説明

美容機器

【課題】簡易な構成で且つ取り扱いが容易であり、安全性が高く美肌効果に優れる美容機器を提供する。
【解決手段】美容機器1は、表面に二酸化チタン層を有するチタンローラ5と、光照射部7とを備える美容器であり、光照射部7は異なる波長の光を発する2種以上の発光ダイオードを有し、チタンローラ5の側線に沿って配置してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容機器に係わり、特に皮膚の活性化を図ると共に皮膚の細菌増殖を抑え、美肌効果に優れる美容機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光ダイオードの光を皮膚に向けて照射すると共にビタミン水溶液をイオン化して皮膚に供給する美容機器が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−168894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の美容機器は、ビタミン液をイオン化するので構成が複雑になると共にビタミン液を補充しなければならないので、取り扱いに手間が係るという問題がある。
【0005】
また、特許文献1では、皮膚表面の細菌増殖を押さえ或いは滅菌には充分でなく、細菌による肌荒れ防止効果が薄い。
【0006】
更に、簡易に取扱いでき、家庭や個人でも安全に使用できる美容機器が望まれている。
【0007】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、簡易な構成で且つ取り扱いが容易であり、安全性が高く美肌効果に優れる美容機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する為に、請求項1に記載された発明は、表面に二酸化チタン層を有するチタンローラと、光照射部とを備える美容器であって、光照射部は異なる波長の光を発する2種以上の発光ダイオードを有し、チタンローラの側線に沿って配置してあることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、手で把持する把持部を有し、把持部の先端側にチタンローラと光照射部とを設けてあり、光照射部はチタンローラの回転軸よりも把持部の後端側に配置して、先端に向けて照射すると共に照射した光の一部をチタンローラに照射していることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、発光ダイオードは少なくとも、赤色光〜黄色光の範囲内の波長の光を発光する発光ダイオードと、近赤外光の発光ダイオードであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、各発光ダイオードは1秒間に2回以上点滅することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、チタンローラは純正チタンの表面を陽極酸化してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、発光ダイオード(LED)による光照射により皮膚に刺激を与えて皮膚の活性化を図ると共に、二酸化チタンの光触媒作用により皮膚に付着している細菌の増殖を抑え且つ滅菌する。このような発光ダイオードと二酸化チタンによる複合作用を得ることができ、皮膚の老化防止、にきびの抑制及び美白を促すことができる。更に、二酸化チタンの光触媒作用により、皮膚に付着している老化物の分解、イオンの放出により生体電流を整え、親水作用により皮膚にうるおいを与えることができる。
【0014】
美容機器は、発光ダイオードから光を照射しつつチタンローラを皮膚に当ててチタンローラが回転するように皮膚面に沿って移動させるだけであり、操作性が良い。
【0015】
また、チタンローラと発光ダイオードとの構成であるから高圧電力を必要とせず、安全であると共に簡易な構成で且つ取り扱いが容易である。
【0016】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明と同様の効果を奏すると共に、発光ダイオードの光の一部をチタンローラに照射するので、二酸化チタンの光触媒作用を高めることができる。
【0017】
請求項3に記載された発明によれば、請求項2に記載された発明と同様の効果を奏すると共に赤色光〜黄色光の範囲の波長の光は、一般に、にきびを防止し、繊維芽細胞の活性を促し、神経ブロックを活性化し、コレステロールの分解に作用を有することから、美肌効果に優れる。また、近赤外光は、一般に皮膚に対する浸透性が高い為、繊維芽細胞の増殖を促すことから美肌効果に優れると共に二酸化チタンの活性を高めることができる。
【0018】
請求項4に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明と同様な作用効果を奏すると共に、発光ダイオードを点滅させることにより、光による皮膚の刺激を高め、小皺や染みの防止等、優れた美肌効果を発揮することができる。
【0019】
請求項5に記載された発明によれば、請求項4に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、純正チタンの陽極酸化処理により表面に二酸化チタン層を形成すると、薄膜状になって表面が光の干渉により虹色に見えるので、外観がよく意匠に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。図1は、図3に示す美容機器のA−A断面図であり、図2は図3に示す美容機器のB−B断面図であり、図3は本実施の形態に係る美容機器の外観を示す斜視図であり、図4は、図3に示す美容機器の使用状態を示す斜視図であり、図5は本実施の形態に用いる発光ダイオードの光の波長を説明するグラフである。
【0021】
本実施形態の美容機器1は、皮膚の美容の為に家庭等において個人的に用いられるものであり、装置本体3と、チタンローラ5と、光照射部7とを備えている。
【0022】
チタンローラ5は、円筒形状であり表面(側面)に二酸化チタン層が形成されている。二酸化チタン層は、純正チタンを陽極酸化して薄膜状に形成してある。この二酸化チタン層は、薄膜としてあるので光の干渉により表面が虹色に見える。
【0023】
円筒形状のチタンローラ5は、両端に設けた回転軸11、11を装置本体3の先端部13に軸支してあり、回転自在になっている。
【0024】
光照射部7は、装置本体3の先端側でチタンローラ5に近接して設けてある。この光照射部7はユニットになっており、後述の嵌合部23に脱装可能に自在に嵌め込んである。
【0025】
光照射部7には、発光する光色が異なる2種類の発光ダイオード13a、13bが配置されており、各種の発光ダイオード13a、13bは、多数個ずつ設けてある。一方の発光ダイオード13aは、赤色光〜黄色光の範囲内の波長の光を発光する発光ダイオードであり、他方のダイオードは近赤外光の発光ダイオードである。具体的には、図5に示すように、一方の発光ダイオード13aは610nm近辺の波長の光(赤に近いオレンジ色)を発光し、他方の発光ダイオード13bは、940nm近辺の波長の光(赤外領域)を発光する。
【0026】
各種の発光ダイオード13a、13bは、1秒間に2回以上の周波数で点滅しており、点滅の間隔は好ましくは5〜100Hzであるが、本実施の形態では5Hzの周波数で点滅するように制御部15で制御されている。
【0027】
発光ダイオード13a、13bの配列は、特に制限は無いが、本実施の形態では、2種類の発光ダイオード13a、13bは交互に隣り合わせに配列されている。
【0028】
尚、発光ダイオード13a、13bの光照射側には、透明な光散乱板が配置されており、光の拡散を図っている。
【0029】
装置本体3は樹脂製であり、把持部17と、光照射部のON/OFFスイッチ19と、チタンローラ支持部21a、21bとが設けてある。把持部17内には電池18が装着されている。チタンローラ支持部21a、21b間には、チタンローラ5の側面に沿って光照射部の嵌合部23が設けてある。
【0030】
次に、本実施の形態に係る美容機器1の使用方法、作用効果について説明する。使用の際には、図4に示すように装置本体3の把持部を手で握って、ON/OFFスイッチ19をONにしてチタンローラ5を顔の皮膚に当てる。そして、装置本体3を皮膚に沿って移動させると、チタンローラ5が回転して皮膚面を移動する。チタンローラ5は表面(周面)に薄膜の二酸化チタン層を形成しているので、表面が光の干渉により虹色に見え、外観がよい。
【0031】
光照射部7の発光ダイオード13a、13bから発せられる光は、皮膚面に向けて照射するが、一部はチタンローラ5の表面に照射されて、チタンローラの表面に形成してある二酸化チタンを活性化し、二酸化チタンの光触媒作用を高めることができる。また、発光ダイオード13a、13bは、所定の周波数(本実施の形態では、5Hzの周波数)で点滅するので、光による皮膚の刺激を高め、小皺や染みの防止等、優れた美肌効果を発揮することができる。
【0032】
本実施の形態によれば、発光ダイオード13a、13bによる光照射により皮膚に刺激を与えて皮膚の活性化を図ると共に、二酸化チタンの光触媒作用により皮膚に付着している細菌の増殖を抑え且つ滅菌する。
【0033】
このような発光ダイオード13a、13bとチタンローラ5の二酸化チタンによる複合作用を得ることができ、皮膚の老化防止、にきびの抑制及び美白を促すことができる。更に、二酸化チタンの光触媒作用により、皮膚に付着している老化物の分解、イオンの放出により生体電流を整え、親水作用により皮膚にうるおいを与えることができる。
【0034】
チタンローラ5を皮膚に当ててチタンローラが回転するように皮膚を移動させるだけであり、操作性が良い。
【0035】
また、チタンローラと発光ダイオードとの構成であるから高圧電力を必要とせず、安全であると共に簡易な構成で且つ取り扱いが容易であり、家庭においても容易に使用することができる。
【0036】
特に、光照射部7では、一方の種類の発光ダイオード13aが赤色光〜黄色光の範囲の波長の光を発しており、この波長の光は、一般に、にきびを防止し、繊維芽細胞の活性を促し、神経ブロックを活性化し、コレステロールの分解に作用を有することから、美肌効果に優れる。また、他方の種類の発光ダイオード13bは、一般に、皮膚に対する浸透性が高い為、繊維芽細胞の増殖を促すことから、美肌効果に優れると共に二酸化チタンの活性を高めることができる。
【0037】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0038】
例えば、発光ダイオードは、2波長の種類のもの13a、13bに限らず、黄色光、赤色光、近赤外光、青色光の4種類のものを用いてもよい。このような4種類の色の光を照射する場合には、神経ブロックが更に刺激されて、染みや小ジワ等を効果的に減らすことができる。しかも、複数種の光をムラ無く充分に干渉させて照射することができる為、にきび肌改善、保湿効果、赤ら顔改善、毛穴縮小等より優れた美容効果を得ることができる。更に、発光ダイオードは、416nm、460nm、575nm、635nm、870nm等の波長のものを用いても良い。
【0039】
また、光照射部7を2つ設け、一方はチタンローラの周囲面に照射し、他方は皮膚に向けて照射するものであっても良い。
【0040】
請求項1〜3に記載の発明では、発光ダイオード13a、13bを点滅させなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図3に示す美容機器のA−A断面図である。
【図2】図3に示す美容機器のB−B断面図である。
【図3】本実施の形態に係る美容機器の外観を示す斜視図である。
【図4】図3に示す美容機器の使用状態を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態に用いる発光ダイオードの光の波長を説明するグラフである。
【符号の説明】
【0042】
1 美容機器
3 装置本体
5 チタンローラ
7 光照射部
13a、13b 発光ダイオード
15 制御部
17 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に二酸化チタン層を有するチタンローラと、光照射部とを備える美容器であって、光照射部は異なる波長の光を発する2種以上の発光ダイオードを有し、チタンローラの側線に沿って配置してあることを特徴とする美容機器。
【請求項2】
手で把持する把持部を有し、把持部の先端側にチタンローラと光照射部とを設けてあり、光照射部はチタンローラの回転軸よりも把持部の後端側に配置して、先端に向けて照射すると共に照射した光の一部をチタンローラに照射していることを特徴とする請求項1に記載の美容機器。
【請求項3】
発光ダイオードは少なくとも、赤色光〜黄色光の範囲内の波長の光を発光する発光ダイオードと、近赤外光の発光ダイオードであることを特徴とする請求項2に記載の美容機器。
【請求項4】
各発光ダイオードは1秒間に2回以上点滅することを特徴とする請求項1に記載の美容機器。
【請求項5】
チタンローラは純正チタンの表面を陽極酸化してあることを特徴とする請求項1に記載の美容機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−142207(P2008−142207A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331269(P2006−331269)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【特許番号】特許第4041836号(P4041836)
【特許公報発行日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(502010136)株式会社フューテック (8)
【Fターム(参考)】