繰出し装置
【課題】スライダーの先端部の先端側と筒体の受入れ孔との間に隙間がある繰出し装置において、棒状物が折れたり、破断したり、スライダーから引き抜けたりすることを防止する。
【解決手段】本発明による繰出し装置(1)は、一対の筒体(6,8)と、棒状物(4)を筒体(6)から繰出すために、筒体(6,8)の相対回転によって筒体(6,8)の中を移動するスライダー(10)を有する。スライダー(10)の先端部(10a)に固定された棒状物(4)は、スライダー(10)の先端部(10a)の先端側と筒体(6)の受入れ孔(14)との間の隙間(44)を通って、スライダー(10)の先端部(10a)の第1の外面(42a)、段部(42b)及び第2の外面(42c)の上に延びる環状の外側部分(4b)と、スライダー(10)の先端側から中心孔(26)内に延びる中心部分(4c)とを有する。
【解決手段】本発明による繰出し装置(1)は、一対の筒体(6,8)と、棒状物(4)を筒体(6)から繰出すために、筒体(6,8)の相対回転によって筒体(6,8)の中を移動するスライダー(10)を有する。スライダー(10)の先端部(10a)に固定された棒状物(4)は、スライダー(10)の先端部(10a)の先端側と筒体(6)の受入れ孔(14)との間の隙間(44)を通って、スライダー(10)の先端部(10a)の第1の外面(42a)、段部(42b)及び第2の外面(42c)の上に延びる環状の外側部分(4b)と、スライダー(10)の先端側から中心孔(26)内に延びる中心部分(4c)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の筒体を軸線を中心に相対回転させることにより、口紅、固形糊等の棒状物を一対の筒体から繰出すための繰出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅、固形糊、クレヨン、固形修正剤等の棒状物を一対の筒体から繰出すための繰出し装置が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの装置は、一般的に、一対の筒体を軸線を中心に相対回転させると、一対の筒体の中に配置されたスライダーが軸線方向に移動し、スライダーの先端部に固定された棒状物が、筒体の一方から繰出される構造を有している。また、一対の筒体を反対方向に相対回転させれば、棒状物は、筒体の中に引込むように構成されている。
【0003】
繰出し装置のスライダーの先端部に棒状物を固定するために、一般的には、スライダーを一対の筒体内の最も引込んだ位置に配置し、その状態で、流動性を有する棒状物材料を一対の筒体内に充填し、充填した棒状物材料を固化させる。
【0004】
図11及び図12を参照して、従来の繰出し装置のスライダーの先端部と棒状物との固定形態を説明する。図11は、従来の繰出し装置のスライダーの一例を示す斜視図である。図12は、従来の繰出し装置のスライダーの他の例を示す斜視図である。
【0005】
図11に示す繰出し装置70のスライダー72は、筒体74内に配置されており、円筒形部分72aと、それから先端側に延びる細い軸部分72bと、この軸部分72bに取付けられた羽根部分72cとを有している。羽根部分72cは半径方向外方に向かって細くなる縁部72dを有している。また、円筒形部分72aの外径は、筒体74の内径よりも小さい。この場合、棒状物76は、主に、軸部分72b及び羽根部分72cの周りを覆うように固定される。
【0006】
図12に示す他の繰出し装置80のスライダー82は、筒体84に嵌合する円筒形部分82aを有している。円筒形部分82aは、長手方向に延びる中心孔82bと、外面82cと、中心孔82bと外面82cとを連通する複数の連通孔82dを有している。中心孔82bは、貫通せず、壁82eのところで閉じている。この場合、棒状物88の材料は、中心孔82bから流れ込んで、壁82eで堰き止められた後、連通孔82dに流れ込む。かくして、棒状物88は、中心孔82b及び連通孔82dに充填された状態で固定される(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特許第3795632号公報(図1及び図4参照)
【特許文献2】特開2002−199930号公報
【特許文献3】実開平6−74382号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図11に示すスライダー70の場合、羽根部分72cの縁部72dのところに位置する棒状物76の部分に応力が生じやすく、例えば、棒状物76を繰出したり引込めたりしている間に、棒状物76がその部分で折れたり破断したりすることがあった。また、棒状物76を引込めるとときに抵抗があると、棒状物76がスライダー72から引き抜けてしまうことがあった。
【0009】
一方、図12に示すスライダー80の場合、棒状物88が折れたり、破断したり、引き抜けたりすることがなかった。
【0010】
本願の発明者は、円筒形部分72aの外径が筒体74の内径よりも小さい図11に示す繰出し装置70において、棒状物76が折れたり、破断したり、引き抜けたりすることがないように、スライダー72を図12に示すスライダー82のように改良することを試みた。図13は、試作したスライダーの斜視図である。試作したスライダー90は、図11に示すスライダー72の軸部分72b及び羽部分72cを省略し、円筒形部分72aに、長手方向に延びる中心孔90aと、この中心孔90aと円筒形部分72aの外面との間を連通する複数の連通孔90bを形成したものである。図11に示すスライダー72と同様、スライダー90の先端90cと筒体74の間に隙間が形成されている。この場合、棒状物92の材料は、スライダー90の先端90cから円筒形部分72aの外面に沿って流れると共に、中心孔90aから流れ込んで、壁90dで堰き止められた後、連通孔90bに流れ込む。従って、棒状物92は、円筒形部分72aの外面を覆い且つ孔90a、連通孔90bに充填された状態で固定される。
【0011】
図13に示すスライダー90では、期待に反して、棒状物92を引込めたときに棒状物92がスライダー90から引き抜けることがあった。
【0012】
そこで、本発明は、スライダーの先端部の先端側と筒体の受入れ孔との間に隙間がある繰出し装置において、棒状物が折れたり、破断したり、スライダーから引き抜けたりすることを防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
図13に示すスライダー90を用いた場合、棒状物92の材料がスライダー90の先端90aから円筒形部分72aの外面に沿って流れると共に中心孔90a及び連通孔90bに流れ込むとき、連通孔90b内に空気が閉じ込められ、それにより、棒状物とスライダーとの間の結合力が弱くなっていたことがわかった。
【0014】
そこで、上記目的を達成するために、本発明による繰出し装置は、軸線を中心に相対回転可能な一対の筒体と、一対の筒体の相対回転により一対の筒体の中を軸線方向に移動するスライダーと、スライダーに固定され且つスライダーの移動によって一対の筒体から軸線方向前方に繰出される棒状物とを有し、前記スライダーは、棒状物が固定される先端部を有し、一対の筒体の一方は、スライダーの先端部を受入れる受入れ孔を有し、スライダーの先端部の先端側と一方の筒体の受入れ孔との間に隙間が設けられる繰出し装置において、スライダーの先端部は、先端側の第1の外面部分と、第1の外面部分との間に環状の段部を形成するように第1の外面部分の後方に配置され且つ第1の外面部分よりも小さい輪郭を有する第2の外面部分と、軸線方向に延びる中心孔を有し、スライダーの先端部に固定された棒状物は、スライダーの先端側から上記隙間を通って第1の外面、段部及び第2の外面の上に延びる環状の外側部分と、スライダーの先端側から中心孔内に延びる中心部分とを有することを特徴としている。
【0015】
このように構成された本発明による繰出し装置では、棒状物がスライダーから隙間を通って第1の外面、段部及び第2の外面の上に延びているので、棒状物とスライダーとの接触面積を確保することができ、特に、段部により、棒状物を引込めるときに棒状物がスライダーから抜けてしまうことを防止することができる。また、棒状物は、環状の外側部分と中心孔内に延びる中心部分とによって、スライダーを挟むようにして固定されているので、棒状物が折れ難い構造になっている。かくして、スライダーの先端部の先端側と筒体の受入れ孔との間に隙間がある繰出し装置において、棒状物が折れたり、破断したり、スライダーから引き抜けたりすることを防止することができる。
【0016】
本発明による繰出し装置の実施形態において、好ましくは、一方の筒体の受入れ孔は、円筒形であり、スライダーの先端部の中心孔は、円筒形であり、スライダーの中心孔の内径は、一方の筒体の受入れ孔の内径の1/2以上である。
【0017】
また、本発明による繰出し装置の実施形態において、好ましくは、スライダーの先端部の中心孔の断面積は、一方の筒体の受入れ孔の断面積の1/4以上である。
【0018】
また、本発明による繰出し装置の実施形態において、好ましくは、スライダーを案内するためのガイドレールが、一方の筒体の受入れ孔の内方に突出した部分として構成され、スライダーの先端部は、更に、第1の外面よりも外方に突出し且つガイドレールに案内されるガイド面を有する。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明に夜繰出し装置は、軸線を中心に相対回転可能な一対の筒体と、一対の筒体の相対回転により一対の筒体の中を軸線方向に移動するスライダーと、スライダーに固定され且つスライダーの移動によって一対の筒体から軸線方向前方に繰出される棒状物とを有し、スライダーは、棒状物が固定される先端部を有し、一対の筒体の一方は、スライダーの先端部を受入れる受入れ孔を有し、スライダーの先端部の先端側と一方の筒体の受入れ孔との間に隙間が設けられる繰出し装置において、スライダーの先端部は、軸線方向に一定の輪郭を有する外面と、外面に設けられた環状の凹部と、軸線方向に延びる中心孔を有し、スライダー先端部に固定された棒状物は、スライダーの先端側から隙間を通って外面の上及び凹部の中に延びる環状の外側部分と、スライダーの先端側から中心孔内に延びる中心部分とを有することを特徴としている。
【0020】
このように構成された本発明による繰出し装置では、棒状物がスライダーから隙間を通って外面上及び凹部の中に延びているので、棒状物とスライダーとの間の接触面積を確保することができ、特に、凹部により、棒状物を引込めるときに棒状物がスライダーから抜けてしまうことを防止することができる。また、棒状物は、環状の外側部分と中心孔内に延びる中心部分とによって、スライダーを挟むようにして固定されているので、棒状物が折れ難い構造になっている。かくして、スライダーの先端部の先端側と筒体の受入れ孔との間に隙間がある繰出し装置において、棒状物が折れたり、破断したり、スライダーから引き抜けたりすることを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、スライダーの先端と筒体との間に隙間がある本発明による繰出し装置によれば、棒状物が折れたり、破断したり、スライダーから引き抜けたりすることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明による繰出し装置の実施形態を説明する。図1は、本発明による繰出し装置の斜視図である。図2は、棒状物を省略して示す本発明による繰出し装置の分解斜視図である。図3は、図2の線3−3における筒本体の拡大断面図である。図4は、図1の線4−4における断面図であり、図5は、図1の線5−5における断面図である。図6は、図5の線6−6における拡大断面図である。図7は、図1の線7−7における断面図である。以下、繰出し装置によって繰出される棒状物を、固形糊として説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施形態である繰出し装置1は、軸線2を有する細長い形態を有しており、軸線方向Aの一方の側A1において、棒状物4である固形糊が繰出される装置である。以下、固形糊が繰出される側を前側又は先端側A1と称し、その反対側を後側又は尾側A2と称する。また、軸線方向Aに対して垂直な直径方向Rにおいて、軸線2に向かう側を内方R1と称し、軸線2から離れる側を外方R2と称する。
【0024】
図2に示すように、繰出し装置1は、細長い筒本体6と、筒本体6の後側に筒本体6と同軸に取付けられる筒状の尾栓8と、筒本体6及び尾栓8の中に配置されるスライダー10と、筒本体6の前側に取付けられるキャップ12とを有している。筒本体6、尾栓8、及びキャップ12は、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂で作られることが好ましい。また、スライダー10は、ポリアセタール等のエンジニアリングプラスチックで作られることが好ましい。固形糊4は、スライダー10の先端部10aに固定される。
【0025】
図2及び図3に示すように、筒本体6は、前端面6cから後端面6dまで軸線方向Aに貫通する受入れ孔14を有し、この受入れ孔14は、スライダー10を受入れ可能である。筒本体6は、前部6aと後部6bとを有している。前部6aの受入れ孔14の断面は、直径D1を有する円形の一部が内方に突出した形態を有しており、後部6bの受入れ孔の断面は、直径D1を有する円形である。内方に突出した部分は、ほぼ矩形の断面を有し且つ長手方向Aに延び、後述するスライダー10を案内するためのガイドレール16を構成する。ガイドレール16は、直径方向に互いに対向するように2つ設けられており、2つのガイドレール16の内面16aは、直径D2の円周上に位置している。
【0026】
図2、図4及び図5に示すように、尾栓8は、直径D1よりも小さい外径を有し且つ筒本体6内に位置する前部8aと、直径D1の外径を有し且つ筒本体6の後部6bに嵌合する中間部8bと、直径D1よりも大きい外径を有し且つ筒本体6の後側に露出される後部8cと、前端8dから後端8eに向かって軸線方向Aに延びる孔18を有している。この孔18は、後部8cまで延び、尾栓8の後端8eにおいて閉鎖されている。
【0027】
筒本体6の後部6bに嵌合する尾栓8の中間部8bは、尾栓8が筒本体6に対して軸線2を中心に回転できるように摺動可能である。かくして、筒本体6と尾栓8とは、軸線2を中心に相対回転可能な一対の筒体20を構成する。筒本体6と尾栓8を組立てた後でそれらが簡単に分離することを防止するために、筒本体6の後部6b及び尾栓8の中間部8bはそれぞれ、互いに係合する環状凸部22a及び環状凹部22bを有していることが好ましい。また、筒本体6と尾栓8とを相対回転させるのに必要な力を調整するために、尾栓8の中間部8bに設けられた環状溝24aにOリング24bを配置することが好ましい。また、水分を含む固形糊4が、一対の筒体20及びキャップ12によって構成される容器内で乾燥することを防ぐために、Oリング24bを配置することが、さらに推奨される。
【0028】
スライダー10は、固形糊4が固定される先端部10aと、ガイドレール16に案内される中間部10bと、尾栓8内に延びる後部10cと、スライダー10を軸線方向Aに貫通する中心孔26とを有している。
【0029】
図6に示すように、スライダー10の中間部10bは、ガイドレール16と直径方向に対向する対抗面28aと、対抗面28aから外方に延び且つガイドレール16の両側でガイドレール16に対向する一対のガイド面28b、28cとを有している。上述したように、ガイドレール16が直径方向Rに対向するように設けられているので、対向面28a及び一対のガイド面28b、28cも、直径方向Rの両側に設けられている。対抗面28aは、直径D2よりも小さい直径D3の円周上に位置し、一対のガイド面28b、28cは、対抗面28aから、直径D1の円と直径D2の円との間まで延びている。また、一対のガイド面28b、28cは、ガイドレール16に対して摺動可能であり、ガイドレール16に案内される。かくして、スライダー10は、一対の筒体20、即ち、筒本体6及び尾栓8の中をガイドレール16に沿って軸線方向Aに直線的に移動可能である。
【0030】
図4〜図6に示すように、スライダー10を筒本体6内に後方から挿入したときに、ガイドレール16が一対のガイド面28b、28cの間に誘導されるように、スライダー10の前部10aは、一対のガイド面28b、28cに連結され且つそれから前方に延びる一対の誘導面30を有することが好ましい。一対の誘導面30の周方向の間隔30aは、一対の誘導面30がガイド面28b、28cから前方に延びるに従って広くなり、即ち、一対のガイド面に向かって狭くなっている。また、一方のガイドレール16に対向するガイド面28b、28cから延びる誘導面30と、他方のガイドレール16に対向するガイド面28b、28cから延びる誘導面30とが連結されていることが好ましい。
【0031】
スライダー10の後部10cは、尾栓8の孔18の中に軸線方向Aに延びている。また、スライダー10の後部10cは、スライダー10がガイドレール16に沿って軸線方向Aに移動したときにガイドレール16にぶつからないように、直径D2よりも小さい外径を有している。また、スライダー10の後部10cは、その全体にわたって連続した螺旋状の溝32を有している。
【0032】
尾栓8の前部8aは、スライダー10の後部10cの螺旋状の溝32に嵌合する突起34を有している。かくして、一対の筒体20、即ち、筒本体6及び尾栓8を相対回転させることにより、スライダー10を筒本体6及び尾栓8の中で軸線方向Aに前進させたり後退させたりすることができ、それにより、固形糊4を筒本体6から繰出したり引込めたりすることができる。尾栓8の前部8aは、軸線方向Aに延びる2つのスリット36によって分割された2つの半部38a、38bからなる(図2参照)。2つの半部38a、38bは、互いに対して離れるように尾栓8の中間部8bに対して撓み可能であり、それにより、スライダー10を、突起34に抗して尾栓8の孔18に単に押し込むことによって、スライダー10を尾栓8に組立てることができる。
【0033】
また、固形糊4は、スライダー10の前端部10aに固定されている(図2参照)。かくして、スライダー10の軸線方向Aの前進及び後退によって、筒本体6から繰出されたり、筒本体6に引込んだりすることが可能である。筒本体6及びスライダー10の後部10cの軸線方向A長さは、固形糊4及びスライダー10の軸線方向Aの移動距離に応じて定められる。
【0034】
スライダー10の先端部10aは、先端面40と、先端側の第1の外面部分42aと、第1の外面部分42aとの間に環状の第1の段部42bを形成するように第1の外面部分42aの後方に配置された第2の外面部分42cと、第2の外面部分42cとの間に環状の第2の段部42dを形成するように第2の外面部分42cの後方に配置された第3の外面部分42eとを有し、第2の外面部分42cは、第1の外面部分42aよりも小さい輪郭を有している。第3の外面部分42eは、第1の外面部分42aと同じ輪郭を有していることが好ましく、両者を合わせて外面43と称してもよい。また、第1〜第3の外面部分42a、42c、42eは、円筒形であることが好ましい。本実施形態では、第1の外面部分42a及び第3の外面部分42eは、スライダー10の中間部10bの対抗面28aが位置する円と同じ円周上に位置し、かくして、軸線方向に一定の輪郭を有し且つ外径D3を有している。かくして、第1の外面42aと筒本体6の受入れ孔14との間に環状の隙間44(図4参照)が形成される。また、第2の外面部分42cは、第1の外面部分42a及び第3の外面部分42eに対して環状の凹部46を構成する。更に、スライダーの先端部10aは、先端面40から軸線方向Aに延びる中心孔26によって構成される内面48を有している(図5参照)。内面48は、円筒形であることが好ましい。
【0035】
図7に示すように、固形糊4は、スライダー10の先端部10aに固定され、それから前方に延びている。詳細には、固形糊4は、固形糊本体4aと、スライダー10の先端側から隙間44を通って第1の外面42a、第1の段部42b、第2の外面42c、第2の段部42d及び第3の外面42eの上に延びる環状の外側部分4bと、スライダー10の先端側から中心孔26内に延びる中心部分4cとを有している。固形糊4の外側部分4bは、スライダー10の先端側から隙間44を通って第1の外面42a及び第3の外面42eの上及び凹部46の中に延びている。
【0036】
固形糊4とスライダー10との接触面積を確保するために、第1〜第3の外面42a、42c、42eは、大きい方が好ましいが、固形糊4の外側部分4bは、固形糊4が破断しない程度の厚さは必要である。その厚みは、1mm以上であることがこのましい。また、固形糊4の強度を確保するために、スライダー10の先端部10aの中心孔26の内径D4は、筒体6の後部6bの受入れ孔14の内径D1の1/2以上であること、又は、スライダー10の先端部10aの中心孔26の断面積は、筒本体6の後部6bの受入れ孔14の断面積の1/4以上であることが好ましい。
【0037】
図1に示すように、キャップ12は、筒本体6の前部6aに取外し可能に取付けられる。キャップ12の内部には、キャップ12を筒本体6a取付けたときに筒本体6の前端面6cに当接する内キャップ50が設けられ、内キャップ50は、固形糊4の先端を形成するための半球状の凹部52を有している。
【0038】
次に、図7〜図9を参照して、本発明による繰出し装置の固形糊をスライダーに固定する方法を説明する。図8及び図9は、棒状物の充填方法を示す、図7と同じ断面における図である。
【0039】
図8に示すように、キャップ12を嵌めた筒本体6を、尾栓8及びスライダー10を取付けない状態で、キャップ12が下になるように縦方向に配置する。次いで、加温されて流動可能になった状態の糊材料4’を筒本体6の後方から所定量注入する。筒本体6の前端面6cに内キャップ50が当接しているので、糊材料4’は、内キャップ50の半球状の凹部52及び筒本体6の前部6aに充填される。
【0040】
次いで、図9に示すように、組立て状態のスライダー10及び尾栓8を、糊材料4’を注入した筒本体6に挿入する。スライダー10及び尾栓8を挿入していくとき、筒本体6のガイドレール16は、スライダー10の誘導面30に当った後、誘導面30に沿って一対のガイド面28b、28cの間に誘導され、キャップ12及び筒本体6とスライダー10及び尾栓8との間に少しの相対回転が生じる。スライダー10及び尾栓8が完全に挿入されると、筒本体6の受入れ孔14内面とスライダー10の先端部10aとの間に糊材料4’が充填され、糊材料4’がスライダー10の第1の外面42a、第1の段部42b、第2の外面42c、第2の段部42d及び第3の外面42eの上に延び、誘導面30によって堰き止められる。筒本体6とスライダー10との間にあった空気は、一対のガイド面28b、28cの間から後方に抜けるので、糊材料4’がスムーズにスライダー10の第1の外面42a、第1の段部42b、第2の外面42c、第2の段部42d及び第3の外面42eの上に流れ込む。かくして、固形糊4を引込めたときに固形糊4がスライダー10から抜けることを防止するのに十分な固形糊4とスライダー10の前部10aとの間の接触面積が確保される。更に、第1の段部42b、第2の外面42c、即ち、凹部46が設けられていることにより、固形糊4とスライダー10との間の結合力が増大する。また、残りの糊材料4’は、スライダー10の中心孔26の中に充填される(図7参照)。中心孔26内の空気は、後方に抜ける。
【0041】
次いで、糊材料4’を放置、冷却させることによって、固形糊4にする。筒本体6とスライダー10との間の固形糊4は、環状の外側部分6bを構成する。固形糊4になるとき、糊材料4’が若干収縮するので、スライダー10の第1〜第3の外面42a、42c、42eの周りの固形糊4は、スライダー10の先端部10aを内方に締め付けるように固定される。それにより、スライダー10と固形糊4との間の結合力が更に増し、固形糊4がスライダー10から抜け難くなる。
【0042】
次に、本発明による繰出し装置の動作を説明する。
【0043】
キャップ12を筒本体6から外す。筒本体6を持って、尾栓8を筒本体6に対して軸線2を中心に回転させると、尾栓8の前部8aの突起34がスライダー10の後部10cの螺旋状の溝32に付与する回転力が、スライダーのガイド面28b、28cと筒本体6のガイドレール16との間の摺動によって軸線方向の駆動力に変換される。それにより、スライダー10が前進し、固形糊4が筒本体から繰出される。また、尾栓8を筒本体6に対して逆方向に回転させると、スライダー10が後退し、固形糊4が筒本体6の中に引込む。
【0044】
図11に示す従来技術の繰出し装置では、固形糊76が引込むときの抵抗により、固形糊76がスライダー72から抜けたり、固形糊76が折れたりすることがあった。これに対して、本発明による繰出し装置では、固形糊4の外側部分4bがスライダー10の第1〜第3の外面42a、42c、42e及び第1及び第2の段部42b、42dの上に延び且つ内方に締め付けるように収縮されているので、固形糊4がスライダー10から抜けることを防止するのに十分な固形糊4とスライダー10の前部10aとの間の接触面積及び結合力が確保される。
【0045】
また、スライダー10の中心孔26に充填された固形糊4の中心部分4cは、環状の外側部分4bとともにスライダー10を挟み込み、固形糊4の強度を増大させる。それにより、固形糊4が折れたり破断したりすることが防止される。
【0046】
また、本発明の繰出し装置1では、キャップ12が下になるように筒本体6を配置して糊材料4’を注入しているので、糊材料4’の固化と同時に、固形糊4の先端部を所望の形状にすることができる。詳細には、糊材料4’の体積は、糊材料4’が加熱溶融状態から固化するときに収縮する。糊材料4’が固化するとき、糊材料4’の筒本体6の孔14側、即ち、内面側が最初に固化し、糊材料4’の中心部が最後に固化するので、固形糊4の中心部の上面にラッパ上の深い凹みが生じる。本発明の繰出し装置1では、キャップ12が下になるように筒本体6を配置することにより、かかる凹みが、スライダー10の中心孔26の内部に位置する固形糊4に生じて、外部から見えなくなるのに対し、固形糊4の先端は、内キャップの50の凹部52に従った半球形状になる。
【0047】
本発明に対し、図12に示す従来技術の繰出し具80では、スライダー82に壁82eがあるため、キャップが上になるように筒本体を配置しなければ、固形糊88の糊材料をスライダー82の中心孔82bに注入することができない。従って、固形糊88の先端部に上記凹みが生じることになる。固形糊88の先端形状を凸状にするためには、新しい糊材料を更に注入したり、取り外し可能な延長筒体を用意して余分な固形糊88を形成しておき、延長筒体を取外して余分な固形糊88を切断又は加工したりする必要がある。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0049】
スライダー10の先端部10aの形状は、固形糊4がスライダー10から抜けない接触面積が確保されれば任意である。図10は、スライダーの先端部の変形例を示す断面図である。図10の(a)に示すように、第2の段部42d及び第3の外面42eが省略されてもよいし、図10の(b)に示すように、外面43に凹部46が追加されてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、棒状物を固形糊4として説明したが、口紅、固形糊、クレヨン、固形修正剤等、棒状物の材料が流動可能であれば任意である。
【0051】
また、上記実施形態では、筒本体の受入れ孔14、スライダー10の先端部10a及び中心孔26等の断面を円形としたが、その他の形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による繰出し装置の斜視図である。
【図2】棒状物を省略して示す本発明による繰出し装置の分解斜視図である。
【図3】図2の線3−3における筒本体の拡大断面図である。
【図4】図1の線4−4における断面図である。
【図5】図1の線5−5における断面図である。
【図6】図5の線6−6における拡大断面図である。
【図7】図1の線7−7における断面図である。
【図8】棒状物の充填方法を示す、図7と同じ断面における図である。
【図9】棒状物の充填方法を示す、図7と同じ断面における図である。
【図10】スライダーの先端部の変形例を示す図4と同じ断面における図である。
【図11】従来の繰出し装置のスライダーの一例を示す斜視図である。
【図12】従来の繰出し装置のスライダーの他の例を示す斜視図である。
【図13】試作したスライダーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 繰出し装置
2 軸線
4 固形糊(棒状物)
4b 外側部分
4c 中心部分
6 筒本体(一対の筒体)
8 尾栓(一対の筒体)
10 スライダー
10a 先端部
14 受入れ孔
16 ガイドレール
26 中心孔
28b、28c ガイド面
42a 第1の外面部分
42b 第1の段部
42c 第2の外面部分
43 外面
44 隙間
46 凹部
D1 受入れ孔の内径
D4 中心孔の内径
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の筒体を軸線を中心に相対回転させることにより、口紅、固形糊等の棒状物を一対の筒体から繰出すための繰出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅、固形糊、クレヨン、固形修正剤等の棒状物を一対の筒体から繰出すための繰出し装置が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの装置は、一般的に、一対の筒体を軸線を中心に相対回転させると、一対の筒体の中に配置されたスライダーが軸線方向に移動し、スライダーの先端部に固定された棒状物が、筒体の一方から繰出される構造を有している。また、一対の筒体を反対方向に相対回転させれば、棒状物は、筒体の中に引込むように構成されている。
【0003】
繰出し装置のスライダーの先端部に棒状物を固定するために、一般的には、スライダーを一対の筒体内の最も引込んだ位置に配置し、その状態で、流動性を有する棒状物材料を一対の筒体内に充填し、充填した棒状物材料を固化させる。
【0004】
図11及び図12を参照して、従来の繰出し装置のスライダーの先端部と棒状物との固定形態を説明する。図11は、従来の繰出し装置のスライダーの一例を示す斜視図である。図12は、従来の繰出し装置のスライダーの他の例を示す斜視図である。
【0005】
図11に示す繰出し装置70のスライダー72は、筒体74内に配置されており、円筒形部分72aと、それから先端側に延びる細い軸部分72bと、この軸部分72bに取付けられた羽根部分72cとを有している。羽根部分72cは半径方向外方に向かって細くなる縁部72dを有している。また、円筒形部分72aの外径は、筒体74の内径よりも小さい。この場合、棒状物76は、主に、軸部分72b及び羽根部分72cの周りを覆うように固定される。
【0006】
図12に示す他の繰出し装置80のスライダー82は、筒体84に嵌合する円筒形部分82aを有している。円筒形部分82aは、長手方向に延びる中心孔82bと、外面82cと、中心孔82bと外面82cとを連通する複数の連通孔82dを有している。中心孔82bは、貫通せず、壁82eのところで閉じている。この場合、棒状物88の材料は、中心孔82bから流れ込んで、壁82eで堰き止められた後、連通孔82dに流れ込む。かくして、棒状物88は、中心孔82b及び連通孔82dに充填された状態で固定される(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特許第3795632号公報(図1及び図4参照)
【特許文献2】特開2002−199930号公報
【特許文献3】実開平6−74382号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図11に示すスライダー70の場合、羽根部分72cの縁部72dのところに位置する棒状物76の部分に応力が生じやすく、例えば、棒状物76を繰出したり引込めたりしている間に、棒状物76がその部分で折れたり破断したりすることがあった。また、棒状物76を引込めるとときに抵抗があると、棒状物76がスライダー72から引き抜けてしまうことがあった。
【0009】
一方、図12に示すスライダー80の場合、棒状物88が折れたり、破断したり、引き抜けたりすることがなかった。
【0010】
本願の発明者は、円筒形部分72aの外径が筒体74の内径よりも小さい図11に示す繰出し装置70において、棒状物76が折れたり、破断したり、引き抜けたりすることがないように、スライダー72を図12に示すスライダー82のように改良することを試みた。図13は、試作したスライダーの斜視図である。試作したスライダー90は、図11に示すスライダー72の軸部分72b及び羽部分72cを省略し、円筒形部分72aに、長手方向に延びる中心孔90aと、この中心孔90aと円筒形部分72aの外面との間を連通する複数の連通孔90bを形成したものである。図11に示すスライダー72と同様、スライダー90の先端90cと筒体74の間に隙間が形成されている。この場合、棒状物92の材料は、スライダー90の先端90cから円筒形部分72aの外面に沿って流れると共に、中心孔90aから流れ込んで、壁90dで堰き止められた後、連通孔90bに流れ込む。従って、棒状物92は、円筒形部分72aの外面を覆い且つ孔90a、連通孔90bに充填された状態で固定される。
【0011】
図13に示すスライダー90では、期待に反して、棒状物92を引込めたときに棒状物92がスライダー90から引き抜けることがあった。
【0012】
そこで、本発明は、スライダーの先端部の先端側と筒体の受入れ孔との間に隙間がある繰出し装置において、棒状物が折れたり、破断したり、スライダーから引き抜けたりすることを防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
図13に示すスライダー90を用いた場合、棒状物92の材料がスライダー90の先端90aから円筒形部分72aの外面に沿って流れると共に中心孔90a及び連通孔90bに流れ込むとき、連通孔90b内に空気が閉じ込められ、それにより、棒状物とスライダーとの間の結合力が弱くなっていたことがわかった。
【0014】
そこで、上記目的を達成するために、本発明による繰出し装置は、軸線を中心に相対回転可能な一対の筒体と、一対の筒体の相対回転により一対の筒体の中を軸線方向に移動するスライダーと、スライダーに固定され且つスライダーの移動によって一対の筒体から軸線方向前方に繰出される棒状物とを有し、前記スライダーは、棒状物が固定される先端部を有し、一対の筒体の一方は、スライダーの先端部を受入れる受入れ孔を有し、スライダーの先端部の先端側と一方の筒体の受入れ孔との間に隙間が設けられる繰出し装置において、スライダーの先端部は、先端側の第1の外面部分と、第1の外面部分との間に環状の段部を形成するように第1の外面部分の後方に配置され且つ第1の外面部分よりも小さい輪郭を有する第2の外面部分と、軸線方向に延びる中心孔を有し、スライダーの先端部に固定された棒状物は、スライダーの先端側から上記隙間を通って第1の外面、段部及び第2の外面の上に延びる環状の外側部分と、スライダーの先端側から中心孔内に延びる中心部分とを有することを特徴としている。
【0015】
このように構成された本発明による繰出し装置では、棒状物がスライダーから隙間を通って第1の外面、段部及び第2の外面の上に延びているので、棒状物とスライダーとの接触面積を確保することができ、特に、段部により、棒状物を引込めるときに棒状物がスライダーから抜けてしまうことを防止することができる。また、棒状物は、環状の外側部分と中心孔内に延びる中心部分とによって、スライダーを挟むようにして固定されているので、棒状物が折れ難い構造になっている。かくして、スライダーの先端部の先端側と筒体の受入れ孔との間に隙間がある繰出し装置において、棒状物が折れたり、破断したり、スライダーから引き抜けたりすることを防止することができる。
【0016】
本発明による繰出し装置の実施形態において、好ましくは、一方の筒体の受入れ孔は、円筒形であり、スライダーの先端部の中心孔は、円筒形であり、スライダーの中心孔の内径は、一方の筒体の受入れ孔の内径の1/2以上である。
【0017】
また、本発明による繰出し装置の実施形態において、好ましくは、スライダーの先端部の中心孔の断面積は、一方の筒体の受入れ孔の断面積の1/4以上である。
【0018】
また、本発明による繰出し装置の実施形態において、好ましくは、スライダーを案内するためのガイドレールが、一方の筒体の受入れ孔の内方に突出した部分として構成され、スライダーの先端部は、更に、第1の外面よりも外方に突出し且つガイドレールに案内されるガイド面を有する。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明に夜繰出し装置は、軸線を中心に相対回転可能な一対の筒体と、一対の筒体の相対回転により一対の筒体の中を軸線方向に移動するスライダーと、スライダーに固定され且つスライダーの移動によって一対の筒体から軸線方向前方に繰出される棒状物とを有し、スライダーは、棒状物が固定される先端部を有し、一対の筒体の一方は、スライダーの先端部を受入れる受入れ孔を有し、スライダーの先端部の先端側と一方の筒体の受入れ孔との間に隙間が設けられる繰出し装置において、スライダーの先端部は、軸線方向に一定の輪郭を有する外面と、外面に設けられた環状の凹部と、軸線方向に延びる中心孔を有し、スライダー先端部に固定された棒状物は、スライダーの先端側から隙間を通って外面の上及び凹部の中に延びる環状の外側部分と、スライダーの先端側から中心孔内に延びる中心部分とを有することを特徴としている。
【0020】
このように構成された本発明による繰出し装置では、棒状物がスライダーから隙間を通って外面上及び凹部の中に延びているので、棒状物とスライダーとの間の接触面積を確保することができ、特に、凹部により、棒状物を引込めるときに棒状物がスライダーから抜けてしまうことを防止することができる。また、棒状物は、環状の外側部分と中心孔内に延びる中心部分とによって、スライダーを挟むようにして固定されているので、棒状物が折れ難い構造になっている。かくして、スライダーの先端部の先端側と筒体の受入れ孔との間に隙間がある繰出し装置において、棒状物が折れたり、破断したり、スライダーから引き抜けたりすることを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、スライダーの先端と筒体との間に隙間がある本発明による繰出し装置によれば、棒状物が折れたり、破断したり、スライダーから引き抜けたりすることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明による繰出し装置の実施形態を説明する。図1は、本発明による繰出し装置の斜視図である。図2は、棒状物を省略して示す本発明による繰出し装置の分解斜視図である。図3は、図2の線3−3における筒本体の拡大断面図である。図4は、図1の線4−4における断面図であり、図5は、図1の線5−5における断面図である。図6は、図5の線6−6における拡大断面図である。図7は、図1の線7−7における断面図である。以下、繰出し装置によって繰出される棒状物を、固形糊として説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施形態である繰出し装置1は、軸線2を有する細長い形態を有しており、軸線方向Aの一方の側A1において、棒状物4である固形糊が繰出される装置である。以下、固形糊が繰出される側を前側又は先端側A1と称し、その反対側を後側又は尾側A2と称する。また、軸線方向Aに対して垂直な直径方向Rにおいて、軸線2に向かう側を内方R1と称し、軸線2から離れる側を外方R2と称する。
【0024】
図2に示すように、繰出し装置1は、細長い筒本体6と、筒本体6の後側に筒本体6と同軸に取付けられる筒状の尾栓8と、筒本体6及び尾栓8の中に配置されるスライダー10と、筒本体6の前側に取付けられるキャップ12とを有している。筒本体6、尾栓8、及びキャップ12は、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂で作られることが好ましい。また、スライダー10は、ポリアセタール等のエンジニアリングプラスチックで作られることが好ましい。固形糊4は、スライダー10の先端部10aに固定される。
【0025】
図2及び図3に示すように、筒本体6は、前端面6cから後端面6dまで軸線方向Aに貫通する受入れ孔14を有し、この受入れ孔14は、スライダー10を受入れ可能である。筒本体6は、前部6aと後部6bとを有している。前部6aの受入れ孔14の断面は、直径D1を有する円形の一部が内方に突出した形態を有しており、後部6bの受入れ孔の断面は、直径D1を有する円形である。内方に突出した部分は、ほぼ矩形の断面を有し且つ長手方向Aに延び、後述するスライダー10を案内するためのガイドレール16を構成する。ガイドレール16は、直径方向に互いに対向するように2つ設けられており、2つのガイドレール16の内面16aは、直径D2の円周上に位置している。
【0026】
図2、図4及び図5に示すように、尾栓8は、直径D1よりも小さい外径を有し且つ筒本体6内に位置する前部8aと、直径D1の外径を有し且つ筒本体6の後部6bに嵌合する中間部8bと、直径D1よりも大きい外径を有し且つ筒本体6の後側に露出される後部8cと、前端8dから後端8eに向かって軸線方向Aに延びる孔18を有している。この孔18は、後部8cまで延び、尾栓8の後端8eにおいて閉鎖されている。
【0027】
筒本体6の後部6bに嵌合する尾栓8の中間部8bは、尾栓8が筒本体6に対して軸線2を中心に回転できるように摺動可能である。かくして、筒本体6と尾栓8とは、軸線2を中心に相対回転可能な一対の筒体20を構成する。筒本体6と尾栓8を組立てた後でそれらが簡単に分離することを防止するために、筒本体6の後部6b及び尾栓8の中間部8bはそれぞれ、互いに係合する環状凸部22a及び環状凹部22bを有していることが好ましい。また、筒本体6と尾栓8とを相対回転させるのに必要な力を調整するために、尾栓8の中間部8bに設けられた環状溝24aにOリング24bを配置することが好ましい。また、水分を含む固形糊4が、一対の筒体20及びキャップ12によって構成される容器内で乾燥することを防ぐために、Oリング24bを配置することが、さらに推奨される。
【0028】
スライダー10は、固形糊4が固定される先端部10aと、ガイドレール16に案内される中間部10bと、尾栓8内に延びる後部10cと、スライダー10を軸線方向Aに貫通する中心孔26とを有している。
【0029】
図6に示すように、スライダー10の中間部10bは、ガイドレール16と直径方向に対向する対抗面28aと、対抗面28aから外方に延び且つガイドレール16の両側でガイドレール16に対向する一対のガイド面28b、28cとを有している。上述したように、ガイドレール16が直径方向Rに対向するように設けられているので、対向面28a及び一対のガイド面28b、28cも、直径方向Rの両側に設けられている。対抗面28aは、直径D2よりも小さい直径D3の円周上に位置し、一対のガイド面28b、28cは、対抗面28aから、直径D1の円と直径D2の円との間まで延びている。また、一対のガイド面28b、28cは、ガイドレール16に対して摺動可能であり、ガイドレール16に案内される。かくして、スライダー10は、一対の筒体20、即ち、筒本体6及び尾栓8の中をガイドレール16に沿って軸線方向Aに直線的に移動可能である。
【0030】
図4〜図6に示すように、スライダー10を筒本体6内に後方から挿入したときに、ガイドレール16が一対のガイド面28b、28cの間に誘導されるように、スライダー10の前部10aは、一対のガイド面28b、28cに連結され且つそれから前方に延びる一対の誘導面30を有することが好ましい。一対の誘導面30の周方向の間隔30aは、一対の誘導面30がガイド面28b、28cから前方に延びるに従って広くなり、即ち、一対のガイド面に向かって狭くなっている。また、一方のガイドレール16に対向するガイド面28b、28cから延びる誘導面30と、他方のガイドレール16に対向するガイド面28b、28cから延びる誘導面30とが連結されていることが好ましい。
【0031】
スライダー10の後部10cは、尾栓8の孔18の中に軸線方向Aに延びている。また、スライダー10の後部10cは、スライダー10がガイドレール16に沿って軸線方向Aに移動したときにガイドレール16にぶつからないように、直径D2よりも小さい外径を有している。また、スライダー10の後部10cは、その全体にわたって連続した螺旋状の溝32を有している。
【0032】
尾栓8の前部8aは、スライダー10の後部10cの螺旋状の溝32に嵌合する突起34を有している。かくして、一対の筒体20、即ち、筒本体6及び尾栓8を相対回転させることにより、スライダー10を筒本体6及び尾栓8の中で軸線方向Aに前進させたり後退させたりすることができ、それにより、固形糊4を筒本体6から繰出したり引込めたりすることができる。尾栓8の前部8aは、軸線方向Aに延びる2つのスリット36によって分割された2つの半部38a、38bからなる(図2参照)。2つの半部38a、38bは、互いに対して離れるように尾栓8の中間部8bに対して撓み可能であり、それにより、スライダー10を、突起34に抗して尾栓8の孔18に単に押し込むことによって、スライダー10を尾栓8に組立てることができる。
【0033】
また、固形糊4は、スライダー10の前端部10aに固定されている(図2参照)。かくして、スライダー10の軸線方向Aの前進及び後退によって、筒本体6から繰出されたり、筒本体6に引込んだりすることが可能である。筒本体6及びスライダー10の後部10cの軸線方向A長さは、固形糊4及びスライダー10の軸線方向Aの移動距離に応じて定められる。
【0034】
スライダー10の先端部10aは、先端面40と、先端側の第1の外面部分42aと、第1の外面部分42aとの間に環状の第1の段部42bを形成するように第1の外面部分42aの後方に配置された第2の外面部分42cと、第2の外面部分42cとの間に環状の第2の段部42dを形成するように第2の外面部分42cの後方に配置された第3の外面部分42eとを有し、第2の外面部分42cは、第1の外面部分42aよりも小さい輪郭を有している。第3の外面部分42eは、第1の外面部分42aと同じ輪郭を有していることが好ましく、両者を合わせて外面43と称してもよい。また、第1〜第3の外面部分42a、42c、42eは、円筒形であることが好ましい。本実施形態では、第1の外面部分42a及び第3の外面部分42eは、スライダー10の中間部10bの対抗面28aが位置する円と同じ円周上に位置し、かくして、軸線方向に一定の輪郭を有し且つ外径D3を有している。かくして、第1の外面42aと筒本体6の受入れ孔14との間に環状の隙間44(図4参照)が形成される。また、第2の外面部分42cは、第1の外面部分42a及び第3の外面部分42eに対して環状の凹部46を構成する。更に、スライダーの先端部10aは、先端面40から軸線方向Aに延びる中心孔26によって構成される内面48を有している(図5参照)。内面48は、円筒形であることが好ましい。
【0035】
図7に示すように、固形糊4は、スライダー10の先端部10aに固定され、それから前方に延びている。詳細には、固形糊4は、固形糊本体4aと、スライダー10の先端側から隙間44を通って第1の外面42a、第1の段部42b、第2の外面42c、第2の段部42d及び第3の外面42eの上に延びる環状の外側部分4bと、スライダー10の先端側から中心孔26内に延びる中心部分4cとを有している。固形糊4の外側部分4bは、スライダー10の先端側から隙間44を通って第1の外面42a及び第3の外面42eの上及び凹部46の中に延びている。
【0036】
固形糊4とスライダー10との接触面積を確保するために、第1〜第3の外面42a、42c、42eは、大きい方が好ましいが、固形糊4の外側部分4bは、固形糊4が破断しない程度の厚さは必要である。その厚みは、1mm以上であることがこのましい。また、固形糊4の強度を確保するために、スライダー10の先端部10aの中心孔26の内径D4は、筒体6の後部6bの受入れ孔14の内径D1の1/2以上であること、又は、スライダー10の先端部10aの中心孔26の断面積は、筒本体6の後部6bの受入れ孔14の断面積の1/4以上であることが好ましい。
【0037】
図1に示すように、キャップ12は、筒本体6の前部6aに取外し可能に取付けられる。キャップ12の内部には、キャップ12を筒本体6a取付けたときに筒本体6の前端面6cに当接する内キャップ50が設けられ、内キャップ50は、固形糊4の先端を形成するための半球状の凹部52を有している。
【0038】
次に、図7〜図9を参照して、本発明による繰出し装置の固形糊をスライダーに固定する方法を説明する。図8及び図9は、棒状物の充填方法を示す、図7と同じ断面における図である。
【0039】
図8に示すように、キャップ12を嵌めた筒本体6を、尾栓8及びスライダー10を取付けない状態で、キャップ12が下になるように縦方向に配置する。次いで、加温されて流動可能になった状態の糊材料4’を筒本体6の後方から所定量注入する。筒本体6の前端面6cに内キャップ50が当接しているので、糊材料4’は、内キャップ50の半球状の凹部52及び筒本体6の前部6aに充填される。
【0040】
次いで、図9に示すように、組立て状態のスライダー10及び尾栓8を、糊材料4’を注入した筒本体6に挿入する。スライダー10及び尾栓8を挿入していくとき、筒本体6のガイドレール16は、スライダー10の誘導面30に当った後、誘導面30に沿って一対のガイド面28b、28cの間に誘導され、キャップ12及び筒本体6とスライダー10及び尾栓8との間に少しの相対回転が生じる。スライダー10及び尾栓8が完全に挿入されると、筒本体6の受入れ孔14内面とスライダー10の先端部10aとの間に糊材料4’が充填され、糊材料4’がスライダー10の第1の外面42a、第1の段部42b、第2の外面42c、第2の段部42d及び第3の外面42eの上に延び、誘導面30によって堰き止められる。筒本体6とスライダー10との間にあった空気は、一対のガイド面28b、28cの間から後方に抜けるので、糊材料4’がスムーズにスライダー10の第1の外面42a、第1の段部42b、第2の外面42c、第2の段部42d及び第3の外面42eの上に流れ込む。かくして、固形糊4を引込めたときに固形糊4がスライダー10から抜けることを防止するのに十分な固形糊4とスライダー10の前部10aとの間の接触面積が確保される。更に、第1の段部42b、第2の外面42c、即ち、凹部46が設けられていることにより、固形糊4とスライダー10との間の結合力が増大する。また、残りの糊材料4’は、スライダー10の中心孔26の中に充填される(図7参照)。中心孔26内の空気は、後方に抜ける。
【0041】
次いで、糊材料4’を放置、冷却させることによって、固形糊4にする。筒本体6とスライダー10との間の固形糊4は、環状の外側部分6bを構成する。固形糊4になるとき、糊材料4’が若干収縮するので、スライダー10の第1〜第3の外面42a、42c、42eの周りの固形糊4は、スライダー10の先端部10aを内方に締め付けるように固定される。それにより、スライダー10と固形糊4との間の結合力が更に増し、固形糊4がスライダー10から抜け難くなる。
【0042】
次に、本発明による繰出し装置の動作を説明する。
【0043】
キャップ12を筒本体6から外す。筒本体6を持って、尾栓8を筒本体6に対して軸線2を中心に回転させると、尾栓8の前部8aの突起34がスライダー10の後部10cの螺旋状の溝32に付与する回転力が、スライダーのガイド面28b、28cと筒本体6のガイドレール16との間の摺動によって軸線方向の駆動力に変換される。それにより、スライダー10が前進し、固形糊4が筒本体から繰出される。また、尾栓8を筒本体6に対して逆方向に回転させると、スライダー10が後退し、固形糊4が筒本体6の中に引込む。
【0044】
図11に示す従来技術の繰出し装置では、固形糊76が引込むときの抵抗により、固形糊76がスライダー72から抜けたり、固形糊76が折れたりすることがあった。これに対して、本発明による繰出し装置では、固形糊4の外側部分4bがスライダー10の第1〜第3の外面42a、42c、42e及び第1及び第2の段部42b、42dの上に延び且つ内方に締め付けるように収縮されているので、固形糊4がスライダー10から抜けることを防止するのに十分な固形糊4とスライダー10の前部10aとの間の接触面積及び結合力が確保される。
【0045】
また、スライダー10の中心孔26に充填された固形糊4の中心部分4cは、環状の外側部分4bとともにスライダー10を挟み込み、固形糊4の強度を増大させる。それにより、固形糊4が折れたり破断したりすることが防止される。
【0046】
また、本発明の繰出し装置1では、キャップ12が下になるように筒本体6を配置して糊材料4’を注入しているので、糊材料4’の固化と同時に、固形糊4の先端部を所望の形状にすることができる。詳細には、糊材料4’の体積は、糊材料4’が加熱溶融状態から固化するときに収縮する。糊材料4’が固化するとき、糊材料4’の筒本体6の孔14側、即ち、内面側が最初に固化し、糊材料4’の中心部が最後に固化するので、固形糊4の中心部の上面にラッパ上の深い凹みが生じる。本発明の繰出し装置1では、キャップ12が下になるように筒本体6を配置することにより、かかる凹みが、スライダー10の中心孔26の内部に位置する固形糊4に生じて、外部から見えなくなるのに対し、固形糊4の先端は、内キャップの50の凹部52に従った半球形状になる。
【0047】
本発明に対し、図12に示す従来技術の繰出し具80では、スライダー82に壁82eがあるため、キャップが上になるように筒本体を配置しなければ、固形糊88の糊材料をスライダー82の中心孔82bに注入することができない。従って、固形糊88の先端部に上記凹みが生じることになる。固形糊88の先端形状を凸状にするためには、新しい糊材料を更に注入したり、取り外し可能な延長筒体を用意して余分な固形糊88を形成しておき、延長筒体を取外して余分な固形糊88を切断又は加工したりする必要がある。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0049】
スライダー10の先端部10aの形状は、固形糊4がスライダー10から抜けない接触面積が確保されれば任意である。図10は、スライダーの先端部の変形例を示す断面図である。図10の(a)に示すように、第2の段部42d及び第3の外面42eが省略されてもよいし、図10の(b)に示すように、外面43に凹部46が追加されてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、棒状物を固形糊4として説明したが、口紅、固形糊、クレヨン、固形修正剤等、棒状物の材料が流動可能であれば任意である。
【0051】
また、上記実施形態では、筒本体の受入れ孔14、スライダー10の先端部10a及び中心孔26等の断面を円形としたが、その他の形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による繰出し装置の斜視図である。
【図2】棒状物を省略して示す本発明による繰出し装置の分解斜視図である。
【図3】図2の線3−3における筒本体の拡大断面図である。
【図4】図1の線4−4における断面図である。
【図5】図1の線5−5における断面図である。
【図6】図5の線6−6における拡大断面図である。
【図7】図1の線7−7における断面図である。
【図8】棒状物の充填方法を示す、図7と同じ断面における図である。
【図9】棒状物の充填方法を示す、図7と同じ断面における図である。
【図10】スライダーの先端部の変形例を示す図4と同じ断面における図である。
【図11】従来の繰出し装置のスライダーの一例を示す斜視図である。
【図12】従来の繰出し装置のスライダーの他の例を示す斜視図である。
【図13】試作したスライダーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 繰出し装置
2 軸線
4 固形糊(棒状物)
4b 外側部分
4c 中心部分
6 筒本体(一対の筒体)
8 尾栓(一対の筒体)
10 スライダー
10a 先端部
14 受入れ孔
16 ガイドレール
26 中心孔
28b、28c ガイド面
42a 第1の外面部分
42b 第1の段部
42c 第2の外面部分
43 外面
44 隙間
46 凹部
D1 受入れ孔の内径
D4 中心孔の内径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心に相対回転可能な一対の筒体と、一対の筒体の相対回転により一対の筒体の中を軸線方向に移動するスライダーと、スライダーに固定され且つスライダーの移動によって一対の筒体から軸線方向前方に繰出される棒状物と、を有し、前記スライダーは、棒状物が固定される先端部を有し、前記一対の筒体の一方は、前記スライダーの先端部を受入れる受入れ孔を有し、前記スライダーの先端部の先端側と前記一方の筒体の受入れ孔との間に隙間が設けられる繰出し装置において、
前記スライダーの先端部は、先端側の第1の外面部分と、前記第1の外面部分との間に環状の段部を形成するように前記第1の外面部分の後方に配置され且つ前記第1の外面部分よりも小さい輪郭を有する第2の外面部分と、軸線方向に延びる中心孔を有し、
前記スライダーの先端部に固定された棒状物は、前記スライダーの先端側から前記隙間を通って前記第1の外面、前記段部及び前記第2の外面の上に延びる環状の外側部分と、前記スライダーの先端側から前記中心孔内に延びる中心部分とを有することを特徴とする繰出し装置。
【請求項2】
前記一方の筒体の受入れ孔は、円筒形であり、前記スライダーの先端部の中心孔は、円筒形であり、
前記スライダーの中心孔の内径は、前記一方の筒体の受入れ孔の内径の1/2以上であることを特徴とする請求項1に記載の繰出し装置。
【請求項3】
前記スライダーの先端部の中心孔の断面積は、前記一方の筒体の受入れ孔の断面積の1/4以上であることを特徴とする請求項1に記載の繰出し装置。
【請求項4】
前記スライダーを案内するためのガイドレールが、前記一方の筒体の受入れ孔の内方に突出した部分として構成され、
前記スライダーの先端部は、更に、前記第1の外面よりも外方に突出し且つ前記ガイドレールに案内されるガイド面を有することを特徴とする請求項1に記載の繰出し装置。
【請求項5】
軸線を中心に相対回転可能な一対の筒体と、一対の筒体の相対回転により一対の筒体の中を軸線方向に移動するスライダーと、スライダーに固定され且つスライダーの移動によって一対の筒体から軸線方向前方に繰出される棒状物と、を有し、前記スライダーは、棒状物が固定される先端部を有し、前記一対の筒体の一方は、前記スライダーの先端部を受入れる受入れ孔を有し、前記スライダーの先端部の先端側と前記一方の筒体の受入れ孔との間に隙間が設けられる繰出し装置において、
前記スライダーの先端部は、軸線方向に一定の輪郭を有する外面と、前記外面に設けられた環状の凹部と、軸線方向に延びる中心孔を有し、
前記スライダー先端部に固定された棒状物は、前記スライダーの先端側から前記隙間を通って前記外面の上及び前記凹部の中に延びる環状の外側部分と、前記スライダーの先端側から前記中心孔内に延びる中心部分とを有することを特徴とする繰出し装置。
【請求項1】
軸線を中心に相対回転可能な一対の筒体と、一対の筒体の相対回転により一対の筒体の中を軸線方向に移動するスライダーと、スライダーに固定され且つスライダーの移動によって一対の筒体から軸線方向前方に繰出される棒状物と、を有し、前記スライダーは、棒状物が固定される先端部を有し、前記一対の筒体の一方は、前記スライダーの先端部を受入れる受入れ孔を有し、前記スライダーの先端部の先端側と前記一方の筒体の受入れ孔との間に隙間が設けられる繰出し装置において、
前記スライダーの先端部は、先端側の第1の外面部分と、前記第1の外面部分との間に環状の段部を形成するように前記第1の外面部分の後方に配置され且つ前記第1の外面部分よりも小さい輪郭を有する第2の外面部分と、軸線方向に延びる中心孔を有し、
前記スライダーの先端部に固定された棒状物は、前記スライダーの先端側から前記隙間を通って前記第1の外面、前記段部及び前記第2の外面の上に延びる環状の外側部分と、前記スライダーの先端側から前記中心孔内に延びる中心部分とを有することを特徴とする繰出し装置。
【請求項2】
前記一方の筒体の受入れ孔は、円筒形であり、前記スライダーの先端部の中心孔は、円筒形であり、
前記スライダーの中心孔の内径は、前記一方の筒体の受入れ孔の内径の1/2以上であることを特徴とする請求項1に記載の繰出し装置。
【請求項3】
前記スライダーの先端部の中心孔の断面積は、前記一方の筒体の受入れ孔の断面積の1/4以上であることを特徴とする請求項1に記載の繰出し装置。
【請求項4】
前記スライダーを案内するためのガイドレールが、前記一方の筒体の受入れ孔の内方に突出した部分として構成され、
前記スライダーの先端部は、更に、前記第1の外面よりも外方に突出し且つ前記ガイドレールに案内されるガイド面を有することを特徴とする請求項1に記載の繰出し装置。
【請求項5】
軸線を中心に相対回転可能な一対の筒体と、一対の筒体の相対回転により一対の筒体の中を軸線方向に移動するスライダーと、スライダーに固定され且つスライダーの移動によって一対の筒体から軸線方向前方に繰出される棒状物と、を有し、前記スライダーは、棒状物が固定される先端部を有し、前記一対の筒体の一方は、前記スライダーの先端部を受入れる受入れ孔を有し、前記スライダーの先端部の先端側と前記一方の筒体の受入れ孔との間に隙間が設けられる繰出し装置において、
前記スライダーの先端部は、軸線方向に一定の輪郭を有する外面と、前記外面に設けられた環状の凹部と、軸線方向に延びる中心孔を有し、
前記スライダー先端部に固定された棒状物は、前記スライダーの先端側から前記隙間を通って前記外面の上及び前記凹部の中に延びる環状の外側部分と、前記スライダーの先端側から前記中心孔内に延びる中心部分とを有することを特徴とする繰出し装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−259669(P2008−259669A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104569(P2007−104569)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000136697)株式会社ブンチョウ (6)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000136697)株式会社ブンチョウ (6)
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