説明

綿棒

【課題】高い吸水性を確保しつつ拭き取り性能をさらに高めた綿棒を提供する。
【解決手段】軸棒1の端部に取り付けられた綿塊部2をマイクロファイバーで形成された布体3で被覆する。前記布体は、マイクロファイバー生地を超音波溶着により袋状に形成したものを裏返して用いられ、当該裏返された布体が前記綿塊部に被せられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は綿棒に関し、特に、精密機器清掃用の綿棒に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、綿棒は、軸棒の端部に綿繊維が塊状に巻き付けられ形成され、耳の掃除用具、医療用具、精密機械清掃用具等として広範に使用されている。
【0003】
綿棒の先端に形成された綿塊部は綿繊維が互いに絡み合って巻き付いているだけであるため、綿繊維のほつれがあり、綿繊維が脱離しやすく、綿棒を精密機器の清掃用に用いる場合は、被清掃物に綿繊維が残るのを防止する必要がある。そのため、例えば、下記特許文献1は、綿繊維の脱離を防止するために、綿塊部を発泡体で被覆する綿棒について提案している。
【0004】
一方で、綿繊維による拭き取り性能には限界があり、ミクロの塵を拭き取る工業用の精密機器清掃用としては用途が限定されている。
【0005】
近年、マイクロファイバーと呼ばれる超極細繊維を使用して、発塵性がなく且つ拭き取り性能が高いたワイピングクロスが普及している。しかしながら、ワイピングクロス自体は吸水性が綿繊維より劣るため、洗浄液が十分に含浸せず、洗浄液を用いた清掃にはあまり適さない。
【特許文献1】特開2005−349296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、高い吸水性を確保しつつ拭き取り性能をさらに高めた綿棒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の綿棒は、軸棒の端部に取り付けられた綿塊部をマイクロファイバーで形成された布体で被覆する構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、綿塊部をマイクロファイバーで被覆しているので、表面のマイクロファイバーにより、綿繊維よりも高性能な拭き取りが可能となるとともに、内部の綿繊維により洗浄液を十分に吸収することができるので、洗浄液を用いた清掃において、綿繊維からしみ出る洗浄成分がマイクロファイバーに伝わり、拭き取り効果をさらに高めることができる。綿塊部から脱離した綿繊維も外部に漏れず、綿塊部自体から発生する塵が低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態における綿棒の平面図であり、図2は断面図である。図示されるように、綿棒は、軸部1の端部に綿繊維を巻き付けて綿塊部2が形成される。綿塊部2は、軸部1の両端部に形成されていてもよい。そして、綿塊部2はマイクロファイバーによる布体3で被覆される。布体3は綿塊部2から外れないように固定具4で固定される。
【0011】
軸部1は、紙、木、プラスチック(ポリカーボネイト)、金属(アルミ等)で形成され、その径は1〜3mm(具体的には1.5mm、2.5mm)程度である。また、軸棒1の長さは、例えば150mm程度である。
【0012】
綿塊部2は、細円柱状又は球形状に綿繊維で形成されるが、必要な吸水性を確保できるのであれば、合成繊維(ナイロン繊維、レーヨン繊維など)や、綿繊維と合成繊維を混合した混合繊維が用いられてよい。綿塊部2の径は、精密機器清掃用では、通常、1〜5mm(例えば、1.25mm)程度である。なお、各寸法は一例であり、用途に応じて任意の寸法を採用可能である。
【0013】
布体3は、マイクロファイバーを用いたワイピングクロス生地により綿塊部2を被覆する袋状に形成され、綿塊部2に被せられる。図3は、布体3を綿塊部2に被せる工程を示す図である。マイクロファイバーは、繊維の径が1デシテックス以下の超極細繊維であり、本明細書では、マイクロファイバーより細い繊維と言われるナノファイバーも含むものとする。現在多種多様のマイクロファイバー生地が入手可能であるが、好ましくは、0.1デシテックス(1〜5ミクロン)程度の太さのマイクロファイバーを使用した生地が用いられる。また、厚さは例えば0.3mm程度の生地が用いられる。
【0014】
布体3は、次の工程により袋状に作成される。
【0015】
(1)マイクロファイバー生地を2つ折りにする。2つ折りされた生地の長さは布体3の長さ程度である。生地の幅は綿塊部2の径より広い。折り目部分は、袋状の底部を構成する。
【0016】
(2)綿塊部2の径に合わせた所定幅で、2つ折りされたマイクロファイバー生地を超音波溶着機により折り目方向(幅方向)と直角方向(長さ方向)に切断し、その切断箇所を瞬時に溶着する。これにより、両側部が形成され、袋状の布体3が完成する。
【0017】
(3)袋状に形成された布体を裏返し、裏返した布体3の開口部分3aから布体3を綿塊部2に被せる(図3参照)。
【0018】
超音波溶着により側部が形成された布体3を裏返すのは、超音波溶着された側部の縁には、溶着による接合部分ができるため、その接合部分を内側に隠すためである。接合部分の拭浄性は他の生地面より落ちるが、裏返すことで、布体3の全周囲を高性能な拭き取り部分とすることができる。
【0019】
固定具4は、円筒状の熱収縮性プラスチックであり、綿塊部2に被せられた袋状の布体3を、外れないように軸部1に固定する。布体3を綿塊部2に被せた後、固定具4を嵌めて加熱することで固定具4が収縮し、布体3は綿塊部に被せられた状態で軸部1に固定される。
【0020】
このようにして得られる本発明の綿棒は、マイクロファイバーを用いて袋状に形成されたワイピングクロス(布体3)を綿塊部2を被覆するように綿棒の軸部1の先端に巻き付けられるので、綿塊部2に洗浄液を十分に含浸させ、洗浄液を用いたマイクロファイバーによる塵(ミクロリント)の拭き取りが可能となり、拭き取り性能が飛躍的に向上する。また、綿塊部2から脱離する綿繊維は布体3から外部に漏れないため、被清掃物に綿繊維の塵が残る不都合もなく、精密機器などの清掃に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態における綿棒の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における綿棒の断面図である。
【図3】布体3を綿塊部2に被せる工程を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1:軸棒、2:綿塊部、3:布体、4:固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸棒と、
前記軸棒の端部に取り付けられる綿塊部と、
前記綿塊部を被覆し、マイクロファイバーで形成される布体とを備えることを特徴とする綿棒。
【請求項2】
請求項1において、
前記布体は、マイクロファイバー生地を超音波溶着により袋状に形成したものを裏返して用いられ、当該裏返された布体が前記綿塊部に被せられることを特徴とする綿棒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−410(P2010−410A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159243(P2008−159243)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(591159228)東和化成株式会社 (4)
【Fターム(参考)】