説明

網戸装置

【課題】 網戸装置の構造体を最小限に押えつつ、網戸装置の網戸操作かまちの操作が円滑に行え、網目部材の保護を図ることができる網戸装置を提供すること。
【解決手段】 内外障子3、4の各たてかまち30,40がそれぞれ対向するたて枠2、2に配置される網戸収納かまち10と、この網戸収納かまち10と前記障子3、4間に挟まるように配置される網戸操作かまち11と、前記網戸収納かまち10側に収納される共に、前記網戸操作かまち11側に網目部材50の先端51が取付けられた網戸5と、前記たてかまち30,40に対し前記網戸操作かまち11を係着及び係脱自在に操作可能な網戸キャッチ6及び受け7(図2参照)と、前記網戸操作かまち11が前記たてかまち30、40から係脱して網戸操作かまち11を単体で操作可能なときに、前記網戸操作かまち11の操作を規制するロック手段8を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓等に取付けられる網戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から引違い窓の障子とロール式網戸とをユニットとして一体的に組合わされて構成される網戸装置が存在する。
かかる網戸装置は、引違い窓の障子を左右何れか一方に引寄せて開口を形成し、この開口を覆うように網戸操作かまちをスライド操作して網目部材をロール式網戸収納部から繰出して使用されていた。
しかし、網戸操作かまち単体を左右方向に上手にバランスよくスライド操作することは難しく、網目部材を引出して窓の開口を閉じる際に、その操作の途中で網戸操作かまちが窓枠から外れる場合があった。
【0003】
一方、窓の開口に使用されている網戸をロール式網戸収納部に繰入れる場合に、窓枠等に係着されている網戸操作かまちをその係着を解除してロール式網戸の付勢力に任せると、網目部材が綺麗に巻込まれない場合があった。
またロール式網戸の付勢力に任せないまでも、網戸操作かまちをバランスよく、移動させることは難しく、網戸操作かまちが窓枠から外れたりして網戸装置の故障の原因となっていた。
【0004】
上記のような問題点を解決するものとして、特許文献1のサッシを挙げることができる。この文献1のサッシは、引違い障子を片側に寄せたときの開口を障子に内蔵された網戸で塞ぐものであり、障子の戸当り框に取付けられた巻取り装置と、サッシ竪枠側に設けられた網戸戸当り框と、巻取り装置から引き出される網材と、障子上框又は障子下框に引き出可能に収容さている網戸上框及び網戸下框と、網戸上下框に取付けられた、且つ、引き出された網材の上下端を順次に係止するファスナ部材とからなる。前記巻取り装置のカバー部材では、網材の出入口に上下方向にわたって設けられた横断面円弧状部の中間部が網材に当接するような形状に工夫され、網材を張りながら巻取りでき、巻取りをスムーズに行うことができるとされている(段落0009)。
【特許文献1】特開2003−307083
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のサッシにおいては、網戸上框15及び網戸下框19により網戸操作框をスライドさせる構成となっているため、網戸上框15及び網戸下框19が必要であり、また網材の上下端を順次に係止するファスナ部材等が必要となること等、網戸装置の構造が複雑となっている。
【0006】
そこで、本発明は、網戸装置の構造を複雑にせず、網戸装置の網戸操作かまちのスライドが円滑に行え、網目部材の保護を図ることができる網戸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、障子のたてかまちが対向する窓枠に配置される網戸収納かまちと、この網戸収納かまちと前記障子間に配置される網戸操作かまちと、前記網戸収納かまち側に収納されると共に、前記網戸操作かまち側に先端が取付けられた網戸と、前記障子のたてかまちに対し、前記網戸操作かまちを係着及び係脱自在に操作可能な網戸キャッチ及び受けと、前記網戸操作かまちが前記障子のたてかまちから係脱されているときに、前記網戸操作かまちの操作を規制するロック手段を設けたことを特徴とする網戸装置とした(請求項1に記載の発明)。
ここに、「網戸収納かまち」は、窓枠と別体のものと窓枠と一体のものが含まれる。
【0008】
上記発明において、前記ロック手段は、前記網戸操作かまちが前記障子のたてかまちに係着されたときに、前記網戸操作かまちに対する操作規制を解除可能にすることを特徴とする網戸装置とした(請求項2に記載の発明)。
【0009】
上記発明において前記ロック手段は、前記網戸収納かまちに取付けられたラッチ部と、このラッチ部が係止され、且つ、前記網戸操作かまちに形成されるラッチ孔からなることを特徴とする網戸装置とした(請求項3に記載の発明)。
【0010】
上記発明においてラッチ孔に係止されているラッチ部の係止を解除させると共に、スライドする前記網戸操作かまちのガタを防ぐラッチ押下片が設けられていることを特徴とする網戸装置とした(請求項4に記載の発明)。
【0011】
上記発明において網戸はロール式網戸であることを特徴とする網戸装置とした(請求項5に記載の発明)。
【0012】
上記発明において前記網戸操作かまちが前記障子のたてかまちに係着され、且つ、網戸の使用中に、前記網戸操作かまちの操作を規制する一体手段を設けたことを特徴とする網戸装置とした(請求項6に記載の発明)。
【0013】
上記発明において、前記ロック手段と一体手段のそれぞれの動作は、前記障子のたてかまちに対し前記網戸操作かまちを係着及び係脱自在に操作可能な前記網戸キャッチ及び受けの動作に連動されていることを特徴とする網戸装置とした(請求項6に記載の発明)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、障子のみを使用している状態では、前記ロック手段により網戸装置の網戸操作かまちの操作ができなくなる。よって、網戸操作かまち単体の操作による窓枠からの「外れ」を防ぐことができる。また網戸操作かまちの操作が行えず網目部材の繰出し/繰入れが制限されて、網目部材の保護を図ることができる。
また前記ロック手段に加えて、前記一体手段によって、網戸の使用中においても網戸操作かまち単体の操作ができなくなる。よって、網戸操作かまち単体の操作による、網戸操作かまち及び網目部材の不具合の発生が抑制され、網戸装置の故障の発生が抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための実施形態を図面に基いて説明する。
図1(a)はロック手段を備えた網戸装置が取付けられた引違い窓の横断面、同図(b)及び(c)はそれぞれ外障子及び内障子の網戸装置の要部横断面、図2は図1(c)に示した内障子の網戸装置の要部斜視図、図3(a)〜(c)はロック手段の詳細な構成図及び同動作説明図である。
【0016】
図4(a)は一体手段を備えた網戸装置が取付けられた引違い窓の横断面、同図(b)及び(c)はそれぞれ外障子及び内障子の網戸装置の要部横断面、図5は図4(c)に示した内障子の網戸装置の要部斜視面、図6(a)及び(b)は一体手段の詳細な構成図及び同動作説明図である。
【0017】
図7はロック手段及び一体手段を備えた網戸装置の要部斜視図、図8(a)〜(c)は図7に示した網戸装置の動作説明図である。
これらの各図において、同一の構成は同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0018】
図1〜図3に示した網戸装置1は、引違い窓のたて枠2と内外障子3、4の各たてかまち30、40の間に配置されるもので、障子3、4のみの使用中は、網戸収納かまち10から網戸操作かまち11を分離させないロック手段8を備えている。
障子3、4のみを使用している状態では、前記ロック手段8により網戸操作かまち11単体の操作ができなくなり、網戸操作かまち11が窓枠から外れ難たくなる。またロール式網戸(単に網戸とも称する)5の網目部材50の繰出し/繰入れが制限されて、網目部材50の「捩れ」等の発生が防止され、網目部材50の保護を図ることができる。
【0019】
また、図4〜図5に示した網戸装置1Aは、引違い窓のたて枠2と内外障子3、4の各たてかまち30、40の間に配置されるもので、網戸5の使用中は網戸操作かまち11を障子3、4から分離させない一体手段9を備えている。
障子3、4と網戸5を連結させて網戸として使用している状態では、前記一体手段9により網戸操作かまち11を単独に操作できなくなり、網目部材50の繰入れの際の網目部材50の「捩れ」等の発生を防ぐことができる。また網戸5の使用中は網戸操作かまち11と障子3、4が常に一体的に操作されることから、網戸操作かまち11が窓枠から外れることがなく、その円滑な操作が可能となる。
【0020】
また、図7〜図8に示した網戸装置1Bは、ロック手段8と一体手段9を統合させたもので、前記ロック手段8及び一体手段9により、障子3、4のみの使用の際にも、また障子3、4と網戸5を連結させて網戸として使用している際にも、網戸操作かまち11の単体での動作が制約される。よって、網戸操作かまち11や網目部材50の上述の不具合の発生を抑えことができ、網戸装置の維持管理を容易にすることができる。
【0021】
前記網戸装置1は、図1(a)〜(c)に示したように、内外障子3、4の各たてかまち30,40がそれぞれ対向するたて枠2、2に配置される網戸収納かまち10と、この網戸収納かまち10と前記障子3、4間に挟まるように配置される網戸操作かまち11と、前記網戸収納かまち10側に収納される共に、前記網戸操作かまち11側に網目部材50の先端51が取付けられた網戸5と、前記たてかまち30,40に対し前記網戸操作かまち11を係着及び係脱自在に操作可能な網戸キャッチ6及び受け7(図2参照)と、前記網戸操作かまち11が前記たてかまち30、40から係脱して網戸操作かまち11を単体で操作可能なときに、前記網戸操作かまち11の操作を規制する一方、前記網戸操作かまち11と前記たてかまち10との係着に連動させて前記網戸操作かまち11に対する操作規制を解除可能にするロック手段8から構成されている。
以下に、これらの構成を詳細に説明するが、内外障子3、4にそれぞれ配置されている網戸装置1は略同一であることから、内障子4側に取付けられる網戸装置1の構成を中心に説明する。
【0022】
前記網戸収納かまち10は、窓枠のたて枠2に固定されるもので、その長さ寸法は前記たて枠2に略等しく、図2のように全体形状は中空の略4角柱状に成形されている。
この網戸収納かまち10は、網戸5を収容する中空部100と、網戸5の網目部材50の繰入れと繰出しが行われる縦長の開口101と、前記ロック手段8を構成するラッチ部80が取付けられるラッチ部取付ヒレ102を備えている。
この実施形態の網戸収納かまち10は窓枠のたて枠2とは別体のものであるが、前記たて枠2と一体のものでもよい。
【0023】
前記網戸操作かまち11は、図1(a)及び図1(c)に図示されている如く前記網戸収納かまち10の縦長開口101を塞ぐように隣接して配置されるもので、その長さ寸法は前記網戸収納かまち10に略等しく、その上下端は前記窓枠の上下枠(図示せず)にのみ込まれる寸法で成形されている。
この網戸操作かまち11はその横断面形状が略逆S字状に成形されており、網戸5の先端51を折返して取付ける折返凹部110と次のような各部を取付けることができる取付凹部111を備えている。
即ち、図2に示されているように、取付凹部111には前記網戸キャッチ6と対になる受け7が取付けられ、前記ラッチ部80が係止されるラッチ孔82が形成されている。
【0024】
前記網戸収納かまち10の中空部100に収容される網戸5は、図1(c)のように中空部100に回転可能に取付けられる回転軸52と、この回転軸52に巻取られる網目部材50と、この網目部材50の巻取方向に前記回転軸52を付勢する付勢手段(図示せず)を備えている。
前記網目部材50の先端51は上述のとおり前記折返凹部110に取付けられており、前記網戸操作かまち11を操作することで、網目部材50はその付勢力に抗して引き出し可能であるが、前記ロック手段8によりその操作が制限されている。
なお、網戸5はこの実施形態のようにロール式網戸のほか、プリーツ状に折畳まれているものでもよい。
【0025】
前記網戸キャッチ6及び受け7は、障子4のみを使用する場合と障子4と網戸5を連結させて網戸として使用する場合とを切り替えるスイッチとなるものである。
前記網戸キャッチ6は、図2に示したように、室内外から上下方向にスライド操作ができるキャッチレバー60と、このキャッチレバー60のスライド力が伝達されるキャッチ本体61と、このキャッチ本体61に連動される連動棹62と、この連動棹62に取付けられるラッチ押下片63及びカマ64からなる。該カマ64は、図2に示したように連動棹62の3箇所に取付けられているが、これに限定されるものではなく、少なくとも1箇所に取付ければよい。
前記ラッチ押下片63は、前記ロック手段8による網戸操作かまち11に対する操作規制を解除可能にするものであり、また前記ラッチ押下片63の形状は、略台形状であって網戸操作かまち11の取付凹部111に対する凸部となっていて、網戸操作かまち11に対するガタ止めの役割を果たしている(それぞれ詳細は後述する)。
【0026】
前記受け7は、前記キャッチレバー60のスライド操作により前記カマ64を係着させたり、係脱させるもので、図2のように前記カマ64に対応する位置の前記網戸操作かまち11に取付けられている。
【0027】
以上の構成において、前記網戸操作かまち11と網戸収納かまち10とが略当接された状態(障子4を閉鎖した状態)で、前記キャッチレバー60を下方にスライドさせる(以下、網戸オン操作という)。その結果、前記受け7の開口70に入り込んでいた前記カマ64のフックが前記開口70の下辺71に係り着けられる状態となり、前記網戸操作かまち11が前記たてかまち40に係着され、障子4と網戸5が連結されて網戸5として使用できる。
一方、前記網戸操作かまち11と網戸収納かまち10とが略当接された状態(障子4を閉鎖した状態)で、前記キャッチレバー60を上方にスライドさせる(以下、網戸オフ操作という)。その結果、前記カマ64のフックが前記受け7の下辺71から係りが脱せられる状態となり、前記網戸操作かまち11が前記たてかまち40から係脱され、障子4のみの使用可能状態となる。
【0028】
前記ロック手段8は、網戸オフ操作の状態のもとで、網戸収納かまち10に対し網戸操作かまち11を施錠状態にして操作できなくするもので、図2の図示のように前記ラッチ部80と、このラッチ部80が係止され、且つ、前記網戸操作かまち11に形成されるラッチ孔82から構成されている。
【0029】
図3(a)〜(c)に基づいて前記ロック手段8の構成及びその作用を詳細に説明する。
図3(a)のように、前記ラッチ部80は、ラッチ81とこのラッチ81を常時上方向に付勢するバネ83と、ラッチ81を上下方向にスライド自在に、バネ83を上下方向に伸縮自在に組み込む筐体84と、この筐体84を前記ラッチ部取付ヒレ102に取りける背板85からなる。
前記ラッチ孔82は、ラッチ81が下方に沈まされた状態のラッチ部80が収まるサイズに形成された開口であって、その開口の下辺820(図2参照)が筐体84の底辺に略一致した位置に、その開口の上辺821(図2参照)が筐体84の上辺より若干上方の位置に形成されている。
【0030】
前記網戸オフ操作により、前記キャッチレバー60を上方にスライドし、障子4を開放する状態では、図3(a)のように、ラッチ孔82の開口からたてかまち40側に臨まされたラッチ81は、ラッチ孔82の開口の上辺821から上方に付勢されており、網戸操作かまち11が前記網戸収納かまち10に施錠されている。
前記網戸オフ操作によって前記連結棹62が上方にスライドされているので、障子4の開閉により前記ラッチ押下片63が前記ラッチ部80に影響を与えないように位置されている。
従って、障子4が開放されている際の不用意な網戸操作かまち11の単体での操作が規制され、網戸操作かまち11の窓枠からの外れを防ぐことができる。また、網戸操作かまち11の無理な操作による網目部材50の繰出し/繰入れに伴う「捩れ」等の発生を防止することができる。
【0031】
一方、前記網戸オン操作で、前記キャッチレバー60を下方にスライドすると、図3(b)に図示される如く、前記ラッチ押下片63が前記ラッチ部80のラッチ81をその付勢力に抗するように押下げる。そしてラッチ81が下方に沈むと、ラッチ孔82の開口からラッチ部80が引抜き可能になる。
そのまま障子4をスライドさせると、図3(c)のごとくラッチ部80がラッチ孔82から抜け、障子4をさらに開けば網戸5が障子4に連れて行かれることとなる。
よって、前記網戸オン操作に連動させて、前記網戸操作かまち11に対する操作規制を解除可能にすることができる。
【0032】
なお、ラッチ部80がラッチ孔82から抜けた段階で前記ラッチ81が付勢復帰されるものの、前記網戸オン操作中であれば、前記ラッチ押下片63がラッチ81に当接するごとにラッチ81を押下げるので、ロック手段8は動作しない。
よって、操作者は、前記網戸オン操作を維持することで、障子4の開閉により網目部材50の繰出し繰入を快適に行うことができる。
【0033】
上記実施形態の網戸装置1は引き違い窓に用いられているが片引き窓、その他の窓に用いてもよい。また窓に限られず、障子等の開閉部材に連結させることができれば、どのような形態の開口部にも利用することができる。
【0034】
上記網戸装置1の作用効果を纏めると次のようである。
a. ロック手段8により網戸操作かまち11が網戸収納かまち10に施錠されるので、障子4のみの使用中は不用意な網目部材50の繰出/繰入が行えず、網戸操作かまち11のスライドの不具合や網目部材50の捩れや捩れ状態のままの網目部材50の繰出/繰入を避けることができ、網戸装置1の故障の発生を押えることができる。
b. 前記ロック手段8による施錠は、前記網戸オフ操作で行うことができ、一方、前記ロック手段8に対する解除は、前記網戸オン操作で行うことができるので、網戸装置1の操作方法が明確となり網戸の取扱いが容易となっている。
c. 網戸操作かまち11が網戸収納かまち10に施錠されているときには、上記aの作用効果に加え、前記ロック手段8により、網戸操作かまち11のガタツキを防止できる。
d. 一方、網戸操作かまち11の施錠が解除されていても、障子4と共とにスライドする網戸操作かまち11の取付凹部111には前記ラッチ押下片63が嵌め込まれているので(図3(c)参照)、前記ラッチ押下片63が網戸操作かまち11のガタツキ防止として作用する。よって、さらに網戸5の円滑な操作が可能となる。
e. 前記ロック手段8のオン/オフは、網戸オン/オフ操作による連動棹62の上げ下げに連動されるので、複雑な操作は不要である。
f. 網戸オン操作により網戸操作かまち11が障子4と共にスライドするので、網戸操作かまち11が窓枠から脱線することがなくなる。
g. 網戸操作かまち11の単体での操作を制限するだけであるので、網戸装置の構成を複雑にする必要がない。
【0035】
次に、一体手段9を備えた網戸装置1Aの構成例を説明する。
図4(a)〜(c)に示した網戸装置1Aは、前記網戸装置1に共通する構成として、内外障子3、4の各たてかまち2に配置される網戸収納かまち10と、操作かまち11と、網戸5と、網戸キャッチ6及び受け7を備える。そして前記網戸操作かまち11が前記たてかまち40に係着され、且つ、網戸5が使用されているときに、前記網戸操作かまち11の操作を規制する一体手段9を備えている。
以下に、前記網戸装置1に共通する構成については、詳細な説明を省略すると共に、内外障子3、4にそれぞれ配置されている一体手段9は略同一であることから、内障子4側に取付けられる一体手段9の構成を中心に説明する。
【0036】
図5のように、前記一体手段9は前記網戸操作かまち11の取付凹部111に取付けられたトリガー部90及びトリガー部90を構成するトリガー91の後部が出没する後部出没孔900と、前記網戸キャッチ6の連動棹62に形成され、且つ、トリガー91の先部が出没可能な先部出没孔901から構成されている。
【0037】
図6(a)及び(b)に基づいて前記一体手段9の構成を詳細に説明すると共に、その作用も説明する。
図6(a)のように、トリガー部90は、トリガー91とこのトリガー91を回転可能に取付ける軸92と、この軸92に対して図面上、常時時計回りにトリガー91の回転を附勢するバネ93と、その回転を規制するストッパー94と、これらを組み込むと共に、ストッパー94に規制されたトリガー91の後部を網戸収納かまち10側に臨ませる前記後部出没孔900を設けたボックス95と、このボックス95を前記取付凹部111に取りける板部96からなる。
【0038】
前記トリガー91は、ストッパー94に当接される第1片910と、先部に相当する第2片911と、第1片910がストッパー94に当接されるときに、前記後部出没孔900に入り込む後部に相当する第3片912からなる。
【0039】
かかる一体手段9の動作例を図6(a)及び図6(b)に基づいて説明する。
前記網戸オン操作で、前記キャッチレバー60を下方にスライドさせて、障子4及び網戸5をスライドさせると、図6(a)に図示される如く、バネ93の付勢力により、トリガー91がストッパー94に規制されるまで時計回りに回転する。
【0040】
その結果、図6(b)の如く、トリガー91の第2片911が前記連結棹62の先部出没孔901に入り込み、その第2片911の平坦面911aが前記先部出没孔901の開口の下片901aに略当接して連結棹62の上方へのスライドを規制することになる。そして前記キャッチレバー60の上方へのスライド操作が規制され、前記網戸操作かまち11が前記たてかまち40に係着される状態が維持され、網戸5の使用中は網戸操作かまち11を障子4から分離させないようになっている。
従って、網戸使用中は網戸操作かまち11の単体の使用が規制され、網目部材50の繰入れの際の網目部材50の「捩れ」等の発生を防ぐことができる。また網戸5の使用中は網戸操作かまち11と障子3、4が常に一体的に操作されることから、網戸操作かまち11が窓枠から外れることがなく、その円滑な操作が可能となる。
特に、前記キャッチレバー60の不用意な操作により、網戸操作かまち11が網戸5の付勢力のままバランスが崩れた状態で網戸収納かまち10側に引寄せられるようなことが避けられる。
【0041】
前記障子4と網戸5の一体関係を解除するには、網戸操作かまち11を前記網戸収納かまち10に略当接させる、即ち、障子4を閉鎖した状態にする。網戸操作かまち11を前記網戸収納かまち10に略当接されると、トリガー91の第3片912が網戸収納かまち10のパッド片85に当接され、トリガー91がバネ93の付勢力に抗して反時計回りに回転させられ、一方、第2片911は、先部出没孔901から排除される(図6(a)参照)。その結果、前記網戸操作かまち11の操作規制が解除される。
なお、この状態は、前記網戸操作かまち11が前記たてかまち40に係着又は係脱可能な状態でもある。
【0042】
この状態から、障子4のみを開閉させる場合には、網戸オフ操作を行う。この操作で、連結棹62が上方にスライドされると共に、先部出没孔901も上方に位置され、トリガー91の第2片911は、常時、先部出没孔901から排除される。よって、前記網戸操作かまち11が前記たてかまち40から係脱されたときに、前記網戸操作かまち11の操作規制が禁止され、前記障子4と網戸5の一体関係の解除状態が維持され、障子4のみを開閉させることができる。
【0043】
上記網戸装置1Aの作用効果を纏めると次のようである。
a. 網戸5の使用中は、一体手段9により前記キャッチレバー60の上方へのスライド操作が規制され、網戸操作かまち11を障子4から分離させないようになっており、網戸操作かまち11単体での操作が規制される。よって前記キャッチレバー60の不用意な操作により、網戸操作かまち11が網戸5の付勢力のままバランスが崩れた状態で網戸収納かまち10側に引寄せられるようなことが避けられる。また、網戸5の付勢力のまま、網目部材50が繰入られることがなくなり網目部材50の「捩れ」等の発生を防ぐことができる。
b. 前記一体手段9のオン/オフは、網戸オン/オフ操作による連動棹62の上げ下げに連動されるので、複雑な操作は不要である。
c. 網戸操作かまち11にトリガー部90を配置するだけであるので、網戸装置の構成体を変更する必要がない。
【0044】
次に図7のように、前記ロック手段8を備えた網戸装置1に前記一体手段9を統合させて網戸装置1Bを構成してもよい。
即ち、前記網戸装置1の網戸操作かまち11にトリガー部90を、その連動棹62に先部出没孔901を、その網戸操作かまち11に後部出没孔900を設ける。
各構成の詳細は、網戸装置1及び網戸装置1Aと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
前記ロック手段8及び一体手段9を統合させた場合の網戸装置1Bの作用は図8(a)〜(c)に図示されている通りである。
「障子のみの使用」
障子4のみを使用する場合には、網戸オフ操作で障子4を開閉すればよい。
この障子4の使用状態においては、図8(a)のように、ラッチ部80がラッチ孔82に係止され、よって、網戸操作かまち11が前記網戸収納かまち10に施錠された状態となっている。
この施錠状態においては、トリガー部90のトリガー91の第3片912が網戸収納かまち10に当接され、トリガー91の第2片911が取付凹部111に納まっている。よって障子4の動作と一体手段9とは無関係となっている。
同時に、前記キャッチレバー60の網戸オフ操作で前記ラッチ押下片63が前記ロック手段8に影響を与えないように、上方に位置されている。
【0046】
「障子及び網戸の使用」
網戸オン操作の後に障子4を開閉すればよい。
網戸オン操作により、図8(b)に図示される如く、前記ラッチ押下片63が前記ラッチ部80のラッチ81をその付勢力に抗するように押下げるとラッチ81が下方に沈み、ラッチ孔82の開口からラッチ部80が解除可能になる。
この時点では、一体手段9は動作していないが、障子4を徐徐に開放するに従い、トリガー部90のバネ93の付勢力により図8(c)のように、トリガー91の第2片911が前記連結棹62の先部出没孔901に入り込んでいく状態となる。その結果、第2片911の平坦面911a及びストッパー92が前記連結棹62の上方へのスライドを規制することとなる。
「障子のみの使用中に網戸の使用に変更する場合」
一旦、障子4を閉じて、網戸オン操作を行う。この操作に連動して、網戸操作かまち11が前記網戸収納かまち10から解錠されると共に一体手段9のトリガー91の第2片911が前記連結棹62の先部出没孔901に入り込んでいく準備が完了する。よって網戸オン操作の後、障子4を開閉すればよい。
「網戸の使用中に障子のみの使用に変更する場合」
一旦、障子4及び網戸5を閉じて、網戸オフ操作を行う。この操作に連動して、網戸操作かまち11が前記網戸収納かまち10に施錠されると共に、一体手段9のトリガー91の第2片911が前記連結棹62の先部出没孔901に入り込んでいくことが禁止される。よって網戸オフ操作の後、障子4を開閉すればよい。
即ち、前記ロック手段8と一体手段9のそれぞれの動作は、前記たてかまち40に対し前記網戸操作かまち11を係着及び係脱自在に操作可能な前記網戸キャッチ6及び受け7の動作に連動されている。
【0047】
上記網戸装置1及び1Aの効果に加え、網戸装置の1Bの作用効果を纏めると次のようである。
a. 前記ロック手段8及び一体手段9により、網戸操作かまちの単独動作を制約することで網戸5が障子4と常に一体的に作動することなり、網戸装置の保護を図ることができる。
即ち、網戸操作かまち11が窓枠から脱線することなく、また網目部材50の保護を図ることができる。
b. 前記ロック手段8と一体手段9のそれぞれのオン/オフは、網戸オン/オフ操作による連動棹62の上げ下げに連動されるので、複雑な操作は不要である。
c. 障子4のみの使用中に網戸5の使用へ変更する場合、また網戸5の使用中に障子4のみの使用に変更する場合、一旦、障子4を閉鎖させることとする。
即ち、障子4のみの使用中での網戸操作かまち11単体の操作による網目部材の繰出し及び網戸5の使用中での網戸操作かまち11単体の操作による網目部材の繰入をできないようにして、網戸操作かまち11、網目部材50等の網戸装置の保護を徹底している。
d. 網戸装置の基本的な構成体の数を増やすことなく、その構成体を加工することで、網戸装置の維持管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a) ロック手段を備えた網戸装置が取付けられた引違い窓の横断面、(b)及び(c) それぞれ外障子及び内障子の網戸装置の要部横断面、
【図2】図1(c)に示した内障子の網戸装置の要部斜視面、
【図3】(a)〜(c) ロック手段の詳細な構成図及び同作用動作説明図、
【図4】(a) 一体手段を備えた網戸装置が取付けられた引違い窓の横断面、(b)及び(c) それぞれ外障子及び内障子の網戸装置の要部横断面、
【図5】図4(c)に示した内障子の網戸装置の要部斜視面、
【図6】(a)及び(b) 一体手段の詳細な構成図及び同作用動作説明図、
【図7】ロック手段及び一体手段を備えた網戸装置の要部斜視図、
【図8】(a)〜(c) 図7に示した網戸装置の作用説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 1A 1B 網戸装置

2 たて枠
3、4 内外障子 30、40 たてかまち

5 網戸 50 網目部材
51 先端 52 回転軸

6 網戸キャッチ 60 キャッチレバー
61 キャッチ本体 62 連動棹
63 ラッチ押下片 64 カマ

7 受け 71 下辺

8 ロック手段 80 ラッチ部
81 ラッチ 82 ラッチ孔
83 バネ 84 筐体
85 背板 820 下辺
821 上辺

9 一体手段 90 トリガー部
91 トリガー 900 後部出没孔
901 先部出没孔 92 軸
93 バネ 94 ストッパー
95 ボックス 96 板部
910 第1片 911 第2片
912 第3片
911a 第2片の平坦面 901a 下片9

10 網戸収納かまち 100 中空部
101 縦長の開口 102 ラッチ部取付ヒレ

11 網戸操作かまち 110 折返凹部
111 取付凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子のたてかまちが対向する窓枠に配置される網戸収納かまちと、
この網戸収納かまちと前記障子間に配置される網戸操作かまちと、
前記網戸収納かまち側に収納されると共に、前記網戸操作かまち側に網目部材の先端が取付けられた網戸と、
前記障子のたてかまちに対し、前記網戸操作かまちを係着及び係脱自在に操作可能な網戸キャッチ及び受けと、
前記網戸操作かまちが前記たてかまちから係脱されているときに、前記網戸操作かまちの操作を規制するロック手段を設けたことを特徴とする網戸装置。
【請求項2】
前記ロック手段は、前記網戸操作かまちが前記たてかまちに係着されたときに、前記網戸操作かまちに対する操作規制を解除可能にすることを特徴とする請求項1に記載の網戸装置。
【請求項3】
前記ロック手段は、前記網戸収納かまちに取付けられたラッチ部と、このラッチ部が係止され、且つ、前記網戸操作かまちに形成されるラッチ孔からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の網戸装置。
【請求項4】
ラッチ孔に係止されているラッチ部の係止を解除させると共に、スライドする前記網戸操作かまちのガタを防ぐラッチ押下片が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の網戸装置。
【請求項5】
前記網戸はロール式網戸からなることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の網戸装置。
【請求項6】
前記網戸操作かまちが前記たてかまちに係着され、且つ、網戸の使用中に、前記網戸操作かまちの操作を規制する一体手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の網戸装置。
【請求項7】
前記ロック手段と一体手段のそれぞれの動作は、前記たてかまちに対し前記網戸操作かまちを係着及び係脱自在に操作可能な前記網戸キャッチ及び受けの動作に連動されていることを特徴とする請求項6に記載の網戸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−185457(P2009−185457A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23669(P2008−23669)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)