説明

線形施設の維持管理支援方法およびプログラム

【課題】従来のシミュレーション方法を実際の補修・修繕対象区間の設定に適合させることを可能にする線形施設の維持管理支援方法を提供する。
【解決手段】連続した複数の区間の各々について定められた指標値が最小又は最大である初期抽出区間を抽出する第1ステップと、初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値の大小、又は複数区間の指標値の加重平均値の大小、又は複数区間の指標値の合計値の大小、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値の大小の比較を行って、より小さい又は大きい単一区間又は複数区間を選択し、選択した区間を初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成する第2ステップと、予め定められた設定条件が満たされるまで、補修・修繕候補区間について第2ステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出する第3ステップとを含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線形施設の維持管理支援方法およびプログラムに関する。線形施設とは、連続した複数の区間によって構成される施設のことを意味し、例えば、道路、上下水道、斜面擁壁、河川護岸、運河、農業用水路、トンネル、鉄道レール等の軌道施設、ガードレールや防護柵等の柵類、街灯、街路樹などが含まれる。なお、個々の街灯や街路樹は離散的に設置又は植栽されており、厳密に言うと「連続」しているとは言い難いが、街灯や街路樹全体として見ると、「連続した施設」とみなすことができるので、本発明においては、線形施設に含めるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来、道路舗装を始めとする線形施設の補修・修繕計画は、以下に示す6ステップの計算ルーティンにより得られる区間単位のライフサイクルコスト(以下「LCC」という)及び指標値の推移のシミュレーション結果を基にして、単年度ごとに作成されている。
第1ステップ:各区間における指標値の初期設定
第2ステップ:各区間における指標値の推移の予測(これを劣化予測という)
第3ステップ:劣化予測後における指標値による補修・修繕対象区間の抽出
第4ステップ:補修・修繕対象区間の補修・修繕費の算定
第5ステップ:補修・修繕対象区間の指標値の回復
第6ステップ:指標値の回復の結果を反映した初期値の設定
ここで、指標値とは、各区間毎に設定される補修・修繕対象を判断するための1又は複数の定量値(例えば、舗装におけるわだち掘れ量、ひび割れ率、平坦性)のことを意味し、区間とは、指標値が設定される最小単位の領域のことを意味する。また、補修・修繕対象区間とは、補修・修繕工事が実施され又は実施が想定される複数の区間の集合体(以下「ユニット」という)を意味し、補修・修繕対象区間は、設定された指標値および工事の効率性などを考慮して決定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に、線形施設の補修・修繕は、工事の効率性などの観点から、補修・修繕すべき区間を含む、連続した複数の区間において行われる。すなわち、補修・修繕計画を策定するためのシミュレーションが区間毎に行われるのに対して、実際に補修・修繕が行われる最小単位は、複数の連続した区間の集合体である。このことを、道路舗装の補修・修繕を例にとり、図7を参照してより詳細に説明する。いま、対象となる道路が10区間に分割されており、このうち第<3>区間、第<5>区間、第<7>区間および第<8>区間が補修・修繕が必要な区間であり、その他の区間は補修・修繕が不要な区間であると仮定する。したがって、この道路については、上記の4区間のみを補修・修繕すれば足りるはずである。しかし、道路舗装工事を行う際には、種々の設備の運搬、作業員の手配、交通規制(例えば、片側通行)などを実施する必要があり、それらの実施にはかなりのコストを要する。そのため、実際の工事は、作業及び費用の効率性を考慮して、補修・修繕すべき箇所を含む、連続した複数の区間(すなわち、ユニット)を単位として行われている(図7の例では、工事が行われるユニットは、例えば第<3>区間〜第<8>区間となる)。
【0004】
また、道路以外の他の線形施設、上下水道の管渠、斜面擁壁、河川護岸、運河、農業用水路、トンネル、鉄道レール等の軌道施設、ガードレールや防護柵等の柵類、街灯、街路樹などにおいても、上述の道路舗装の補修・修繕とほぼ同様に、補修・修繕や剪定作業が行われている。
【0005】
このように、“区間”と“ユニット”が相違することにより、将来にわたる区間の指標値の推移やLCCに大きな差異が引き起こされるため、従来のシミュレーション方法では、ユニットで考えるべき補修・修繕工事区間の設定に十分に適合しているものと言えないという課題があった。
【0006】
ここで、“区間”と“ユニット”の相違が区間の指標値の推移やLCCの大きな差異を引き起こすことについて、図8を参照して詳細に説明する。図8(a)は、12区間からなる線形施設のt年度における指標値を示している。この線形施設の補修・修繕計画を策定するに際して、工事実施可能区間が5区間/年度であり、かつ、指標値の小さい順から工事を行うものとする。すると、t年度に工事される区間は、第<1>、第<4>、第<5>、第<8>、および第<12>区間となる(図8(b)参照)。次いで、図8(b)の状態から1年経過した(t+1)年度を考えてみると(その際、工事実施区間では指標値が8.3に回復し、工事を実施しなかった区間では指標値が0.2/年度ずつ減少するものと仮定する)、図8(c)のようになる。しかしながら、上述のように、効率性を考慮して、実際の工事が連続した区間で行われることとすると、(t+1)年度において実際に工事される区間は、例えば図8(d)に示されるようなものになる。そこで、計画策定上での(t+1)年度の状態(図8(c))と実際の(t+1)年度の状態(図8(d))とを比較すると、計画と実際との間に、場合によっては致命的とも言える矛盾が生ずることがある。例えば、第1区間に着目すると、計画策定上では工事が実施されているため指標値が高く(8.3)、工事対象外となるが、実際には、最も指標値が低く(3.1)、計画策定上の基準に従うと、(t+1)年度には工事が実施されるべき区間となる。この例以外にも、種々の矛盾が生じ得る。
【0007】
本発明は、上述のような状況に鑑みて開発されたものであって、従来のシミュレーション方法を実際の補修・修繕対象区間の設定に適合させることを可能にする線形施設の維持管理支援方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に記載の連続した複数の区間によって構成される線形施設の維持管理支援方法は、前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、前記指標値が最小又は最大である初期抽出区間を抽出する第1ステップと、前記初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値の大小、又は複数区間の指標値の加重平均値の大小、又は複数区間の指標値の合計値の大小、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値の大小の比較を行って、より小さい又は大きい単一区間又は複数区間を選択し、選択した区間を前記初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成する第2ステップと、予め定められた設定条件が満たされるまで、前記補修・修繕候補区間について前記第2ステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出する第3ステップとを含むことを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項2に記載の連続した複数の区間によって構成される線形施設の維持管理支援方法は、前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、前記指標値が予め定められた管理基準を満たし且つ最小又は最大である初期抽出区間を抽出する第1ステップと、前記初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値、又は複数区間の指標値の加重平均値、又は複数区間の指標値の合計値、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値、又は前記単一区間と前記初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は前記複数区間と前記初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は前記単一区間と前記初期抽出区間の指標値の合計値、又は前記複数区間と前記初期抽出区間の指標値の合計値が、前記管理基準を満たしている場合には、前記初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成する第2ステップと、予め定められた設定条件が満たされるまで、前記補修・修繕候補区間について前記第2ステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出する第3ステップとを含むことを特徴とするものである。
【0010】
本願請求項3に記載の連続したm個(m:3又はそれ以上の整数)の区間によって構成される線形施設の維持管理支援方法は、前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、第i区間から第(n−1+i)区間(n:2又はそれ以上であって前記mより小さい整数,i=1,・・・,m−n+1までの整数)までの指標値の加重平均値、又は合計値を算出する第1ステップと、前記第1ステップで算出された加重平均値、又は合計値のうち最小又は最大のものを選択し、前記選択した加重平均値又は合計値に対応する区間の集合体を補修・修繕対象区間とする第2ステップとを含むことを特徴とするものである。
【0011】
本願請求項4に記載の線形施設の維持管理支援方法は、前記請求項1から請求項3までのいずれか1項の方法において、前記加重平均値を算出する際における重みが、長さ、面積、体積、重量、又は密度のいずれかであることを特徴とするものである。
【0012】
本願請求項5に記載の連続した複数の区間によって構成される線形施設の維持管理支援プログラムは、前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、前記指標値が最小又は最大である初期抽出区間を抽出して記憶装置に格納する第1ステップと、前記初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値の大小、又は複数区間の指標値の加重平均値の大小、又は複数区間の指標値の合計値の大小、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値の大小の比較を行って、より小さい又は大きい単一区間又は複数区間を選択し、選択した区間を前記初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成し記憶装置に格納する第2ステップと、予め定められた設定条件が満たされるまで、前記補修・修繕候補区間について前記第2ステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出して記憶装置に格納する第3ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【0013】
本願請求項6に記載の連続した複数の区間によって構成される線形施設の維持管理支援プログラムは、前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、前記指標値が予め定められた管理基準を満たし且つ最小又は最大である初期抽出区間を抽出して記憶装置に格納する第1ステップと、前記初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値、又は複数区間の指標値の加重平均値、又は複数区間の指標値の合計値、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値、又は前記単一区間と前記初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は前記複数区間と前記初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は前記単一区間と前記初期抽出区間の指標値の合計値、又は前記複数区間と前記初期抽出区間の指標値の合計値が、前記管理基準を満たしている場合には、前記初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成し記憶装置に格納する第2ステップと、予め定められた設定条件が満たされるまで、前記補修・修繕候補区間について前記第2ステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出して記憶装置に格納する第3ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【0014】
本願請求項7に記載の連続したm個(m:3又はそれ以上の整数)の区間によって構成される線形施設の維持管理支援プログラムは、前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、第i区間から第(n−1+i)区間(n:2又はそれ以上であって前記mより小さい整数,i=1,・・・,m−n+1までの整数)までの指標値の加重平均値、又は指標値の合計値を算出して記憶装置に格納する第1ステップと、前記第1ステップで算出された加重平均値、又は合計値のうち最小又は最大のものを選択し、前記選択した加重平均値又は合計値に対応する区間の集合体を補修・修繕対象区間として記憶装置に格納する第2ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【0015】
本願請求項8に記載の線形施設の維持管理支援プログラムは、前記請求項5から請求項7までのいずれか1項のプログラムにおいて、前記加重平均値を算出する際における重みが、長さ、面積、体積、重量、又は密度のいずれかであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の方法およびプログラムにより、現実に近いシミュレーション結果を用いて、種々のパターンの線形施設の補修・修繕計画を検討することができるようになった。また、線形施設の補修・修繕計画が実際の補修・修繕の工事区間の設定に適用することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、道路舗装の補修・修繕工事を例として、本発明の第1の実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法の手順を概略的に示したフロー図である。まず最初に、各区間における指標値の初期値を設定する(ステップA)。次いで、各区間における指標値の推移を予測する(ステップB)。或いは、各区間における指標値の初期値の設定(ステップA)のみで足りる場合もある。
【0018】
次いで、補修・修繕対象区間(ユニット)を抽出する(ステップC)。ステップCは、本発明の特徴をなすステップである。図2を参照して、ステップCについて説明する。図2は、補修・修繕の対象となる道路が12区間に分割されている状態を示した模式図である(各区間は、簡単のため、長さがそれぞれ100mであり、幅が同一であると仮定する)。図2において、各区間に示されている数値が指標値であり、道路の劣化状態を定量的に示したMCI(Maintenance Control Index)という数値である。MCIは、国土交通省も採用している指標であり、数値が小さい程、劣化している(換言すると、補修・修繕の必要がある)ことを示している。図2において示されるMCIは、ステップA又はステップBにおいて算出されたものである。なお、MCIの算出方法自体は、公知の事項である。
【0019】
本発明の維持管理支援方法においては、設定条件が定められる(本例での設定条件は、補修・修繕工事の区間長=500mであるが、例えば、面積なども設定条件とすることができる)。
【0020】
ステップCにおいては、まず、12区間のうち、MCIが最小の区間を抽出する(図2(a)参照。本例では、第<5>区間のMCIが“2.8”であるので、第<5>区間となる)。この区間を「初期抽出区間」という。
【0021】
次いで、第<5>区間に隣接する区間(すなわち、第<4>区間と第<6>区間)を比較し、MCIがより小さい区間を抽出する(図2(b)参照。本例では、第<6>区間の“4.2”よりも第<4>区間の“3.5”の方が小さいので、第4区間となる)。
【0022】
次いで、第<4>区間および第<5>区間に隣接する区間(すなわち、第<3>区間と第<6>区間)を比較し、MCIがより小さい区間を抽出する(図2(c)参照。本例では、第<3>区間の“5”よりも第<6>区間の“4.2”の方が小さいので、第<6>区間となる)。
【0023】
次いで、第<4>区間〜第<6>区間に隣接する区間(すなわち、第<3>区間と第<7>区間)を比較し、MCIがより小さい区間を抽出する(図2(d)参照。本例では、第<3>区間の“5”よりも第<7>区間の“3.6”の方が小さいので、第<7>区間となる)。
【0024】
次いで、第<4>区間〜第<7>区間に隣接する区間(すなわち、第<3>区間と第<8>区間)を比較し、MCIがより小さい区間を抽出する(図2(e)参照。本例では、第<3>区間の“5”よりも第<8>区間の“3.1”の方が小さいので、第<8>区間となる)。
【0025】
以上において、第<4>区間〜第<8>区間が抽出されたが、区間長が500mとなり、上述の設定条件を満たすこととなったので、第<4>区間〜第<8>区間を補修・修繕対象区間(ユニット)と決定する(図2(f)参照)。
【0026】
ステップCにおいて補修・修繕対象区間(ユニット)が抽出された後、抽出されたユニットの補修・修繕費を算出する(ステップD)。次いで、抽出されたユニットの指標値を回復する(ステップE)。ステップDおよびステップEは、従来の方法と同様である。
【0027】
次に、上述の例と同様に、道路舗装の補修・修繕工事を例として、本発明の第2の実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法について説明する。本発明の第2の実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法では、第1の実施の形態に係る維持管理支援方法と相違して、予め定められた管理基準を満たしているか否かを判定するという条件が付加されている。ここで「管理基準」とは、単一区間又は連続した複数区間の集合体が、補修・修繕の対象となるか否かの判断を行う際の基準のことをいい、管理基準を満たしていれば、補修・修繕工事が必要であると判断されるものとする。なお、本発明の第2の実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法は、ステップCのみ、第1の実施の形態に係る方法と相違しているため、ステップCのみについて説明し、ステップA、B、D、Eの説明は省略する。
【0028】
第2の実施の形態についての説明では、対象となる道路が28区間に分割されており、各区間についてMCIが算出されているものとする(図3参照)。また、第2の実施の形態においても、設定条件が定められる(本例では、補修・修繕工事の最低区間長を300m、各区間を100m、工事間隔距離を100m以下、工事予算の総額を1500万円、1区間当たりの工事費を100万円と設定する)。また、上述の管理基準は、MCI≦3.5とする。
【0029】
まず、ステップCでは、管理基準を満たし且つMCIが最小の区間を抽出し、初期抽出区間とする。本例では、MCIが“2.6”である第<21>区間となる(図3(a)参照)。次いで、第<21>区間に隣接する区間(すなわち、第<20>区間と第<22>区間)を参照し、管理基準を満たしていれば初期抽出期間に結合する(このようにして結合された区間の集合体を仮ユニットという。換言すると、「仮ユニット」とは、補修・修繕対象区間(ユニット)として未だ確定していない区間の集合体を意味する)。本例では、第<20>区間、第<22>区間の両方とも管理基準を満たしているので、両方の区間を結合する(図3(b)参照)。なお、本実施の形態において定められる設定条件の1つである「工事間隔距離」とは、仮ユニットと、仮ユニットとの結合が検討されている単一区間又は複数区間が管理基準を満たさなかった場合に検討される単一区間又は複数区間との間の距離を意味する。図4において、Aを仮ユニットとの結合が検討されている単一区間又は複数区間、BをAが管理基準を満たさなかった場合に検討される単一区間又は複数区間とすると、Cが工事間隔距離となる。
【0030】
次いで、第<20>区間および第<22>区間に隣接する区間(すなわち、第<19>区間と第<23>区間)を参照すると、第<23>区間は管理基準を満たしているので仮ユニットに結合するが、第<19>区間は管理基準を満たしていないので仮ユニットに結合しない(図3(c)参照)。
【0031】
ここで、第<19>区間に隣接する第<18>区間を参照すると(図3(c)参照)、第<18>区間も管理基準を満たしていない。第<18>区間と第<20>区間との間の距離は100mであるので、仮に第<17>区間が管理基準を満たしていたとしても、「工事間隔距離を100m以下」とする設定条件を満たしていないので、左方での仮ユニットへの結合は、第<20>区間で終りとなる。
【0032】
仮ユニットの右方の区間については、上述の手順を繰り返すことにより、第<24>区間、第<25>区間、第<26>区間が仮ユニットにそれぞれ結合され、第<20>区間〜第<26>区間までの計7区間が補修・修繕対象区間(ユニット)として決定する(図3(d)参照)。
【0033】
一方、以上の7区間では、工事費が700万円(=100万円×7)であり、設定条件の工事予算総額1500万円に対して800万円の余裕がある。そこで、上記ユニット以外の区間において、管理基準を満たし且つMCIが最小の区間を抽出し、第2抽出区間とする。本例では、MCIが“2.8”である第<7>区間が第2抽出区間となる(図3(e)参照)。
【0034】
次いで、第<7>区間に隣接する区間である第<6>区間と第<8>区間を参照し、MCIが管理基準を満たしていれば第2抽出区間に結合する。本例では、第<6>区間、第<8>区間の両方とも管理基準を満たしているので、両方の区間を第2抽出区間に結合して仮ユニットを形成する(図3(f)参照)。
【0035】
ここで、第<6>区間に隣接する第<5>区間を参照すると、第<5>区間は管理基準を満たしていない。さらに、第<5>区間に隣接する第<4>区間を参照すると(図3(g))、第<4>区間は管理基準を満たしており、かつ、第<4>区間と第<6>区間との間の距離は100mであり、「工事間隔距離を100m以下」とする設定条件を満たしているので、第<4>区間と第<5>区間を仮ユニットに結合する(図3(h)参照)。
【0036】
仮ユニットの左方の区間については、上述の手順を繰り返すことにより、第<2>区間、第<3>区間が仮ユニットにそれぞれ結合される。これに対して、仮ユニットの右方の区間については、上述の手順を繰り返すことにより、仮ユニットへの結合は、第<8>区間で終りとなる(図3(i)参照)。これにより、第<2>区間〜第<8>区間までの計7区間が第2の補修・修繕対象区間(ユニット)として決定する。
【0037】
以上の2つのユニットの工事費は、1400万円(=100万円×14)であり、工事予算総額1500万円に対して100万円の余裕がある。しかしながら、100万円では、1区間しか工事ができず、補修・修繕工事の最低区間長(=300m)を満たさないこととなる。したがって、本例においては、第<2>区間〜第<8>区間と第<20>区間〜第<26>区間が補修・修繕対象区間(ユニット)となる(図3(i))。
【0038】
次に、同様に道路舗装の補修・修繕工事を例として、本発明の第3の実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法について説明する。本発明の第3の実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法は、第2の実施の形態に係る維持管理支援方法と同様に、管理基準を満たしているか否かを判定するという条件が付加されている。なお、第3の実施の形態に係る方法も、第2の実施の形態に係る方法と同様に、ステップCのみについて説明し、ステップA、B、D、Eについては、第1の実施の形態に係る方法と実質的に同様であるので、その説明を省略する。
【0039】
第3の実施の形態についての説明では、対象となる道路が19区間に分割されており、各区間についてMCIが算出されているものとする(図5参照)。また、第3の実施の形態においても、設定条件が定められる(本例では、補修・修繕工事の最低区間長を300m、各区間を100m、工事間隔距離を100m以下と設定する。工事予算額については制限を設けない)。また、管理基準は、ユニットの平均MCI≦3.5とする。なお、工事間隔距離は、第2の実施の形態の場合と同様に定義される。
【0040】
まず、ステップCでは、管理基準を満たし且つMCIが最小の区間を抽出し、初期抽出区間とする(図5(a)参照。本例では、MCIが“2.9”である第<6>区間となる)。次いで、第<6>区間に隣接する区間(すなわち、第<5>区間と第<7>区間)を参照し、初期抽出区間と第<5>区間の平均MCIを計算して(平均MCI=3.15)管理基準と比較し、管理基準を満たしている場合には初期抽出区間に結合して仮ユニットを形成する。本例では、管理基準を満たしているので、第<5>区間を初期抽出区間に結合する(図5(b)参照)。また、初期抽出区間と第<7>区間の平均MCIを計算して(平均MCI=3.20)管理基準と比較し、管理基準を満たしている場合には初期抽出区間に結合して仮ユニットを形成する。本例では、管理基準を満たしているので、第<7>区間を仮ユニットに結合する(図5(c)参照)。
【0041】
次いで、第<5>区間〜第<7>区間(仮ユニット)に隣接する区間(すなわち、第<4>区間と第<8>区間)を参照し、仮ユニットと第<4>区間の平均MCIを計算して(平均MCI=3.53)管理基準と比較し、管理基準を満たしている場合には仮ユニットに結合する。本例では、管理基準を満たしていないので、第<4>区間を仮ユニットに結合しない。また、仮ユニットと第<8>区間の平均MCIを計算して(平均MCI=3.18)管理基準と比較し、管理基準を満たしている場合には仮ユニットに結合する。本例では、管理基準を満たしているので、第<8>区間を仮ユニットに結合する(図5(e)参照)。
【0042】
ここで、第<4>区間に隣接する第<3>区間を参照すると、第<3>区間、第<4>区間と仮ユニットの平均MCIは3.40であり(図5(f)参照)、管理基準を満たしており、かつ、第<3>区間と第<5>区間との間の距離は100mであり、「工事間隔距離を100m以下とする」とする設定条件を満たしているので、第<3>区間と第<4>区間を仮ユニットに結合する(図5(g)参照)。一方、第<8>区間に隣接する第<9>区間を参照すると、第<9>区間と仮ユニットの平均MCIは3.40であり(図5(g)参照)、管理基準を満たしているので、第<9>区間を仮ユニットに結合する(図5(h)参照)。
【0043】
仮ユニットの左方の区間については、第<2>区間、第<1>区間の処理において、いずれも管理基準を満たしていない(前者では平均MCIは3.66(図5(h))、後者では平均MCIは3.89(図5(j))となる)ので、左方での仮ユニットへの結合は第<3>区間で終りとなる。これに対し、仮ユニットの右方の区間については、上述の手順を繰り返すことにより、第<10>区間〜第<19>区間が順次仮ユニットに結合される(図5(i)、図5(k)、図5(l)および図5(m)参照)。これにより、第<3>区間〜第<19>区間までの計17区間が補修・修繕対象区間(ユニット)として決定する。
【0044】
上述の第1、第2および第3の実施の形態における例では、指標値としてMCIを用いて補修・修繕対象区間(ユニット)を決定したが、線形施設の劣化状態や健全度、損傷度、又は災害等の期待損失値、又は走行費用等の利用者費用等を表示する指標であれば、MCI以外の他の指標値を用いてもよい。また、MCIの場合は値が小さい程、劣化が進行していることを表示しているため、上述の例では、MCIの小さい区間が抽出されているが、用いる指標値によっては、当該指標値の大きい区間を抽出することによって、補修・修繕対象区間(ユニット)が決定されることもある。
【0045】
また、上述の第1の実施の形態における例では、隣接する区間の比較を行う場合において、隣接する区間が単一の区間であるとして説明されているが、隣接する複数の区間について比較を行ってもよい。例えば、上述の第1の実施の形態における例において、第<5>区間に隣接する区間の比較を行う場合、第<3>区間のMCIと第4区間のMCIの加重平均値(図2の例では、(5×100+3.5×100)÷200=4.25)と、第<6>区間のMCIと第<7>区間のMCIの加重平均値(図2の例では、(4.2×100+3.6×100)÷200=3.9)との比較を行ってもよい。或いは、第<3>区間のMCIと第<4>区間のMCIの加重平均値と、第<6>区間〜第<8>区間のMCIの加重平均値(図2の例では、(4.2×100+3.6×100+3.1×100)÷300=3.63)との比較を行ってもよい。さらに、隣接する区間のうち一方の側が単一の区間、他方の側が複数の区間であってもよい。
【0046】
また、上述の第1実施の形態で隣接する区間の比較を行う場合において、当該区間が複数であるとき、指標値の加重平均値の大小の比較を行うのではなく、隣接する区間の合計値の大小(例えば、隣接する区間における災害等の期待損失値の合計値の大小、隣接する区間における走行費用等の利用者費用の合計値の大小)、或いは隣接する区間における最大値又は最小値の大小を比較することによって、補修・修繕対象区間を抽出してもよい。
【0047】
また、上述の第2の形態で管理基準の充足の有無を検討する場合において、隣接する複数区間の指標値の加重平均値、隣接する複数区間の指標値の合計値、或いは隣接する複数区間の指標値の最大値又は最小値が管理基準を充足しているか否かを検討することによって、補修・修繕対象区間を抽出してもよい。
【0048】
また、上述の第3の形態で管理基準の充足の有無を検討する場合において、隣接する複数区間と初期抽出区間の指標値の加重平均値、隣接する単一区間と初期抽出区間の指標値の合計値、或いは隣接する複数区間と初期抽出区間の指標値の合計値が管理基準を充足しているか否かを検討することによって、補修・修繕対象区間を抽出してもよい。
【0049】
また、上述の第3の実施の形態における例では、初期抽出区間又は仮ユニットと当該仮ユニットの両端に位置する区間との平均等を交互に検討することによって、仮ユニットが拡張されているが、たとえば、初期抽出区間又は仮ユニットの右方又は左方に(交互にではなく)独自に仮ユニットを拡張してもよい。
【0050】
さらに、上述の例では、加重平均値の計算に用いられる重みが長さ(=100m)であるが、加重平均値の計算の際に、重みとして、面積、体積、重量、密度などを用いてもよい。
【0051】
なお、上述の方法において、隣接する区間の比較を行う際に用いられる指標値、指標値の加重平均値、指標値の合計値を代表値と呼ぶ。この場合、隣接する区間の比較を行う際に用いられる代表値が同じ値となる場合もあり得るが、そのような場合に備えて、第2の代表値を準備しておくのがよい(例えば、上述の例では、MCIが代表値であるが、第2の代表値を準備しておくのがよい)。第2の代表値として、kp値(基点から当該区間までの距離を示す値であり、通常、路面性状調査などから取得される)などが考えられる。
【0052】
次に、上述の例と同様に、道路舗装の補修・修繕工事を例として、本発明の第4の実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法について詳細に説明する。本発明の第4の実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法は、ステップCのみ、第1の実施の形態に係る方法と相違しているため、ステップCのみについて説明し、ステップA、B、D、Eの説明は省略する。
【0053】
第4の実施の形態についての説明においても、第1の実施の形態についての説明と同様に、対象となる道路が12区間に分割されており、各区間についてMCIが算出されているものとする(図6参照)。また、第4の実施の形態においても、上述の実施の形態と同様に、設定条件が定められる(本例では、補修・修繕工事の区間長を500m、各区間を100mと設定する)。
【0054】
まず最初に、最初の5区間(第<1>区間〜第<5>区間)のMCIの加重平均値を算出する(図6(a)参照。本例では、3.74となる)。ここで、5区間としたのは、設定条件である区間長が500m(=5×100m)であるからである。
【0055】
次いで、次の5区間(第<2>区間〜第<6>区間)のMCIの加重平均値を算出する(図6(b)参照。本例では、3.92となる)。
【0056】
このようにして、対象となる道路の終点(第12区間)に到達するまで、対象となる道路の起点(第1区間)から500m(補修・修繕工事の区間長)ずつの移動加重平均値をそれぞれ算出する(図6(c)〜(h)参照)。そして、最も加重平均値が小さい場合(本例では、第<4>区間〜第<8>区間の3.44)を補修・修繕対象区間と決定する。
【0057】
なお、上述の例では、指標値としてMCIを用いているので、加重平均値が最小の場合を補修・修繕対象区間(ユニット)と決定するが、用いる指標値によっては、加重平均値が最大の場合を補修・修繕対象区間(ユニット)と決定することもある。また、指標値の加重平均値を基にして、補修・修繕対象区間(ユニット)を決定するのではなく、指標値の合計値の大小(例えば、隣接する区間における災害等の期待損失値の合計値の大小、隣接する区間における走行費用等の利用者費用の合計値の大小)を基にして、補修・修繕対象区間(ユニット)を決定することもある。
【0058】
次に、コンピュータに上述のステップを実行させるためのプログラムについて説明する。本プログラムが実行されるコンピュータは、バスによって相互に接続されたCPU(中央演算処理装置)、メモリやハードディスク等の記憶装置、キーボード等の入力装置、表示装置、及び出力装置(いずれも図示せず)を有する一般的な形式のものでよい。
【0059】
最初に、上述の第1の実施の形態に係る維持管理支援方法についてのプログラムについて説明する。まず、入力装置によって入力された各区間の指標値の初期値又は指標値の予測推移値をメモリに格納し、或いは、別のプログラム・ルーティンによって算出された各区間の指標値の初期値又は指標値の予測推移値をメモリに格納する。
【0060】
次いで、指標値が最小又は最大である初期抽出区間を抽出してメモリに格納する。次いで、初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値の大小、又は複数区間の指標値の加重平均値の大小、又は複数区間の指標値の合計値の大小、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値の大小の比較を行って、より小さい又は大きい単一区間又は複数区間を選択し、選択した区間を初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成しメモリに格納する。次いで、予め定められた設定条件が満たされるまで、補修・修繕候補区間について上述のステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出してメモリに格納する。このようにして抽出された補修・修繕対象区間(ユニット)について、別のプログラム・ルーティンによって抽出されたユニットの補修・修繕費を算出し、抽出されたユニットの指標値を回復する。
【0061】
次に、第2および第3の実施の形態に係る維持管理支援方法についてのプログラムについて説明する。まず、入力装置によって入力された各区間の指標値の初期値又は指標値の予測推移値をメモリに格納し、或いは、別のプログラム・ルーティンによって算出された各区間の指標値の初期値又は指標値の予測推移値をメモリに格納する。
【0062】
次いで、指標値が管理基準を満たし且つ最小又は最大である初期抽出区間を抽出してメモリに格納する。次いで、初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値、又は複数区間の指標値の加重平均値、又は複数区間の指標値の合計値、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値、又は単一区間と初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は複数区間と初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は単一区間と初期抽出区間の指標値の合計値、又は複数区間と初期抽出区間の指標値の合計値が管理基準を満たしているかを判断し、管理基準を満たしている場合には、当該区間を初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成しメモリに格納する。次いで、予め定められた設定条件が満たされるまで、補修・修繕候補区間について上述のステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出してメモリに格納する。
【0063】
次に、上述の第4の実施の形態に係る維持管理支援方法についてのプログラムについて説明する。まず、入力装置によって入力された各区間の指標値の初期値又は指標値の予測推移値をメモリに格納し、或いは、別のプログラム・ルーティンによって算出された各区間の指標値の初期値又は指標値の予測推移値をメモリに格納する。
【0064】
次いで、連続したm個(m:3又はそれ以上の整数)の区間において、第i区間から第(n−1+i)区間(n:2又はそれ以上であってmより小さい整数,i=1,・・・,m−n+1までの整数)までの指標値の加重平均値、又は指標値の合計値を算出してメモリに格納する。次いで、算出された加重平均値又は合計値のうち最小又は最大のものを選択し、選択した加重平均値に対応する区間の集合体を補修・修繕対象区間(ユニット)としてメモリに格納する。このようにして抽出された補修・修繕対象区間(ユニット)について、別のプログラム・ルーティンによって抽出されたユニットの補修・修繕費を算出し、抽出されたユニットの指標値を回復する。
【0065】
なお、上述の例では、データがメモリに格納されるものとして説明したが、データ量が多い場合には、ハードディスク等の大規模記憶装置に格納される。
【0066】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る線形施設の維持管理支援方法の手順を概略的に示したフロー図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る維持管理支援方法における補修・修繕対象区間の抽出ステップを説明するための一連の模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る維持管理支援方法における補修・修繕対象区間の抽出ステップを説明するための一連の模式図である。
【図4】工事間隔距離を説明するための図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る維持管理支援方法における補修・修繕対象区間の抽出ステップを説明するための一連の模式図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る維持管理支援方法における補修・修繕対象区間の抽出ステップを説明するための一連の模式図である。
【図7】従来の線形施設の補修・修繕対象区間の設定に基づく維持管理支援方法を説明するための模式図である。
【図8】従来の線形施設の補修・修繕対象区間の設定に基づく維持管理支援方法を説明するための別の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した複数の区間によって構成される線形施設の維持管理支援方法であって、
前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、
前記指標値が最小又は最大である初期抽出区間を抽出する第1ステップと、
前記初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値の大小、又は複数区間の指標値の加重平均値の大小、又は複数区間の指標値の合計値の大小、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値の大小の比較を行って、より小さい又は大きい単一区間又は複数区間を選択し、選択した区間を前記初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成する第2ステップと、
予め定められた設定条件が満たされるまで、前記補修・修繕候補区間について前記第2ステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出する第3ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
連続した複数の区間によって構成される線形施設の維持管理支援方法であって、
前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、
前記指標値が予め定められた管理基準を満たし且つ最小又は最大である初期抽出区間を抽出する第1ステップと、
前記初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値、又は複数区間の指標値の加重平均値、又は前記複数区間の指標値の合計値、又は前記複数区間の指標値の最大値又は最小値、又は前記単一区間と前記初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は前記複数区間と前記初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は前記単一区間と前記初期抽出区間の指標値の合計値、又は前記複数区間と前記初期抽出区間の指標値の合計値が、前記管理基準を満たしている場合には、前記初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成する第2ステップと、
予め定められた設定条件が満たされるまで、前記補修・修繕候補区間について前記第2ステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出する第3ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
連続したm個(m:3又はそれ以上の整数)の区間によって構成される線形施設の維持管理支援方法であって、
前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、
第i区間から第(n−1+i)区間(n:2又はそれ以上であって前記mより小さい整数,i=1,・・・,m−n+1までの整数)までの指標値の加重平均値、又は指標値の合計値を算出する第1ステップと、
前記第1ステップで算出された加重平均値、又は合計値のうち最小又は最大のものを選択し、前記選択した加重平均値又は合計値に対応する区間の集合体を補修・修繕対象区間とする第2ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記加重平均値を算出する際における重みが、長さ、面積、体積、重量、又は密度のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
連続した複数の区間によって構成される線形施設の維持管理支援プログラムであって、
前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、
前記指標値が最小又は最大である初期抽出区間を抽出して記憶装置に格納する第1ステップと、
前記初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値の大小、又は複数区間の指標値の加重平均値の大小、又は複数区間の指標値の合計値の大小、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値の大小の比較を行って、より小さい又は大きい単一区間又は複数区間を選択し、選択した区間を前記初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成し記憶装置に格納する第2ステップと、
予め定められた設定条件が満たされるまで、前記補修・修繕候補区間について前記第2ステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出して記憶装置に格納する第3ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
連続した複数の区間によって構成される線形施設の維持管理支援プログラムであって、
前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、
前記指標値が予め定められた管理基準を満たし且つ最小又は最大である初期抽出区間を抽出して記憶装置に格納する第1ステップと、
前記初期抽出区間の両側にそれぞれ隣接する単一区間の指標値、又は複数区間の指標値の加重平均値、又は複数区間の指標値の合計値、又は複数区間の指標値の最大値又は最小値、又は前記単一区間と前記初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は前記複数区間と前記初期抽出区間の指標値の加重平均値、又は前記単一区間と前記初期抽出区間の指標値の合計値、又は前記複数区間と前記初期抽出区間の指標値の合計値が、前記管理基準を満たしている場合には、前記初期抽出区間に結合して補修・修繕候補区間を形成し記憶装置に格納する第2ステップと、
予め定められた設定条件が満たされるまで、前記補修・修繕候補区間について前記第2ステップを繰り返すことにより、補修・修繕対象区間を抽出して記憶装置に格納する第3ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
連続したm個(m:3又はそれ以上の整数)の区間によって構成される線形施設の維持管理支援プログラムであって、
前記区間の各々について定められた指標値を基にして、補修・修繕対象区間を抽出するステップを含み、前記ステップが、
第i区間から第(n−1+i)区間(n:2又はそれ以上であって前記mより小さい整数,i=1,・・・,m−n+1までの整数)までの指標値の加重平均値、又は指標値の合計値を算出して記憶装置に格納する第1ステップと、
前記第1ステップで算出された加重平均値、又は合計値のうち最小又は最大のものを選択し、前記選択した加重平均値又は合計値に対応する区間の集合体を補修・修繕対象区間として記憶装置に格納する第2ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
前記加重平均値を算出する際における重みが、長さ、面積、体積、重量、又は密度のいずれかであることを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−122701(P2007−122701A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261617(P2006−261617)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(594157418)株式会社ドーコン (20)