説明

網戸構造

【課題】 網戸が窓の眺望性や採光性を妨げず、また、窓を開けて網戸で通気性を確保する際に、屋外からの虫の屋内への侵入を阻止する。
【解決手段】 開口を形作る窓枠1と、この窓枠1に開放動作可能に設けられて開口を開閉する窓W(枠2およびガラス3)と、屋外Oからの虫の屋内Iへの侵入を阻止する網戸4とを有してなる網戸構造において、網戸4が伸縮自在自に形成される防虫網41と、この防虫網41の一端部41aに設けられて窓枠1側への連結を可能にする窓枠側連結手段42と、防虫網41の他端部41bに設けられて窓W側への連結を可能にする窓側連結手段43とを有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、網戸構造に関し、特に、住宅などにおける開口に設けられて屋外からの虫の侵入を阻止する網戸構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅などにおける開口には、遮蔽目的で障子が設けられるが、人が出入りしない開口には、一般的に、眺望性や採光性を保障する障子たる窓が設けられると共に、窓を開けて通気性を確保する際の防虫目的で網戸が設けられる。
【0003】
そして、網戸としては、窓における開閉動作が種々に異なることから、これまでに、種々の態様のものが提案されている。
【0004】
特許文献1には、折り畳み型の網戸が提案されており、この網戸によれば、網戸が横方向に伸び縮みして開閉動作するので、引き伸ばした使用時に防虫をなし得る一方で、不使用時に折り畳んでおくことで、窓の眺望性や採光性を妨げないようにすることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2564242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
網戸が窓の外側に、あるいは、内側に重ねられて窓を覆うように設けられる場合には、不使用時の網戸が窓の眺望性や採光性を妨げる不具合がある。
【0007】
それに対して、上記特許文献1に開示の提案にあっては、網戸が折り畳み型に形成され、不使用時に畳んでおけるので、窓の眺望性や採光性を妨げないようにすることが可能になる。
【0008】
しかし、使用時には、窓を開けて網戸を伸ばす操作をしなければならないから、窓を開けた時点で、屋外からの虫が屋内に侵入することを阻止できなくなる。
【0009】
また、網戸が屋内側にあり、窓が屋外側にある場合には、通気性を確保するためには、網戸を開けた上で窓を開けることになり、言わば両方が開けられた時点で、屋外からの虫が屋内に侵入すること阻止できなくなる。
【0010】
つまり、従来の網戸構造にあっては、網戸が窓の眺望性や採光性を妨げないとしても、網戸による通気性を確保するために窓を開けた時点で、屋外からの虫が屋内に侵入することを阻止できない可能性があった。
【0011】
この発明は、上記した現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、網戸が窓の眺望性や採光性を妨げず、また、窓を開けて網戸で通気性を確保する際に、屋外からの虫が屋内に侵入することを阻止できる網戸構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するために、この発明による網戸構造の構成を、開口を形作る窓枠と、この窓枠に開放動作可能に設けられて上記開口を開閉する窓と、屋外からの虫の屋内への侵入を阻止する網戸とを有してなる網戸構造において、上記網戸が伸縮自在に形成される防虫網と、この防虫網の一端部に設けられて上記窓枠側への連結を可能にする窓枠側連結手段と、上記防虫網の他端部に設けられて上記窓側への連結を可能にする窓側連結手段とを有してなるとする。
【0013】
それゆえ、この発明にあっては、網戸における防虫網の一端部が窓枠側連結手段を有し他端部が窓側連結手段を有するから、防虫網を各側の連結手段によって窓枠側と窓側とに連結し得て、窓を覆わない状態に網戸を設けることが可能になる。
【0014】
そして、この発明にあって、各側の連結手段で窓枠と窓とに連結された網戸は、防虫網が伸縮自在に形成されるから、窓の一部または全部を窓枠から離して開口を開放する際に窓の動きに追随して広がり、窓枠と窓との間に出現する一部または全周となる空きを遮蔽する。
【0015】
つまり、この発明にあっては、開口を遮蔽する窓を開けて網戸による通気性を確保するとき、網戸が窓の動きに追従して広がるので、網戸を開閉操作などすることなく、窓と窓枠との間に網戸を設けることができ、窓と網戸の両方が同時に開けられる状況を招来しない。
【発明の効果】
【0016】
その結果、この発明によれば、網戸が窓の眺望性や採光性を妨げず、また、窓を開けて網戸で通気性を確保する際に、屋外からの虫が屋内に侵入することを阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施形態を示す概略斜視図で、(A)は、住宅の壁に設けた窓部分および屋根に設けた天窓部分にこの発明が具現化された状態を示し、(B)は、車両の屋根に設けた天窓部分にこの発明が具現化された状態を示す。
【図2】この発明による網戸構造を具現化した一実施形態を示す横断面図である。
【図3】網戸の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】網戸における窓側連結手段と共に窓枠側連結手段を拡大して示す部分横断面図である。
【図5】外開き型に形成の窓が戸先側を屋外に突出させた開放状態を部分的に示す拡大横断面図である。
【図6】全面平行押し出し型に形成の窓が押し出しされた開放状態を部分的に拡大して示す横断面図である。
【図7】網戸の窓枠および窓への連結状態の他の実施形態を示す部分拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図示した実施形態に基づいて説明するが、この発明は、図1(A)に示すように、障子たる窓Wを有する住宅Hにおける壁H1に形成の開口(符示せず)部分への具現化に向き、あるいは、障子たる天窓W1を有する住宅Hにおける屋根H2に形成の開口(符示せず)部分への具現化に向き、さらには、図1(B)に示すように、障子たる天窓W2を有する車両Cにおける屋根C1に形成の開口(符示せず)部分への具現化に向く。
【0019】
そこで、以下の説明においては、この発明が障子たる窓Wを有する住宅Hにおける壁H1に形成の開口部分に具現化される場合を例にして説明する。
【0020】
この発明による網戸構造は、図2に示すように、窓枠1と、窓W(枠2およびガラス3)と、網戸4とを有し、窓Wを開けて通気性を確保する際に、網戸4が屋外Oからの虫の屋内Iへの侵入を阻止するように構成されている。
【0021】
窓枠1は、住宅H(図1(A)参照)などにおける人が出入りしない開口を形作る基枠であって、開口は、住宅Hの壁H1(図1(A)参照)などを形成する躯体Bに設けられ、屋外Oと屋内Iとの連通を許容して採光や通気を許容する。
【0022】
ちなみに、躯体Bの構成については、住宅などの構成材料で異なり、木質系とされたり、コンクリート系とされたりして、任意となるが、躯体Bの構成の相違がこの発明の成立を妨げないことはもちろんである。
【0023】
また、窓枠1は、躯体Bに形作った開口の内周を仕上げると共に、後述する窓Wの連結保持を可能にするもので、図示する実施形態では、正面形状が額縁状になるように形成されてなる。
【0024】
つまり、一般的に、窓Wは、正面形状を矩形にするように形成され、したがって、この窓Wを連結保持する窓枠1についても、多くの場合に、正面形状が窓Wの正面形状に相似するように、四角形、つまり、額縁状に形成される。
【0025】
ちなみに、この発明の具現化にあって、窓Wの正面形状に相似するように、あるいは、そうでなくても、窓枠1が正面形状を円形にしたり、その他の任意の形状とされたりすることを妨げないのはもちろんである。
【0026】
そして、窓枠1の構成材については、任意とされて良いが、窓Wを構成する後述の枠2がアルミ押出型材あるいは合成樹脂材などからなる場合には、この枠2との連結などの取り合いを考慮すれば、また、この発明の具現化を考慮すると、見付け面1aや内周面1bを平坦に仕上げることを容易に可能にするアルミ押出型材あるいは合成樹脂材などからなるのが好ましい。
【0027】
なお、窓枠1は、額縁状に形成されるとき、詳しくは図示しないが、上方側部と、下方側部11と、左右の一対とされて上下端部がそれぞれ上方側部と下方側部11とに連結される一対の縦部12,13とを有してなる。
【0028】
また、窓枠1は、図示しないが、窓Wにおける枠2の戸先側の当接を許容する戸当りを有し、また、枠2との間における衝撃の緩和および防水目的のシールを有するのが好ましい。
【0029】
そして、上記の衝撃の緩和および防水目的のシールは、図2中に符号Sで示すように、後述する網戸4の外側となる窓Wにおける枠2に設けられても良く、さらには、図示しないが、網戸4の内側に位置決めされるように、窓枠1の見付け面1aに設けられるとしても良い。
【0030】
窓Wは、眺望性や採光性を保障しながら開口を遮蔽する障子であって、障子である限りには、開口を開閉可能にしなくても良いが、この発明にあっては、窓枠1に開放動作可能に設けられ、開口で連通可能とされる屋外Oと屋内Iとを遮蔽を可能にする。
【0031】
そして、この窓Wは、図示するところでは、枠2とガラス3との組立体からなり、図2中に一点鎖線矢印aで示すように、枠2が図2中で右側となるいわゆる吊元側を枢着側にして図2中で左側となるいわゆる戸先側を屋外O側に旋回(図5参照)させて、開口を開放する外開き型に形成されてなる。
【0032】
なお、この発明の具現化に向く窓Wとしては、図示しないが、枠2の吊元側を枢着側にして戸先側が屋内I側に旋回する内開き型、枠2の上端側を枢着側にして下端側が屋外Oに向けて突出される突出し型、枠2の下端側を枢着側にして上端側が屋外Oに向けて倒される外倒し型、枠2の下端側を枢着側にして上端側が屋内Iに向けて倒される内倒し型があり、さらには、辷り出し型および平行押し出し型がある。
【0033】
そして、同じく図示しないが、縦軸回転型の窓Wは、窓Wの枠2における上框および下框の中央部が窓枠1の上方側部および下方側部11の中央部に縦方向に設けられる軸に枢着して水平方向に回転し、また、横軸回転型の窓Wは、窓Wの枠2における左右となる縦框の中央部が窓枠1の縦部12,13の中央部に横方向に設けられる軸に枢着して上下方向に回転する態様になる。
【0034】
このことからすると、見方によっては、縦軸回転型の窓Wは、外開き型と内開き型の窓を連結した態様になり、または、横軸回転型の窓Wは、突出し型と内倒し型の窓を連結した態様になるから、これまた、この発明の具現化を可能にする。
【0035】
枠2は、ガラス3を恒久的に一体的に保持して、ガラス3の採光機能および熱や空気の遮断機能を保障するもので、その限りには、任意に構成されて良い。
【0036】
近年では、枠2は、操作性や加工などの取扱性、また、コストの面で、アルミ押出型材あるいは合成樹脂材などからなることが多い。
【0037】
そして、詳しくは後述するが、この発明の具現化を考慮すると、枠2は、見付け面2aや外周面2bを平坦面に仕上げることを容易に可能にするアルミ押出型材あるいは合成樹脂材などからなるのが好ましい。
【0038】
ガラス3は、窓Wにおける眺望性や採光性を保障するもので、熱や空気の遮断を可能にし、その限りには、任意に構成されて良く、たとえば、図示するように、断熱性を向上させるために、複数枚のガラス板31の間に空気層Aを設けた複層ガラスとされたり、また、図示しないが、屋外O側に位置決めされるガラス板31の空気層Aに対向する面に特殊な金属膜がコーティングされて遮熱性が高められていたりしていても良い。
【0039】
また、ガラス3としては、近年複層ガラスが多用される傾向にあるが、旧来の一枚のガラス板31からなるものであっても良く、また、図示しないが、この一枚からなるガラス板31が熱線入りとされて結露防止構造とされたり、ピアノ線入りとされて外力に対する強度が向上されたりしてなるとしても良いことはもちろんである。
【0040】
戻って、窓Wを窓枠1に開放動作可能に設ける、すなわち、窓Wにおける枠2の窓枠1への連結態様については、枢着軸2c(図2参照)を利用して戸先側を旋回可能(図5参照)としたり、枢着軸2aを有せずして全面平行押し出し可能(図6参照)としたりする態様になるのが良い。
【0041】
つまり、枠2の窓枠1への連結態様は、後述する網戸4が言わば無理なく伸縮自在とされることを容易に実現し得るのが良い。
【0042】
この観点からすると、窓Wは、前記したように、図示する外開き型に形成される他、図示しない内開き型,突出し型,外倒し型,内倒し型および縦軸回転型あるいは横軸回転型に形成されてなるのが好ましい。
【0043】
一方、図示しないが、辷り出し型の窓Wのように、枠2の上端側が窓枠1を滑りながら下降すると共に枠2の下端側が屋外Oに突出され、あるいは、枠2の吊元側が窓枠1を滑りながら横移動すると共に戸先側が屋外Oに突出される場合には、網戸4に一次方向だけでなく二次方向の力も作用することが考えられ、網戸4が捩れるなどすることを鑑みると、余り好ましい連結態様とは言い得ないとも解される。
【0044】
しかしながら、この発明は、辷り出し型の窓Wへの具現化を全く排除する意図はなく、網戸4における伸縮性能が保障されて防虫機能が保障される限りには、この発明の具現化を可能にする連結態様となる。
【0045】
たとえば、図示しないが、網戸4が二重構造に形成されるなどして、捩れに対処し得るように形成される場合には、辷り出し型の窓Wにあってもこの発明の具現化が妨げられることはない。
【0046】
また、枠2は、前記したように、額縁状に形成され、それゆえ、窓枠1における上方側部に沿うように位置決めされる上端部たる上框(図示せず)と、窓枠1における下方側部1aに沿うように位置決めされる下端部たる下框21とを有してなる。
【0047】
そして、この枠2にあっては、上框および下框21を左右で連結して窓枠1における一対となる縦部1bに沿うように位置決めされる一対の縦框、すなわち、図示するところでは、窓Wの回転を可能にするために窓枠1に枢着される枢着側部たる吊元框22と、反対側の可動側部たる戸先框23とを有してなる。
【0048】
そしてまた、この枠2にあっては、図示するところでは、戸先框23が吊元框22を回転中心にするようにして旋回される(図2中の一点鎖線矢印a参照)。
【0049】
ちなみに、たとえば、戸先框23に設けたハンドル(図示せず)を押して戸先框23側を屋外O側に押し出すことで、また、ハンドルを引いて戸先框23側を屋内I側に引き寄せることで、枠2が回転することになり、言わばガラス3による開口の開閉が可能とされる。
【0050】
窓枠1および窓Wが上記のように形成されるのに対して、網戸4は、屋外Oからの虫の屋内Iへの侵入を阻止するのを基本とし、以下のように構成される。
【0051】
すなわち、網戸4は、窓Wの開閉動作に追従して広がりまた縮むように伸縮自在とされて、窓Wの開放動作時に、屋外Oからの虫がいわゆる空いているところを通過して屋内Iに侵入することを阻止し得るように構成される。
【0052】
また、網戸4は、これ自体を開閉操作しなくても、網戸として機能する利用状態を具現化でき、また、不使用時のいわゆる収納状態を具現化できるように構成される。
【0053】
そして、網戸4は、その収納状態時はもちろんのこと、利用時あっても、窓Wの眺望性や採光性を妨げないように構成される。
【0054】
そこで、この発明にあって、網戸4は、図3に示すように、伸縮自在に形成される防虫網41と、この防虫網41の一端部41aに設けられてこの一端部41aの窓枠1(図2参照)側への連結を可能にする窓枠側連結手段42と、防虫網41の他端部41bに設けられてこの他端部41bの窓W(図2参照)側への連結を可能にする窓側連結手段43とを有してなる。
【0055】
防虫網41は、窓Wの開閉動作に追従して広がりまた縮むように伸縮自在とされるもので、そのため、図示するところでは、折り畳み自在に形成されることで伸縮自在とされる。
【0056】
つまり、防虫網41は、角筒状に形成の素材を折り畳み可能にするために、山折り線41cおよび谷折り線41dに沿う折り畳みを繰り返すもので、図示するところでは、たとえば、上方の山折り線41cが側方の谷折り線41dに連続すると共に、いわゆる角部に斜めに設けられる上方の変換線41eで上方の谷折り線1dおよび側方の山折り線41cに連続する。
【0057】
そして、側方の山折り線41cが下方の谷折り線41dに連続すると共に、下方の角部に設けられる変換線41eで側方の谷折り線41dおよび下方の山折り線41cに連続する。
【0058】
上記のように、山折り線41c,谷折り線41dおよび変換線41eに沿う折り畳みを繰り返すことで、楽器たるアコーデオンにおける蛇腹の態様を呈すことになり、伸縮自在となる。
【0059】
戻って、防虫網41は、伸縮自在に形成される限りには、自由に構成されて良く、それゆえ、これまでに凡そ防虫網して周知されている構成からなるとして良い。
【0060】
たとえば、塩ビ原糸で18メッシュに形成される、すなわち、1インチ(2.54センチメートル)四方に18本の縦糸および横糸を有して網目を形成するとしても良く、この場合には、防虫網41を安価に製造できると共に、雨水や太陽光などの自然条件に対する比較的長期的な耐久性を期待できる点で有利となる。
【0061】
そして、防虫網41は、結果として、防虫機能を達成すれば良いから、金属原糸で形成されて耐久性が向上されたり、スパッタリング加工が施されてマジックミラー的効果を発揮し得るようにされたり、自由な構成を選択できる。
【0062】
そしてまた、防虫網41は、通気性を保障するとの観点からすれば、いわゆる網状に構成されているものに限定されず、図示しないが、たとえば、不織布からなるとしたり、シート状体に無数の孔を整列させて、もしくは、散らばして開穿したりしてなるとしても良いこともちろんである。
【0063】
防虫網41が不織布や無数の孔を有するシート状体からなる場合には、いわゆる汎用されている防虫網からなる場合に比較して、折り畳み加工に適し、また、繰り返される折り畳み動作に対する高い耐久性を期待できる点で有利となるであろう。
【0064】
戻って、網戸4における防虫網41は、蛇腹状に折り曲げ形成されて伸縮自在とされ、図示するところでは、正面形状を四角形にする窓Wに適用できるように角筒状に形成されてなる。
【0065】
そして、この角筒状に形成の防虫網41との間にいわゆる不要な隙間を出現させないようにするために、窓枠側連結手段42および窓側連結手段43が正面形状を四角形にして、防虫網41の両端部41a,41bにそれぞれ一体的に保持されてなるとする。
【0066】
そしてまた、この網戸4にあっては、防虫網41が窓枠側連結手段42および窓側連結手段43によって窓枠1と窓Wとに連結されると共に、窓Wが窓枠1に対して閉鎖動作するときには、窓枠1と窓Wとの間に折り畳み状態で挟持され、窓Wが窓枠1に対して開放動作されるときに、伸びて窓枠1と窓Wとの間に出現する空間たる空きを遮蔽する。
【0067】
窓枠側連結手段42は、所望の連結状態、つまり、防虫網41の一端部41aを窓枠1に密着させるなどして屋外Oからの虫が容易に通過できる隙間を出現させない限りには、任意の構成が選択されて良い。
【0068】
また、窓側連結手段43にあっても、防虫網41の他端部41bを窓Wにおける枠2に密着させるなどして屋外Oからの虫が容易に通過できる隙間を出現させない限りには、任意の構成が選択されて良い。
【0069】
もっとも、この発明の具現化に際しては、窓枠側連結手段42および窓側連結手段43が窓枠1および窓Wの枠2に着脱可能に設けられるとして、網戸4の交換を可能にしたり、あるいは、埃の除去などのいわゆる水洗い掃除を可能にしたりするのが良い。
【0070】
ちなみに、窓枠側連結手段42および窓側連結手段43が窓枠1および窓Wの枠2に着脱可能に設けられずして、網戸4の交換を可能にしなくても、この発明の実施化が妨げられる訳ではない。
【0071】
以下に、窓枠側連結手段42および窓側連結手段43について説明するが、両方の連結手段42,43が同一の構成とされる場合もあるので、要する場合を除いて、窓枠側連結手段42について説明して、窓側連結手段43についての説明を省略する。
【0072】
図4は、ベルクロ式ファスナー5を有してなる窓枠側連結手段42を示すもので、防虫網41の一端部41aに一体的に保持される一方体51と、窓枠1の見付け面1aに一体的に保持される他方体52とを有してなる。
【0073】
そして、一方体51は、防虫網41の一端部41aに、また、他方体52は、窓枠1における見付け面1aに、接着材(図示せず)を利用するなどの適宜の手段で一体的に連結保持される。
【0074】
それゆえ、このベルクロ式ファスナー5を有してなる窓枠側連結手段42にあっては、一方体51が防虫網41の一端部41aに一体的に連結された状態で、この一方体51に連結された他方体52を接着材の利用などで窓枠1における見付け面1aに一体的連結することで、防虫網41の一端部41aを窓枠1に一体的に連結することが可能になる。
【0075】
そして、このベルクロ式ファスナー5において、一方体51に連結された状態の他方体52を窓枠1の見付け面1aに固着させるについては、窓Wを閉鎖動作させて、窓側連結手段43と共に防虫網41を窓Wと窓枠1との間に挟持するようにすることで、たとえば、時間の経過で接着材が固化するなどで、所定の固着状態を具現化できる。
【0076】
そしてまた、図示するところにあっては、窓枠1が、また、窓Wの枠2がアルミ押出型材あるいは合成樹脂材などからなることで、平坦に仕上げられた見付け面1a,2aを得ることが容易になり、接着材を利用する他方体52の窓枠1における見付け面1aへの、および、一方体51の窓Wの枠2における見付け面2aへの一体的な連結がそれぞれ容易に実現可能になる利点がある。
【0077】
なお、窓枠側連結手段42がベルクロ式ファスナー5を有して窓枠1に連結されるのに対して、窓側連結手段43についても、同様の構成および過程で窓Wの枠2に連結される。
【0078】
つまり、図4に示すところにあって、窓側連結手段43は、防虫網41の他端部41bに一体的に保持される連結部材たる一方体51と、窓Wの枠2の見付け面2aに一体的に保持される被連結部材たる他方体52とを有してなる。
【0079】
そして、一方体51は、防虫網41の一端部41aに、また、他方体52は、枠2における見付け面2aに、接着材(図示せず)を利用するなどの適宜の手段で一体的に連結保持される。
【0080】
それゆえ、以上のようにして窓枠1および窓Wに連結される図示する網戸4にあっては、図5に示す外開き型の窓Wによる開口の開放時に、窓枠1と窓Wとの間に出現して屋外O(図2参照)側と屋内I(図2参照)側との連通を許容する空きを遮蔽する。
【0081】
この外開き型の窓Wにあって、吊元側では、網戸4が言わば折り畳まれて窓枠1と窓Wとの間に挟持されている状態にあり、吊元側と戸先側との間では、吊元側から戸先側に向かって網戸4が徐々に広がる状態になって、平面視では、扇形を呈することになる。
【0082】
それに対して、図6に示すように、窓Wが全面平行押し出し型とされる場合には、窓Wが全面的に、つまり、窓Wの枠2が窓枠1から全周に亙って離れて屋外Oに平行に突き出るときに、窓枠1と窓Wとの間に屋外Oと屋内Iとの連通を許容する空きを出現させるが、この空きを網戸4が折り畳み状態から筒状に伸びて遮蔽する。
【0083】
このことからすると、図6に示す実施形態にあっては、網戸4は、窓Wの枠2および窓枠1における四方に連結されるが、図5に示す実施形態にあっては、網戸4は、見掛け上、窓Wの枠2における上框,戸先框23および下框21の三方および窓枠1における上方側部,縦部13および下方側部11の三方に連結される態様になる。
【0084】
そこで、窓Wが外開き型に形成される場合には、窓Wの枠2における吊元框22に近隣する網戸4における相応部位が、窓Wの円滑な開閉作動を保障し、防虫機能を損なわない限りにおいて、僅かに折り畳形成され、あるいは、折り畳み形成されていなくても良いと言える。
【0085】
戻って、上記した網戸4にあっては、窓枠側連結手段42および窓側連結手段43がベルクロ式ファスナー5からなるから、網戸4を窓Wおよび窓枠1から分離することが可能になり、網戸4の交換を可能にしたり、網戸4の水洗いなど掃除を可能にしたりする。
【0086】
また、網戸4の窓Wおよび窓枠1に対する着脱を可能にするためには、窓枠側連結手段42および窓側連結手段43がベルクロ式ファスナー5からなるのに代えて、図示しないが、磁石あるいはホックの利用による着脱可能構造に形成されたり、着脱を容易にはしないが、両面粘着テープが利用されたりしても良い。
【0087】
そして、網戸4にあっては、窓枠側連結手段42および窓側連結手段43を有するが、この発明にあっては、網戸4自体を掴むなどして開閉操作する必要がないから、上記の窓枠側連結手段42および窓側連結手段43を頑丈に構成して網戸4を強度部材にすることが要請されず、従来のフレーム構造からなる網戸に比較して、網戸4の構成を簡素化でき、網戸4を安価にできる利点がある。
【0088】
図7は、網戸4を設ける場所を変更した実施形態を示すもので、この実施形態にあっては、網戸4が窓Wの枠2における見付け面2aと、窓枠1における見付け面1aとの間ではなく、窓Wの枠2における外周面2bと、窓枠1における内周面1bとの間に設けられるとする。
【0089】
その他の構成については、前記したところと異ならないので、同じ構成については、図7中に同じ符号を付して、その改めての説明を省略する。
【0090】
そして、この実施形態にあっても、網戸4における窓枠側連結手段42および窓側連結手段43がそれぞれ窓枠1側および窓W側に着脱自在に連結されても良く、また、固定的に連結されても良いことはもちろんである。
【0091】
さらに、この実施形態の場合には、窓Wを開け閉めするときに、網戸4が扇子をいわゆる広げたり閉じたりするときの動きと同じ動きをすることになる。
【0092】
それゆえ、この実施形態の場合にも、窓Wを開けたときに、窓枠1と窓Wとの間に網戸4が設けられるので、窓Wにおける眺望性や採光性を妨げることなく、防虫が実現されることになる。
【0093】
そして、この実施形態の場合は、窓Wを閉じた状態にするときに、窓Wの枠2を窓枠1に密接させるように近隣させることが可能になるので、前記した実施形態の場合に比較して、窓枠1を含むいわゆる窓の厚さ寸法を小さくできる点で有利となる。
【0094】
以上のように、この発明の網戸構造にあっては、網戸4における防虫網41の一端部41aが窓枠側連結手段42を有し他端部41bが窓側連結手段43を有するから、防虫網41を各側の連結手段42,43によって窓枠1側と窓W側とに連結し得て、窓Wを覆わない状態に網戸4を設けることが可能になる。
【0095】
そして、この発明の網戸構造にあって、各側の連結手段42,43で窓枠1と窓Wとに連結された網戸4は、防虫網41が伸縮自在に形成されるから、窓Wの一部または全部を窓枠1から離して開口を開放する際に窓Wの動きに追随して広がり、窓枠1と窓Wとの間に出現する一部または全周となる空きを遮蔽する。
【0096】
つまり、この発明の網戸構造にあっては、開口を遮蔽する窓Wを開けて網戸4による通気性を確保するとき、網戸4が窓Wの動きに追従して広がるので、網戸4を開閉操作などすることなく、窓Wと窓枠1との間に網戸4を設けることができ、窓Wと網戸4の両方が同時に開けられる状況を招来しない。
【0097】
したがって、この発明の網戸構造によれば、網戸4が窓Wの眺望性や採光性を妨げず、また、窓Wを開けて網戸4で通気性を確保する際に、屋外Oからの虫の屋内Iへの侵入を阻止することが可能になる。
【0098】
前記したところでは、開口を開放可能に遮蔽する障子がガラス3を有して可視性を備える窓Wからなるとしたが、この発明の構成からすれば、開口を開放可能に遮蔽する障子、つまり、窓Wが可視性を備えなくても、この発明の具現化を可能にする。
【0099】
また、前記したところでは、窓枠側連結手段42および窓側連結手段43が、それぞれ窓枠1側および窓W側に着脱可能に連結されるとしたが、これに代えて、窓枠側連結手段42および窓側連結手段43のいずれか一方が窓枠1側あるいは窓W側に着脱可能に連結され、他方が固定的に連結されるとしても良い。
【0100】
そして、前記したところでは、網戸4が窓枠1と窓Wにおける枠2とに連結されるとしたが、この発明が意図するところからすれば、防虫網41の一端部41aが窓枠1側に連結されるのはともかくとして、防虫網41の他端部41bが窓Wにおける枠2ではなく、ガラス3に連結されるとしても良い。
【0101】
さらに、前記したところでは、網戸4にあって、防虫網41が言わば規則正しく折り畳まれてなるが、伸縮自在とされる限りには、防虫網41が規則正しく折り畳まれていなくても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 窓枠
1a,2a 見付け面
1b 内周面
2 枠
2b 外周面
2c 枢着軸
3 ガラス
4 網戸
5 ベルクロ式ファスナー
11 下方側部
12,13 縦部
21 下框
22 吊元框
23 戸先框
31 ガラス板
41 防虫網
41a 一端部
41b 他端部
41c 山折り線
41d 谷折り線
41e 変換線
42 窓枠側連結手段
43 窓側連結手段
51 一方体
52 他方体
A 空気層
B 躯体
C 車両
C1,H2 屋根
H 住宅
H1 壁
I 屋内
O 屋外
S シール
W 窓
W1,W2 天窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を形作る窓枠と、この窓枠に開放動作可能に設けられて上記開口を開閉する窓と、屋外からの虫の屋内への侵入を阻止する網戸とを有してなる網戸構造において、上記網戸が伸縮自在に形成される防虫網と、この防虫網の一端部に設けられて上記窓枠側への連結を可能にする窓枠側連結手段と、上記防虫網の他端部に設けられて上記窓側への連結を可能にする窓側連結手段とを有してなることを特徴とする網戸構造。
【請求項2】
上記窓枠側連結手段または上記窓側連結手段の一方または両方が上記窓枠側または上記窓側に対する着脱自在な連結を可能にしてなる請求項1に記載の網戸構造。
【請求項3】
上記窓枠側連結手段または上記窓側連結手段の一方または両方が上記一端部または上記他端部に設けられる一方体と、上記窓枠側または上記窓側に設けられる他方体とを有し、上記一方体と上記他方体とが分離可能に連結されてなる請求項1または請求項2に記載の網戸構造。
【請求項4】
上記窓が上記窓枠に開放動作可能に設けられる枠と、この枠に保持されるガラスとを有してなる請求項1,請求項2または請求項3に記載の網戸構造。
【請求項5】
上記窓が住居における壁に形成の開口に設けられ、あるいは、住居における屋根に形成の開口に設けられる天窓とされ、もしくは、車両の屋根に形成の開口に設けられる天窓とされてなる請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載の網戸構造。
【請求項6】
上記窓が、外開き型,内開き型,突出し型,外倒し型,内倒し型,平行押し出し型,辷り出し型のいずれかに形成されてなる請求項1,請求項2,請求項3,請求項4または請求項5に記載の網戸構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−100702(P2013−100702A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246015(P2011−246015)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000101776)アルメタックス株式会社 (22)