号は、補助電源28を監視する1つまたは複数のセンサー(図示せず)から取得されてよい。補助利用可能電力モジュール56は、補助電源28が生成することができる全電力を判断するために補助電源関連入力を使用することができ、全利用可能補助電力を示す信号を発生することができる。補助利用可能電力モジュール56に付随する表記「...N」は、補助利用可能電力モジュール56が上述のものの追加の、またはそれより少ない、またはそれとは異なる利用可能電力モジュールを含んでよいということを示すことを理解すべきである。
【0024】
全エンジン電力と全補助電力は加算接点57に伝えられてよい。全エンジン電力と全補助電力を受け取ると、加算接点57は発電装置22の総合計電力に達するようにそれらを加算することができる。加算接点57は総合計電力を示す信号を配電モジュール46に伝えることができる。
【0025】
電力要求モジュール42は電力変換装置20に連結されてよい。電力要求モジュール42は、電力変換装置20に関係する入力(例えば、圧力、流量、現在の電力消費および/または予想使用電力を含む)を取得することができる。この入力は、電力変換装置20、機械10および/または穴または杭等の外部物体を監視する1つまたは複数のセンサー(図示せず)により生成される信号の形式であってよい。信号は機械オペレータにより生成されてもよい。例えば、信号は、オペレータが地面係合装置16、工具14および/または機械10を移動するために運転台18内の操縦桿、ハンドルまたはアクセルペダル等の制御装置(図示せず)を操作したときに生成されてよい。この入力に基づき、電力要求モジュール42はエンジン26および/または補助電源28からの電力の要求を生成することができる。追加的にまたは代替的に、入力に基づき、電力要求モジュール42はエンジン26および/または補助電源28からのエンジン速度または流量の要求を生成してもよい。
【0026】
電力要求モジュール42は、1つまたは複数の高度制御装置を含んでよいかあるいはその一部を形成してもよいとも考えられる。トラクションコントロール装置とライドコントロール装置(両者とも図示せず)は機械において使用し得る高度制御装置の2例に過ぎない。地面係合装置用の車輪を有する機械の動作中、車輪の1つまたは複数が牽引力を失いスリップすることがある。トラクションコントロール装置は車輪速度を監視し、車輪速度が所望の車輪速度に一致するように選択的にブレーキ(図示せず)をかけることができ、こうして牽引力を強化し、そして滑りを減らすのを助ける。上述の操作を実行するために、トラクションコントロール装置はエンジン26および/または補助電源28から電力、速度、流量を要求するために電力要求モジュール42からの信号を変更してもよいしあるいはそれ自身の信号を生成してもよい。同様に、ライドコントロール装置はまた、エンジン26および/または補助電源28から電力、速度、流量を要求するために電力要求モジュール42からの信号を変更してもよいしあるいはそれ自身の信号を生成してもよい。ライドコントロール装置は、工具14に関連する油圧装置の選択的流体結合をアキュムレーター(図示せず)に与えるために信号を変更または生成することができ、こうして衝撃吸収装置を生成し、工具14が不規則に弾み機械10を振動するのを防止する。電力要求モジュール42は、高度制御装置の一部、あるいは当業者には明白であろう追加または代替の高度制御装置を含んでもよいしあるいは形成してもよいということを理解すべきである。
【0027】
電力要求と共に、電力要求モジュール42はまた優先度信号を生成することができる。優先度信号は電力要求の重要性を示す優先順位を含み得る。重要性は基準に基づき判断されてよい。例えば、ブレーキ装置または変速機等の特定の電力変換装置が即時利用のために電力を要求した場合、その電力変換装置に関連する電力要求モジュールは電力要求の重要性を伝えるためにこの電力要求に最上位優先度を割り当ててよい。電力変換装置が機械10を損傷または過剰摩滅から保護する目的で電力を必要とする場合、その電力変換装置に関連する電力要求モジュールは、電力要求が中位の重要性であることあるいは最上位優先度電力要求より低位の重要性であることを伝えるために電力要求信号に中位優先度を割り当ててよい。電力変換装置が機械効率を改善または維持する目的で電力を必要とする場合、電力変換装置の電力要求モジュールは、電力要求が比較的低位の重要性であることあるいは中位優先度電力要求より低位の重要性であることを伝えるために電力要求信号に最下位優先度を割り当ててよい。優先順位が高ければ高いほど要求された電力量が供給される確率は高い。
【0028】
電力要求モジュール42からの優先度信号は、電力要求モジュール42に関連する電力変換装置20の機能に基づいて電力要求モジュール42に割り当てられてよい。例えば、電力要求モジュールが、機械10のブレーキ装置の一部である電力変換装置に関連付けられている場合、その電力要求モジュールはその電力要求に最上位優先度を割り当ててよい。一方、電力要求モジュールが油圧アクチュエータの一部である電力変換装置に関連付けられている場合、その電力要求モジュールはその電力要求に常に中位優先度を割り当ててよい。同様に、電力要求モジュールが運転台冷却装置の一部である電力変換装置に関連する場合、その電力要求モジュールはその電力要求に最下位優先度を割り当ててよい。追加的にまたは代替的に、配電モジュール46は特定の優先順位を特定の電力変換装置に関連付けるようにプログラム化されてよい。単一の電力変換装置は異なる機械および/または環境では異なる優先順位を有してよいということを理解すべきである。
【0029】
示された例示的な実施形態では、電力要求モジュール42は駆動ポンプ電力要求モジュール60、アイドルポンプ電力要求モジュール62、冷却装置電力要求モジュール64、補助ポンプ電力要求モジュール66、および空調装置電力要求モジュール68を含み得る。空調装置電力要求モジュール68に付随する表記「...N」は、追加の、またはより少ない、または異なる電力要求モジュール42を含んでよいということを示す。換言すれば、電力要求モジュール42の列挙は例示的であって、電力要求モジュール42の種類と数は異なる機械に対しては異なってよいということを理解すべきである。
【0030】
駆動ポンプ電力要求モジュール60は、駆動ポンプ30に関係する入力または信号(例えば、ポンプ変位値、圧力、流速、供給速度、現在の使用電力および/または予想使用電力を含む)を取得することができる。駆動ポンプ電力要求モジュール60はこれらの入力に基づき駆動ポンプ電力要求信号を生成することができる。駆動ポンプ電力要求モジュール60はまた駆動ポンプ電力要求の重要性を示す優先度信号を生成することができる。
【0031】
アイドルポンプ電力要求モジュール62は、アイドルポンプ32と通信を行うことができる。アイドルポンプ電力要求モジュール62は、アイドルポンプ32に関係する入力または信号(例えば、ポンプ変位値、圧力、流速、供給速度、現在の使用電力および/または予想使用電力含む)を取得することができる。アイドルポンプ電力要求モジュール62はアイドルポンプ電力要求信号を生成するためにこれらの信号を使用することができる。アイドルポンプ電力要求モジュール62は、アイドルポンプ32が絶えず流体をポンプで送り込むことができるように、エンジン26および/または補助電源28から電力を要求するように構成されてよい。アイドルポンプ電力要求信号と共に、アイドルポンプ電力要求モジュール62はアイドルポンプ電力要求の重要度を示す優先度信号を生成することができる。
【0032】
駆動ポンプ30とアイドルポンプ32は、機械10内の同じまたは関係する油圧装置上で動作することができる。したがって、駆動ポンプ30とアイドルポンプ32は、操作を実行するために、要求量の加圧流体を供給するように協働することができる。駆動ポンプ30により供給される加圧流体の流量が増加した場合、過剰加圧流体流を生成することなく要求量の加圧流体流を実現できるように、アイドルポンプ32により供給される加圧流体の流量を減少させることができる。駆動ポンプ30により供給される電力が減少した場合、要求量の加圧流体流を実現できるように、アイドルポンプ32により供給される電力を増加することができる。こうして、駆動ポンプ30とアイドルポンプ32は、一方が他方の強みまたは弱みを補償できるように作動可能に接続されてよい。駆動ポンプ30とアイドルポンプ32との連携は主ポンプ電力要求処理モジュール44を使用して実施されてよい。
【0033】
主ポンプ電力要求処理モジュール44は、駆動ポンプ電力要求モジュール60とアイドルポンプ電力要求モジュール62により生成された電力要求と優先度を取得することができる。主ポンプ電力要求処理モジュール44は電力要求と優先度を比較することができ、そして駆動ポンプ30操作とアイドルポンプ32操作間の適切なバランスを実現するためにそれらの1つまたは両方を調節することができる。例えば、主ポンプ電力要求処理モジュール44はまた、アイドルポンプ電力要求モジュール62と駆動ポンプ電力要求モジュール60からの電力要求の組み合わせが十分となるように、駆動ポンプ電力要求および/またはアイドルポンプ電力要求を選択的に調節することができる。追加的にまたは代替的に、主ポンプ電力要求処理モジュール44は、駆動ポンプ電力要求モジュール60とアイドルポンプ電力要求モジュール62からの電力要求の組み合わせが運転台18において制御部(図示せず)を使用するオペレータにより設定され得る範囲の値を越えないように、駆動ポンプ電力要求および/またはアイドルポンプ電力要求を調節してもよい。
【0034】
冷却装置電力要求モジュール64は冷却装置34と通信を行うことができる。冷却装置電力要求モジュール64は、冷却装置34に関係する入力(例えば、温度読み取り値、ポンプ変位値、圧力、流速、供給速度、現在の使用電力および/または予想使用電力を含む)を取得することができる。この入力は冷却装置34を監視する1つまたは複数のセンサー(図示せず)により生成される信号の形式であってよい。信号は機械10内またはそのまわりの1つまたは複数の場所あるいは外部環境の場所で温度を監視する1つまたは複数のセンサー(図示せず)により生成されてよいとも考えられる。信号は運転台18において温度計または同様な装置を使用してエンジン温度を監視するオペレータにより生成されてよいということがさらに考えられる。冷却装置電力要求モジュール64は冷却装置34が必要とする電力量を判断するために信号を使用することができ、そしてエンジン26および/または補助電源28からの電力の要求を生成することができる。電力要求と共に、冷却装置電力要求モジュール64はまた電力要求の重要度を示す優先度を割り当てることができる。
【0035】
補助ポンプ電力要求モジュール66は補助ポンプ36と通信を行うことができる。補助ポンプ電力要求モジュール66は補助ポンプ36に関係する入力(例えば、ポンプ変位圧力、流速、供給速度、現在の使用電力および/または予想使用電力を含む)を取得することができる。この入力は補助ポンプ36を監視する1つまたは複数のセンサー(図示せず)により生成される信号の形式であってよい。この信号に基づき、補助ポンプ電力要求モジュール66はエンジン26および/または補助電源28からの電力の要求を生成することができる。補助ポンプ電力要求モジュール66はまた電力要求の重要性を示す電力要求に優先度を割り当てることができる。
【0036】
空調装置電力要求モジュール68は空調装置38と通信を行うことができる。空調装置電力要求モジュール68は空調装置に関係する入力(例えば、温度読み取り値、ポンプ変位、圧力、流速、供給速度、現在の使用電力38および/または予想使用電力を含む)を取得することができる。この入力は空調装置38を監視する1つまたは複数のセンサー(図示せず)により生成される信号の形式で来てよい。信号は運転台18内の温度または外部環境の温度を監視する1つまたは複数のセンサー(図示せず)により生成されてよいとも考えられる。信号は、ノブ、スイッチまたは同様の装置を使用して運転台18内の温度を調節するオペレータにより生成されてよいということがさらに考えられる。空調装置電力要求モジュール68は空調装置38が必要とする電力の量を判断する信号を使用することができ、そしてエンジン26および/または補助電源28からの電力の要求を生成することができる。空調装置電力要求モジュール68はまた電力要求の重要度を示す優先度を割り当てることができる。
【0037】
配電モジュール46は、総合計電力、電力要求および/または割り当てられた優先度を取得することができる。配電モジュール46は全要求電力を判断するために電力要求を加算することができる。配電モジュール46は全要求電力と総合計電力とを比較することができる。総合計電力が全要求電力を満たすかあるいはそれを越える場合、すべての電力変換装置20は、その関連する電力要求モジュール42により要求された電力を受け取ることができる。総合計電力が不十分な場合、配電モジュールは電力要求の大きさおよび/またはその割り当てられた優先度に基づき総合計電力を合理的に分配することができる。電力を分配するために、配電モジュール46は1つまたは複数の配電信号を生成することができる。配電信号は、配電モジュール46によりなされた判断に基づき電力変換装置に分配されるべき電力量を示すことができる。配電モジュール46により使用され得る方法論の説明を図4Aと4Bに示す。電力要求モジュール42が電力要求の代わりまたはそれに加えて速度または流量要求を生成する場合、配電モジュール46は速度または流量要求を受け取ることができ、そして速度または流量要求および/またはそれらに割り当てられた優先順位に基づき総合計電力を合理的に分配することができる。換言すれば、図4Aと4Bに記載の方法論は電力要求の代わりに速度または流量要求を使用して行われてもよい。
【0038】
電力変換装置20用に出力命令モジュール48を設けることができる。出力命令モジュール48は、駆動ポンプ出力命令モジュール70、アイドルポンプ出力命令モジュール72、冷却装置出力命令モジュール74、補助ポンプ出力命令モジュール76および空調装置出力命令モジュール78を含み得る。負流量制御ポンプ命令出力モジュール(図示せず)を設けることができる。各出力命令モジュール48は、電力発電装置22が動作条件または一組の動作条件下で動作する要求を生成するように構成されてよい。空調装置出力命令モジュール78に付随する表記「...N」は、追加の、またはより少ない、または異なる出力命令モジュールを含んでよいということを示す。換言すれば、出力命令モジュール48の列挙は例示的であって、出力命令モジュール48の種類と数は異なる機械ごとに異なってよいということを理解すべきである。
【0039】
出力命令モジュール48は、配電モジュール46から配電信号を取得することができる。配電信号は、電力変換装置20が電力発電装置22から受け取ることができる電力量を示すことができる。出力命令モジュール48はそれら電力量をそれぞれの電力変換装置20に伝えてもよいし、あるいはそうでなければ電力発電装置22から電力変換装置20への電力の配送をトリガしてもよい。電力変換装置20は、配電モジュール46から出力命令モジュール48に利用可能とされたものより多くの電力を使用できない。
【0040】
出力命令モジュール48は、電力変換装置と電力発電装置操作間の1または複数の関係を記載する情報を格納しアクセスするように構成されてよい。例えば、この情報は、電力変換装置20の1つに電力量を供給するために好適と考えられる電力発電装置22の動作条件を記載することができる。電力変換装置20のそれぞれは配電モジュール46により実施される分配戦略によって異なる電力量を受け取ってよいので、情報は電力変換装置20ごとの複数の異なるレベルの電力に好適な動作条件を含んでよいと考えられる。出力命令モジュール48が配電モジュール46から配電信号を取得すると、配電信号のそれぞれは、配電信号により規定された電力量を生成するために好適と考えられる電力発電装置22の動作条件を決定することができる。出力命令モジュール48のそれぞれは、決定された動作条件下で電力発電装置22が動作することを要求する動作条件要求を生成することができる。好適な動作条件は機械効率、機械応答、放射低減、冷却、後処理および/または雑音低減に役立つものであってよい。
【0041】
出力命令モジュール48のそれぞれはまたその動作条件要求に優先度を割り当てることができる。優先度は動作条件要求の重要性を示すことができる。重要性は基準に基づき判断されてよい。例えば、ブレーキ装置または変速機等の特定の電力変換装置が、規定動作条件下で電力発電装置22を直ちに動作させる必要がある場合、その電力変換装置に関連する出力命令モジュールはその重要性を伝達するために動作条件要求に最上位優先度を割り当ててよい。電力変換装置が、機械10を損傷または過剰損傷から保護するための規定動作条件下で電力発電装置22を動作させる必要がある場合、その電力変換装置に関連する出力命令モジュールは、動作条件要求が中位の重要性であることあるいは最上位優先度電力要求より低位の重要性であることを伝えるために動作条件要求に中位優先度を割り当ててよい。電力変換装置が、機械動作を維持または改善するために規定動作条件下で電力発電装置22を動作させる必要がある場合、電力変換装置の出力命令モジュールは、動作条件要求が比較的低位の重要性であることあるいは中位優先度電力要求より低位の重要性であることを伝えるために動作条件要求に最下位優先度を割り当ててよい。優先順位が高ければ高いほど要求された動作条件が実行される確率は高くなる。
【0042】
出力命令モジュール48により割り当てられた優先順位は、出力命令モジュール48に関連する電力変換装置20の機能に基づいて割り当てられてよい。例えば、出力命令モジュールが機械10のブレーキ装置の一部である電力変換装置に関連付けられている場合、その出力命令モジュールはその動作条件要求に最上位優先度を割り当ててよい。一方、出力命令モジュールが油圧アクチュエータの一部である電力変換装置に関連付けられている場合、出力命令モジュールはその動作条件要求に中位優先度を常に割り当ててよい。同様に、出力命令モジュールが運転台冷却装置の一部である電力変換装置に関連付けられている場合、その出力命令モジュールはその動作条件要求に最下位優先度を割り当ててよい。追加的にまたは代替的に、発電制御モジュール50は、特定の優先順位と特定の電力変換装置とを関連付けるようにプログラム化されてよい。単一の電力変換装置は異なる機械および/または環境では異なる優先順位を有してよいということを理解すべきである。
【0043】
発電制御モジュール50は、出力命令モジュール48から動作条件要求を取得することができる。追加的にまたは代替的に、発電制御モジュール50は出力命令モジュール48から動作条件要求に割り当てられた優先度を取得してもよい。動作条件要求および/または割り当てられた優先度に基づいて、発電制御モジュール50はエンジン26および/または補助電源28の動作条件を選択的に調節することができる。そうするために、発電制御モジュール50は、エンジン発電制御要求および/または動作条件を実施するための補助発電制御要求を生成することができる。
【0044】
発電モジュール52は、エンジン26に関連するエンジン発電モジュール80と補助電源28に関連する補助発電モジュール82を含み得る。エンジン発電モジュール80は発電制御モジュール50からエンジン発電制御要求を取得することができる。エンジン発電制御要求信号に基づいて、エンジン発電モジュール80はエンジン発電信号を生成することができる。エンジン発電信号は、エンジン26(および/またはエンジン運転を制御する責任を負う1つまたは複数の装置)に指示して、エンジン発電制御モジュール80により規定された動作条件または状態を実施させることができる。同様に、補助発電モジュール82は、発電制御モジュール50から補助発電制御要求を取得することができ、そして補助電源28(および/またはその動作の責任を負う1つまたは複数の装置)に指示して補助発電制御モジュール82により規定された動作条件または状態を実施させる補助発電信号を生成することができる。補助発電制御モジュール82に付随する表記「...N」は、追加の、またはより少ない、または異なる発電制御モジュールが機械の種類に応じて含んでもよいということを示す。
【0045】
誤差認識モジュール59は、加算接点57を介しエンジン利用可能電力モジュール54および補助利用可能電力モジュール56と通信を行うことができる。誤差認識モジュール59は、エンジン26、補助電源28および/または電力変換装置20に関連する誤差値を考慮することができる。例えば、200kWの電力が要求または生成されていることを示す信号がこれらのモジュールにより生成された場合、電力値はそれに関連する誤差(例えば+/−20kw)を有してよい。誤差が考慮されない場合、利用可能電力および/または電力要求は不正確なまたは正しくない値に基づく可能性があり、したがって利用可能電力および/または電力要求自身が不正確にまたは正しくなくなることがある。誤差認識モジュール59は出力命令モジュール48と発電モジュール52から信号を受け取ることができ、そして誤差を考慮するために加算接点58において誤差調節を導入することにより総合計電力を修正することができる。
【0046】
図5Aには、エンジン利用可能電力モジュール54と補助利用可能電力モジュール56との補正総合計電力が加算接点57により与えられるように全利用可能エンジン電力および/または加算接点57から上流での全利用可能補助電力を調節する少なくとも1つの誤差認識モジュール59を有する別の誤差認識モジュール配置を示す。図5Bにはさらに、補正総合計電力が加算接点57により与えられるようにエンジン利用可能電力モジュール54と補助利用可能電力モジュール56からの総合計電力および/または別の利用可能電力モジュール61からの利用可能電力を調節する少なくとも1つの誤差認識モジュール59を有するさらに別の誤差認識モジュール配置を示す。他の利用可能電力モジュール61の表記「...N」は、追加の、またはより少ない、または異なる利用可能電力モジュールが機械の種類に応じて含んでもよいということを示す。他の誤差認識モジュール配置を使用してもよいということと、誤差認識モジュール59は、エンジン利用可能電力モジュール54、補助利用可能電力モジュール56または他の任意の利用可能電力モジュール61と、配電モジュール46との間の任意の好適な点に誤差調節を導入してもよいということとを理解すべきである。さらに、誤差認識モジュール59は、モジュール40、42、48またはモジュール52内の関連要素無しに、電力変換装置20または電力発電装置22に含まれる装置を考慮してもよいということを理解すべきである。例えば、空調装置38はエンジン26に作動可能に連結されてよいが、関連モジュール68と78は存在しなくてもよい。この例では、モジュール59は空調装置38により消費される電力を考慮するであろう。
【0047】
次に、機械10における統合電力制御の例示的な方法146について図3を参照して説明する。方法146は上記制御装置24の要素を使用して実施されてよい。
【0048】
方法146は、電力発電装置22により生成することができる利用可能電力を判断する工程(150)で開始してよい(工程148)。次の工程は電力変換装置20から電力要求を取得することを含み得る(工程152)。追加的にまたは代替的に、エンジン速度または流量要求は電力変換装置20から取得されてよい。電力変換装置20に関連する電力要求モジュール42を使用して通信を行うことができる。利用可能電力と、電力、速度および/または流量要求との比較を行うことができる(工程154)。この比較に基づいて、電力変換装置20に分配されるべき利用可能電力の量に関する判断をすることができる(工程156)。出力命令モジュール48から動作条件要求を取得することができ(工程158)、どの動作条件下で電力発電装置22が動作しなければならないかに関する判断をすることができる(工程160)。その後、方法146は終了してよい(工程162)。
【0049】
次に、機械10における統合電力制御の別の例示的な方法84について図4Aを参照して説明する。方法84は上記制御装置24の要素を使用して実施されてよい。方法84は利用可能電力モジュール40により実行される処理で開始してよい(工程86)。エンジン利用可能電力モジュール54はエンジン関連入力を取得し(工程88)、エンジン26が生成することができる全電力を判断するためにそれらを使用することができる(工程90)。補助利用可能電力モジュール56は補助電源関連入力を取得し(工程92)、補助電源28が生成することができる全電力を判断するために補助電源関連入力を使用することができる(工程94)。総合計電力を計算するために加算接点57で全エンジン電力と全補助電力を合計することができる(工程99)。配電モジュール46は、電力要求モジュール42から電力要求と(工程96)、電力要求に割り当てられた電力要求優先順位を取得し(工程98)、全要求電力を計算するために電力要求を加算することができる(工程100)。
【0050】
配電モジュール46は総合計電力と全要求電力を取得することができ、そして総合計電力が全要求電力を満たすかこれを越えるかどうかを判断するためにこれら2つの値を比較することができる(工程102)。総合計電力がその全要求電力を満たすかこれを越えた場合(「はい」)、配電モジュール46は、すべての電力変換装置20の要求を満たすために電力を分配するかあるいは電力の分配をトリガすることができる(工程104)。配電モジュール46は、出力命令モジュール48により取得され得る配電信号を生成することにより電力の分配を行うことができる。配電信号は、すべての電力変換装置20の要件を満たすのに十分な総合計電力があるということを示すことができる。したがって、電力出力命令モジュール48は、要求された量の電力の電力変換装置20への配送をトリガする電力出力命令を生成することができる。
【0051】
総合計電力がその全要求電力を満たさない場合(「いいえ」)、配電モジュール46は電力変換装置20間で総合計電力を合理的に分配することができる。そうするために、配電モジュール46はその割り当てられた優先順位に従って電力要求をグループ化することができる(工程106)。配電モジュール46は、総合計電力が最上位優先度電力要求の合計を満たすかこれを越えるかどうかを判断するために、総合計電力と最上位優先度を有する電力要求の合計とを比較することができる(工程108)。総合計電力が最上位優先度電力要求の合計を満たすかこれを越える場合(「はい」)、配電モジュール46は、最上位優先度電力要求を有する電力変換装置20のそれぞれの要求を満たす総合計電力を分配するかあるいはその分配をトリガすることができる(工程110)。総合計電力が最上位優先度電力要求の合計を満たさない場合(「いいえ」)、配電モジュール46は、最上位優先度電力要求を有する電力変換装置20のそれぞれの要求を満たす総合計電力を比例的に分配するかあるいはその分配をトリガすることができる(工程112)。
【0052】
例えば、総合計電力が10単位の電力に等しいと仮定する。駆動ポンプ30などの第1の電力変換装置は駆動ポンプ電力要求モジュール60を使用して10単位の電力を要求することができる。駆動ポンプ30は、機械10を走行経路から直ちに移動させるために要求電力を必要とし、それゆえこの要求には最上位の優先度が割り当てられてよい。補助ポンプ36などの第2の電力変換装置は補助ポンプ電力要求モジュール66を使用して90単位の電力を要求することができる。補助ポンプ36は同様の理由のために要求された電力を必要とし、それゆえこの要求にも最上位の優先度が割り当てられてよい。配電モジュール46は、すべての最上位優先度電力要求のうち、第1の電力変換装置(この仮定においては駆動ポンプ30)により要求された電力が合計の10分の1を占め、第2の電力変換装置(補助ポンプ36)により要求された電力が合計の10分の9を占めるということを判断することができる。したがって、配電モジュール46は、総合計電力の10分の1(すなわち1単位の電力)を駆動ポンプ30に、総合計電力の10分の9(すなわち9単位の電力)を補助ポンプ36に分配することができる。利用可能電力が残らないので、いかなる中位優先度電力要求もいかなる最下位優先度電力要求も満たされない。
【0053】
各電力変換装置(その電力要求には他の電力変換装置の要求と同じ優先順位が割り当てられている)に分配される総合計電力の割り当て分は次式により決定されてよいということを理解すべきである。PP=PC×(PR/PT)。上記式において、PPは電力変換装置に分配されるべき総合計電力の割り当て分を表し、PCは総合計電力を表し、PRは電力変換装置により要求された電力を表し、PTは同じ割り当て優先順位を有するすべての電力変換装置により要求された電力の合計を表す。
【0054】
最上位優先度電力要求を満たした後、配電モジュール46は、総合計電力のうちいくらかが残っているかどうかと、残りの総合計電力が中間優先順位電力要求の合計を満たすかこれを越えるかどうかとを判断することができる(工程114)。残りの総合計電力が中位優先度電力要求の合計を満たすかこれを越える場合(「はい」)、配電モジュール46は、中位優先度電力要求を有する電力変換装置20のそれぞれの要求を満たすために残りの総合計電力を分配するかあるいはその分配をトリガすることができる(工程116)。残りの総合計電力が中位優先度電力要求の合計を満たさない場合(「いいえ」)、配電モジュール46は、中位優先度電力要求を有する電力変換装置20のそれぞれに残りの総合計電力を比例的に分配するかあるいはその比例分配をトリガすることができる(工程118)。
【0055】
中位優先度電力要求を満たした後、配電モジュール46は、最下位優先度電力要求を有する電力変換装置20の要求を満たすために、いくらかの残りの総合計電力を比例的に分配するかあるいはその比例分配をトリガすることができる(工程120)。追加的にまたは代替的に、配電モジュール46は、電力要求が来た電力変換装置の種類に基づいて電力要求をグループに自動的に分離するようにプログラムされてよい。
【0056】
図4Bに示すように、電力出力命令モジュール48は、配電モジュール46から配電信号を取得することができ、この配電信号に基づき、電力出力命令モジュール48は、分配される電力量を生成するのに好適と考えられるエンジン26および/または補助電源28の動作条件を特定することができる。したがって、電力出力命令モジュール48は動作条件要求および/または優先順位を生成することができる。発電制御モジュール50は、電力出力命令モジュール48から動作条件要求(工程122)および/または優先順位(工程124)を取得することができる。出力命令モジュール48は、効率、放射、冷却、後処理および/または雑音低減を助け得るエンジン26と補助電源28の動作条件を示すことができる。発電制御モジュール50はそれらの優先順位に従って動作条件要求をグループ化することができる(工程126)。
【0057】
発電制御モジュール50は、例えば最高優先順位動作条件要求の大多数を満たすものを選択することによりエンジン26および/または補助電源28の動作条件を選択することができる。発電制御モジュール50は複数の最高優先順位動作条件要求間の妥協として平均動作条件を計算してもよいと考えられる。発電制御モジュール50は、選択された動作条件を記載する発電制御要求を生成することにより選択された動作条件を実施することができる(工程128)。
【0058】
発電制御モジュール50はまた、最高優先順位動作条件要求のいかなるものにも違反または矛盾せずに中間優先順位動作条件要求の大多数を満たすものを選択することによりエンジン26および/または補助電源28の動作条件を選択することができる。中間優先順位動作条件要求はまた平均化されてよい。発電制御モジュール50は、それらを記載する発電制御要求信号を生成することにより、選択された動作条件を実施することができる(工程130)。
【0059】
発電制御モジュール50はまた、最高または中間優先順位動作条件要求のいかなるものにも違反せずに最低優先順位動作条件要求の大多数を満たすものを選択することによりエンジン26および/または補助電源28の動作条件を選択することができる。追加的にまたは代替的に、最低優先順位動作条件要求の平均化を使用してもよい。発電制御モジュール50は、動作条件を記載する発電制御要求を生成することにより、選択された動作条件を実施することができる(工程132)。追加的にまたは代替的に、発電制御モジュール50は優先順位を考慮しなくてもよく、そして動作条件要求が来た電力変換装置の種類に基づき動作条件要求をグループ化するようにプログラム化されてよい。
【0060】
エンジン発電モジュール80と補助発電モジュール82は発電制御要求を取得することができる(工程134)。エンジン発電モジュール80はエンジン発電制御要求に基づきエンジン発電命令を生成することができる(工程136)。エンジン発電命令は、工程128〜132において特定された動作条件に従って動作するようにエンジン26に指示することができる。エンジン発電命令はエンジン26に送信されてよい(工程138)。補助発電モジュール82は補助発電制御要求に基づき補助発電命令を生成することができる(工程140)。補助発電命令は、工程128〜132において特定された動作条件に従って補助電源28が動作するように指示することができる。補助発電命令は補助電源28に送信されてよい(工程142)。命令がエンジン26と補助電源28に送信された後、方法84は終了してよい(工程144)。
【0061】
エンジン利用可能電力モジュール54はエンジン発電モジュール80からエンジン発電命令信号を取得することができる。エンジン利用可能電力モジュール54は方法84の次の繰り返しのためにエンジン26から利用できる電力を判断するための入力としてこの命令を使用することができる。同様に、補助利用可能電力モジュール56は補助発電モジュール82から補助発電命令を取得することができる。補助利用可能電力モジュール56は、方法84の次の繰り返しのために、補助電源28から利用できる電力を判断するための入力としてこの命令を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
開示された制御装置24は、共通の電源に依存する複数の電力変換装置を有するアセンブリにおいて適用可能性を有すると考えられる。制御装置24は、機械内の電力発電装置22から電力変換装置20へ電力を合理的に分配する際に特別の適用可能性を有すると考えられる。
【0063】
制御装置24は、重要性の高い電力要求が重要性の低い電力要求よりも満たされ易くなることを保証するのを助けるやり方で電力を電力変換装置20に合理的に分配することができる。これは、電力が効率的かつ効果的に使用されることと、必要なときに電力を電力変換装置に利用し得ることとを保証するのを助けることができる。合理的な分配はまた電力変換装置20が利用可能なものより多くの電力を取り出そうとしないことを保証するのを助けることによりエンジン失速の発生率を減らすことができる。
【0064】
制御装置24はまた電力発電装置22を動かす動作条件を合理的に決定することができる。そうすることにより、制御装置は電力が好適なやり方で生成されることを保証することができる。例えば、制御装置24は、電力発電装置22が効率的な状態、あるいは放射、冷却、後処理および/または雑音低減の点から有益である状態で動作できることを保証するのを助けることができる。さらに、機械10は現場内または現場間であるいは1つの動作からの別の動作へ移動するにつれて連続的に動作することができ、これにより過渡的な状態下ですら制御装置24が電力を合理的に分配して動作条件を設定できるようにする。
【0065】
本発明の範囲から逸脱することなく本開示の装置と方法に様々な変形と修正をなし得ることは当業者にとって明らかであろう。さらに、開示された装置と方法の他の実施形態は本明細書の考察から当業者には明らかであろう。本明細書と例は単なる例示的なものであって、本開示の真の範囲は以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物により示されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置(22)により生成される電力を分配する方法であって、
発電装置(22)により生成することができる利用可能電力を判断する工程と、
電力変換装置(20)から電力要求を取得する工程と、
利用可能電力と電力要求とを比較する工程と、
電力変換装置(20)に分配するための利用可能な電力の量を判断する工程と、
電力変換装置(20)から動作条件要求を取得する工程と、
発電装置(22)が動作すべき動作条件を判断する工程と
を含む方法。
【請求項2】
発電装置(22)に動作条件下で動作するように指示する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発電装置速度要求と発電装置流量要求の少なくとも1つを電力変換装置(20)から取得する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
分配するための利用可能な電力の量を判断する工程は、電力要求の大きさを考慮することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
分配するための利用可能な電力の量を判断する工程は、電力要求のそれぞれに最上位優先度、中位優先度、最下位優先度のうちの1つを割り当てることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
分配するための利用可能な電力の量を判断する工程は、利用可能電力と、最上位優先度電力要求の合計、中位優先度電力要求の合計、最下位優先度電力要求の合計のうちの少なくとも1つとを比較することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
分配するための利用可能な電力の量を判断する工程は、最上位優先度電力要求が満たされた場合のみ、利用可能電力と中位優先度電力要求の合計とを比較することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
分配するための利用可能な電力の量を判断する工程は、最上位優先度電力要求と中位優先度電力要求が満たされた場合のみ、利用可能電力と最下位優先度電力要求の合計とを比較することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の工程を行うように構成された制御装置(24)。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の工程を行うように構成された機械(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2011−505292(P2011−505292A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536003(P2010−536003)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/013136
【国際公開番号】WO2009/070296
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED