説明

缶蓋の反転検出装置

【課題】スリーブの中に積層状態で収納された缶蓋における反転の有無を、スリーブを損傷することなく確実に検出する。
【解決手段】円筒状の缶胴を有する缶体11に巻き締められる、外周部に巻き締め用のカール部11cを有する円板状の缶蓋10が表裏を統一して積層された状態で収容されるスリーブ20内において、表裏が反転した缶蓋10を検出する反転検出装置100であって、複数の缶蓋10を積層状態で収容したスリーブ20を缶蓋10の積層方向に沿って搬送するコンベア30と、コンベア30上を搬送されるスリーブ20の外周部に向けて、積層方向に交差する赤外線Rを照射する赤外線照射部50と、スリーブ20を透過した赤外線Rを検出する赤外線検出部60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーブの中に積層して収納された缶蓋の反転検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆる2ピース缶などにおいて缶胴に巻き締めされる略円板状の缶蓋は、両端が閉じられた筒状のクラフト紙袋(以下、紙製スリーブ)の中に複数枚が同じ向きに重ねられて収納された状態で搬送され、巻き締め装置に供給される。しかしながら、缶蓋を重ねて紙製スリーブの中に収納する自動袋詰め工程において、一部の缶蓋が反転してしまう場合がある。巻き締め装置では、積層状態の缶蓋を紙製スリーブから自動で取り出し供給して巻き締めが行われるので、紙製スリーブの中に表裏反転した缶蓋が混入していると巻き締めができず、工程が停止する等の問題が生じる。
【0003】
このため、従来から、缶蓋を反転した状態で巻き締め工程に供給しないために、反転した缶蓋を移送路上から除去する装置や、紙製スリーブの中で反転している缶蓋の有無を検出する装置などが考案されている。たとえば、特許文献1には、袋に入れる前の積層状態において反転している缶蓋を移送路上から排除する装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、紙製スリーブに収容される前の積層状態の缶蓋に光ビームを照射し、各缶蓋間の隙間を通過した光の光量を測定し、反転状態の缶蓋によって生じる光量の差異によって反転を検出する装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、スリーブの中で積層状態の端部に位置する缶蓋に検査子を当接させて、缶蓋の凹凸に応じた検査子の検出結果から、缶蓋の反転を検出する装置が開示されている。
【0006】
特許文献4には、紙製スリーブの中で積層状態の缶蓋を両端から積層方向に挾持し、端部に位置する缶蓋の状態を磁気センサ等の非接触センサによって検出することにより、端部の缶蓋の反転の有無を検出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−17621号公報
【特許文献2】特開2007−99350号公報
【特許文献3】特開平6−122432号公報
【特許文献4】特開2000−177719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1,2に記載されている装置では、袋詰め前に反転状態の缶蓋を検出したり排除したりしているので、その後の搬送時や袋詰め時に缶蓋が反転した場合、反転した缶蓋を含む紙製スリーブを発見したり排除したりすることができない。
【0009】
一方、特許文献3に記載された装置では、紙製スリーブの中の反転蓋を検出するが、検査子が接触して紙製スリーブが破れるおそれがある。特許文献4に記載された装置では、非接触センサを用いるので紙製スリーブを損傷するおそれは小さいが、紙製スリーブが曲がった状態では検出精度が低いという問題がある。
【0010】
また、特許文献3,4に記載された装置では、積層状態の端部に位置する缶蓋の表裏を検査するのみであるので、端部の缶蓋が反転していない場合には、紙製スリーブの内部で反転した缶蓋を検出することができない。さらに、特許文献3,4に記載された装置では、缶蓋が収納された紙製スリーブを搬送路から別装置に移送して検査しなければならないので、装置が大がかりとなったり、検査に時間がかかって製造効率を低下させたりする問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スリーブの中に積層状態で収納された缶蓋における反転の有無を、スリーブを損傷することなく確実に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、円筒状の缶胴を有する缶体に巻き締められる、外周部に巻き締め用のカール部を有する円板状の缶蓋が表裏を統一して積層された状態で収容されるスリーブ内において、表裏が反転した前記缶蓋を検出する缶蓋の反転検出装置であって、複数の前記缶蓋を積層状態で収容した前記スリーブを前記缶蓋の積層方向に沿って搬送するコンベアと、前記コンベア上を搬送される前記スリーブの外周部に向けて、前記積層方向に交差する赤外線を照射する赤外線照射部と、前記スリーブを透過した前記赤外線を検出する赤外線検出部とを備える。
【0013】
この検出装置では、正常に積層された缶蓋間の間隔と、反転して積層された缶蓋と正常に積層された缶蓋との間隔とがカール部の位置で異なることを利用して、缶蓋の間隔から赤外線が透過することにより、反転した缶蓋を検出することができる。この検出装置によれば、紙製スリーブを透過する赤外線を用いて缶蓋の反転を検出するので、紙製スリーブに接触することなく、積層された缶蓋全体について反転の有無を検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の缶蓋の反転検出装置によれば、スリーブ内に収容された積層状態の缶蓋の反転を、スリーブが紙製であっても損傷することなく確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る反転検出装置を含み、缶蓋の袋詰めからパレタイズまでを行う装置を示す上面図である。
【図2】図1に示す反転検出装置による缶蓋の反転検出を示す断面図である。
【図3】反転検出装置によって検査される缶蓋を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る缶蓋の反転検出装置の実施形態について説明する。本発明の反転検出装置100は、円筒状の缶胴に巻き締められる円板状の缶蓋10が表裏を統一して積層された状態で収容されるスリーブ20内において、表裏が反転した缶蓋10を検出する。
【0017】
この反転検出装置100は、図1に示すように、缶蓋10を筒状のスリーブ20に収容させる袋詰め装置70、袋詰め装置70によって缶蓋10を収容した状態のスリーブ20の両端を折って閉口する袋とじ装置80、および袋とじ装置80によって開口部が閉じられたスリーブ20をパレット上に複数配置してパッキングするパレタイザ90を備える装置に含まれている。
【0018】
反転検出装置100は、袋とじ装置80とパレタイザ90との間に設けられており、コンベア30によって缶蓋10が袋とじ装置80からパレタイザ90に送られる際に、積層された缶蓋10をスリーブ20に収容された状態のまま検査する。
【0019】
袋詰め装置70では、表裏を一致させた状態で積層された缶蓋10がスリーブ20に収容される。しかしながら、袋とじ装置80によって両端が閉じられるまでの間、スリーブ20の少なくとも一端は開放した筒状であるため、搬送の振動や衝撃などによって、スリーブ20の中で缶蓋10が反転する場合がある。このため、スリーブ20の両端が閉じられ、缶蓋10の表裏状態が固定化された状態で検査を行うために、袋とじ装置80の後段に反転検出装置100が設けられている。
【0020】
反転検出装置100は、複数の缶蓋10を積層状態で収容したスリーブ20を搬送するコンベア30と、コンベア30上を搬送されるスリーブ20を缶蓋10の積層方向とコンベア30の搬送方向とを一致させるように整列させる整列手段40と、コンベア30上を搬送されるスリーブ20に向けて、積層方向に交差する赤外線Rを照射する赤外線照射部50と、スリーブ20を透過した赤外線Rを検出する赤外線検出部60とを備える。
【0021】
この反転検出装置100において、缶蓋10を収容したスリーブ20は、図1に示すように、袋とじ装置80からコンベア30によって搬送される。コンベア30上に載置されたスリーブ20は、搬送路の途中に設けられた整列手段40を通過する際に、缶蓋10の積層方向がコンベア30の搬送方向に一致するように、缶蓋10が略直線状に並ぶように整列される。
【0022】
赤外線照射部50と赤外線検出部60とは、コンベア30を挟むように配置されている。赤外線照射部50は、図2に示すように、コンベア30の搬送方向に略直交する赤外線Rを、略水平方向に、コンベア30に近い位置を通るように照射している。赤外線Rはスリーブ20を透過し、缶蓋10を透過しないので、赤外線検出部60がこの赤外線Rを検出することにより、缶蓋10の通過を検出することができる。
【0023】
ここで、この反転検出装置100において検査される缶蓋10の形状について説明する。缶蓋10は、図3に示すように、平坦な円板状のパネル部10aと、パネル部10aの外周部に内面方向に向けて突出するように設けられた凹溝状のカウンターシンク10bと、カウンターシンク10bの外周部に設けられカウンターシンク10bとは逆に突出して設けられたカール部10cとで円板状に形成されている。この缶蓋10は、円筒状の缶胴を有する缶体11のフランジ部11aにカール部10cを重ねた状態で巻き締められることにより缶体11に装着される。
【0024】
図2に示すように、缶蓋10がスリーブ20の中に表裏を一致させた状態で積層されている場合、隣り合う缶蓋10同士の間には大きな隙間は形成されない。しかしながら、表裏が反転した缶蓋10が混入した場合、反転した状態で隣接する缶蓋10のカウンターシンク10b同士が当接し、カール部10c間に大きな隙間が形成される。
【0025】
反転検出装置100は、このように缶蓋10の外周部のカール部10c間に形成された大きな隙間を検出することにより、反転した缶蓋10の混入したスリーブ20を検出する。すなわち、図2に示すように、缶蓋10が収容されたスリーブ20は、コンベア30によって搬送され、赤外線Rは横向きのスリーブ20の下側部に向けて照射される。したがって、缶蓋10が収容されたスリーブ20は、反転した缶蓋10が存在しない部分では、赤外線Rを遮りながら移動する。つまり、缶蓋10によって遮られた赤外線R1は赤外線検出部60によって検出されないので、赤外線検出部60による赤外線Rの検出が途絶えることにより缶蓋10が通過していることが検出される。しかしながら、このスリーブ20の中に反転した缶蓋10が混入している場合、図2に示すようにカール部10c間の隙間を通過する赤外線R2は遮られず、赤外線検出部60によって検出される。このように赤外線Rを検出することにより、反転した缶蓋10が混入したスリーブ20を検出することができる。
【0026】
なお、缶蓋10を収容したスリーブ20を複数連続して検査する場合、反転した缶蓋10による隙間を透過した赤外線R2と、連続して搬送されるスリーブ20の間を透過した赤外線Rとを区別するために、スリーブ20の搬送間隔を一定の大きさ以上とすることが望ましい。反転した缶蓋10によって形成される隙間は一定の大きさになるので、搬送間隔を確保して赤外線Rを検出する時間の長短を異ならせることにより、反転した缶蓋10による隙間を通過した赤外線R2であるかどうかを区別することができる。
【0027】
以上説明したように、本発明の反転検出装置によれば、赤外線を用いることにより、非接触で検査を行うことができ、紙製スリーブを損傷することがない。また、本発明の反転検出装置は、構成が簡単であり、缶蓋の搬送路の途中に設けることができるので、検査コストの増大を抑えることができる。また、袋とじ後の検査が可能であるので、検査後に缶蓋の反転が発生するおそれがなく、反転状態の缶蓋を確実に検出し、反転した缶蓋が混入したスリーブが後工程に送られるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 缶蓋
10a パネル部
10b カウンターシンク
10c カール部
11 缶体
11a フランジ部
20 スリーブ
30 コンベア
40 整列手段
50 赤外線照射部
60 赤外線検出部
70 袋詰め装置
80 袋とじ装置
90 パレタイザ
100 反転検出装置
R,R1,R2 赤外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の缶胴を有する缶体に巻き締められる、外周部に巻き締め用のカール部を有する円板状の缶蓋が表裏を統一して積層された状態で収容されるスリーブ内において、表裏が反転した前記缶蓋を検出する缶蓋の反転検出装置であって、
複数の前記缶蓋を積層状態で収容した前記スリーブを前記缶蓋の積層方向に沿って搬送するコンベアと、
前記コンベア上を搬送される前記スリーブの外周部に向けて、前記積層方向に交差する赤外線を照射する赤外線照射部と、
前記スリーブを透過した前記赤外線を検出する赤外線検出部とを備えることを特徴とする缶蓋の反転検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−143938(P2011−143938A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5925(P2010−5925)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(305060154)ユニバーサル製缶株式会社 (219)