説明

綴じ機

【課題】アンビルが用紙を穿孔する際に過大な操作力を受け、アンビルを支持する側の部材と抜き刃及び切込刃を支持する側の部材との境界部分に大きな応力が作用するため、設計の自由度が制限されるという課題を解消する。
【解決手段】アンビル5と抜き刃42及び切込刃43との間に形成される用紙挿入用の隙間skに用紙Pを配設し、抜き刃42及び切込刃43をアンビル5方向に移動させて用紙Pに貫通させ、抜き刃42及び切込刃43とアンビルとの協働により用紙Pに打ち抜き孔P1、カット孔P2、切起片P5を形成して用紙Pを綴じる綴じ機1であり、アンビル5が、隙間skの少なくとも奥側領域sk1を取り囲む形状の補強部52を備え、補強部52の少なくとも一部が抜き刃42及び切込刃43を支持する側の部材に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わせた複数枚の用紙の端部を一体的に綴じ合わせる綴じ機のうち、特に金属製の針を使用しない方式の、いわゆる針なしステープラと称される綴じ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の綴じ機として、アンビルと抜き刃及び切込刃との間に形成される用紙挿入用の隙間に複数枚の用紙を配設し、前記抜き刃及び切込刃をアンビル方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とアンビルとの協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に綴じることができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
かかる綴じ機では、まず、アンビルと抜き刃及び切込刃との間に形成される用紙挿入用の隙間に綴じるべき複数枚の用紙を配し、しかる後に、操作レバーを操作することにより抜き刃及び切込刃とアンビルとを協働させて用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成するようにしている。
【0004】
このようなものにおいては、抜き刃及び切込刃とアンビルとを協働させて用紙を穿孔する際に、抜き刃及び切込刃を操作するための操作力が用紙を介してアンビルにも伝達されることになる。特に、比較的多枚数の用紙を穿孔する場合には、操作力がアンビルに伝達されやすい。このため、用紙を穿孔する際にアンビルが過大な操作力を受けて、アンビルを支持する部位が抜き刃及び切込刃から離れる方向へ強力に付勢されることになり、特定箇所に大きな応力が作用して部材の変形や破壊を招く恐れがある。
【0005】
かかる不具合に対しては、アンビルを一定の剛性を有した部品によって支持する等の具体的な対策がなされているが、より簡易な構成により不具合を抑制し得るための新たな対策が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−228451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アンビルが用紙を穿孔する際に操作力を受け、アンビルを支持する側の部材と抜き刃及び切込刃を支持する側の部材との境界部分に大きな応力が作用するため、設計の自由度が制限されるという課題を解消し、構成の簡略化や部品点数の削減を図るための設計を容易にすることができる綴じ機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の綴じ機は、次の構成を備えたものである。
【0009】
請求項1に係る綴じ機は、アンビルと抜き刃及び切込刃との間に形成される用紙挿入用の隙間に複数枚の用紙を配設し、前記抜き刃及び切込刃をアンビル方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とアンビルとの協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に綴じることができるようにした綴じ機であって、前記アンビルが、用紙挿入用の隙間に臨むアンビル本体を備えるとともに、前記アンビル本体を支持する側の部材と前記抜き刃及び切込刃を支持する側の部材に亘るように配されているものである。
【0010】
ここで、「用紙」とは、シート状になっているものであれば、どのようなものであってもよく、紙製のものの他、プラスチック製や金属製のものも含まれる。
【0011】
請求項2に係る綴じ機は、請求項1に係る構成において、前記アンビルが、前記アンビル本体に一体に設けられた補強部を備えてなり、前記補強部が前記用紙挿入用の隙間の少なくとも奥側領域を略コの字状に取り囲む形状をなすとともに、前記補強部の少なくとも一部が前記抜き刃及び切込刃を支持する側の部材に係合しているものである。
【0012】
請求項3に係る綴じ機は、請求項1又は2に係る構成において、前記アンビル本体を支持する側の部材と、前記抜き刃及び切込刃を支持する側の部材とを、一体に成型することにより、外装カバーを兼ねたシェルを構成しているものである。
【0013】
請求項4に係る綴じ機は、請求項3に係る構成において、前記抜き刃及び切込刃をスライド部材により保持させてなる刃ユニットを備えてなり、前記スライド部材がその両側に前記シェルに設けた案内部に案内される被案内部と前記シェルに枢着された操作レバーからの操作力を受けるドライブシャフト部とを備えた突起を有したものである。
【0014】
請求項5に係る綴じ機は、請求項4に係る構成において、前記スライド部材が、右のスライド部材要素と左のスライド部材要素とを合体させてなる左右に分割可能なものであり、前記右・左のスライド部材要素の側面に前記突起をそれぞれ設けているものである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、アンビルが用紙を穿孔する際に操作力を受け、アンビルを支持する側の部材と抜き刃及び切込刃を支持する側の部材との境界部分に大きな応力が作用するため設計の自由度が制限されるという課題を解消し、構成の簡略化や部品点数の削減を図るための設計を容易にすることができる綴じ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す綴じ機の全体斜視図。
【図2】同実施形態における平面図。
【図3】図2におけるA−A線断面図。
【図4】同実施形態における分解斜視図。
【図5】同実施形態における分解斜視図。
【図6】同実施形態における刃ユニットの分解斜視図。
【図7】図2におけるB−B線断面図。
【図8】図2におけるC−C線断面図。
【図9】同実施形態の左右のシェル要素を説明するための斜視図。
【図10】同実施形態のアンビルを示す平面図。
【図11】同実施形態のアンビルを示す側面図。
【図12】同実施形態におけるアンビルとシェルとの係わり合いを説明するための斜視図。
【図13】図2におけるD−D線断面図。
【図14】同実施形態の綴じ機の作動を示す図13対応の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図14を参照して説明する。ここで、図5に示される分解斜視図は、シェル2を構成する右のシェル要素2a及び左のシェル要素2bを省略して示している。また、図9に示される斜視図は、主としてシェル2を構成する右のシェル要素2a及び左のシェル要素2bを説明するためのもので、右・左のシェル要素2a、2b間に配されるべき他の構成部材を省略して示している。図12に示される斜視図は、主としてシェル2とアンビル5との係わり合いを説明するためのものであり、アンビル5の一部を破断して示しているとともに、シェル2については右のシェル要素2aのみを示している。
【0018】
この綴じ機1は、複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5をカット孔P2に挿通させることにより、それら複数枚の用紙Pを相互に綴じて冊子Sを作ることができるようにしたものである。この綴じ機1に用いられる抜き刃42は、打ち抜き孔P1を形成し得るものであり、切込刃43は、スリット状のカット孔P2を形成し得るものである。
【0019】
冊子Sは、複数枚の用紙Pを束ねてなるもので、それらの用紙Pは角部P4に設定した一ヵ所の接合部分P3において相互に接合されている。この接合部分P3は、用紙Pの一面Pa側から貫入させた抜き刃42により各用紙Pに形成された打ち抜き孔P1と、この打ち抜き孔P1に隣接させて用紙Pに形成されたスリット状のカット孔P2と、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pc側に切り起こされた切起片P5とから構成されている。そして、切起片P5の先端P51部分を、カット孔P2に貫通させて用紙Pの一面Pa側に導出させることによって、複数枚の用紙Pが相互に接合されている。カット孔P2は、切起片P5を主として係わり合わせるための第一のスリットL1と、この第一のスリットL1の途中から打ち抜き孔P1方向に屈曲して伸び略平行に対をなす第二のスリットL2とを備えている。なお、図2では、用紙Pの角部P4を綴じ機1に向けて差し入れた態様を示しているが、用紙Pの縁部を綴じ機1に向けて差し入れて綴じるようにしてもよいのはもちろんのことである。
【0020】
綴じ機1は、複数枚の用紙Pを挿脱可能な用紙挿入用の隙間skを有する外装カバーを兼ねたシェル2と、このシェル2に枢着された操作レバー3と、この操作レバー3に加えられる操作力により進退すべくシェル2内に配設された抜き刃42及び切込刃43を有してなる刃ユニット4と、この刃ユニット4の抜き刃42及び切込刃43に隙間skを介して対面配置された部位を有するアンビル5とを具備してなるもので、アンビル5は、隙間skに臨むアンビル本体51と、アンビル本体51に一体に設けられた補強部52とを備えたものである。用紙挿入用の隙間skは、シェル2の上下方向中間部に用紙Pを挿入するために形成されたものであり、より具体的には、アンビル本体51とシェル2の用紙支持面a61、b61との間に形成されている。
【0021】
シェル2は、アンビル本体51を支持する側の部材Pb(以下、「パンチ台構成部材」という)と、抜き刃42及び切込刃43を支持する側の部材Bb(以下、「ベース構成部材」という)とを一体に構成したもので、パンチ台構成部材Pbは基端Pb1側をベース構成部材Bbに一体化させて片持ち的(片持ち梁的)に支持されている。そして、パンチ台構成部材Pbにアンビル本体51を支持させるとともにベース構成部材Bbにアンビル5の補強部52の少なくとも一部を係合させており、ベース構成部材Bbの内部に刃ユニット4を収容している。
【0022】
詳述すれば、シェル2は、外装カバーを兼ねた合成樹脂製のもので、右のシェル要素2aと左のシェル要素2bとを合体させてなる左右に分割可能な構造を備えている。以下、右のシェル要素2a、左のシェル要素2bの順に詳述する。
【0023】
まず、本実施形態における右のシェル要素2aについて説明する。
【0024】
右のシェル要素2aは、樹脂により一体に成型されたもので、パンチ台構成部材Pbに対応する要素として、側壁a1と、側壁a1の上縁から延びる上壁a2と、側壁a1の前側の下縁部分から延びてなりアンビル取付部a31を有する下壁a3とを具備している。また、右のシェル要素2aは、ベース構成部材Bbに対応する要素として、側壁a4と、側壁a4の前縁から延びてなる前壁a5と、側壁a4の上縁から延びてなる天壁a6と、側壁a4の下縁から延びてなる底壁a7と、側壁a4の後縁から延びてなる後壁a8と、側壁a4の後部上縁から延びてなり操作レバー3の一部を外部に連通させるための切欠きa91を有した上壁a9とを具備してなる。そして、右のシェル要素2aにおけるパンチ台構成部材Pb側の上壁a2とベース構成部材Bb側の上壁a9とは連続して形成されているとともに、右のシェル要素2aにおけるパンチ台構成部材Pb側の側壁a1とベース構成部材Bb側の側壁a4とは連続して形成されている。
【0025】
右のシェル要素2aにおけるパンチ台構成部材Pb側の上壁a2は、その前縁部の下面に後述する透明の窓カバー6の後端を係合させるための係合部a21を備えている。右のシェル要素2aにおけるパンチ台構成部材Pb側の下壁a3は、その下面でアンビル本体51の前端部上面及び後端部上面を添接支持するもので内向き方向に開口して前後方向に伸びる溝状のアンビル取付部a31を備えている。右のシェル要素2aにおけるパンチ台構成部材Pb側の下壁a3の前端には、窓カバー6に設けた係合孔61の片半部に係合する突起a32が設けられている。前記側壁a1、上壁a2及び下壁a3の外面側にはそれぞれ段部が形成されており窓カバー6を安定して取付できるようになっている。
【0026】
右のシェル要素2aにおけるベース構成部材Bb側の側壁a4は、隙間skの後方において右のシェル要素2aにおけるパンチ台構成部材Pb側の側壁a1と連続する平板状のもので、操作レバー3を支持する支軸Jを保持するための円環状の軸保持部a41と、この軸保持部a41の内側に軸心を一致させて設けられた第一の連結部a42と、この第一の連結部a42の前方に位置させて設けられた第二の連結部a43と、第一の連結部a42の後方に位置させて設けられた位置決め部a44と、この位置決め部a44と第一の連結部a42との間に位置させて設けられ後述する巻きばねMの一端M1を係止するバネ止め部a45とを備えている。また、この右のシェル要素2aにおけるベース構成部材Bb側の側壁a4は、第一の連結部a42と第二の連結部a43との間に刃ユニット4をアンビル本体51の方向に進退可能に案内するための案内部たる案内スリットa46と、この案内スリットa46の前方に設けられ刃ユニット4の前側を案内する案内壁a47とを備えている。右のシェル要素2aにおけるベース構成部材Bb側の天壁a6は、隙間skに臨む側に用紙支持面a61を有したもので、抜き刃42を挿通させるための抜き刃挿通口a62と、切込刃43を挿通させるための切込刃挿通口a63と、インナーカム44のアーム443と係止してインナーカム44を回動させるための係止部a64と、隙間skの奥端を形成する奥端壁a65とを備えている。天壁a6の用紙支持面a61には用紙Pの枚数を制限するための突起が設けられている。
【0027】
次に、本実施形態における左のシェル要素2bについて説明する。
【0028】
左のシェル要素2bは、樹脂により一体に成型されたもので、パンチ台構成部材Pbに対応する要素として、側壁b1と、側壁b1の上縁から延びる上壁b2と、側壁b1の前側の下縁部分から延びてなりアンビル取付部b31を有する下壁b3とを具備している。また、左のシェル要素2bは、ベース構成部材Bbに対応する要素として、側壁b4と、側壁b4の前縁から延びてなる前壁b5と、側壁b4の上縁から延びてなる天壁b6と、側壁b4の下縁から延びてなる底壁b7と、側壁b4の後縁から延びてなる後壁b8と、側壁b4の後部上縁から延びてなり操作レバー3の一部を外部に連通させるための切欠きb91を有した上壁b9とを具備してなる。そして、左のシェル要素2bにおけるパンチ台構成部材Pb側の上壁b2とベース構成部材Bb側の上壁b9とは連続して形成されているとともに、左のシェル要素2bにおけるパンチ台構成部材Pb側の側壁b1とベース構成部材Bb側の側壁b4とは連続して形成されている。
【0029】
左のシェル要素2bにおけるパンチ台構成部材Pb側の上壁b2は、その前縁部の下面に後述する透明樹脂製の窓カバー6の後端を係合させるための係合部b21を備えている。左のシェル要素2bにおけるパンチ台構成部材Pb側の下壁b3は、その下面でアンビル本体51の前端部上面及び後端部上面を添接支持するもので内向き方向に開口して前後方向に伸びる溝状のアンビル取付部b31を備えている。左のシェル要素2bにおけるパンチ台構成部材Pb側の下壁b3の前端には、窓カバー6に設けた係合孔61の片半部に係合する突起b32が設けられている。前記側壁b1、上壁b2及び下壁b3の外面側にはそれぞれ段部が形成されており窓カバー6を安定して取付できるようになっている。
【0030】
左のシェル要素2bにおけるベース構成部材Bb側の側壁b4は、隙間skの後方において右のシェル要素2bにおけるパンチ台構成部材Pb側の側壁b1と連続する平板状のもので、操作レバー3を支持する支軸Jを保持するための円環状の軸保持部b41と、この軸保持部b41の内側に軸心を一致させて設けられた円筒ナット状をなす第一の連結部b42と、この第一の連結部b42の前方に位置させて設けられた円筒ナット状をなす第二の連結部b43と、第一の連結部b42の後方に位置させて設けられた前記右のシェル要素2aの位置決め部a44の先端側の外周部に嵌合する位置決め部b44と、この位置決め部b44と第一の連結部b42との間に位置させて設けられ後述する巻きばねMの一端M1を係止するバネ止め部b45とを備えている。また、この左のシェル要素2bにおけるベース構成部材Bb側の側壁b4は、第一の連結部b42と第二の連結部b43との間に刃ユニット4をアンビル本体51の方向に進退可能に案内するための案内部たる案内スリットb46と、この案内スリットb46の前方に設けられ刃ユニット4の前側を案内する案内壁b47とを備えている。左のシェル要素2bにおけるベース構成部材Bb側の天壁b6は、隙間skに臨む側に用紙支持面b61を有したもので、抜き刃42を挿通させるための抜き刃挿通口b62と、切込刃43を挿通させるための切込刃挿通口b63と、インナーカム44のアーム443と係止してインナーカム44を回動させるための係止部a64を支持する係止部支持部b64と、隙間skの奥端を形成する奥端壁b65とを備えている。天壁b6の用紙支持面b61には用紙Pの枚数を制限するための突起が設けられている。
【0031】
以上のようにしてなる右のシェル要素2aと左のシェル要素2bとを突き合わせ右のシェル要素2aの第一の連結部a42の軸孔a48に挿通させたボルトv1を左のシェル要素2bの第一の連結部b42に螺着するとともに、右のシェル要素2aの第二連結部a43のボルト挿通孔a49に挿通させたボルトv2を左のシェル要素2bの第二連結部b43に螺着することにより、これら右・左のシェル要素2a、2b同士を結合させ、シェル2を完成させている。
【0032】
なお、本実施形態では、シェル2を、その中央部分を境界にして左右に分割可能な構造、すなわち、一部の接続部材を除き略左右対称形状とした半割り構造としているが、これら右・左のシェル要素2a、2b同士を合体させて結合する際に、右・左のシェル要素2a、2b間に、操作レバー3と、この操作レバー3により移動される刃ユニット4と、操作レバー3を回転可能に支持するための支軸Jと、操作レバー3とシェル2との間に位置して抜き刃42及び切込刃43を初期位置に復帰させるための復帰用弾性体たる左右の巻きばねMと、アンビル5を組み込むようにしている。
【0033】
操作レバー3は、基端部312を支軸Jを介してシェル2に回転可能に枢支させた合成樹脂製のレバー本体31と、このレバー本体31の両側面に添接させた金属製の補強板32と、レバー本体31の基端部312から対をなして突出させた左右のアーム33とを具備してなる。レバー本体31は、先端側をシェル2に形成されたスリット21を介して外方に突出させているもので、その突出端部に指を掛けるための操作部311を備えている。レバー本体31と対をなす左右のアーム33とは合成樹脂により一体に成形されている。左右のアーム33は、それぞれ板状をなすもので、前記右・左のシェル要素2a、2bの内面と刃ユニット4との間に配されている。左右のアーム33の先端部には、刃ユニット4のドライブシャフト部413と係わり合う切欠部331を備えている。操作部311は、綴じ操作を行う場合に、親指の指の腹を好適に受けるような湾曲形状を有している。操作レバー3は、操作端である操作部311と支軸Jの軸心との距離を、作用端である切欠部331と支軸Jの軸心との距離よりも長く設定してなるものであり、換言すれば梃子による倍力機構を備えている。補強板32は、前後方向中央部の上縁部分に外方に延出する矩形の延出片321を備えており、巻きばねMの他端M2が当該延出片321の下面に接するようになっている。
【0034】
支軸Jは、右のシェル要素2aの円環状をなす軸保持部a41に嵌合する鍔部J11を有した段付き円筒体状をなす右の軸要素J1と、左のシェル要素2bの円環状をなす軸保持部b41に嵌合する鍔部J21を有した段付き円筒体状をなす左の軸要素J2とを具備してなるもので、右のシェル要素2aと左のシェル要素2bとを結合させることにより左右の軸要素J1、J2同士の軸心が一致し、一本の軸状をなすように構成されている。なお、左右の軸要素J1、J2の中間にはバネ保持部J12、J22が設けられておりこれら左右のバネ保持部J12、J22に巻装するようにして復帰用弾性体である巻きばねMを配置している。各巻きばねMの他端M2は、操作レバー3に固定されている。すなわち、巻きばねMの他端M2は、補強板32における延出片321の下面に一定の付勢力で圧接して位置している。一方、各巻きばねMの一端M1は、巻きばねMに与圧を与えた状態で右・左のシェル要素2a、2bのバネ止め部a45、b45に係合させてある。すなわち、操作レバー3は、左右の巻きばねMによって、アーム33が操作力を伝達する際に動く方向と逆の方向、換言すれば抜き刃42及び切込刃43を用紙Pから抜き取る方向に付勢されている。
【0035】
刃ユニット4は、右・左のシェル要素2a、2bの側壁a4、b4に形成された案内スリットa46、b46に案内されて一定の姿勢を維持しつつアンビル5に対して進退可能な樹脂製のスライド部材41と、このスライド部材41に取り付けられた抜き刃42と、この抜き刃42に隣接させて配された切込刃43と、抜き刃42の内側に配され、抜き刃42内に収まる初期姿勢(S)から抜き刃42外に突出する回動姿勢(K)との間でスライド部材41に軸413を介して回転可能に支持されたインナーカム44と、初期姿勢(S)に自己復帰する方向にインナーカム44を回動付勢するコイルスプリングCSとを具備してなる。
【0036】
スライド部材41は、樹脂により形成された略半割り構造をなすもので、右のスライド部材要素41aと左のスライド部材要素41bとを備えている。スライド部材41は、右・左のシェル要素2a、2bの側壁a4、b4に設けられた案内部たる案内スリットa46、b46に対して上下方向にスライド可能に係合する被案内部たる左右の突条411と、案内壁a47、b47によって形成されるスリットに対して上下方向にスライド可能に係合する前の突条412とを備えたブロック状のものである。スライド部材41は、左右に突出する軸413を備えており、これら軸413を介して操作レバー3に接続されている。すなわち、この軸413は、側面視円形をなしており操作レバー3の先端に設けられた長孔状の切欠部331に係わり合わせてある。このスライド部材41は、軸413の端面に軸413の形状と異なる形状をなす突条411を突設させてなるもので、樹脂により一体に形成されている。すなわち、このスライド部材41は、両側面にドライブシャフト部たる軸413と、被案内部たる縦長ブロック状の突条411とを合成樹脂により一体に形成してなる突起tkを備えている。インナーカム44を回動させるための軸414は、樹脂製のものであり、スライド部材41を構成する右のスライド部材要素41aに一体に形成されている。
【0037】
本実施形態では、スライド部材41を、その中央部分を境界にして左右に分割可能な構造、すなわち、一部の接続部材を除き、略左右対称形状とした半割り構造としているが、これら右・左のスライド部材要素41a、41b同士を合体させて結合する際に、右・左のスライド部材要素41a、41b間に、抜き刃42と、切込刃43と、インナーカム44と、コイルスプリングCSを組み込むようにしている。
【0038】
抜き刃42は、用紙Pに矢尻状の切起片P5を形成するためのものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られているものである。この抜き刃42は、左右に貫通孔421を有し、この貫通孔421とスライド部材41の軸414とが係合して上下方向の移動が規制されるとともに、右・左のスライド部材要素41a、41bの端面によって左右方向への移動が規制されるようになっている。
【0039】
切込刃43は、ゲタ状をなすスリットからなるカット孔P2を形成するものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られている。切込刃43は、第1のスリットL1を形成するための第1のブレードD1と、第1のブレードD1の途中から打ち抜き孔P1の方向に延びる第2のスリットL2を形成するための第2のブレードD2とを備えている。切込刃43の中央部分、より具体的には、切込刃43の第1のブレードD1には、用紙Pから打ち抜かれた切起片P5を通過させ切起片P5を係わり合わせるための窓D3が形成されている。なお、本実施形態においては、切込刃43の基端部に、当該切込刃43の基端部の形状に合致させた当接面を有するブロック体bcを取り付けるようにし、切込刃43にブロック体bcを取り付けた後に右・左のスライド部材要素41a、41b同士を突き合わせて刃ユニット4を完成させるようにしている。このため、ブロック体bcを用いることにより、切込刃43を支持するための右・左のスライド部材要素41a、41bの構造ができるだけ複雑にならないようにしている。
【0040】
インナーカム44は、基端にスライド部材41に形成されたインナーカム用の軸414挿通用の軸孔441を有すると共に、先端に切起片P5を切込刃43に設けられた窓D3に挿入させるための押し出し部442を備えている。また、インナーカム44の基端には、該インナーカム44を回動させるためのアーム443が突出させてある。
【0041】
以上のようにしてなる刃ユニット4は、操作レバー3を操作することで、アンビル5方向に移動されるようにしている。
【0042】
アンビル5は、抜き刃42と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿設するための刃貫通孔511と、切込刃43が通過する孔である穿孔部512とを備えたアンビル本体51と、このアンビル本体51に一体に設けられ用紙挿入用の隙間skの少なくとも奥側領域sk1を取り囲む形状の補強部52とを備えてなる金属製のものである。アンビル5は、用紙挿入用の隙間skに臨むアンビル本体51を備えるとともに、アンビル本体51を支持する側の部材Pbと抜き刃42及び切込刃43を支持する側の部材Bbに亘るように配されている。すなわち、アンビル5はその後部に、側面視においてコ字状をなす部分を有しており、そのコ字状をなす部分の内部に隙間skの奥側領域sk1を位置させるようにしている。換言すれば、アンビル5は、後方部分に側面視コ字状をなすアンビル構成部を有し、この側面視コ字状をなすアンビル構成部によって囲まれた部分に隙間skの奥側領域sk1を位置させるようにしている。
【0043】
詳述すれば、アンビル本体51は、平板状のもので、その両側縁に右・左のシェル要素2a、2bに係合させるための取付片513を備えている。取付片513は、外側方に延出する延出部分を備えておりその延出部分を右・左のシェル要素2a、2bのアンビル取付部a31、b31に嵌合させることによりシェル2のパンチ台構成部材Pbに取り付けられている。補強部52は、アンビル本体51の基端に位置する板状の基部523と、基部523から下方に延びてなり取付状態においてシェル2の奥壁すなわち右・左のシェル要素2a、2bにおける奥端壁a65、b65に沿う延出部分521と、その延出部分から屈曲して前方向に延びベース構成部材Bbの天壁すなわち右・左のシェル要素2a、2bにおける天壁a6、b6の下面に係わり合う屈曲部分522とを備えたものある。換言すれば、補強部52は、前記基部523と、シェル2の隙間skを形成する奥壁a65、b65の裏面に沿う延出部分521と、シェル2の隙間skを形成する天壁a6、b6の下面とに接するようにして取り付けられる屈曲部分522とを備えた側面視略コの字状をなす部分を有している。補強部52は、アンビル本体51の後部分から左右に対をなして形成されている。これら左右の補強部52とアンビル本体51とは板金素材に折り曲げ加工を施すことにより一体に作られている。このアンビル5における隙間skに臨む面と逆側の面は、シェル2の窓22を介して外部から視認可能に配置されており、その窓22には透明な窓カバー6が装着されている。
【0044】
窓カバー6は、前側から後方にスライドさせることによりシェル2に装着されるものでその後端にシェル2の上壁a2、b2に設けた係合部a21に係合する係合爪62を備えているとともに、前端に右・左のシェル要素2a、2bに設けた突起a32、b32を受け入れる係合孔61を備えている。この係合孔61は右のシェル要素2aの突起a32と左のシェル要素2bの突起b32とを結束してそれら両シェル要素2a、2bの先端部分が離間するのを防止する役割をも担っている。
【0045】
次に、この綴じ機1の作動を、図13及び図14を参照して説明する。
【0046】
操作レバー3を操作しない状態では、図13に示すように、抜き刃42及び切込刃43が待機位置(N)にある。また、スライド部材41は、下限位置に保持されており、インナーカム44が抜き刃42内に収容された初期姿勢(S)を保っている。この状態で、重ね合わせた複数枚の用紙Pをアンビル本体51と、シェル2の用紙支持面a61、b61との間に形成されている隙間skの奥まで挿入する。
【0047】
しかる後に、操作レバー3の操作端である操作部311を下方に操作すると、この操作レバー3に加えられた力が、支軸Jを介して、スライド部材41の上方への動きに変換して伝えられる。
【0048】
詳述すれば、操作者の親指の腹を操作レバー3の操作部311の上面に添接させるとともに、他の指(例えば人差し指と中指)をシェル2の後部下面に添接させて摘むようにして把持し、その状態から親指の腹と他の指とが相寄る方向に操作することにより、操作レバー3の操作部311を下方に移動させると、この操作レバー3は支軸Jを中心に回転動作し、操作レバー3の作用端であるアーム33が上方に移動する。その結果、刃ユニット4を上動させることになる。このようにして、操作レバー3の操作部311を下方に操作した力が、刃ユニット4に一体に形成された左右の軸413に伝達される。その結果、前記スライド部材41を上方に移動させることとなる。
【0049】
スライド部材41が上方に移動を始めると、このスライド部材41に取り付けられた抜き刃42及び切込刃43の先端が用紙Pの一面Paに当接し、この用紙Pがアンビル5に押し付けられる位置まで押し上げられる。そして、この位置から操作レバー3の操作部311をさらに下方に操作すると、抜き刃42及び切込刃43によって用紙Pがアンビル5に押しつけられた状態のまま、抜き刃42及び切込刃43が用紙Pを貫通し、その用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2が穿孔される。すなわち、抜き刃42及び切込刃43が穿孔位置(C)に位置することになる。この際に、抜き刃42及び切込刃43を操作するための操作力は、用紙Pを介してアンビル5にも伝達される。しかして、アンビル5が操作力を受け、アンビル5は抜き刃42及び切込刃43から離れる方向、すなわち上方向へ強力に付勢されることになる。
【0050】
穿孔後さらに、抜き刃42及び切込刃43が上昇すると、図14に示すように、抜き刃42の内部に配されるインナーカム44のアーム443がシェル2の天壁a6、b6の係止部a64に当接し、インナーカム44とスライド部材41との間に配されるコイルスプリングCSの付勢力に抗して、インナーカム44が回動姿勢(K)まで回動する。その結果、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pc側に切り起こされた切起片P5の先端P51側が、切込刃43の窓D3に挿入される。
【0051】
ついで、操作レバー3への操作を解除、すなわち、入力操作を解除すると、巻きばねMの反発力により刃ユニット4が抜き取り方向に移動を始め、コイルスプリングCSの付勢力によりインナーカム44が回動姿勢(K)から初期姿勢(S)に復帰する。そして、抜き刃42及び切込刃43が、巻きばねMの付勢力により没入側たる下方に移動し、用紙Pがアンビル5から引き離されながら抜き刃42及び切込刃43が用紙Pから抜き取られる。その際に、切込刃43の窓D3に挿入されている切起片P5がカット孔P2を通過して用紙Pの一面Pa側に抜き出され、図3及び図14に示すように、切込刃43により複数の用紙Pが結合される。
【0052】
本実施形態に係るものでは、アンビル5が、アンビル本体51と面一に連続して形成され隙間skの上側に位置する基部523と、シェル2の隙間skを形成する奥壁a65、b65の裏面に沿う延出部分521と、シェル2の隙間skを形成する天壁a6、b6の下面とに接するようにして取り付けられる屈曲部分522とを備えた側面視コ字状をなす部分を有した補強部52を備えているので、上述した作動説明において示したように、用紙Pを介してアンビル5から受ける操作力は、パンチ台構成部材Pbのみならず、ベース部構成部材Bb側にも分散して伝達されることになる。すなわち、アンビル5が操作力を受けた際には、その操作力が、アンビル本体51を支持するアンビル取付部a31、b31やシェル2の下壁a3、b3等のパンチ台構成部材Pbを形成する部位に伝達されるとともに、アンビル本体51と連続して一体に形成されている補強部52を支持する奥端壁a65、b65の背面や用紙支持面a61、b61の下面といったベース部構成部材Bbを形成する部位にも伝達されるようになっている。したがって、本実施形態にされるような補強部52を有するアンビル5を備えたものであれば、アンビル5に伝達される操作力を好適に分散することができ、樹脂によりシェル2を構成するものであっても、必要な強度を担保したシェル2の構成を比較的簡易な構成で実現することができる。特に、本実施形態に示されているものは、小型化の要請に柔軟に対応するべく半割分割構造をなす樹脂のみから作られるシェル2を用いているが、このシェル2に支持されるアンビル5の形状がシェル2のパンチ台構成部材Pb側に操作力を過度に集中させないものとなっているので、シェル2を小型化させるための設計の自由度が極めて高いものとなっている。
【0053】
以上に述べたように、本実施形態に係る綴じ機1は、アンビル5と抜き刃42及び切込刃43との間に形成される用紙挿入用の隙間skに複数枚の用紙Pを配設し、抜き刃42及び切込刃43をアンビル5方向に移動させて用紙Pに貫通させ、それら抜き刃42及び切込刃43とアンビル5との協働により用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成し、打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5の先端P51部分をカット孔P2に挿通させることにより用紙Pを相互に綴じることができるようにしており、アンビル5は、用紙挿入用の隙間skに臨むアンビル本体51を備えるとともに、アンビル本体51を支持する側の部材Pbと抜き刃42及び切込刃43を支持する側の部材Bbに亘るように配されている。このため、アンビル5が用紙Pを穿孔する際に過大な操作力を受けても、その操作力を抜き刃42及び切込刃43を支持する側の部材にも分散させることができ、アンビルを支持する側の部材と抜き刃及び切込刃を支持する側の部材との境界部分に大きな応力が作用するという従来の不具合を比較的簡易な構成によって抑制することができるものとなっている。より具体的には、アンビル5が、用紙挿入用の隙間skの少なくとも奥側領域sk1を取り囲む形状の補強部52を備えており、補強部52の少なくとも一部が抜き刃42及び切込刃43を支持する側の部材に係合している。したがって、アンビル5が用紙Pを穿孔する際に過大な操作力を受けても、補強部52を介して操作力を抜き刃42及び切込刃43を支持する側の部材にも分散させることができるため、アンビルを支持する側の部材と抜き刃及び切込刃を支持する側の部材との境界部分に大きな応力が作用するという従来の不具合を比較的簡易な構成によって抑制することができるものとなっている。このため、本実施形態の綴じ機1は、先に述べた事情によって設計の自由度が制限されるという課題を解消するものとなり、構成の簡略化や部品点数の削減を図るための設計を容易にすることができる。
【0054】
アンビル5が、用紙挿入用の隙間skに臨むアンビル本体51と、アンビル本体51に一体に設けられた補強部52とを備えた金属製のものであるので、強度に優れるとともに比較的容易に成形することができるものとなる。
【0055】
アンビル本体51を支持する側の部材であるパンチ台構成部材Pbと、抜き刃42及び切込刃43を支持する側の部材であるベース部構成部材Bbとを、合成樹脂により一体に成型することにより、外装カバーを兼ねたシェル2を構成しているので、小型化、軽量化を実現し得る綴じ機1の設計を容易にすることができるものとなる。
【0056】
シェル2が、右のシェル要素2aと左のシェル要素2bとを合体させてなる左右に分割可能なものであるので、綴じ機1を構成する操作レバー3、支軸J、巻きばねM、刃ユニット4、アンビル5等の内部構成部材を組み付け容易な構成にし易くなり、綴じ機1全体の小型化を実現し易いものとなる。
【0057】
抜き刃42及び切込刃43をスライド部材41により保持させてなる刃ユニット4を備えてなり、スライド部材41がその両側にシェル2に設けた案内部たる案内スリットa46、b46に案内される被案内部たる突条411とシェル2に枢着された操作レバー3からの操作力を受けるドライブシャフト部たる軸413とを一体に備えた突起tkを有したものとしているので、限られたシェル2内部の収容空間に効率良くスライド部材41を配することができるものとなる。
【0058】
スライド部材41が、右のスライド部材要素41aと左のスライド部材要素41bとを合体させてなる左右に分割可能なものであり、右・左のスライド部材要素41a、41bの側面に突起tkをそれぞれ設けているので、刃ユニット4を構成する抜き刃42、切込刃43、インナーカム44及びコイルスプリングCS等の内部構成部材を組み付け容易な構成にし易くなり、刃ユニット4全体の小型化を実現し易いものとなる。
【0059】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0060】
アンビルは、アンビル本体を支持する側の部材と前記抜き刃及び切込刃を支持する側の部材に亘るように配されていればよく、本実施形態に示されるものには限定されない。例えば、側面視略コの字状の形状をなすものの他、例えば、側面視C字状や側面視V字状のものであってもよい。
【0061】
アンビルの補強部は、用紙挿入用の隙間の少なくとも奥側領域を取り囲む形状のものであればよく、本実施形態に示されるものには限定されない。例えば、側面視L字状やコ字状の形状をなすものの他、例えば、側面視C字状や側面視V字状のものであってもよい。
【0062】
前記アンビルは、金属製のものには限られず、一定の強度を有した硬質樹脂製のものや、セラミック製のもの等を適宜採用しても良い。
【0063】
シェルは、いわゆる半割分割構造のものには限定されるものではなく、種々の構造のものを採用することができる。また、シェルの材質は、本実施形態で示されるような合成樹脂製のもの以外でもよく、金属製のものやセラミック製のもの等、種々のものが考えられる。
【0064】
本実施形態における説明では、用紙挿入用の隙間の奥側領域を取り囲むアンビルの補強部の形状は、「側面視」においてコ字状をなすとしているが、これに限られるものではない。すなわち、補強部の形状は、用紙挿入用の隙間が形成される態様に対応するものであり、仮に、上下方向に延びる態様で用紙挿入用の隙間が形成されている綴じ機にアンビルが適用されれば、補強部は「平面視」においてコ字状をなすものとなる。
【0065】
また、上述した実施形態におけるシェルは、外装カバーを兼ねたものとしているが、シェルとは別に外装カバーを設けるようにしても良い。
【0066】
刃ユニットの突起は、基端側に被案内部を形成し、その基端側に形成された被案内部の端面にドライブシャフト部を形成するようにしても良い。
【0067】
刃ユニットのスライド部材は、いわゆる半割分割構造のものには限定されるものではなく、種々の構造のものを採用することができる。
【0068】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0069】
1…綴じ機
4…パンチ台
5…アンビル
42…抜き刃
43…切込刃
52…補強部
sk…隙間
P…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンビルと抜き刃及び切込刃との間に形成される用紙挿入用の隙間に複数枚の用紙を配設し、前記抜き刃及び切込刃をアンビル方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とアンビルとの協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に綴じることができるようにした綴じ機であって、
前記アンビルが、用紙挿入用の隙間に臨むアンビル本体を備えるとともに、前記アンビル本体を支持する側の部材と前記抜き刃及び切込刃を支持する側の部材に亘るように配されていることを特徴とする綴じ機。
【請求項2】
前記アンビルが、前記アンビル本体に一体に設けられた補強部を備えてなり、前記補強部が前記用紙挿入用の隙間の少なくとも奥側領域を略コの字状に取り囲む形状をなすとともに、前記補強部の少なくとも一部が前記抜き刃及び切込刃を支持する側の部材に係合している請求項1記載の綴じ機。
【請求項3】
前記アンビル本体を支持する側の部材と、前記抜き刃及び切込刃を支持する側の部材とを、一体に成型することにより、外装カバーを兼ねたシェルを構成している請求項1又は2記載の綴じ機。
【請求項4】
前記抜き刃及び切込刃をスライド部材により保持させてなる刃ユニットを備えてなり、前記スライド部材がその両側に前記シェルに設けた案内部に案内される被案内部と前記シェルに枢着された操作レバーからの操作力を受けるドライブシャフト部とを備えた突起を有したものである請求項3記載の綴じ機。
【請求項5】
前記スライド部材が、右のスライド部材要素と左のスライド部材要素とを合体させてなる左右に分割可能なものであり、前記右・左のスライド部材要素の側面に前記突起をそれぞれ設けている請求項4記載の綴じ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−86268(P2013−86268A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225573(P2011−225573)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)