説明

織物繊維に抗汚染保護および潤滑性を付与するための弗素化学的組成物

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】
【0002】
【発明の分野】本発明は、織物繊維に抗汚染保護および潤滑性を付与するための弗素化学的組成物に関するものである。より特に、本発明は繊維に抗汚染保護および摩擦特性を与え、洗浄および染色に対して耐性があり、そして仕上げ施工システムの高剪断環境に対して安定性である仕上げ剤組成物に関するものである。
【0003】
【関連技術の記載】繊維および織物を撥水性および撥油性並びに耐汚染性にさせるための弗素化学物質を含有している組成物を用いる繊維および織物の処理はいくつか知られている。そのような処理を記載している先行技術特許の例は、米国特許番号4,134,839、4,192,754、4,566,981、4,695,497、4,416,787、3,923,715、4,029,585および4,668,406である。
【0004】弗素化学物質は一般的に局部処理として完成織物またはカーペットにまたは仕上げ剤として織物繊維自身にすなわち連続的フィラメントにそれの製造中に適用される。両方の適用形ともある種の欠点を有している。局部処理では織物またはカーペットの表面上で濃縮して弗素化学物質が重い織物の内部もしくはカーペットの基部に浸透できなくなる。さらに、弗素化学物質を織物またはカーペットを通して均一に局部的に適用することはしばしば難しく、そして結果として縞模様が生じるかもしれない。
【0005】例えば連続的フィラメント糸の如き織物繊維に仕上げ剤として弗素化学物質を適用することは局部的処理よりはるかに費用がかかる傾向がある。その理由は、その後の織物処理中に、例えば撚糸、熱硬化、カージング、紡糸、製織、精練または染色段階中に、仕上げ剤が加水分解もしくはその他の方法で変性するか、洗浄除去されるか、または燃焼除去されることがあるからである。高温を含む処理段階には特に問題がある。いずれの場合にも、最終製品に対して同一基準を得るためには局部適用を織物に対して行う場合より通常は多い量の弗素化学物質を繊維に適用しなければならない。
【0006】弗素化学物質だけでは一般的には織物繊維に対して一般的織物処理段階用に必要な摩擦特性を与えないため、それらを仕上げ剤として適用する時には他の潤滑剤と混合しなければならない。弗素化学物質および潤滑剤を基にした混合物は比較的不安定である傾向がある。しばしばそれらは単に貯蔵タンク中に入れておく間にまたは剪断下で仕上げ剤適用システム中にポンプで送る間に、分離したり、外観または粘度が変化したりするであろう。表面活性剤により安定性を幾分改良させることができるが、充分安定な仕上げ剤を得るには多くの弗素化学物質は高価な弗素を基にした表面活性剤を必要とする。これらの表面活性剤は織物処理中に大部分洗浄除去されてしまい、織物製品上での全体的弗素基準には寄与しない。
【0007】本発明の一目的は、従って、織物繊維に抗汚染保護を必要な摩擦特性と共に付与するための、繊維仕上げ剤適用システムの高剪断環境に対して安定である水を基にした水性弗素化学的組成物である。さらに別の目的は、そのような組成物を高価な弗素を基にした表面活性剤を用いずに提供することである。他の目的は、最終的な仕上げ織物製品中で効果的に作用させるために洗浄および染色に対しても耐性であるそのような組成物である。
【0008】
【発明の要旨】本発明は、織物繊維に抗汚染保護および潤滑性を付与するための、繊維仕上げ剤適用システムの高剪断環境に対して安定である弗素化学的仕上げ剤組成物を提供することである。特に、該組成物は6より低いpHを有しており、そして約2−30重量%の活性成分類を含有している均一な水性乳化液であり、そして実質的に弗素−含有表面活性剤を含んでおらず、ここで該活性成分類は乾燥固体重量基準で概略(a) 1−35%の非イオン性の弗素化学的織物抗汚染剤、(b) 65−95%の非イオン性の水溶性または水乳化性潤滑剤、(c) 0.05−15%の第四級アンモニウムまたはプロトン化されたアミンカチオン性表面活性剤、および(d) 0.05−15%の非イオン性表面活性剤を含んでおり、抗汚染剤対合計表面活性剤の重量比は約0.5−20:1であり、そして潤滑剤対抗汚染剤の重量比は約2−25:1である。
【0009】本発明は、上記の弗素化学的仕上げ剤組成物が一緒に加えられてある例えばポリアミド類の如き織物繊維も提供するものである。一般的に、繊維は乾燥重量基準で少なくとも約0.2重量%の組成物でコーテイングされているべきであり、そして適当な耐汚染性を得るために存在している弗素の水準は繊維重量を基にして少なくとも200ppmであるべきである。
【0010】本発明に従うと上記の組成物は例えば連続的フィラメント糸の如き織物繊維に抗汚染保護を付与するのに特に有効であることが見いだされた。実質的にそれらは仕上げ剤適用システムの高剪断環境に対して並びに高温に対して非常に安定である。組成物が6より低いpHを有すること並びにカチオン性表面活性剤および非イオン性表面活性剤の組み合わせを使用することが特に重要である。
【0011】
【発明の詳細な記載】水性の弗素化学的仕上げ剤組成物は、重要基準で概略1−35%の、好適には5−20%の、少なくとも1種の弗素化学的織物抗汚染剤、65−95%の、好適には70−85%の、少なくとも1種の非イオン性の水溶性または水乳化性潤滑剤、0.05−15%の、好適には0.2−5%の、少なくとも1種の第四級アンモニウムまたはプロトン化されたアミンカチオン性表面活性剤、および0.05−15%の、好適には0.2−5%の、少なくとも1種の非イオン性表面活性剤からなる活性成分類(または「AI」)を含有している。抗汚染剤対合計表面活性剤の重量比は約0.5−20:1、好適には約1−4:1、である。潤滑剤対抗汚染剤の重量比は約2−25:1、好適には約4−8:1、である。好適には組成物は本質的に水および上記の成分類からなっている。組成物中の表面活性剤は、弗素を含まない表面活性剤である。弗素−含有表面活性剤は比較的高価であるだけでなく、さらにそれらは下記の実施例の表中の対照用Aからわかるように乳化安定性に悪影響を与えることもある。先行技術の仕上げ剤中でこれまでに使用されている弗素−含有表面活性剤の代表例には、弗素化されたアルキルポリオキシエチレンエタノール類が包含される。
【0012】製造された組成物が6より低いpHを有していない場合には、それらを酸を用いて6より低く調節すべきである。好適には、仕上げ剤と接触する金属物質の腐食を最少にするために3−5の間に調節される。pHの調節用には鉱酸または非−脂肪有機酸を使用することができる。そのような例には、スルファミン酸、燐酸および蟻酸が包含される。
【0013】単一の弗素化学的織物抗汚染剤の使用の代わりにそのような抗汚染剤の混合物も使用できることは理解されよう。同様に、潤滑剤の混合物並びにカチオン性および非イオン性表面活性剤の混合物も使用することができる。
【0014】本発明で使用される弗素化学的織物抗汚染剤は公知である。それらは不溶性の撥汚染剤であり、そして1種以上のフルオロ脂肪族基、典型的には1種以上のペルフルオロアルキル基、を有している。それらは例えば第四級アンモニウム基の如きイオン化された官能基を含有していないという点で非イオン性である。好適な種類の抗汚染剤は、フルオロカルボニルイミノビウレット類、フルオロエステル類、フルオロエステルカルバメート類、およびフルオロ重合体である。
【0015】フルオロカルボニルイミノビウレット類の群は1984年8月24日に出願された米国出願番号06/644,089(ペッチホールド(Pechhold))により代表されており、それの開示事項はここでは参照として記しておく。一例として、2モルの式F(CF2CF2)nCH2CH2OH(ここで、nは主として5、4および3である)のフルオロアルコール類の混合物と1モルの構造式
【0016】
【化1】


【0017】を有する1,3,5−トリス(6−イソ−シアナトヘキシル)ビウレットと反応させその後に残存イソシアネート基を例えば3−クロロ−1,2−プロパンジオールと反応させた反応生成物が挙げられる。この反応生成物は以下ではFA−1と称される。フルオロカルボニルイミノビウレット類の群は、それが顕著な抗汚染保護を与えるため、特に好ましい。
【0018】フルオロエステル類の群は米国特許3,923,715(デットレ(Dettre))および4,029,585(デットレ(Dettre))により代表されており、それの開示事項はここでは参照として記しておく。これらの特許は炭素数が3−30のカルボン酸類のペルフルオロアルキルエステル類を開示している。一例は、例えば炭素数が8−16の2−ペルフルオロアルキルエタノール類の混合物の如きペルフルオロアルキル脂肪アルコール類のクエン酸エステルである。このエステルは以下ではFA−2と称される。
【0019】フルオロエステルカルバメート類の群も上記の米国特許4,029,585中に開示されている。一例は、上記のクエン酸エステルを1−メチル−2,4−ジイソシアナトベンゼンと反応させることにより得られるクエン酸ウレタンである。このウレタンは以下ではFA−3と称される。
【0020】フルオロ重合体の群は米国特許3,645,989(タンディ(Tandy))および3,645,990(レイノルズ(Raynolds))により代表されており、それの開示事項はここでは参照として記しておく。これらの特許はそれぞれ構造式
【0021】
【化2】CH2=CH−CO2CH2CH2Rfおよび
【0022】
【化3】CH2=CH(CH3)−CO2CH2CH2Rf[式中、Rfは炭素数が約4−14のペルフルオロアルキル基である]を有するアクリルおよびメタクリル誘導単量体類並びにメチルアクリレートまたはエチルアクリレートおよび任意に少量の他の単量体類から得られた弗素化重合体類を記載している。そのようなフルオロ重合体の一例は、Rfが炭素数が8−16のペルフルオロ脂肪族基の混合物である上記式の後者とメチルメタクリレートとの74:26重量比の共重合体である。この重合体は以下ではFa−4と称される。
【0023】製造したての弗素化学的織物抗汚染剤は少量の表面活性剤を含有しているかもしれないが、一般的にその量は少ない。従って、弗素化学的仕上げ剤の製造においては適切な水準を得るためにカチオン性および非イオン性表面活性剤の両者を加えることが一般的に必要である。
【0024】潤滑剤は、織物産業で一般的に使用されている非イオン性の水溶性または水乳化性潤滑剤である。これらの群はそれらの水動的摩擦特性並びに弗素化学的織物抗汚染剤とのそれらの相容性の理由のために特に適している。水溶性潤滑剤の典型的な好適例は、PEG−600モノラウレートすなわちラウリン酸でエステル化された600MWのポリエチレングリコールである。他の例には、酸化エチレンおよび酸化プロピレンと縮合されたグリセロールモノオレエート並びにメトキシで覆われているPEG−400モノペラルゴネートが包含される。
【0025】水乳化性潤滑剤は一般的には例えば天然産出性の動物性および植物性油類、石油蒸留物、並びに合成エステル類の如き数種の範疇にはいる。代表例には、やし油(それ自身は酸化エチレンと1:25モル比で製造されているエトキシル化されたヒマシ油で乳化されている)、60SUS粘度ホワイト油、およびイソブチルステアレート(酸化エチレンと1:10モル比で製造されているエトキシル化されたオレイルアルコールで乳化されている)が包含される。
【0026】約11−18の、好適には14−17の、親水−親油均衡値(HLB)を有する潤滑剤が最も安定な仕上げ剤を製造する。公知の如く、HLBは乳化剤の親水−親油均衡値、すなわち分子の極性および非極性部分の相対的寸法および強度、の表示である。HLBはさらに、表面活性剤科学および技術(Surfactant Science and Technology)、D.マイヤース(Myers)、235−245頁、1988、VCHパブリッシャーズ、ニューヨーク中でも定義されている。
【0027】本発明で使用される型の第四級アンモニウムまたはプロトン化されたアミンカチオン性表面活性剤の例は、塩化トリメチルドデシルアンモニウム、塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化ジメチルジココアンモニウム、および酢酸オクタデシルアンモニウムである。
【0028】本発明で使用される型の非イオン性表面活性剤の例は、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとグリセロールモノオレート、オレイン酸、セチルアルコール、ペラルゴン酸、ステアリルアルコール、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレートとのエーテル化生成物である。
【0029】一般的に、本発明の仕上げ剤は、普通の方法で、潤滑剤および表面活性剤を水中に溶解または乳化させ、弗素化学的織物抗汚染剤を加え、そして必要に応じてpHを6以下に調節することにより、製造される。同様にそれらを織物繊維に対して、普通の方法で、例えば浸漬鍋、フォームまたはローラーアプリケーター、またはスプレーを用いて適用し、その後に一般的には50℃以上において乾燥して、繊維上に均一なコーテイングを沈着させる。
【0030】当技術の専門家に理解されるように、本発明の仕上げ剤組成物の製造および使用に適用される一般的考慮事項が多数ある。これらのいくつかを記載しよう。
【0031】一般的には、例えば、織物繊維に対する高水準の適用を促進させるためには仕上げ剤組成物中で比較的高水準の全活性成分類を保つことが望ましい。しかしながら、水中の油乳化液である組成物は比較的高い固体含有量においては不安定化する傾向がある。表面活性剤の水準が増加すると一般的に安定性は改良されるが、その効果は比較的低い表面活性剤水準における方がはるかに顕著である。表面活性剤はかなりの価格要素となり得るため、この理由からもそれらの水準を最少に保つことが望ましい。
【0032】従って、一般的には意図する特定適用により仕上げ剤組成物の成分類の選択および水準の間で均衡を得なければならないということを調合者は理解すべきである。例えば抗汚染保護および潤滑性の水準、価格、毒性並びに環境的衝撃の如き多数の要素を考察して特定調合物に達するであろう。
【0033】実施例では、仕上げ剤組成物を評価するために下記の試験を用いた。
【0034】ポンプ沈着− ポンプを冷却浴中に20−25℃において吊しながら、仕上げ剤(800g)をマイクロポンプRポンプ(モデル#120−411−10A)を通して15分間にわたり再循環させた。マイクロポンプRは、高剪断を有するギアポンプであった。ポンプ中の流れを約2000g/分に調整した。ポンプ流入後に、ポンプを水ですすいだ。次にポンプをフレオンRTF溶媒(CCl2F−CCl2F)ですすいで、沈着物を溶解させた。溶媒を蒸発させ、そして沈着物を重量測定した。沈着物の量(およびポンプ流入後の仕上げ剤安定性)は、高剪断計量ポンプ中の仕上げ剤の長期性能を示している。一般的に、沈着物の量は50mg以下、好適には20mg以下、であるべきである。
【0035】ポンプ流入後の安定性−仕上げ剤をマイクロポンプR中に再循環させた後に、仕上げ剤を20−25℃において1週間放置する。分離、沈澱、乳状化、または凝固の兆候を記録する。
【0036】熱安定性− 製造したての仕上げ剤を密封ジャー中に入れそして40−45℃で24時間貯蔵した。分離、沈澱、乳状化、または凝固の兆候を記録する。
【0037】放置時の濃化− 製造したての仕上げ剤をブルックフィールドR粘度計(モデルLVF)上で60rpmにおいて測定した。20−25℃で14日間放置した後に、粘度を再び測定して仕上げ剤の濃化またはゲル化度を定量化した。製造したての本発明の典型的仕上げ剤は3−6センチポイズの粘度を有しており、そして14日間の放置後に初期値の2センチポイズ以内であった。
【0038】下記の実施例および明細書の他の部分中では、部数および百分率は特に断らない限り重量によるものである。
【0039】
【実施例】実施例1−38下記の実施例1は、一緒になっている紡糸−延伸−バルク方法でナイロン−6,6のバルク処理された連続的フィラメントカーペットを製造するための二次(重複)仕上げ剤として使用された時の本発明の弗素化学的仕上げ組成物の有効性を示している。
【0040】約15,000の平均数分子量を有するポリ(ヘキサメチレンアジパミド)を一般的方法で紡糸口金を通して溶融紡糸して、約1.75の変性比の三裂断面を有する80本のフィラメントを与えた。溶融フィラメントを供給ロールと接触させる前に一般的方法で交差流空気冷却装置を用いて固化させた。供給ロールの前に、一次(紡糸)仕上げ組成物を固化したての未延伸フィラメントに、仕上げ剤を含有している鍋中に部分的に浸されている一般的な回転仕上げロールを用いて適用した。仕上げロールの回転速度は、それが糸上に約0.4%の仕上げ剤固体分を有する紡糸フィラメントを与えるようなものであった。一次(紡糸)仕上げ剤の組成は、90%の脱イオン水、8.8%のポリエチレングリコールおよび誘導体類、並びに1.2%のエトキシル化されたヒマシ油であり、水酸化カリウムを用いて8−9のpHに調節されていた。
【0041】糸を連続的操作で2対の一般的延伸ピンの上で190℃に加熱された延伸ロールにより2.9Xの延伸比とし、そして次にブリーン(Breen)およびラウテルバッハ(Lauterbach)の米国特許3,781,949に従い熱空気バルク用ジェット中で210℃の温度および120psigの熱空気圧力においてバルク処理した。バルク処理後に、糸を一般的な引き上げロールに送りそして巻き上げた。次に弗素化学的仕上げ剤組成物(重複または二次仕上げ剤)を、仕上げ剤を糸が越えて走行するオリフィスを通して連続的に計量添加することにより、引き上げロールと巻き取りロールの間の糸に適用した。固体基準で約0.8%の二次すなわち重複仕上げ剤が糸に適用された。
【0042】実施例1の弗素化学的仕上げ剤は、脱イオン化水および乳化剤の乳化液の組み合わせ物をFA−1弗素化学的織物抗汚染剤とタンク混合し、その後、潤滑剤としてのL−452および追加の表面活性剤を軸−駆動性プロペラを用いて良く混合されるまで添加することにより、製造された。pHを燐酸を用いて4.0±0.5に調節し、そして充分混合した。水性乳化液の一部を仕上げ剤適用タンクにゆっくり加え、そして糸に計量添加する前に充分混合した。
【0043】FA−1の水性乳化液は、28.6ポンドの67%フルオロカルボニルイミノビウレットの33%メチルイソブチルケトン(MIBK)中溶液を、60ポンドの水、0.3ポンドのアルクアードR12−50、および0.1ポンドのメルポールRHCSからなる50℃の水溶液に加えることにより、製造された。混合物を水蒸気蒸留して混合物中のMIBKを0.5%以下に減少させた。水を加えて20%の最終的固体濃度を得て、そして混合物を12時間にわたり冷却した。フルオロカルボニルイミノビウレットは、1984年8月24日に出願された米国出願番号06/644,089の実施例6に従い、フルオロアルコール混合物を1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキシル)ビューレットと縮合させそしてその後に3−クロロ−1,2−プロパンジオールを用いて変性させることにより、製造された。
【0044】プライ撚糸は、均衡のとれた単独糸および1インチ当たり3.5回のZ/Sプライ撚糸を用いて弗素化学的仕上げ剤組成物で処理されておりそして一般的方法で「スーパーバ」工程において280°Fでプライ撚糸熱硬化されている糸から製造された。プライ撚糸された糸を5.32インチゲージを用いてタフト処理してカーペット裏地として、1/2インチのパイル高さにタフト処理されている1平方ヤード当たり32オンスのカーペット重量を生じた。カーペットをベック中でpH9において毎分10ヤードで0.3%アセトアミンイエローCG染料を用いて染色した。糸の分析は約400ppm弗素を示した。
【0045】第二の対照用カーペットを、抗汚染仕上げ剤を含まないで製造された糸から製造した。二次仕上げ剤は、85%の水、11.3%のやし油、および3.7%のエトキシル化されたヒマシ油の組成物であった。
【0046】対照用および抗汚染処理されたカーペットの抗汚染性能を人出の多い廊下における通常の歩行を受ける一般的床試験で試験し、そして試料の歩行露呈を計測した。汚染性能を目盛り付けされた目盛りに対して視覚的に試料を評価することにより評価して、歩行露呈を有するカーペットの外観変化を観察した。目盛りは、6個の等間隔で0−26のトリスティミュラス△E反射率値を包括している異なる水準の汚染を有する同一カーペット試料からなっており、ここで△E=0は汚染されていない試料である。
【0047】160,000回の歩行サイクル後に、未処理の対照用は6.0であると評価されそして抗汚染処理されたカーペットは4.0であると評価され、そのことは後者の方がより良好な性能であることを示していた。
【0048】実施例1は、本発明の性質を表示している。この実施例中での潤滑剤および抗汚染性弗素化学剤の選択が、ナイロン−6,6の連続的フィラメント糸に対する二次仕上げ剤適用に好適な弗素化学的仕上げ剤組成物を表わしている。例えばナイロンステープル、ポリプロピレン、またはポリエステルへの、および/もしくは一次すなわち紡糸仕上げ剤として使用するための、本発明の種々の応用は本発明の範囲および精神から逸脱しない限り織物繊維仕上げ剤および処理技術の専門家には明白となろう。
【0049】下表Iにおいて、同様にして製造された本発明の組成物である実施例1〜37並びに本発明ではない対照用組成物に関して結果がまとめられている。組成物はそれぞれ重量%基準の水、並びに乾燥重量基準の下記活性成分類からなっている:弗素化学的織物抗汚染剤、潤滑剤、非イオン性表面活性剤およびカチオン性表面活性剤。組成物をそれぞれ試験して、ポンプ流入後の安定性(これに関しては「微細物」すなわち少量の沈澱は邪魔ではない)に関して、45℃の熱安定性に関して、および放置後の濃化に関して、ポンプ沈着物をミリグラムで測定した。全ての場合、組成物を必要に応じて6より低いpHを有するように調節した。ある場合にはpHを調節するためにスルファミン酸を使用したが、酸の選択はそれが脂肪酸でない限り厳密なものではない。
【0050】対照用にはポンプ流入時の不安定性、熱不安定性の問題があり、そして製造時の5.6センチポイズから20−25℃における14日間の放置後の142センチポイズへの粘度増加により証されている如くそれは過度に濃化してしまうことに気付くであろう。比較用に、実施例2および3を試験すると、同じ期間中に事実上変化せずに6より低く保たれていることがわかった。
【0051】
【表1】


【0052】
【表2】


【0053】
【表3】


【0054】
【表4】


【0055】
【表5】


【0056】略字に対する解説EO − 酸化エチレン単位PO − 酸化プロピレン単位PEG − ポリエチレングリコールL−408 − モノオレイン酸グリセロール(C9)/16EOおよび10PO、HLB=16F7 − F−(CF2−CF2)n−CH2CH2O−(CH2CH2O)x−H(ここでn=3−8およびx=7である)、HLB=15メルポールHCS − C12/C16アルコール/15EO、HLB=15、アルクアード12−50−塩化トリメチルドデシルアンモニウム、HLB=17L−452 − PEG−600モノラウレート(C12)、HLB=16L−67 − PEG400モノペラルゴネート(C9)、メトキシで覆われている、HLB=14L−95 − 75/25:EO/POの不規則的共重合体、HLB=14L−61 − ペラルゴン酸/9EO+1PO、HLB=14Brij35 − ラウリルアルコール/23EO、HLB=17Brij58 − セチル(C16)アルコール/20EO、HLB=16Brij78 − ステアリルアルコール/20EO、HLB=15ツイーン80 − ソルビタンモノオレエート/20EO、HLB=15ツイーン60 − ソルビタンモノステアレート(C18)/20EO、HLB=15メルポールOJ − オレイル(C9)アルコール/10EO、HLB=13イゲパルCA−720 − ノニルフェノール/12.5EO、HLB=15イゲパルDM−710 − ジアルキルフェノール/15EO、HLB=13アルクアード12−33 − 塩化トリメチルドデシルアンモニウム、HLB=17アルクアード16−29 − 塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、HLB=16アルクアード2C−75 − 塩化ジメチルジココアンモニウム、HLB=11FA−1 − 弗素化学的ビウレットFA−2 − 弗素化学的クエン酸エステル、アルミーンDM−18Dで乳化されているFA−3 − 耐性を強化するために18%のメチルメタクリレート重合体を含有している弗素化学的クエン酸エステルウレタン、アルミーンDM−18Dで乳化されているFA−4 − アルミーンDM−18Dで乳化された、ペルフルオロアルキルメタクリレート:アルキルメチルメタクリレート(74:26重量比)の弗素化学的共重合体イゲパルCO−850 − ノニルフェノール/20EO、HLB=16アルミーンDM−18D − 酢酸ジメチルオクタデシルアンモニウム本発明の主なる特徴および態様は以下のとおりである。
【0057】1.6より低いpHを有しており、約2−30重量%の活性成分類を含有している均一な水性乳化液であり、そして実質的に弗素−含有表面活性剤を含んでいない、織物繊維に抗汚染保護および潤滑性を付与するためのそして仕上げ施工システムの高剪断環境に対して安定な弗素化学的仕上げ剤組成物において、該活性成分類が乾燥固体重量基準で概略(a) 1−35%の非イオン性の弗素化学的織物抗汚染剤、(b) 65−95%の非イオン性の水溶性または水乳化性潤滑剤、(c) 0.05−15%の第四級アンモニウムまたはプロトン化されたアミンカチオン性表面活性剤、および(d) 0.05−15%の非イオン性表面活性剤を含んでおり、抗汚染剤対合計表面活性剤の重量比が約0.5−20:1であり、そして潤滑剤対抗汚染剤の重量比が約2−25:1である、弗素化学的仕上げ剤組成物。
【0058】2.弗素化学的織物抗汚染剤がフルオロカルボニルイミノビウレット、フルオロエステル、フルオロエステルカルバメート、およびフルオロ重合体からなる群から選択される、上記1の組成物。
【0059】3.弗素化学的織物抗汚染剤がフルオロカルボニルイミノビウレットである、上記2の組成物。
【0060】4.潤滑剤が水溶性潤滑剤である、上記1の組成物。
【0061】5.上記1の弗素化学的仕上げ剤組成物が一緒に加えられている、織物繊維。
6.上記2の弗素化学的仕上げ剤組成物が一緒に加えられている、織物繊維。
7.上記3の弗素化学的仕上げ剤組成物が一緒に加えられている、織物繊維。
8.上記1の弗素化学的仕上げ剤組成物が一緒に加えられている、ポリアミド織物繊維。
【0062】9.上記2の弗素化学的仕上げ剤組成物が一緒に加えられている、ポリアミド織物繊維。
【0063】10.上記3の弗素化学的仕上げ剤組成物が一緒に加えられている、ポリアミド織物繊維。
【0064】11.上記5のパイル繊維からなる、カーペット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 6より低いpHを有しており、約2−30重量%の活性成分類を含有している均一な水性乳化液であり、そして実質的に弗素−含有表面活性剤を含んでいない、織物繊維に抗汚染保護および潤滑性を付与するためのそして仕上げ施工システムの高剪断環境に対して安定な弗素化学的仕上げ剤組成物において、該活性成分類が乾燥固体重量基準で概略(a) 1−35%の非イオン性の弗素化学的織物抗汚染剤、(b) 65−95%の非イオン性の水溶性または水乳化性潤滑剤、(c) 0.05−15%の第四級アンモニウムまたはプロトン化されたアミンカチオン性表面活性剤、および(d) 0.05−15%の非イオン性表面活性剤を含んでおり、抗汚染剤対合計表面活性剤の重量比が約0.5−20:1であり、そして潤滑剤対抗汚染剤の重量比が約2−25:1である、弗素化学的仕上げ剤組成物。
【請求項2】 請求項1記載の弗素化学的仕上げ剤組成物が一緒に加えられている、織物繊維。
【請求項3】 請求項2記載のパイル繊維からなる、カーペット。

【特許番号】第2818502号
【登録日】平成10年(1998)8月21日
【発行日】平成10年(1998)10月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−144168
【出願日】平成3年(1991)5月21日
【公開番号】特開平4−228679
【公開日】平成4年(1992)8月18日
【審査請求日】平成10年(1998)1月27日
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY