説明

縦型電気掃除機

【課題】着脱自在の接続パイプを有し、塵埃詰まりの除去作業を容易にさせ、使用性の向上及び、安定性の良い縦型電気掃除機を提供する。
【解決手段】掃除機本体10の下方に床用吸込具19を有し、掃除機本体10に隙間吸引パイプ18を着脱可能に有し、掃除機本体10内部の集塵部15に連通する共通流路31に、床用吸込具19は、床側吸込み流路26、隙間吸引パイプ18は、吸引パイプ側吸込み流路28を介して接続される縦型電気掃除機において、床用吸込具19の床側吸込み流路26は、下方から共通流路31に連通し、前記隙間吸引パイプ18の吸引パイプ側吸込み流路28は、上方から共通流路31に連通し、前記共通流路31で前記床側吸込み流路26と、前記吸引パイプ側吸込み流路28との合流位置近傍に、隙間吸引パイプ18と連通する接続パイプ30を掃除機本体10に着脱自在に設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下方に床用吸込具を有し、ホースと連通する接続パイプを着脱可能に備えた縦型電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の縦型電気掃除機は,特許文献1参照に記載されているようなものが一般的であった。この縦型電気掃除機を図7を用いて説明する。
従来の縦型電気掃除機において、床面を掃除する際には、隙間吸引パイプ1を掃除機本体2に差し込み、掃除機本体1の上部に設けられたハンドル3を掴んで、床用吸込具4を床面で滑らせるように移動させて掃除を行なう。また、隙間や壁、天井等は、隙間吸引パイプ1を掃除機本体2から取り外して、隙間吸引パイプ1によって掃除する。
床用吸込具4と隙間吸引パイプ1は、掃除機本体2の内部に配備された集塵部5に接続されている。具体的には、集塵部5に連通されている共通流路6に、床用吸込具4の床側吸込み流路7と、隙間吸引パイプ1の吸引パイプ側吸込み流路8が合流し接続されているのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−89762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような電気掃除機の構成では、床用吸込具の床側吸込み流路7と、隙間吸引パイプの吸引パイプ側吸込み流路8が合流する共通流路6近傍に、塵埃が蓄積し、塵埃を取り去る作業をした場合、集塵部5または床用吸込具4を、掃除機本体2から取り外し大変手間がかかり面倒であった。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するものであって、共通流路6で、合流位置近傍に、着脱可能な接続パイプを設けることより、通路内の塵埃除去作業を容易にさせ使い勝手の良い縦型電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明は、吸引風を発する電動送風機を内臓する掃除機本体と、前記掃除機本体の下方に設けられ前記電動送風機と連通する床用吸込具と、前記掃除機本体に設けられ前記吸込具と前記電動送風機とに連通する集塵部と、前記掃除機本体に着脱自在に取り付け可能な隙間吸引パイプと、前記掃除機本体内に設けられ前記集塵部に連通する共通流路と、前記床用吸込具より吸気され前記共通流路に連通する床側吸込み流路と、前記隙間吸引パイプより吸気され前記共通流路に連通する吸引パイプ側吸込み流路と、前記隙間吸引パイプと連通する接続パイプと、を備え、前記共通流路内での、前記床側吸込み流路と前記吸引パイプ側吸込み流路との合流位置近傍に前記接続パイプと連通接続される穴を前記掃除機本体に設け、前記接続パイプを前記掃除機本体の穴に対し、着脱自在に設けることより、共通流路及び、床用吸込具の吸込み流路、隙間吸引パイプの吸込み流路に塵埃が堆積した時、接続パイプを外せば、共通流路近傍の塵埃除去作業が容易となり使い勝手が向上するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ホースと連通する接続パイプを備えた縦型電気掃除機で、接続パイプを着脱
可能とすることより、塵埃詰まりの除去作業を容易にさせ使い勝手の良い縦型電気掃除機を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態における縦型電気掃除機の全体斜視図
【図2】同縦型電気掃除機の後面から見た全体斜視図
【図3】同縦型電気掃除機の断面図
【図4】同縦型電気掃除機の正面から見た正面図
【図5】同縦型電気掃除機の背面から見た部分断面図
【図6】同縦型電気掃除機の接続パイプを外した状態の断面図
【図7】従来の縦型掃除機の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、吸引風を発する電動送風機を内臓する掃除機本体と、前記掃除機本体の下方に設けられ前記電動送風機と連通する床用吸込具と、前記掃除機本体に設けられ前記吸込具と前記電動送風機とに連通する集塵部と、前記掃除機本体に着脱自在に取り付け可能な隙間吸引パイプと、前記掃除機本体内に設けられ前記集塵部に連通する共通流路と、前記床用吸込具より吸気され前記共通流路に連通する床側吸込み流路と、前記隙間吸引パイプより吸気され前記共通流路に連通する吸引パイプ側吸込み流路と、前記隙間吸引パイプと連通する接続パイプと、を備え、前記共通流路内での、前記床側吸込み流路と前記吸引パイプ側吸込み流路との合流位置近傍に前記接続パイプと連通接続される穴を前記掃除機本体に設け、前記接続パイプを前記掃除機本体の穴に対し、着脱自在に設けられている。
その結果、共通流路及び、床用吸込具の吸込み流路、隙間吸引パイプの吸込み流路に塵埃が堆積した時、接続パイプを掃除機本体から外すことより、共通流路近傍の塵埃除去作業が容易となる。
【0010】
第2の発明は、前記接続パイプと連通する前記穴の配置を、前記共通流路内における前記床側吸込み流路と前記吸引パイプ側吸込み流路とが合流する合流点から外した位置に設けたことにより、異なる経路から来る気流の合流点での乱流部を避けることで、塵埃が詰まる現象を抑制することができる。
またさらに、吸引パイプ側吸込み流路からの塵埃が仮に詰まったとしても、合流点から右斜め上方に穴が設けてあるので、詰まった塵埃は右斜め上方に残留するだけで、床用吸込具の吸込み口から吸引される塵埃が通過できる通路が共通通路内の左下に確保されるため、床側吸込み流路と吸引パイプ側吸込み流路の両方が共に詰まった塵埃で吸引できなくなると言った最悪な現象を回避することができる。
【0011】
第3の発明は、共通通路における通路の口径は、共通通路と連通する床側吸込み流路の口径および吸引パイプ側吸込み流路の口径よりも広い口径とした。これにより、共通通路内の体積空間が広く確保されるので、共通通路内に入り込んだ塵埃を含んだ気流の流速は低下し、大きな粗塵埃を吸い込んでしまった場合などにおいては、この流速の下がる共通通路内に確保されることとなるので、他の場所での塵埃詰まりを防げ、塵埃詰まりにおけるメンテナンスをし易くできるものである。
【0012】
第4の発明は、隙間吸引パイプと連通する接続パイプには爪が形成され、前記爪で掃除機本体と着脱自在に係合されると共に、前記接続パイプを掃除機本体後方下部配置させている。これにより、床面から、接続パイプまでの距離が短くなり、使用者が、隙間吸引パイプを使用する場合、縦型電気掃除機本体のスタンド状態は安定し転倒しにくくなり使い勝手が向上する。
【0013】
第5の発明は、隙間吸引パイプと連通する接続パイプを略L字状に形成し、前記略L字状の接続パイプ内を流れる吸い込み気流の下流側における前記接続パイプの口径は、気流の上流側における前記接続パイプの口径に比べ大きく設定し、気流が進む方向に段階的に口径が広がるようにした。これにより接続パイプ内での特に略L字状の屈曲部での塵埃詰まりを防げることができるものである。
【0014】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態における縦型電気掃除機について、図1〜図6を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態における縦型電気掃除機の全体斜視図、図2は、同縦型電気掃除機の後面から見た全体斜視図である。図3は、同縦型電気掃除機の断面図である。図4は、同縦型電気掃除機の正面から見た正面図、図5は、同縦型電気掃除機の背面から見た部分断面図、図6は、同縦型電気掃除機の接続パイプを外した状態の断面図である。
【0016】
図1〜図6において、掃除機本体10の下方には、電動送風機11を内蔵する電動送風機室12、この電動送風機11の上側で、掃除機本体10中央には、電源供給用のコード13(図示せず)が収容されるコードリール14を備え、このコードリール14の上側には、塵埃を捕集する集塵部15が備えられている。
【0017】
掃除機本体10上端には運搬用ハンドル16が設けられ、掃除機本体10上部後方には、操作用ハンドル17を兼ね備えた隙間吸引パイプ18が具備されている。また、掃除機本体10の下方に上下・左右に首振り回動可能に取り付けられた床用吸込具19を具備されている。
【0018】
図3において、隙間吸引パイプ18には、取付凹部20が形成され、隙間吸引パイプ18を、掃除機本体10の接続開口21に差し込んだ時、ハンドルレバー22の係合突出部23が、隙間吸引パイプ18の取付凹部20に係合されるロック機構となっている。このロック機構により係合突出部23が上記取付凹部20にロックされて、隙間吸引パイプ18は、掃除機本体10に保持される。
また、ハンドルレバー22のロックの解除は、掃除機本体10の上面に設けた解除レバー24を押すことにより行われる構成となっている。
【0019】
図3、図5において、床用吸込具19の吸込み口25から吸引された塵埃が通る床側吸込み流路26は、矢印方向で示すように、床用吸込具19の吸込み口25から後述する共通通路31を介して集塵部13の開口穴27へと連通されている。
【0020】
一方、隙間吸引パイプ18から吸引された塵埃が通る吸引パイプ側吸込み流路28は、互いに連通されたホース29と接続パイプ30と後述する共通通路31を介して、集塵部13の開口穴27へと連通されている。
【0021】
そして、掃除機本体10内には、双方の床側吸込み流路26と、吸引パイプ側吸込み流路28とが合流する通路である共通通路31を有している。
【0022】
図5、図6において共通通路31の近傍には、接続パイプ30の孔32と連通する穴33が掃除機本体10に形成されており、接続パイプ30内の流路と共通通路31とが連通している。
【0023】
また、図2、図6で示すように接続パイプ30は、爪34が形成されており、この爪34が、掃除機本体10の穴33の内壁面に形成された係止部(図示せず)に嵌合すること
より、掃除機本体10と着脱自在に構成されている。
【0024】
上記構成より、床側吸込み流路26を通る床用吸込具19の吸込み口25から吸引された塵埃、或いは、吸引パイプ側吸込み流路28を通る隙間吸引パイプ17からの吸引された塵埃が、共通流路31近傍で詰まった時、集塵部15や、床用吸込具19を掃除機本体10から外すことなく、接続パイプ30を掃除機本体10から外すことより、共通通路31の近傍に設けた穴33より、共通通路31内やその近傍に詰まった塵埃を取り出すことができ、大きな手間をとらずに塵埃の除去が可能となり塵埃除去作業が容易となる。
【0025】
また、上述の説明では、接続パイプ30と連通する穴33を共通通路31の近傍に配置するとしたが、特に、より効果的な配置として、図5に示すように、床側吸込み流路26と吸引パイプ側吸込み流路28とが共通流路31内で合流する合流点から右斜め上方に設け、異なる経路から来る気流の合流点での乱流部を避けることで、塵埃が詰まる現象を抑制することができる。
【0026】
またさらに、吸引パイプ側吸込み流路28からの塵埃が仮に詰まったとしても、合流点から右斜め上方に穴33が設けてあるので、詰まった塵埃は右斜め上方に残留するだけで、床用吸込具19の吸込み口25から吸引される塵埃が通過できる通路が共通通路31内の左下に確保されるため、床側吸込み流路26と吸引パイプ側吸込み流路28の両方が共に詰まった塵埃で吸引できなくなると言った最悪な現象を回避することができるものである。
【0027】
また、図5に示すように、共通通路31においての通路の口径38(通路断面積)は、他の床側吸込み流路26の口径や、吸引パイプ側吸込み流路28の口径よりも広い口径としている。この構成により、共通通路31内の体積空間が広く確保されるので、共通通路31内に入り込んだ塵埃を含んだ気流の流速は低下し、大きな粗塵埃を吸い込んでしまった場合などにおいては、この流速の下がる共通通路31内に確保されることとなるので、他の場所での塵埃詰まりを防げ、塵埃詰まりにおけるメンテナンスをし易くできるものである。
【0028】
また、図6に示すように、略L字状35の接続パイプ30内を流れる吸い込み気流の下流側(孔32側)における接続パイプ30の口径39は、上流側(ホース29側)における接続パイプ30の口径40に比べ、大きく設定し、気流が進む方向に段階的に口径が広がるようにしている。これにより接続パイプ30内での特に略L字状35での屈曲部での塵埃詰まりを防げることができるものである。
【0029】
また、図2、図3において、接続パイプ30は、掃除機本体10後方下部配置していることより、使用者が、隙間吸引パイプ18を掃除機本体10から外して使用する際、床面から、接続パイプ30までの距離Aが短くなり、接続パイプ30に加わるモーメントが小さくなり掃除機本体10のスタンド状態での安定性が向上し且つ、転倒しにくくなり使い勝手が向上する。
【0030】
また、図3において、接続パイプ30は、掃除機本体10の長手方向に対し略L字状35に形成されており、ホース29と接続される開口部36は、掃除機本体10の上方に向けられている。
このことより、ホース29の加わる回動、曲げの妨げの回動範囲が抑制され、ホース29の屈曲耐久性の向上が図れるものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明は、着脱可能な接続パイプを有し、塵埃詰まりの除去作業を容易
にさせ使い勝手の良い縦型電気掃除機を提供することを目的とする。
【符号の説明】
【0032】
10 掃除機本体
11 電動送風機
15 集塵部
18 隙間吸引パイプ
19 床用吸込具
26 床側吸込み流路
28 吸引パイプ側吸込み流路
29 ホース
30 接続パイプ
31 共通通路
34 爪
35 略L字状
36 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を発する電動送風機を内臓する掃除機本体と、
前記掃除機本体の下方に設けられ前記電動送風機と連通する床用吸込具と、
前記掃除機本体に設けられ前記床用吸込具と前記電動送風機とに連通する集塵部と、
前記掃除機本体に着脱自在に取り付け可能な隙間吸引パイプと、
前記掃除機本体内に設けられ前記集塵部に連通する共通流路と、
前記床用吸込具より吸気され前記共通流路に連通する床側吸込み流路と、
前記隙間吸引パイプより吸気され前記共通流路に連通する吸引パイプ側吸込み流路と、
前記隙間吸引パイプと連通する接続パイプと、を備え、
前記共通流路内での、前記床側吸込み流路と前記吸引パイプ側吸込み流路との合流位置近傍に前記接続パイプと連通接続される穴を前記掃除機本体に設け、前記接続パイプを前記掃除機本体の穴に対し、着脱自在に設けたことを特徴とした縦型電気掃除機。
【請求項2】
前記接続パイプと連通する前記穴の配置を、前記共通流路内における前記床側吸込み流路と前記吸引パイプ側吸込み流路とが合流する合流点から外した位置に設けたことを特徴とした請求項1に記載の縦型電気掃除機。
【請求項3】
前記共通通路における通路の口径は、前記共通通路と連通する床側吸込み流路の口径および前記吸引パイプ側吸込み流路の口径よりも広い口径としたことを特徴とした請求項1または2に記載の縦型電気掃除機。
【請求項4】
前記隙間吸引パイプと連通する前記接続パイプには爪が形成され、前記爪で前記掃除機本体の前記穴と着脱自在に係合されると共に、前記接続パイプを前記掃除機本体後方下部に配置させた請求項1〜3のいずれか1項に記載の縦型電気掃除機。
【請求項5】
前記隙間吸引パイプと連通する前記接続パイプを略L字状に形成し、前記略L字状の接続パイプ内を流れる吸い込み気流の下流側における前記接続パイプの口径は、気流の上流側における前記接続パイプの口径に比べ大きく設定し、気流が進む方向に段階的に口径が広がるようにしたことを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の縦型電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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