説明

耐熱性及び/又は耐化学性を有するフィルター要素

固有の安定性を有し、貫流可能に多孔質であるフィルター要素であって、前記フィルター要素は、
(a)50〜200℃の範囲の温度である連続使用温度に適し、
(b)及び/又は良好な耐酸性を有する、
フィルター要素において、
当該フィルター要素は、第一材料の粒子を有する基礎構成成分を備えて成ること、及び、第一材料の粒子は、接着剤によって互いに保持されることを特徴とし、当該接着剤は、
−接着温度までの加熱を含む、前記基礎構成成分との処理の前には、前記接着剤のための粒状第二プラスチック初期材料であり、
−処理温度で流動状態になり、
−熱硬化性プラスチック材料として硬化するか又は熱可塑性プラスチック材料として固体化するかのどちらかである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のサブジェクトマターは、固有の安定性を有し、貫流可能に多孔質であるフィルター要素であり、前記フィルター要素は、
(a)50〜200℃の範囲の温度である連続使用温度に適し、
(b)及び/又は良好な耐酸性を有する、
フィルター要素において、
当該フィルター要素は、第一材料の粒子を有する基礎構成成分を備えて成ること、及び、第一材料の粒子は、接着剤によって互いに保持され、当該接着剤は、
−接着温度までの加熱を含む、前記基礎構成成分との処理の前には、前記接着剤のための粒状第二プラスチック初期材料であって、
−処理温度で流動状態になり、
−熱硬化性プラスチック材料として硬化するか又は熱可塑性プラスチック材料として固体化するかのどちらかであること、
を特徴とする。
【背景技術】
【0002】
固有の安定性を有し、貫流可能に多孔質であるフィルター要素が公知であり、当該フィルター要素は、共に焼結させられたポリエチレン粒子から成る。ポリエチレン粒子は、160〜180℃の温度でそれら表面上において粘着性のある状態になるので、公知のフィルター要素の連続使用温度は低い。永久的な塑性変形のために連続使用がもはや適当でない温度範囲が、早ければ80℃以下で始まる。公知のフィルター要素は、特に、活性な酸及び/又は上昇した温度状態での酸に対する場合、良好な耐酸性をまったく有していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明にしたがうフィルター要素は、効率的且つ費用のかからない方法で製造することが可能であり、既述の耐酸性及び/又は耐熱性を結果として生じる材料から作られる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一材料の粒子と粒状プラスチック初期材料とは、(概して、第一材料の粒子と粒状プラスチック初期材料とがその中に導入される型内で)それらを混合することによって、接着温度までの加熱によって接着を実行する状態まで好都合に至らせられる。遅くとも、接着温度に近い温度に達するときには、粒状プラスチック初期材料は、流動状態に変化し、第一材料の粒子と接触する位置で接着接合点を形成するのに対して、第一材料粒子の間の他の空間は、(状況に応じて、第一材料粒子の表面上の薄い接着膜を除いて)実質的に接着から自由である。接着剤は熱硬化性タイプかそれとも熱可塑性タイプのどちらかである。接着剤が熱硬化性プラスチック材料として硬化する場合、粒状プラスチック初期材料は、二成分タイプかそれとも複成分タイプのどちらかである。硬化は、ほとんどの場合、おおむね化学反応によって行われ、この反応は、場合により触媒的に強められる。熱硬化性プラスチック材料が活性剤を使用する場合は、後者は、固体状態でプラスチック初期材料に含まれる。熱可塑性プラスチック材料の場合には、材料はフィルター要素の製造プロセスにおける冷却の際に固体化する。
【0005】
耐熱性フィルター要素に関して、本発明にしたがうフィルター要素の全ての実施形態が、50〜200℃の全温度範囲に適合しなければならない必要はない。しかしがら、本発明にしたがうフィルター要素のすべての耐熱性実施形態は、任意の、実際の温度で、50〜200℃の範囲にある連続使用(最高)温度を有する。例えば、顧客が特定の使用環境で150℃の連続使用最高温度に適したフィルター要素を注文したい場合は、通常この顧客は、例えば190℃の連続使用最高温度用の使用環境を有する他の顧客のためのフィルター要素よりも高性能ではない構造のフィルター要素タイプを出されるであろう。後者の使用環境のためのフィルター要素は、通常、最初に記述した使用環境のためのフィルター要素よりも製造においてより高価である。一方で、連続使用最高温度に関して互いと異なるフィルター要素の過度に多い種類を提供しないための努力がなされる。
【0006】
本発明では、良好な耐酸性を有するフィルター要素をもまた対応する材料選択によって提供する。良好な耐酸性を導く第一材料プラスチックと粒状プラスチック初期材料とは、必ずしも良好な耐熱性を同様に導く必要はなく、逆もまた同様である。耐熱性と耐酸性との組み合わせが特に好ましい。
【0007】
接着剤のための粒状プラスチック初期材料と共に作用することは、本発明にしたがうフィルター要素のための製造プロセスを非常に単純にする。接着温度までの加熱は、概してオーブンで達成されるが、しかしながら、他の加熱方法、特にマイクロ波又は赤外線による加熱も同様に可能である。
【0008】
フィルター要素の基礎構成成分が、一つだけの材料の粒子単独で強制的に成る必要はないことが強調される。このような「第一材料」は、既にいくつかの材料の混合物でありえる。それに加えて、以下により詳細に記述される充填物と添加剤とが既にここで言及される。同様な接着効果のために、接着剤は基礎構成成分の全ての成分を共に保持させることは明らかである。
【0009】
本発明の更なる発展において、プラスチック材料を第一材料粒子として用いることが好ましい。驚いたことに、発明者らは、互いと接着可能であり、且つ、本発明にしたがう耐熱性を有するフィルター要素に結果としてなる、利用可能なプラスチック粒子が存在することを見出した。
【0010】
本発明の範囲において、以下のプラスチック材料の一つを第一材料のプラスチック材料のために用いるのが特に好ましい。
−ポリアミド、特にアラミド(aramides)
−ポリスルホン
−ポリサルファイド、特にポリフェニレンサルファイド
−ポリイミド
−ポリメタクリレート(polymethacrylate)、特にポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)
【0011】
これらプラスチック材料は、一部分は熱可塑性材料であり、一部分は熱硬化性材料であることが見て取れる。
【0012】
必ずしも、接着温度が特定のフィルター要素の連続使用温度以下である必要はないことが指摘される。例えば、140℃の連続使用温度を有しているフィルター要素の場合、(例えば、プラスチック材料の第一材料粒子は、短い時間の間170℃に耐えることができるので、)例えば170℃の接着温度でフィルター要素を製作することが実際に可能である。熱可塑性接着剤の場合、接着温度が実際の連続使用温度より十分に高い状況は、通例である。しかしながら、熱硬化性接着剤の場合、その状況は、多くの場合、反対である。すなわち、接着温度は、実際の連続使用温度よりも低い。結局、製造技術の理由で、できる限り低い接着温度を有することがいずれにしろ望まれる。当然のことながら、接着温度は、基礎構成成分が少なくとも接着のために要求される時間の間は熱に耐えられる温度以下である必要がある。
【0013】
プラスチック粒子の代わりとして、第一材料の粒子が無機粒子であることが、本発明の更なる発展において好ましい。無機粒子のグループ内では、ガラス粒子(特に、非中空ガラス小球及び/又は中空ガラス小球)及びセラミック粒子(特に非中空セラミック小球及び/又は中空セラミック小球)が特に好ましい。
【0014】
以下の接着剤が、特に好ましい。
−エポキシ樹脂
−フェノール樹脂
−ポリエステル樹脂
−メラミン樹脂
−シリコーン樹脂
−ウレタン樹脂
【0015】
熱硬化性プラスチックが、ここでは前面に出ているが、いくつかの熱可塑性材料も同様に適している。
【0016】
既述の特に好ましい接着剤の内、エポキシ樹脂は、最良の耐熱性を呈し、且つ、対応する適用のために最も好ましい。いわゆるエポキシ成形材料の部類が特に好都合である。
【0017】
第一材料の粒子のために特に好ましいプラスチック材料に加え、特に好ましい接着剤を見つけ出すことにおいて、連続使用温度及び接着温度での前述の温度状況は、一方では関連性があった。他方では、粒状の初期状態における利用可能性、接着温度における流動状態への変形、及び、少なくとも十分な接着初期強度に達するまでの期間に留意しなければならなかった。最後に、良好な耐酸性に留意しなければならなかった。
【0018】
フィルター要素は、(後で記述されている、その流入表面上に可能なコーティングは別にしてでさえ)第一材料及び接着剤だけで強制的に成る必要はないことが強調される。特に、充填物と他の添加剤とが設けられうる。例えば、第一材料粒子間の充填物粒子がありえ、又は、「第一材料の粒子」は、適当な第一材料それぞれ(好ましくはプラスチック又は無機物の粒子)と充填物とが混合されて存在する粒子でありえる。充填物は、従来の充填物でありえる。充填物は、粒状充填物、特に無機質充填物及び/又は繊維状充填物でありえる。添加物の一例として、すすが静電荷に対する添加物として示される。
【0019】
本発明の更なる発展において、より高い強度を得るために、処理後、熱硬化性プラスチックを後で活性化することが可能である。これは、特に、化学的にか又は紫外線によって達成される。
【0020】
第一材料の粒子は、通常、接着剤のためのプラスチック初期材料の粒子よりも大きい。第一材料の粒子サイズに関して、一方ではフィルター要素の低い流れ抵抗と他方ではフィルター要素の十分な強度との間の有利な妥協点を見つけ出すことが試される。第一材料の粒子の好ましい平均サイズの範囲は、50〜500μmであり、100〜350μmが特に好ましい。接着剤のためのプラスチック初期材料の粒に関しては、これらが、第一材料の粒子間で良好な分配を得られる小さな平均サイズを有することが有利である。他方で、過度に小さな粒は、製造と取扱いとがより困難である。プラスチック初期材料の平均粒サイズにとって好ましい範囲は、5〜50μmであり、10〜30μmが特に好ましい。
【0021】
処理において、第一材料がプラスチック粒子から成るか又は構成される場合、第一材料と接着剤のためのプラスチック初期材料とは、好ましくは、、2.3:1〜9.0:1の重量比であり、4:1〜5.6:1の重量比が、特に好ましい。第一材料が無機粒子から成るか又はおおむね構成される場合、重量比は、好ましくは25:1〜34:1(非中空粒子)であり、又は、著しくより低い特に3:1〜10:1(中空粒子)である。プラスチック初期材料は、概して比較的高価なので、少ない量を維持することが試される。他方で、第一材料粒子の確かな接着が得られる必要がある。充填物が第一材料の粒子内に存在する場合、この充填物は、固有の第一材料の粒子として既述の重量比範囲に同様に計算される。
【0022】
可能な充填物は、好ましくは、繊維及び/又は粒状充填物である。基礎構成成分の充填物という意味のガラス繊維は、特に好ましい実施例として示される。これら充填物は、基礎構成成分の耐熱性を増加させるために役立つ。代替として、例えば、酸化ケイ素、カルシウム化合物、酸化アルミニウムのような無機充填物が特に好ましい実施例として示される。
【0023】
本発明にしたがうフィルター要素は、好ましくはその流入表面に、フィルター要素の支持(保持)構成物よりも小さな孔サイズを備えたコーティングを有する。このコーティングは、表面ろ過乃至フィルタリングのために設けられるので、フィルター要素を用いて、ろ過して取り除かれる固体粒子は、フィルター要素の内部に入り込まない。そのようなコーティングを備えたフィルター要素は、逆流圧噴射クリーニング(counterflow pressure jet cleaning)により、非コーティングフィルター要素よりも非常により容易に清掃することができる。コーティングは、好ましくは繊維及び/又は粒子から成る。
【0024】
通常、浄水場において本発明にしたがういくつかのフィルター要素が設備され、多くの場合、吸込み送風機がフィルター要素下流の清浄ガス側に配置される。通常、フィルター要素の逆流圧噴射クリーニングのための手段が設けられる。
【0025】
本発明にしたがうフィルター要素は、前記50〜200℃の温度範囲における任意の実際の連続使用温度が要求されるろ過作業、及び/又は、良好な耐酸性が要求されるろ過作業、である全てのろ過作業のために事実上適している。示されるべき連続使用温度のより近接した範囲は、80〜200℃、100〜200℃及び120〜200℃の範囲である。良好な耐酸性に関して示されるべきより近いフィールドは、燃焼ガス中に多くの場合存在する酸への良好な耐性である。特に好ましい使用フィールド、故にフィルター要素の適用に関しては、以下が挙げられる。
1.燃焼ガスのフィルタリング
2.作り出された生成物粒子の分離、特に、
−洗剤産業での噴霧乾燥機
−流動床乾燥機
−乾燥機、特に食料品産業での混合乾燥機
−石灰焼成オーブン(calcinating ovens)
−高熱粒子生産
3.材料リサイクル、好ましくは触媒流動床リアクターの場合における触媒のリサイクル
4.流出ガスクリーニング、好ましくは、
−金属浴の流出ガス
−金属溶解炉の流出ガス
−液状ガラスを伴う浴の流出ガス
−クリンカー冷却器の流出ガス
−光導波路(optical waveguide)製品の炉の流出ガス
−食料品産業での焙焼工場、特にコーヒー焙焼工場の流出ガス
5.液流のフィルタリング
【0026】
そのような適用は、焼結したポリエチレン粒子の従来のフィルター要素の連続使用温度を明らかに超過し及び/又は酸負荷を明らかに超過する連続使用温度及び/又は酸負荷を含むことがわかる。ここまでにおいて、本発明は、プラスチック粒子又は無機粒子を用いて実際に製造されたフィルター要素の完全に新しい広範な使用範囲を開示するが、その他の点については、より高度な改良点を含む。
【0027】
第一材料の粒子と接着剤のためのプラスチック初期材料との最良選択によって、フィルター要素にとっての多くの使用フィールドにおいて生じる化学的な負荷に配慮することが可能である。本発明との関係において、特に塩酸、二酸化硫黄、ふっ酸、硫化水素に対する耐性に対して留意する。そのような化合物は、特に燃焼プロセスが行われるような状況において、また他の工業環境においてでも発生する。加えて、連続使用温度では蒸気の形態でありえる水(多くの場合さほど純粋ではない)が、長い運転においてフィルター要素に悪影響を有する状況を避けるために注意する。それに加え、加水分解への耐性が設けられるべきである。
【0028】
充填物と添加剤との選択においてもまた、当然ながら、耐熱性及び/又は化学作用に対する耐性に留意する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明と本発明の特定の実施形態とが、実施形態を介して以下により詳細に明らかにされる。
【0030】
図1は、型孔4を囲む型2の部分断面図を示す。型孔4は、その中に、第一プラスチック粒子6(第一材料粒子として)と、第一プラスチック粒子6よりもはるかに小さい平均サイズの第二プラスチック粒子8とを充填される。第二プラスチック粒子8は、接着剤のための初期材料を構成する。それに加えて、第一プラスチック粒子6の間の空間に繊維20(概して、200μm以下の長さのガラス繊維)を見ることができる。
【0031】
図2は、適当な期間、接着温度まで型2を加熱した後で、且つ、原フィルター要素10を開放した型2から引き出し後の状態を示す。接着温度で、第二プラスチック粒子8は、流動又は流体状態(flowing or fluid state)に変化し、プラスチック初期材料は、第一プラスチック粒子6が、接触するか又はほとんど互いに接触するこれら位置12に集まった。第二プラスチック初期材料が熱可塑性材料の場合、プラスチック初期材料の溶融と次に続く接着への固体化(型内容物の冷却の際)とが、位置12で行われた。プラスチック初期材料が熱硬化性プラスチック材料のための初期材料であった場合、化学反応と架橋が、接着温度に近い範囲でさらに行われた。熱硬化性プラスチック材料は、位置12で硬化した。
【0032】
図3は、運転中に流入側であるフィルター要素の右手側にコーティング14が適用された状態を図解する。コーティング14は、一部分は繊維16(概して250μm以下の長さを有するガラス繊維)から成り、一部分は微粒子プラスチック粒子18(概して、平均サイズ0.3〜30μmのポリテトラフルオロエチレン粒子(凝集塊))から成る。繊維16と粒子18とは、特に、最初に原フィルター要素10の特定の表面上へ接着剤をスプレーし、その後、その上に繊維16と粒子18とを吹き込むことによって適用される。代替として、最初に繊維16と粒子18とを吹き込み、その後、液体接着剤をスプレーすることも可能である。コーティングは、液体の形態、例えば、粒子と接着剤との水性エマルジョンから成る液体の形態でも適用されうる。接着剤は、室温で又は高温で硬化する熱硬化性プラスチック材料でありえる。
【0033】
繊維無しの基礎構成成分、例えば、プラスチック粒子と粒状の無機充填材粒子とからなる基礎構成成分を使用する際には、図1〜3は、いくぶん異なるように見える。繊維20は全く存在しない。第一プラスチック粒子6の間に、充填粒子が設けられ、第一プラスチック粒子6と充填粒子との両者は、著しくより小さいプラスチック粒子8によって囲まれる。概して、充填粒子は、平均でプラスチック粒子6よりもいくぶん小さく、プラスチック粒子6よりもいくぶん少ない数で存在する。
【0034】
図4は、図2に類似した描写を示す。すなわち、接着作用後だが、表面コーティングの可能な適用の前のフィルター要素の状態を示す。図4において断片的な様式で示されたフィルター要素10は、(図1〜3に記載の実施形態における第一プラスチック粒子6の代わりに)ガラス小球6の基礎構成成分を備えて成る。ガラス小球6は、第一プラスチック粒子6よりも球体の幾何学的形状に近い。ガラス小球の間の空間には、いかなる繊維20も存在しない。その他については、状態は、図1〜3に記載の実施形態の状態に類似する。同じ参照数字が用いられる。
【0035】
セラミック小球がガラス小球6の代わりに用いられる場合は、図4は変わらないままである。図4は、中空小球又は非中空小球が用いられるかどうかに関係なく同じままである。
【0036】
図1〜4では、第一プラスチック粒子6又はガラス小球6それぞれの相互接触位置又は接着位置12に関してあてにならないことが指摘される。第一プラスチック粒子6とガラス小球6とは、それぞれ、ほとんど「最も密集した小球密集」(closest globule packing)の状態で存在する。しかしながら、図1〜4は、同時に、第一プラスチック粒子6又はガラス小球それぞれの一仕切りを通る断面であるという事実のために、多くの接着位置12は、図平面の上方又は下方にある。
【0037】
以下に、本発明にしたがうフィルター要素の材料仕様に関する実施例が示される。
【0038】
実施例1
40パーセントのガラス繊維を充填され、300μmの平均サイズを有するポリフェニレンサルファイド(PPS)のプラスチック粒子(製造者名称 RYTON GF40)は、エポキシ樹脂のための微粒子プラスチック初期材料(製造者名称 ARDALITを備えた主成分)と混合される。エポキシ樹脂初期材料は、15μmの平均粒子サイズを有する。混合物は、80パーセント充填されたPPSと20パーセントのエポキシ樹脂から成り、全てのパーセンテージは重量パーセントである。
【0039】
混合物は、型に充填される。型は、接着剤を流動状態にさせるために30分間、100℃の温度でのステップで炉の中で加熱される。エポキシ樹脂のためのプラスチック初期材料は、およそ100℃の温度で溶融する。このようにして、接触結合が確立される。少なくとも30分間、160℃の温度の次の加熱は、接着剤の架橋を導く。原フィルター要素は、その最終的な機械的安定性及び熱安定性に到達する。その後、原フィルター要素は開いた型から取り外される。原フィルター要素を手にとってみると、PPS粒子が、エポキシ樹脂を介してそれらの接触位置で互いに接着されているのを見て取ることができる。
【0040】
PPSは、180℃の連続使用最高温度を有し、エポキシ樹脂は、180℃の連続使用最高温度を有する。フィルター要素は、二酸化硫黄、水、硫化水素に対して耐性があり、塩酸に対して一定の耐性を示す。それに加えて、加水分解に対して耐性がある。
【0041】
測定結果は、原フィルター要素が、貫流可能なように良好な気孔率であるか、又は、それを通るのに十分に低い流れ抵抗率と4点曲げ試験で測定される十分な機械的な強度とを有していることを示す。密度は、935kg/mである。
【0042】
代替として、30パーセント無機充填物を備えたポリフェニレンサルファイド(PPS)のプラスチック粒子(製造者名称 RYTON MV30)で実施例を実行しうる。結果は、非常に類似している。
【0043】
PPSが粒状の形態(その中に充填繊維又は粒状の充填粒子を含んでいる粒状粒子の状態で)で届けられ、記述された平均粒子サイズを得るために、インパクトクラッシャを用いて、フィルター要素の製造工場で細かくつぶされたこともここで加えて言及しておく。粒子は、棒形状であった。同じことが、接着剤のためのプラスチック初期材料のためにまた行われ、当該接着剤は、適した破砕と混合プロセスによって基礎構成成分の材料と均質化される(図1参照)。
【0044】
フィルター要素は、例えば、内部空洞を有し、且つ、その4つのより小さい制限領域の一つで開放している平坦な箱の構造を有する。箱の二つの大きな側面は、波型に形成されて、又は、ジグザグ様式に延在する。箱形状のフィルター要素は、概して、外側から内側への流れのために構成されるので、可能なコーティングは、箱の外側に適用される。フィルター機器は、概して、フィルター手段の流れ込み空間からフィルター機器の清浄空間を分離する隔壁上に並列様式で取り付けられた複数の箱形状のフィルター要素を含む。代替として、管状のフィルター要素を有することが可能であり、可能な断面領域は、中空の円筒形状であるか、又は、シリンダー壁が波型に形成されるか若しくはジグザグ様式に延在する。
【0045】
他の変形例は、箱形のフィルター要素又は管状のフィルター要素のどちらかのために、円錐形に延在する形状である。
【0046】
実施例2
平均サイズ250μmを有するポリスルホン(PSU)のプラスチック粒子(製造者名称 RADEL)が、エポキシ樹脂のための微粒子プラスチック初期材料(製造者名称 ARDALITを備えた主成分)と混合される。エポキシ樹脂初期材料は、15μmの平均粒子サイズを有する。混合物は、80パーセントのPUSと20パーセントのエポキシ樹脂から成り、全てのパーセンテージは重量パーセントである。
【0047】
実施例1と異なるのは、PSUは充填材を添加されない、すなわち、充填材としていかなるガラス繊維も有さない。
【0048】
接着プロセスは、実施例1と同様に行われる。フィルター要素は、180℃の連続使用最大温度を有し、硫化水素、水に耐性があり、二酸化硫黄に対してわずかな制限付きで耐性があるのと同様に、塩酸に対して制限付きで耐性がある。それに加えて、加水分解に対して耐性がある。
【0049】
測定結果は、原フィルター要素が、貫流可能なように良好な気孔率であるか、又は、それを通るのに十分に低い流れ抵抗率と4点曲げ試験で測定される十分な機械的な強度とを有していることを示す。密度は、640kg/mである。
【0050】
実施例3
150〜300μmの範囲のサイズを有するポリアミド(PA)のプラスチック粒子(製造者名称 VESTOSINT)が、エポキシ樹脂のための微粒子プラスチック初期材料(製造者名称 ARDALITを備えた主成分)と混合される。エポキシ樹脂初期材料は、15μmの平均粒子サイズを有する。混合物は、79パーセントのPAと21パーセントのエポキシ樹脂から成り、全てのパーセンテージは重量パーセントである。
【0051】
PAは充填材を添加されない。すなわち、充填材としていかなるガラス繊維も有さない。
【0052】
外径50mmと内径32mmとを有する管状フィルター要素が形成される。
【0053】
接着プロセスは、実施例1と同様に行われる。フィルター要素は、130℃の連続使用最高温度を有し、この温度で、硫化水素、水、二酸化硫黄、塩酸及び加水分解に耐性がある。
【0054】
測定結果は、原フィルター要素が、貫流可能なように良好な気孔率であるか、又は、それを通るのに十分に低い流れ抵抗率と4点曲げ試験で測定される十分な機械的な強度とを有していることを示す。密度は、983kg/mである。
【0055】
実施例4
300μm未満の平均サイズを有する非中空ガラス小球(製造者名称 SPHERIGLASS 2530)が、エポキシ樹脂のための微粒子プラスチック初期材料(製造者名称 ARDALITを備えた主成分)と混合される。エポキシ樹脂初期材料は、15μmの平均粒子サイズを有する。混合物は、97パーセントのガラス小球と3パーセントのエポキシ樹脂から成り、全てのパーセンテージは重量パーセントである。
【0056】
接着プロセスは、実施例1と同様に行われる。
【0057】
フィルター要素は、180℃の連続使用最高温度を有し、二酸化硫黄、水、硫化水素、塩酸及び加水分解にも耐性がある。
【0058】
測定結果は、原フィルター要素が、貫流可能なように良好な気孔率であるか、又は、それを通るのに十分に低い流れ抵抗率を有することを示す。機械的な強度は、実施例1及び実施例2よりも非常に良好である。密度は、1630kg/mである。
【0059】
実施例4は、また中空のガラス小球で、又は、非中空のセラミック小球で、若しくは、中空のセラミック小球で実施されうる。中空のガラス小球又は中空のセラミック小球の場合は、フィルター要素の結果として生じる密度は、当然ながら1630kg/m3よりも明らかに小さく、機械的な強度もまたいくぶん低くなる。その他については、性質は事実上変わらない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】接着作用前の状態におけるフィルター要素を作るための充填された型の部分断面図を示す。
【図2】フィルター要素の部分断面図を示す。
【図3】表面コーティングの適用後のフィルター要素の部分断面図を示す。
【図4】他のフィルター要素の部分断面図を示す。
【符号の説明】
【0061】
2 型
6 第一プラスチック粒子
8 第二プラスチック粒子
10 フィルター要素
12 接着位置
14 コーティング
16 繊維
18 粒子
20 繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の安定性を有し、貫流可能に多孔質であるフィルター要素であって、前記フィルター要素は、
(a)50〜200℃の範囲の温度である連続使用温度に適し、
(b)及び/又は、良好な耐酸性を有する、
フィルター要素において、
フィルター要素は、第一材料の粒子を有する基礎構成成分を備えて成ること、及び、第一材料の粒子が、接着剤によって共に保持され、当該接着剤は、
−接着温度までの加熱を含む、前記基礎構成成分との処理の前には、前記接着剤のための粒状プラスチック初期材料であり、
−処理温度で流動状態になり、
−熱硬化性プラスチック材料として硬化するか、又は、熱可塑性プラスチック材料として固体化するかのどちらかであることを特徴とするフィルター要素。
【請求項2】
前記第一材料の粒子が、プラスチック粒子であることを特徴とする請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項3】
以下のプラスチック材料、
−ポリアミド、特にアラミド、
−又は、ポリスルホン、
−又は、ポリサルファイド、特にポリフェニレンサルファイド、
−又は、ポリイミド、
−又は、ポリメタクリレート、特にポリメチルメタクリレート、
の少なくとも一つが、第一材料のプラスチック粒子のために用いられることを特徴とする請求項2に記載のフィルター要素。
【請求項4】
第一材料の粒子が、無機粒子であることを特徴とする請求項1に記載のフィルター要素。
【請求項5】
無機粒子は、ガラス粒子、好ましくは中身の詰まったガラス小球及び/又は中空ガラス小球、又は、セラミック粒子、好ましくは中身の詰まったセラミック小球及び/又は中空セラミック小球、の形態であることを特徴とする請求項4に記載のフィルター要素。
【請求項6】
接着剤が、
−エポキシ樹脂、
−又は、フェノール樹脂、
−又は、ポリエステル樹脂、
−又は、メラミン樹脂、
−又は、シリコーン樹脂、
−又は、ウレタン樹脂、
であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項7】
熱硬化性プラスチック材料が、処理後に、後で活性化されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項8】
処理のための前記第一材料の粒子が、50〜500μm、好ましくは100〜350μmの平均サイズを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項9】
接着剤のためのプラスチック初期材料の粒が、5〜50μm、好ましくは10〜30μmの処理のための平均サイズを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項10】
処理において、プラスチック粒子を有する基礎構成成分と接着剤のためのプラスチック初期材料とは、重量比2.3:1〜9.0:1、好ましくは重量比4.0:1〜5.6:1で存在することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項11】
処理において、非中空ガラス粒子及び/又は非中空セラミック粒子を有する基礎構成成分と接着剤のためのプラスチック初期材料とは、重量比25:1〜34:1で存在することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項12】
基礎構成成分は、充填物、好ましくは繊維及び/又は粒状充填物を備えて成ることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項13】
フィルター要素は、その流入表面上に、フィルター要素の支持構成部分の孔サイズよりもより小さな孔サイズのコーティングを備えて成ることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項14】
コーティングが、繊維及び/又は粒子から成ることを特徴とする請求項13に記載のフィルター要素。
【請求項15】
フィルター要素が、80〜200℃、好ましくは100〜200℃、最も好ましいのは120〜200℃の範囲の温度である連続使用温度に適していることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項16】
フィルター要素は、燃焼ガス中に通常生じる酸に対し良好な耐性を有していることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のフィルター要素。
【請求項17】
燃焼ガスをフィルタリングするための請求項1〜16のいずれか一項に記載のフィルター要素の使用。
【請求項18】
好ましくは、
−洗剤産業での噴霧乾燥機、
−流動床乾燥機、
−食料品産業での乾燥機、
−石灰焼成オーブン、
−高熱粒子生産、
におけるガス流からの生成物分離のための請求項1〜16のいずれか一項に記載のフィルター要素の使用。
【請求項19】
ガス流からリサイクルする材料のための、好ましくは触媒流動床リアクターの場合の触媒をリサイクルするための請求項1〜16のいずれか一項に記載のフィルター要素の使用。
【請求項20】
好ましくは、
−金属浴、
−金属溶解炉、
−液状ガラスを伴う浴、
−クリンカー冷却器、
−光導波路生産のための炉、
−食料品産業での焙焼工場、
の流出ガスクリーニングのための請求項1〜16のいずれか一項に記載のフィルター要素の使用。
【請求項21】
液流をフィルタリングするための請求項1〜16のいずれか一項に記載のフィルター要素の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−512957(P2007−512957A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543455(P2006−543455)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013905
【国際公開番号】WO2005/053818
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506195893)ヘルディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング フィルターテヒニーク (2)
【Fターム(参考)】