説明

織機の経糸の開口運動を制御するための装置

織機、特に個別ヘルド運動を有する織機の経糸の開口運動を制御するための装置において、多数のヘルドが並置されているとき多数の部材用に十分なスペースを提供できない問題を解決しかつ電気モータに求められる変位を小さく抑えるために、異なる長さの動力伝達要素(24、30)を介してヘルド(4)が千鳥状またはレジスタ状に各1つの電気モータ(32、34)と動作可能に連結され、かつ、前記各電気モータ(32、34)が、対応する前記各駆動要素(4)に相対的に大きい動作をもたらすようなステップアップを有することを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載された、織機、特に個別ヘルド運動を有する織機の経糸の開口運動を制御するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
織機、特に個別ヘルド運動を有する織機の経糸の開口運動を制御するための装置は、基本的には多くの文献に知られている。これらの文献の多くは、ジャカード機の開口装置において、問題の多いハーネスを省略できるようにするのに適した提案を試みている。
【0003】
特許文献1は、経糸の開口運動制御用の駆動装置を開示している。この文献には、リニアモータでヘルド用の4つのガイドローラを介して案内されるエンドレス駆動ケーブルが提案されている。しかし、特許文献1に開示された発明の実施はいくつかの問題に突き当たる。問題の一つは、並置される経糸の数が多い場合に、多数のリニアモータに対してのみならず、ガイドローラに対しても、十分なスペースを確保できないことにあり、他の問題は、実施形態として提案されたリニアモータによる変位が、経糸開口運動に必要なストロークとしては小さ過ぎることにある。
【0004】
特許文献2には、織機の糸駆動要素(この場合ヘルドまたはヘルドフレーム)を2つのばね要素の間で張支し、杼口形成のために糸駆動要素を経糸と共に持ち上げもしくは降下させる電気駆動装置を設けることが開示されている。この発明により、前記装置を運動エネルギーの大部分がばねの弾性力によって与えられる自由振動体として形成する提案も開示され、電気駆動装置はむしろエネルギー損失および相応する装置の駆動用の補償部として設けられている。しかし、両側にばねを用いる特許文献2の実施は、その図面からも明らかなように、やはり比較的大きなスペースを必要とする。さらに、特許文献2で提案された配置では、電気モータを構造的に小さく抑えながら、多数並置された経糸が杼口を形成する際の種々の要求に対応できるように、電気モータを高出力のものとして高運動性を得ることは困難であると考えられる。
【0005】
特許文献3や特許文献4等の他の文献も、同様に自由振動体としての配置を扱っているが、上述した諸問題を解決することはできない。
【0006】
特許文献5は、個別ヘルド運動を有する織機のヘルド用ケーブル駆動装置を開示している。それによれば、ケーブルの一側を電動駆動式ケーブルローラに巻き付け、他側を織機に固着されたコイルばねによって緊張支持することが提案されている。しかし、先に引用した文献に開示された自由振動体の原理は、特許文献5の装置には実施できない。
【0007】
さらに、特許文献6は、単糸制御装置を有する開口装置を開示している。この文献には、個々のヘルド用の係止要素を有する昇降ばね枠または固定ばね枠が(基本的に知られた方法で)提案されている。しかし、この形態の杼口形成は、基本的に前記係止要素が敏感であるため、故障し易いことが判明した。
【0008】
特許文献7および特許文献8は、織機の杼口形成用電動駆動装置を開示している。これらの駆動装置は、コイルと平坦な永久磁石を備え、この永久磁石により杼口形成のための回転運動が与えられる。この場合において、特許文献7はレバー作用(ステップアップ)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0353005号明細書
【特許文献2】国際公開第98/24955号パンフレット
【特許文献3】国際公開第95/11327号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/114188号パンフレット
【特許文献5】欧州特許出願公開第1063326号明細書
【特許文献6】国際公開第2006/063584号パンフレット
【特許文献7】欧州特許出願公開第0347626号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第19849728号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、織機、特に個別ヘルド運動を有する織機の経糸の開口運動を制御するための装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1記載の装置によって解決される。本発明に係る装置は、基本的に、高い製織速度を達成しつつもごく僅かな設置スペースしか必要としない。レジスタ状(階段状)に展開したヘルド駆動装置とばねの支援によって、電気駆動モータを小型のものに抑えることが可能になる。加えて、レバー状の増速機構によって、前記モータの駆動経路を小さく抑えることが可能となる。
【0012】
装置の有利な態様は請求項2〜13に明示されている。
【0013】
少なくとも2倍のステップアップ(レバー比)が設定され、つまり電気モータの駆動が、ヘルドに対して少なくとも2倍大きな運動を引き起こすことが有利である(請求項2)。
【0014】
プッシュ・プルロッド(押圧兼引張ロッド)に直接取付けられる一般的には従来のヘルド、しかし特殊な事例では案内メールとすることもできる糸駆動要素を駆動するための動力伝達要素としてのプッシュ・プルロッドを用いた構成は、請求項3により、本発明の簡素な態様を提供する。
【0015】
有利な態様では、電気モータに結合される動力伝達要素としてのケーブルによってヘルドを駆動するものが提案され、ガイドローラによる(請求項4)、または他の有利な態様では、請求項5のストロークステップアップを有する方向転換レバーによる扇状もしくはレジスタ状の配置が可能となる。ガイドローラもしくは方向転換レバーは、レジスタ状に展開するための極力多くのスペースを提供できるように、ケーブルを好ましくは60°〜120°、最も好ましくは75°〜105°の範囲で方向転換させる(請求項6)。その際、2つのばねを利用すれば、例えば一方のばねをガイドローラもしくは方向転換レバーと反対のヘルド側に配置し、従来の引張ばねとして形成できる。
【0016】
ヘルドの運動エネルギーは主としてばねから提供することができる。ばねは、第1端位置と第2端位置とで、それぞれ反対側の端位置に向かって、ヘルドを駆動する力よりも大きな位置エネルギーを提供できるように構成されている。圧縮曲げばねを用いた解決では1つの位置においてばね力が消失する。圧縮ばねと引張ばねとを用いた解決または逆向きの2つの引張ばねを用いた解決では、両方のばねの位置エネルギーは相互に相殺される。つまり運動時にヘルドは、ある位置(有利には中間位置)において最大速度を有し、その後、何れかの端位置に向かって移動し、ばねはヘルドの運動エネルギーを位置エネルギーとして蓄積することができる。制御された運動と第1端位置または第2端位置での選択的固定とを可能とするために、第1端位置用および第2端位置用にそれぞれ保持手段が設けられており、これらの保持手段は運動を停止させ、それぞれヘルドをそれが占めた端位置で保持する。ところで制御された運動を可能とするために、選択的に切換可能な電気モータが付加的に設けられている。このモータはばね力と一緒に保持手段の保持力を克服し、こうしてヘルドをその保持位置から解放することができる。つまりこのモータは基本的に、保持手段を引き離して運動過程を開始するよう構成されている。モータはさらに、エネルギー損失を補償し、変化する動作条件に装置を適合させるのに役立つ。装置の制御はモータの制御によって行われる。
【0017】
運動エネルギーの少なくとも75%が単数もしくは複数のばねから取り出され、電気モータが運動エネルギーの最高25%を加えると有利である(請求項9)。さらに、保持手段が制御されることなく永久磁石として形成され、この永久磁石が磁石相手保持部と協動し、磁石相手保持部としてステップアップ用レバーの末端が役立つと有利である(請求項10、11)。有利には、上側開口位置と下側開口位置との間の第3開口位置のときヘルドに力が加えられない(請求項12)。対称な配置のときこれは中間開口位置となる(請求項13)。
【0018】
本発明により使用される前記諸要素、請求された諸要素および以下の実施例に述べられる諸要素はそれらの形状、造形、材料使用および技術的コンセプトの点で特別な例外条件に服しておらず、各応用分野で知られている選択基準は無制限に応用することができる。
【0019】
特に本発明は、個別ヘルド運動を有する織機に限定されていない。むしろ本発明は、ヘルドが‐例えばヘルドフレーム等によって‐まとめられた織機にも応用することができる。
【0020】
繊維機械、特に個別ヘルド運動を有する織機用装置の実施例が以下で図面を基に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プッシュ・プルロッドと蓄積ばねとトルクモータとを有する本発明の第1実施例によるヘルド駆動装置を示す。
【図2】図1によるトルクモータの詳細図である。
【図3】経糸の運動経過に関する力曲線である。
【図4】引張ばねと曲げばねとケーブル要素とトルクモータとを有する本発明の第2実施例によるヘルド駆動装置を示す。
【図5】図1によるトルクモータの詳細図である。
【図6】引張ばねとケーブル要素とリニアモータとを有する本発明の第3実施例によるヘルド駆動装置を示す。
【図7】図6のリニアモータの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための第1実施例が図1と図2に示してある。
【0023】
図1は個別ヘルド運動を有する織機の、経糸2の駆動要素として形成されるヘルド4を駆動するための装置を側面図で示す。経糸2はメール3を有するヘルド4によって、実施例に示したように、上側開口位置または下側開口位置のいずれかに位置するように駆動される。ヘルド4は結合子36によってプッシュ・プルロッド30に配置されており、プッシュ・プルロッドはそれぞれ、隣接棒に対して異なる長さを有する。これによりヘルド4用駆動要素は千鳥状もしくはレジスタ状に配置することができる。千鳥状またはレジスタ状配置は、ここでは、ヘルド4の左半分が電気モータ32の左レジスタとこれに付設される諸要素とに付設される一方、ヘルド4の右半分が電気モータ32の右レジスタ‐いわば鏡像対称な配置で‐とこれに付設される諸要素とに付設されているように二重に設けられている。プッシュ・プルロッド30の端部はそれぞれ作用レバー28に固着されており、この作用レバーは揺動モータとして形成される電気モータ32と動作可能に連結されている。各電気モータ32がコイル6を有し、このコイルは軸19の周りを揺動可能なコイル支持体20に固着されている。コイル支持体はそれ自体2つの底板18の間に配置されている。各電気モータ32はさらに永久磁石板16を有する。つまり各コイルを流れる電流の極性によってコイルは、図面に書き込まれた2つの端位置の一方を占める。これら両方の位置はヘルド4の「上側開口」または「下側開口」の両位置、従って経糸2の杼口形成位置に一致する。
【0024】
しかしながら前記諸要素の位置は自由ではなく、引張兼圧縮ばね8(スパイラルスプリング)によって、「上側開口」と「下側開口」のそれぞれの端位置における保持から離れる方を向くばね力が作用するように付勢されているが、コイル6の中間位置ではばね力は作用しない。2つの固定磁石26は、「上側開口」と「下側開口」のそれぞれの端位置用に保持手段を形成するように配置されている。
【0025】
線図3は前記諸要素の力事情を示す。ばね力曲線100が示すように、引張兼圧縮ばね8のばね力は、それが消失する中間位置に関して対称かつ線形である。ヘルド4の昇降運動時、エネルギーの最大割合は引張兼圧縮ばね8のばね駆動によって加えられる。しかしこの運動は電気モータ32によって開始される。
【0026】
電気モータ32が作動していない限り、対応するヘルド4は上側もしくは下側固定磁石26によって、経糸の上側開口位置もしくは下側開口位置に対応した上側もしくは下側端位置でしっかり保持される。このことは、永久磁石として形成される固定磁石26が、端位置に変位するときの引張兼圧縮ばね8の弾性回復力よりも強い保持力102を有することによって達成される。但し、固定磁石26の保持力は作用範囲が狭く、それゆえにそもそもレバー28の近傍でのみ、従って各側端位置とその近傍でのみ有効である。
【0027】
次に、ヘルド4を駆動させるために、つまり上側端位置から下側端位置への運動または下側端位置から上側端位置への運動を開始するために、対応するコイル6に電圧が供給され、それによって電気モータ32が作動される。変位した状態、すなわち、いずれか一方の端位置において、電気モータ32の作用力104と引張兼圧縮ばね8のばね力100との合力は、対応する固定磁石26の保持力102よりも強い。
【0028】
その状態で、もし固定磁石26の保持力が克服されたなら、主として引張兼圧縮ばね8のばね力によって対応するプッシュ・プルロッド30を介してヘルドの運動が引き起こされ、電気モータ32はこの運動に同調するが、寄与することはない。他方の端位置に達したなら、すなわち、例えばレバー28が下側固定磁石26の作用範囲内に達したなら、引張兼圧縮ばね8は、その新たな端位置に変位した状態で保持される。何故なら、この端位置における永久磁石26の力は引張兼圧縮ばね8の復元力よりも強く、電気モータ32がこの復元力を支援しないからである。
【0029】
ここに示す実施例では、引張兼圧縮ばね8が線形範囲内で作動され、ばね力曲線100は直線で表すことができる。ばね力は、経糸張力106によって僅かに支援されるが、経糸張力106はここでは何の役割も果たさない。固定磁石26の曲線102は磁力の作用範囲が狭いことを示しており、これらの磁力は、レバー28が固定磁石26の直ぐ近傍に位置し、一方の端位置が占められている場合にのみ作用する。電気モータ32のコイル力曲線104は、ここに述べる動作モードでは、極性に応じて一方または他方に向かう一定の力を有することを示している。
【0030】
ここに述べる実施例では、上側位置および下側位置の他にヘルド4の中間位置が設定され、電気モータ32は、ヘルド4をこの中間位置から上側位置または下側位置に駆動できるように構成されている。この動作モードの目的は、引張兼圧縮ばね8がプッシュ・プルロッド30および対応するヘルド4に力を加えない静止位置を占めることができるようにすることである。ヘルド4の制御は専ら電気モータ32によって行われ、このため電気モータ32は、図示しない手段により織機の制御ユニットに接続されている。
【0031】
図4および図5は、個別ヘルド運動を有する織機のヘルドを駆動するための装置の第2実施例を示す側面図である。
【0032】
この実施例では、引張要素としてワイヤーケーブル24が設けられている。ワイヤーケーブル24は、従来と同様に、例えば結合子によって、ヘルド4と結合されており、それぞれ、隣接するワイヤーとは異なる長さを有している。これにより、駆動要素はやはり千鳥状もしくはレジスタ状に配置されている。千鳥状またはレジスタ状配置は、この実施例でも、ワイヤーケーブル4の左半分が、前記同様に揺動モータとして形成される電気モータ32の上側レジスタに割り当てられ、かつ、ワイヤーケーブル24の右半分が電気モータ32の下側レジスタに割り当てられた二重構造として設けられている。各ワイヤーケーブル24の端は前記同様に各作用レバー28に固着されており、各作用レバーは対応する電気モータ32と動作可能に連結されている。電気モータは基本的に第1実施例と同様に構成されている。
【0033】
この実施例では、ヘルド4は、電気モータとは反対側で各1つの引張ばね12によって下側開口位置に向けて付勢されている。この実施例においては、電気モータ32に付設されたばね10(スパイラルスプリング)により、引張ばね12と反対方向のばね力が引き起こされ、かつ、引張ばね12の力とばね10の力は、コイル6の中間位置において相殺される。2つの固定磁石26は、前期同様に「上側開口」と「下側開口」のそれぞれの端位置用に保持手段を形成するように配置されている。他の構成についても第1実施例と同様であるかまたはそれに対応する。
【0034】
図6と図7は、個別ヘルド運動を有する織機のヘルドを駆動するための装置の第3実施例を示す側面図である。
【0035】
この実施例でも、各ヘルドの引張要素としてワイヤーケーブル24が設けられている。各ワイヤーケーブル24は、前記同様に、隣接するワイヤーとは異なる長さを有しており、駆動要素はやはり千鳥状もしくはレジスタ状に配置されている。しかし、この実施例では、千鳥状またはレジスタ状配置が1つのみ設けられている。
【0036】
ワイヤーケーブル24の端は、軸の周りで作用レバー22に固着され、該作用レバー22は、電気モータ34と動作可能に連結されている。
【0037】
第2実施例と異なる点は、ケーブルの方向転換部が、ガイドローラによってではなく、軸を中心に揺動可能な作用レバー22によって形成されており、この作用レバーが電気モータ34と連結されている。電気モータ34はリニアモータとして形成されている。この実施例では、ワイヤーケーブル24は、2つの引張ばね12によって、「上側開口」および「下側開口」のそれぞれの端位置で引張ばね12のばね力が作用するように付勢され、それぞれの引張ばね12の力は、電気モータ34のコイル6の中間位置においてキャンセルされる。2つの固定磁石26も前期同様に「上側開口」および「下側開口」のそれぞれの端位置に保持手段を形成するように配置されている。他の構成についても第1実施例と同様であるかまたはそれに対応する。
【0038】
明確にする意味で強調するなら、本発明の説明、特に、好ましい実施例の説明では、ヘルド4と動力伝達要素24もしくは30とが区別されたが、プッシュ・プルロッド30は連続的なものとすることもでき、従ってヘルドと一体に形成することができる。さらに、ケーブル24に経糸を挿通するためのメールを設けることもでき、従ってケーブル24によってヘルドを形成することもできる。
【符号の説明】
【0039】
2 経糸
3 メール
4 メールを有するヘルド
6 コイル
8 引張兼圧縮ばね
10 圧縮ばね
12 引張ばね
14 ガイドローラ
16 永久磁石板
18 底板
19 軸
20 コイル支持体
22 直線駆動装置へのステップダウンを有するケーブル方向転換部
24 ワイヤーケーブル、引張要素
26 固定磁石
28 レバー
30 プッシュ・プルロッド
32 電気モータ、トルクモータ
34 電気モータ、リニアモータ
36 結合子
100 ばね力曲線
102 固定磁石曲線
104 コイル力曲線
106 経糸曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機、特に個別ヘルド運動を有する織機の経糸の開口運動を制御するための装置であって、経糸を駆動するための複数の経糸用駆動要素(4)を有し、前記各駆動要素は、それぞれ、ばね手段を有するばね駆動装置(8;10、12)と保持手段とを含み、前記各保持手段(26)の保持力は、前記各ばね駆動装置(8;10、12)の駆動力に抗して上側開口位置および下側開口位置にて前記各駆動要素(4)を保持可能であり、かつ、前記各駆動要素(4)は、それぞれ動力伝達要素(24、30)を介して1つの電気モータ(32、34)と動作可能に連結され、前記各電気モータの駆動で前記各駆動要素(4)による開口制御を開始可能であるとともに、前記各保持手段(26)の作用が、前記各ばね駆動装置(8;10、12)と前記各電気モータ(32、34)との合力によって克服されうるものにおいて、前記各駆動要素(4)は、それぞれ異なる長さの前記各動力伝達要素(24、30)を介して千鳥状またはレジスタ状の配列にて前記各電気モータ(32、34)と動作可能に連結され、かつ、前記各電気モータ(32、34)が、対応する前記各駆動要素(4)に相対的に大きい動作をもたらすようなステップアップを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記各電気モータ(32、34)の駆動が、前記各駆動要素(4)に少なくとも2倍大きな動作を引き起こすことを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記各駆動要素(4)が、それぞれプッシュ・プルロッド(30)を有するヘルドとして、前記各電気モータ(32)に配置されるステップアップ用レバー(28)によって前記各電気モータと動作可能に連結されていることを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記各駆動要素(4)が、それぞれ駆動ケーブル(24)を介して前記各電気モータ(32)と動作可能に連結されており、前記各駆動要素(4)と前記各ばね駆動装置(10、12)のばね要素を有する前記各電気モータ(32)との間に、それぞれガイドローラ(14)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
【請求項5】
前記各駆動要素(4)が、それぞれ駆動ケーブル(24)を介して前記各電気モータ(34)と動作可能に連結されており、前記各駆動要素(4)と前記各ばね駆動装置(10、12)のばね要素を有する電気モータ(34)との間に、それぞれストロークステップアップを有する方向転換レバー(22)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
【請求項6】
前記各ガイドローラ(14)、または、ストロークステップアップを有する前記各方向転換レバー(22)が、前記各駆動ケーブル(24)を60°〜120°、好ましくは75°〜105°だけ方向転換させることを特徴とする、請求項4または5記載の装置。
【請求項7】
前記各経糸用駆動要素(4)が、それぞれの一側で、前記各ばね駆動装置の、固定配置されたばね手段(12)に連結されており、前記各ばね駆動装置が、前記各電気モータ(32、34)と、前記各ガイドローラ(14)またはストロークステップアップを有する前記各方向転換レバー(22)と反対側に配置されていることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記各ばね駆動装置(8;10、12)は、前記各駆動要素(4)がそれらの固有振動数で駆動する場合にそれらの運動エネルギーの大部分が前記各ばね駆動装置(8;10、12)から得られるように設計されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記各ばね駆動装置(8;10、12)は、前記各駆動要素(4)がそれらの固有振動数で駆動する場合にそれらの運動エネルギーの少なくとも75%が前記各ばね駆動装置(8;10、12)から得られるように設計されていることを特徴とする、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記各保持手段が、それぞれ固定磁石を備えた非制御保持手段として形成されており、前記各固定磁石(26)が永久磁石であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記各ステップアップ用レバーの端部に、前記各保持手段の前記各磁石に対応する被保持部を備えることを特徴とする、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記各駆動要素(4)の上側開口位置と下側開口位置との間の第3開口位置では、前記各駆動要素(4)に力が加えられないことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記第3開口位置が、前記各駆動要素(4)の中間開口位置に設定されていることを特徴とする、請求項12記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2010−522285(P2010−522285A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500043(P2010−500043)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000559
【国際公開番号】WO2008/116325
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(500031009)テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト (22)