説明

線状光源装置

【課題】高輝度LEDを低電圧・大電流で駆動する際に、電気回路での余計な損失の発生を防ぐことが可能な線状光源装置を提供する。
【解決手段】LED2が発した熱が給電パターン基板8を介してヒートシンク10に流れるように、前記給電パターン基板8は、その前記LED2が実装された面の裏側の面が前記ヒートシンク10に被着され、LED駆動回路基板3は熱伝導性フレーム1に沿わせて配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取りスキャナ等の光学装置における原稿照明用として使用可能な、LED(発光ダイオード)を発光素子として用いた線状光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
線状光源として、多数のLEDを1列に並べ、それらを電気的に直列接続して一斉に通電する方式のものがよく知られている。この方式のものは、直列接続であるため印加電圧は高くなるが、流す電流はLED1個分と同じであるため、全体として小さい電流でよく、駆動回路も単純なもので済み、高効率なものが低コストで実現できる利点がある。しかしその反面、多数のLEDを並べて使用するため、そのバラツキにより、線状照明における照度ムラが発生するという欠点がある。
【0003】
この欠点を回避するものとして、線状照明する領域に対応した、細長い導光部材(光ガイド)を用意し、その一方の端面または両端面から、LEDの光を導入し、導光部材に分布させて形成した微小プリズムにより、導光部材から漏れ出す光によって必要な領域を線状照明する方式のものが知られている。この方式のものは、線状照明領域に複数のLEDを並べないため、LEDのバラツキがあっても、線状照明における照度ムラが発生しないという利点がある。しかしその反面、少数個の高輝度LEDを点灯させることになるため、低電圧ではあるが、大電流の駆動が必要になり、電気回路の効率が低下し易い上に、複雑な駆動回路が必要になって高コスト化する欠点があり、また、少数個のLEDにおいて集中的に発熱が生ずるため、LED自体の温度が高くなり易いという欠点がある。
【0004】
特に後者の、導光部材と高輝度LEDを用いる方式の線状光源における、LEDの発熱を処理する工夫として、例えば、特開2006−269140号公報には、透明樹脂よりなる導光部材とLED光源とが、長尺状の基台に固定されるものが、記載されている。導光部材は、棒状部材の軸方向の一方の端面が光取込部となっており、それに対向させてLEDを配置する。LEDはL字状の光源保持部に固定され、それを基台の一端に固定することで、LEDから光源保持部に伝わった熱の一部が、基台に伝熱して放熱されるものである。
【0005】
さらに、例えば、特開2010−092780号公報には、基台の光源保持部の底面との接合面の裏面が空気層にさらされ、効率よく冷却できるもの、基台から放熱フィン部を抜ける熱の対流が生じ、フィン部の冷却効率を高めることができるもの、光源装置を導光部材の軸に対して垂直方向に動かすことにより、フィン部の隙間に風が流入して冷却効率を高めることができるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−269140号
【特許文献2】特開2010−092780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に前記した、導光部材と高輝度LEDを用いる方式の線状光源の場合は、LEDで発生した熱によってLED自身が劣化・破損しないよう、LEDから熱を効果的に引き出し、処理する工夫が必要になる。そのため、駆動回路や給電系を含めた電気的効率を高め、発熱の総量を小さくする工夫が必要になるが、従来技術においては、十分な高効率化を達成しようとする観点が十分ではなかった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、高輝度LEDを低電圧・大電流で駆動する際に、電気回路での余計な損失の発生を防ぐことが可能な線状光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における第1の発明の線状光源装置は、構造上の骨組みを成す熱伝導性フレーム(1)と、LED(2)と、前記LED(2)を駆動するLED駆動回路基板(3)と、前記LED駆動回路基板(3)から前記LED(2)に給電するための、前記LED(2)のアノードとカソードに対応する給電パターン(4,5)と、前記LED(2)と電気接続を行うための接続部(6)と、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための接続部(7)とを有するフレキシブルな給電パターン基板(8)と、端部から入力された前記LED(2)からの光を内部に伝播させて領域を線状に照明するための、棒状の導光部材(9)と、前記LED(2)が発した熱を前記LED(2)から除去するためのヒートシンク(10)と、前記導光部材(9)を保持し、かつ前記ヒートシンク(10)の熱が前記熱伝導性フレーム(1)に流れるように前記ヒートシンク(10)を保持するための、前記熱伝導性フレーム(1)に隣接する保持部(11)とを具備し、
前記LED(2)が発した熱が前記給電パターン基板(8)を介して前記ヒートシンク(10)に流れるように、前記給電パターン基板(8)は、その前記LED(2)が実装された面の裏側の面が前記ヒートシンク(10)に被着され、前記LED駆動回路基板(3)は前記熱伝導性フレーム(1)に沿わせて配置され、また前記LED駆動回路基板(3)は前記給電パターン基板(8)と電気接続を行うための接続部(12)を有しており、前記ヒートシンク(10)の前記給電パターン基板(8)との被着面は、前記導光部材(9)の長さ方向に垂直であり、前記給電パターン基板(8)は、その基板面が、前記LED(2)の付近においては前記導光部材(9)の長さ方向に垂直かつ前記LED駆動回路基板(3)の基板面に垂直であり、前記給電パターン基板(8)は、前記LED駆動回路基板(3)との接続部に向かって前記LED(2)から遠ざかるにしたがって前記導光部材(9)の長さ方向に平行かつ前記LED駆動回路基板(3)の基板面に平行になるように曲げを設けて組み込まれることを特徴とする。
【0010】
本発明における第2の発明の線状光源装置は、前記LED(2)と電気接続を行うための前記接続部(6)と、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)とは、前記給電パターン基板(8)の同じ側の面に設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明における第3の発明の線状光源装置は、前記給電パターン基板(8)における、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)は、前記LED(2)のアノードとカソードに対応する前記給電パターン(4,5)の、一方に対して他方が対面する辺と反対側の辺に設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明における第4の発明の線状光源装置は、前記給電パターン基板(8)における、前記給電パターン(4,5)の相互間隔は、前記LED(2)の付近よりも、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の付近において大きいことを特徴とする。
【0013】
本発明における第5の発明の線状光源装置は、前記給電パターン基板(8)における、前記LED(2)のアノードとカソードに対応する前記給電パターン(4,5)の経路は、前記LED(2)と電気接続を行うための前記接続部(6)から、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)に向かう途中において一緒に方向を換えていることを特徴とする。
【0014】
本発明における第6の発明の線状光源装置は、前記LED駆動回路基板(3)における、前記給電パターン基板(8)と電気接続を行うための前記接続部(12)には、前記給電パターン基板(8)と重ならない、電気伝導層の露出部(19)が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明における第7の発明の線状光源装置は、前記給電パターン基板(8)における、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の近傍においては、前記基材(14)に細孔(22)が並んで分布していることを特徴とする。
【0016】
本発明における第8の発明の線状光源装置は、前記LED駆動回路基板(3)の発熱ドライバ素子から発した熱が前記熱伝導性フレーム(1)に流れるように、前記発熱ドライバ素子と前記熱伝導性フレーム(1)とが熱的に接触されており、前記熱伝導性フレーム(1)への前記発熱ドライバ素子の熱的接触位置は、前記熱伝導性フレーム(1)の長さ方向における前記ヒートシンク(10)からの熱流入位置から最も遠い位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明を適用することにより、高輝度LEDを低電圧・大電流で駆動する際に、電気回路での余計な損失の発生を防ぐことが可能な線状光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の線状光源装置の一実施例の簡略化した投影図である。
【図2】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した斜視図である。
【図3】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した構成図である。
【図4】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した斜視図である。
【図5】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した構成図である。
【図6】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した構成図である。
【図7】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した斜視図である。
【図8】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した構成図である。
【図9】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した斜視図である。
【図10】本発明の線状光源装置の一実施例に関連する説明図である。
【図11】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した構成図である。
【図12】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した構成図である。
【図13】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した斜視図である。
【図14】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した斜視図である。
【図15】本発明の線状光源装置の一実施例の一部の簡略化した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず、本発明の線状光源装置の実施例の一形態を簡略化して示す図1を用いて説明する。
大電流で駆動することが必要な高輝度型のLED(2)は、フレキシブルな給電パターン基板(8)に実装されている。また前記給電パターン基板(8)は熱伝導性フレーム(1)に沿わせて配置されたLED駆動回路基板(3)に接続されており、該LED駆動回路基板(3)により、前記LED(2)が駆動される。前記LED(2)から発せられた光は、棒状の導光部材(9)に対してその端部から入力される。前記導光部材(9)に入力された光は、その内部で反射を繰り返しながら伝播し、前記導光部材(9)に分布されたマイクロプリズム(図示を省略)を介して前記導光部材(9)より外部へ漏出し、所定領域を線状に照明する。
【0020】
前記給電パターン基板(8)の、少なくとも前記LED(2)付近の部分において、前記LED(2)が実装された側の面に対する、その裏側の面をヒートシンク(10)に被着することにより、前記LED(2)において発生した熱は、前記ヒートシンク(10)に流れ出し、結果として前記LED(2)から除去されて冷却される。前記ヒートシンク(10)は、軽量で熱伝導率の高いアルミニウム等の材料で構成することが好適であるが、さらに放熱フィン形状とすることにより、前記LED(2)の冷却の効率を高めることができる。
【0021】
保持部(11)は、前記熱伝導性フレーム(1)に対して前記導光部材(9)が平行な位置関係を維持するように前記導光部材(9)を保持するとともに、前記ヒートシンク(10)と前記熱伝導性フレーム(1)との間に介在して、両者と熱的接触を形成しながら結び付けるように前記ヒートシンク(10)を保持するため、前記ヒートシンク(10)の熱が前記熱伝導性フレーム(1)に流れ込み、結果として前記ヒートシンク(10)が冷却される。前記保持部(11)を斜視図として描いた図2に記載のように、前記保持部(11)には穴(13)が設けられており、該穴(13)に前記導光部材(9)の端部を挿入することにより、前記導光部材(9)を保持することができる。ただし、前記導光部材(9)が前記穴(13)の中で回転しないための工夫は別途行われる。
【0022】
前記図1においては、前記LED(2)、前記給電パターン基板(8)、前記ヒートシンク(10)、前記保持部(11)が前記導光部材(9)の両方の端部に対称的に配置されているため、合計2個のLEDにより所定領域を線状に照明することができる。1個のLEDによる照明でも所定照度が得られる場合は、前記LED(2)、前記給電パターン基板(8)、前記ヒートシンク(10)は、前記導光部材(9)の片方の端部に設けるだけでよい。
【0023】
次に、前記給電パターン基板(8)について、本発明の実施例の一形態を簡略化して示す図3を用いて説明する。なお、前記給電パターン基板(8)は、一般的なフレキシブル配線板作成技術を用いて作られる。
図3(a)は、ポリイミド等を材料とするフレキシブルな基材(14)の上に、前記LED(2)に給電するための前記LED(2)のアノードとカソードに対応する、銅箔等を材料とする電気伝導層による給電パターン(4,5)が形成された状態を示すものである。前記基材(14)には、前記LED(2)を固定するとともに、前記LED(2)が発した熱が前記ヒートシンク(10)に流れることを助ける役割を有する補助パターン(15)も形成されている。なお、該図においては、電気伝導層からなる部分に斜線を付してある。
【0024】
図3(b)は、前記給電パターン基板(8)の外観図であって、前記した図3(a)に示した部材の上に、ポリイミドやレジストなどによるカバー膜を形成することにより構成されている。よって、破線は、電気伝導層パターンのエッジを示す。また、斜線を付した箇所は、フォトリソグラフィーによるエッチング技術を用いるなどして、カバー膜に開口を設けることにより給電パターン(4,5)を露出させた部分を示し、前記LED(2)と電気接続を行うための接続部(6)と、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための接続部(7)とを形成している。なお、前記補助パターン(15)の必要な部分をカバー膜から露出させた補助ランド(16)の箇所にも斜線を付してある。
【0025】
図3(c)は、前記給電パターン基板(8)の上に前記LED(2)を実装した状態を示す図である。なお、前記給電パターン基板(8)に前記LED(2)を実装するに際しては、前記した前記LED(2)と電気接続を行うための接続部(6)、および前記補助ランド(16)に対し、クリームハンダを塗布し、その上に前記LED(2)を載せた上で、炉内で加熱してハンダを溶融する、リフローハンダ技術を用いることが一般的である。
【0026】
図3(d)は、前記した前記給電パターン基板(8)の上に前記LED(2)を実装したものを横から見た状態を示す図である。該図には、前記給電パターン基板(8)の、前記LED(2)が実装された側の面に対する、その裏側の面に、熱伝導性の良い材料、例えば銅やアルミニウム等の金属材料からなる補助熱伝導板(17)を被着したものを描いてある。この被着のためには、前記基材(14)に電気伝導層を形成する際に用いたものと同じ接着剤を使うことができる。
【0027】
前記したように、前記LED(2)付近の部分において、前記LED(2)が実装された側の面に対する、その裏側の面をヒートシンク(10)に被着することにより、前記LED(2)において発生した熱は、前記ヒートシンク(10)に流れ出るようにする際、前記補助熱伝導板(17)を前記ヒートシンク(10)に被着すればよく、これにより前記補助熱伝導板(17)は、前記ヒートシンク(10)と一体のものとなる。なお、本発明においては、前記ヒートシンク(10)と前記給電パターン基板(8)との間に、前記補助熱伝導板(17)のような介在物が存在するものと存在しないものとは区別しない。
【0028】
前記補助熱伝導板(17)を前記ヒートシンク(10)に被着するに際しては、前記した図3(c)に記載のように、前記給電パターン基板(8)と前記補助熱伝導板(17)とを貫通するように止メ穴(18)を設けておけば、前記ヒートシンク(10)にネジ穴を設けることにより、これに対して前記補助熱伝導板(17)をネジ止めにより固着することができ、組み立て時の作業性が向上する。なお、前記補助熱伝導板(17)と前記ヒートシンク(10)との間には、熱伝導コンパウンド、放熱グリスなどを塗布しておくことが熱伝導性を向上させるために有利である。
【0029】
前記図1の線状光源装置の片方の端部付近を斜視図として描いた図4から理解できるように、前記ヒートシンク(10)の前記給電パターン基板(8)との被着面は、前記導光部材(9)の長さ方向に垂直であり、よって前記給電パターン基板(8)は、その基板面が、前記LED(2)の付近においては前記導光部材(9)の長さ方向に垂直かつ前記LED駆動回路基板(3)の基板面に垂直であるが、前記給電パターン基板(8)は、前記LED駆動回路基板(3)との接続部に向かって前記LED(2)から遠ざかるにしたがって前記導光部材(9)の長さ方向に平行かつ前記LED駆動回路基板(3)の基板面に平行になるように曲げを設けて組み込まれる。前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記給電パターン基板(8)の前記接続部(7)と、前記給電パターン基板(8)と電気接続を行うための前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)とは例えばハンダ付けにより接続される。
【0030】
以上において述べた、本発明の線状光源装置の特長を説明する。線状光源装置が組み込まれる原稿読取りスキャナ等の本体装置の電源部から線状光源装置への給電経路は、長さが長く、太さは細くなりがちである。太さが細くなる理由は、線状光源装置は原稿読取りにおける副走査のための移動台に載せなければならないため、可撓性の高い、細い配線しか許されないからである。給電経路の損失は、供給する電流値の2乗に比例して増えるが、細い給電経路は、電気抵抗が大きくなるため、電流の増加による損失の増加が著しくなる。そのため、本体装置の電源部から線状光源装置への給電経路における有利な条件とは、同じ電力を送るなら、電圧が高く、電流を小さくする事である、と言うことができる。
【0031】
本発明の線状光源装置において使用する、高輝度型のLEDの駆動電圧,駆動電流は、典型的には3.5V程度,1A程度である。前記図1のように、前記導光部材(9)の両端に、計2個のLEDを使う場合、これらを直列接続して通電することにすれば、7V,1A程度の駆動が必要になる。
【0032】
そのため、前記LED駆動回路基板(3)の回路方式は、例えば降圧チョッパなどの方式の降圧型DC−DCコンバータになり、典型的には24Vが入力されるため、前記LED(2)への投入電力が7Wであるとすると、損失を考慮しても、本体装置の電源部から前記LED駆動回路基板(3)に供給すべき電流は0.32〜0.35A程度で済むことになる。本発明の線状光源装置においては、前記LED駆動回路基板(3)は、前記熱伝導性フレーム(1)に配置されるため、大電流を流す事が不可避な電流経路は、前記LED駆動回路基板(3)から前記LED(2)に至る部分、すなわち前記給電パターン基板(8)のみであり、その経路の長さは最小限に短縮されることになる。このことは、前記した本体装置の電源部から線状光源装置への給電経路における有利な条件に合致しており、本発明が高輝度LEDを低電圧・大電流で駆動する際に、電気回路での余計な損失の発生を防ぐ効果が高いことが理解できる。
【0033】
その上、本発明の場合、前記したように大電流を流す事が不可避な電流経路である、前記LED駆動回路基板(3)から前記LED(2)に至る部分は全てハンダ付け等の低抵抗な手段で構成されており、コネクタのような接触抵抗が存在する高損失・不安定なものが含まれていないため、さらなる高効率・高信頼性が確保されることが理解できる。なお、降圧型DC−DCコンバータであっても、例えばドロッパ方式のものは損失が大きいため、本発明のためのLED駆動回路としては不適当である。
【0034】
ところで、前記給電パターン基板(8)を、本発明の線状光源装置に、曲げを設けて組み込む際の仕方を前記図4のようにした事には意味がある。前記給電パターン基板(8)は、曲げる際に90度ねじっているのであるが、もし、ねじる方向を逆にする場合は、前記図3(b)における前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記給電パターン基板(8)の接続部(7)は、給電パターン基板(8)において、接続部(6)が存在する面の裏側の面に形成する必要が生じる。このようなものを作ることは、もちろん可能であるが、前記図3(b)に記載のような前記LED(2)と電気接続を行うための前記接続部(6)と、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)とは、前記給電パターン基板(8)の同じ側の面に設けられているものの方が、コストの点で有利である。
【0035】
原稿読取りスキャナ等の光学装置は、小型化が求められるが、読取る原稿の大きさに関連する寸法は小さくすることはできない分、薄型化が求められ、それに搭載されるべき本発明の線状光源装置にも薄型化が強く求められる。前記図4を見れば理解できるように、本発明の線状光源装置の高さHは、前記熱伝導性フレーム(1)の厚さDと前記給電パターン基板(8)の幅Wから成っている。前記熱伝導性フレーム(1)は本発明の線状光源装置の構造上の骨組みを成し、前記ヒートシンク(10)の熱が前記熱伝導性フレーム(1)に流れ込み前記ヒートシンク(10)を冷却する働きがあるため、前記厚さDについては、この働きに応じた機械的剛性や熱容量を有するように決める必要がある。
【0036】
一方、前記幅Wは、前記給電パターン基板(8)における前記給電パターン(4,5)の幅と前記給電パターン(4,5)の間隔から成っている。前記給電パターン(4,5)の幅は、流す電流に応じて損失が許容範囲になるように、前記給電パターン(4,5)の間隔は、前記LED(2)のアノードとカソードとの間に印加する電圧に対して十分な絶縁耐力を有するように、それぞれ決める必要がある。しかし、前記したように、前記LED(2)のアノードとカソードとの間に印加する電圧は3.5V程度であるから、前記給電パターン(4,5)の間隔は極めて小さくてよいことが判る。
【0037】
ところが、前記図3(b)に描いた、前記給電パターン基板(8)における前記接続部(7)の間隔については、絶縁耐力のみによって決める訳には行かない事情がある。何となれば、前記給電パターン基板(8)の前記接続部(7)と、前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)とは、対面させて押し当てられ、ハンダ付けにより接続されるため、ハンダのハミ出しが起きて、短絡が発生し易いからである。
【0038】
この場合、さらにハンダのハミ出しが発生し易い事情がある。前記したように、前記給電パターン基板(8)に前記LED(2)を実装するに際しては、一般的に、クリームハンダを使ったリフローハンダ技術を用いる。また、前記LED駆動回路基板(3)については、ガラスエポキシ等を基材とする回路基板にFETなどのスイッチ素子やチョークコイル、IC等の部品を実装して作成するが、部品実装に際しては、前記したリフローハンダや、溶融ハンダの噴流を使うフローハンダ技術を用いる。そして、それぞれ実装が完成した前記給電パターン基板(8)と前記LED駆動回路基板(3)とを、それぞれの前記接続部(7)と前記接続部(12)との間でハンダ接続する訳であるから、もはやリフローハンダ技術を使うことはできない。何となれば、前記したように、リフローハンダを行うには、炉内で加熱してハンダを溶融する必要があるため、もしそれを行ったならば、前記給電パターン基板(8)と前記LED駆動回路基板(3)の、先に済ませたリフローハンダまたはフローハンダ部が溶融してしまうからである。
【0039】
よって前記給電パターン基板(8)の前記接続部(7)と、前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)との、ハンダ付け接続は、その部分のみを局部的に加熱する方法しか使えない。したがって、厚さの薄い前記給電パターン基板(8)の前記基材(14)の側から、手作業または自動装置によりハンダゴテ等の発熱体を押し当てるなどの手段によって、前記給電パターン基板(8)の前記接続部(7)、または前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)の片方もしくは両方に施された予備ハンダを溶融してハンダ接続する必要があるから、銅箔等の電気伝導層の無い、パターン間隔の箇所にハンダのハミ出しが発生し易く、よって短絡が発生し易いという訳である。
【0040】
そのため、前記図3(b)に描いたように、前記給電パターン基板(8)における前記接続部(7)の間隔は、前記したハンダのハミ出しが多少発生しても短絡に至らない程度の大きさが必要になる。しかし、このことは前記給電パターン基板(8)の幅が大きくなることを意味し、前記幅Wの短縮が困難であることになる。
【0041】
この困難を回避することを意図した改良について、図5を用いて説明する。該図においては、前記給電パターン基板(8)における、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)は、前記LED(2)のアノードとカソードに対応する前記給電パターン(4,5)の、一方に対して他方が対面する辺と反対側の辺に設けられているものを描いてある。前記図3(b)と同様に、破線は電気伝導層のパターンのエッジを示し、斜線を付した箇所は、カバー膜に開口を設けることにより電気伝導層を露出させた部分を示す。前記図3(b)に描いた前記給電パターン基板(8)では、2本の前記給電パターン(4,5)のそれぞれの先端に前記接続部(7)を設けてあったのに対し、前記図5の前記給電パターン基板(8)では、前記接続部(7)は、2本の前記給電パターン(4,5)のそれぞれの外側に設けるようにしたことが相違点である。
【0042】
このようにしたことにより、前記接続部(7)の間隔、すなわちカバー膜に設けた開口の間隔は、十分に確保することができるため、前記給電パターン(4,5)の間隔は極めて小さくすることができる。その結果、前記したハンダのハミ出しが多少発生しても短絡が発生しないようにしながら、前記幅Wを短縮することが可能となる。
【0043】
なお、前記図5においては、前記接続部(7)として、前記給電パターン(4,5)の幅全体を使わないようにしても、前記接続部(7)の面積を必要な分だけ確保するため、前記給電パターン(4,5)の長手方向の前記接続部(7)の領域長さを増して補ってある。当然ながら、このようにして形成した前記給電パターン基板(8)の前記接続部(7)の形状・配置に合わせて、前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)の形状・配置を設計する必要がある。
【0044】
同様の意図に基づく他の改良について、図6を用いて説明する。該図においては、前記給電パターン基板(8)における、前記給電パターン(4,5)の相互間隔は、前記LED(2)の付近よりも、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の付近において大きいものを描いてある。前記図3(b)と同様に、破線は電気伝導層のパターンのエッジを示し、斜線を付した箇所は、カバー膜に開口を設けることにより電気伝導層を露出させた部分を示す。前記図3(b)に描いた前記給電パターン基板(8)で、2本の前記給電パターン(4,5)のそれぞれの先端に前記接続部(7)を設けてある点は同じであるが、前記図6の前記給電パターン基板(8)では、2本の前記給電パターン(4,5)の相互間隔は、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の付近においては、前記したハンダのハミ出しが多少発生しても短絡に至らない程度の前記接続部(7)の間隔が確保できる十分な大きさとしながら、前記LED(2)の付近においては、前記給電パターン(4,5)の間隔を小さくして、前記幅Wの短縮効果を得ることができる。
【0045】
前記したように、前記保持部(11)は、前記ヒートシンク(10)と前記熱伝導性フレーム(1)との間に介在して、両者と熱的接触を形成しながら結び付けるように前記ヒートシンク(10)を保持するため、前記ヒートシンク(10)の熱が前記熱伝導性フレーム(1)に流れ込み、結果として前記ヒートシンク(10)が冷却されるように働くため、前記保持部(11)と前記熱伝導性フレーム(1)との間の熱的結合は大きい方が望ましい。このような要請に基づき、前記保持部(11)の形状を図7に記載のようなものに改良した場合、前記熱伝導性フレーム(1)との間の熱的結合を大きくするために設けた前記保持部(11)の出っ張り部が出来るため、前記図4に記載のような給電パターン基板(8)の組み込み形態からの改良も合わせて行うことが望ましい。
【0046】
このような観点から行う改良について、図8を用いて説明する。該図においては、前記給電パターン基板(8)における、前記LED(2)のアノードとカソードに対応する前記給電パターン(4,5)の経路は、前記LED(2)と電気接続を行うための前記接続部(6)から、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)に向かう途中において一緒に方向を換えているものを描いてある。具体的には、2本の前記給電パターン(4,5)は、途中において方向を一緒に略90度曲げて、それぞれL字状の経路となっており、それに対応して、前記給電パターン基板(8)全体もL字状の形状に構成してある。なお、前記図3(b)と同様に、破線は電気伝導層のパターンのエッジを示し、斜線を付した箇所は、カバー膜に開口を設けることにより電気伝導層を露出させた部分を示す。
【0047】
該給電パターン基板(8)を、前記した前記保持部(11)と前記熱伝導性フレーム(1)との間の熱的結合を大きくしたものに組み込んだ様子を図9に示す。該図に記載の前記給電パターン基板(8)は、先に説明した前記図4に記載のものと異なり90度ねじれていない。その代わりに、前記給電パターン基板(8)全体のL字形状における2箇所の直線部のそれぞれにおいて曲げを設けることにより、前記した前記熱伝導性フレーム(1)との間の熱的結合を大きくするために設けた前記保持部(11)の出っ張り部との干渉を回避しながら、前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)への接続を達成している。
【0048】
また、前記図8に記載の前記給電パターン基板(8)は、前記図6に記載の給電パターン基板が有する前記給電パターン基板(8)における、前記給電パターン(4,5)の相互間隔は、前記LED(2)の付近よりも、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の付近において大きいという特徴をも合わせ持たせることができる。よって、前記したように、2本の前記給電パターン(4,5)の相互間隔は、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の付近においては、前記したハンダのハミ出しが多少発生しても短絡に至らない程度の前記接続部(7)の間隔が確保できる十分な大きさとしながら、前記LED(2)の付近においては、前記給電パターン(4,5)の間隔を小さくして、前記幅Wの短縮効果を得ることができる。
【0049】
ところで、前記図8に記載のようなL字形状の前記給電パターン基板(8)を、1枚の基材から切取って(打ち抜いて)作成する場合、もし端材が発生すれば、取れ数が減って、前記給電パターン基板(8)1枚あたりのコストが上がってしまう問題がある。この場合、前記図8に記載の、L字形状の前記給電パターン基板(8)の寸法について、L字形状における短辺部の出っ張り長さW2は、前記LED(2)と電気接続を行うための前記接続部(6)のある部分の幅W1と略等しい関係とすることが有利である。何となれば、寸法W1とW2の関係を前記のようにすることにより、前記図8の2枚組は、面内で180度回転させたもの同士を組み合わせることにより、2個のL字形状から成る充実長方形パターンとすることができるからである。
【0050】
また、前記図1に記載のように、前記LED(2)、前記給電パターン基板(8)、前記ヒートシンク(10)、前記保持部(11)を前記導光部材(9)の両方の端部に配置するものの場合は、前記した2個のL字形状から成る充実長方形パターンと、それを鏡像反転したものとを組み合わせた、図10に記載のような、4個のL字形状から成る充実長方形パターンとすることができる。なお、前記図3(b)と同様に、破線は電気伝導層のパターンのエッジを示し、斜線を付した箇所は、カバー膜に開口を設けることにより電気伝導層を露出させた部分を示す。前記した2個または4個のL字形状から成る充実長方形パターンは平面充填図形であるため、端材の発生は最小限に抑えられるから、本発明の実施によって余計なコストが発生しないようにすることが可能である。
【0051】
本発明の線状光源装置の、さらなる改良のためには、ポリイミド等の材料からなるフレキシブル基材の上に銅箔等の材料からなる電気伝導層パターンを被着し、さらにその上からポリイミドやレジスト等の材料からなるカバー膜を被着し、前記カバー膜に開口を設けることにより、前記開口部において電気伝導層パターン露出部が形成される構造を有するフレキシブル回路基板と、前記電気伝導層パターン露出部と対面して接して加熱することにより、前記電気伝導層パターン露出部との間に介在させたハンダ層によって電気的接続と機械的被着が成されるように、前記電気伝導層パターン露出部に対応して対面する位置に設けた、銅箔等の材料からなる電気伝導層パターン露出部を設けた、ガラスエポキシ等を基材とするプリント回路基板とのハンダ付け方法において、前記プリント回路基板における前記電気伝導層パターン露出部と繋がった近傍であって、前記フレキシブル回路基板と重ならない箇所に、追加電気伝導層露出部が設けられており、前記フレキシブル回路基板と前記プリント回路基板とのハンダ付け時は、前記フレキシブル回路基板の前記電気伝導層パターン露出部に対応する前記フレキシブル基材の箇所に発熱体を押し当てるとともに、前記追加電気伝導層露出部にも発熱体を押し当てることを特長とするハンダ付け方法を使うことができる。
【0052】
さらに、ポリイミド等の材料からなるフレキシブル基材の上に銅箔等の材料からなる電気伝導層パターンを被着し、さらにその上からポリイミドやレジスト等の材料からなるカバー膜を被着し、前記カバー膜に開口を設けることにより、前記開口部において電気伝導層パターン露出部が形成される構造を有するフレキシブル回路基板と、前記電気伝導層パターン露出部と対面して接して加熱することにより、前記電気伝導層パターン露出部との間に介在させたハンダ層によって電気的接続と機械的被着が成されるように、前記電気伝導層パターン露出部に対応して対面する位置に設けた、銅箔等の材料からなる電気伝導層パターン露出部を設けた、ガラスエポキシ等を基材とするプリント回路基板とのハンダ付け方法において、前記フレキシブル回路基板の前記電気伝導層パターン露出部に対応する前記フレキシブル基材の箇所、およびその近傍の前記フレキシブル基材の箇所からなる領域内の少なくとも一部の領域に細孔を並べて分布せしめ、前記フレキシブル回路基板と前記プリント回路基板とのハンダ付け時は、前記フレキシブル回路基板の前記電気伝導層パターン露出部に対応する前記フレキシブル基材の箇所に発熱体を押し当てることを特長とするハンダ付け方法を使うことができる。
【0053】
前記したように、前記給電パターン基板(8)の前記接続部(7)と、前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)との、ハンダ付け接続は、その部分のみを局部的に加熱する手段、即ち、厚さの薄い前記給電パターン基板(8)の前記基材(14)の側から、発熱体を押し当てるなどの手段によって、前記給電パターン基板(8)の前記接続部(7)、または前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)の片方もしくは両方に施された予備ハンダを溶融してハンダ接続する必要がある。
【0054】
しかし、この手段のみでは、前記給電パターン基板(8)の前記基材(14)を介した前記発熱体からの熱流入の効率は高くないため、予備ハンダの溶融に時間が掛かったり、発熱体の温度を高くする必要が生じるなどの不都合がある。不都合である理由は、前記給電パターン基板(8)および前記LED駆動回路基板(3)において、銅箔等を材料とする電気伝導層は、基材と接着剤を用いて固定されているだけであるから、ハンダ付け接続に時間が掛かったり、温度が高くなると、接着部が剥れてしまう危険性が増すからである。
【0055】
この不都合を回避するための改良について、図11を用いて説明する。なお、該図においても、前記図3(b)と同様に、破線は電気伝導層のパターンのエッジを示し、斜線を付した箇所は、カバー膜に開口を設けることにより電気伝導層を露出させた部分を示す。前記図11(a)には、前記LED駆動回路基板(3)における、前記給電パターン基板(8)と電気接続を行うための前記接続部(12)には、前記給電パターン基板(8)と重ならない、電気伝導層の露出部(19)が設けられているものを描いてある。該図の2点鎖線で描いたものは、ハンダ付け接続作業時に配置される前記給電パターン基板(8)である。
【0056】
前記LED駆動回路基板(3)の側の銅箔等を材料とする電気伝導層は熱容量が大きい。そのため、ハンダ付け接続作業時に配置される前記給電パターン基板(8)によって覆われない位置に前記電気伝導層の露出部(19)を設けておけば、これにも発熱体を押し当てるなどにより、前記LED駆動回路基板(3)の側の電気伝導層を加熱する手段を講ずることができる。これにより、予備ハンダ部への熱の投入量を増し、その溶融を加速することができ、前記した不都合を回避することができる。
【0057】
なお、前記図11(a)において、予備ハンダを溶融したい領域である前記接続部(12)や、前記電気伝導層の露出部(19)よりも右側へ熱が逃げることを妨げることを目的として、前記LED駆動回路基板(3)の電気伝導層の経路に穴を設けて、熱拡散減速パターン(20)とした様子を描いてある。同様に、前記図11(b)には、前記給電パターン基板(8)における予備ハンダを溶融したい領域である接続部(7)から左側へ熱が逃げることを妨げることを目的として、前記給電パターン基板(8)の電気伝導層の経路に穴を設けて、熱拡散減速パターン(21)とした様子を描いてある。前記LED駆動回路基板(3)の熱拡散減速パターン(20)、前記給電パターン基板(8)の前記熱拡散減速パターン(21)は、電気伝導の悪化を来たさない範囲で熱伝導を低下させるために、電流経路パターンの幅に、短いクビレを設けることで構成することができる。前記LED駆動回路基板(3)側、前記給電パターン基板(8)側の何れかもしくは両方にこのようなパターン部を設けることは、前記LED駆動回路基板(3)に前記電気伝導層の露出部(19)を設けるか否かによらず、予備ハンダの溶融の加速に効果がある。因みに、このような、電気伝導の悪化を来たさない範囲で、熱伝導を低下させることを目的としたパターンは、サーマルパターンとも呼ばれることがある。
【0058】
前記した不都合を回避するためのさらなる改良について、図12を用いて説明する。なお、該図は、前記給電パターン基板(8)を図示した、前記図3(b)における、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の近傍を図示したものであるが、ただし前記図3(b)とは逆の面、すなわち、前記基材(14)の側から見た図である。破線は電気伝導層のパターンのエッジを示し、2点鎖線は前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)に対面させる側のポリイミドやレジストなどによる、前記したカバー膜のエッジを示す。
【0059】
前記図12に示すように、前記給電パターン基板(8)における、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の近傍においては、前記基材(14)に細孔(22)が並んで分布しているようにすることにより、前記した前記給電パターン基板(8)の前記基材(14)の側から発熱体を押し当てた際、前記細孔(22)部において前記発熱体との熱的接触度合いが高まるため、前記給電パターン基板(8)の前記基材(14)を介した前記発熱体からの熱流入の効率を改善することができ、前記した不都合を回避することができる。なお、前記細孔(22)部にも予備ハンダを施しておくか、前記発熱体を溶融ハンダで濡らすことにより、前記細孔(22)部と前記発熱体との熱的接触度合いをさらに高めることができる。
【0060】
ただし、前記したように、前記給電パターン基板(8)における、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)においては、前記LED駆動回路基板(3)の前記接続部(12)に対面させる側の前記したカバー膜は除去されており、その部分における銅箔等を材料とする電気伝導層を裏打ちして支えている前記基材(14)に前記細孔(22)を分布させる訳であるから、前記細孔(22)部では、電気伝導層のみで存立しなければならず、よって前記細孔(22)の大きさは、電気伝導層の厚さに応じた小ささが必要になる。例えば、前記基材(14)の細孔(22)を円形とする場合、その直径は、電気伝導層の厚さの10倍以下の程度とするべきである。
【0061】
ただし、先に一般的技術用語として述べた、前記フレキシブル回路基板は、本発明の線状光源装置の構成のなかでの前記給電パターン基板(8)に対応し、同様に前記プリント回路基板は、前記LED駆動回路基板(3)に、また前記フレキシブル回路基板における前記電気伝導層パターン露出部は、前記給電パターン基板(8)における前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)に、また前記プリント回路基板における前記電気伝導層パターン露出部は、前記LED駆動回路基板(3)における前記給電パターン基板(8)と電気接続を行うための前記接続部(12)に、さらに前記追加電気伝導層露出部は、前記電気伝導層の露出部(19)に、それぞれ対応する。
【0062】
前記したように、前記LED駆動回路基板(3)にも、FETなどのスイッチ素子、フライホイールダイオード、チョークコイル、トランスのような、LEDへの電流給電をドライブするための、したがってそれ自身が発熱する発熱ドライバ素子が実装されており、これも前記LED(2)と同様に冷却を必要とするが、前記発熱ドライバ素子と前記熱伝導性フレーム(1)とを熱的に接触させることにより、前記熱伝導性フレーム(1)は、前記発熱ドライバ素子が発した熱についても、これを流し込み、結果として前記発熱ドライバ素子を冷却するための手段としても利用できる。このように前記熱伝導性フレーム(1)を、前記発熱ドライバ素子の冷却にも利用する場合には注意が必要である。前記したように前記熱伝導性フレーム(1)は、前記ヒートシンク(10)の熱が前記熱伝導性フレーム(1)に流れ込み、結果として前記ヒートシンク(10)が冷却されるように働かなければならないため、前記熱伝導性フレーム(1)に対する前記ヒートシンク(10)からの熱流入位置と前記発熱ドライバ素子からの熱流入位置とのバランスが悪いと、冷却効率が低下する問題がある。
【0063】
この問題を回避するためには、前記熱伝導性フレーム(1)への前記発熱ドライバ素子の熱的接触位置は、前記熱伝導性フレーム(1)の長さ方向における前記ヒートシンク(10)からの熱流入位置から最も遠い位置であるようにすることが好適である。具体的には、前記熱伝導性フレーム(1)への前記発熱ドライバ素子の熱的接触位置は、前記LED(2)、前記給電パターン基板(8)、前記ヒートシンク(10)、前記保持部(11)が前記導光部材(9)の両方の端部に対象に配置されているものの場合は、前記熱伝導性フレーム(1)の中央が好適であり、前記LED(2)、前記給電パターン基板(8)、前記ヒートシンク(10)が、前記導光部材(9)の片方の端部に配置されているものの場合は、前記熱伝導性フレーム(1)の他方の端部が好適である。何となれば、前記LED(2)と前記発熱ドライバ素子の発熱量の比率によらず、前記した熱的接触位置の配置が、前記LED(2)、前記発熱ドライバ素子それぞれが、互いに相手側から受ける熱の煽りの影響が最も小さくなるからである。
【0064】
前記図4や前記図9では、前記給電パターン基板(8)の引き回しは、構造物を迂回するようにして行ったが、そのようにする代わりに、図13や図14に記載のように、熱伝導性フレーム(1)や保持部(11)に穴状の構造を設け、その中に前記給電パターン基板(8)を通すようにすることもできる。図13(a)に示すように、保持部(11)に切リ欠キ部(23)を設け、ただし、図13(b)に示すように、前記保持部(11)と熱伝導性フレーム(1)とを接続したときに、前記熱伝導性フレーム(1)によって覆われない前記切リ欠キ部(23)の部分が存在するように、前記切リ欠キ部(23)の位置や寸法を決めてある。
【0065】
図13(c)は、前記図13(b)に示した構造の中に組み付けられる給電パターン基板(8)を、そのねじりや曲げの状態を保持したまま取り出した状態を想定して描いたもので、前記図4に記載のものの場合は、前記給電パターン基板(8)へのねじりを徐々に与えたが、前記図13(c)に示すものでは、前記給電パターン基板(8)の折リ曲ゲ部(25)によってねじりを与え、前記図13(b)に示す前記保持部(11)とヒートシンク(10)との間の隙間(24)に、前記折リ曲ゲ部(25)が、LED(2)や補助熱伝導板(17)とともに収容されるように構成してある。そして、前記給電パターン基板(8)の駆動回路側端(26)が、前記図13(b)の前記切リ欠キ部(23)を通じてLED駆動回路基板(3)まで引き回され、前記LED駆動回路基板(3)の接続部(12)と、前記給電パターン基板(8)の接続部(7)とが、例えばハンダ付けにより接続される。
【0066】
一方、前記図14に記載のものでは、図14(a)に示すように、保持部(11)に切リ欠キ部(27)を設け、また図14(b)に示すように、熱伝導性フレーム(1)にも通シ穴(28)を設けてある。図13(c)と同様に、前記図14(b)に示した構造の中に組み付けられる給電パターン基板(8)を、そのねじりや曲げの状態を保持したまま取り出した状態を想定して描いた図14(c)に示した給電パターン基板(8)における駆動回路側端(26)の接続部(7)と、LED駆動回路基板(3)の接続部(12)とが、例えばハンダ付けにより接続できるよう、前記通シ穴(28)を通じて前記給電パターン基板(8)が引き回される。
【0067】
ただし、前記図14(b)に示す前記保持部(11)とヒートシンク(10)との間の隙間(24)に、前記図13(c)に記載の折リ曲ゲ部(25)が、LED(2)や補助熱伝導板(17)とともに収容され、前記給電パターン基板(8)は、前記切リ欠キ部(27)を通じて、一旦前記熱伝導性フレーム(1)の下側、すなわち前記LED駆動回路基板(3)が実装される面の側と反対の側を通った後、前記通シ穴(28)を通じて前記熱伝導性フレーム(1)の上側に出されて前記LED駆動回路基板(3)まで引き回される。したがって、組み付けられた状態では、前記給電パターン基板(8)の中間部(29)は、前記熱伝導性フレーム(1)の下側に位置することになる。
【0068】
なお、前記図13や前記図14では、前記給電パターン基板(8)は、前記図3に記載のような直線状のものを基本として前記折リ曲ゲ部(25)を設ける実施例を記載したが、図15に記載のように、L字状にして構成するようにしてもよい。ただし、この場合は、前記給電パターン基板(8)の接続部(7)は、給電パターン基板(8)において、接続部(6)が存在する面の裏側の面に形成する必要がある。
【0069】
なお、前記図1や図2、図4では、前記保持部(11)と前記熱伝導性フレーム(1)とは、別体として作成され、組立てるように描いてあるが、これらを一体のものとして構成することもできる。また、前記熱伝導性フレーム(1)は、描画の都合から単純な角棒形状に描いてあるが、例えば断面をL字状にするなどによって剛性を高めた形状にしたり、前記熱伝導性フレーム(1)からの熱の放散効率を高めるためのフィンが付加配置された形状とすることもできる。
【0070】
なお、前記導光部材(9)の具体的な実現方法については、特開2008−275689号公報に記載の技術を応用することができる。また、本発明においても特開2008−216409号公報に記載の技術を応用して、反射鏡を用いて、2方向から原稿読取面への光を照射し、原稿紙面に折り目や貼り合わせによる段差部分があっても、影を生じない線状光源装置を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、原稿読取りスキャナ等の光学装置における原稿照明用として使用可能な、LED(発光ダイオード)を発光素子として用いた線状光源装置を設計製造する産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 熱伝導性フレーム
2 LED
3 LED駆動回路基板
4 給電パターン
5 給電パターン
6 接続部
7 接続部
8 給電パターン基板
9 導光部材
10 ヒートシンク
11 保持部
12 接続部
13 穴
14 基材
15 補助パターン
16 補助ランド
17 補助熱伝導板
18 止メ穴
19 露出部
20 熱拡散減速パターン
21 熱拡散減速パターン
22 細孔
23 切リ欠キ部
24 隙間
25 折リ曲ゲ部
26 駆動回路側端
27 切リ欠キ部
28 通シ穴
29 中間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造上の骨組みを成す熱伝導性フレーム(1)と、
LED(2)と、
前記LED(2)を駆動するLED駆動回路基板(3)と、
前記LED駆動回路基板(3)から前記LED(2)に給電するための、前記LED(2)のアノードとカソードに対応する給電パターン(4,5)と、前記LED(2)と電気接続を行うための接続部(6)と、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための接続部(7)とを有するフレキシブルな給電パターン基板(8)と、
端部から入力された前記LED(2)からの光を内部に伝播させて領域を線状に照明するための、棒状の導光部材(9)と、
前記LED(2)が発した熱を前記LED(2)から除去するためのヒートシンク(10)と、
前記導光部材(9)を保持し、かつ前記ヒートシンク(10)の熱が前記熱伝導性フレーム(1)に流れるように前記ヒートシンク(10)を保持するための、前記熱伝導性フレーム(1)に隣接する保持部(11)と、
を具備し、
前記LED(2)が発した熱が前記給電パターン基板(8)を介して前記ヒートシンク(10)に流れるように、前記給電パターン基板(8)は、その前記LED(2)が実装された面の裏側の面が前記ヒートシンク(10)に被着され、
前記LED駆動回路基板(3)は前記熱伝導性フレーム(1)に沿わせて配置され、また前記LED駆動回路基板(3)は前記給電パターン基板(8)と電気接続を行うための接続部(12)を有しており、
前記ヒートシンク(10)の前記給電パターン基板(8)との被着面は、前記導光部材(9)の長さ方向に垂直であり、
前記給電パターン基板(8)は、その基板面が、前記LED(2)の付近においては前記導光部材(9)の長さ方向に垂直かつ前記LED駆動回路基板(3)の基板面に垂直であり、
前記給電パターン基板(8)は、前記LED駆動回路基板(3)との接続部に向かって前記LED(2)から遠ざかるにしたがって前記導光部材(9)の長さ方向に平行かつ前記LED駆動回路基板(3)の基板面に平行になるように曲げを設けて組み込まれることを特徴とする線状光源装置。
【請求項2】
前記LED(2)と電気接続を行うための前記接続部(6)と、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)とは、前記給電パターン基板(8)の同じ側の面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の線状光源装置。
【請求項3】
前記給電パターン基板(8)における、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)は、前記LED(2)のアノードとカソードに対応する前記給電パターン(4,5)の、一方に対して他方が対面する辺と反対側の辺に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の線状光源装置。
【請求項4】
前記給電パターン基板(8)における、前記給電パターン(4,5)の相互間隔は、前記LED(2)の付近よりも、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の付近において大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の線状光源装置。
【請求項5】
前記給電パターン基板(8)における、前記LED(2)のアノードとカソードに対応する前記給電パターン(4,5)の経路は、前記LED(2)と電気接続を行うための前記接続部(6)から、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)に向かう途中において一緒に方向を換えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の線状光源装置。
【請求項6】
前記LED駆動回路基板(3)における、前記給電パターン基板(8)と電気接続を行うための前記接続部(12)には、前記給電パターン基板(8)と重ならない、電気伝導層の露出部(19)が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の線状光源装置。
【請求項7】
前記給電パターン基板(8)における、前記LED駆動回路基板(3)と電気接続を行うための前記接続部(7)の近傍においては、前記基材(14)に細孔(22)が並んで分布していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の線状光源装置。
【請求項8】
前記LED駆動回路基板(3)の発熱ドライバ素子から発した熱が前記熱伝導性フレーム(1)に流れるように、前記発熱ドライバ素子と前記熱伝導性フレーム(1)とが熱的に接触されており、前記熱伝導性フレーム(1)への前記発熱ドライバ素子の熱的接触位置は、前記熱伝導性フレーム(1)の長さ方向における前記ヒートシンク(10)からの熱流入位置から最も遠い位置であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の線状光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−62229(P2013−62229A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−112172(P2012−112172)
【出願日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】