説明

線香及びその製造方法

【課題】線香において、「白色」の線香を提供し、更に、多彩な色の線香や多種類の香りの線香の製造方法の提供。
【解決手段】燃焼基材に木材繊維から成るセルロースパウダーを用いた線香で、その配合量が全重量に対して90重量%と増粘剤を3重量%とを100℃の湯にて混ぜ、硝酸カリウム1.2重量%と染料2.4重量%を湯にて溶かして入れ、香料2.8重量%と防カビ剤0.6重量%を混合練合せた後押出機で形状を整え乾燥させ板寄せして成る線香及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の線香には存在しない全く異なる燃焼基材である主原料を使用して成る改良された品質、色彩を有する線香でありその製造方法である。特に、従来にない白色及び彩色鮮やかな線香を提供するものであり、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、線香に関する技術として形状、燃焼時間、残灰、香料等に関する技術は認められるも、線香自体の色彩では燃焼基材が杉の葉粉末やタブ樹皮粉末或いは白樺樹皮粉末であり、染料を加えても主原料が持つ固有の緑色か深緑色或いは褐色か暗褐色の範囲であり、その色彩に制約が認められていた。このため線香自体をカラフルな色彩にすることが不可能であり、線香をその外観色を綺麗な色彩にして、商品価値を視覚印象から高め、従来の需要者層に加え若年者層にも「香」としてアピール可能な線香が望まれた。
【0003】
又、従来の線香にあっては、前記燃焼基材から生ずる燃焼時の「臭さ」「不快感」はなくせず、それを消すために香料の調合や漢方等の生薬の調合を混入していた。そのための工程や技術及び費用を要していた。更に、煙の量が問題となり閉鎖された部屋等では、喉に影響し所謂煙害となり嫌悪の原因となっていた。
【0004】
今日線香やお香の需要は、仏壇に供され祖先崇拝の儀式に用いられるのみではなく、お茶お花と同様に「香」を楽しむ傾向は、年齢の範囲を超えて趣味の多様化に応えるものとなり、生活が個性化多様化する現代、若者が「香」に対し認識し、単に化粧品としての「香」から生活に結びついての「香」を楽しむようになり、特に、若い女性層にその傾向が感知でき、その要請に応えられる線香が望まれていた。
本願発明は、斯かる時宜に適応しての技術で線香及びその製造方法を提供するものである。
【特許文献1】特許第3435523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のこの種の線香にあって燃焼基材からして外観が「明るい」線香の提供は認められるが(特許文献)、更に、白色顔料を色素として「着色した線香」や「水酸化アルミニウム」を用いた線香でも、「外観色が鮮やかな明るい線香」の範囲であり、純粋に「白色」を呈する線香とは認められず、又用いる化学剤の高騰からしてその生産コストに影響し価格に反映され需要に応じられないものであった。特に、燃焼基材は従来の主原料の使用であり、香料の調合等では線香独特の「臭さや不快感」を消し去る事ができず或いは多量の「煙の排出」を調整できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記したような従来技術の課題に着目して鋭意研究を重ねその結果試行錯誤を繰り返し提案されたもので、燃焼基材に市販されているセルロースパウダーを用いると鮮やかな「白色」を呈する事が見出され、又添加する香料との相性が良く素直に発薫されることが確認され、更に、燃焼時の煙の量が少なく基材自体の匂いが無く、線香としての原材料に適した要素を有することが知見された。
【0007】
セルロースは、繊維素とも言われ、全ての植物細胞の細胞壁を作る炭水化物であり、微細化した粉末から成るセルロースパウダーには、セルロースの植物に何を用いるかでの品質の相違が生じ、本願発明者は木材からなるセルロースを選択し線香の製造に到達したものである。
【0008】
よって、線香の燃焼基材にセルロースパウダーを主原料とし増粘剤と硝酸カリウム、染料と香料、防カビ剤より成る線香としたものである。製造工程においては従来の工程で製造できるが、特に、主原料が木材繊維から成るセルロースパウダーを使用するが軟性を有する点より十分に練り合わせ押出機を数回かけ形状を整え数時間の乾燥工程を経て板寄せ作業をする。更に、日を置いて板寄せ工程を繰り返し2〜3日の期間本乾燥させ製品化する。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1及び請求項2に記載の線香は、燃焼基材としてセルロースパウダーを用いることを特徴とした線香であり、セルロースは繊維素とも言われ、炭水化物(多糖類の一種)であり、微細化した粉末から成るセルロースパウダーを燃焼基材とし増粘剤と硝酸カリウム、染料と香料、防カビ剤よりなる線香である。
【0010】
セルロースパウダーは、市販の木材繊維から成る粉末セルロースを用いるが、それは高度に精製した天然木材を微細化した粉末であり、線香に成形するには軟性である点から、特に、材料の混合練合せ後の押出工程と乾燥させた後の板寄せ工程を繰り返す事を要する線香である。
【0011】
請求項3に記載の線香は、燃焼基材である木材繊維から成るセルロースパウダーの配合量において全重量に対して80重量%から95重量%の割合で含有する品質の線香を提供したものであり、その割合が少なければ、添加する白色染料を増量することで白色は維持できる。又割合が多ければ添加する染料を少量として対応できるものである。
【0012】
請求項4に記載の線香の製造方法では、主原料とした木材繊維から成るセルロースパウダーが90重量%と増粘剤として3重量%とを100℃の湯にて混ぜ、燃焼を持続させる効果を有する助燃材として硝酸カリウムを1.2重量%と染料を2.4重量%を湯にて溶かして入れ、香料として2.8重量%と防カビ剤として0.6重量%を混入し十分混練する。
【0013】
主原料を線香に成形するには軟性を有する点より、十分に練り合わせた上で押出機を数回かけ形状を整え数時間の乾燥工程を経て板寄せ作業をする。更に、日を置いて板寄せ工程を繰り返し2〜3日の期間本乾燥させ製品化して成る線香の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、燃焼基材であるセルロースパウダーを用いるが、染料との相乗効果で「純白」の線香が現出でき、従前に認められない白い線香としてその需要に適応した商品として提供が可能となった。基本として「白色」ができれば、色彩染料の添加により多様な好みの色彩を有する線香が可能となることは勿論である。又その形状や香料に限定はなく多種多様な色彩を有する製品が可能である。特に、線香に対する従前の陰気なイメージからカラフルな線香のバリエーションが可能であるから、その経済的効果は十分認められるものである。
【0015】
更に、従来の線香のイメージとして燃焼時の「臭さや不快感」は、燃焼基材である主原料が従来とは異なるから生じず、香料が素直に発薫し、従来の不快と認められた独特な臭気を希薄にするための数種類の香料の調合は不要となり、そのために製造工程に要した技術や時間は不要で、商品価格に転嫁できるものとなった。又燃焼基材の燃焼に当たっては「煙」が少なく、基材自体の匂いも感じられない程度のものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施する一形態を詳しく説明すると、この線香及びその製造方法は以下の通りである。
燃焼基材として主原料に木材繊維から成るセルロースパウダーを用いるが、セルロースは繊維素とも言われ、全ての植物細胞の細胞壁を作る炭水化物(多糖類の一種)であり、微細化した粉末から成るセルロースパウダーを燃焼基材とし、これは粉末セルロースであり詳しくは市販されている日本製紙ケミカル株式会社の商品名「KCフロック」(登録商標第575975号)である。これを90重量%とし、材料の形状を保持するために使用される増粘剤としては第一工業製薬株式会社の商品名「セロゲンBS」(セロゲンは登録商標第399276号である。)を3重量%とし100℃の湯の適量とで混ぜ、燃焼継続を保つ作用のある助燃材として硝酸カリウムを1.2重量%と白色の染料としてMSコンタクトホワイトを2.4重量%お湯に溶かしながら入れ、その後香料としてインセンスミモザ67798を2.8重量%と防カビ剤としてメチレンビスチチオシアネートを0.6重量%として、全量十分に混合練合せた後押出機で一旦押し出し、線香を冷まして品質を均一にさせ、表面の艶をだし、更に、再度押出機にて押し出して特定の形状として例えば、約30分程度の燃焼時間では、直径2.5ミリメートル、長さ12.5センチメートルの形状を整え、数時間乾燥させ板寄せ作業を行い、日を置いて再度板寄せ作業を繰り返し2日〜3日本乾燥させて製品化して成る線香である。
【0017】
本発明に係る線香は、その作業工程において押出機を2度掛ける、1度目は全原料を撹拌機にて混合練り合わせた後に押出機に掛け、線香が冷まされて品質が均一と成り表面の肌つやが良くなり、更に、押出機にて適当な長さ等形状を整える。
又板寄せ作業は、成形した後乾燥するにつれ線香自体の縮から形状を強制する意図から日を置いた後の乾燥途上での板寄せ作業を繰り返す。
【0018】
燃焼基材に木材繊維から成るセルロースパウダー(KC−フロック−登録商標)を用いれば、基本的には白色を呈する線香が生じ、その燃焼基材の重量比を少な目にしたときは、添加染料において調整可能であり又、多目のときは添加染料を少なく配合すればよい。燃焼基材が白色を呈する基調を有するから添加する染料において、好みのカラフルな線香の製造も可能である点は明らかである。
燃焼基材に用いられる木材繊維から成るセルロースパウダーは、燃焼時の煙が少なくそれ自体の匂いが無く線香に適した原料と認められる。
【0019】
又その形状においても、燃焼時間との関係で棒状の形状以外で渦巻きや板状の形状線香も可能な点言うまでもなく明らかである。
【0020】
更に、香料にあっては、燃焼基材との関係で発薫が素直に出るから、各種花や動物等の化学香料の添加も可能であり、その色彩に合ったバリエーションは多種である。
【0021】
このように、本発明の線香は、従前に存在した色彩に係る線香とは異なり、白色を基調として、各色彩の染料を用いる事により、多彩でカラフルな線香の創出が可能であり、それに合せて香料についても多種多様な香りのある線香の製造が可能となった。
更に、その製造工程にあっても、特段従来の「臭さや不快感」を消去するための香料の調合や時間・費用が不要であるから、その経済的効果から単価を安く設定が可能であり、従来にない色彩と匂いでしかも煙の少ない線香とすることができ、その需要の増大が期待できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースパウダーを燃焼基材としたことを特徴とした線香。
【請求項2】
セルロースパウダーを燃焼基材とし増粘剤と硝酸カリウム、染料と香料、防カビ剤よりなる線香。
【請求項3】
燃焼基材であるセルロースパウダーが木材繊維から成りその配合量が全重量に対して80重量%から95重量%である請求項1及び請求項2記載の線香。
【請求項4】
燃焼基材とした木材繊維から成るセルロースパウダーが90重量%と増粘剤を3重量%とを100℃の湯にて混ぜ、硝酸カリウム1.2重量%と染料2.4重量%を湯にて溶かして入れ、香料2.8重量%と防カビ剤0.6重量%を混合練合せた後押出機を繰り返し形状を整え板寄せを繰り返して乾燥させて成る線香の製造方法。

【公開番号】特開2011−157333(P2011−157333A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22666(P2010−22666)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(300023420)株式会社一心堂 (1)
【Fターム(参考)】