説明

編地とその製造方法

【課題】 編地の取り扱いに必要とされる各種の情報を、正確で見易い情報を余計な手間をかけることなく編地に付与する。
【解決手段】 編地10のうち、最終製品に利用されない不使用領域に、編成組織による情報表示部31〜52を備える。情報表示部31〜52は、ジャカード編成組織の変化組織である薄地柄組織、厚地柄組織、メッシュ組織、鎖編組織などによる、文字、記号、図象からなる群から選ばれるジャカード柄模様で形成でき、製造情報、取扱情報、識別情報、検査情報などを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編地とその製造方法に関し、詳しくは、各種衣料品の素材となる編地とその製造方法とを対象にしている。
【背景技術】
【0002】
編地(ニット生地)は、アウターウェア、インナーウェア、スポーツウェアなど幅広い用途に利用されている。生産性が高く、しかも、着用感などの品質性能にも優れた衣料品が提供できる。
編地には、編成方法によって、丸編地、緯編地、経編地などが知られている。このうち、経編地は、トリコット経編機、ラッシェル経編機などの編成装置で製造される。また、ジャカード機構を備えたジャカード経編機は、複雑で多彩な柄模様を作り出したり、1枚の経編地に部分的に機能や特性の異なる部分を容易に設けたりできるとされている。
例えば、特許文献1には、ジャカード経編機を使用して、ジャカード柄模様を有すると同時に、ジャカード柄の編組織の変化によって伸縮パワーや伸長性をも変化させる技術が示されている(請求項7、図1など参照)。
【0003】
特許文献2には、電子制御ジャカード編機でダブルジャージーよこ編地を編成する際に、ジャカード制御によって、最終製品となる布帛の表面からは見えず裏面だけに見える識別マークを組み込む技術が示されている。識別マークは、周囲と異なる糸を用いることで、識別を可能にしている(請求項5、図4など参照)。
これらの編地製造においては、編成装置から送り出された編地に対して、熱セット加工や染色加工、裁断加工など、様々な処理加工が施される。これらの加工工程間における運搬や保管、検査作業なども行なわれる。完成した編地を出荷したり流通販売したりする。最終製品である衣料品の製造では、編地を裁断して所定形状に材料取りを行なう。
【0004】
このような編地の様々な取り扱い過程において、特定の編地を他の編地と区別することや、編地の姿勢、編成方向を知ることが必要になる。例えば、編地を検査して不良が発見されたときに、不良が発生した製品ロットや編成装置などを特定するには、生産された編地に識別番号などをつけておく必要がある。編地に各種の処理加工を行なうときに、編地の上下や編成方向によって取り扱いを変える必要がある場合がある。例えば、編地が抜き糸による分離構造を備えていて、編地の端辺から抜き糸を抜き取ると左右に分離することができる編地の場合、抜き糸が抜き取れる方向は1方向だけであり、反対方向に抜き糸を引っ張っても抜き取れないから、編地の編成方向は重要な情報である。
【0005】
そこで、編成装置から送り出された編地に、その場で、連続番号などの識別表示その他の情報を、マーキングペンなどで追記することが行なわれている。
【特許文献1】特開2003−138456号公報
【特許文献2】特開平5−84366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した編地への情報追記は、編成装置から送り出された直後の編地に対して行なう必要がある。編地を編成装置から取り外して別の場所に移動させたりしたあとでは、先に編成された別の編地と区別できなくなったり、編成方向が不明になったりするためである。
しかし、編成装置から連続的に送り出されてくる編地に、その場でマーキング作業を行なうのは、大変に手間がかかる。作業者が常時、編成装置のそばについていなければならない。作業者の誤記によって、誤った情報が記載される心配もある。幅が広く長い編地には、作業者の手が届く編地の端部近くにしかマーキングできない。編地の中央で正確な位置にマーキングを行なうのは実質的に不可能である。油性インクあるいは水性インクの何れを用いてマーキングを行なったとしても、その後に編地に熱をかけたり溶媒や化学薬剤による処理を行ったり表面を強く擦るような処理を行ったりすると、マーキングが薄くなったり消えてしまったりして、読めなくなることがある。インクの材料が溶け出して、編地のうち最終製品になる領域に移行して汚してしまうことも起こる。
【0007】
本発明の課題は、編地の取り扱いに必要とされる各種の情報付与に関する前記した従来技術の問題点を解消し、正確で見易い情報を余計な手間をかけることなく編地に付与できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる編地は、最終製品に利用されない不使用領域に、編成組織による情報表示部を備える。
各構成について、具体的に説明する。なお、以下の説明では、経編地を中心に説明するが、共通する技術事項は、緯編地あるいは丸編地などにも適用される。
〔情報表示部〕
情報表示部は、編地の取り扱いに必要とされる各種の情報を表示する部分であり、編成組織によって、編地のうち、最終製品に利用されない不使用領域に設けられる。
<不使用領域>
不使用領域は、編地の構造、最終製品としての利用形態によって違ってくる。
【0009】
通常の経編地の場合、編地の幅方向の両端には、最終製品には使用されない耳部が設けられるので、この耳部は不使用領域になり、情報表示部を設けることができる。
最終製品として衣料品を製造する編地の場合、1枚の編地から複数着の衣料品を得る。また、1着の衣料品は、複数枚の様々な形をなす材料部片を縫製して製造されるのが普通である。ジャカード柄模様や特性・機能の異なる領域も、それぞれの衣料品毎あるいは材料部片毎に設けられる。したがって、編地には、切り取る個々の衣料品あるいは材料部片の間に、一定量の空間や隙間があくことになる。このような空間や隙間も不使用領域であり、情報表示部を配置することができる。しかも、このような空間や隙間は、編地の端辺だけでなく、中央部にも存在するので、情報表示部を編地の中央部分にも配置できることになる。
【0010】
経編地の場合、一定の長さ毎に、同じ編成組織あるいは同じジャカード柄模様や機能領域が繰り返し形成されることがある。このような繰り返しの基本単位である一定長さ分の編地を編地単位と呼ぶことができる。経編地は、編地単位毎に裁断分離されて取り扱われることになる。この編地単位からは、1着の衣料品すなわち最終製品が得られる場合もあるし、複数の最終製品が得られる場合もある。編地単位毎に裁断分離するための境界部分にも、最終製品には利用されない不使用領域が存在し、情報表示部に利用できる。
一つの編地単位に、1着分の衣料品に対応する一定面積のパネル状をなす製品片が、複数個配置されることがある。編地単位から個々の製品片を裁断分離して、衣料品の製造に供給することができる。このようなパネル状の製品片は、編地単位の幅方向および長さ方向に複数列で配置することができる。製品片毎の境界部分にも、最終製品には利用されない不使用領域が存在し、情報表示部に利用できる。また、通常、衣料品を構成する材料部片は、矩形をなす製品片の四隅近くからは裁断しないので、四隅近くには一定の不使用領域が存在するのが一般的である。
【0011】
<情報の内容>
情報表示部の内容としては、従来の編地において手書きなどでマーキングされていた情報が含まれる。従来のマーキング技術では適用できなかった情報も含めることができる。
例えば、製造情報、取扱情報、識別情報、検査情報などに分類することができる。
製造情報は、編地の製造に関わる情報であり、例えば、製造工場、製造装置、製造時期、製造ロットなどの情報が含まれる。編地を後工程で処理したりしている間に、不具合や品質不良などの問題が発生したときに、その原因を解明したり、製造工程の見直しを行ったりすることが容易になる。
【0012】
取扱情報は、編地の取り扱いに必要な情報である。例えば、編地の編成方向を示す記号や図象が採用できる。例えば、編地が抜き糸による分離構造を備えていて、編地の端辺から抜き糸を抜き取ると左右に分離することができる編地の場合、抜き糸が抜き取れる方向は1方向だけであり、反対方向に抜き糸を引っ張っても抜き取れないが、前記情報があれば、容易に抜き糸の正しい抜き取り方向が判断できる。加工装置にセットするときの配置や姿勢を示す情報がある。前記姿勢を示す情報とは、例えば、編地単位の前後、左右、表裏などに関する情報をいう。前記情報があれば、編地の姿勢が変化した場合などに、容易に正しい姿勢に戻すことができる。加工処理を施す位置や処理条件を示す情報もある。前記情報があれば、各処理段階において、適切な位置や処理条件を容易に知ることができる。裁断位置や裁断線を示す情報がある。前記情報があれば、正確かつ容易に裁断を行ない得る。このような取扱情報は、作業者に視覚的に認識して作業ができるようにしておく場合と、各種の処理装置がセンサなどを使って機械的に認識できるようにしておく場合とがある。
【0013】
識別情報は、編地を識別するために必要な情報であり、編地毎、一定長さの編地単位毎および/または1着の衣料品に対応する製品片毎に付することができる。それぞれの単位毎に番号や記号を付することによって、その単位毎の識別が可能となる。前記番号や記号は、編地の編成によって単位毎に順次連続的に付されるものであっても良いし、編地の設計書や生産指示書などで特定されるもの、生地や顧客などの情報と関連して付されるものなどであってもよい。前記番号や記号が、生地や顧客などの情報と関連する場合としては、例えば、前記番号や記号が、生地品番や機台ナンバーであったり、顧客を特定するためのものであったりといった場合がある。
【0014】
検査情報は、編地の品質性能などを検査するのに利用できる情報である。例えば、編地を構成する編成組織の状態を示す情報が含まれる。組織に関する前記情報は、完成された編地では判断が難しい編成組織同士の位置ずれなどを示す。
以上に説明した以外にも、編地の取り扱いに有用な情報であれば、情報表示部に含めておくことができる。
なお、同種の編地が複数の製造工場や製造装置で製造される場合には、製造工場や製造装置などに関連し、前記製造情報として機能する番号や記号が、同時に、編地を識別するための識別情報としても機能する。また、編地の編成によって順次連続的に付される番号や記号と、製造工場や製造装置などに関連して付される番号や記号が組み合わされ、一体となって1つの情報表示部を構成する場合もある。このように、1つの情報表示部が、製造情報と識別情報などのように複数の情報を同時に含む場合もある。例えば、一般的に使用される品番は、主に識別情報として機能するが、同時に製造情報などを含む場合が多い。
【0015】
<情報の形態>
情報表示部を構成する情報の形態としては、文字、記号、図象など、人間あるいは機械が認識できる情報形態を任意に組み合わせて利用することができる。文字には、平仮名や片仮名、数字、英字などが含まれる。記号には、矢印や星印、不等号、シャープ記号などが含まれる。図象には、単純な直線や曲線とその組み合わせ、丸や多角形などの幾何学図形、具象形状、具象形状を簡略化したマーク図形などが含まれる。単純な直線や図形の集合であって、それらの間隔や配置を変えて情報を表現するバーコードや2次元バーコードも含まれる。
【0016】
何れの場合も、ジャカード編成組織の変化によって表現可能な形態であることが好ましい。少なくとも、従来のジャカード編地においてジャカード柄模様として採用されていた形態であれば容易に採用できる。
<情報の表示手段>
情報表示部は、前記不使用領域に編成組織によって形成される。ここで、本発明において「編成組織」は、糸によって構成され、情報表示可能な組織であれば良く、例えば、単に糸の配列のみによって形成された組織も含まれる。
前記編成組織としては、特にジャカード編成組織が好ましく利用できる。以下、このようなジャカード編成組織について詳述する。
【0017】
ジャカード編成組織を編成するためのジャカード編成装置としては、通常のジャカード編成装置がそのまま使用できる。ジャカード編成装置には、ジャカード機構が組み込まれている。ジャカード経編装置の場合、通常の筬に加えて、ジャカード機構が組み込まれたジャカード筬を備えている。
ジャカード筬の基本構造は、1枚のジャカード筬を全体として一体的に運動させる、通常の筬と同様の作動機構に加えて、1枚のジャカード筬において個々のゲージ位置毎に別々に、編成位置を一定方向に変位させるか変位させないかを、任意に選択して作動制御する機構を備えている。このような作動機構をジャカード機構と呼ぶ。
【0018】
ジャカード筬の全体作動は、パターンホイールなどを用いて、一定コース毎に繰り返すパターン制御を行なうことができる。パターンホイールを用いる場合、ラッセル機においては12コースの約数(具体的には、2、3、4、6、12コース)のうち、任意のコースを1繰り返し単位に設定することができ、トリコット機においては16コースの約数(具体的には、2、4、8、16コース)、12コースの約数(具体的には、2、3、4、6、12コース)、10コースの約数(具体的には、2、5、10コース)のうち、任意のコースを1繰り返し単位に設定することができる。また、チェーンリンクを用いる場合、2コース以上の任意のコースを1繰り返し単位に設定することができる。後述する電子制御を行なえば、パターンホイールのような物理的な作動機構が全くなくてもよい場合もある。
【0019】
ジャカード筬のゲージ位置毎の作動制御は、予め作製された紋紙(ジャカードカード)を用いて行なうことができ、また、電子的な記憶情報に基づく電子制御で行なうこともできる。
ジャカードカードを用いる場合、該ジャカードカードには、コース毎に、各ゲージ位置での作動、すなわち、ジャカード機構の作用・非作用あるいは編成位置の変位・非変位の違いが、穿孔などによって物理的に記録されている。
電子制御を行なう場合、予め、コース毎に、各ゲージ位置での作動、すなわち、ジャカード機構の作用・非作用あるいは編成位置の変位・非変位の違いに関する指令情報が、コンピュータに記憶されていたり、所定のソフトウェアによって生成されたりする。コンピュータに入力された編成組織あるいは柄模様に関するデータから、ジャカード筬の各ゲージ位置における作動条件を演算し、その結果をジャカード筬の作動制御命令として出力することができる。
【0020】
前記ジャカード編成装置では、ジャカード筬に、通常のジャカード柄模様の編成を行なうための作動制御に加えて、目的とする情報表示部を形成するための作動制御を行なわせることができる。そのためには、コンピュータに組み込まれた演算プログラムによって、ジャカード筬の作動制御を適切かつ迅速に行なうことが望ましい。
ジャカード編成装置は、一対のジャカード筬を備えているものを用いることができる。一対のジャカード筬は、それぞれが通常のジャカード筬と同様のジャカード機構を備えていて、前記したゲージ位置毎の作用・非作用を制御できる。このような一対のジャカード筬を用いることで、ジャカード編成組織を自由に変化でき、目的とする情報表示部の組込みも容易になる。なお、それぞれのジャカード筬は、フルセットで糸通しされるのではなく、1イン1アウトのハーフセットで糸通しされ、一対のジャカード筬を組み合わせることで、フルセット分のジャカード編成組織が構成されるようにできる。
【0021】
ジャカード編成装置には、ジャカード筬以外に、通常の筬が備えられている。通常の筬とは、ジャカード機構を備えておらず、基本的に、筬の全体を一体的に作動制御させるものである。但し、通常の筬であっても、筬のうち、複数のゲージ位置を含む一部分を他の部分とは別個に機械的に変位できる機構、例えば、カットプレッサ機構などを備えたものを使用することはできる。この場合は、ジャカード筬のように、個々のゲージ位置毎に任意に変位させることはできない。
通常の筬の枚数は、1枚以上の任意の枚数に設定できる。通常は4枚程度までである。
ジャカード筬によって編成されるジャカード編成組織には、一定の繰り返し単位を有する基本組織から変化させてなる変化組織を含むことができる。
【0022】
基本組織は、前記したパターンホイールなどで設定されるので、例えば6コースなど、一定コース毎に同じパターンを繰り返す比較的に単純な編成組織である。具体的には、鎖編、デンビ編、アトラス編などが採用できる。繰り返し単位10/12//などが挙げられる。この基本組織だけでは、ジャカード柄模様や機能、特性の違いを自由に変化させることはできない。
ジャカード編成組織は、変化組織を含むことで、目的とするジャカード柄模様や場所による機能などの違いを与えることが可能になる。例えば、変化組織において、基本組織とは振り幅や振り方向が異なる個所を設けることができる。振り幅の違いは、その部分の糸密度あるいは生地厚さの違いとして表れたり、緊迫力や伸びの違いになったりする。隣接する編成糸が逆方向に振られて互いに交差する個所は、編成糸の重なりで厚みが生じたり拘束作用が生じたりする。また、このような編成組織の違いが複数コースあるいは複数ウェールにわたって任意に組み合わせられることで、経編地の一定領域における柄模様として現出したり、機能や特性の違う領域が生じたりする。このような変化組織による柄模様あるいは機能・特性の変化自体は、通常のジャカード編成組織においても達成されていたことである。
【0023】
情報の表示に利用できるジャカード編成組織の変化組織としては、上記した通常のジャカード柄模様や機能領域の形成に使用されていた変化組織とその組み合わせが採用できる。例えば、薄地柄組織、厚地柄組織、メッシュ組織、鎖編組織などが採用できる。薄地柄組織と厚地柄組織との対比などで情報を表現することもできる。
本発明では、このような通常のジャカード編成組織と共通する技術を基本にして、それ以上の複雑な付加装置や機構を加えることなく、情報表示部を形成させることができる。
さらに、ジャカード編成組織以外の編成組織により情報表示部が形成された編地も本発明の範囲に含まれる。
【0024】
〔編地〕
編地は、最終製品に利用されない不使用領域に、編成組織による前記情報表示部を備えること以外は、通常の編地と同様に、種々の編成組織を採用することができる。例えば、一対のジャカード筬によって編成されるジャカード編成組織により情報表示部を備えた編地の場合、前記ジャカード編成組織だけで構成することもできるし、ジャカード編成組織に加えて別の編成組織を組み合わせて構成することもできる。
別の編成組織として、ジャカード筬とは異なる筬によって弾性糸が挿入または編み込まれてなる弾性糸編成組織を備えることができる。弾性糸編成組織を備えることで、ジャカード編地に優れた伸縮性を付与することができる。弾性糸編成組織が挿入組織であれば、伸縮性はより高まる。
【0025】
ジャカード編成組織における部分的な組織変化だけでは、領域毎の緊迫力や伸びなどの特性に大きな差を付けることには限界があるが、弾性糸編成組織が加わると、領域毎の特性の差を格段に大きくすることができる。
別の編成組織として、非弾性糸による編成組織も勿論加えることができる。非弾性糸による編成組織で、ジャカード編地の表面特性や機能性などを向上させることができる。
ジャカード編地に要求される機能や特性に合わせて、さまざまな別の編成組織の採用、組み合わせを変更することができる。
ジャカード編地として、分割可能な構造を設けることができる。ジャカード編地の一部に、抜き糸、抜き糸の左右に配置される耳部編成組織など、通常の分割可能な編地と同様の編成組織を付加することができる。このような分割可能な構造を構成するための編成組織を、ジャカード編成組織の一部に組み込むことができる。一対のジャカード筬で編成する変化組織の一部を、抜き糸や耳部編成組織になるように変化させれば、分割構造を構成するために余分の筬を使う必要がなくなる。
【0026】
〔編地の製造〕
特定条件を備える編成組織を編成すること以外は、基本的に、通常の編地と共通する製造技術がそのまま適用できる。
編成糸の準備、編成装置への糸通し、糸の供給条件、編成条件、編成後の加工処理、染色加工など、通常の編地と同様の処理工程が行なわれる。弾性糸編成組織を含む編地では、熱セット加工などで、弾性糸の固定を行なうことができる。
<編成糸>
編地の編成に用いる編成糸としては、通常の編地に使用されている糸種および糸条件の範囲で、目的に合わせて設定できる。
【0027】
非弾性糸としては、ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの再生繊維、木綿、絹などの天然繊維などからなるものを、編地の用途や要求性能に合わせて適宜に選択して使用することができる。複数の繊維材料を組み合わせた複合糸も使用できる。
弾性糸としては、ポリウレタン繊維などの弾性繊維からなるものが使用できる。
弾性糸に非弾性糸を被覆した被覆弾性糸や、非弾性繊維と弾性繊維とを組み合わせた複合糸なども使用できる。
非弾性糸と弾性糸とは、伸び率によって区別することができる。通常、非弾性糸は伸び率100%未満であり、弾性糸は伸び率150%以上、好ましくは200%以上である。
【0028】
編成糸の太さは、編地の目的や要求性能によっても異なるが、非弾性糸の場合には、通常、16〜470dtex、より好ましくは、22〜235dtexの範囲に設定できる。また、弾性糸の場合には、通常、11〜3730dtex、より好ましくは、22〜1240dtexの範囲に設定できる。
ジャカード筬などの各筬には、全ての針位置に同じ編成糸を糸通ししても良いし、太さや種類が異なる編成糸を組み合わせることもできる。同じ針位置に、複数本の糸を揃えて給糸することもできる。
特に、弾性糸編成組織として、弾性糸を複数本揃えて編成すると、前記したジャカード編成組織の部分的な組織変化による領域毎の緊迫力や伸びの違いを、さらに増大させることができる。弾性糸編成組織に、弾性糸が単独で編成される個所と、弾性糸を複数本揃えて編成する個所とを含んでいると、弾性糸が単独の個所と、弾性糸が複数本の個所とで、特性の違いをより大きくできる。
【0029】
〔編地の用途〕
編地のうち、最終製品に利用される領域については、通常の編地と全くかわりのないものとなる。したがって、従来の編地が利用されていた各種用途にそのまま適用することが可能である。
具体的には、インナーウェアやアウターウェア、スポーツウェアなどになる編地が挙げられる。
【発明の効果】
【0030】
本発明にかかる編地は、基本的には通常の編地と同様のジャカード柄模様や機能・特性の違う領域を自由に設けることができる上で、最終製品に利用されない不使用領域に、編成組織による情報表示部を備えることで、編地の取り扱いが行ない易くなる。
編成組織によって形成された情報表示部は、編成後の洗浄や染色その他の処理加工を施しても情報が消えたり読み難くなったりすることがない。薄くなったり消えたりした情報を書き直すような面倒な作業が省ける。
編成装置から連続的に生産される編地の側端だけでなく中央部分など任意の位置に、何らの困難性もなく必要な情報表示部を設けることができるので、編地を裁断したあとでも、個々の裁断部分毎に必要な情報表示部を残しておくことが可能になる。編地の全体での取り扱いだけでなく、最終製品になる直前に近い段階まで、必要とされる情報を備えた状態を維持することが可能になる。
【0031】
特に、編成装置としてジャカード編成装置を用いた場合には、該ジャカード編成装置に組み込まれた制御情報によって、文字、記号、図象などを任意に組み合わせた正確で判りやすい情報が、編地そのものの編成と同時に形成されるので、マーキングペンを用いた手書きによる情報追記などに比べて、情報表示に要する手間とコストを大幅に削減できるとともに、情報の正確さにおいても格段に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
〔編地〕
図1は、ジャカード経編機で編成されたジャカード経編地10を示している。図2は、要部を拡大して示している。
図1に示すように、ジャカード経編地10の幅方向の両端辺には、通常の経編地と同様、細幅の耳部11が設けられる。耳部11よりも内側の部分が製品に利用され、耳部11は廃棄される。
経編地10の長さ方向で、一定長さ毎に同じ構造の編地単位12が繰り返し配置される。前後の編地単位12、12同士は、一定のコース分だけ編成組織を違えて設けられた単位境界線14を有するので、この単位境界線14に沿って裁断すれば、個別の編地単位12が分離できる。一つの編地単位12は、タテ2列ヨコ4列の合計8枚の矩形をなす製品片20からなる。
【0033】
製品片20には、最終製品を1着分だけ材料取りできる素材が含まれている。最終製品によって材料取りする部片の配置や数、形状は異なる。図2では、点線で輪郭を示す複数の材料部片24が材料取りされる。材料部片24には、必要に応じて、ジャカード柄模様22や緊迫力、伸びなどの機能が異なる領域などが配置される。
したがって、編地単位12を製品片20毎に切り離して、個別の製品片20から所定の材料部片24を裁断し、縫製することによって、1着分の衣料品が完成する。
経編地10の長さ方向で製品片20同士を上下に仕切る境界には、製品片裁断線15が設けられる。製品片裁断線15は、前記した単位境界線14と同様に、特定コース分の編成組織を違えることで形成されている。
【0034】
経編地10には、製品片20同士を幅方向で左右に仕切る境界、および、左右の製品片20と耳部11との境界に、分離線部13が設けられる。分離線部13は、通常の経編地における抜き糸構造を有している。すなわち、分離線部13に組み込まれた抜き糸(図示省略)を経編地10から引き抜くと、抜き糸で連結されていた左右の編地が分離する。このような分離構造あるいは抜き糸構造は、通常の分離構造を有する経編地と同様に、編成組織および編成糸の選択によって構成されている。
以上に説明した、経編地10を耳部11や編地単位12、製品片20で構成すること自体は、通常の経編地においても採用されている構造である。
【0035】
経編地10には、上記構造に加えて情報表示部を有している。
〔情報表示部〕
以下に説明する情報表示部は全て、ジャカード編成組織の組織を変化させることで形成されるものである。情報表示部の部分だけに特別な編成糸を用いたり、特別な筬を使用したりするものではない。
また、ジャカード編成組織の組織変化で形成された全ての情報表示部は、経編地10の表側だけでなく、裏側からも視認できる。経編地10を裏返して取り扱う場合にも、情報を確実に取得できる。
【0036】
また、編成組織で構成された情報表示部は、目視による認識だけでなく、センサによる画像認識などで機械的あるいは電子的に認識させることもできる。
<製造情報>
図1において、耳部11には、製造情報を示す情報表示部として、長さ方向に沿って並ぶ文字によって、工場情報部31が設けられている。図2に詳しく示すように「violetta」という文字列からなり、該文字列により生地を製造した工場が特定できるようになっている。
工場情報部31のほかに、さらに、製造装置、製造時期、製造ロットなどを特定する文字情報を含む情報表示部を設けておくこともできる。これらの情報表示部で示される製造情報により、編地の不具合や品質不良などが生じた際の原因解明などの処置をスムーズに行ない得る。
【0037】
<取扱情報>
取扱情報を示す情報表示部としては、方向情報部32、姿勢情報部33、裁断情報部34が設けられている。
方向情報部32は、矢印の形状をなしている。矢印の指し示す方向が、編成方向を表している。前記した分離線部13において、抜き糸を抜き取って左右の編地を分離するには、抜き糸を一定方向から抜き取らなければならない。適切な方向に抜き取ればスムーズに抜き取ることができるが、反対方向では、いくら強い力を加えても、編目がほどけず、抜き糸を引き抜けない。勿論、経編地10が編成装置から送り出された段階では、編成方向は判っている。しかし、編成後の経編地10を後の工程で処理している間、特に、経編地10を個別あるいは一定数の編地単位12ごとに裁断して取り扱っていると、編成方向が何れの方向かが判らなくなる。このとき、方向情報部32が存在していれば、容易に正しい編成方向すなわち抜き糸の抜き取り方向を見つけることができる。
【0038】
なお、方向情報部32は、1枚の編地単位12毎に設けておくほか、一つの製品片20毎に設けておくこともできる。製品片20を分離した状態でも元の経編地10の編成方向が判るようになり、その後の加工や処理に役立つ。
姿勢情報部33は、左右の耳部11、11のそれぞれに存在し、「R」および「L」の英文字からなる。
前記同様に、経編地10を編地単位12に裁断した状態では、編地単位12は、その前後、左右、表裏などに関して、様々な姿勢を取り得るため、各種の処理加工を施す際における正しい姿勢を判別することが難しい場合がある。前記した工場情報部31や方向情報部32が片側の耳部11だけに配置されていれば、それを手掛かりに左右を区別できる場合もあるが、何れの耳部11にも工場情報部31や方向情報部32を形成して左右対称にしておく場合などは、編地単位12の左右を区別することさえも困難である。
【0039】
そこで、姿勢情報部33が存在していれば、単独の編地単位12をどのような姿勢にして取り扱ったとしても、基本的な姿勢に戻すことができる。編地単位12に各種の処理加工を施す際に正しい姿勢を間違いなく知ることができる。
裁断情報部34は、製品片裁断線15の端部あるいは途中に存在し、「×」印からなる。
裁断情報部34は、編地単位12の上下方向中心線である製品片裁断線15の途中で、製品片20毎に設けられている。
したがって、左右の裁断情報部34を結ぶ線に沿って経編地10を裁断すれば、正確かつ容易に、製品片裁断線15に沿って裁断することができる。製品片裁断線15が細かったり周囲との違いが判り難かったりする場合でも、明確な「×」印からなる裁断情報部34があれば、裁断作業が極めて行ない易くなる。裁断作業を手作業で行なう場合は勿論のこと、センサなどで裁断情報部34を画像認識して裁断を機械化あるいは自動化する場合にも有用となる。
【0040】
<識別情報>
図1において、耳部11には、識別情報を示す情報表示部として、長さ方向に沿って並ぶ文字によって、編地単位の識別情報部51が設けられている。図2に詳しく示すように「ABC−03J」という文字列からなる。
前記編地単位の識別情報部51は、編成の際に順次連続的に振られる番号や記号、生地や顧客に関連する番号や記号、経編地10の設計書や生産指示書などで特定される番号や記号などが、編地単位12毎に表記されたものであるので、以後の編地単位12毎の取り扱いが確実に行なえる。編地単位の識別情報部51が前記工場表示部31などと一体となって1つの情報表示部を構成しても良いし、また、編地単位の識別情報部51自体が同時に製造情報として機能するものであっても良い。このような場合には、1つの情報表示部が製造情報と識別情報を同時に含むものとなる。
【0041】
さらに、図2に詳しく示すように、各製品片20の隅部には、識別情報を示す情報表示部として、「L」「Y07」という文字列からなる製品片の識別情報部52も設けられている。
製品片の識別情報部52は、1枚分の編地単位12における個々の製品片20を区別することができる情報を示す。なお、最終製品となる衣料品が、左右対称の材料部片を組み合わせて構成されるので、同じ「Y07」番号で、右側の材料部片を材料取りする製品片20には「R」の記号、左側の材料部片を材料取りする製品片20には「L」の記号をつけている。同じ番号「Y07」で「L」と「R」の記号がついた一対の製品片20を組み合わせれば、一つの衣料製品が製造できることになる。
【0042】
したがって、編地単位12を、個々の製品片20に裁断分離したあとでも、衣料製品を完成するのに必要な製品片20を、確実かつ容易に取り出すことができる。
製品片の識別情報部52は前記編地単位の識別情報部51と同様に、製造情報などの識別情報以外の情報を含んでいても良い。
<検査情報>
経編地10の耳部11には、検査情報を示す情報表示部として、小さな矩形状をなす組織情報部42が設けられている。
組織情報部42は、経編地10を編成する複数の筬によるそれぞれの編成組織が、互いに位置ずれを起こすことなく正確に配置されていることを確認する機能を有する。
【0043】
具体的には、組織情報部42では、経編地10を構成する編成組織のうち、ジャカード編成組織が残りの地筬による編成組織のいずれかと同調するよう編成されているか、または、孔あき状態になっている。
ジャカード編成組織を除く他の編成組織は、基本的に全てのウェールで一定のコース毎に、同じ組織が繰り返される規則的な編成組織であるのに対し、ジャカード編成組織は、コース毎およびウェール毎に複雑で多彩な変化を有する。そのため、何ら工夫を施さなければ、ジャカード編成組織を含む経編地10の編目状態を観察しても、編成組織同士の位置ずれを正確に評価することは難しい。
【0044】
しかし、編地において柄を形成しているジャカード編成組織のうち、組織情報部42にかかる部分を、残りの地筬による編成組織のいずれかと同調するよう変化させれば、柄ずれが発生したときに、同調するよう編成されている前記二つの編成組織にずれが生じ、目視で糸が二重であると認識できることとなり、これにより、ジャカード編成組織の位置ずれを容易に確認できるのである。
また、組織情報部42において、ジャカード編成組織が孔あき状態にしている場合、ジャカード編成組織による変化を除いた規則的な編成組織同士の組み合わせだけが見えることになるので、ジャカード編成組織以外の編成組織同士の位置ずれが確認し易くなる。
【0045】
組織情報部42は、1枚の経編地10あるいは一つの編地単位12に、1個所だけ設けておいても有用であるが、複数個所に設けてあれば、より確実に組織の確認作業を行なえることになる。
〔変化組織の具体例〕
図3は、情報表示部の1つである編地単位の識別情報部51の形成に利用できるジャカード編成組織における変化組織の具体例を示している。何れも、実線で表示された編成糸と点線で表示された編成糸とが、一対のジャカード筬にそれぞれ1イン1アウトのハーフセットで糸通しされて編成された編成組織である。
【0046】
図3(a)は、薄地柄組織であり、以下の繰り返し単位を有する。
10/12//
図3(b)は、厚地柄組織であり、以下の繰り返し単位を有する。
10/23//
図3(c)は、鎖編による孔地柄組織であり、以下の繰り返し単位を有する。
10/01//
これら図3(a)〜(c)の何れか一つの編成組織で、文字、記号などを表現し、その周囲を別の編成組織で編成すれば、生地の厚みや透けなどの質感の違いによって、視覚的に明確に、文字や記号を認識させることができる。
【0047】
〔組織情報部の具体例〕
図4は、組織情報部42を編成するための編成組織の具体例を示している。
図4における、ジャカード機構を備えない通常の筬GB2〜GB4による各編成組織は、いずれも、全てのウェールで一定のコース毎に、同じ組織が繰り返される規則的な編成組織である。
GB2は、以下の繰り返し単位を有する。
10/12/21/23/21/12//
GB3は、以下の繰り返し単位を有する。
【0048】
11/00//
GB4は、以下の繰り返し単位を有する。
33/22/33/00/11/00//
次に、図4におけるジャカード筬JBによる編成組織は、組織情報部42において、ジャカード編成組織における変化組織を組み合わせて形成された編成組織であり、具体的には、図3(a)〜(c)で示したジャカード編成組織における変化組織を組み合わせたものである。組織情報部42以外の部分では特に制限なく、目的に応じた柄組織が形成されていて良い。そして、図4から分かるとおり、組織情報部42における前記ジャカード筬JBによる編成組織は、前記筬GB2による編成組織と同調するように変化組織が組み合わされている。
【0049】
このような組織情報部42を設けておくことにより、柄ずれが発生したときに、同調するよう編成されている前記ジャカード筬JBによる編成組織と筬GB2による編成組織の二つの編成組織間でずれが生じ、目視で糸が二重であると認識でき、ジャカード編成組織の位置ずれを容易に確認できるのである。各編成組織が互いに位置ずれを起こすことなく正確に配置されていることを、視覚的に明確に確認することができる。
〔他の実施形態〕
ジャカード編成組織による情報表示部を備えた上記編地だけでなく、ジャカード編成組織以外の編成組織による情報表示部を備えた編地も本発明に含まれる。その一例を以下に示す。
【0050】
伸縮性編地は、弾性糸によって、染色工程で耳部カールが生じるおそれがあるため、一般に、編み工程で耳部の弾性糸を一定間隔で挿入しないことにより、前記耳部カールを防止している。この業界慣行を利用して、弾性糸を挿入しない間隔を左右で違えておくことによって、左右を区別することができ、これにより編地の編方向を判別することができる。
具体的に図を用いて説明する。図5は、伸縮性編地の耳部弾性糸60のみに着目したもので、耳部弾性糸60以外の糸、耳部弾性糸60の屈曲、耳部以外の領域Cなどを省略したモデル的な図である。
【0051】
図5(a)は、通常一般に行なわれているように、耳部カールを防止するために、両側の耳部A,Bについて、耳部弾性糸60を5本連続挿入した後1本分は挿入しないという通常のパターンが左右各6箇所ずつ設けられている状態を示している。
図5(b)は、本発明にかかる編地であって、左側耳部Aについては、通常と同様の間隔で耳部弾性糸60を挿入しないパターンとなっているが、右側耳部Bについては、5本連続挿入した後1本分は挿入しないという通常のパターンは5箇所のみであり、1箇所は11本連続挿入した後1本分は挿入しない、という変則的なパターンが設けられた状態を示している。
【0052】
図5(b)で示す編地は、従来の図5(a)で示す編地と異なり、耳部A,Bにおける耳部弾性糸60が左側耳部Aでは通常のパターン、右側耳部Bでは変則的なパターンとなっているため、左右が視覚的に明確に区別できるので、編地の編方向を判別することも可能となる。この場合、不使用領域である耳部A,Bに、耳部弾性糸60による編成組織によって、編地の編方向を判別するための情報表示部が形成されていることになる。
このようにジャカード編成組織以外の編成組織であっても、不使用領域に様々な情報を書き込むことは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の編地は、例えば、各種衣料品の素材となる編地製品を工業的に生産するために有効に利用される。編成後の編地の取り扱いに有用な各種の情報を、確実かつ正確で経済的に表示されたものとなり、衣料品などの生産性、品質の向上および生産コストの低減に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態を表す経編地の平面図
【図2】一部拡大平面図
【図3】ジャカード編成組織の変化組織を示す編成組織図
【図4】組織情報部の編成組織図
【図5】本発明の他の実施形態を表す編地のモデル図
【符号の説明】
【0055】
10 経編地
11 耳部
12 編地単位
13 分離線部
14 単位境界線
15 製品片裁断線
20 製品片
31 工場情報部
32 方向情報部
33 姿勢情報部
34 裁断情報部
42 組織情報部
51 編地単位の識別情報部
52 製品片の識別情報部
60 耳部弾性糸
A 左側耳部
B 右側耳部
C 耳部以外の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編地のうち、最終製品に利用されない不使用領域に、編成組織による情報表示部を備える、
編地。
【請求項2】
前記情報表示部となる編成組織がジャカード編成組織である、請求項1に記載の編地。
【請求項3】
前記情報表示部が、製造情報、取扱情報、識別情報、検査情報からなる群から選ばれる情報を含む、請求項1または2に記載の編地。
【請求項4】
前記情報表示部が、前記検査情報として、前記編地を構成する編成組織の状態を示す組織情報部を含む、請求項3に記載の編地。
【請求項5】
前記情報表示部が、文字、記号、図象からなる群から選ばれるジャカード柄模様からなる、請求項2から4までのいずれかに記載の編地。
【請求項6】
請求項2から5までのいずれかに記載の編地を製造する方法であって、
前記ジャカード編成組織を含む編地を編成する際に、
前記不使用領域において、前記ジャカード編成組織の変化組織によって前記情報表示部を形成する、
編地の製造方法。
【請求項7】
前記ジャカード編成組織の変化組織が、薄地柄組織、厚地柄組織、メッシュ組織、鎖編組織からなる群から選ばれる、請求項6に記載の編地の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−291402(P2008−291402A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139317(P2007−139317)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(593179509)株式会社ヴィオレッタ (6)
【Fターム(参考)】