説明

絶縁性液体、液体現像剤および画像形成装置

【課題】環境に優しく、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れるとともに、色再現性に優れた液体現像剤および絶縁性液体を提供すること、また、このような液体現像剤、絶縁性液体を用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
本発明の絶縁性液体は、糖と脂肪酸とのエステルである糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、前記脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むことを特徴とする。絶縁性液体中における前記糖脂肪酸エステルの含有量は、0.1〜10wt%であることが好ましい。また、前記糖脂肪酸エステルを構成する前記糖の水酸基は、前記脂肪酸によるエステル化率が10〜100%であることが好ましい。また、前記糖脂肪酸エステルは、構成する単糖成分としてグルコースを含むものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性液体、液体現像剤および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤には、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを乾式状態で用いる乾式トナーと、トナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤(液体トナー)とがある。
液体現像剤を用いる方法では、液体現像剤中におけるトナー粒子の凝集が効果的に防止されるため、微細なトナー粒子を用いることが可能であり、また、結着樹脂として、低軟化点(低軟化温度)のものを用いることができる。その結果、液体現像剤を用いる方法では、細線画像の再現性が良く、階調再現性が良好で、カラーの再現性に優れており、また、高速での画像形成方法としても優れているという特徴を有している。
【0003】
しかしながら、従来の液体現像剤で用いられてきた絶縁性液体は、石油系の炭化水素を主とするものであるため、例えば、画像形成装置等の外に出た場合に、環境に悪影響を及ぼすことが懸念されていた。また、通常、このような液体現像剤では、定着の際にトナー粒子の表面に絶縁性液体が付着している。従来の液体現像剤では、このトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体の存在により、定着強度が低下してしまい、十分に満足できる定着特性を得ることができなかった。また、トナー粒子表面に付着した絶縁性液体のため、定着時においてトナー粒子同士が、密着、溶融することができず、多色のトナーを用いた場合、得られたトナー画像は、色再現性に優れたものとならない問題があった。また、一色のトナーで画像形成を行った場合においても、絶縁性液体がトナー粒子の表面に多量に付着していることから、得られたトナー画像は、画像濃度が高くならず、色再現性が優れたものとならない問題があった。
【0004】
一方で、液体現像剤の定着特性を改善することを目的として、絶縁性液体として植物油を用いる試みがある(例えば、特許文献1参照)。このような液体現像剤は、定着特性が向上するものの、定着特性は十分ではなく、また、定着時においてトナー粒子同士が、密着、溶融することができず、炭化水素系の絶縁性液体と同様に、色再現性が優れたものとならなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2006−276787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、環境に優しく、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れるとともに、色再現性に優れた液体現像剤および絶縁性液体を提供すること、また、このような液体現像剤、絶縁性液体を用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される
本発明の絶縁性液体は、糖と脂肪酸とのエステルである糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、
前記脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の絶縁性液体では、絶縁性液体中における前記糖脂肪酸エステルの含有量は、0.1〜10wt%であることが好ましい。
本発明の絶縁性液体では、前記糖脂肪酸エステルは、構成する前記糖の水酸基の前記脂肪酸によるエステル化率が10〜100%であることが好ましい。
本発明の絶縁性液体では、前記糖脂肪酸エステルは、構成する単糖成分としてグルコースを含むものであることが好ましい。
【0009】
本発明の絶縁性液体では、前記糖の重合度は、0〜10であることが好ましい。
本発明の絶縁性液体では、絶縁性液体中における前記脂肪酸トリグリセリドの含有量をX[wt%]、前記脂肪酸モノエステルの含有量をY[wt%]としたとき、1.0≦X/Y≦19.0の関係を満足する好ましい。
本発明の絶縁性液体では、絶縁性液体中における前記脂肪酸トリグリセリドの含有量をX[wt%]、前記脂肪酸モノエステルの含有量をY[wt%]、前記糖脂肪酸エステルの含有量をZ[wt%]としたとき、35≦(X+Y)/Z≦300の関係を満足する好ましい。
【0010】
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散しており、
前記絶縁性液体は、糖と脂肪酸とのエステルである糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、
前記脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置は、液体現像剤を貯留および供給する液体現像剤供給部と、
前記液体現像剤供給部より供給された前記液体現像剤を用いて現像する現像部と、
前記現像部で形成された像を記録媒体上に転写し、転写像を形成する転写部と、
前記記録媒体上に形成された前記転写像を前記記録媒体上に定着させる定着部とを有し、
前記液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散しており、
前記絶縁性液体は、糖と脂肪酸とのエステルである糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、
前記脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むことを特徴とする。
【0012】
以上の構成を満足することにより、環境に優しく、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れるとともに、色再現性に優れた液体現像剤および絶縁性液体を提供することができる。また、環境に優しく、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れるとともに、色再現性に優れた液体現像剤、絶縁性液体を用いた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
《液体現像剤》
まず、本発明の液体現像剤および絶縁性液体について説明する。
本発明において、液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。
絶縁性液体は、液体現像剤に用いられるものであるが、後述する画像形成装置において、補給用の絶縁性液体として用いてもよく、この場合、絶縁性液体にトナー粒子が混合されていなくてもよい。以下、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を中心に説明する。
【0014】
<絶縁性液体>
まず、絶縁性液体について説明する。
本発明において、絶縁性液体は、糖と脂肪酸とのエステルである糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含むものである。
まず、脂肪酸トリグリセリドについて説明する。脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸とグリセリンとのエステル(グリセリド)である。また、本発明において、脂肪酸成分として不飽和脂肪酸を含むものである。
【0015】
脂肪酸トリグリセリドは環境に優しい成分であるため、画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
また、不飽和脂肪酸成分は、トナー粒子の記録媒体への定着強度向上に寄与することができる成分である。より詳しく説明すると、不飽和脂肪酸成分は、酸化されることにより(定着時における定着温度で酸化されることにより)、それ自体が硬化し、トナー粒子の定着強度を向上させる機能を有する成分である。これにより、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を優れたものとすることができる。また、不飽和脂肪酸成分が硬化することにより、定着したトナー画像に対して、水性ボールペンでの追記を容易かつ確実に行うことができる。
【0016】
グリセリドを構成する不飽和脂肪酸としては特に限定されないが、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の一価不飽和脂肪酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸等(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等の多価不飽和脂肪酸の不飽和脂肪酸やこれらの誘導体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような不飽和脂肪酸成分を有する脂肪酸トリグリセリドは、例えば、紅花油、米油、米ぬか油、菜種油、オリーブ油、カノーラ油、大豆油、アマニ油、ヒマシ油等の植物由来の油脂、牛油等の各種動物由来の油脂等の天然由来の油脂から効率良く得ることができる。
【0017】
また、脂肪酸トリグリセリド中に飽和脂肪酸成分が含まれていてもよい。飽和脂肪酸成分を含むことにより、液体現像剤の化学的安定性や絶縁性液体の電気絶縁性をさらに高く保つことが可能になる。
このような飽和脂肪酸成分を構成する飽和脂肪酸としては、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記のような飽和脂肪酸の中でも、分子内の炭素数が、6〜22のものであるのが好ましく、8〜20のものであるのがより好ましく、10〜18のものであるのがさらに好ましい。このような飽和脂肪酸で構成された飽和脂肪酸成分を含むことにより、前述したような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
【0018】
また、絶縁性液体は、脂肪酸トリグリセリドと共に脂肪酸モノエステルを含む。以下、脂肪酸モノエステルについて説明する。脂肪酸モノエステルは、脂肪酸と一価のアルコールとのエステルである。
脂肪酸モノエステルは、定着時にトナー粒子を可塑化させる効果(可塑効果)がある。トナー粒子は定着時に、記録媒体上で熱、圧力をかけられた場合において、トナー粒子表面付近にある脂肪酸モノエステルによって容易に可塑化する。可塑化したトナー粒子は、容易に記録媒体へ密着することができる。また、脂肪酸モノエステルは記録媒体に浸透しやすい成分であるため、トナー粒子の表面付近に付着した脂肪酸モノエステルは、定着時にトナー粒子と記録媒体とが接触した際に、記録媒体に速やかに浸透する。そして、この脂肪酸モノエステルの浸透と共に、定着時の熱で溶融したトナー粒子(トナー粒子を構成する樹脂材料)の一部が記録媒体の内部に浸透し、アンカー効果が働き、定着強度が向上する。さらに、脂肪酸モノエステルの浸透と共に、トナー粒子の表面付近に存在する脂肪酸トリグリセリドの一部も浸透し、この状態で酸化重合することにより、トナー粒子はより強固に定着される。このため、脂肪酸モノエステルが含まれた液体現像剤は、定着性が特に優れたものとなる。また、脂肪酸モノエステルは比較的低温であってもトナー粒子を可塑化させることができるため、脂肪酸モノエステルが含まれた絶縁性液体は、低温域での定着性も特に優れたものとなる。さらに、可塑化したトナー粒子同士が接触して溶融し合うことで、目的とする画像の色調をより確実に得ることができ、色再現性が特に優れたものとなる。また、定着時において、可塑化されたトナー粒子が圧力ローラによって平滑化され、得られたトナー画像は高い光沢を有する。また、脂肪酸モノエステルは環境に優しい成分であるため、画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
【0019】
上述したような脂肪酸モノエステルは、トナー粒子表面に偏在していることが好ましい。トナー粒子表面に脂肪酸モノエステルが偏在することで定着時におけるトナー粒子の可塑化が容易に起きやすくなる。このため、定着時において、トナー粒子同士が容易に密着、溶融しやすくなり、色再現性が特に優れたものとなる。また、脂肪酸モノエステルは、脂肪酸トリグリセリドとの親和性が高いため、表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在させたトナー粒子を用いることにより、トナー粒子の分散性を向上させることができ、その結果、保存時等において、トナー粒子の沈降や凝集等をより効果的に防止することができる。すなわち、液体現像剤は、高い保存性を有するものとなる。
【0020】
また、上記脂肪酸モノエステルの、後述する樹脂材料(トナーを構成する樹脂材料)に対する界面張力は、35mN/m以下であるのが好ましく、32mN/m以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の表面付近により確実に偏在させることができ、記録媒体にトナー粒子をより強固に定着させることができる。
加えて、脂肪酸モノエステルの粘度は、10mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、記録媒体により好適に浸透するとともに、定着時の熱で溶融したトナー粒子や脂肪酸トリグリセリドの記録媒体への浸透をより確実に促すことができる。また、脂肪酸モノエステルの粘度が十分に小さいと、定着時において、トナー粒子間にある絶縁性液体が染み出して記録媒体へ浸透することが容易になる。このため、得られるトナー画像は、定着時において、トナー粒子同士が容易に密着、溶融しやすくなり、色再現性が特に優れたものとなる。また、例えば、後述するような方法で液体現像剤を製造する際に、粒径の揃ったトナー粒子を好適に得ることができる。なお、本明細書において、粘度は、特に断りのない限り、25℃において、振動式粘度計を用いてJIS Z8809に準拠して測定される粘度である。
【0021】
液体現像剤に使用できる脂肪酸モノエステルとしては、特に限定されないが、例えば、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等に代表される不飽和脂肪酸のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)モノエステル、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等に代表される飽和脂肪酸のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)モノエステル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
また、脂肪酸モノエステルの脂肪酸成分は、一部に飽和脂肪酸を含むことが好ましい。これにより、絶縁性液体の保存性、長期安定性はさらに優れたものとなる。
なお、脂肪酸モノエステルとして、脂肪酸成分に不飽和脂肪酸を持った不飽和脂肪酸モノエステルを用いてもよい。これにより、記録媒体に浸透した脂肪酸トリグリセリドだけではなく、不飽和脂肪酸モノエステルも酸化重合に寄与することができるため、上述したアンカー効果を特に効果的にすることができ、特に優れた定着強度を得ることができる。
【0023】
また、脂肪酸モノエステルは脂肪酸と一価のアルコールとのエステルであるが、このアルコールは、炭素数が1〜4のアルキルアルコールであるのが好ましい。これにより、液体現像剤の化学的安定性は優れたものとなり、液体現像剤の保存性、長期安定性はさらに優れたものとなる。また、絶縁性液体の粘度を好適なものとし、記録媒体への液体現像剤の浸透をより好適なものとすることができる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。
【0024】
本発明における絶縁性液体中の脂肪酸モノエステルの含有量は、5〜50wt%であることが好ましく、5〜45wt%であることがより好ましい。絶縁性液体中の脂肪酸モノエステルの含有量が前記範囲内にあると、液体現像剤の粘度が特に適度なものとなり、定着時において、好適にトナー粒子間から絶縁性液体が流出し、トナー粒子同士が特に密着、溶融しやすくなる。また、トナー粒子が特に好適に可塑化し、トナー粒子同士が特に密着しやすくなるとともに、トナー粒子は、記録媒体へも特に密着しやすくなる。このため、液体現像剤は、色再現性が特に優れ、定着特性が特に優れたものとなる。
【0025】
絶縁性液体中における脂肪酸トリグリセリドの含有率をX[wt%]、絶縁性液体中における脂肪酸モノエステルの含有率をY[wt%]としたとき、1.0≦X/Y≦19.0の関係を満足することが好ましく、1.2≦X/Y≦5.0の関係を満足することがより好ましい。このような関係を満足することにより、定着時において、脂肪酸トリグリセリドに含まれる不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応が十分に起こることができる。また、定着時にトナー粒子が可塑化するのに十分な脂肪酸モノエステルがトナー粒子表面に付着し、トナー粒子同士が可塑化、溶融するため、目的とする色調で特に優れた光沢の画像がより確実に得られる。また、可塑効果が十分に働くため、記録媒体へのトナー画像の定着強度は特に優れたものとすることができる。また、脂肪酸モノエステルが絶縁性液体に多量に含まれる場合、画像形成装置の部材に浸透してこれらの部材が膨潤する場合があるが、上記のような関係を満足することで、脂肪酸モノエステルによる部材の膨潤を確実に防止できる。
【0026】
上記のような脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを混合して絶縁性液体とした場合、絶縁性液体は、従来の絶縁性液体と比較して、液体現像剤に用いた場合に、定着特性が優れたものとなる。これに対し、絶縁性液体中に、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸モノエステルのうちのいずれか一方のみしか含まれていない場合には、上述したような優れた効果は、得られない。すなわち、絶縁性液体中に脂肪酸モノエステルが含まれない場合には、定着時のおいて絶縁性液体のトナー粒子に対する可塑効果が不十分となり、トナー粒子が記録媒体繊維中に入り込みづらくなる。さらに、絶縁性液体の粘度が高くなるので、キャリア液(絶縁性液体)の記録媒体への浸透が遅れ、結果として、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を十分なものとすることができない。一方、絶縁性液体中に脂肪酸グリセリドが含まれない場合には、定着時における絶縁性液体による可塑効果は十分に作用し、トナー粒子、絶縁性液体の記録媒体への浸透も速やかに起こる。しかし、一般的に、脂肪酸モノエステルの分子量は、不飽和脂肪酸グリセリドの分子量よりも低いため、絶縁性液体が現像ローラ、ブレード等の各種部材に浸透し、膨潤あるいは浸食をしやすくなってしまう。また、粘度が低くなりすぎてしまい、画像形成装置において、液体現像剤を、現像剤容器より塗布ローラで汲み出すことが困難となり、得られる画像がムラのあるものとなってしまう。このような画像のムラにより、高速での画像形成が困難となる場合があり、液体現像剤として使用することが困難な場合がある。
【0027】
また、上記のような脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを混合して絶縁性液体とした場合、このような絶縁性液体は、従来の絶縁性液体と同様に色再現性に優れない問題があった。すなわち、液体現像剤に用いた場合、定着時において、トナー粒子間に絶縁性液体が多量に付着し、トナー粒子同士の密着、溶融が困難な問題があった。このため、複数色の液体現像剤を用いてトナー画像を得た場合、得られたトナー画像は、目的とする色調を得ることが難しく、色再現性に劣る欠点があった。また、一色の液体現像剤を用いてトナー画像を得た場合においても、得られたトナー画像は、トナー粒子間に付着した絶縁性液体のため、画像濃度が高くならず、目的とする色調を得ることが難しかった。
【0028】
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、絶縁性液体の構成成分として、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとに加え、糖脂肪酸エステルを用いることで、絶縁性液体は、環境に優しく、定着特性に優れ、色再現性に優れたものとなることを見出した。
詳しく説明すると、糖脂肪酸エステルは、糖の水酸基に脂肪酸がエステル結合したものである。一般に、紙等の記録媒体は、セルロース等の糖類によって構成されている。このため、糖脂肪酸エステルは、記録媒体への親和性に優れたものである。一方で、本発明に用いる脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとは、脂肪酸を有しており、このため、糖脂肪酸エステルは、これらの成分との親和性にも優れている。このため、糖脂肪酸エステルが含まれた本発明の絶縁性液体は、液体現像剤に用いた場合、記録媒体へトナー像が転写され、定着される際に、速やかに記録媒体中に移動することができる。すなわち、絶縁性液体が記録媒体中へ速やかに移動することで、トナー粒子同士が密着することができる。このため、定着時において熱、圧力等を加えることで、トナー粒子同士は、好適に密着、溶融して混ざり合う。このため、得られるトナー画像は、目的とする色調に近いものとなり、色再現性に優れたものとなる。また、本発明においては、絶縁性液体には、脂肪酸モノエステルが含まれている。このため、定着時において、トナー粒子は可塑化して、トナー粒子同士が密着しやすくなる。このように、脂肪酸モノエステルと糖脂肪酸エステルが相乗的に作用して、トナー粒子同士を密着、溶融させることで、得られるトナー画像は、色再現性が優れたものとなる。また、糖脂肪酸エステルは、環境に優しい成分であるため、画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい絶縁性液体、液体現像剤を提供することができる。
【0029】
糖脂肪酸エステルは、構成する糖の水酸基の脂肪酸によるエステル化率が10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることがより好ましく、85〜100%であることがさらに好ましい。これにより、記録媒体と糖脂肪酸エステルとの親和性を優れたものにしつつ、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルとの親和性を特に優れたものとすることがでる。このため、より速やかに絶縁性液体を記録媒体中へ移動させることができ、この結果、画像形成後に得られるトナー画像は、色再現性が特に優れたものとなる。
【0030】
糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の一価不飽和脂肪酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸等(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等の多価不飽和脂肪酸の不飽和脂肪酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸を用いることができ、これらのうち1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
前記糖脂肪酸エステルは、構成する脂肪酸の炭素数が14〜22であることが好ましい。これにより、糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルとの親和性を特に優れたものとでき、液体現像剤の色再現性を特に優れたものにすることができる。
また、特に脂肪酸エステルを構成する脂肪酸成分と、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルを構成する脂肪酸成分は、同様の組成であることが好ましい。これにより、脂肪酸トリグリセリドおよび脂肪酸モノエステルとの親和性を特に優れたものとできる。
また、糖脂肪酸エステルの糖は、5単糖および/または6単糖によって構成されることが好ましい。これにより、記録媒体と糖脂肪酸エステルの親和性を特に優れたものとでき、液体現像剤としてこのような絶縁性液体を用いた場合、液体現像剤は、特に色再現性に優れたものとなる。
【0032】
また、糖脂肪酸エステルを構成する糖としては、特に限定されず、例えば、グルコース、キシロース、マンノース、アラビノース、ガラクトース、フルクトース等の単糖、セロビオース、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)、マルトトリオース、ラフィノース、パノース、メレジトース、ゲンチアノース、スタキオ−ス、シクロデキストリン等の少糖(オリゴ糖)、セルロース、ヘミセルロース、グリコーゲン、アミロース、アミロペクチン、βグルカン等の多糖、およびこれらの変性物、誘導体等が挙げられる。
【0033】
この中でも、糖脂肪酸エステルは、構成する単糖成分としてグルコースを含むものであることが好ましい。これにより、記録媒体と糖脂肪酸エステルの親和性を特に優れたものとでき、液体現像剤としてこのような絶縁性液体を用いた場合、液体現像剤は、特に色再現性に優れたものとなる。
これらの糖は、天然の植物、動物から抽出することによって得られるほか、これらの抽出物を酸、酵素等で分解することによって容易に得られる。
【0034】
糖脂肪酸エステルを構成する糖の重合度は、0〜10であることが好ましく、1〜8であることが好ましく、1〜5であることが好ましい。これにより、画像形成時において、絶縁性液体が記録媒体へ特に速やかに移動することができ、目的とする色調のトナー画像を特に容易に得ることができる。
絶縁性液体中における糖脂肪酸エステルの含有量は、0.1〜10wt%であることが好ましく、0.2〜5wt%であることがより好ましく、0.5〜3wt%であることがさらに好ましい。これにより、絶縁性液体は、上述の効果が特に優れたものとなるとともに、定着特性が特に優れたものとなる。また、絶縁性液体の粘度は、特に好適なものとなる。これに対し、糖脂肪酸エステルの含有量が、前記下限値未満だと、上述したような効果が十分に発揮されない場合がある。一方、糖脂肪酸エステルの含有量が、前記上限値未満だと、絶縁性液体の組成によっては、液体現像剤に用いた場合に、粘度が高くなりすぎ、記録媒体への転写時において、トナー粒子間の絶縁性液体が好適に記録媒体へ移動しない場合がある。また、絶縁性液体の粘度が高くなることから、得られるトナー画像にむらが生じる場合がある。また、絶縁性液体の組成によっては、酸化重合に寄与する不飽和脂肪酸成分が足りず、定着特性を優れたものとできない場合がある。
【0035】
また、絶縁性液体中における脂肪酸トリグリセリドの含有量をX[wt%]、脂肪酸モノエステルの含有量をY[wt%]、糖脂肪酸エステルの含有量をZ[wt%]としたとき、35≦(X+Y)/Z≦300の関係を満足することが好ましく、40≦(X+Y)/Z≦150の関係を満足することが好ましい。これにより、このような絶縁性液体を用いた液体現像剤は、定着特性および色再現性が特に優れたものとなる。
【0036】
また、糖脂肪酸を構成する糖は、水酸基の少なくとも一部が脂肪酸と結合していればよく、脂肪酸以外の成分が結合されたものであってもよい。
上述したような、糖脂肪酸エステルは、例えば、前述した糖の水酸基を、前述した脂肪酸によってエステル化することにより得られる。
また、絶縁性液体中には、複数種の糖脂肪酸エステルが含まれていてもよい。
【0037】
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、上述した以外の液体が含まれていてもよい。このような液体としては、例えば、流動パラフィン、シリコンオイル等の液体現像剤に使用できる公知の液体を用いることができる。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、上述した以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、酸化防止剤、分散剤、帯電制御剤等があげられる。
【0038】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、d−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、酢酸−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、α−トコフェロール等のビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等のフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、アスコルビン酸ステアリン酸エステル等のビタミンC、緑茶抽出物、生コーヒー抽出物、セサモール、セサミノール、アミン系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
また、分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ソルスパース(日本ルーブリゾール社の商品名)、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリメタクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリマレイン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリスチレンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリアミン脂肪酸縮重合体等の高分子分散剤、粘度鉱物、シリカ、燐酸三カルシウム、トリステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩等)、ジステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等)、ステアリン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、オクタン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等)、オレイン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等)、パルミチン酸金属塩(例えば、亜鉛塩等)、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、レジン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
上述した分散剤の中でも、ポリアミン脂肪酸縮重合体を用いた場合、トナー粒子の表面にポリアミン脂肪酸縮重合体を付着させることができ、これにより、トナー粒子同士の不本意な凝集を防止することができる。また、脂肪酸モノエステルのトナー粒子への浸透性を高めることができ、脂肪酸モノエステルによる可塑効果をより顕著なものとすることができる。その結果、記録媒体に対してトナー粒子をより強固に定着させることができる。また、トナー粒子の帯電特性をより高いものとすることができる。
【0041】
また、帯電制御剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述したような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1×1012Ωcm以上であるのが好ましく、7×1012Ωcm以上であるのがより好ましい。
また、絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
【0042】
<トナー粒子>
次に、トナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料(トナー材料)]
本発明の液体現像剤は、上記のような絶縁性液体中にトナー粒子が分散している。
本発明の液体現像剤を構成するトナー粒子(トナー)は、少なくとも、樹脂材料を含むものである。
【0043】
1.樹脂材料
液体現像剤を構成するトナーは、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、公知の樹脂を用いることができるが、ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。ポリエステル樹脂は、前述した脂肪酸モノエステル、および脂肪酸トリグリセリドと同じく、エステル成分を分子構造内に有していることから、絶縁性液体との親和性が高く、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。また、定着時には、脂肪酸モノエステルが浸透し易く、上述したような可塑効果を確実に発現させることができる。これにより、保存時におけるトナー粒子同士の凝集を、より効率的に防止し、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとするとともに、トナー粒子の記録媒体への定着特性はさらに優れたものとすることができる。さらに、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。
【0044】
また、このような樹脂の酸価は、0.1〜15mgKOH/mgであるのが好ましく、1〜10mgKOH/mgであるのがより好ましく、3〜8mgKOH/mgであるのがさらに好ましい。上記条件を満足する樹脂材料で構成されたトナー粒子は、前述したような絶縁性液体との親和性が特に優れたものとなる。これにより、保存時においては、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性はより優れたものとなり、トナー粒子同士が凝集するのを、長期間に渡って、より効率よく防止することができる。また、定着時においては、トナー粒子への絶縁性液体の浸透はより好適なものとなり、可塑効果がより強く発現され、トナー粒子を記録媒体により強固に定着させることができる。
【0045】
また、このような樹脂(樹脂材料)の軟化温度は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
【0046】
2.着色剤
また、トナー粒子は、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナー粒子は、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
【0047】
[トナー粒子の形状等]
本発明の液体現像剤に適用されるトナー粒子としては、その表面に微小の凹凸を有するものを用いるのが好ましい。このように微小の凹凸を有することにより、前述した脂肪酸モノエステルをトナー粒子の表面付近により効果的に偏在(吸着)させることができる。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであるのが好ましく、0.1〜4μmであるのがより好ましく、0.5〜3μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
【0048】
また、液体現像剤を構成するトナー粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)は、0.94〜0.99であるのが好ましく、0.96〜0.99であるのがより好ましい。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
【0049】
トナー粒子の平均円形度がこのような範囲のものであると、記録媒体上に転写した未定着のトナー画像中に絶縁性液体を適度に含ませることができ、トナー粒子の定着強度をより高いものとすることができる。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
【0050】
なお、上述したような各成分で構成された液体現像剤(本発明の液体現像剤)の粘度は、50〜1000mPa・sであるのが好ましく、100〜900mPa・sであるのがより好ましく、150〜800mPa・sであるのがさらに好ましい。これにより、記録媒体中への液体現像剤の浸透はより好適なものとなるため、記録媒体へのトナー粒子の定着特性はより優れたものとなる。また、記録媒体に得られる画像が、ムラのない鮮明なものとなり、かつ、高速での画像形成に適応した液体現像剤として、特に適したものとなる。
【0051】
また、上述したような各成分で構成された液体現像剤(本発明の液体現像剤)の電気抵抗は、1.5×1012Ωcm以上であるのが好ましく、2.0×1012Ωcm以上であるのがより好ましい。
また、上述したような絶縁性液体は、例えば、上述したような糖脂肪酸エステルと脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを混合することにより製造することができる。液体現像剤は、このような絶縁性液体とトナー粒子とを混合することにより製造することができるが、以下のような方法を用いて製造することもできる。
【0052】
《液体現像剤の製造方法》
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の液体現像剤の製造方法の第1実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法では、樹脂材料および着色剤からなるトナー材料を得るトナー材料調製工程と、脂肪酸モノエステル、もしくは、脂肪酸モノエステルと脂肪酸トリグリセリドの一部との混合液中において、トナー材料で構成された粗粉砕物を粉砕し、トナー粒子が混合液中に分散したトナー粒子分散液を得る粉砕工程と、トナー粒子分散液と、脂肪酸トリグリセリドとを混合する混合工程とを有する。また、糖脂肪酸エステルと、粉砕用脂肪酸エステル液(またはトナー粒子分散液)との混合は、粉砕前であっても、粉砕後であってもよい。ここでは、粉砕前に、粉砕用脂肪酸エステル液に、糖脂肪酸エステルを添加するものとして説明する。
【0053】
[トナー材料調製工程]
まず、主として樹脂材料で構成されたトナー材料の調製方法の一例について説明する。
このようなトナー材料は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、前述したような公知の樹脂材料、着色剤などのトナー用材料を混練し、トナー材料で構成された混練物を得た後、混練物を粗粉砕することにより、トナー材料で構成された粗粉砕物を得る。
【0054】
このように、樹脂材料と着色剤とを混練することにより、後述する粉砕工程において、トナー粒子を構成する材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。その結果、各トナー粒子間での特性のばらつきを十分に小さいものとすることができる。また、後述する粉砕工程前に、トナー材料で構成された混練物を祖粉砕することにより、粉砕工程において、より効果的にトナー粒子の粒径を小さくすることができる。
【0055】
[粉砕工程]
本工程では、前述したようなトナー粒子の構成材料(トナー材料)を、脂肪酸モノエステル、もしくは、脂肪酸モノエステルと、糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドの一部との混合液(以下、粉砕用脂肪酸エステル液ともいう)中で湿式粉砕することにより、トナー粒子分散液を得る。
【0056】
このような粉砕用脂肪酸エステル液は、比較的粘度が低く、これらの液体中におけるトナー材料の動きの自由度が高いため、効率良く粗粉砕物を粉砕することができる。また、粉砕用脂肪酸エステル液は、前述したような公知の樹脂材料との親和性が高く、また、粘度が比較的低いため、粉砕等によって生じるトナー材料の微小の亀裂等に入り込むことができる。その結果、トナー材料を効率良く粉砕することができ、小さい粒径のトナー粒子を効率良く形成することができる。また、粉砕速度を向上させることができる。また、比較的粘度の低い粉砕用脂肪酸エステル液中で粉砕することにより、粉砕するために加えたエネルギーをトナー材料の粉砕に効率良く使うことができるため、粉砕用脂肪酸エステル液の温度が上昇するのを防止することができる。その結果、トナー材料を構成する樹脂材料が低融点のものであっても、効率良く粉砕することができる。
【0057】
また、粉砕用脂肪酸エステル液中でトナー材料を粉砕することにより、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子の表面付近に粉砕用脂肪酸エステル液中に含まれる脂肪酸モノエステルを偏在(吸着)させることができる。このようにトナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在させることにより、前述したような可塑効果をより顕著なものとすることができる。その結果、トナー粒子が紙繊維(記録媒体)の隙間により入り込み易くなるため、トナー粒子の定着強度を特に優れたものとすることができる。
【0058】
湿式粉砕の方法は、特に限定されず、例えば、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
湿式粉砕の工程は、複数回に分けて行ってもよい。
なお、粉砕用脂肪酸エステル液とトナー材料とを混合する前に、粉砕用脂肪酸エステル液中に、前述したような分散剤を添加してもよい。これにより、分散剤が粉砕助剤として働き、より効率良くトナー材料を粉砕することができるとともに、得られるトナー粒子の分散性をより高いものとすることができる。
また、粉砕用脂肪酸エステル液に分散剤が含まれている状態で、トナー材料を粉砕することにより、トナー粒子の表面に分散剤が付着しやすくなり、最終的に得られる液体現像剤の帯電特性を向上させることができる。
【0059】
前述した分散剤の中でも、ポリアミン脂肪酸縮重合体を用いた場合、粉砕効率を効果的に高めることができる。また、粉砕用脂肪酸エステル液で粉砕する際に、ポリアミン脂肪酸縮重合体が存在すると、ポリアミン脂肪酸縮重合体をトナー粒子の表面に好適に(絡みつくように)存在させることができるため、後述する脂肪酸トリグリセリドと混合した際に、トナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエステルをより効果的に保持することができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中におけるトナー粒子の分散性をさらに向上させることができるとともに、色再現性および定着特性を特に優れたものとすることができる。
【0060】
[混合工程]
次に、得られたトナー粒子分散液と、脂肪酸トリグリセリドとを混合する(混合工程)。
以上のようにして、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルと、糖脂肪酸エステルとを含む絶縁性液体にトナー粒子が分散した、本発明の液体現像剤が得られる。
【0061】
<第2実施形態>
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の第2実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子を会合させ、会合粒子を得る会合粒子形成工程と、脂肪酸モノエステル、もしくは脂肪酸モノエステルと脂肪酸トリグリセリドの一部との混合液(以下、解砕用脂肪酸エステル液ともいう)中において会合粒子を解砕し、解砕用脂肪酸エステル液中にトナー粒子が分散したトナー粒子分散液を得る工程と、得られたトナー粒子分散液と、脂肪酸トリグリセリドとを混合する混合工程とを有する。また、糖脂肪酸エステルと、解砕用脂肪酸エステル液(またはトナー粒子分散液)との混合は、解砕前であっても、解砕後であってもよい。ここでは、解砕後に、解砕用脂肪酸エステル液に、糖脂肪酸エステルを添加するものとして説明する。
【0062】
[会合粒子の調製]
まず、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子が会合した会合粒子の調製方法の一例について説明する。
会合粒子は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、水系液体で構成された水系分散媒中に、主として樹脂材料(トナー材料)で構成された分散質(微粒子)が分散した水系分散液を得、当該水系乳化液中の分散質を会合させることにより、会合粒子を得る。
【0063】
(水系分散液の調製)
以下、水系分散液の調製について説明する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、本実施形態では、まず、前述したようなトナー材料を溶媒に溶解させてトナー材料溶液を得、該トナー材料溶液と、水系液体で構成された水系分散媒とを混合することにより、トナー材料を含む分散質(液状の分散質)が分散した水系乳化液を得、その後、該水系乳化液に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去することにより、水系分散液を得る。
【0064】
水系乳化液は、例えば、以下のようにして調製することができる(水系乳化液調製工程)。
まず、水系分散媒を用意する。
水系分散媒は、水系液体で構成されたものである。
本発明において、「水系液体」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系液体は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。このようなものを用いることにより、例えば、水系分散媒中における分散質の分散性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
【0065】
水系液体としては、例えば、水、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族複素環化合物系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、アルデヒド系溶媒等が挙げられる。
また、水系分散媒には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。
乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
【0066】
一方、前述したようなトナー材料を溶媒に溶解させ、トナー材料溶液を調製する。
溶媒としては、トナー材料の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、前述した水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、溶媒を容易に除去することができる。
また、溶媒は、前述した水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、トナー材料を安定した状態で微分散させることができる。
【0067】
また、溶媒の組成は、例えば、前述したような公知の樹脂、着色剤の組成や、水系分散媒の組成等に応じて適宜選択することができる。
このような溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
【0068】
また、トナー材料溶液の調製には、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー用材料を混練して得られた混練物を用いてもよい。このような混練物を用いることにより、トナーの構成材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。特に、前述したような溶媒に対する分散性が比較的低い顔料(着色剤)を用いた場合、溶媒に分散する前に予め混練が施されることにより、顔料粒子の周囲を樹脂成分等が効果的にコーティングすることとなり、これにより、溶媒への顔料の分散性が向上し(特に溶媒への微分散が可能となり)、最終的に得られるトナーの発色性も良好となる。このようなことから、トナーの構成材料中に、前述した水系乳化液の水系分散媒に対する分散性に劣る成分や水系乳化液の分散媒に含まれる溶媒に対する溶解性に劣る成分が含まれる場合であっても、水系乳化液における分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
【0069】
次に、上記トナー材料溶液を、撹拌した状態の水系分散媒中に、徐々に滴下しながら加えていくことにより、水系分散媒中に、トナー材料を含む分散質が分散した水系乳化液が得られる。なお、トナー材料溶液の滴下を行う際、水系分散媒および/またはトナー材料溶液を加熱しておいてもよい。
その後、得られた水系乳化液を加熱したり、減圧雰囲気下に置くことにより、分散質中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去し、トナー材料で構成された分散質(微粒子)が分散した水系分散液を得る。
【0070】
水系分散液中における分散質の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、水系分散液中における分散質同士の不本意な凝集をより確実に防止しつつ、トナー粒子(液体現像剤)の生産性を特に優れたものとすることができる。
水系分散液中の分散質の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜3μmであるのが好ましく、0.1〜2μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
【0071】
(会合粒子形成工程)
次に、上記のようにして得られた水系分散液に、電解質を添加し、分散質を会合させ、会合粒子を形成する(会合粒子形成工程)。
添加する電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウム等の1価のカチオンの硫酸塩は、均一な会合を進める上で好適に用いることができる。
【0072】
なお、電解質等を添加する前に、ヒドロキシアパタイト等の無機分散安定剤や、イオン性、非イオン性界面活性剤を分散安定剤として添加してもよい。分散安定剤(乳化剤)の存在下で電解質を添加することにより、不均一な会合を防止することができる。
このような分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、各種プルロニック系等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、アニオン性、非イオン性の界面活性剤は、少量の添加量であっても分散安定性に効果があり、好適に用いることができる。非イオン性界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。
【0073】
添加する電解質の量は、水系分散液中の固形分100重量部に対し、0.5〜15重量部であることが好ましく、1〜12重量部であることがより好ましく、1〜10重量部であることがさらに好ましい。電解質の添加量が前記下限値未満であると、分散質の会合が十分に進行しない場合がある。また、電解質の添加量が前記上限値を超えると、分散質の会合が不均一となり、粗大粒子が発生する可能性があり、最終的に得られるトナー粒子の大きさにばらつきが生じる可能性がある。
そして、会合させた後、濾過・洗浄・乾燥等を行うことにより、会合粒子を得る。
得られる会合粒子の平均粒径は、0.1〜7μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。
【0074】
[解砕工程]
次に、上記のようにして得られた会合粒子を、脂肪酸モノエステルと、脂肪酸トリグリセリドの一部と、糖脂肪酸エステルを含む解砕用脂肪酸エステル液中で解砕する(解砕工程)。これにより、解砕用脂肪酸エステル液中にトナー粒子が分散したトナー粒子分散液が得られる。
【0075】
また、このように、解砕用脂肪酸エステル液中で会合粒子を解砕することにより、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子の表面付近に解砕用脂肪酸エステル液に含まれる脂肪酸モノエステルを偏在(吸着)させることができる。このようにトナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在させることにより、前述したような可塑効果をより顕著なものとすることができる。その結果、トナー粒子が紙繊維(記録媒体)の隙間により入り込み易くなるため、トナー粒子の定着強度を特に優れたものとすることができる。
【0076】
また、解砕用脂肪酸エステル液という液体中で解砕しているので、凝集等によって粗大化したトナー粒子が発生するのを防止することができる。
また、得られるトナー粒子は、その表面に、微粒子(分散質)に由来する凹凸を有するものとなるので、脂肪酸モノエステルをこの凹凸に確実に保持することができる。
また、本実施形態では、会合粒子を解砕することによりトナー粒子を得るので、従来の粉砕法や湿式粉砕法と比較して、微粉(目的の大きさの粒子よりも極端に小さい粒子)の発生を効果的に防止することができる。その結果、微粉による液体現像剤の帯電特性の低下を効果的に防止することができる。
また、解砕用脂肪酸エステル液は、比較的粘度が低いため、会合粒子を構成する微粒子(分散質)の間に侵入しやすく、好適に会合粒子を解砕することができる。
【0077】
[混合工程]
次に、上記のようにして得られたトナー粒子分散液と、脂肪酸トリグリセリドとを混合し、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させる(混合工程)。
以上のようにして、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルと、糖脂肪酸エステルとを含む絶縁性液体中にトナー粒子が分散した、本発明の液体現像剤が得られる。
【0078】
次に、上述したような本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す模式図、図2は、本発明の液体現像装置の一部の一例を示す模式図、図3は、本発明の画像形成装置に適用される定着装置の一例を示す断面図である。なお、図1中、矢印は上下方向を示すものである。
画像形成装置1000は、図1に示すように、液体現像装置10と定着装置(定着部)F40とを備えている。
【0079】
[液体現像装置]
まず、液体現像装置10について、添付図面を参照しつつ説明する。
液体現像装置10は、図1に示すように、液体現像剤3を貯留および供給する4つの液体現像剤供給部11Y、11C、11M、11Kと、液体現像剤3を用いて像(トナー像)を形成する4つの現像部12Y、12C、12M、12Kと、形成された像を記録媒体2に転写し、転写像(トナー画像)を形成する転写部13とを有している。
【0080】
まず、液体現像剤供給部11Y、11C、11M、11Kについて、添付図面を参照しつつ、説明する。液体現像剤供給部11Y、11C、11M、11Kは、それぞれ、イエロー(Y)の液体現像剤、シアン(C)の液体現像剤、マゼンダ(M)の液体現像剤、ブラック(黒)の液体現像剤を貯留し、それぞれ、液体現像剤3を現像部12Y、12C、12M、12Kへ供給する機能を有している。なお、以下の説明では、代表的に、液体現像剤供給部11Mについて説明する。
【0081】
液体現像剤供給部11Mは、図2に示すように、液体現像剤貯留槽111と、液体現像剤供給ローラ112と、規制ブレード113と、現像ローラ114と、現像ローラクリーニングユニット115とを有している。
液体現像剤貯留槽111は、感光体121Mに形成された潜像を現像するための液体現像剤3を貯留する機能を有している。
液体現像剤供給ローラ112は、液体現像剤3を現像ローラ114へ供給する機能を有する。
【0082】
また、液体現像剤供給ローラ112は、当該液体現像剤供給ローラ112上の液体現像剤3を現像ローラ114に適切に転写するために、その表面が、当該現像ローラ114の後述する弾性体の層に圧接している。また、液体現像剤供給ローラ112は、その中心軸112aを中心として回転可能であり、当該中心軸112aは、現像ローラ114の回転中心軸よりも下方にある。また、液体現像剤供給ローラ112は、現像ローラ114の回転方向(図2において反時計方向)と逆の方向(図2において時計方向)に回転する。
【0083】
さらに、液体現像剤供給ローラ112は、その一部が露出した状態で、液体現像剤貯留槽111に収容された液体現像剤3に浸っている。したがって、かかる状況で液体現像剤供給ローラ112が回転すると、液体現像剤供給ローラ112の中心軸を通る鉛直面Aから見て図2中右側において液体現像剤供給ローラ112は液体現像剤3に進入し、図2中左側において液体現像剤供給ローラ112は液体現像剤3から進出することとなる。
【0084】
規制ブレード113は、液体現像剤供給ローラ112の表面に当接して、液体現像剤供給ローラ112上の液体現像剤3の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード113は、液体現像剤供給ローラ112上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラ114に供給する液体現像剤供給ローラ112上の液体現像剤3を計量する役割を果たす。この規制ブレード113は、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材116より支持されている。また、規制ブレード113は、前述した鉛直面Aから見て、液体現像剤供給ローラ112が回転して液体現像剤3から進出する側(すなわち、鉛直面Aから見て図2中左側)に設けられている。
【0085】
現像ローラ114は、感光体121Mに担持された潜像を液体現像剤3により像(トナー像)を形成(現像)するために、液体現像剤3を担持して感光体121Mと対向する現像位置に搬送する。この現像ローラ114は、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものである。そして、現像ローラ114は、前記弾性体の層が圧接部となって、弾性変形された状態で液体現像剤供給ローラ112よび感光体121Mのそれぞれに圧接している。
【0086】
また、現像ローラ114は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体121Mの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ114は、感光体121Mの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体121M上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ114と感光体121Mとの間に電界が形成される。
【0087】
現像ローラクリーニングユニット115は、現像ローラ114の表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード117を有し、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ115上に残存する液体現像剤3を現像ローラクリーニングブレード117により掻き落として除去するための装置である。
液体現像剤3は、液体現像剤供給ローラ112の回転によって、液体現像剤供給ローラ112の表面に供給され、規制ブレード113の当接位置に至る。そして、当該当接位置を通過する際に、液体現像剤3の余剰分が規制ブレード113によって掻き取られ、現像ローラ114に供給される液体現像剤3の液体現像剤量が計量される。
【0088】
液体現像剤供給ローラ112に保持された液体現像剤3は、液体現像剤供給ローラ112のさらなる回転によって、現像ローラ114との圧接位置に至る。当該圧接位置に至った液体現像剤3は、液体現像剤供給ローラ112と現像ローラ114が圧接することにより生ずる圧力の作用より、液体現像剤供給ローラ112から現像ローラ114へ転写され、現像ローラ114上には液体現像剤3の薄膜が形成される。
【0089】
このようにして現像ローラ114上に形成された液体現像剤3の薄膜は、現像ローラ114の回転によって、感光体121Mに対向する現像位置(すなわち、感光体121Mとの圧接位置)に至り、該現像位置にて所定の大きさの電界下で感光体121M上に形成された潜像の現像に供される。現像位置を通過した現像ローラ114上の液体現像剤3は、現像ローラ114のさらなる回転によって、現像ローラクリーニングブレード117の当接位置に至る。そして、当該当接位置を通過する際に、現像ローラクリーニングブレード117によって、現像ローラ114の表面に付着している液体現像剤3が掻き落とされる。掻き落とされた液体現像剤3は、現像ローラクリーニングユニット115から、液体現像剤回収部14によって、液体現像剤供給部に回収される。
【0090】
また、液体現像剤供給部11Mは、図示するような液体現像剤回収部14および、絶縁性液体補給部15を備えている。
液体現像剤回収部14は、現像ローラクリーニングユニット115および感光体クリーニングユニット126Mにて回収された液体現像剤を、液体現像剤回収パイプ141を通じて、液体現像剤貯留槽111へ搬送する。搬送する液体現像剤の流量は、ポンプ142によって制御される。また、回収された液体現像剤および、後述する補給絶縁性液体4は、合流弁143によって混合され、液体現像剤貯留槽111へ搬送される。
【0091】
また、液体現像剤回収部14は、図に示すように、濾過フィルタ(不純物除去手段)144を有しており、搬送された液体現像剤3中に含まれる不純物(例えば、粗大化したトナー粒子や、記録媒体の切れ端等)を除去する機能を有している。
また、絶縁性液体補給部15は、補給絶縁性液体4を貯留する補給絶縁性液体貯留槽151よび絶縁性液体供給パイプ152を有し、補給絶縁性液体貯留槽151にて貯留された補給絶縁性液体4を、絶縁性液体供給パイプ152を通じて液体現像剤貯留槽111にある液体現像剤3に補給する機能を有している。
【0092】
液体現像剤3中に含まれる絶縁性液体は、転写部13においてトナー粒子とともに記録媒体2へ転写される。このため、液体現像剤貯留槽111にある液体現像剤3中の絶縁性液体と、トナー粒子は、画像形成を行うことによって消費される。このとき、液体現像剤貯留槽111にある液体現像剤3中の絶縁性液体と、トナー粒子は、画像形成による消費量に差がある場合があり、液体現像剤3中のトナー粒子の濃度が変化する場合がある。この場合、絶縁性液体補給部15にて補給絶縁性液体4を補給することにより、液体現像剤3中のトナー粒子の濃度を所定の範囲に保つことができる。また、新鮮な補給絶縁性液体4を補給することで、液体現像剤3中の絶縁性液体の劣化をより長期にわたり防ぐことができる。
【0093】
補給絶縁性液体4は、通常、液体現像剤3に含まれる絶縁性液体と同一の組成を有している。これにより、液体現像剤3の劣化をより長期にわたって防止でき、性能を一定に保つことができる。
また、補給絶縁性液体4は、液体現像剤に含まれる絶縁性液体と異なる組成であってもよい。また、補給絶縁性液体4に、トナー粒子が含まれていてもよい。
【0094】
次に、現像部12Y、12M、12C、12Kについて説明する。現像部12Y、12C、12Mは、それぞれ、イエロー(Y)の液体現像剤、シアン(C)の液体現像剤、マゼンダ(M)の液体現像剤で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部12Kは、ブラック(K)の液体現像剤で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。なお、これらの構成は同様であるので、以下の説明では、代表的に、現像部12Mについて説明する。
【0095】
現像部12Mは、図1に示すように、像担持体の一例としての感光体121Mと、感光体121Mの回転方向に沿って、帯電ユニット122Mと、露光ユニット123Mと、現像ユニット123Mと、1次転写ユニット124Mと、除電ユニット125Mと、感光体クリーニングユニット126Mとを有している。
感光体121Mは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
【0096】
帯電ユニット122Mは、感光体121Mを帯電するための装置であり、露光ユニット123Mは、レーザを照射することによって帯電された感光体121M上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット123Mは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体121M上に照射する。
【0097】
液体現像剤供給部11Mは、マゼンダ(M)液体現像剤を感光体121Mに供給することにより、感光体121M上に形成された潜像を現像することができる。
1次転写ユニット124Mは、感光体121Mに形成された単色像を中間転写ユニット131に転写するための装置である。
1次転写ユニット124Y、124C、124M、124Kにより、現像部12Y、12C、12M、12Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされ、後述する中間転写ユニット131にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
【0098】
除電ユニット125Mは、1次転写ユニット124Mによって中間転写ユニット131上に中間転写像が転写された後に、感光体121M上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングユニット126Mは、感光体121Mの表面に当接されたゴム製の感光体クリーニングブレード127Mを有し、1次転写ユニット124Mによって中間転写部131上に現像剤像が転写された後に、感光体121M上に残存する液体現像剤を感光体クリーニングブレード127Mにより掻き落として除去するための装置である。
【0099】
転写部13は、中間転写ユニット131と、2次転写ユニット132とを有している。
中間転写ユニット131は、複数の支持ローラに張架されたエンドレスのベルトであり、感光体121Y、121C、121M、121Kと当接しながら回転駆動される。
2次転写ユニット132は、中間転写部131上に形成された中間転写像を紙、フィルム、布等の記録媒体2に転写するための装置である。
2次転写ユニット132により記録媒体2上に転写されたトナー画像(転写像)2aは、後述する定着装置F40に送られ、定着が行われる。
【0100】
[定着装置]
次に、定着装置(定着部)について説明する。
定着装置(定着部)F40は、液体現像装置によって形成されたトナー画像2aを有する記録媒体2上に、トナー画像2aを定着させるものである。
定着装置F40は、図3に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、スプリングF9とを有している。このような、定着装置F40によってトナー画像2aは、加圧、加熱されることにより、記録媒体2上に定着する。一般に、定着時において、トナー粒子間に存在する絶縁性液体は、トナー粒子同士の溶融、密着を阻害する。このため、定着したトナー画像の色調を、目的とするものとすることが困難であった。しかしながら、上述したような糖脂肪酸エステルを含んだ絶縁性液体を用いることにより、絶縁性液体は、加圧と同時に記録媒体へ素早く浸透し、トナー粒子間にある絶縁性液体を少量にすることができる。このため、定着したトナー画像2aは、目的とする色調に近く、色再現性に優れたものとなる。
【0101】
熱定着ローラ(定着ローラ)F1は、パイプ材で構成されたローラ基材F1bと、その外周を被覆する弾性体F1cと、ローラ基材F1bの内部に、加熱源としての柱状ハロゲンランプF1aとを有しており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。
熱定着ローラF1の弾性体F1cは、その表層に、離型層F11cを備えている。
離型層F11cは、定着の際に、トナー粒子が熱定着ローラF1の表面に付着するのを防止する機能を有している。
離型層F11cを構成宇する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0102】
熱定着ローラF1の内部には、加熱源を構成する2本の柱状ハロゲンランプF1a、F1aが内蔵されており、これらの柱状ハロゲンランプF1a、F1aの発熱エレメントは、それぞれ異なった位置に配置されている。そして、各柱状ハロゲンランプF1a、F1aが選択的に点灯されることにより、後述する耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1に巻き付いた定着ニップ部位と、後述するベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接する部位との異なる条件下や、幅の広い記録媒体と幅の狭い記録媒体との異なる条件下等での温度コントローラが容易に行われるようになっている。
【0103】
加圧ローラF2は、熱定着ローラF1と対向するように配されており、後述する耐熱ベルトF3を介して、未定着のトナー画像が形成された記録媒体2に対して圧力を加えるよう構成されている。
また、加圧ローラF2は、パイプ材で構成されたローラ基材F2bと、その外周を被覆する弾性体F2cとを有し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
【0104】
前述した熱定着ローラF1の弾性体F1cと加圧ローラF2の弾性体F2cとは、略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップを形成する。また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体2の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
耐熱ベルトF3は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4の外周に張架されて移動可能とされ、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との間に挟圧されるエンドレスの環状のベルトである。
【0105】
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体2が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
【0106】
ベルト張架部材F4は、熱定着ローラF1と加圧ローラF2との定着ニップ部よりも記録媒体2搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ローラF2の回転軸F2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。
ベルト張架部材F4は、記録媒体2が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体2が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体2の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体2の進入がスムーズに行われる記録媒体2の導入口部が形成でき、安定した記録媒体2の定着ニップ部への進入が可能となる。
【0107】
ベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3の内周に嵌挿されて加圧ローラF2と協働して耐熱ベルトF3に張力fを付与する略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルトF3はベルト張架部材F4上を摺動する)である。このベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3が熱定着ローラF1と加圧ローラF2との押圧部接線Lより熱定着ローラF1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁F4aはベルト張架部材F4の軸方向一端または両端に突設されており、この突壁F4aは、耐熱ベルトF3が軸方向端の一方に寄った場合に、この耐熱ベルトF3がこの突壁F4aに当接することで耐熱ベルトF3の端への寄りを規制するものである。突壁F4aの熱定着ローラF1と反対側の端部とフレームとの間にスプリングF9が縮設されていて、ベルト張架部材F4の突壁F4aが熱定着ローラF1に軽く押圧され、ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に摺接して位置決めされる。
ベルト張架部材F4が熱定着ローラF1に軽く押圧される位置がニップ初期位置とされ、また、熱定着ローラF1に加圧ローラF2が押圧する位置がニップ終了位置とされる。
【0108】
定着装置F40において、上述するような液体現像装置を用いて未定着のトナー画像2aが形成された記録媒体2は、上記ニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ローラF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、記録媒体2上に形成された未定着のトナー画像2aが定着され、その後、熱定着ローラF1への加圧ローラF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
【0109】
クリーニング部材F6は、加圧ローラF2とベルト張架部材F4との間に配置されている。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
【0110】
また、定着装置F40は、記録媒体2にトナー画像2aを定着させた後に、熱定着ローラF1の表面に付着(残存)した絶縁性液体を除去する除去ブレード(除去手段)F12を有している。なお、この酸化重合促進剤除去ブレードF12は、絶縁性液体を除去するとともに、定着の際に熱定着ローラF1上に移行したトナー等も同時に除去することができる。
【0111】
なお、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2とベルト張架部材F4とにより張架して加圧ローラF2で安定して駆動するには、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3との摩擦係数をベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3との摩擦係数より大きく設定するとよい。しかし、摩擦係数は、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2との間あるいは耐熱ベルトF3とベルト張架部材F4との間への異物の侵入や、耐熱ベルトF3と加圧ローラF2およびベルト張架部材F4との接触部の摩耗などによって不安定になる場合がある。
【0112】
そこで、加圧ローラF2と耐熱ベルトF3の巻き付け角よりベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ローラF2の径よりベルト張架部材F4の径が小さくなるように設定する。これにより、耐熱ベルトF3がベルト張架部材F4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき、耐熱ベルトF3を加圧ローラF2で安定して駆動することができるようになる。
未定着トナー画像を定着する際の定着温度は、80〜200℃であるのが好ましく、80〜180℃であるのがより好ましい。このような定着温度であると、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応をより効果的に進行させることができ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
【0113】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
【0114】
また、前述した実施形態では、水系分散液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより会合粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、会合粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系分散液を調製し、該水系分散液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、また、得られた水系分散液を噴霧乾燥することにより会合粒子を得るものであってもよい。
【実施例】
【0115】
[1]液体現像剤の製造
(実施例1)
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃、酸価:7mgKOH/g):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部と、を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
【0116】
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粗粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、上記のようにして得られた粗粉砕物:100重量部と、大豆油とメタノールとのエステル交換反応により生成された大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製、商品名「大豆油脂肪酸メチル」):160重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪酸縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース13940」):2.5重量部と、大豆油脂肪酸ショ糖エステル:8重量部を用意した。なお、エステル交換液中の脂肪酸モノエステルの含有量は、99.9wt%以上のものであった。
【0117】
これら各成分を、ボールミルに投入し、200時間湿式粉砕し、トナー粒子分散液を得た。その後、得られたトナー粒子分散液:270.5重量部と、ハイオレイック菜種油(HO菜種油、日清オイリオ社製):240重量部とを混合してシアンの液体現像剤を得た。なお、HO菜種油中に含まれる脂肪酸トリグリセリドの含有量は、99.9wt%以上のものであった。また、HO菜種油中に含まれる脂肪酸トリグリセリドのうち、不飽和脂肪酸を有する脂肪酸トリグリセリドは、98wt%であった。
【0118】
得られたシアンの液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.65μmであった。また、25℃において振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定されるシアンの液体現像剤の粘度は、289mPa・sであった。また、シアンの液体現像剤の電気抵抗は、2.6×1012Ωcmであった。
【0119】
また、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様にして、それぞれ、マゼンダ、イエロー、ブラックの液体現像剤を製造した。得られた各色の液体現像剤は、シアンの液体現像剤とほぼ同様の粒径、粘度、電気抵抗であった。
【0120】
(実施例2〜11)
表1に示すように、液体現像剤の構成を変更した以外は前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例12、13)
表1に示すように、液体現像剤の構成を変更し、粉砕後においての粉砕物分散液とHO菜種油との混合時に帯電制御剤としてステアリン酸亜鉛:1.0重量部を加えた以外は前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
【0121】
(実施例14)
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部、とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
【0122】
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粗粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、混練物の粗粉砕物:100重量部をトルエン:250重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物のポリエステル樹脂が溶解した溶液(トナー材料溶液)を得た。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
【0123】
一方、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1重量部と、イオン交換水:700重量部とを均一に混合した水系液体を用意した。
この水系液体をホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌回転数を調整しつつ、撹拌した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記トナー材料溶液を滴下した。これにより、平均粒径が0.5μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。
【0124】
その後、温度:100℃、雰囲気圧力:80kPaの条件下で、水系乳化液中のトルエンを除去し、さらに、室温まで冷却した後、所定量の水を加えて濃度調整することにより、固形微粒子が分散した水系分散液を得た。得られた水系分散液中には、実質的にトルエンは残存していなかった。得られた水系分散液の固形分(分散質)濃度は20wt%であった。また、懸濁液中に分散している分散質(固形微粒子)の平均粒径は0.5μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
【0125】
次に、得られた水系分散液:100重量部に対して、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、商品名「エパン450」):0.35重量部を、撹拌しつつ添加した。
次に、撹拌速度を調整するとともに、温度を30℃とした後、水系分散液:100重量部に対して、3%の硫酸アンモニウム水溶液:35重量部を滴下した。これにより、会合粒子が分散した会合粒子分散液が得られた。
得られた会合粒子分散液から、会合粒子を遠心分離機で分離し、洗浄を行い、その後、真空乾燥機で乾燥を行い、会合粒子を得た。得られた会合粒子の平均粒径は5.2μmであった。
【0126】
次に、500mLの容器に、4mmの炭素クロムビーズを入れ、その後、大豆油とメタノールとのエステル交換反応により生成された大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製、商品名「大豆油脂肪酸メチル」):150重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪酸縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース13940」):2.5重量部と大豆油脂肪酸ショ糖エステル:8重量部を投入した。
【0127】
次に、得られた会合粒子:100重量部を入れて、ボールミルで10分混合し、その後200時間ボールミルで解砕し、トナー粒子分散液を得た。
解砕終了後、HO菜種油:225重量部を投入し、トナー粒子を分散した。分散は、ボールミルを用いて1mmビーズを入れて24時間行った。これにより、シアンの液体現像剤が得られた。
【0128】
得られたシアンの液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.4μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.50μmであった。また、25℃において振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定されるシアンの液体現像剤の粘度は、288mPa・sであった。また、シアンの液体現像剤の電気抵抗は、2.1×1012Ωcmであった。
【0129】
また、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様にして、それぞれ、マゼンダ、イエロー、ブラックの液体現像剤を製造した。得られた各色の液体現像剤は、シアンの液体現像剤とほぼ同様の粒径、粘度、電気抵抗であった。
(実施例15〜19)
表1に示すように、液体現像剤の構成を変更した以外は前記実施例14と同様にして液体現像剤を製造した。
【0130】
(比較例1)
絶縁性液体の構成成分として、糖脂肪酸エステルを用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例2)
絶縁性液体の構成成分として、糖脂肪酸エステルの代わりにショ糖を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
【0131】
(比較例3、4)
表1に示すように、液体現像剤の構成を変更した以外は前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
表1に、各実施例および各比較例で得られたシアンの液体現像剤についての組成、構成を示す。また、表中、「HO」は、「ハイオレイック」のことを示す。また、各実施例、比較例で用いた植物油は、全て不飽和脂肪酸成分を有するものであった。
【0132】
【表1】

【0133】
[評価]
[2.1]定着強度
図1に示すような液体現像装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンのカラー画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に4層重ね合わせて形成した。その後、図3に示すような定着装置を用いて、熱定着ローラの設定温度を140℃として、熱定着を行った。
【0134】
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.4kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
◎◎:画像濃度残存率が95%以上。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
【0135】
[2.2]色再現性評価
図1に示すような液体現像装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンのカラー画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に4層重ね合わせて形成した。その後、図3に示すような定着装置を用いて、熱定着ローラの設定温度を180℃として、熱定着を行った。
得られたトナー画像について、目視および顕微鏡にて色調の評価を行い、目的とする色調が得られているかどうかを以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0136】
◎◎:トナー画像の色調は、目的とする色調に極めて近い。
◎ :トナー画像の色調は、目的とする色調に非常に近い。
○ :トナー画像の色調は、目的とする色調に近い。
△ :トナー画像の色調は、目的とする色調には近くない。
× :トナー画像の色調は、目的とする色調から遠い。
【0137】
[2.3]剥離強度
[2.2]と同様にして所定パターンのカラー画像を形成し、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像にスコッチ製メンディングテープ10mm幅810−1−18を貼り、記録紙面に対して170°の方向へ5cm/sの速度でテープを剥がし、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 528」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
剥離強度が強いほど、トナー粒子同士が密着、溶融しており、このことから、トナー画像の色の再現性が優れていると考えられる。
【0138】
◎◎:画像濃度残存率が95%以上。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
【0139】
[2.4]粘度
各実施例および各比較例について、得られた各色の液体現像剤について、25℃において、振動式粘度計を用いてJIS Z8809に準拠して測定し、各色の液体現像剤の粘度の平均値について、以下の4段階の基準に従い、評価を行った。
◎ :150mPa・s以上800mPa・s以下。
○ :100mPa・s以上900mPa・s以下。(150mPa・s以上800mPa・s以下は除く)
△ :50mPa・s以上1000mPa・s以下。(100mPa・s以上900mPa・s以下は除く)
× :50mPa・s未満、もしくは、1000mPa・sより大きい。
これらの結果を、表2に示す。
【0140】
【表2】

【0141】
表2から明らかなように、本発明の液体現像剤は、色再現性、定着強度、剥離強度、粘度に優れていた。これに対し、各比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。また、比較例3の液体現像剤では、得られたトナー画像の定着強度は優れていたものの、粘度が低すぎ、好適にトナー画像を形成できなかった。
また、各実施例、各比較例で製造したブラックの液体現像剤のみを用い、図1〜図3に示すような画像形成装置を用いて、単色の黒のトナー画像を形成した。この結果、各実施例の液体現像剤を用いて形成したトナー画像は、比較例の液体現像剤を用いて形成したトナー画像よりも高い画像濃度となり、色再現性に優れたものとなった。各実施例の液体現像剤を用いたトナー画像は、トナー粒子同士が密着、溶融した結果、高い画像濃度となったものと思われる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の画槽形成装置が有する液体現像装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の液体現像装置の一部の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の画像形成装置が有する定着装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0143】
1000…画像形成装置 2…記録媒体 2a…トナー画像 3…液体現像剤 4…補給絶縁性液体 10…液体現像装置 11Y、11M、11C、11K…液体現像剤供給部 111…液体現像剤貯留槽 112…液体現像剤供給ローラ 112a…中心軸 113…規制ブレード 114…現像ローラ 115…現像ローラクリーニングユニット 116…規制ブレード支持部材 117…現像ローラクリーニングブレード 12Y、12M、12C、12K…現像部 121Y、121M、121C、121K…感光体 122Y、122M、122C、122K…帯電ユニット 123Y、123M、123C、123K…露光ユニット 124Y、124M、124C、124K…1次転写ユニット 125Y、125M、125C、125K…除電ユニット 126Y、126M、126C、126K…感光体クリーニングユニット 127Y、127M、127C、127K…感光体クリーニングブレード 13…転写部 131…中間転写ユニット 132…2次転写ユニット 14…液体現像剤回収部 141…液体現像剤回収パイプ 142…ポンプ 143…合流弁 144…濾過フィルタ 15…絶縁性液体補給部 151…補給絶縁性液体貯留槽 152…絶縁性液体供給パイプ F40…定着装置 F1…熱定着ローラ(加熱ローラ) F1a…柱状ハロゲンランプ F1b…ローラ基材 F1c…弾性体 F11c…離型層 F12…除去ブレード F2…加圧ローラ F2a…回転軸 F2b…ローラ基材 F2c…弾性体 F3…耐熱ベルト F4…ベルト張架部材 F4a…突壁 F4f…凹部 F6…クリーニング部材 F7…フレーム F9…スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖と脂肪酸とのエステルである糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、
前記脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むことを特徴とする絶縁性液体。
【請求項2】
絶縁性液体中における前記糖脂肪酸エステルの含有量は、0.1〜10wt%である請求項1に記載の絶縁性液体。
【請求項3】
前記糖脂肪酸エステルは、構成する前記糖の水酸基の前記脂肪酸によるエステル化率が10〜100%である請求項1または2に記載の絶縁性液体。
【請求項4】
前記糖脂肪酸エステルは、構成する単糖成分としてグルコースを含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載の絶縁性液体。
【請求項5】
前記糖の重合度は、0〜10である請求項1ないし4のいずれかに記載の絶縁性液体。
【請求項6】
絶縁性液体中における前記脂肪酸トリグリセリドの含有量をX[wt%]、前記脂肪酸モノエステルの含有量をY[wt%]としたとき、1.0≦X/Y≦19.0の関係を満足する請求項1ないし5のいずれかに記載の絶縁性液体。
【請求項7】
絶縁性液体中における前記脂肪酸トリグリセリドの含有量をX[wt%]、前記脂肪酸モノエステルの含有量をY[wt%]、前記糖脂肪酸エステルの含有量をZ[wt%]としたとき、35≦(X+Y)/Z≦300の関係を満足する請求項1ないし6のいずれかに記載の絶縁性液体。
【請求項8】
絶縁性液体中にトナー粒子が分散しており、
前記絶縁性液体は、糖と脂肪酸とのエステルである糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、
前記脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むことを特徴とする液体現像剤。
【請求項9】
液体現像剤を貯留および供給する液体現像剤供給部と、
前記液体現像剤供給部より供給された前記液体現像剤を用いて現像する現像部と、
前記現像部で形成された像を記録媒体上に転写し、転写像を形成する転写部と、
前記記録媒体上に形成された前記転写像を前記記録媒体上に定着させる定着部とを有し、
前記液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散しており、
前記絶縁性液体は、糖と脂肪酸とのエステルである糖脂肪酸エステルと、脂肪酸トリグリセリドと、脂肪酸モノエステルとを含み、
前記脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−170556(P2008−170556A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1765(P2007−1765)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】