説明

美容器

【課題】大パワーの電力を必要とせず、構造が簡単で製作コストを低減することができる美容器を提供する。
【解決手段】ハンドル12と、そのハンドル12に回転可能に支持されたローラ18とを備える。ハンドル12の外周面及びローラ18の外周面には導電部を設けるとともに、それらの導電部の間を電気絶縁する。ローラ18の内部にローラ18の回転にともなって発電を行う発電部としての永久磁石22と、発電された電力をローラ18の導電部間に供給する供給部とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転可能なローラを人体上を転動させることにより、美肌効果等の美容効果を得るようにした美容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の美容器としては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。
この従来構成においては、支持杆の一端部にグリップが接続されるとともに、支持杆の他端部にローラが回転可能に支持されている。支持杆の外周とローラの内周との間には、ローラの回転にともなって電力を発生する電力発生手段としてのコイル及び永久磁石が設けられている。ローラ内には、電力発生手段で発生した電力を蓄えるための蓄電池が設けられている。ローラの外周には、蓄電池の電力に基づいて皮膚を刺激する皮膚刺激手段としての複数のLED(発光ダイオード)が配列されている。
【0003】
そして、使用者がグリップを把持した状態で、ローラを肌に押し付けて回転させると、肌に適度な刺激が与えられて、美肌効果が得られる。このとき、ローラの回転にともなって、コイル及び永久磁石よりなる電力発生手段で電力が発生し、その電力が蓄電池に蓄えられる。そして、この蓄電池の電力により、ローラ上のLEDが発光されて、その光により美肌効果が高められるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−264507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この従来の美容器においては、発電された電力が複数のLEDに供給される。このため、複数のLEDを発光させるために大パワーの電力を必要とする。従って、その電力をローラの回転により得ようとすると、前記のようにコイル及び永久磁石よりなる大掛かりな電力発生手段を装備する必要がある。よって、美容器の構造が複雑で製作コストが高くなるという問題があった。しかも、大パワーの電力を生じさせるためには、ローラに回転に対して大きな発電負荷,つまりローラの回転に抗する磁気反発力を与える必要がある。言い換えれば、ローラを回転させるために強い力が必要となり、このため操作感が悪くなり、高級感が損なわれることになる。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、小電力でも高い美容効果を得ることができるとともに、構造が簡単で製作コストを低減することができ、しかも高級な操作感を得ることができる美容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は、ハンドルと、そのハンドルに回転可能に支持されたローラとを備え、そのローラにより人体に刺激を与えるにようにした美容器において、前記ハンドルの外周面及びローラの外周面に導電部を形成するとともに、それらの導電部の間を電気絶縁し、ローラの内部にローラの回転にともなって発電を行う発電部と、発電された電力を前記ローラの導電部に供給する供給部とを設けたことを特徴としている。
【0008】
従って、使用者がハンドルを把持した状態で、ローラを肌に押し付けて回転させると、肌や人体の表面側の組織に適度な刺激を与えられて、美肌効果等の美容効果が得られる。このとき、ローラの回転にともなって発電部で微電力が発生し、その微電力が供給部を介してローラの導電部間に供給される。そして、この微電力がローラから肌に流れることにより、美容効果が高められる。よって、美容効果を高めるために大パワーの電力を必要とせず、発電部の構造が簡単で製作コストを低減することができるとともに、ローラの回転が重くなることを防止できて、高級な操作感を得ることができる。
【0009】
また、前記の構成において、前記発電部をローラの回転にともなってローラまたはローラ支持軸との間に相対回転を生じる永久磁石により構成するとよい。このように構成した場合には、発電部を構造が簡単な永久磁石のみで構成することができて、製作コストを低減することができる。
【0010】
さらに、前記の構成において、前記ローラを一対の軸受を介してローラ支持軸に支持し、前記永久磁石を前記両軸受間に設けるとよい。このように構成した場合には、ローラ内に永久磁石のための広い収容スペースを確保する必要がなく、美容器全体を小型にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、この発明によれば、美容効果を高めるために大電力を必要とせず、構造が簡単で製作コストを低減することができ、しかも高級な操作感を得ることができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の美容器を示す平面図。
【図2】図1の美容器の正面図。
【図3】図1の3−3線における断面図。
【図4】図1の4−4線における部分拡大断面図。
【図5】図4の5−5線における断面図。
【図6】図4の6−6線における断面図。
【図7】第2実施形態の美容器を示す要部断面図。
【図8】図7の8−8線における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した美容器の第1実施形態を、図1〜図6に従って説明する。
【0014】
図1〜図3に示すように、この実施形態の美容器11は、先端に二叉部12aを有する平面形ほぼY字状のハンドル12を備えている。このハンドル12は、合成樹脂よりなる電気絶縁材性の芯材13と、その芯材13の外周に被覆されて複数のネジ16により固定された一対の外装カバー14,15とから構成されている。この外装カバー14,15は、合成樹脂材料よりなり、その外表面に導電金属メッキが施されている。従って、外装カバー14,15の外表面は、ハンドル12の導電部を構成している。
【0015】
前記ハンドル12の芯材13の先端部には、ローラ支持軸17が前記二叉部12aの先端から突出させた状態で、かつ外装カバー14,15と接触しない離間状態で支持されている。このローラ支持軸17は金属材料により形成され、そのローラ支持軸17の両端部にはネジ部17aが形成されている。なお、図3に示すように、ローラ支持軸17はネジ16を介して前記芯材13及び外装カバー14,15に固定されている。そして、前記ハンドル12の外表面の導電金属メッキとローラ支持軸17とは電気的に絶縁されている。
【0016】
図1及び図4に示すように、前記両ローラ支持軸17には、円筒状をなすローラ18がそれぞれ各一対の軸受19を介して回転可能に支持されている。ローラ支持軸17の先端のネジ部17aには、ローラ18の抜け止めのための雌ネジ部材20が螺合されている。各ローラ18は、合成樹脂よりなり、その表裏両面に導電金属材料よりなる導電メッキが施されている。従って、両ローラ18の表裏両面は導電部を構成している。各ローラ18の外周面には、使用者の肌を含む人体の表面側の組織に刺激を与える複数の正八角形状の接触部18aが隣接する他の接触部18aに対して中心角度をずらした状態で形成されている。各ローラ18の内周面には、両軸受19の外レース19aの外周面及び対向側面に接合する複数の突部としての突条18bが所定の等角度間隔おきに形成されている。
【0017】
図4及び図5に示すように、前記ハンドル12の二叉部12aの先端外周には、合成樹脂等の電気絶縁材よりなる円筒状の絶縁体21が嵌着されている。そして、この絶縁体21がハンドル12の二叉部12aの外周面とローラ18の内周面との間、及びハンドル12の二叉部12aの先端面と軸受19との間に介在されることにより、ハンドル12とローラ18との導電部間の絶縁を確保している。
【0018】
図1、図4及び図6に示すように、前記各ローラ18の内部には、ローラ18の回転にともなって発電を行う発電部としての永久磁石22が設けられている。この永久磁石22は磁石鋼により円筒状に形成され、両軸受19の外レース19a間に配置されるように、ローラ18内の突条18bの小径中間部18c内にローラ18と一体回転可能に嵌着されている。なお、前記突条18bと永久磁石22との間に誤差により隙間が生じたとしても、永久磁石22は自身の磁力によりいずれか一方の軸受19に吸着される。従って、永久磁石22のがたつきが防止される。
【0019】
そして、ローラ18の回転にともない、永久磁石22がローラ支持軸17に対してわずかな間隔を隔てて相対回転されることにより、ローラ支持軸17の表面の微細な凹凸や真円度のわずかな偏り等に起因して微電力が発生し、その微電力がローラ18の外周側の表面の導電部に伝えられる。従って、ローラ18の内周側及び外周側の導電部によって、発電された電力をローラ18の外周側に供給するための供給部が構成されている。
【0020】
ハンドル12の先端部,つまりY字部の付け根部には透明板23が設けられ、その内側には太陽電池パネル24が設置され、この太陽電池パネル24の出力端子がハンドル12及びローラ18に導電部に接続されている。従って、発電された電力がハンドル12及びローラ18の導電部に供給される。
【0021】
次に、前記のように構成された美容器の作用を説明する。
さて、この美容器11において、図1及び図2に示すように、使用者がハンドル12を把持した状態で、両ローラ18を肌Sに押し付けて回転させると、ローラ18の外周面の接触部18aにより、肌Sを含む人体の表面側組織に適度な刺激を与えられて、美肌効果等の美容効果が得られる。このとき、両ローラ18の回転にともなって、永久磁石22がローラ支持軸17に対して相対回転される。このため微電力が発生して、その微電力がローラ18の表面の導電部に供給される。このため、ローラ18の導電部とハンドル12の導電部との間に人体を介在させた電路が形成される。従って、この微電力がローラ18から肌Sを含む人体に流れることにより、人体への刺激が増進されてさらに高い美肌効果等の美容効果を得ることができる。
【0022】
なお、太陽電池パネル24も光を受けて発電して、その微電力をハンドル12及びローラ18の導電部に供給するため、前記と同様に微電力が人体に供給されて、美容効果を得ることができる。
【0023】
従って、この第1実施形態においては、以下の効果がある。
(1) この第1実施形態の美容器11においては、ローラ18の回転にともなって発電部としての永久磁石22で発電された微電力が、ローラ18の導電部に供給されてローラ18から肌Sに直接流れ、美肌効果等の美容効果が高められるようになっている。よって、LEDを発光させる従来構成とは異なり、美肌効果を高めるための大パワーの電力を必要とせず、発電部を簡単な構造の永久磁石22のみで構成することができて、製作コストを低減することができる。
【0024】
(2) この第1実施形態においては、大パワーの電力を発電する必要がないため、ローラ18の回転に際してローラ18に高負荷を与える必要はない。このため、ローラ18は軽くスムーズに回転され、高級な操作感を得ることができる。
【0025】
(3) この第1実施形態の美容器11においては、ローラ18が一対の軸受19を介してローラ支持軸17に回転可能に支持され、永久磁石22が両軸受19間に配置されている。このため、ローラ18内に永久磁石22を収容するための広い収容スペースを確保する必要がなく、永久磁石22を容易に組み込むことができて、美容器11全体を小型にすることができる。
【0026】
(4) 永久磁石22がローラ18の内周面の突条18bの小径部に支持されるととともに、自身の磁力により一方の軸受19に吸着されているため、がたついたり、異音を発生したりすることはない。このため、前記と同様に高級な操作感を得ることができる。
【0027】
(5) 太陽電池パネル24がハンドル12のY字付け根部に位置しているめ、その太陽電池パネル24が使用者の手によって隠されることを抑制できる。このため、太陽電池パネル24の発電機能を有効に発揮させることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した美容器の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0029】
さて、この第2実施形態においては、図7及び図8に示すように、発電部としての永久磁石22が柔軟性を有するゴム磁石により構成されている。そして、その永久磁石22が両軸受19の内レース19b間に配置されるように、ローラ支持軸17の外周に巻回されて固定されている。そして、ローラ18が永久磁石22に対して相対回転されることにより、導電メッキが施された前記突条18bが永久磁石22の周囲を移動するため、微電力が発生されるようになっている。
【0030】
従って、この第2実施形態においては、前記第1実施形態に記載の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(6) この第2実施形態においては、永久磁石22としてゴム磁石を用いているため、軽量化することが可能になる。
【0031】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ ローラ18の数を1個に変更すること。このため、ハンドル12はY字形状ではない別形状になる。
【0032】
・ ローラ18の接触部18aを八角形以外の形状、例えば六角形,十角形等とすること。
・ ローラ18の接触部18aを単なる円形としたり、その外周面にローレット等の凹凸を形成したりすること。
【0033】
(他の実施形態)
前記実施形態から把握され、請求項に記載されていない技術的思想は以下の通りである。
【0034】
(A) 永久磁石22をローラ18の内周面の突部18bに支持したことを特徴とする請求項3に記載の美容器。
このように構成すれば、永久磁石22のがたつきを防止できて、高級な操作感を得ることができる。
【0035】
(B) 永久磁石22をゴム磁石により構成し、その永久磁石22をローラ18の軸17に巻回したことを特徴とする請求項3に記載の美容器。
このように構成すれば、軽量化を達成できる。
【0036】
(C) ハンドル12をY字状に形成するとともに、そのY字の二股部にローラ18をそれぞれ支持し、Y字の付け根部には太陽電池パネル24を配置し、その太陽電池パネルによって発電された電力をハンドル12,ローラ18の導電部の少なくとも一方に供給されるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の美容器。
【0037】
このように構成すれば、太陽電池パネル24が使用者の手によって隠されることを抑制できて、太陽電池パネル24を有効に発電させることができる。
【符号の説明】
【0038】
11…美容器、12…ハンドル、14,15…導電部としての外装カバー、17…ローラ支持軸、18…ローラ、19…軸受、22…発電部としての永久磁石、S…肌。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、そのハンドルに回転可能に支持されたローラとを備え、そのローラにより人体に刺激を与えるにようにした美容器において、
前記ハンドルの外周面及びローラの外周面に導電部を形成するとともに、それらの導電部の間を電気絶縁し、ローラの内部にローラの回転にともなって発電を行う発電部と、発電された電力を前記ローラの導電部に供給する供給部とを設けたことを特徴とする美容器。
【請求項2】
前記発電部をローラの回転にともなってローラまたはローラ支持軸との間に相対回転を生じる永久磁石により構成したことを特徴とする請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
前記ローラを一対の軸受を介してローラ支持軸に支持し、前記永久磁石を前記両軸受間に設けたことを特徴とする請求項2に記載の美容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−15874(P2011−15874A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163432(P2009−163432)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(599083411)株式会社 MTG (16)
【Fターム(参考)】