説明

編機のヘルドシャフトのためのシャフトドライブ

【課題】速い作動速度でも個々のヘルドシャフトのスイッチオン・オフを可能にする新たなシャフトドライブを提供する。
【解決手段】この目的のために、偏心部と永続的に回転する及び/又は前後振動するディスクを連結する切換爪が設けられる。このようなクラッチ装置の制御性を改良するための手段は、スロットガイドによる切換爪の制御である。スロットガイドは双安定バイアス装置を切換爪に結合させ、及び/又は切換機能をそれぞれ異なって作動するディスク(21,22)と結合した個々の切換爪(27a,27b)に分ける。好ましくは、2つのディスクの一方が連続回転運動をするのに対し、他方のディスクは、その静止段階の際ヘルドシャフト運動を決定する振動運動をするだけである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編機の少なくとも1つのヘルドシャフトのためのシャフトドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
編機のシェッド形成のために、原則として複数のヘルドシャフトが設けられ、それぞれが複数の相互に平行に配置されたヘルドを有する。たて糸は、ヘルドの糸はと目(yarn eyelet)を通る。シェッド形成のために、ヘルドシャフトは上下に非常に速く移動する。この目的のために、シャフト機械又は偏心機械と称されるシャフトドライブが設けられる。偏心機械は、回転運動からヘルドシャフトの上下運動を発生させ、速い編み速度を可能にする。しかしながら、このような偏心機械は柔軟性がない。パターン又は様々な生地の製造は限られた態様でのみ可能になる。この理由のため、ヘルドシャフト運動を発生させるために爪連結がドライブシャフトと偏心機械の間に設けられるところに、シャフトドライブは広範に用いられる。
【0003】
このようなシャフト機械は、例えば特許文献1から知られている。偏心機械とドライブシャフトの間に設けられた爪切換機構は、それぞれのヘルドシャフト運動のために、すなわちヘルドシャフトの上方運動又はその下方運動のために、ドライブシャフトの半回転のために切り換えられる。このようなシャフト機械は非常に柔軟性がある。しかしながら、このようなシャフト機械の爪切換機構の機能のために、全ての駆動要素及び従動要素並びにヘルドシャフトを有する全ドライブが切換段階の際、静止していることが必要である。従って、前記の特許文献に従うシャフト機械は固定した状態(デテント状態)で切換を実行する。
【0004】
【特許文献1】DE 69702039 T2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、運動の際に切り換わる高い作動スピードを可能にする爪切換機構を有するシャフトドライブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1及び2に従うシャフトドライブにより実現される。
【0007】
シャフトドライブは、所定の(例えば、一様な)回転運動を行うために少なくとも1つの駆動ディスクを有するクラッチ装置を有する。回転振動運動を行う第2駆動ディスクが設けられる。この運動は、選択された角度範囲で短い時間周期の間、第1駆動ディスクと完全に又はほぼ完全に同期する。2つの駆動ディスクの同期運動のこれらの短い段階は、第1駆動ディスクから第2駆動ディスクへの及びその逆の従動ディスク(driven disk)の駆動連結を切り換えるために利用される。この目的のために、1つ又は複数の切換爪(切換歯止め)が設けられる。
【0008】
切換爪作動装置により係合・解除される。この装置は、例えば2つの位置の間で移動するスライダである。切換爪はスライダの傍を通り、スライダ位置に従って作動する。作動装置は、少なくとも1つのしかし好ましくは2つの切換レバーで形成される。切換爪が切換レバーの傍を通り、従ってそれにより作動する(例えば、係合する)。作動装置と切換爪の一時的な連結のために、好ましくはスロットガイドが設けられる。スロットガイドは、例えば従動ディスクと共に回転する移動する切換爪が円周方向に自由に移動することを保証し、さらにスロットガイドは半径方向に向いた切換運動を切換爪に伝える。
【0009】
スライダは従動回転カムにより作動し、カムフォロワを介してスライダはこのカムに接触する。切換レバーは、電気手段又は空気圧手段で直に作動される。しかしながら、制御クラッチの媒介によりカムドライブから切換レバーを駆動させるのが好ましい。制御クラッチは非常に小さい電力で操作されるが、切換レバーを移動させるのに十分大きい力が発生する。切換クラッチは、例えば固定した又は移動できる制御磁石で制御され、振動して駆動するセレクタ指で形成される。このような装置は、小さいエネルギー入力で制御される、正確に応答するクラッチ制御装置になる。
【0010】
切換爪はバイアス装置により係合又は解除位置までバイアスをかけられ、必要ならば、作動装置により係合又は解除位置まで移動する。
【0011】
安定した操作が特徴の特に速く応答する切換爪機構は、バイアス装置が2つの安定した切換位置を有する双安定装置(bistabile device)であることにより得られる。このような2つの位置の間に、死点位置が設けられる。この場合、切換操作のために、作動装置は切換爪が切り換わる死点を超えて切換爪を移動させるだけでよい。全機構が晒される衝撃、振動、それから生じる遠心力にもかかわらず、このような操作は非常に速い作動速度でも保証される。
【0012】
切換爪のためのスロットガイドを具備した作動装置により切換爪を切り換えることも有利と考えられる。この配置では、切換爪又は切換爪に連結したカムフォロワ要素が、切換領域、すなわち切換ステップが予期される従動ディスクと共に回転する切換爪の角度領域でのみスロットガイドと係合すれば十分である。これら角度範囲はヘルドシャフトの上側及び下側死点に対応する。
【0013】
切換爪は、ロッカー状部品として構成され、2つの切換突起を具備する。一方の切換突起は第1駆動ディスクと結合し、他方は第2駆動ディスクと結合する。このようにして、切換爪は、第1駆動ディスクと従動ディスクの駆動連結、又は第2駆動ディスクと従動ディスクの駆動連結を選択的に確立する働きをする。切換爪は、旋回ピンが従動ディスクと連結した固いロッカーとして構成されてもよい。変形例として、ロッカーは弾性的に保持されたアームを有するツーパート部品でもよい。
【0014】
本発明の特に有利な実施形態では、2つの相互に分離した切換爪が設けられる。このようにして、第1切換爪は第1駆動ディスクと結合し、第2切換爪は第2駆動ディスクと結合する。この配置では、切換爪は好ましくは従動ディスクの正反対側に配置される。切換爪はそれらの係合位置に向かって弾性的にバイアスをかけられるか、先に述べたように、前記の利点を有する双安定バイアス装置と連結する。2つの切換爪を有する実施形態は、それぞれの切換爪の切換運動が他方の切換爪の切換運動から独立して設定されるという利点を有する。これも、信頼できる速い操作速度及び切換速度を得るのに有利である。
【0015】
従動ディスクが第1駆動ディスクに連結する場合、ヘルドシャフトは前後運動を行う。しかしながら、従動ディスクが、限られた角度で振動するだけの第2駆動ディスクに連結する場合、ヘルドシャフトは、上側又は下側反転位置の周りで僅かな振動運動をするにすぎない静止段階にある。しかし、この振動運動の間に、ヘルドシャフトは短い同期段階の間に係合する。つまり、ヘルドシャフトと協働する駆動要素に与えられる加速力と生じる力は、ヘルドシャフトの絶え間ない操作の場合よりも小さい。とにかく、加速力のかなり急な変化は生じない。
【0016】
第2駆動ディスクの振動運動は、カムドライブ又は電気、油圧又は空気圧ドライブにより生じる。
【0017】
好ましくはドライブは、運動段階だけでなく、従来の配置ではヘルドシャフトが上側又は下側反転位置に静止している静止段階の間もヘルドシャフトに連続運動を与える。これは、ヘルドシャフトの最大加速度を減少させる可能性をもたらす。急な加速度増大を避けることで、ヘルドシャフトの衝撃のない操作がもたらされる。このような操作は、速い作動速度でも、振動の過度の励起をもたらさない。従って、ヘルドシャフトの破損及びヘルドの破損が生じる作動速度の限界は著しく高い作動速度まで移される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態の別な詳細は図面、明細書又は特許請求の範囲から明らかになろう。
【0019】
図面は本発明の幾つかの実施形態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、ヘルドシャフト1とそれに連結したシャフトドライブ2を示す。ヘルドシャフト1はフレームで形成される。ヘルドシャフトはヘルド95を具備し、矢印3で示されるように上下に往復運動する。ヘルドシャフト1を駆動させるために、2つ又はそれ以上の位置5,6でヘルドシャフト1に連結し、シャフトドライブ2の従動機構を構成する連結装置4が設けられる。連結装置4はクランクレバー7,8を有する。これらは、一方ではヘルドシャフト1に連結し、他方では押し引きロッド9と直結又は間接的に接続する。このロッドは、この目的のために出力部で、振動運動を行うロッカーアーム11を有するシャフトドライブ2に連結している。シャフトドライブ2は、入力シャフト12の一様な回転運動から矢印13で示された前後運動を生じさせる。この運動は、ヘルドシャフト1に実質的に調和振動運動を与える。
【0021】
図2では、曲線Iが時間tに対するX座標(図1の矢印3の方向)に沿うヘルドシャフトの運動を示す。関数は、例えば正弦曲線である。ヘルドシャフト1が、編み技術自体に関する限りは停止する反転の上側位置TOに達するとすぐに、曲線Iは減少した振幅及び加速度の振動に変化する(曲線ブランチII)。従って、ヘルドシャフト1は静止しているというよりも、反転位置の範囲BTOで振動する。従って、上側最大値の付近では、ヘルドシャフト運動は曲線Iから曲線IIに変化する。
【0022】
設計された振動運動のために、このような振動運動は最小に加速度を維持するので、ヘルドシャフト1への応力が減少し又は最大限に制限される。
【0023】
図3は、静止領域Rにおける反転位置振動が複数のサイクルを通して維持されることを示す。
【0024】
図4に示されるように、複数のヘルドシャフト1,1a,1bが互いの後ろに小さい距離を置いて配置され、共通のシャフトドライブ2から、従って共通の入力シャフト12から駆動される。このシャフトは、サーボモータ、通常の電気モータ又は編機の別な部品も駆動させる中央駆動装置の従動軸で形成された回転駆動装置14に連結する。
【0025】
運動段階Bと静止段階Rにおけるヘルドシャフト1の前記の運動は、図5,6及び7に示されるような機械シャフトドライブ2により発生する。それぞれのヘルドシャフト1,1a,1bのために、シャフトドライブ2は、入力シャフト12の回転運動を、振動ロッカーを構成するそれぞれの出力側レバー11(11a,11b)の前後運動に変換するために、それぞれのギヤ15(15a,15b)を有する。シャフトドライブ2はさらに、それぞれのヘルドシャフト1(1a,1b)のために、クラッチ装置16(16a,16b)を有する。これにより、ギヤ15は選択的に入力シャフト12に連結し又は分離する。クラッチ装置16及びギヤ15は図5及び7に概略的に示される。クラッチ装置はヘルドシャフトの運動を制御する働きをし、機械構造として形成された制御装置Cである。その構造(図7)は以下のようである。
【0026】
ギヤ15は、連結ロッド18によりレバー11を振動させる偏心部(エキセントリック)17により形成される。従って、ギヤ15は偏心部17の回転運動を往復運動に変換する働きをする。クラッチ装置16は第1ディスク21と第2ディスク22(これらは両方ともクラッチ装置16の入力部を構成するので「駆動ディスク」と称される)を有する。両方のディスク21,22は好ましくは同じ直径を有する。しかしながら、それらは異なる直径を有してもよく、図7においてより明瞭になるように、異なる直径を有して示されている。第1ディスク21は入力シャフト12と連結しており、従ってこのシャフトを介して回転駆動装置14に結合している。従って、ディスク21は、図7に矢印23で示される実質的に一定の毎分回転数(rpm)で一様に回転する。第2ディスク22は、第1ディスク21と同じ回転軸24の周りに回転できるように保持されている。しかしながら、それは一定の回転で駆動せず、矢印25で示されるように回転振動運動で駆動する。
【0027】
クラッチ装置16はさらに、切換爪27で形成された切換部材26を有する。切換爪はピン28の周りに旋回でき、偏心部17に保持されている(偏心部はクラッチ装置の出力部を構成するので、「従動ディスク」とも称される)。切換爪は第1切換突起29と第2切換突起30を有する。切換突起29,30はピン28の異なる側面に配置されている。ディスク21において180°離れて位置した2つのデテント凹部31,32が切換突起29と結合する。ディスク22において180°離れて位置した2つのデテント凹部33,34が切換突起30に結合する。後述するバイアス装置35aにより、切換爪27がその切換突起29によってディスク21に向かって又は離れてバイアスをかけられる。
【0028】
切換突起30の近くの端では、切換爪27は制御ローラ35を具備し、このローラは、回転軸24に対して半径方向外側に切換爪27のばねによってバイアスをかけられる。
【0029】
切換爪27は、例えば図6又は8に示される固定ロッカーとして形成される。従って、切換突起29,30の運動は互いに固く連結される。
【0030】
さらに、切換爪27を図7に示されるようなツーパート部品として構成すると有益である。切換突起29を担持するアーム27’と切換突起30を担持するアーム27’’がピン28周りに互いに独立に回転する。さらに、アーム27’’は、アーム27’のために着座面として働く突出部を具備してもよい。ばねは突出部に抗してアーム27’にバイアスをかける。このようにして、ディスク21,22が短い間同期して動く同期段階の際、両方の切換突起29,30は係合位置にある。両方の切換突起29,30が係合している期間は、切換爪27の分割のために、シングルパート構造の場合より大きくなる。外されるべきそれぞれの切換突起29,30の負荷を軽減することで、突起は適切なときにデテント凹部31,32又は33,34から離れて運動する。
【0031】
2つの切換レバー36,37が切換爪27に連結する(図7)。各レバーは、円弧状のスロットガイド38,39をそれぞれ有する。各ガイドは回転軸24にほぼ同心状に配置され、ほぼ円形アーチ状の溝で形成される(図6)。溝はアーチ状フランクを有し、その間に制御ローラ35が動く。図5に見られるように、切換レバー36,37は、旋回軸41,42の周りに半径方向内側又は外側に旋回する。内側旋回位置は、図8に見られるように、制御ローラ35がスロットガイド38,39の外側溝フランクに沿って動くときに切換爪27の切換突起29がそれぞれのデテント凹部31,32から持ち上げられるように選択される。従って、次いで切換突起30はデテント凹部33,34に係合する。双安定バイアス装置35aの力に抗して反対方向に切換爪27を移動させるために、制御ローラ35がスロットガイド38,39の内側溝フランク上を動く。
【0032】
切換レバー36,37を作動させるために、図5に示されるカムドライブ43が設けられ、これは入力シャフト12と結合し、例えば2つのカムを有する。2つのカムとカムフォロワレバー44が連結する。このレバーはベルクランクレバーとして形成され、制御連結装置46として働くセレクタ指45を介して切換レバー36,37を作動させる。セレクタ指45はカムフォロワレバー44により垂直振動で駆動し、従って、その旋回位置しだいで切換レバー36の自由端47か切換レバー37の自由端48を作動させる。このような状況では、カムフォロワレバー44の偏位運動の継続する間それぞれの端47又は48は下方に押される。セレクタ指45の旋回位置をそのどちらかの面で所望に設定するために、セレクタ指45をその位置に限定する当接部材51,52が設けられる。制御磁石52aがその制御機能を行うために作動すると、セレクタ指45は、圧縮ばね52bの力に抗して制御磁石52aにより当接部材52に引っ張られ、維持される。さもなければ、圧縮ばね52bは当接部材51に抗してセレクタ指45を押し、それをそこで保持する。
【0033】
ディスク21が一定に回転するのに対し、先に述べたようにディスク22は回転振動を行う。このために、ディスク22と連結したカムフォロワ53(図5)が設けられる。カムフォロワ53は、ディスク22に固く固定されたレバーの端に保持されたローラである。カムフォロワ53はカムディスク54により作動する。このディスクは、例えば入力シャフト12のrpmの2倍で回転し、単一の突出部を有する。このようにして、入力シャフト12の各回転のために、2つの前後振動がディスク22に与えられる。
【0034】
前記のシャフトドライブ2は以下のように作動する。
【0035】
先ず、偏心部17は一定の回転を行うと仮定する。この目的のために、切換爪27はディスク21を偏心部17に常に接続しなければならない。この効果を実現するために、ディスク21が回転する際に切換爪27がそれぞれの切換レバーの傍を通過するとき、切換レバー36と切換レバー37はそれぞれの場合に外側に移動しなければならない。この目的のために、切換爪27が切換レバー36の傍を通るときにセレクタ指45が端47を下方に押し、切換爪27が切換レバー37の傍を通るときにセレクタ指45が端48を下方に押すように、制御磁石52aが制御される。
【0036】
切換レバー36,37の切換面38,39は、切換範囲と考えられる角度範囲にわたって延びる。カムフォロワ53は、カムディスク54と共に振動ドライブ55を形成する。振動ドライブは、切換爪27が切換範囲を通るときはいつでもディスク21の運動と同期する回転振動運動をディスク22に与える。これら運動段階は、カムドライブ43のカムがカムフォロワレバー44の端の外側に移動することに特徴付けられる。
【0037】
それぞれの切換レバー36又は37が外側に動かないようにすることで、ディスク21,22の同期運動の段階の際、クラッチ装置16は切り換えられる。このようにして、例えば、切換突起29はデテント凹部31から押される一方、切換突起30はデテント凹部33に係合する。それぞれの切換レバー36又は37は、例えばばね56,57によりそれぞれの切換レバー36又は37を内側位置に保持することでアクティブになり、セレクタ指45により外側に移動しない。この状態では、偏心部17はディスク22に結合しているので前後振動運動のみを行う。数度(例えば10°)の前後振動運動により、ヘルドシャフトの上側及び下側反転位置において僅かな(最大でも数ミリメートルの)ヘルドシャフトの上下運動しか生じない。このような運動は、シェッド形成及び編み工程の邪魔をしない。しかしながら、切換爪27が載っているそれぞれの切換レバー36,37だけが外側に旋回するという事実のために、同期した新しい切換が可能になる。カムドライブ43は、2つのディスク21,22が同期した瞬間にこれを生じさせ、それで偏心部17の柔らかく衝撃のない再始動が行われる。
【0038】
バイアス装置35aは、2つの安定位置で切換爪27にバイアスを加える。図8は、プッシュロッド60が切換爪27のアームと係合し、カウンタ支持体61に保持された実施例を示す。カウンタ支持体はピン28のベアリングに回転でき移動しないように連結し、従って例えば偏心部17に設けられている。プッシュロッド62に設けられた圧縮ばねのようなばね62が一端でカウンタ支持体61と係合し、他端でプッシュロッド60に固定されたワッシャ63と係合している。プッシュロッド60はジョイント64により切換爪27と連結する。カウンタ支持体61、ジョイント64及びピン28は、切換爪27とプッシュロッド60が切換爪27の旋回範囲を通って移動するときに延びた位置を通るように、配置される。この延びた位置は死点位置を構成する。死点位置のどちらかの面に、切換爪27は安定した係合位置を有する。係合位置の一方では、切換突起29がデテント凹部31に係合する一方、他方の安定位置では切換突起30がデテント凹部33に係合する。このようにして、切換爪27は、制御ローラ35でそこに割り当てられた連結位置を確実に維持する。切換爪27は図8及び9に示されるように固い部品でもよく、又は図7に示されるようにツーピースの部品でもよい。どちらの場合でも、切換爪27は切換レバー36,37により、双安定バイアス装置35aで予め定められたそれぞれの安定切換位置に切り換えられる。
【0039】
図10は、シャフトドライブが切換爪27a,27bを用いた別な変形例を示す。これら切換爪は、先に述べた切換爪27と同様に、それぞれのピン28a,28bによって偏心部17にそれぞれ旋回するように保持されている。各切換爪27a,27bは唯一の切換突起29,30を担持する。このようにして、切換爪27aはディスク21と結合し、切換爪27bはディスク22と結合する。切換爪27a,27bは、図11に示されるラップスプリング35bのようなばねによりデテント位置に向かってバイアスをかけられる。切換爪27aはディスク21と係合している。切換爪27bはディスク22から外れている。切換爪27a,27bをデテント位置から移動させるために、切換レバー36,37が、より正確には、図6に示された切換装置のスロットガイド38,39に代わるそれらの円弧状切換面38a,39aが設けられる。
【0040】
別個の切換爪27a,27bが用いられる実施形態では、それぞれの他方の切換爪27a又は27bがどれだけ速く解除位置に達するかとは無関係に、所望の切換爪27a又は27bが係合する。
【0041】
図12に示されるように、切換爪27a,27bはスロットガイド38,39で作動してもよい。この目的のため、図11に従う切換爪27a,27b並びに図13に従う切換爪が使用される。さらに、図10に示されるように、切換爪27a,27bは同じ方向に旋回してもよい。図8に関連して先に述べたように、図13に従う切換爪27a,27bはそれぞれ双安定バイアス装置35aを具備している。従って、その記述がこの例にも当てはまる。
【0042】
切換爪27a,27bは、切換レバー36,37、又はスロットガイド38,39が形成されたスライダ65により作動する。スライダ65は、例えば回転軸24に対して選択された半径方向にスライドするように支持され、図14に示されるように制御カム66で作動する。スライダ65は両方の切換爪27a,27bの同期切換を保証し、それで速い切換速度でも誤った切換が避けられる。
【0043】
さらに、端位置にスライダ65を維持するために、保持磁石67がスライダ65と結合してもよい。
【0044】
新しいシャフトドライブは速い作動速度でも個々のヘルドシャフトのスイッチオン・オフをもたらす。この目的のために、偏心部を、永続的に回転し及び/又は前後振動するディスクに連結させる切換爪が設けられる。このようなクラッチ装置の制御性を改良するための手段は、スロットガイドによる切換爪の制御である。スロットガイドは双安定バイアス装置を切換爪に結合させ、及び/又は切換機能をそれぞれ異なって作動するディスク21,22と結合した個々の切換爪27a,27bに分ける。好ましくは、2つのディスクの一方が連続回転運動をするのに対し、他方のディスクは、その静止段階の際ヘルドシャフト運動を決定する振動運動をするだけである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】機械シャフトドライブと連結したヘルドシャフトの概略図である。
【図2】異なる運動段階におけるヘルドシャフト運動の異なるコースのための時間関数の図である。
【図3】異なる運動段階におけるヘルドシャフト運動の異なるコースのための時間関数の図である。
【図4】図1に示されたシャフトドライブの概略平面図である。
【図5】図1に示されたシャフトドライブの概略部分図である。
【図6】図1に従うシャフトドライブのスロットガイドの部分斜視図である。
【図7】図5に従うシャフトドライブの、異なる尺度の部分概略図である。
【図8】図1〜4に従うシャフトドライブの部分図であり、切換爪とそれに連結した双安定のバイアス装置を示す。
【図9】切換可能なカムディスク、双安定切換爪及びスロットガイドを有するシャフトドライブの概略図である。
【図10】2つの単一突起の切換爪を有するシャフトドライブの概略図である。
【図11】単一突起の切換爪の1つを示す、図10のシャフトドライブの部分図である。
【図12】2つの単一突起の切換爪とスロットガイドを有するシャフトドライブの概略図である。
【図13】双安定の単一突起の切換爪を示す、図12のシャフトドライブの部分図である。
【図14】図13に従う2つの単一突起の双安定切換爪を有するシャフトドライブと作動スライダの概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1,1a,1b ヘルドシャフト
95 ヘルド
2 シャフトドライブ
3 矢印
4 従動装置(例えば、連結装置)
5,6 位置
7,8 ベルクランクレバー
9 押し引きロッド
11 ロッカー
12 入力シャフト
13 矢印
14 回転駆動装置
15 ギヤ
16 クラッチ装置
17 偏心部
18 連結ロッド
21,22 入力要素/ディスク
23 矢印
24 回転軸
25 矢印
26 切換部材
27 切換爪
27’,27’’ ディスク21,22に結合した切換爪アーム
27a,27b 切換爪
28,28a,28b ピン
29,30 切換突起
31,32,33,34 デテント凹部
35 制御ローラ
35a バイアス装置
35b ラップスプリング
36,37 切換レバー
38,39 スロットガイド
38a,39a 切換面
41,42 旋回軸
43 カムドライブ
44 カムフォロワレバー
45 セレクタ指
46 制御連結装置
47,48 端
51,52 制御磁石
52a 制御磁石
52b 圧縮ばね
53 カムフォロワ
54 カムディスク
55 振動ドライブ
56,57 ばね
60 プッシュロッド
61 カウンタ支持体
62 ばね
63 ディスク
64 ジョイント
65 スライダ
66 制御カム
67 保持磁石
B 運動段階
C 制御装置
TO,TU 反転位置、反転ポイント
BTO 反転位置の領域
t 時間
R 静止段階
S 同期段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルドシャフト(1)に結合した従動装置であって、静止段階(R)においてヘルドシャフト(1)を維持し、ヘルドシャフトに運動段階(B)を与えるためにヘルドシャフトに連結した少なくとも1つの従動装置(4)と、
従動装置(4)の実際の速度を制御し、それによりヘルドシャフト(1)の速度を制御するための制御装置(C)と、
シャフトドライブ(2)の部分を形成するクラッチ装置であって、駆動運動をヘルドシャフト(1)に伝えるために駆動装置(14)とギヤ(15)の間に配置されたクラッチ装置(16)と
を有する編機の少なくとも1つのヘルドシャフト(1)のためのシャフトドライブにして、
クラッチ装置(16)が、駆動装置(14)に連結した第1駆動ディスク(21)、第2駆動ディスク(22)、及び少なくとも1つの切換爪(27)により第1駆動ディスク(21)又は第2駆動ディスク(22)に選択的に連結する従動ディスク(17)を有し、
2つの安定位置の間で前後運動するために、切換爪(27)が双安定バイアス装置(35a)で保持される
ことを特徴とするシャフトドライブ。
【請求項2】
ヘルドシャフト(1)に結合した従動装置であって、静止段階(R)においてヘルドシャフト(1)を維持し、ヘルドシャフトに運動段階(B)を与えるためにヘルドシャフトに連結した少なくとも1つの従動装置(4)と、
従動装置(4)の実際の速度を制御し、それによりヘルドシャフト(1)の速度を制御するための制御装置(C)と、
シャフトドライブ(2)の部分を形成するクラッチ装置であって、駆動運動をヘルドシャフト(1)に伝えるために駆動装置(14)とギヤ(15)の間に配置されたクラッチ装置(16)と
を有する編機の少なくとも1つのヘルドシャフト(1)のためのシャフトドライブにして、
クラッチ装置(16)が、駆動装置(14)に連結した第1駆動ディスク(21)、第2駆動ディスク(22)、及び第1切換爪(27a)又はこの第1切換爪(27a)からある距離を置いて配置された第2切換爪(27b)により第1駆動ディスク(21)又は第2駆動ディスク(22)に選択的に連結する従動ディスク(17)を有する
ことを特徴とするシャフトドライブ。
【請求項3】
切換爪(27)がバイアス装置(35a)により安定位置の1つのおいてバイアスをかけられて保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項4】
切換爪(27)が、2つの安定位置の間の前後運動のために双安定バイアス装置(35a)により保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項5】
切換爪(27)が、スロットガイド(38)を有する作動要素(36,65)により、係合位置と解除位置の間で前後に移動することができることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項6】
スロットガイド(38)が、駆動装置(14)の選択された回転位置でのみ切換爪(27)と係合することを特徴とする請求項5に記載のシャフトドライブ。
【請求項7】
作動要素(65)が作動スライダであることを特徴とする請求項5に記載のシャフトドライブ。
【請求項8】
駆動装置(14)が第1駆動ディスク(21)に一定方向の運動を与え、交互方向の運動が第2駆動ディスク(22)に与えられることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項9】
従動装置(4)が、静止段階(R)の間にも予め定められた運動を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項10】
静止段階(R)における予め定められた運動が制御装置(C)で決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項11】
静止段階(R)の始めに、従動装置(4)が前記の運動段階(B)の端における加速度に等しい加速度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項12】
運動段階(B)の始めに、従動装置(4)が前記の静止段階(R)の端における加速度に等しい加速度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項13】
従動装置(4)が静止段階(R)の間に振動運動を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項14】
第1駆動ディスク(21)と第2駆動ディスク(22)が少なくとも短い間同期して駆動し、クラッチ装置(16)の切換が同期段階の間に行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項15】
第2駆動ディスク(22)が、振動運動を第2駆動ディスク(22)に与える振動ドライブ(55)に連結していることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項16】
切換爪(27)が偏心部(17)に永続的に連結し、第1駆動ディスク(21)又は第2駆動ディスク(22)に選択的に連結することを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項17】
作動要素(36,37)で予め定められた切換位置における第2駆動ディスク(22)の回転振動運動が、第1駆動ディスク(21)の回転運動と同期することを特徴とする請求項15に記載のシャフトドライブ。
【請求項18】
作動要素(36,37)が、少なくとも1つの予め定められた切換位置で切換爪(27)を係合又は解除するために切換爪(27)と結合する少なくとも1つの切換レバー(36,37)で形成されることを特徴とする請求項5に記載のシャフトドライブ。
【請求項19】
切換爪(27)が従動ディスク(17)と連結し、それと共に回転することを特徴とする請求項1又は2に記載のシャフトドライブ。
【請求項20】
作動要素(36,37)が制御連結装置(46)を介してカムドライブ(43)と連結することを特徴とする請求項5又は19に記載のシャフトドライブ。
【請求項21】
カムドライブ(43)により作動要素(36,37)のアクティブ化及び非アクティブ化を行うために、制御連結装置(46)が、少なくとも2つの位置の間で移動するように保持されたセレクタ指(45)を有し、セレクタ指(45)が制御磁石(52a)と圧縮ばね(52b)の組み合わせにより移動することができることを特徴とする請求項20に記載のシャフトドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−249649(P2006−249649A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43797(P2006−43797)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)