説明

美容器及び美容方法

【課題】皮膚のしみを効果的に改善することのできる美容器及び美容方法を提供する。
【解決手段】美容器1は、楕円球状の曲面を、当該楕円球の長手方向に広がる平面で切り取った形状を有する本体部11を有する光照射部10を備えている。本体部11の凹面側には、青色LED13が複数設けられており、本体部11の楕円形状の開口端部111には、光照射部10を皮膚に貼付するための粘着層14が設けられている。青色LED13から照射される光の波長は、465〜470nmの範囲であることが好ましく、青色LED13から照射される光の合計の皮膚におけるエネルギー密度は、5〜25mW/cmの範囲であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚におけるしみの改善を目的とする美容器及び美容方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、皮膚の光老化の徴候であるしみやしわの改善を目的として、レーザーや発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)などの光源からの光を皮膚に照射する美容方法が利用されている。
【0003】
中でも、赤色光は波長が610〜750nmと比較的長いため、皮膚の深部にまで到達し、線維芽細胞を活性化し、コラーゲン・エラスチンの生成を促進すること、そして赤色LEDからの光を回数を重ねて照射することにより、しみ・くすみなどの光老化皮膚の改善に有効であることが知られている(非特許文献1参照)。また、特許文献1には、しみ、しわ等の改善を図るために、赤色LEDを配設した美容器が開示されている。
【0004】
一方、青色光については、ニキビ(尋常性ざ瘡)の原因菌であるアクネ菌(Propionibacterium acnes)に照射するとアクネ菌の破壊をもたらすことから、ニキビの治療に有用であることが知られている(非特許文献1参照)。また、特許文献2には、LEDを備えた皮膚治療用フォトセラピー装置が開示されているが、ここでの青色光の使用は、主にニキビの治療を目的とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−172095号公報
【特許文献2】特表2008−508985号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】天津朗典、「LED」、光老化皮膚、南山堂、2005年5月9日、p.116−123
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、皮膚のしみを効果的に改善することのできる美容器及び美容方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、皮膚におけるしみの改善を目的とする美容器であって、皮膚に光を照射する1又は複数の発光ダイオードを備えており、前記発光ダイオードから照射される光の波長は、465〜470nmの範囲であることを特徴とする美容器を提供する(発明1)。
【0009】
上記発明(発明1)においては、光の波長が465〜470nmの範囲にあることで、他の青色光の波長と比較しても、皮膚におけるしみの改善効果が顕著なものとなる。また、光源としてLEDを使用することにより、電球と比較して発熱量が少なく、それにより冷却装置等を必要とすることがなく、またコンパクト化も可能となる。
【0010】
上記発明(発明1)において、前記美容器を皮膚にセットしたときに、前記発光ダイオードから照射される光の合計の前記皮膚におけるエネルギー密度が、5〜25mW/cmとなるように設定されていることが好ましい(発明2)。エネルギー密度が上記範囲内にあることで、適度な照射時間で、皮膚におけるしみの改善効果を十分に得ることができる。
【0011】
上記発明(発明1,2)に係る美容器は、前記発光ダイオードと前記皮膚との間の距離を規定する手段を備えていることが好ましい(発明3)。これにより、上記で規定したエネルギー密度のLED光を、対象とする皮膚に確実に照射することができる。
【0012】
第2に本発明は、皮膚におけるしみの改善を目的とする美容器であって、皮膚に光を照射する1又は複数の発光ダイオードと、前記発光ダイオードを保持する本体部と、前記本体部を皮膚に貼付する粘着部とを備えたことを特徴とする美容器を提供する(発明4)。
【0013】
上記発明(発明4)においては、粘着部を備えることにより、皮膚に光を照射している間に本体部が皮膚から離れたり、皮膚のしみに対する本体部の位置がずれることを防止し、しみに対して確実にLEDの光を照射することができる。また、光源としてLEDを使用することにより、電球と比較して発熱量が少なく、それにより冷却装置等を必要とすることがなく、またコンパクト化も可能となる。
【0014】
上記発明(発明4)において、前記本体部は、円形状又は楕円形状の開口端部を備えており、前記粘着部は、前記本体部の開口端部に設けられていることが好ましい(発明5)。開口端部が円形状又は楕円形状であることで、体の種々の場所、例えば、顔面、特にこめかみや頬等に生じたしみに対しても、本発明の美容器を使い勝手良く使用することができ、また粘着部を開口端部に設けることで、効果的に本体部を皮膚に貼付することが可能となる。
【0015】
上記発明(発明4,5)において、前記発光ダイオードから照射される光の波長は、465〜470nmの範囲であることが好ましい(発明6)。光の波長がこの範囲にあることで、他の青色光の波長と比較しても、皮膚におけるしみの改善効果が顕著なものとなる。
【0016】
上記発明(発明4〜6)において、前記美容器を皮膚に貼付したときに、前記発光ダイオードから照射される光の合計の前記皮膚におけるエネルギー密度が、5〜25mW/cmの範囲であることが好ましい(発明7)。エネルギー密度が上記範囲内にあることで、適度な照射時間で、皮膚におけるしみの改善効果を十分に得ることができる。
【0017】
上記発明(発明5〜7)において、前記本体部の円形状又は楕円形状の開口端部は、一方向の長さが3〜5cmであり、前記一方向と直交する方向の長さが1.5〜3cmであることが好ましい(発明8)。本体部の開口端部がこの大きさであることで、体の種々の場所、例えば、顔面、特にこめかみや頬等に生じたしみに対しても、本発明の美容器を使い勝手良く使用することができる。
【0018】
第3に本発明は、皮膚におけるしみの改善を目的として、発光ダイオードを使用し、皮膚に対して465〜470nmの波長の光を照射することを特徴とする美容方法を提供する(発明9)。上記発明(発明9)においては、前記照射する光の前記皮膚におけるエネルギー密度を、5〜25mW/cmとすることが好ましい(発明10)。
【発明の効果】
【0019】
本発明の美容器又は美容方法によれば、皮膚のしみを効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る美容器の斜視図である。
【図2】同実施形態に係る光照射部の底面図(a)及び断面図(b)((a)のA−A断面図)である。
【図3】同実施形態に係る美容器の使用方法を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔美容器:第1の実施形態〕
まず本発明の第1の実施形態に係る美容器について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る美容器1は、光照射部10と、電源20と、光照射部10及び電源20を電気的に接続するケーブル21とを備えている。
【0023】
図1及び図2に示すように、光照射部10は、楕円球状の曲面を、当該楕円球の長手方向に広がる平面で切り取った形状を有する本体部11を備えており、この本体部11は、楕円形状の開口端部111を備えている。
【0024】
本体部11の凹面側(図2(b)中下側)には、当該本体部11と同様の形状を有する反射板12が設けられている。すなわち、この反射板12は、楕円球状の曲面を、当該楕円球の長手方向に広がる平面で切り取った形状を有する。なお、本実施形態のように反射板12を設ける替わりに、本体部11の凹面にメッキ、蒸着等を施して、本体部11の凹面を反射部としてもよい。
【0025】
本体部11(反射板12)の凹面側には、青色LED13が複数設けられている。本実施形態では、青色LED13は、本体部11の長手方向に沿って4個、5個及び4個の3列、合計13個設けられているが、対象とする皮膚S(図2(b)参照)に対して所望のエネルギー密度の青色LED光が照射されれば、その数は特に限定されない。複数の青色LED13からの光は、上記反射板12によって効率良く皮膚Sに照射される。
【0026】
各青色LED13の光度は、特に限定されるものではないが、通常は50〜2500mcdであり、好ましくは500〜1000mcdである。
【0027】
本実施形態に係る美容器1は、光源としてLEDを使用するが、LEDを使用することにより、電球と比較して、発熱量が少なく、それにより冷却装置等を必要とすることがなく、またコンパクト化も可能であるという利点がある。
【0028】
本体部11の開口端部111には、粘着層14が設けられている。この粘着層14は、図2(b)に示すように、光照射部10を皮膚Sに貼付するためのものである。粘着層14は、粘着シートによって形成してもよいし、粘着剤の塗布によって形成してもよい。なお、粘着層14は、図示しない剥離シートによって保護されていてもよい。粘着層14を開口端部111に設けることで、効果的に光照射部10を皮膚Sに貼付することが可能となる。また、粘着層14が設けられた開口端部111は楕円形状であるが、開口端部111がこの形状であることで、体の種々の場所、例えば、顔面、特にこめかみや頬等に生じたしみに対しても、光照射部10を貼付しやすくなり、本実施形態に係る美容器1を使い勝手良く使用することができる。
【0029】
本実施形態に係る美容器1は、上記粘着層14を介して光照射部10を皮膚Sに貼付することができる。これにより、光照射部10が皮膚Sから離れたり、皮膚Sのしみに対する光照射部10の位置がずれることを防止し、しみに対して確実に青色LED13の光を照射することができる。したがって、何か他の作業等をしているとき、又は睡眠時などにおいても、本実施形態の美容器1を使用することが可能である。
【0030】
粘着剤の種類は、光照射部10を皮膚Sに貼付することができ、かつ皮膚Sに対する悪影響の少ないものであれば特に限定されない。かかる粘着剤としては、例えば、一般的に絆創膏等に用いられるアクリル系、ゴム系又はシリコーン系の粘着剤や、ポリアクリル酸のゲル組成物等を使用することができる。また、ウレタン樹脂を主材料とした含水ゲルシートも使用することができる。含水ゲルとしては、水溶性高分子又は分子内に親水基を多量に持つ高分子材料を使用することができる。水溶性高分子としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン無水マレイン酸共重合物、ポリビニルスルホン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム等が例示できる。また、分子内に親水基を多量に持つ高分子材料としては、ポリウレタンヒドロゲル、ポリアクリル酸ヒドロゲル等が例示できる。
【0031】
粘着層14の厚さは特に限定されないが、通常は0.01〜3mm程度である。
【0032】
図1及び図2に示すように、本体部11の凸面側(図2(b)中上側)、長手方向の端部には、接続部15が設けられている。この接続部15と、各青色LED13とは、本体部11と反射板12との間に設けられた導線によって、電気的に接続されている。
【0033】
ケーブル21の先端部には接続端子22が設けられており、このケーブル21の接続端子22が上記接続部15に接続されることで、光照射部10の各青色LED13と電源20とが電気的に接続され、各青色LED13に電源20からの電気が供給される。
【0034】
電源20の種類は特に限定されず、充電式電源、乾電池式電源、家庭用コンセントに接続されるACアダプタ等のいずれであってもよいが、携帯可能な充電式電源又は乾電池式電源が好ましく、電池の入れ替えを必要としない充電式電源が特に好ましい。かかる電源20によれば、何か他の作業等をしているとき、又は睡眠時などにおいても、美容器1の使用を不便にすることはない。
【0035】
なお、電源20のケーシングには、オン/オフのスイッチや、光の照射時間を設定するためのタイマーの設定部、あるいはタイマー時間等を表示する表示部等が設けられていてもよい。
【0036】
本実施形態に係る美容器1では、光照射部10と電源20とが別体になっているが、これにより、皮膚Sに貼付する光照射部10を軽量化し、使用に伴う負担を軽減することができる。
【0037】
ここで、青色LED13から照射される光の波長は、465〜470nmの範囲であることが好ましい。光の波長がこの範囲にあることで、他の青色光の波長と比較しても、皮膚におけるしみの改善効果が顕著なものとなる。
【0038】
また、図2(b)に示すように、粘着層14を介して光照射部10を皮膚Sに貼付したときに、青色LED13から照射される光の合計の皮膚Sにおけるエネルギー密度は、5〜25mW/cmの範囲であることが好ましく、特に10〜20mW/cmの範囲であることが好ましい。エネルギー密度が上記範囲内にあることで、皮膚におけるしみの改善効果を十分に得ることができる。エネルギー密度が5mW/cm未満であると、しみの改善効果を得るために非常に長い光照射時間を必要とする場合があり、エネルギー密度が25mW/cmを超えると、青色LED13の基盤が発熱することがあり、これにより温感を感じる場合がある。
【0039】
本実施形態において、光照射部10の本体部11の大きさは、その開口端部111の長手方向の長さが3〜5cm、特に3〜4cmであることが好ましく、短手方向の長さが1.5〜3cm、特に2〜3cmであることが好ましい。光照射部10の本体部11がこの大きさであることで、体の種々の場所、例えば、顔面、特にこめかみや頬等に生じたしみに対しても、本実施形態の美容器1を使い勝手良く使用することができる。
【0040】
なお、光照射部10の本体部11の高さHは、青色LED13の出力、皮膚Sにおけるエネルギー密度等を考慮して適宜決定されるが、通常は0.6〜2.0cmであり、好ましくは0.8〜1.2cmである。
【0041】
以上説明した美容器1を使用するには、図3に示すように、皮膚Sのしみの部分に対して、粘着層14を介して光照射部10を貼付し、電源20からの電気を青色LED13に供給し、青色LED13からの光を皮膚Sに照射する。
【0042】
光の照射時間は、しみの改善が得られれば特に限定されないが、通常は5〜20分、好ましくは10〜15分である。
【0043】
本実施形態に係る美容器1の光照射部10は、粘着層14を介して皮膚Sに貼付されているため、光照射部10が皮膚Sから離れたり、皮膚Sのしみに対する光照射部10の位置がずれることは防止されており、しみに対して確実に青色LED13の光を照射することができる。
【0044】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0045】
例えば、光照射部10の形状は半球状であってもよい。また、電源20は、光照射部10に直接接続される形態であってもよい。
【0046】
また、粘着層14は、本体部11の開口部の全面に設けられていてもよい。この場合、青色LED13の光は粘着層14を透過する必要があるため、粘着剤層14は、透明であるか、又は青色光(特に、465〜470nmの波長の光)の吸収が少ないものが好ましい。さらに、粘着層14は、本体部11の開口部の略全面に設けられ、青色LED13に対応する箇所だけ孔があいていてもよい。さらにまた、本体部11は平板状となっており、その本体部11に粘着剤層14が積層されていてもよい。この場合、反射板12は不要となる。
【0047】
〔美容器:第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る美容器について説明する。
本実施形態に係る美容器は、皮膚に光を照射する1又は複数のLEDを備えている。
【0048】
本実施形態において、LEDから照射される光の波長は、465〜470nmの範囲である。光の波長がこの範囲にあることで、他の青色光の波長と比較しても、皮膚におけるしみの改善効果が顕著なものとなる。
【0049】
また、本実施形態に係る美容器を皮膚にセットしたときに、LEDから照射される光の合計の皮膚におけるエネルギー密度は、5〜25mW/cmの範囲であることが好ましく、特に10〜20mW/cmの範囲であることが好ましい。エネルギー密度が上記範囲内にあることで、皮膚におけるしみの改善効果を十分に得ることができる。エネルギー密度が5mW/cm未満であると、しみの改善効果を得るために非常に長い光照射時間を必要とする場合があり、エネルギー密度が25mW/cmを超えると、LEDの基盤が発熱することがあり、これにより温感を感じる場合がある。
【0050】
本実施形態に係る美容器は、LEDと、対象とする皮膚との間の距離を規定する手段を備えていることが好ましく、これにより、上記で規定したエネルギー密度のLED光を、対象とする皮膚に確実に照射することができる。かかる距離規定手段としては、例えば、LEDを保持するとともに皮膚に接触する筐体(例:第1の実施形態における本体部11+粘着層14)や、LED保持部及び皮膚接触部を備えたフレーム等が挙げられる。
【0051】
本実施形態における美容器は、光の波長が465〜470nmのLEDを備えたものであれば、機械的構成は特に限定されないが、好ましくは、第1の実施形態に係る美容器1の構成を利用することができる。すなわち、第1の実施形態に係る美容器1において、青色LED13の光の波長を465〜470nmに限定したものが好ましい。
【0052】
〔美容方法〕
本発明に係る美容方法は、発光ダイオードを使用し、皮膚に対して465〜470nmの波長の光を照射する方法である。この美容方法によれば、皮膚のしみを顕著に改善することができる。照射する光の皮膚におけるエネルギー密度は、5〜25mW/cmとすることが好ましく、特に10〜20mW/cmとすることが好ましい。エネルギー密度が上記範囲内にあることで、皮膚におけるしみの改善効果を十分に得ることができる。
【0053】
上記の美容方法は、一例として、第2の実施形態に係る美容装置を使用して行うことができる。また、第1の実施形態に係る美容器1において、青色LED13の光の波長を465〜470nmに限定したものも、好ましく使用することができる。
【実施例】
【0054】
以下の製造例及び試験例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
【0055】
〔製造例1〕光照射装置の製造
下記の試験例1で使用する光照射装置は、以下のように製造した。
まず、ピーク波長がそれぞれ430nm(Kingbright社製,品番:L−934MBC)、465〜470nm(POTIONICA CORP社製,品番:OLB5301T)、及び523nm(OSRM社製,品番:LT−543C−CWDW−35)の青色LEDを用意した。
【0056】
厚さ1.5mmのガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板(KUMIN ELECTRONICS社製,品番:FR−4)を基盤とし、この基盤に対し、6ウェルプレートのウェルに対応する直径35mmの円内に、24個の上記青色LEDを1セットとして配置し、これを6ウェルプレートの各ウェルに対応する位置に6セット設けた。このようにして、波長430nmの光を照射する光照射装置、波長465〜470nmの光を照射する光照射装置、及び波長523nmの光を照射する光照射装置を製造した。Gentec社製のTPM−300及びPS310WB−V2にてエネルギー密度を測定し、エネルギー密度15.6mW/cmになるよう照射距離を決定した。
【0057】
〔試験例1〕LED光照射による黒化抑制能の検討
正常ヒト表皮メラノサイト(Asian donor)と正常ヒト表皮ケラチノサイトとを多層化したヒト皮膚三次元モデル(倉敷紡績社製,MEL−300A)を6ウェルプレートにセットし、メラノサイトのメラニン産生を誘導するα−メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)、β−線維芽細胞増殖因子(β−FGF)、ヒト上皮細胞増殖因子(hEGF)及びハイドロコーチゾンを含むフェノールレッドフリー培地(倉敷紡績社製,EPI−100LLMM−PRF培地)5mLを各ウェルに添加し、37℃、5%CO雰囲気下で培養した。
【0058】
LED光照射群については、製造例1で得た光照射装置を、上記照射距離にて上記6ウェルプレートにセットした後、培養1日目から3日目まで、1日10時間照射した。各群ともに2日に1回培地を交換し、6日目又は10日目に培養を終了した。非照射群については、光線の入らない環境下、0日目、6日目又は10日目に培養を終了した。なお、培地の交換は、LED光照射群と同様に2日に1回行った。
【0059】
培養を終了したヒト皮膚三次元モデルを、10%ホルマリン含有ダルベッコPBS緩衝液を加えて固定した。固定したヒト皮膚三次元モデルのメラニン黒化を、メラニン指数を計測することにより評価した。
【0060】
メラニン指数の計測には、インテグラル社製のメグザメーターを用いた。各サンプルを2回計測し、平均値を当該サンプルのメラニン指数として算出した。各群のサンプル数はN=2又は3で行い、当該群に含まれるサンプルのメラニン指数の平均値を、当該群のメラニン指数として算出した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1の結果から明らかなように、465〜470nmの青色LED光の照射は、他の青色LED光の照射と比較して、顕著なメラニン黒化抑制効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の美容器及び美容方法は、皮膚におけるしみの改善に大きく貢献することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…美容器
10…光照射部
11…本体部
111…開口端部
12…反射板(反射部)
13…青色LED(発光ダイオード)
14…粘着層(粘着部)
15…接続部
20…電源
21…ケーブル
22…接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚におけるしみの改善を目的とする美容器であって、
皮膚に光を照射する1又は複数の発光ダイオードを備えており、
前記発光ダイオードから照射される光の波長は、465〜470nmの範囲である
ことを特徴とする美容器。
【請求項2】
前記美容器を皮膚にセットしたときに、前記発光ダイオードから照射される光の合計の前記皮膚におけるエネルギー密度が、5〜25mW/cmとなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
前記美容器は、前記発光ダイオードと前記皮膚との間の距離を規定する手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の美容器。
【請求項4】
皮膚におけるしみの改善を目的とする美容器であって、
皮膚に光を照射する1又は複数の発光ダイオードと、
前記発光ダイオードを保持する本体部と、
前記本体部を皮膚に貼付する粘着部と
を備えたことを特徴とする美容器。
【請求項5】
前記本体部は、円形状又は楕円形状の開口端部を備えており、
前記粘着部は、前記本体部の開口端部に設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の美容器。
【請求項6】
前記発光ダイオードから照射される光の波長は、465〜470nmの範囲であることを特徴とする請求項4又は5に記載の美容器。
【請求項7】
前記美容器を皮膚に貼付したときに、前記発光ダイオードから照射される光の合計の前記皮膚におけるエネルギー密度が、5〜25mW/cmの範囲であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の美容器。
【請求項8】
前記本体部の円形状又は楕円形状の開口端部は、一方向の長さが3〜5cmであり、前記一方向と直交する方向の長さが1.5〜3cmであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の美容器。
【請求項9】
皮膚におけるしみの改善を目的として、発光ダイオードを使用し、皮膚に対して465〜470nmの波長の光を照射することを特徴とする美容方法。
【請求項10】
前記照射する光の前記皮膚におけるエネルギー密度を、5〜25mW/cmとすることを特徴とする請求項9に記載の美容方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−34977(P2012−34977A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179968(P2010−179968)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名:第28回日本美容皮膚科学会総会・学術大会 予稿集/第184頁 発行日:平成22年8月7日(頒布日 平成22年7月2日) 発行所:日本美容皮膚科学会
【出願人】(300003525)株式会社ブルーム・クラシック (6)
【Fターム(参考)】