説明

網戸装置

【課題】 網目部材やレールに複雑な構成が要求されることなく防虫効果が発揮され、メンテナンス等も容易に行うことができ、また網目部材に負荷を掛けることがなくその柔軟性を利用し、さらに網目部材の開閉と障子の開閉が連動して使い勝手が良い網戸装置を提供すること。
【解決手段】 内外障子2、3の各障子かまち20、30に対向する窓枠4の対向面40に配置される網戸収納部としての網戸収納ケース5、5と、このケース5、5と前記各障子かまち20、30間に配置され、且つ、前記各障子かまち20、30の移動に追随可能な移動かまち6、6と、前記網戸収納ケース5、5に収納され、且つ、前記移動かまち6、6に先端側が取付けられた網目部材7と、図5に示したように、前記網目部材7が開幕された場合に、その網目部材7の上下端70、71に対向しつつ、窓枠4の上下枠43、44間の隙間Gを塞ぐことができる虫除け材9を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓等に取付けられる網戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
網目部材が網戸収納ケース内の回転軸に取付けられ、その先端が移動かまちに取付けられ、常時、閉幕される方向に付勢されてなるロール網戸は、従来から知られている。
このロール網戸の課題の1つに、防虫問題がある。即ち、ロール網戸においては、その構造に由来して網目部材の上下端と窓枠の上下枠の間に隙間が存在するため、この隙間から虫等が室内に入り込み易く、防虫性に劣るという問題があった。
このような防虫問題を解決するための1つの技術的構成が特許文献1に開示されている。
この特許文献1の「ロール網戸の網体吸着構造」では、網目部材の上下端の側面に複数の磁性薄板が適宜間隔にて配設され、一方、窓枠のレール片の側面に磁石帯板が連続して張着されている。そして、前記網目部材を収納する収納ケースの摺動に伴って、ケース開口部からケース外へ引き出された網目部材が前記磁石帯板に吸着自在としてなり、防虫効果が発揮される。
【特許文献1】特開2002−322885
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載されたロール網戸については、次のようなデメリットを指摘することができる。
【0004】
まず第1に、防虫効果を得るための構成が複雑で、製造及びメンテナンス等のコストが高くなることが想定される。
第2に、上記磁性薄板は、網目部材に対し複数個を配設しているため、風によって網目部材の端部がバタツクこともなく、仮に外れても再吸着力が生じる効果があるとされているが、逆に風圧に対し網目部材を柔軟にかわすことができず、網目部材を破損させるおそれがある。
第3に、網目部材の開閉と障子の開閉が別々であるため、使い勝手に問題がある。
【0005】
そこで、本願発明は、上記課題を解決するためになされたもので、網目部材やレールに複雑な構成が要求されることなく防虫効果が発揮され、メンテナンス等も容易に行うことができ、また網目部材に負荷を掛けることがなくその柔軟性を利用し、対風圧対策とし、さらに網目部材の開閉と障子の開閉が連動して使い勝手が良い網戸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、障子かまちに対向する窓枠に配置される網戸収納部と、前記網戸収納部と前記障子かまち間に配置される移動かまちと、前記網戸収納部に収納され、且つ、前記移動かまちに先端側が取付けられた網目部材と、前記網戸部材が開幕される場合に、その上下端と窓枠の上下枠間の隙間を塞ぐことができる虫除け材を備えたことを特徴とする網戸装置とした(請求項1の発明)。
【0007】
前記窓枠の上下枠間に形成される隙間は、網戸収納部の取付けや、取外しに必要なもので、虫除け材を設けることにより、メンテナンス等の必要性を満たしつつ、防虫効果を発揮させることができる。
【0008】
前記網目部材の上下端は、前記虫除け材に対向されることを特徴とする網戸装置とした(請求項2の発明)。
【0009】
前記網目部材の上下端は、前記虫除け材に対向されるので、防虫効果と共に、移動かまちの走行が円滑に行える。
【0010】
また、前記網目部材の上下端は、窓枠の上下レールと窓枠の気密材取付ヒレ間に位置されることを特徴とする網戸装置とした(請求項3の発明)。
【0011】
前記網目部材の上下端は、窓枠の上下レールと窓枠の気密材取付ヒレ間に位置されるので、防虫効果と共に、室内外側からの強い風圧に対しては網目部材が柔軟に対応し、その上下端が捲れて上下レール等を乗り越えることを防止することができる。よって、網目部材の上下端が上下レール等に引っ掛かった状態でその開閉幕を行うことを避けることができ、網目部材の破損等を防ぐことができる。
【0012】
前記移動かまちは、前記障子かまちの移動に追随可能であることを特徴とする網戸装置とした(請求項4の発明)。
防虫効果、対風圧効果に優れ、且つ使い勝手の良い網戸装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、虫除け材を上下枠に沿って配置することで、網目部材やレールに複雑な構成が要求されることなく防虫効果が発揮され、メンテナンス等も容易に行うことができ、また風圧に対して網目部材に負荷を掛けることがなくその柔軟性を利用して対風圧対策を施すことができ、さらに網目部材の開閉と障子の開閉が連動して使い勝手が良い網戸装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る網戸装置の実施形態を図面に基いて説明する。
図1〜図3はそれぞれ網戸装置を取付けたテラスタイプ窓の正面図であって、図1は障子閉鎖状態の正面図、図2は外障子を開放した換気状態の正面図、図3は内障子を開放した換気状態の正面図である。
図4は図1に対応する横断面図、図5は同縦断面図である。
図6は図5に示した上レールの虫除け材の拡大断面図、図7は図5に示した下レールの虫除け材の拡大断面図である。
これらの各図及び後述の各図において、同一の構成は同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0015】
前記網戸装置1は、図1〜図3に示したようにテラスタイプの窓に設置されているもので、図4に示したように、内外障子2、3の各障子かまち20、30に対向する窓枠4の対向面40に配置される網戸収納部としての網戸収納ケース5、5と、このケース5、5と前記各障子かまち20、30間に配置され、且つ、前記各障子かまち20、30の移動に追随する移動かまち6、6と、前記網戸収納ケース5、5に収納され、且つ、前記移動かまち6、6に先端側が取付けられた網目部材7と、図5に示したように、前記網目部材7が開幕された場合に、その網目部材7の上下端70、71に対向しつつ、窓枠4の上下枠43、44間の隙間Gを塞ぐことができる虫除け材9を備えている。
なお、前記網戸装置1は、後述の図10等に示したように、前記各障子かまち20、30に対し、前記移動かまち6、6を着脱自在に操作可能な網戸キャッチ8及び受け8Aを設けて構成されている。
前記内外障子2、3及びこれらに配置されている各網戸装置1は略同一の構成であるので、主に外障子3の網戸装置1の構成例を説明する。
【0016】
前記網戸収納ケース5は、図5のように、ケースの上端52が窓枠4の上枠43に対向するように、下端53が窓枠4の下枠44に接する長尺状のものである。詳細図示は省略するが、ケース内に、基端が回転軸に取付けられその先端が前記移動かまち6に取付けられ、且つ閉幕される方向に常時付勢される網目部材7を収納している。かかる網目部材7は、前記移動かまち6をスライドさせることにより前記ケース5の出没口501から開幕及び閉幕可能になっている。
【0017】
前記移動かまち6は、図5のように、その上下端が前記網戸収納ケース5より若干短い長尺状のもので、図4のように網目部材7の先端をプレート72により折曲げて取付けることができる取付部600を備え、上下レール41、42を走行可能に構成されている。
なお、前記移動かまち6が障子かまち30に対向する框対向部602には、障子かまち30側の網戸キャッチ8の鎌を受ける受け8A(図10参照)が複数箇所に設けられている。
そして、上記構成の移動かまち6と網戸収納ケース5とが当接する場合には、移動かまち6が前記網戸収納ケース5の出没口501を略塞ぐようになっている。
また、障子かまち30の網戸キャッチ8と移動かまち6の受け8Aが係合している場合には、移動かまち6が外障子3の開閉に追随して移動するようになっている。
【0018】
前記虫除け材9は、網目部材7が開幕された場合に、その網目部材7の上下端70、71と窓枠4の上下枠43、44間に形成される隙間G(図5等参照)を塞ぐことができるもので、上下枠43、44に沿って配置される長尺状の部材である。
この隙間Gは、網戸収納ケース5を窓枠4の対向面40に取付けたり、取外す場合に必要な間隙である。
前記網目部材7の上端70と窓枠4の上枠43間の隙間Gを塞ぐ虫除け材9は、図6に図示されているように、上枠43の取付溝430に圧入される圧入部90と、網目部材7の上端70に向って下方に対向する下対向部91からなり、この下対向部91の先端は形状を安定させるために略円筒状に形成されている。
実施形態の虫除け材9はゴムまたは合成樹脂にて、且つ圧入部90の硬度が高く、一方下対向部91の硬度が低い2色成形により形成されているが、硬度が同じものでも防虫効果は変わらない。
【0019】
前記虫除け材9の下対向部91の先端と対向する前記網目部材7の上端70間には隙間gが形成されているが、この隙間gは前記網目部材7の上端70が下対向部91の先端を擦らないようすると共に、前記移動かまち6の走行を円滑に行えるようにするもので、虫等の室内への侵入が困難な幅、例えば約1.5mmとなっている。
【0020】
前記虫除け材9は、上枠43に沿って配置されているが、その具体的な位置は、開閉幕される前記網目部材7の上端70の位置に対応させる。
この実施形態では、前記網目部材7の上端70が前記上レール41と前記気密材取付ヒレ48間で開閉幕させるようしている。これは、室外側からの強い風圧(正圧)に対して、網目部材7の上端70が前記上レール41を乗り越えて捲れることを避けるためである。よって網目部材7の上端70が前記上レール41に捲れたまま開閉幕されることもなく、網目部材7の保護を図ることができる。一方、室内側からの風圧(負圧)に対して、網目部材7の上端70は上レール41の側面に当ることで柔軟に対応させることができる。
このような風圧対策と虫除け材9による防虫対策を両立させるため、虫除け材9も上レール41と窓枠4の気密材取付ヒレ48間に、前記網目部材7の上端70と突合せつつ、略鉛直線上に配置されている。
【0021】
なお、内障子2用の網目部材7の上端70は、前記上レール41の室内側面に近接され、一方、外障子3用の網目部材7の上端70は、より気密材取付ヒレ48に近づいて位置されている。
【0022】
前記網目部材7の下端71と窓枠4の下枠44間の隙間Gを塞ぐ虫除け材9は、図7に図示されているように、下枠44の取付溝430に圧入される圧入部90と、網目部材7の下端71向って上方に対向する上対向部92からなり、この上対向部92の先端は略円筒状に形成され、その強度が補完されている。この他の構成及び効果は、前記虫除け材9の構成及び効果と同様である。
【0023】
また図8及び図9に図示したように、虫除け材9の下対向部91と上対向部92をそれぞれ複数本にしてもよい。
この場合、風圧による前記網目部材7の上下端70、71の移動変位に、複数本の下対向部91と上対向部92が対処できるため、風圧対策と虫除け材9による防虫対策を効果的に両立させることができる。
なお、風圧対策と虫除け材9による防虫対策を効果的に両立させるため、虫除け材9と開閉幕される前記網目部材7の上下端70、71の位置を、図面上左右に移動させつつ、複数本の下対向部91と上対向部92の内、最も適切な下対向部91と上対向部92を選択して調整してもよい。
【0024】
前記網戸キャッチ8は、図10及び図11に図示したように、内外の操作レバー80、81と、それらの脚部800、810に固定されたキャッチ本体82と、この本体82に連結された連動プレート83と、この連動プレート83に固定された鎌84と、連動プレート83の昇降をガイドする連動プレートガイド85からなる。前記連動プレート83には図示されていない他の鎌が固定され、前記内外の操作レバー80、81の昇降動作に連動して上下の鎌84等が昇降され、前記受け8A、8Aと鎌84等との係合操作がされるようになっている。なお、前記網戸キャッチ8の鎌84及び前記受け8Aは、前記上下レール41、42が形成する平面内に略位置している。
【0025】
以上のように構成された網戸装置1では、次のように効果を奏する。
1.前記隙間G(図5参照)が形成されているので、カセット式の網戸収納ケース5の着脱等が容易に行えてメンテナンス等の必要性を満たしつつ、虫除け材9により前記隙間Gを塞ぐことができるので、防虫効果が発揮される。
2.開閉幕される前記網目部材7の上下端70、71は、前記上下レール41、42と前記気密材取付ヒレ48間に位置されるので、室外側からの強い風圧に対して、網目部材7の上下端70、71が前記上下レール41、42を乗り越えて捲れることもなく、また気密材取付ヒレ48の室外側側面に接することとなる。よって網目部材7の上下端70、71が前記上下レール41、42に捲れたまま開閉幕されることもなく、その保護を図ることができる。
3.一方、室内側からの風圧に対して、網目部材7の上下端70、71が前記上下レール41、42に接するように柔軟に対応させることができ、その保護を図ることができる。
4.虫除け材9の下対向部91と上対向部92が網目部材7の上下端70、71に突き合さる位置にあるので、防虫効果及び対風圧対策とすることができる。
5.虫除け材9の下対向部91と上対向部92をそれぞれ複数本にした場合には、風圧による前記網目部材7の上下端70、71の移動変位に、複数本の上対向部91と下対向部91が対処できるため、風圧対策と虫除け材9による防虫対策をより効果的に両立させることができる
6.前記網戸キャッチ8と受け8Aは、通常は係合状態が維持されているので、使い勝手が良い網戸装置となっている。
【0026】
上記実施形態は、テラスタイプの窓について使用する網戸装置の構成例を説明したが窓の構成はスライディング形式であればどのようなものでよい。例えば片引きタイプの窓でもよい。その他、窓に限定されるものでもなく、玄関等の建物の開口部にも取付けることができる。
前記障子かまちに対向する窓枠に配置される網戸収納部は、カセット式のように窓枠と別体のものでもよし、窓枠と一体のものでもよい。
前記移動かまちは障子かまちの移動に追随可能であって、移動かまちのみを走行させてもよい。
前記網戸装置は、ロール網戸には限定されず、その他、プリーツ状の網目部材のものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】網戸装置を取付けたテラスタイプ窓の正面図、
【図2】外障子を開放した換気状態の正面図、
【図3】内障子を開放した換気状態の正面図、
【図4】図1に対応する横断面図、
【図5】同縦断面図、
【図6】虫除け材の詳細な説明図、
【図7】同詳細な説明図、
【図8】別例の虫除け材の詳細な説明図、
【図9】同詳細な説明図、
【図10】網戸装置を構成する網戸キャッチとその受けの断面図、
【図11】同網戸キャッチの要部断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 網戸装置 2、3 内外障子
20、30 障子かまち 4 窓枠
5 網戸収納ケース 6 移動かまち
7 網目部材 8 網戸キャッチ
9 虫除け材

40 対向面
41、42 上下レール 43、44 上下枠
48 気密材取付ヒレ
430 取付溝
501 出没口

600 取付部 602 框対向部

70、71 網目部材の上下端
72 プレート

80、81 内外の操作レバー
800、810 脚部 82 キャッチ本体
83 連動プレート 84 鎌
85 連動プレートガイド

90 圧入部 91 下対向部
92 上対向部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子かまちに対向する窓枠に配置される網戸収納部と、
前記網戸収納部と前記障子かまち間に配置される移動かまちと、
前記網戸収納部に収納され、且つ、前記移動かまちに先端側が取付けられた網目部材と、
前記網戸部材が開幕される場合に、その上下端と窓枠の上下枠間の隙間を塞ぐことができる虫除け材を備えたことを特徴とする網戸装置。
【請求項2】
前記網目部材の上下端は、前記虫除け材に対向されることを特徴とする請求項1に記載の網戸装置。
【請求項3】
前記網目部材の上下端は、窓枠の上下レールと窓枠の気密材取付ヒレ間に位置されることを特徴とする請求項1または2に記載の網戸装置。
【請求項4】
前記移動かまちは、前記障子かまちの移動に追随可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の網戸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−243103(P2009−243103A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89604(P2008−89604)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)