説明

網状部材

【課題】モアレを目立たなくさせることができる網状部材を提供する。
【解決手段】複数の開口領域42が画成された網状部材40は、二つの分岐点46の間を延びて開口領域42を画成する多数の境界線分48から形成されている。網状部材40は、5本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42、6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42および7本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42の少なくとも二種類が含まれている領域を含んでいる。ここで、該領域に含まれた5本、6本または7本のうちの同一本数の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42の形状又は面積は、一定ではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の開口領域が画成された網状部材に係り、とりわけ、モアレの発生を効果的に抑制することができる網状部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内外の通気性や透光性を阻害することなく室内への虫や埃の侵入を防止するため、網戸が用いられている。網戸は、網状部材と、網状部材の周縁に固定された枠部材(框(カマチ))と、を備えている。
【0003】
特許文献1には、網戸の網状部材の一例として、縦方向に延びる経糸と、横方向に延びる緯糸とを織り込み、これによって多数の網目(開口領域)が画成された網状部材が開示されている。この場合、経糸と緯糸とは互いに直交関係にあり、また、各開口領域は長方形または正方形の形状を有している。また各開口領域は、縦方向および横方向の両方において規則的な繰返し周期で並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭60−53156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、幾何学的に規則正しく分布する線を重ね合わせると、線の間隔の疎密に起因して、縞状の模様、すなわちモアレ(擬似的な干渉縞)が視認されることが知られている。従って、網状部材の各開口領域が上述のように規則的な繰返し周期で並んでいる場合、網状部材がその他の周期性を有する部材、例えば簾などと重なった際、両者の周期性の干渉に起因してモアレが視認されてしまうことが考えられる。このようなモアレは、室内外に居る人の視界を妨げたり、視覚的に違和感を与えてしまうことになる。
【0006】
本発明は、このような点からなされたものであり、モアレを目立たなくさせることができる網状部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による網状部材は、
複数の開口領域が画成された網状部材であって、
前記網状部材は、二つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する多数の境界線分から形成され、
前記網状部材は、5本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域、6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域および7本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域の少なくとも二種類が含まれている領域を含み、
前記領域に含まれた5本、6本または7本のうちの同一本数の境界線分によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域の形状又は面積は一定ではない、網状部材である。
【0008】
本発明による網状部材において、前記領域は、前記開口領域が規則的に配列された方向が存在しないパターンからなっているようにしてもよい。
【0009】
本発明による網状部材において、前記領域には、6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域が含まれていてもよい。
【0010】
本発明による網状部材において、前記領域には、6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域が最も多く含まれていてもよい。
【0011】
本発明による網状部材において、前記領域に含まれた開口領域のうち、k本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域の数をNとすると、
kが3≦k≦5を満たす整数の場合に、N≦N+1となり、kが6≦kを満たす整数の場合に、N≧N+1となるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、網状部材が、5本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域、6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域および7本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域の少なくとも二種類が含まれた領域を含み、且つ、当該領域に含まれた5本、6本または7本のうちの同一本数の境界線分によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域の形状又は面積は一定ではないようになっている。このような網状部材によれば、モアレを極めて効果的に目立たなくさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、網状部材と枠部材とを備えた網戸を示す図である。
【図2】図2は、網戸と組み合わされる部材の一例としての簾を示す図である。
【図3】図3は、図1の網戸の網状部材を示す平面図であって、網状部材のパターンを説明するための図である。
【図4】図4は、図3の部分拡大図あって、網状部材のパターンを説明するための図である。
【図5】図5は、最大分岐点間隔を説明するための図である。
【図6】図6は、各本数の境界線分によって取り囲まれた開口領域の個数を示すグラフである。
【図7】図7は、図1に示された網戸と、図2に示された簾と、を重ねた状態を示す平面図である。
【図8】図8は、図1に示された網戸に対して、図2に示された簾をわずかに傾斜させて重ねた状態を示す平面図である。
【図9】図9は、図3に示された網状部材のパターンを設計する方法を説明するための図であって、母点を決定する方法を示す図である。
【図10】図10は、図3に示された網状部材のパターンを設計する方法を説明するための図であって、母点を決定する方法を示す図である。
【図11】図11は、図3に示された網状部材のパターンを設計する方法を説明するための図であって、母点を決定する方法を示す図である。
【図12】図12(A)〜(D)は、決定された母点群を絶対座標系および相対座標系において示す図であり、母点群の分散の程度を説明するための図である。
【図13】図13は、図3に示された網状部材のパターンを設計する方法を説明するための図であって、決定された母点からボロノイ図を作成してパターンを決定する方法を示す図である。
【図14】図14は、網状部材の一変形例を示す平面図である。
【図15】図15は、第1の比較の形態に係る網状部材のパターンを説明するための平面図である。
【図16】図16は、図2に示された簾と、図15に示された網状部材と、を重ねた状態を示す平面図である。
【図17】図17は、図15に示された網状部材に対して、図2に示された簾をわずかに傾斜させて重ねた状態を示す平面図である。
【図18】図18は、第2の比較の形態に係る網状部材を示す平面図である。
【図19】図19は、第3の比較の形態に係る網状部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「三角形」、「台形」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の許容誤差を含めて解釈することとする。
【0015】
また、以下に説明する実施の形態は、本発明による網状部材が、網状部材を枠部材に固定することにより構成される網戸に適用される例とした。しかしながら、この例に限られず、本発明による網状部材を、網状部材によって囲われる空間が形成されるよう網状部材を支持することにより構成される蚊帳等、其の他の用途に対して広く適用することができる。
【0016】
図1〜図13は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1は、網状部材と枠部材とを備えた網戸を示す図であり、図2は、網戸と組み合わされる部材の一例としての簾を示す図である。図3〜5は、網戸の網状部材を説明するための図であり、図6は、図3に示された網状部材について、開口領域を取り囲む境界線分の本数と、各本数の境界線分によって取り囲まれた開口領域の個数と、の関係を示すグラフである。図7は、網戸および簾を重ねた状態で示す図であり、図8は、図7の変形例を示す図である。図9〜図13は、図3〜5に示された網状部材の平面パターンを決定する方法を説明するための図である。
【0017】
(網戸)
図1に示すように、網戸30は、複数の開口領域42が画成された網状部材40と、網状部材40を張設するよう網状部材40の周縁に固定された枠部材35と、を備えている。図1に示すように、網状部材40の各開口領域42は、網状部材40の全面にわたって張り巡らされたライン部44によって囲まれた領域として形成されている。一般に網戸30は、框の内側に網状部材40が張設されて構成され、該網戸30は室内と室外との間の境界に位置する窓枠や扉枠などに嵌め込まれる。そして、該網戸30は框部分で敷居と鴨居との間を摺動して開閉せしめられることが多い。又、其の他の構成例(使用例)として、窓枠や扉枠の内側に、框を介さずに直接、網状部材40を張設することも有る(所謂嵌め殺し)。尚、本願明細書に於いては、これら框、窓枠、及び扉枠を総稱して、枠部材35と呼稱する。
このような網戸30を設けることにより、網戸30のライン部44によって室外から室内への虫や埃の侵入を防ぐことができ、網戸30の各開口領域42によって室外と室内との間における通気性や透光性などを確保することができる。
【0018】
網戸30の網状部材40のライン部44を構成する材料としては、枠部材35による張設に耐えることができる強度を有する限りにおいて特には限定されないが、例えば、鉄(純鉄の他、炭素鋼等の鉄合金を含む)等の金属やポリアミド樹脂(ナイロン)、ポリプロピレン等の樹脂などが用いられ得る。
【0019】
(簾)
図2に示すように、網戸30と重ねられる簾60は、縦方向に所定の繰返しピッチPtで並べられた複数の横方向部材62と、各横方向部材62間を連結する縦方向係止材64と、を備えている。このうち各横方向部材62は、横方向に延びる部材であって、外光を遮蔽することができる部材であり、例えば竹や木材から構成されている。また縦方向係止材64は、例えば糸などから構成されている。
【0020】
(網状部材)
次に、網状部材40について、図3〜図5を参照してさらに詳述する。図3〜図5に示すように、網状部材40のライン部44は、多数の分岐点46を含んでいる。そして、網状部材40のライン部44は、両端において分岐点46を形成する多数の境界線分48から構成されている。すなわち、網状部材40のライン部44は、二つの分岐点46の間を延びる多数の境界線分48から構成されている。そして、分岐点46において、境界線分48が接続されていくことにより、開口領域42が画成されている。言葉を換えて言うと、境界線分48で囲繞、区劃されて1つの開口領域42が画成されている。
【0021】
網状部材40の主要機能の1つは、室外から室内への虫や埃の侵入を防ぐことである。従って、各開口領域42の寸法の上限は、室外から室内への虫や埃の侵入を十分に防ぐという観点に基づいて設定される。一方、上述のように網状部材40においては、各開口領域42を介して室外と室内との間における通気性や透光性などが確保されている。従って、各開口領域42の寸法の下限は、室外と室内との間における通気性や透光性などを十分に確保するという観点に基づいて設定される。またライン部44は、虫や埃の侵入を防ぐものではあるが、一方で、光の透過や空気の流れを阻害するものでもある。従って、ライン部44の寸法の上限は、室外と室内との間における通気性や透光性などを十分に確保するという観点に基づいて設定される。これらのことから、網戸30によって室外から室内への虫や埃の侵入を防ぐとともに室外と室内との間における通気性や透光性などを確保する上では、ライン部44および各開口領域42の寸法の範囲(上限および下限)を適切に設定することが重要であると言える。
【0022】
本実施の形態においては、ライン部44および各開口領域42の寸法の範囲を適切に設定するため、ライン部44の幅vの範囲、および各開口領域42における最大分岐点間隔Uの範囲を適切に設定するという手法を採用している。このうちライン部44の幅vは、図3において丸枠で囲まれた拡大表示内に示されているように、ライン部44が開口領域42に沿って延びる方向に直交する方向におけるライン部44の寸法を意味している。なおライン部44の幅vの下限は、網状部材40の強度を適切に確保するという観点に基づいて設定される。
【0023】
最大分岐点間隔Uについて、図5を参照して説明する。図5においては、六角形からなる1つの開口領域42が示されており、また、この開口領域42の6つの分岐点46が符号P〜Pで示されている。ここで、分岐点P〜Pのうち任意の2つの分岐点P,P(x,y=1〜6の整数、x≠y)を結ぶ線分の長さを分岐点間隔uxyとする場合、最大分岐点間隔Uは、各uxyの中での最大値として定義される。図5に示す例においては、分岐点P2と分岐点P5とを結ぶ線分の長さである分岐点間隔u25が各uxyの中での最大値となっており、従って、分岐点間隔u25が最大分岐点間隔Uとなっている。斯かる最大分岐点間距離Uは、開口領域42の大きさ乃至は寸法を代表する値である。最大分岐点間距離Uは、また、開口領域42が多角形の場合は、該多角形中の最大の対角線長に相当し、開口領域42が正多角形の場合は、外接円直径にも相当する。
【0024】
本件発明者らが鋭意実験を重ねたところ、ライン部44の幅vを50〜200μmとし、最大分岐点間隔Uを0.5〜3mmとすることが、網状部材40によって室外から室内への虫や埃の侵入を防ぐとともに室外と室内との間における通気性や透光性などを確保し、かつ、網状部材40の強度を適切に確保する上で好ましい、ということを見出した。従って、本実施の形態による網状部材40において、好ましくは、ライン部44の幅vが50〜200μmに設定され、最大分岐点間隔Uが0.5〜3mmに設定される。なお一般に、上述の簾60の横方向部材62の縦方向におけるピッチPtは、網状部材40の最大分岐点間隔Uよりも大きくなっている。
【0025】
以上のような網状部材40は、ライン部44が金属から構成される場合、例えば次の(1)、(2)等の方法によって形成することができる。また網状部材40は、ライン部44が樹脂から構成される場合、例えば次の(3)等の方法によって形成することができる。
(1)適切なベースフィルム上に金属箔を積層し、この金属箔を公知の方法により所望の網状パターンにエッチングする方法。この場合、金属箔を所望の網状パターンにエッチングするためのレジスト層が、金属箔のうちベースフィルムに面する側と反対の側に設けられる。網状パターンにエッチングされた金属箔は、ベースフィルムから剥離される。
(2)金属箔を準備し、この金属箔を公知の方法により所望の網状パターンにエッチングする方法。この場合、金属箔を所望の網状パターンにエッチングするためのレジスト層が、金属箔の両側にそれぞれ設けられる。
(3)適切な基材上に樹脂層を設け、その後、所望の網状パターンを有する型を用いて樹脂層を打ち抜く。網状パターンに打ち抜かれた樹脂層は、基材から剥離される。
【0026】
上述のようにして形成された網状部材40は、例えば、ロール状に巻かれた状態で出荷される。その後、所望の形状及び寸法に切断された網状部材40が枠部材35に固定され、これによって網戸30が形成される。網状部材40を枠部材35に固定するための方法が特に限られることはなく、公知の方法が適宜用いられる。
【0027】
次に、図3、図4および図13を主として参照しながら、平面状に広げられた網状部材40の法線方向から観察した場合における網状部材40のパターン(平面視パターン)について、説明する。
【0028】
図3、図4および図13に示すように、網状部材40のライン部44は、二つの分岐点46の間を延びる多数の境界線分48から構成されている。そして、分岐点46において、境界線分48が接続されていくことにより、開口領域42が画成されている。
【0029】
なお、図3、図4および図13に示すように、ライン部44が境界線分48のみから構成されているため、開口領域42の内部に延び入って行き止まりとなるライン部44は存在しない。これは、言葉を換えて言えば、見栄えの悪さや破壊の原因となり得る、どこにも接続されることなく分岐点46から突出している線材が存在しないことになる。このため、網状部材40の品質および耐久性を向上させることができる。
【0030】
ところで、上述したように、各開口領域が規則的な繰返し周期で並んでいる従来の網状部材を有する網戸を簾に重ねると、簾の周期性と網状部材の周期性との干渉に起因した縞状の模様、すなわちモアレ(干渉縞)が視認されることがある。モアレが視認されると、室内外に居る人の視界を妨げてしまうことになる。
【0031】
ここで図15には、第1の比較の形態として、正方格子状パターンで形成された開口領域142を有する従来の典型的な網状部材140が示されている。また、図16には、図15に示された従来の網状部材140を有した網戸130を、図2に示された簾60に重ねた状態が示されている。また、図17には、図15に示された従来の網状部材140を有する網戸130に対して、図2に示された簾60をわずかに傾斜させて重ねた状態が示されている。なお図16および図17においては、説明の便宜上、簾60のうち縦方向に周期的に並べられた横方向部材62のみがラインとして示されている。
【0032】
図16に示されているように、正方格子状パターンで形成された網状部材140が、縦方向に周期的に並べられた横方向部材62を有する簾60に重ねられると、網状部材の規則的(周期的)パターンと、簾60の規則的(周期的)パターンとの干渉によって、明暗の筋が縦方向に沿って視認されるようになる。さらに、図17に示すように、簾60がわずかに傾斜されると、モアレがより明確に視認されるようになる。なお簾60をわずかに傾斜させることは、戸や扉に簾60を取り付ける際の取付誤差により簾60がわずかに傾斜することや、風によって簾60が揺らいで一時的にわずかに傾斜することなどを想定したものである。
【0033】
一方、モアレの発生を防止するため、本実施の形態による網戸30の網状部材40では、5本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42(境界線分が狭義の真っ直ぐな線分の場合は5角形に相当)、6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42および7本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42の少なくとも二種類がそれぞれ複数含まれている。加えて、本実施の形態による網戸30の網状部材40では、網状部材40に含まれた5本、6本または7本のうちの同一本数の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42の形状又は面積(境界線分によって取り囲まれた部分の面積)は一定ではないようになっている。此処で、形状又は面積が一定ではないとは、(a)形状のみが一定で無い(面積は一定)場合、(b)面積のみが一定で無い(形状は一定)、(c)形状及び面積の両方が一定で無い場合、のいずれかの場合に該当するという意味である。すなわち、5本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42が網状部材40に含まれている場合、当該5本の境界線分48によって画成されている複数の開口領域42の少なくとも二つが異なる形状又は面積を有し、6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42が網状部材40に含まれている場合、当該6本の境界線分48によって画成されている複数の開口領域42の少なくとも二つが異なる形状又は面積を有し、さらに、7本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42が網状部材40に含まれている場合、当該7本の境界線分48によって画成されている複数の開口領域42の少なくとも二つが異なる形状又は面積を有している。より好ましくは、同一本数の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42のうちの50%以上が互いに其の形状又は面積が異なるように構成する。更に好ましくは、同一本数の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42の全てが互いに其の形状又は面積が異なるように構成する。尚、2つ(以上)の合同な開口領域42であって、且つ其の向きが互いに異なる場合は、これら開口領域42の形状は互いに異なるとして扱う。このような態様によれば、網状部材40のパターンを効果的に不規則化することができる。
【0034】
本件発明者らは、鋭意研究を重ねた結果として、単に網状部材40のパターンを不規則化するのではなく、5本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42、6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42および7本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42の少なくとも二種類が、それぞれ複数、網状部材40に含まれ、且つ、網状部材40に含まれた5本、6本または7本のうちの同一本数の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42の形状又は面積が一定ではないよう、網状部材40のパターンを画成することにより、網状部材40を備えた網戸30と簾60とが重なる場合に生じ得るモアレを極めて効果的に目立たなくさせることが可能となることを知見した。
【0035】
一般的には、網状部材40のパターンを不規則化することが、モアレの不可視化に有効であると考えられる。しかしながら、本件発明者らの研究によれば、単に網状部材40のパターンの形状及び配列ピッチを不規則化したとしても、常にモアレを十分に目立たなくさせることはできなかった。
【0036】
例えば、図18に示す第2の比較の形態による網状部材140Aでは、縦方向と横方向とからなる2次元平面のうち横方向(同図に於いては左右方向)について繰り返し周期性を持たないようになっており、この結果、2次元平面全体としては完全な繰返周期を持たず不一定のパターンとして視認され得る。すなわち、開口領域の形状又は配列ピッチを部分的にでも不規則化することによれば、当該開口領域の配列の繰返規則性を、同一形状の開口領域142が縦横に一定の繰り返しピッチで特定の直線方向に並べられている図15の正方格子配列と比較して大きく低下させ、網状部材140A自体が全体として不規則なパターンとして視認されるようになり得る。しかしながら、この不規則性パターンとして視認される網状部材140Aでは、モアレを知覚され得ない程度にまで目立たなくさせることができなかった。モアレを有効に目立たなくさせることができない原因は、依然として縦方向には繰返周期を有している為と考えられる。すなわち、部分的にでも2次元平面内の何れかの方向に繰り返し周期性が残存していると、その残存周期性によってモアレが発生するものと考えられる。
【0037】
また、図19に示す第3の比較の形態による網状部材140Bの如く、2次元平面内の縦方向、横方向共に各開口領域が繰返周期性を持たない完全に不規則なパターンとすれば、モアレを解消することも可能となる。しかしながら、斯かる完全不規則なパターンを採用した場合、新たな問題点が発生した。それは、各開口領域の形状及び面積のばらつきが大きいため、想定される虫や埃よりも大きな最大分岐点間隔を有する開口領域が部分的に生じることになり、その結果、当該開口領域を介して室外から室内へ虫や埃が侵入してしまうことである。此れは、網状部材40が防虫用途で用いられる場合の欠点となる。又、図19からもわかるように、斯かる開口領域の形状(又は面積)の分布、即ち透光性のムラにより、網状部材140Bを透視した風景に明暗乃至濃淡のムラを生じる欠点も発現する。これに加えて、網状部材140Bを構成するライン部がランダムに配置される結果、ライン部先端が他のライン部と接続し無いで存在している箇所が生じる。その結果、網状部材140Bの品質および耐久性を劣化させることになる。
【0038】
その一方で、ここで説明する本実施の形態に係る網状部材40の平面パターンのように、網状部材40に含まれるパターンが、次の条件(A)および(B)の両方を満たす場合、当該パターンにおいて、モアレの発生を効果的に防止することが可能になるとともに、各開口領域の形状及び面積が、透視した風景に目視でムラが視認可能な程度に、過度に、ばらつくことを抑制することも可能となった。
・条件(A):5本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42、6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42および7本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42の少なくとも二種類が、それぞれ複数、含まれている。
・条件(B):5本、6本または7本のうちの同一本数の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42の形状又は面積が一定ではない。すなわち、5本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42が含まれている場合に、当該5本の境界線分48によって画成されている複数の開口領域42の少なくとも二つが異なる形状又は面積を有し、且つ、6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42が含まれている場合に、当該6本の境界線分48によって画成されている複数の開口領域42の少なくとも二つが異なる形状又は面積を有し、且つ、7本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42が含まれている場合に、当該7本の境界線分48によって画成されている複数の開口領域42の少なくとも二つが異なる形状又は面積を有している。
【0039】
条件(A)および(B)を満たす網状部材40によって奏される作用効果は、モアレの不可視化として単にパターンの不規則化を実施してきた従来の技術水準に照らして、予測され得る範囲を超えた顕著な効果であると言える。そして、条件(A)および(B)を満たす網状部材40によってこのような作用効果が得られるようになる理由の詳細は不明であるが、次のことがその理由になっているものと推定される。ただし、本願発明は、以下の推定に限定されるものではない。
【0040】
まず、条件(A)によれば、開口領域42の配列が、同一形状の正六角形を規則的に配置してなるハニカム配列から、各単位領域の形状および配置の規則性を崩した配列、言い換えると、ハニカム配列を基準として各単位領域の形状および配置をランダム化した配列とすることができる。これにより、開口領域42の配列に明らかな粗密が生じてしまうことを抑制することができ、多数の開口領域42を概ね均一な密度で、すなわち概ね一様に分布させることができるものと推測される。加えて、条件(B)により、多数の開口領域42の配列を十分にランダム化することが可能となる。これらのことから、開口領域42の面積または最大分岐点間隔のばらつきおよびモアレの発生の両方を効果的に抑制することができるものと推測される。
【0041】
実際に本件発明者らが鋭意調査を重ねたところ、条件(A)および(B)が満たされる場合に、開口領域42の配列が十分にランダム化されていた。さらには、条件(A)および(B)が満たされる場合に、開口領域42の配列を完全に不規則化し得ること、すなわち、開口領域42が規則的に配列された方向が存在しないようにし得ることが、安定して可能となり、結果として、開口領域42の面積または最大分岐点間隔のばらつきおよびモアレの発生の両方を効果的に抑制することが可能となることが確認された。
【0042】
ここで、図4は、開口領域42が規則的に配列された方向が存在しない状態、言い換えると、開口領域42が規則性を持って並べられた方向が存在しない状態を説明するための平面図である。図4においては、平面状に広げられた網状部材40上において、任意の位置で任意の方向を向く一本の仮想的な直線dが選ばれている。この一本の直線dは、ライン部44の境界線分48と交差し交差点を形成している。この交差点を、図面では図面左下の側から順に、交差点C,C,C,・・・・・,Cとして図示してある。隣接する交差点、例えば、交差点Cと交差点Cとの距離が、前記或る一つの開口領域42の直線d上での寸法Tである。次に、寸法Tを持つ開口領域42に対して直線dに沿って隣接する別の開口領域42についても、同様に、直線d上での寸法Tが定まる。そして、任意位置で任意方向の直線dについて、直線dと交差する境界線分48とから、任意位置で任意方向の直線dと遭遇する多数の開口領域42について、該直線d上における寸法として、T,T,T,・・・・・・,Tが定まる。そして、T,T,T,・・・・・・,Tの数値の並びには、周期性(規則性)が存在しない。すなわち、開口領域42は、直線方向dに沿って規則性を持たないように並べられ、
≠Tk+l(k:任意の自然数、l:任意の自然数) ・・・条件式(x)
を満たすようになっている。なお、図4では、このT,T,T,・・・・・・,Tは、判り易い様に図面下方に、直線dと共に網状部材40とは分離して描いてある。
【0043】
また、この直線dを図4で図示のものから任意の角度だけ回転させて別の直線di+l方向について各開口領域Aの寸法T,T,・・を求めると、やはり図4で図示された場合と同様に、直線di+1方向に対しても、条件式(x)が満たされ、開口領域の寸法T,T,・・に繰返し周期性(規則性)は見られない。このように、開口領域42がいずれの方向においても条件式(x)を満たす場合、開口領域が規則的に配列された方向が存在しない、あるいは、開口領域42が繰返周期を持つ方向が存在しない、あるいは、開口領域の配列が規則性を持たない、と表現する。
【0044】
また、本件発明者らが種々の網状部材40のパターンについて調査を行ったところ、条件(A)および(B)に加えて、次の条件(C)がさらに満たされる場合、とりわけ、条件(C)および(D)がさらに満たされる場合に、開口領域42の面積または最大分岐点間隔のばらつきおよびモアレの発生の両方をより抑制することができた。そしてさらには、条件(A)および(B)に加えて、次の条件(C)、(D)および(E)がさらに満たされる場合に、開口領域42の面積または最大分岐点間隔のばらつきおよびモアレの発生の両方をより抑制することができた。このような傾向は、上記推定とも合致し、上記推定を裏付ける現象と言える。
・条件(C):6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42が、複数含まれている。
・条件(D):6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42が、最も多く含まれている。すなわち、6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42が、他の本数の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42と比較して、より多く含まれている。
・条件(E):k本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42(境界線分48が狭義の線分の場合はk角形に相当)の数をNとして、
kが3≦k≦5を満たす整数の場合に、N≦Nk+1
kが6≦kを満たす整数の場合に、N≧Nk+1
となっている。すなわち、6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42が最も多く含まれ、開口領域42を取り囲む境界線分48の本数が6本から多くなっていくにつれて、且つ、開口領域42を取り囲む境界線分48の本数が6本から少なくなっていくにつれて、開口領域42の数量が少なくなっていく。
【0045】
なお、各条件(A)〜(E)を満たすか否かは、厳密には、網状部材40内に含まれる全ての開口領域42について調査することになる。ただし、実際的には、ライン部44によって画成された一つあたりの開口領域42の大きさ等を考慮した上で、一つの開口領域42を取り囲む境界線分48の本数の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ一区画(例えば、上述した寸法例で開口領域42が形成されている網状部材40においては、30mm×30mmの部分)に含まれる開口領域42について取り囲む境界線分48の数を調査して、各条件(A)〜(E)が満たされるか否かを判断すればよい。同様に、開口領域が規則的の配列された方向か存在するか否かについても、厳密には、対象となる網状部材40の全領域内において任意の方向における開口領域42の配列を調査することなる。ただし、実際的には、開口領域42の配列の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ一区画(例えば、上述した寸法例で開口領域42が形成されている網状部材40においては、30mm×30mmの部分)の中心を通過する各方向(例えば、上述した寸法例で開口領域42が形成されている網状部材40においては、15°おきの方向)について、開口領域42の配列を調査して、開口領域が規則的に配列された方向か存在するか否かを判断すればよい。
【0046】
実際に、図3に示された網戸30の網状部材40について調査したところ、図12に示すように、この網状部材40には、4本、5本、6本、7本、8本、9本の境界線分48によって取り囲まれた開口領域42が、それぞれ、79個、1141個、2382個、927個、94個、8個含まれていた。また、この網状部材40には、3本の境界線分によって取り囲まれた開口領域、および、10本以上の境界線分48によって取り囲まれた開口領域42が含まれていなかった。すなわち、図3に示された網状部材40は、条件(A)および(B)に加えて、条件(C)、(D)および(E)も満たしている。
【0047】
なお、図7には、図3に示された網状部材40を有した網戸30を、図2に示された簾60に重ねた状態が示されている。また、図8には、図3に示された網状部材40を有した網戸30に対して、図2に示された簾60をわずかに傾斜させて重ねた状態が示されている。なお図7および図8においては、説明の便宜上、簾60のうち縦方向に周期的に並べられた横方向部材62のみがラインとして示されている。
【0048】
図7から理解され得るように、図3に示された網状部材40を実際に作製して、網状部材40を備えた網戸30と簾60とが重ねられた組合体を形成した場合、当該組合体には視認され得る程度の縞状の模様、すなわちモアレ(干渉縞)は発生しなかった。また図8から理解され得るように、簾60をわずかに傾斜させた上で網戸30に重ねた場合であっても、モアレは発生しなかった。このような網戸30の網状部材40の効果は、これまでの技術水準から予想される範囲を超えた顕著な効果である。
【0049】
ここで、上述した条件(A)および(B)を満たす網状部材40のライン部44のパターンを作製する方法の一例を説明する。
【0050】
以下に説明する方法は、母点を決定する工程と、決定された母点からボロノイ図を作成する工程と、ボロノイ図における一つのボロノイ境界によって結ばれる二つのボロノイ点の間を延びる境界線分の経路を決定する工程と、決定された経路の太さを決定して各境界線分を画定して網状部材40(ライン部44)のパターンを決定する工程と、を有している。以下、各工程について順に説明していく。なお、上述した図3に示されたパターンは、実際に以下に説明する方法で決定されたパターンである。
【0051】
まず、母点を決定する工程について説明する。最初に、図9に示すように、絶対座標系XYの任意の位置に一つ目の母点(以下、「第1の母点」と呼ぶ)BP1を配置する。尚、此処で言う絶対座標系とは、通常の2次元空間(平面)のことであるが、後述の相対座標系と区別する為に、特に絶対座標系と呼称する。次に、図10に示すように、第1の母点BP1から距離r1以上且つ距離r2以下だけ離れた任意の位置に第2の母点BP2を配置する。すなわち、第1の母点BP1を中心として絶対座標系XY上に位置する半径r1の円周と、第1の母点BP1を中心として絶対座標系XY上に位置する半径r2の円周と、によって囲まれた周状の領域内に、第2の母点BP2を配置する。ここで、距離r1は距離r2よりも小さく(r1<r2)、図3に示された網状部材40を作製する際には、距離r1を480μmとし、距離r2を570μmとした。
【0052】
次に、図11に示すように、第1の母点BP1から距離r1以上且つ距離r2以下だけ離れ、さらに、第2の母点BP2から距離r1以上離れた任意の位置に、第3の母点BP3を配置する。その後、第1の母点BP1から距離r1以上且つ距離r2以下だけ離れ、さらに、その他の母点BP2,BP3から距離r1以上離れた任意の位置に、第4の母点を配置する。このようにして、次の母点を配置することができなくなるまで、第1の母点BP1から距離r1以上且つ距離r2以下だけ離れ、加えて、その他の母点BP2,BP3,・・から距離r1以上離れた任意の位置に母点を配置していく。すなわち、第1の母点BP1を中心として絶対座標系XY上に位置する半径r1の円周と、第1の母点BP1を中心として絶対座標系XY上に位置する半径r2の円周と、によって囲まれた周状の領域内に、第1母点BP1以外のすべて母点から距離r1以上離れた位置が存在しなくなるまで、母点を配置していく。
【0053】
その後、第2の母点BP2を基準にしてこの作業を続けていく。すなわち、第2の母点BP2から距離r1以上且つ距離r2以下だけ離れ、さらに、既に配置されたその他の母点BP1,BP3,BP4,・・から距離r1以上離れた任意の位置に、次の母点を配置していく。第2の母点BP2を基準にして、次の母点を配置することができなくなるまで、すなわち、第2の母点BP2を中心として絶対座標系XY上に位置する半径r1の円周と第2の母点BP2を中心として絶対座標系XY上に位置する半径r2の円周と、によって囲まれた周状の領域内に、第2の母点BP2以外のすべての母点から距離r1以上離れた位置が存在しなくなるまで、母点を配置していく。その後、基準となる母点を順に変更していき、同様の手順で母点を形成していく。
【0054】
以上の手順で、網状部材40が形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなるまで、母点を配置していく。網状部材40が形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなった際に、母点を作製する工程が終了する。ここまでの処理により、2次元平面(XY平面)に於いて不規則的に配置された母点群が、網状部材40が形成されるべき領域内に一様に分散した状態となる。
【0055】
此のような工程で2次元平面(XY平面)内に分布された母点群BP1、BP2、・・、BP6(図12(A)参照)について、個々の母点間の距離は一定では無く分布を有する。但し、任意の隣接する2母点間の距離の分布は完全なランダム分布(一様分布)でも無く、平均値RAVGを挟んで上限値RMAXと下限値RMINとの間の範囲ΔR=RMAX−RMINの中で分布している。尚、此処で、隣接する2母点については、母点群BP1、BP2、・・から後述するようにしてボロノイ図を作成した際に、2つのボロノイ領域XAが隣接している場合に、その2つのボロノイ領域XA内にそれぞれ位置する母点同士が隣接していると定義する。尚、図12(A)に於いて、これら母点群から得られるボロノイ境界(図13参照)を参考までに破線で図示してある。
【0056】
即ち、ここで説明した母点群について、各母点を原点とする座標系(相対座標系o−x−yと呼称し、一方、前記の通り、現実の2次元平面(座標系)を絶対座標系O−X−Yと呼称する)上に、当該原点に置いた母点と隣接する全母点をプロットした図12(B)、図12(C)、・・等のグラフを、全母点について求める。そして、これら全部の相対座標系上の隣接母点群のグラフを、各相対座標系の原点oを重ね合わせて表示すると、図12(D)の如きグラフが得られる。斯かる相対座標系上での隣接母点群の分布パターンは、母点群を構成する任意の隣接する2母点間の距離は、0から無限大迄の一様分布では無く、0よりも大きい(RAVG―ΔR)から、(RAVG+ΔR)迄の有限の範囲(半径RMINからRMAX迄のドーナツ形領域)内に分布するようになる。なお、図12(D)から分かるように、任意の1母点から見た他の母点の分布は、等方的乃至略等方的となっている。これに対応して、後述するように該母点群に基づいて作成されるボロノイ図として得られる網状部材40のパターンも、等方的乃至略等方的となる。
【0057】
斯くの如く各母点間の距離を設定することによって、該母点群から以下に説明する方法で得られるボロノイ領域XA、更には、これから得られる開口領域42の外接円直径(乃至は開口領域の面積)の分布についても、一様分布(完全ランダム)では無く、有限の範囲内に分布したものとなる。この様に構成することにより、網状部材40のパターンを目視した際の通気性や透光性の面分布がより均一化する。通気性や透光性のムラを実質上認識不能または目視不能とし、且つ網状部材40のパターンの非周期性によるモアレ防止性とも両立させる為には、開口領域42の大きさ、即ち最大分岐点間隔Uの最大値をUMAX、最小値をUMINとしたときに、当該最大分岐点間隔Uの分布範囲ΔUが最大分岐点間隔Uの平均値UAVEに対して、
0.1≦ΔU/UAVE≦0.6・・・条件式(y1)
より好ましくは
0.2≦ΔU/UAVE≦0.4・・・条件式(y2)
とする。本件発明者らが種々のパターンを形成して試したところ、条件式(y1)が満たされる場合、通常の観察能力において、通気性や透光性のムラを感じることがなく、さらに条件(y2)が満たされる場合には、注意深く観察したとしても通気性や透光性のムラを感じることがなかった。
【0058】
なお、以上の母点を決定する工程において、距離r1の大きさを変化させることにより、UAVE並びに一つあたりの開口領域42の大きさを調節することができる。具体的には、距離r1の大きさを小さくすることにより、UAVE並びに一つあたりの開口領域42の大きさを小さくすることができ、逆に距離r1の大きさを大きくすることにより、UAVE即ち開口領域42の平均的大きさを大きくすることができる。また、距離r1と距離r2との差、更には最大分岐点間隔Uの分布範囲ΔUを変化させることにより、隣接する2母点間の距離が分散する範囲の大きさ(図12(D)におけるΔRの大きさ)を変化させることができる。具体的には、距離r1と距離r2との差を小さくすることにより、隣接する2母点間の距離のバラツキは小さくなる傾向を呈する。
【0059】
次に、図13に示すように、配置された母点を基準にして、ボロノイ図を作成する。図13に示すように、ボロノイ図とは、隣接する2つの母点間に垂直二等分線を引き、その各垂直二等分線同士の交点で結ばれた線分で区劃、構成される図である。ここで、垂直二等分線の線分をボロノイ境界XBと呼び、ボロノイ境界XBの端部をなすボロノイ境界XB同士の交点をボロノイ点XPと呼び、ボロノイ境界XBに囲まれた領域をボロノイ領域XAと呼ぶ。
【0060】
図13のように作成されたボロノイ図において、各ボロノイ点XPが、網状部材40の分岐点46をなすようにする。そして、一つのボロノイ境界XBの端部をなす二つのボロノイ点XPの間に、一つの境界線分48を設ける。この際、境界線分48は、図3に示された例のように二つのボロノイ点XPの間を直線状に延びるように決定してもよいし、あるいは、他の境界線分48と接触しない範囲で二つのボロノイ点XPの間を種々の経路(例えば、円(弧)、楕円(弧)、抛物線、双曲線、正弦曲線、双曲線正弦曲線、楕円函数曲線、ベッセル関数曲線等の曲線状、折れ線状等の経路)で延びるようにしてもよい。なお、図3に示された例のように、境界線分48がボロノイ点XPの間を直線状に結ぶように決定された場合、各ボロノイ境界XBが、境界線分48を画成することになる。
【0061】
このように各境界線分48を画成することにより、上述の2母点間の距離の場合と同様に、最大分岐点間隔Uを、完全なランダム分布(一様分布)では無く、平均値UAVGを挟んで上限値UMAXと下限値UMINとの間の範囲ΔU=UMAX−UMINの中で分布させることができる。すなわち、各開口領域42における最大分岐点間隔Uのばらつきを小さくすることができる。これによって、各開口領域42における最大分岐点間隔Uが、室外と室内との間における通気性や透光性を確保するとともに室外から室内への虫や埃の侵入を防ぐ上での適切な範囲内に確実に入るようになる。このことにより、各開口領域42による室外と室内との間における通気性や透光性などを網状部材40の全域にわたって均一に確保することができる。すなわち、通気性や透光性のムラを防ぐことができる。加えて、室外から室内への虫や埃の侵入を網状部材40の全域にわたって確実に防ぐことができる。
【0062】
各境界線分48の経路を決定した後、各境界線分48の線幅(太さ)を決定する。境界線分48の線幅は、室外と室内との間における通気性や透光性を確保するとともに、網状部材40の強度を適切に確保するよう、上述のライン部44の幅vの範囲内で設定される。
【0063】
以上のような本実施の形態によれば、網戸30の網状部材40が、二つの分岐点46の間を延びて開口領域42を画成する多数の境界線分48から形成されており、5本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42、6本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42および7本の境界線分48によって周囲を取り囲まれた開口領域42の少なくとも二種類が網状部材40に含まれており、且つ、網状部材40に含まれた5本、6本または7本のうちの同一本数の境界線分48によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域42の形状又は面積が一定とならないようになっている。この結果、横方向部材62が規則的(周期的)に縦方向に配列された簾60に網戸30を重ねた際に、縞状の模様(モアレ、干渉縞)および通気性や透光性のムラが視認され得る程度に発生することを効果的に防止することができる。
【0064】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
【0065】
例えば、上述した実施の形態において、網状部材40の境界線分48が直線状に形成されている例を示したが、これに限られない。境界線分48が、既に説明したように、二つの分岐点46の間を曲線状等の種々の経路に沿って延びていてもよい。
【0066】
さらに、上述した網状部材40のパターン設計方法は単なる一例に過ぎない。例えば、次の手順で母点を配置していってもよい。まず、図9と同様に、絶対座標系XYの任意の位置に一つめの母点BP1を配置する。次に、第1の母点BP1から距離rだけ離れた任意の位置に第2の母点BP2を配置する。その後、第1の母点BP1から距離rだけ離れ且つ第2の母点BP2から距離r以上離れた任意の位置に第3の母点BP3を配置する。その後、第1の母点BP1から距離rだけ離れ且つ既に配置されている第1母点BP1以外の全ての母点BP2,BP3から距離r以上離れた任意の位置に、次の母点を順に配置していく。以上の手順で第1の母点BP1から距離rだけ離れた位置に母点を配置することができなくなったら、次に、第2の母点から距離rだけ離れ且つ既に配置されている第2母点BP2以外の全ての母点から距離r以上離れた任意の位置に、次の母点を順に配置していく。このように第2の母点BP2を基準にして、次の母点を配置することができなくなるまで母点を配置していく。その後、基準となる母点を順に変更していき、同様の手順で母点を形成していく。以上の手順で、網状部材40が形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなるまで、母点を配置していく。網状部材40が形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなった際に、母点を作製する工程が終了する。このような処理によっても、不規則的に配置された母点群が、網状部材40が形成されるべき領域内に一様に分散した状態とすることができる。
【0067】
さらには、次の手順で母点を配置していくこともできる。まず、図9と同様に、絶対座標系XYの任意の位置に一つめの母点BP1を配置する。次に、第1の母点BP1から距離r以上離れた任意の位置に第2の母点BP2を配置する。その後、第1の母点BP1および第2の母点BP2のそれぞれから距離r以上離れた任意の位置に第3の母点BP3を配置する。その後、既に配置されている全ての母点から距離r以上離れた任意の位置に、次の母点を順に配置していく。以上の手順で、網状部材40が形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなるまで、母点を配置していく。網状部材40が形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなった際に、母点を作製する工程が終了する。このような処理によっても、不規則的に配置された母点群が、網状部材40が形成されるべき領域内に一様に分散した状態とすることができる。
【0068】
さらに、上述した網状部材40のパターン設計方法に於いては、先ず、平面内に特定の母点を作図し、ついで、該母点のボロノイ分割パターンとして網状部材40のパターンを形成する例を示したが、これには限られない。例えば、手作業にて、平面内に互いに大きさ及び形状の異なる5角形及び6角形の開口領域42をランダムに作図し、其の際に、何れの方向にも繰返し周期を持たず、各5角形及び6角形の大きさ(面積乃至外接円直径)が所定の範囲に収まるように留意して作図することによって、網状部材40のパターンを作図しても良い。
【0069】
さらに、上述した実施の形態では、網戸30の網状部材40の全領域において、上述した条件(A)および(B)、さらには、条件(C)〜(E)が満たされ、加えて、網戸30の網状部材40の全領域内にわたって、開口領域42が周期性を持って配列されている方向が存在しないようになっている例を示した。しかしながら、網戸30の網状部材40に含まれる一部の領域内において、条件(A)および(B)が満たされるようにしてもよい。
【0070】
典型的な変形例として、上述した条件(A)および(B)を満たす領域、好ましくは上述した条件(A)〜(E)を満たす領域、さらには、上述した条件(A)〜(E)を満たし且つ開口領域42が規則的に配列された方向が存在しない領域(単位メッシュ領域)Sを用意し、該領域Sが複数集合して網状部材40の全領域が構成されているようにしてもよい。即ち、此の形態に於いては、網状部材40の全領域中に、同一パターンで開口領域群42が配列されてなる単位メッシュ領域Sを2箇所以上含むようになる。この例において、一つの領域S内における網状部材40のパターンは、例えば、図9〜図13を参照しながら説明したパターン作成方法と同様にして作成することができ、また、上述した変形例によるパターン作成方法と同様にして作成することができる。このことは、大面積の網状部材40のパターン作成を格段に容易化することが可能となる点において好ましい。
【0071】
なお、図14に示された例では、網状部材40が、同一の形状を有した六つの単位メッシュ領域Sに分割され、各領域S内で単位網状部材40’が互いに同一に構成されている。そして、六つの領域Sは、図14の縦方向に三つの領域が並ぶとともに、図14の横方向に二つの領域が並ぶように配列されている。
【0072】
このような変形例では、例えば図14に示すように、網状部材40内において、開口領域42が一定の配列で並べられている範囲が、単位メッシュ領域Sの数だけ、当該領域の配列方向と平行な方向に繰り返し存在するようになる。すなわち、網状部材40内において、複数の開口領域42が所定の規則性を持って繰り返し並べられている直線方向が存在するようになる。この場合、領域Sの規則的な配列に起因して、縞状模様(モアレ、干渉縞)或いは通気性や透光性のムラが発生する心配もある。このため、単位メッシュ領域S内に含まれる開口領域42の数は、単位メッシュ領域Sの繰返しが実質上視認し難くする上で、出来るだけ多い方が好ましい。
【0073】
但し、特定方向への同一単位メッシュ領域Sの繰返しが或る程度までに抑えられていれば、斯かる縞状模様や通気性や透光性のムラは無視し得る。これは、単に繰返し数が少ないことに加えて、領域Sの寸法が簾等の網状部材40と重ねられて用いられる部材の持つ繰返し単位の寸法(繰り返し周期)と大幅に異なる結果、実質上モアレを生じる関係から外れる為でも在る。具体的には、図14に示すように、複数の単位領域Sがある方向に所定のピッチSP1,SP2で配列されている場合には、当該所定のピッチSP1,SP2は、ある方向に沿った網状部材40全体の寸法L1,L2の1/4以上となっていることが好ましい。また、単位メッシュ領域S内に含まれる開口領域42の数は500個以上となっていることが好ましい。
【0074】
但し、隣接する単位メッシュ領域同士の境界の継目の修整処理(継目を目立たなくさせるためのパターンの変形、修整処理)、単位メッシュ領域の形状(図14では長方形としたが、其の他、3角形、6角形、其の他形状も可能)、配列様式(図14では長方形の単位メッシュ領域を縦横に碁盤の目上に配列したが、単位メッシュ領域が長方形であっても、これを煉瓦積みの如き配列とすることも可能)等の工夫如何によっては、単位メッシュ領域Sの縦横の配列ピッチSP1、SP2が、網状部材40全体の寸法L1,L2の1/10以上となっていれば、縞状模様や通気性や透光性のムラを十分に目立たなくし得ることが知見された。
【0075】
また、上述の条件(A)および(B)が満たされるよう網状部材40の平面パターンを作成することにより、モアレの発生を効果的に防止するとともに、各開口領域の形状及び面積がばらつくことを抑制することができる例を示したが、これに限られることはない。本件発明者らが鋭意調査を重ねたところ、その他の条件に基づいて網状部材40の平面パターンを作成することにより、モアレの発生を効果的に防止するとともに、各開口領域の形状及び面積がばらつくことを抑制することができることを見出した。以下、その他の条件について説明する。
【0076】
本件発明者らが鋭意調査を重ねたところ、通気性や透光性のムラおよびモアレの両方をより目立たなくさせるために、一つの分岐点46から延び出す境界線分48の数の平均が3.0以上4.0未満とすることが有効であることが知見された。一つの分岐点46から延び出す境界線分48の数の平均が3.0以上4.0未満となっている場合、同一形状の正六角形を規則的に配置してなるハニカム配列から、或いは、正方形を規則的に配置してなる正方格子配列から、各開口領域42の形状および配置の規則性を崩した配列、言い換えると、ハニカム配列または正方格子配列を基準として各開口領域42の形状および配置をランダム化した配列とすることができる。以下、一つの分岐点46から延び出す境界線分48の数の平均を3.0以上4.0未満とするという条件を、条件(F)と称する。条件(F)が満たされることにより、開口領域42の配列に明らかな粗密が生じてしまうことを抑制することができ、多数の開口領域42を概ね均一な密度で、すなわち概ね一様に分布させることができるものと推測される。実際に、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、一つの分岐点46から延び出す境界線分48の数の平均を3.0以上4.0未満とした場合、開口領域42の配列を不規則化して、開口領域42が繰返規則性(周期性)を持って並べられた方向が存在しないようにすることが安定して可能となり、結果として、モアレを極めて効果的に目立たなくさせることが可能となることが、確認された。又、網状部材40のパターンが前記の条件(A)〜(E)を満たした上で、更に条件(F)も満たすと、モアレ解消效果と透光性ムラ解消效果との両立の点で、更に良好となることが見出された。実際に、図3に示された網状部材40について調査したところ、一つの分岐点に於ける境界線分48の平均分岐数は3.04であり、3より大きく3.1以下となっており、条件(F)も満たしていた。
【0077】
なお、一つの分岐点46から延び出す境界線分48の数の平均は、厳密には、網状部材40内に含まれる全ての分岐点46について、延び出す境界線分48の数を調べてその平均値を算出することになる、ただし、実際的には、ライン部44によって画成された一つあたりの開口領域42の大きさ等を考慮した上で、一つの分岐点46から延び出す境界線分48の数の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ一区画(例えば、上述した寸法例で開口領域42が形成されている網状部材40においては、30mm×30mmの部分)に含まれる分岐点46について延び出す境界線分48の数を調べてその平均値を算出し、算出された値を当該網状部材40についての一つの分岐点46から延び出す境界線分78の数の平均値として取り扱うようにしてもよい。
【0078】
条件(F)が満たされるよう網状部材40のパターンを作製する方法の一例としては、上述の図9乃至図13に示す方法によるパターン作製方法が挙げられる。すなわち、上述の図9乃至図13に示す方法によるパターン作製方法によれば、上述した条件(A)および(B)を満たすとともに、上述した条件(F)を満たす網状部材40のライン部44のパターンを作製することができる。従って、図3に示された網状部材40は、上述した条件(A)および(B)を満たすとともに、上述した条件(F)を満たしている。
【0079】
また、上述した条件(F)を満たす網状部材40を、図2に示された簾60と重ねると、図7および図8に示すように、縞状模様(モアレ、干渉縞)或いは通気性や透光性のムラが発生することを、より効果的に防ぐことができる。
【0080】
なお条件(F)を満たす例として、一つの分岐点46から延び出す境界線分48の数の平均が3.0より大きく4.0未満である例を示したが、これらの例に限られず、一つの分岐点46から延び出す境界線分48の数の平均が3.0となるようにしてもよい。一つの分岐点46から延び出す境界線分48の数の平均が3.0とした場合、不規則的に配置された開口領域42が、網状部材40が形成されている領域内により一様に分散された状態とすることができる。
【0081】
また条件(F)を満たす例においても、上述の条件(A)および(B)を満たす例の場合と同様に、網戸30の網状部材40の全領域内にわたってではなく、網戸30の網状部材40の一部の領域内においてのみ、条件(F)が満たされるようにしてもよい。
【0082】
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【0083】
(用途)
以上に説明してきた網状部材40は、上述の網戸30だけでなく、網状部材40によって囲われる空間が形成されるよう網状部材40を支持することにより構成される蚊帳等、其の他の用途に対して広く適用することができる。また、網状部材40と重ねられて用いられる部材としても、繰り返し周期性を有する様々な部材が考えられる。例えば、上述の例においては、網状部材40を備えた網戸30が、縦方向に周期性を有する簾60と重ねられる例を示したが、その他にも、網状部材40を備えた網戸30が、その襞や模様に起因して横方向の周期性を有するカーテンなどの部材と重ねられてもよい。この場合であっても、網状部材40の開口領域42の配列が十分にランダム化されているため、網状部材40のパターンとカーテンなどの部材のパターンとの干渉に起因してモアレが発生することを防ぐことができる。その他にも、網状部材40と重なることが可能な部材の例として、例えば、建造物の内外間等に配置された鎧戸、ブラインド、シャッター、ウイング、戸板、窓板、日よけ板、衝立、間仕切り、又は飾り板などを挙げることができる。
【0084】
なお「重なる」とは、網状部材40とその他の部材とが近接している状態で重なっている場合だけでなく、網状部材40とその他の部材とが近接はしていないが重なって見えるという場合も含む概念である。例えば、第1の建造物に取り付けられた網状部材40を備えた網戸30と、数mから数10m程度離れた第2の建造物に取り付けられた簾とが、第1の建造物の中に居る者から重なって見える場合が考えられる。このような場合であっても、上述の網状部材40によれば、網状部材40の開口領域42の配列を十分にランダム化することにより、第1の建造物の網状部材40のパターンと第2の建造物の簾60のパターンとの干渉に起因してモアレが発生することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0085】
30 網戸
35 枠部材
40 網状部材
42 開口領域
44 ライン部
46 分岐点
48 境界線分
60 簾
62 横方向部材
64 縦方向係止材
XA ボロノイ領域
XB ボロノイ境界
XP ボロノイ点
U 最大分岐点間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開口領域が画成された網状部材であって、
前記網状部材は、二つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する多数の境界線分から形成され、
前記網状部材は、5本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域、6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域および7本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域の少なくとも二種類が含まれている領域を含み、
前記領域に含まれた5本、6本または7本のうちの同一本数の境界線分によって周囲を取り囲まれた複数の開口領域の形状又は面積は一定ではない、網状部材。
【請求項2】
前記領域には、6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域が含まれている、請求項1に記載の網状部材。
【請求項3】
前記領域には、6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域が最も多く含まれている、請求項1または2に記載の網状部材。
【請求項4】
前記領域に含まれた開口領域のうち、k本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域の数をNとすると、
kが3≦k≦5を満たす整数の場合に、N≦N+1となり、kが6≦kを満たす整数の場合に、N≧N+1となる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の網状部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2013−76278(P2013−76278A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217163(P2011−217163)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)