説明

繊維状炭素の製造方法

【課題】ハンドリング性に優れた繊維状炭素を安価、かつ、効率よく提供する。
【解決手段】本発明は、熱伝導性を有する熱伝導面S1を備えた反応器の内部に、炭素源と金属単体及び/又は金属化合物を含む触媒源とを含有する原料混合液SMをパルス式で反応器に導入し、加熱された熱伝導面S1に原料混合液SMを接触させて、炭素源を気化するとともに、原子状金属を発生させる工程、原子状金属が合一した触媒粒子と、気化した炭素源とを接触させて繊維状炭素を成長させる工程と、を含む繊維状炭素の製造方法である。触媒源に含まれる金属原子に対する、炭素源に含まれる炭素原子の原子数比が、1万以上15万以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維状炭素の製造方法、その繊維状炭素、これに用いる製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学気相成長法により炭素繊維を製造する方法として、遷移金属元素の超微粒子をシード(種)とし、有機化合物の熱分解により炭素繊維を製造する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フェロセンを含有するベンゼンの微小液滴を加熱炉壁面に向けて吹き付けながら反応させ,炉壁面に炭素繊維を生成させ、さらにその炭素繊維上に分岐状の炭素繊維を生成し、これを間欠的に掻き取ることが記載されている。特許文献1では、所定の滞留時間,炉壁からの伝熱及び炭素繊維生成帯域での原料の高濃度化により炭素繊維の成長,収率の増大を図り、かつ熱伝導等の特性の優れた炭素繊維を提供することができるとされている。特許文献1の方法で得られる炭素繊維の大部分は、太さ0.05〜0.5μm、長さ1〜100μmであると記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、炭素供給源として、予めガス状の炭化水素を連続的に導入し、炭化水素の存在する炭素繊維析出帯域に、触媒原料である有機金属化合物を溶解した溶液を液パルス形式で導入することにより、炭素繊維の成長速度が大きく、短時間で炭素繊維を生成することができると記載されている。この方法によれば、径1.0〜6.0μm、長さ3〜50mmの炭素繊維が得られることが記載されている。
【0005】
一方、一般の化学的気相法は、成長核となる触媒微粒子の生成に時間を要し、その結果、触媒微粒子と炭化水素との接触による炭素繊維の成長速度が遅く、長い反応時間を必要とする問題があった。また、このように反応が遅い結果、成長核となる触媒微粒子が存在しないところでも炭素原子同士が余分な反応を示し、炭素繊維として成長せずに大量の煤として発生してしまい、生成効率が低いという問題もあった。また、特に炭化水素が触媒微粒子と接触し、炭素の繊維成長種微粒子の生成と繊維成長とが同時に並行して進むために、目的とする繊維径を有する炭素繊維を得ることが非常に困難であった。
【0006】
そこで、特許文献3では、触媒の前駆体である有機金属化合物を炭素源に溶解し、これを液パルス方式で加熱された反応器に滴下により打ち込んで反応器に衝突させることにより有機金属化合物を瞬時に分解して大量に発生した初期金属クラスターを合一させて触媒となる微粒子を発生させ、この触媒微粒子と炭素源とを接触させることにより、炭素繊維を成長させている。特許文献3では、こうすることにより、非常に短い反応時間で炭素繊維を生成して、効率的に適切な繊維径を有する炭素繊維を生成することができると共に、低コストでCNFを大量生産することができるとされている。特許文献3の技術によれば、繊維径20〜500nm、長さ1〜100μmのものを得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−150419号公報
【特許文献2】特開平6−146117号公報
【特許文献3】特開2004−360108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献3の技術においては、20〜500nmの比較的直径の小さい繊維状炭素しか得られていなかった。そのため、直径のより大きい繊維状炭素を効率よく製造できる技術が求められていた。直径の大きい繊維状炭素は、ハンドリングしやすいことのほか、これを材料とする多様な製品への応用も期待される。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ハンドリング性に優れた繊維状炭素を効率よく得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、金属原子と炭素原子とを一定の比率で反応器にパルス式で導入し、加熱した反応器の内部の熱伝導面に衝突させて、繊維状炭素を作製したところ、直径の大きい繊維状炭素が得られることを知見した。
【0011】
すなわち、本発明によれば、
熱伝導性を有する熱伝導面を備える反応器の内部に、炭素源と、金属単体及び/又は金属化合物を含む触媒源とを含有する原料混合液をパルス式で導入し、加熱された前記熱伝導面に前記原料混合液を接触させて、前記炭素源を気化するとともに原子状金属を発生させる工程と、
前記原子状金属が合一した触媒粒子と、気化した前記炭素源とを接触させて繊維状炭素を成長させる工程と、
を含み、
前記触媒源に含まれる金属原子に対する、前記炭素源に含まれる炭素原子の原子数比が、1万以上15万以下である、繊維状炭素の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、上記の製造方法により得られた、直径が0.1μm以上5μm以下の繊維状炭素が提供される。
【0013】
さらに、本発明によれば、上記の製造方法に用いられる製造装置が提供される。
【0014】
本発明によれば、金属原子に対する炭素原子の原子数比を1万以上15万以下用いることにより、繊維状炭素を軸方向及び半径方向にバランス良く成長させることができる。そのため、径が太く、かつ十分な長さを有する繊維状炭素を収率よく得ることができる。したがって、ハンドリング性に優れた繊維状炭素を効率よく得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハンドリング性に優れた繊維状炭素を効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る製造方法を説明する模式的に説明する図である。
【図2】第1の実施形態に係る製造方法で用いる製造装置を模式的に示す図である。
【図3】第2の実施形態に係る製造方法で用いる製造装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0018】
(第1の実施形態)
本実施形態は、直径が0.1μm以上5μm以下の繊維状炭素(以下、「カーボンナノファイバー」、「CNF」ともいう)が得られる、繊維状炭素の製造方法である。図1は、本実施の形態の製造方法を説明する模式図である。本実施の形態の方法は、熱伝導性を有する熱伝導面S1を備える反応器の内部に、炭素源と、金属単体及び/又は金属化合物を含む触媒源とを含有する原料混合液SMをパルス式で導入し、加熱された熱伝導面S1に原料混合液SMを接触させて、炭素源を気化させるとともに、原子状金属を発生させる工程(熱分解工程)と、原子状金属が合一した触媒粒子と、気化した炭素源とを接触させて繊維状炭素を成長させる工程(CNF成長工程)と、を含む。当該触媒源に含まれる金属原子に対する、炭素源に含まれる炭素原子の原子数比は、1万以上15万以下である。
【0019】
以下、本実施の形態の繊維状炭素の製造方法の一例について具体的に説明する。
原料混合液SMは、繊維状炭素の原料となる炭素源を主成分とするものである。原料混合液SM中、炭素源は、90質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましく、99質量%以上含むことが特に好ましい。炭素源としては、室温(25℃)で液体の炭化水素を用いることができ、飽和炭化水素であっても不飽和炭化水素であってもよいし、脂肪族炭化水素であっても芳香族炭化水素であってもよい。脂肪族炭化水素としては、直鎖状炭化水素であっても分岐状炭化水素でもあっても環状炭化水素であってもよい。例えば、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンが挙げられる。直鎖状の不飽和脂肪族炭化水素としては、ペンテン、ヘキセン等が挙げられる。環状の飽和脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。環状の不飽和脂肪族炭化水素としては、シクロペンテンが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンが挙げられる。これらの炭化水素は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。揮発油、灯油等も使用することができる。また、上記室温(25℃)で液体の炭化水素に、室温で固体又は気体の炭化水素を溶解させてもよい。固体の炭化水素としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンが挙げられる。気体の炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、アセチレン、シクロプロパンが挙げられる。
【0020】
触媒源として用いられる金属単体としては、鉄、ニッケル、コバルト、ジルコニア、バナジウム、ニオブ、マンガン、ロジウム、タングステン、パラジウム、白金、シリコンなどが挙げられる。また、これら金属元素を含む金属化合物を触媒源としてもよい。これら金属単体及び金属化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。中でも、鉄又はニッケルを含む金属化合物が好ましい。触媒源は、有機金属化合物であることがより好ましく、メタロセン等の金属錯体が特に好ましい。メタロセンとは、シクロペンタジエニルアニオン(C−)2個をη−配位子として有する有機金属化合物の総称であり、金属は必ずしも2配位である必要はなく、他の配位子が配位していてもよい。代表例としてフェロセン、ニッケルセンが挙げられる。また、金属錯体の例として、金属アセチルアセトナートも挙げられる。これら金属は、原料混合液SM中、溶解していてもよいし、分散していてもよい。本実施の形態では、原料混合液SM中に含まれる触媒源として、金属原子の含量を、0.003質量%以上0.05質量%以下含有することが好ましく、上限は、0.03質量%以下がより好ましく、0.015質量%以下がさらに好ましい。例えば、原料混合液SM中、0.003質量%以上0.05質量%以下の鉄原子を含有することが好ましく、0.03質量%以下0.015質量%以下がより好ましい。
【0021】
原料混合液SMは、助触媒を含んでいてもよい。助触媒としては、硫黄化合物を用いることが好ましく、ベンゾチオフェン、チオフェン等の含硫黄複素環式化合物、硫化水素、エチルメルカプタン等のメルカプタン化合物、ジメチルスルフィド等の硫化アルキル、硫化ベンジル等の硫化アリールを例示することができる。これら助触媒の原料混合液SM中の含有量は、硫黄原子の含量に換算して、0.1質量%以上1質量%以下が好ましく、0.25質量%以上、0.5質量%以下がより好ましい。助触媒は、原料混合液SM中、溶解していてもよいし、分散していてもよい。
【0022】
触媒源に含まれる金属原子に対する、炭素源に含まれる炭素原子の原子数比は、1万以上15万以下であるが、2万以上15万以下がより好ましく、3万以上15万以下がさらに好ましい。こうすることで、径が太く、かつ、十分長さを有するカーボンナノファーバーを安定かつ収率よく製造することができる。
【0023】
続いて、本実施の形態の製造方法で用いる製造装置について説明する。図2は、本実施の形態で用いる製造装置の一例を示す模式図である。図2で示すように、この製造装置は、反応器をなす反応管101と、反応管101を加熱する加熱部102と、熱伝導面S1を有するフィルター103と、原料混合液SMの注入口104と、キャリアガスの導入口105と、繊維状炭素の排出口106と、排出口106を覆うジョイント108と、ジョイント108に設けられたキャリアガスの排気口109とを備える。
【0024】
反応管101は、重力方向、または、重力に対して実質的に平行方向に延在させることが好ましい。反応管101の容量は特に制限されないが、例えば、0.3〜600Lとする。
【0025】
加熱部102は、反応管101の内部で原料混合液SMを熱分解できる程度に加熱できるものであれば制限されないが、例えば、電気炉とする。図2では、加熱部102は、反応管101の側面を覆うように配置されているが、これに限定されず、反応管101が所定の温度に加熱できるように配置されていればよい。
【0026】
フィルター103は、原料混合液SMが衝突したとき、原料混合液SM中の炭素源が気化し、原料混合液SM中の触媒源が気化・熱分解できる程度の温度を有するよう、加熱されていればよい。フィルター103の形状は、特に制限はないが、原料混合液SMが衝突した際に熱移動が速やかに起こるように接触面積がある程度大きくなる形状が好ましい。フィルター103の材質に関しては、衝突してくる液パルスへ熱を伝えやすく、それ自身の温度が衝突によって変化しにくいものがよい。例えば、ステンレス等の金属材料を用いることができる。
【0027】
図2中、フィルター103は、反応管の上方部に設けられているが、反応管の中央部に設けることもできる。フィルター103の位置は、加熱部102の熱が反応管101を伝導して所定の温度にフィルター103を加熱できるよう適宜設計される。フィルター103の温度が高いほど、フィルター103に衝突した原料混合液SMへの熱移動が速やかに進行するため好ましい。また、フィルター103の位置は、原料混合液SMの注入口104からの距離との関係も考慮して設計される。フィルター103と原料混合液SMの注入口104との距離を適度にすると、フィルター103に辿り着くまでに気化する原料混合液の量を許容範囲内にできるため、好ましい。
【0028】
フィルター103の孔径の上限は、原料混合液SMが通過しない大きさにすると好ましい。フィルター103の孔径の下限は、気化した炭素源、及び、触媒源から生じた原子状金属が通過する大きさにすると好ましい。具体的には、0.1〜0.4mmの範囲とすることが好ましい。
【0029】
原料混合液SMの注入口104は、反応管101が延在する方向と平行方向、又は、実質的に平行方向に原料混合液SMが注入されるように配置させると好ましい。また、注入口104から注入された原料混合液SMがフィルター103に垂直、又は、実質的に垂直に衝突するようにフィルター103と注入口104とを配置させると好ましい。
【0030】
図2では、フィルター103と原料混合液SMの注入口104との間にキャリアガスの導入口105を配置する例が示されるが、これに限定されず、原料混合液SMの注入口104と同じ高さ、あるいは、その上方にキャリアガスの導入口105を設置していてもよい。キャリアガスとしては、水素ガス、一酸化炭素ガスといった還元性のガスを単独又は混合して用いることができる。また、還元性のガスに、窒素ガス、ヘリウム、アルゴンガス等の不活性ガスを混合してもよい。
【0031】
つづいて、図2に示す製造装置を用いたカーボンナノファイバーの製造方法の一例について、図1を用いつつ説明する。
【0032】
まず、加熱部102の出力を調節して、反応管101の内部を加熱する。このとき、反応管101内部は、1000℃以上になるよう加熱されることが好ましく、1200℃以上がより好ましい。上限は特にないが、例えば、1300℃以下とすることが好ましい。こうすることで、発生させた金属微粒子触媒の活性を高めることができるため、炭素源を十分に活性化させることができる。また、フィルター103は、フィルターに衝突した液パルスが瞬時に蒸発し、パルス中の触媒源が速やかに熱分解できる温度(例えば、500℃〜800℃、好ましくは、700℃程度)に加熱されることが好ましいが、例えば、フィルターの設置位置を制御することで、フィルターの温度を制御することができる。
【0033】
また、キャリアガスを導入口105から反応管101に流入させてもよい。これにより、反応管101が延在する方向にキャリアガスの流動が形成されるため、重力に加え、キャリアガスの流動にのせて、カーボンナノファイバーを成長させることができる。
キャリアガスを用いることで、直径の大きいカーボンナノファイバーを高純度、かつ、高収率で得ることができる。キャリアガスの線速を1cm/分以上とすることで、直径が0.1μm以上5μm以下のカーボンナノファイバーを高純度で得ることができる。キャリアガスの線速が500cm/分以下であれば、直径が0.1μm以上5μm以下の繊維状炭素を効率的に得ることができ、好ましくは100cm/分以下、より好ましくは50cm/分以下とすると、直径が0.1μm以上5μm以下のカーボンナノファイバーを高収率で得ることができる。
【0034】
そして、注入口104から反応管101の延在する方向に対して平行方向又は実質的に平行方向に、原料混合液SMをパルス式で注入する。原料混合液SMの注入に用いる手段は、特に限定されず、図示するように、シリンジ107を用いてもよいし、定量パルスポンプを用いて注入してもよい。このとき、1パルスに要する時間は、0.2〜4.0秒とすることができ、0.3〜0.6秒の範囲内とするとより好ましい。また、原料混合液SMの注入量は、特に制限されないが、1パルスごとに、反応管101の全容積に対して、1/100000以上1/10000以下の原料混合液SMを注入すると好ましく、例えば、1Lの容積の反応器に対し10〜100μLとすることができる。原料混合液SMの注入量を制御することで、得られるカーボンナノファイバーの収率及び純度を制御することができ、例えば、原料混合液SMの注入量が多いほど、得られるカーボンナノファイバーの純度が低下するが、収率を向上させることができる。
【0035】
注入口104から注入した原料混合液SMは、自由落下し、キャリアガスを注入しているときは、キャリアガスの流動により落下が加速されて、フィルター103に垂直又は実質的に垂直方向に衝突する。これにより、炭素源が蒸発した後、触媒源が熱分解して、原子状金属が発生する。また、フィルター103に衝突した原料混合液SMの一部又は全部がフィルター103を反射し、反応管101の内壁に衝突して、炭素源の気化、及び、触媒源の熱分解が起こってもよい。このとき、フィルター103の孔径を制御して、原料混合液SMはフィルターを通過させずに、気化した炭素源、及び、発生した原子状金属はフィルターを通過するようにしてもよい。
【0036】
その後、原子状金属が凝集して、金属クラスターを構築し、触媒粒子が形成される。ここでいう触媒粒子の形状は、限定されず、球状であってもよいし、柱状であってもよい。触媒粒子の粒径は、制限されないが、5〜30nmとすることができる。
【0037】
ついで、反応管101の内部で生成した触媒粒子に気化した炭素源が付着し、
付着した炭素源は粒子の触媒作用によって原子状炭素に分解される。生成したこれら原子状炭素は粒子上あるいは粒子内を移動し、再結合することで繊維として析出する。こうすることで、カーボンナノファイバーが成長する。反応管101は、重力方向に延在しているため、カーボンナノファイバーは、重力方向又は実質的に重力方向に自由落下しながら、軸方向及び半径方向に成長することができる。
【0038】
また、反応管101の内部においてキャリアガスの流動が形成されている場合は、カーボンナノファイバーの移動をキャリアガスにより加速しながら、カーボンナノファイバーを成長させることができる。これにより、カーボンナノファイバーの成長速度を制御することができ、得られるカーボンナノファイバーの直径、純度などを制御することができる。例えば、キャリアガスの線速を大きくすることで、得られるカーボンナノファイバーの直径が小さくなるが、カーボンナノファイバーの純度を向上させることができる。
【0039】
カーボンナノファイバーの移動距離を制御することで、得られるカーボンナノファイバーの直径を適度に制御することができる。カーボンナノファイバーの移動距離は、反応管101の長さを変えることで制御できるが、例えば、50cm〜100cmとすることができる。
【0040】
排出口106付近には、成長したカーボンナノファイバーが堆積する。このカーボンナノファイバーを回収する方法としては、例えば、一定量のカーボンナノファイバーを堆積させた後、キャリアガスの流れを止め、反応管101を室温で放熱させて冷却し、その後、ジョイント108を外して、排出口106からカーボンナノファイバーを回収する方法がある。
また、キャリアガスの線速を大きくして、連続的にカーボンナノファイバーを取り出してもよい。この場合、例えば、排出口106の付近に容器を設置し、この容器にカーボンナノファイバーを堆積して、間欠的に取り出すような方式を採用することができる。
【0041】
得られるカーボンナノファイバーは、直径が0.1μm以上5μm以下とすることができ、下限は、好ましくは、0.6μm以上、さらには、0.8μm以上、1.0μm以上のカーボンナノファイバーを得ることができる。また、得られるカーボンナノファイバーの長さは、1〜500μmとすることができる。これらカーボンナノファイバーの生成質量は、炭素源に含まれる炭素質量に対して、30%以上とすることができ、50%以上とすることもできる。この方法で得られるカーボンナノファイバーは、透過電子顕微鏡(TEM)で観察したとき、炭素網面の配向が平行であってもよいし、垂直であってもよいし、傾斜していてもよい。また、この方法では、平滑な表面のカーボンナノファイバーを高い収量で得ることができる。また、この方法で得られるカーボンナノファイバーに残存する金属量は、0.5質量%以下とすることができ、キャリアガスの線速等を調整することで、0.1質量%以下にすることも可能である。なお、本実施の形態のカーボンナノファイバーの直径、長さ、表面粗さは、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた直接観察により得られるものである。また、本実施の形態で得られるカーボンナノファイバー中に含有する金属量は、熱重量測定装置にカーボンナノファイバーをセットし、空気あるいは酸素雰囲気中で加熱することによりカーボンナノファイバーの炭素を燃焼除去した後に残存する酸化物の重量により求めることができる。
【0042】
本実施の形態の方法によれば、ハンドリング性に優れたカーボンナノファイバーを安価、かつ、効率よく得ることができる。
本実施の形態の方法では、金属原子に対する、炭素源に含まれる炭素原子の原子数比を1万以上とするため、十分な炭素源を確保して半径方向の成長を促進することができる。また、金属原子に対する炭素源の原子数の上限を15万以下とするため、十分な触媒量を確保して、炭素源の全部又はその一部を効率よく触媒作用により原子状にし、生成するカーボンナノファイバーを長くすることができる。したがって、径が太く、ハンドリングのしやすいカーボンナノファイバーを効率よく製造することが可能である。制御できる製造条件は、種々挙げられるが、例えば、キャリアガスの線速、1パルス当たりの原料混合液量、加熱部温度等が挙げられる。
また、本実施の形態の方法では、炭素源に対して少量の金属原子を用いてカーボンナノファイバーを製造できるので、金属単体や金属化合物の溶解度が低い炭素源や、炭素源に対して溶解度が低い触媒源を用いることができる。したがって、従来よりも炭素源と触媒源との組み合わせを多様にすることが可能になる。
【0043】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、図3に示す製造装置を用いる点が第1の実施形態と異なっている。その他は、第1の実施形態と同じであり、第2の実施形態も、熱分解工程とCNF成長工程とを含む。原料混合液SMもまた、第1の実施形態と同じものを用いることができる。本実施の形態では、第1の実施形態と異なる点のみを説明し、第1の実施形態と同じ内容は、省略する。
【0044】
図3で示すように、この製造装置は、反応器をなす反応管201と、キャリアガスを予熱する予熱部202と、予熱部202を加熱する第一加熱部203aと、反応管201を加熱する第二加熱部203bと、原料混合液SMの注入口204と、キャリアガスの導入口205と、繊維状炭素の排出口206と、排出口206を覆うジョイント209と、ジョイント209に設けられたキャリアガスの排気口210とを備える。
【0045】
予熱部202は、反応管201に接続し、予熱部202と反応管201とで連続した一つの管を構成している。また、キャリアガスの導入口205が予熱部202の端部に設けられ、反応管201の端部に排出口206が形成している。したがって、反応管201は、キャリアガスの流動方向に延在するように構成されている。また、反応管201の内壁が熱伝導面S2を有している。
【0046】
反応管201の内壁のうち原料混合液SMが衝突する熱伝導面S2は、原料混合液SMが衝突したとき、原料混合液SM中の炭素源が気化し、原料混合液SM中の触媒源が気化・熱分解できる程度の温度を有するよう、加熱されていればよい。反応管201の形状は、特に制限はないが、原料混合液SMが衝突した際に熱移動が速やかに起こるように接触面積がある程度大きくなる形状が好ましい。反応管201の内壁の材質に関しては衝突してくる液パルスへ熱を伝えやすく、それ自身の温度が衝突によって変化しにくいものがよい。例えば、ステンレス等の金属材料を用いることができる。
【0047】
第一加熱部203aと第二加熱部203bは、熱伝導面S2に原料混合液SMが衝突したとき、原料混合液SM中の炭素源が気化し、原料混合液SM中の触媒源が気化・熱分解できる程度の温度を熱伝導面S2が保持し、その後のカーボンナノファイバー生成過程を阻害しない程度に予熱部202及び反応管201を保温する程度に温度制御することが好ましい。
【0048】
また、原料混合液SMの注入口204は、反応管201と予熱部202との間に形成され、注入した原料混合液SMが熱伝導面S2に衝突するよう設置されている。すなわち、原料混合液SMの注入口204は、キャリアガスの流動方向、及び、反応管201の内壁に対して垂直方向、実質的に垂直方向又は斜め方向に原料混合液SMが導入されるように配置されている。
【0049】
つづいて、図3に示す製造装置を用いたカーボンナノファイバーの製造方法の一例について説明する。
【0050】
まず、第一加熱部203a及び第二加熱部203bの出力を調節して、反応管201の内部、及び、反応管の内壁を加熱する。第一加熱部203a及び第二加熱部203bは、熱伝導面S2が500℃以上になるよう反応管201及び予熱部202を温度制御することが好ましく、700℃以上がより好ましい。熱伝導面S2の温度の上限は特にないが、例えば、800℃以下とすることが好ましい。こうすることで、発生させた金属微粒子触媒の活性を高めることができ、炭素源を十分に活性化させることができる。また、第一加熱部203aの出力を制御することで、反応管の内壁の温度を制御することができる。これにより、熱伝導面S2に衝突した液パルスを瞬時に蒸発させ、パルス中の触媒源を速やかに熱分解させることができる。
【0051】
また、キャリアガスを導入口205から反応管201に流入させる。キャリアガスは、第1の実施形態で例示したものを用いることができる。これにより、反応管201が延在する方向にキャリアガスの流動が形成される。
本実施の形態では、カーボンナノファイバーの移動に重力を利用することができないため、キャリアガスの流動を利用して、カーボンナノファイバーを移動、成長させる。したがって、キャリアガスの線速は、第1の実施の形態よりも大きくすることが好ましい。具体的には、キャリアガスの線速を1cm/分以上とすることで、直径が0.1μm以上5μm以下のカーボンナノファイバーを得ることができるが、キャリアガスの線速を1cm/分以上とすることで、上記範囲の直径を有するカーボンナノファイバーを純度良く得ることができる。また、キャリアガスの線速が500cm/分以下であれば、直径が0.1μm以上5μm以下の繊維状炭素を効率よく得ることができるが、100cm/分以下とすると、上記範囲の直径を有するカーボンナノファイバーを高収率で得ることができる。
【0052】
そして、注入口204から、キャリアガスの流動方向、及び、反応管101の延在する方向に対して垂直、実質的に垂直方向又は斜め方向に、原料混合液SMをシリンジ207によりパルス式で注入する。このとき、1パルスに要する時間、及び、原料混合液SMの注入量は、第1の実施形態と同様とすることができる。
【0053】
反応管201の内壁の熱伝導面S2は、所定の温度に加熱されているため、ここに衝突した原料混合液SMから、炭素源が気化するとともに、原子状金属が発生する。その後、原子状金属が凝集して、金属クラスターを構築し、触媒粒子が形成され、これが反応管201全体に広がる。
【0054】
生成した触媒粒子は、気化した炭素源と接触し、これによりカーボンナノファイバーの成長反応が開始され、更に反応を続伸することによりカーボンナノファイバーが短時間に成長を続ける。反応管201の下流に設置された内管208を設置して成長したカーボンナノファイバーをトラップしてもよい。また、ジョイント209にカーボンナノファイバーをトラップさせてもよい。一定量のカーボンナノファイバーが溜まってから、キャリアガスの流れを止め、反応管201を室温に冷却した後、溜まったカーボンナノファイバーを排出口206から回収することができる。また、溜まったカーボンナノファイバーを間欠的に取り出し、連続的にカーボンナノファイバーを生成してもよい。
【0055】
本実施の形態においても、第1の実施形態で得られるカーボンナノファイバーと同様なものを得ることができる。したがって、本実施の形態の方法においても、ハンドリング性に優れたカーボンナノファイバーを安価、かつ、効率よく得ることが可能である。
【0056】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、実施の形態では、熱伝導面が、フィルター、反応管の内壁に設けられる例を挙げてそれぞれ説明した。しかしながら、熱伝導面は、原料混合液が衝突したとき、原料混合液中の炭素源が気化し、原料混合液中の触媒源が気化・熱分解できる程度の温度を有するよう加熱できるだけの熱伝導性を備えていればよく、本発明では、こうした熱伝導面を備えたあらゆる部材を上記フィルター、反応管の内壁にかえて採用することができる。形状は、特に制限はなく、原料混合液が衝突した際に熱移動が速やかに起こるように、接触面積がある程度大きくなる形状であればよい。材質に関しては、パルス式に衝突してくる反応混合液へ熱を伝えやすく、それ自身の温度が衝突によって変化しにくいものであれば、制限がなく用いることができる。
【実施例】
【0057】
本実施例では、炭素源としてベンゼンを用いた。触媒源として、鉄の有機化合物であるフェロセン(ビス[シクロペンタジエニル]鉄(II))(和光純薬工業株式会社製)を用いた。フェロセンをベンゼン(和光純薬工業株式会社製)に溶解し、助触媒としてチオフェンを1質量%添加して原料混合液SMを調製した。製造装置は、図2で示す製造装置を用いた。フィルター103には、線径0.25mm、40メッシュのステンレス製メッシュを用いた。キャリアガスとしては、水素ガスを用いた。シリンジを使用して、原料混合液SMをパルス方式で、注入口105から反応管101内に導入し、1分ずつ間隔を空けて、この導入を合計20回行った。反応管101の温度は1200℃とした。また、フィルター103の温度が700℃になるよう、フィルター103の設置位置を調節した。その後、ジョイント108を外して排出口106から反応器下部に堆積した生成物を回収し、得られた生成物について、走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM−6500F、日本電子株式会社製)、透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM1010、日本電子株式会社製)で直接観察した。この場合において、諸条件による生成物への影響を確認するため、以下の各設定の実験を行った。なお、各実験例において、C/Fe(原子数比)は、使用したフェロセンの質量から使用したフェロセン中の鉄原子数を算出し、使用したベンゼンの質量から使用したベンゼン中の鉄原子数を算出することによって求めた。
【0058】
(実験例1)
まず、原料混合液SM中の鉄原子に対する炭素原子の原子数比がカーボンナノファイバーの生成に与える影響を確認する実験を行った。結果を、表1に示す。なお、この実施例1においては、キャリアガスの線速を7.2cm/分、原料混合液SMの導入量を1パルスあたり20μLとした。
収率については原料混合液SM中の炭素源の炭素質量と得られた生成物の質量との比率として算出した。
【0059】
【表1】

【0060】
表1で示すように、鉄原子に対する炭素原子の原子数比を1万以上15万以下とした場合は、直径が0.1μm以上5μm以下のカーボンナノファイバーが高収率で得られたが、鉄原子に対する炭素原子の原子数比を3000とした場合、得られたカーボンナノファイバーのうち、直径が0.1μm未満のカーボンナノチューブが90質量%をこえており、直径が0.1μm以上0.3μm以下のカーボンナノファイバーの収率はきわめて低かった。得られたCNF長さは、いずれも100μm以上300μm以下の範囲であった。
【0061】
なお、フィルター103を設置せずに、原料混合液SM中の鉄元素の含有量を0.03質量%とし、同様に液パルス状で原料を導入してみたが、カーボンナノファイバーの生成は確認できず、煤状炭素しか得られなかった。
【0062】
(実験例2)
キャリアガスの流量がカーボンナノファイバーの生成に与える影響を確認する実験を行った。結果を、表2に示す。なお、この実施例2においては、鉄原子に対する炭素原子の原子数比を3×10とし、原料混合液SMの導入量を1パルスあたり20μLとした。収率については原料混合液SM中の炭素源の炭素質量と得られた生成物の質量との比率として算出した。なお、実験例1の実験番号3の結果も併せて示した。
【0063】
【表2】

【0064】
表2で示すように、キャリアガスの線速が大きいほど、カーボンナノファイバーの直径が小さくなったが、純度は、向上した。従って、求められる純度や直径によって、キャリアガスの線速を決定すればよいと考えられる。
【0065】
(実験例3)
原料混合液SMの注入量がカーボンナノファイバーの生成に与える影響を確認する実験を行った。結果を、表3に示す。なお、この実験例3においては、鉄原子に対する炭素原子の原子数比を3×10とし、キャリアガスの線速を3.6cm/分とした。収率については原料混合液SM中の炭素源の炭素質量と得られた生成物の質量との比率として算出した。なお、実験例2の実験番号9の結果も併せて示した。
【0066】
【表3】

【0067】
表3で示すように、原料混合液の注入量によってカーボンナノファイバーの直径はほとんど変わらなかったが、原料混合液の注入量が多いほど、収率が向上する一方で、純度が低下することがわかった。
【0068】
なお、上記実験例1−3において、フェロセンにかえて、鉄アセチルアセトナートを触媒源に用いた場合も、同様な結果を得ることができる。
【符号の説明】
【0069】
101 反応管
102 加熱部
103 フィルター
104 注入口
105 導入口
106 排出口
107 シリンジ
108 ジョイント
109 排気口
201 反応管
202 予熱部
203 加熱部
203a 第一加熱部
203b 第二加熱部
204 注入口
205 導入口
206 排出口
207 シリンジ
208 内管
209 ジョイント
210 排気口
S1 熱伝導面
S2 熱伝導面
SM 原料混合液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性を有する熱伝導面を備えた反応器の内部に、炭素源と、金属単体及び/又は金属化合物を含む触媒源とを含有する原料混合液をパルス式で導入し、加熱された前記熱伝導面に前記原料混合液を接触させて、前記炭素源を気化するとともに原子状金属を発生させる工程と、
前記原子状金属が合一した触媒粒子と、気化した前記炭素源とを接触させて繊維状炭素を成長させる工程と、
を含み、
前記触媒源に含まれる金属原子に対する、前記炭素源に含まれる炭素原子の原子数比が、1万以上15万以下である、繊維状炭素の製造方法。
【請求項2】
繊維状炭素を成長させる前記工程において、直径が0.1μm以上5μm以下の前記繊維状炭素に成長させる、請求項1に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項3】
前記炭素源を気化するとともに前記原子状金属を発生させる前記工程、及び、前記繊維状炭素を成長させる前記工程にわたって、キャリアガスを前記反応器内に投入し、
前記繊維状炭素を成長させる前記工程において、前記キャリアガスの流動方向に流動させながら前記繊維状炭素を成長させる、請求項1又は2に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項4】
前記反応器が鉛直方向に延在しており、
前記繊維状炭素を成長させる前記工程において、前記反応器内で、気化した前記炭素源と前記触媒粒子とを前記キャリアガスと共に鉛直方向に流動させながら、前記繊維状炭素を成長させる、請求項3に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項5】
前記炭素源を気化するとともに前記原子状金属を発生させる前記工程において、前記キャリアガスを前記反応器内に投入するとき、前記キャリアガスの線速を1cm/分以上500cm/分以下とする、請求項4に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項6】
前記反応器の内部にフィルターを備え、
前記フィルターが前記熱伝導面を有し、
前記炭素源を気化するとともに前記原子状金属を発生させる前記工程において、略鉛直方向、かつ、前記フィルターに対して略垂直方向に前記原料混合液を導入し、導入した前記原料混合液を前記フィルターに接触させることで、前記原子状金属を発生させる、請求項4又は5に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項7】
前記炭素源を気化するとともに前記原子状金属を発生させる前記工程において、前記原料混合液は、前記フィルターを通過せず、気化した前記炭素源、及び、前記原子状金属が前記フィルターを通過する、請求項6に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項8】
前記反応器が前記キャリアガスの流動方向に延在しており、
前記反応器の内壁が前記熱伝導面を有し、
前記炭素源を気化するとともに前記原子状金属を発生させる前記工程において、前記反応器の前記内壁に前記原料混合液を接触させて、前記炭素源を気化するとともに前記原子状金属を発生させる、請求項3に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項9】
前記炭素源を気化するとともに前記原子状金属を発生させる前記工程において、前記原料混合液をパルス式で前記反応器に導入させるとき、前記キャリアガスの流動方向、及び、前記反応器の前記内壁に対して垂直方向に前記原料混合液を導入する、請求項8に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項10】
前記炭素源を気化するとともに前記原子状金属を発生させる前記工程において、前記原料混合液をパルス式で導入させるとき、1パルスごとに、前記反応器の全容積に対して、1/100000以上1/10000以下の前記原料混合液を前記反応器に導入する、請求項1乃至9いずれか1項に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項11】
前記炭素源を気化するとともに前記原子状金属を発生させる前記工程において、前記熱伝導面を500℃以上800℃以下に加熱する、請求項1乃至10いずれか1項に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項12】
前記原料混合液中の前記触媒源に含まれる金属原子の含有量が0.003質量%以上0.05質量%以下である、請求項1乃至11いずれか1項に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項13】
直径が0.1μm以上5μm以下の前記繊維状炭素の生成質量が、前記炭素源の炭素質量に対して、30%以上である、請求項1乃至12いずれか1項に記載の繊維状炭素の製造方法。
【請求項14】
請求項1乃至13いずれか1項に記載の製造方法により得られた、直径が0.1μm以上5μm以下の繊維状炭素。
【請求項15】
請求項1乃至13いずれか1項に記載の製造方法に用いられる製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−246590(P2012−246590A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120852(P2011−120852)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【出願人】(511130999)
【Fターム(参考)】