説明

耐熱性成形体

【目的】 使用箇所の形態にかかわらず、装填が非常に容易であり、また、高温時の強度低下が少なくて、耐ガスアタック性に優れ、さらに、高温下で締付け使用する場合の締付け面圧を非常に高く保持させることができるようにする。
【構成】 セラミック繊維20〜55wt%、無機質充填材30〜60wt%、有機結合材1〜10wt%に加えて、無機結合材を1〜15wt%配合させて、かさ密度が0.4g/cm3 以上の立体形状に成形してなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用セラミックフィルタあるいはセラミック触媒の保持材や、耐火断熱材等として使用される耐熱性成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば、自動車の排気管では、排ガス中の窒素酸化物の還元等の浄化のためにセラミックフィルタあるいはセラミック触媒が使用される。このセラミック触媒等を排気管に保持させるための保持材として、従来では、セラミック繊維を主体としたブランケット状の耐熱性成形体や、セラミック繊維と膨脹処理未膨張バーミキュライトと有機結合材とを配合し抄造して、かさ密度0.4〜0.7g/cm3 のマット状もしくはシート状になした耐熱膨脹性成形体が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したような従来の耐熱性あるいは耐熱膨張性成形体は、ブランケット状、マット状もしくはシート状のものであるために、触媒やフィルタなどのように立体形状に装填して使用する場合、その装填に非常に手間どるばかりでなく、そのもの自体の形状の保持が難しい。また、自動車の排ガスのように、高温のガス流体に晒された場合、強度が低下する傾向にあり、さらに、特にブランケット状のものは、柔らかくて圧縮モジラスおよび復元性が低いため、装填し締付けて使用する場合、安定した締付け力が得られず、その状態で振動や摩擦を受けると、上記セラミックフィルタあるいはセラミック触媒に対する保持力が低下して、該セラミック触媒等にがたつきを招いたり、保持材に吹き抜けが生じるおそれがあった。
【0004】本発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、所望の形態を得やすくて、装填が非常に容易であるとともに、高温下での使用に際しても、強度の低下が少なく、かつ、適正な圧縮率および高い復元率を有して非常に高い締付け圧を安定よく保持することができ、さらにシール性にも優れた効果を発揮する耐熱性成形体を提供することを目的としている。
【0005】この発明の他の目的は、初期の締付け圧が低くても、高温下での使用時に膨張力を発生させて、ガタツキなどを招かない適正十分な締付け面圧を保持させることができるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る耐熱性成形体は、無機結合材1〜15wt%、有機結合材1〜10wt%、セラミック繊維20〜55wt%、無機質充填材30〜60wt%からなり、そのかさ密度が0.4g/cm3 以上に設定されたものである。
【0007】また、請求項2の発明に係る耐熱性成形体は、無機結合材1〜30wt%、有機結合材1〜5wt%、セラミック繊維20〜50wt%、無機質膨張材1〜30wt%、無機質充填材20〜40wt%からなり、そのかさ密度が0.4g/cm3 以上に設定されたものである。
【0008】特に、請求項1または2の耐熱性成形体の一例として、その中央部にガス通過用孔を有する平坦部の全周から一方向へ向けて周壁部を一体に突出させるように成形してなるものが望ましい。
【0009】さらに、請求項1または2の耐熱性成形体の100重量部に対して1〜20重量部の無機結合材を含浸させることが好ましい。
【0010】
【作用】請求項1の発明によれば、無機結合材で補強され、かつ、かさ密度も0.4g/cm3 以上の成形体であるから、抄造物の型成形により装填が容易な所望の形状が得やすいとともに、高温時の強度および形態保持力の低下が少なく、高温ガス流体のアタックによる飛散がない。また、常温時はもちろん、高温時にも適正な圧縮率および高い復元率を有しているために、装填状態で締付けて使用する場合、非常に高い締付け面圧を保持させることが可能であり、さらに、空隙率も小さく、十分に高いシール性を保持させることができる。
【0011】請求項2の発明によれば、無機結合材で補強され、かつ、かさ密度も0.4g/cm3 以上の成形体である上に、無機質膨張材が配合されているので、装填状態で加熱された際に高い膨脹圧を発生することになり、したがって、締付け使用する場合、初期の締付け圧は低くても、ガタツキなどを招かない適正十分な締付け面圧を保持させることができる。
【0012】また、請求項3のように、その中央部にガス通過用孔を有する平坦部の全周から一方向へ向けて周壁部を一体に突出させるように成形してなる耐熱性成形体の場合は、特にディーゼル車用セラミックフィルタやセラミック触媒の保持材などのように、大型の部材の保持に際して有効に使用することができる。
【0013】さらに、請求項4のように、耐熱性成形体の100重量部に対して1〜20重量部の無機結合材を含浸させる場合は、その成形体の耐熱強度を一層高めることが可能である。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面にもとづいて説明する。図1および図2は、本発明による耐熱性成形体の一実施例で、自動車用セラミックフィルタあるいはセラミック触媒の保持材に適用する場合の形状を示す平面図および縦断面図であり、該耐熱性成形体1は、その中央部に矩形状の排気ガス通過用孔2を有する矩形状の耐熱性平坦部3の全周から一方向へ向けて周壁部4を一体に突出させてなる。このような耐熱性成形体1は、図3に示すように、主として、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれている黒煙ススを除去するために、排気ガスの流通路を形成するアルミ製ベッセル11内に配置される複数個の多孔質のセラミックフィルタ12をその両側から抱いて保持させるように使用される。
【0015】上記のような形状を有する耐熱性成形体1の配合例およびその製造方法について説明する。まず、セラミック繊維(新日鉄化学製のSC1260−D2)35wt%、無機質充填材としてのセピオライト鉱物(昭和鉱業製のミルコンMS−2−2)30wt%およびタルク鉱物(日本タルク製のタルクMS)25wt%、無機結合材(日産化学製のアルミナゾル200)7wt%、有機結合材(住友化学製のスミカフレックス900)3wt%の配合比率の3%wt濃度の水分散液Aを作製する。この際、セラミック繊維、セピオライト鉱物およびタルク鉱物は、図4(a)に示すように、予めミキサ15を介して水中で十分に分散させておき、その後に、アンモニウムイオンやナトリウムイオン等の定着剤を投入し攪拌して、有機結合材および無機結合材を、セラミック繊維、セピオライト鉱物およびタルク鉱物に定着させる。
【0016】次に、上記水分散液Aを図4(b)に示すように、60メッシュの金網16上から流し込んで、10wt%濃度に搾水した抄造液Bを得る。つづいて、その抄造液Bを図4(c)に示すように、型17に流し込み、かつ、プレスすることによって、さらに搾水して所定の形状、つまり図1および図2に示すような形状をもつ50wt%濃度の含水成形体1Aを得る。この含水成形体1Aを乾燥して、かさ密度0.6g/cm3 で、初期厚さ4.9mmの耐熱性成形体1を得た。以下、これを実施例1とする。
【0017】上記実施例1の耐熱性成形体1を、該耐熱性成形体1の100wt%に対して1〜20wt%の無機結合材(日産化学製のスノーテックス20)に含浸して乾燥させることにより、かさ密度0.65g/cm3 で、初期厚さ4.9mmの耐熱性成形体を得た。以下、これを実施例2とする。
【0018】ところで、上記実施例1および2における耐熱性成形体1を構成する材料および好ましい配合比率は、次の通りである。無機繊維としては、アルミナ・シリカ繊維が好ましく、その配合比率は20〜55wt%、無機質充填材としては、セピオライト鉱物、タルク鉱物の他に、セリサイトマイカ鉱物、カオリン鉱物、モンモリナイト鉱物などであってもよく、その配合比率は30〜60wt%、無機結合材としては、アルミナゾル、コロイダルシリカ、水ガラスなどで、その配合比率は1〜15wt%である。
【0019】上記のような構成材料、配合比率の実施例1および実施例2に示す耐熱性成形体からなる試料マットと、かさ密度0.16g/cm3 で、初期厚さが4.9mmのセラミック繊維不織布からなる試料マットを比較例1とし、また、セラミック繊維30wt%、セピオライト鉱物25wt%、タルク鉱物33wt%、有機結合材12wt%を抄造して得た、かさ密度が0.70g/cm3 で、初期厚さ4.9mmの耐熱性シートからなる試料マットを比較例2として、各種の試験を行なった結果を以下に説明する。
【0020】耐ガスアタック性試験図5(a),(b)に示すように、一対のプレート5,5間に、25mm角の試料マットを挟み、3.6mm厚さに圧縮した後、上記一対のプレート5,5ごと600℃×1Hr加熱・冷却し、その後、ノズル6から3000サイクルのガスを試料マットに吹き付けて、該試料マットの重量減少率(%)を測定した。その測定結果を表−1に示す。
【0021】
【表1】


【0022】圧縮・復元試験外径102mm×内径82mm×高さ10mmのリング形状品を、常温時および900℃×1Hr加熱後のそれぞれにおいて、面圧2MPaで3分間加圧した際の圧縮率(%)およびその後に上記面圧を除去した際の復元率(%)を測定した。その測定結果を表−2に示す。
【0023】
【表2】


【0024】シール試験外径102mm×内径82mm×高さ10mmのリング形状品を、その高さ方向に30%圧縮した状態で、常温時および900℃×1Hr加熱後のそれぞれにおいて、面圧0.05MPaのガス圧を負荷した際の漏れ量(cc/sec)を測定した。その測定結果を表−3に示す。
【0025】
【表3】


【0026】以上のような各種の試験結果から、つぎの点が明らかになった。実施例1および実施例2においては、無機結合材の配合により補強され、かつ適正な密度を有しているために、圧縮モジュラスおよび空隙率も適正であり、また、加熱を受けた際の物性の変化が少ないという特性を有している。そのため、耐ガスアタック性試験結果から明らかなように、締付け力および強度の低下が非常に少なくて試料の飛散がない。また、圧縮・復元試験では、多孔質セラミックの圧縮強度の目安である2MPaの面圧の締付けに対しても、常温時および加熱後ともに適当な圧縮率・高い復元率を示している。さらに、シール試験では、空隙率が小さくて、漏れ量が少ない。
【0027】これに対して、比較例1は、かさ密度が低く、かつ強度も弱いために、耐ガスアタック性試験では締付け力も小さく、強度も弱くて試料の飛散がみられる。また、圧縮・復元試験では、圧縮率が高過ぎるとともに、復元率が低過ぎて、安定した締付け力が得られず、さらに、シール試験では、空隙率が大きくなって、漏れ量が多くなる。
【0028】一方、比較例2は、無機結合材による補強がなく、高温時には焼失する有機結合材による補強であるから、加熱後の強度の低下が大きい。そのために、耐ガスアタック試験では飛散が発生する。また、圧縮・復元試験では、圧縮率が高過ぎるとともに、復元率が低過ぎて、安定した締付け力が得られない。、さらに、シール試験では、空隙率が大きくなって、特に加熱後に吹抜けが発生する。
【0029】次に、本発明の他の実施例による耐熱熱膨張性成形体について説明する。この実施例における耐熱熱膨張性成形体1も、主として自動車用セラミックフィルタあるいはセラミック触媒の保持材に適用されることが多く、その場合の好適な形状としては、上記図1および図2に示した通りであって、その中央部に矩形状の排気ガス通過用孔2を有する矩形状の耐熱性平坦部3の全周から一方向へ向けて周壁部4を一体に突出させてなる。なお、この耐熱熱膨張性成形体1も図3に示すように、セラミック製フィルタ12の保持材として使用される。
【0030】上記のような形状を有する耐熱熱膨張性成形体の配合例およびその製造方法について説明する。まず、セラミック繊維(新日鉄化学製のSC1260−D2)35wt%、無機質充填材としてのセピオライト鉱物(昭和鉱業製のミルコンMS−2−2)30wt%、無機質膨張材としての膨張処理バーミキュライト(南アフリカボラボラ鉱山産 バーミキュライト0号)25wt%、無機結合材(日産化学製のアルミナゾル200)7wt%、有機結合材(住友化学製のスミカフレックス900)3wt%の配合比率の3%wt濃度の水分散液Aを作製する。この際、セラミック繊維、セピオライト鉱物は、上記の図4(a)に示したと同様に、予めミキサ15を介して水中で十分に分散させておく。また、膨張処理バーミキュライトはリン酸水素アンモニウムナトリウム水溶液に浸漬させたものを使用する。その後、水分散液Aにアンモニウムイオンやナトリウムイオン等の定着剤を投入し攪拌して、有機結合材および無機結合材を、セラミック繊維、セピオライト鉱物およびバーミキュライトに定着させる。
【0031】次に、上記水分散液Aを図4(b)に示すように、60メッシュの金網16上から流し込んで、10wt%濃度に搾水した抄造液Bを得る。つづいて、その抄造液Bを図4(c)に示すように、型17に流し込み、かつ、プレスすることによって、さらに搾水して所定の形状、つまり図1および図2に示すような形状をもつ50wt%濃度の含水成形体1Aを得る。この含水成形体1Aを乾燥して、かさ密度0.6g/cm3 で、初期厚さ4.9mmの耐熱熱膨張性成形体を得た。以下、これを実施例3とする。
【0032】上記実施例3の耐熱熱膨張性成形体を、該耐熱熱膨張性成形体の100wt%に対して1〜20wt%の無機結合材(日産化学製のスノーテックス20)に含浸して乾燥させることにより、かさ密度0.65g/cm3 で、初期厚さ4.9mmの耐熱熱膨張性成形体を得た。以下、これを実施例4とする。
【0033】ところで、上記実施例3および4における耐熱熱膨張性成形体を構成する材料および好ましい配合比率は、次の通りである。無機繊維としては、アルミナ・シリカ繊維が好ましく、その配合比率は20〜50wt%、無機質充填材としては、セピオライト鉱物、タルク鉱物の他に、セリサイトマイカ鉱物、カオリン鉱物、モンモリナイト鉱物などであってもよく、その配合比率は20〜40wt%、無機結合材としては、アルミナゾル、コロイダルシリカ、水ガラスなどで、その配合比率は1〜30wt%、バーミキュライト(無機質膨張材)の配合比率は1〜30wt%である。
【0034】上記のような構成材料、配合比率の実施例1および実施例2に示す耐熱熱膨張性成形体からなる試料マットと、セラミック繊維35wt%、膨張処理バーミキュライト鉱物55wt%、有機結合材10wt%を抄造して得た、かさ密度が0.70g/cm3 で、初期厚さ4.9mmの耐熱熱膨張性シートからなる試料マットを比較例3とし、また、セラミック繊維35wt%、セピオライト鉱物25wt%、膨張処理バーミキュライト鉱物28wt%、有機結合材12wt%を抄造して得た、かさ密度が0.70g/cm3 で、初期厚さ4.9mmの耐熱熱膨張性シートからなる試料マットを比較例4として、各種の試験を行なった結果を以下に説明する。
【0035】耐ガスアタック性試験上記図5(a),(b)に示したと同様に、一対のプレート5,5間に、25mm角の試料マットを挟み、3.6mm厚さに圧縮した後、上記一対のプレート5,5ごと600℃×1Hr加熱・冷却し、その後、ノズル6から3000サイクルのガスを試料マットに吹き付けて、該試料マットの重量減少率(%)を測定した。その測定結果を表−4に示す。
【0036】
【表4】


【0037】熱膨張圧試験図6に示すように、電気炉8内に設けた上下一対の石英棒9,9間の3.43mmの隙間に試料マットを装填した状態で、電気炉8を運転して昇温速度25°C/min.で600℃に加熱した際に発生する膨張圧(MPa)をロードセル10により測定した。その測定結果を表−5に示す。
【0038】
【表5】


【0039】以上のような各種の試験結果から、つぎの点が明らかになった。耐ガスアタック性試験において、実施例3および実施例4においては、無機結合材の配合により補強されているため、加熱を受けた際の試料の形態保持力(結合力)の低下が少なくて、ガスアタックによる飛散がない。試験結果から明らかなように、締付け力および強度の低下が非常に少なくて試料の飛散がない。これに対して、比較例3においては、無機充填材および無機結合材が配合されていないため、加熱にともなって形態保持力が低下し、ガスアタックにより飛散が発生する。また、比較例4においては、セピオライト鉱物の固結性によりガスアタックによる飛散は少ないが、形態保持力が極めて弱いために、ガスアタック条件が厳しくなると、飛散量が多くなる。
【0040】また、熱膨張圧試験において、実施例3および実施例4においては、無機結合材による補強と適正な密度により、加熱による形態保持力および圧縮モジラスの低下が少ないために、バーミキュライト鉱物の配合比率が少なくても、比較例3と同等以上の膨張圧を発生する。したがって、初期締付け圧は低くても、使用中に発生する膨張圧によって、非常に高い締付け圧を保持できるとともに、良好なシール性も保持できる。これに対して、比較例4においては、加熱にともなう有機結合材の分解・焼失、さらには、無機結合材に比べてセピオライト鉱物の固結性は極めて弱いことから、加熱によって圧縮モジュラスが低下して低い膨張圧の発生に止まる。
【0041】なお、上記各実施例では、耐熱性成形体および耐熱熱膨張性成形体を自動車用セラミックフィルタあるいはセラミック触媒の保持材に適用する場合に好適な形状として、図1および図2に示すような矩形状に成形したもので示したが、これ以外にも、図7および図8に示すように、その中央部に円形状の排気ガス通過用孔2を有する円形状の耐熱性平坦部3の全周から一方向へ向けて筒状の周壁部4を一体に突出させてなるものであってもよい。
【0042】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、無機結合材で補強され、かつ、かさ密度も0.4g/cm3 以上の成形体であって、抄造物の型成形により容易に所望の立体形状のものが得られるので、従来のブランケット状やシート状のものに比べて、使用箇所の形態にかかわらず、装填が非常に容易である。また、加熱によって焼失したり、固結性が低下することのない無機結合材の配合により十分に熱的に補強されているので、高温時の強度および形態保持力の低下が少なく、高温ガス流体のアタックによる飛散などがなく、耐ガスアタック性に優れた効果を有する。さらに、常温時はもちろん、高温時にも適正な圧縮率および高い復元率を保つために、装填状態で締付けて使用する場合、非常に高い締付け面圧を保持させることができるので、特に自動車のように振動や衝撃の大きい箇所での使用に有効であり、かつ、空隙率も小さくて、高いシール性を保持させることができるという効果を奏する。
【0043】また、請求項2の発明によれば、無機結合材だけでなく、無機質膨張材も配合されているので、無機質膨張材の配合量は低く抑えたとしても、装填使用状態で加熱された際に高い膨脹圧を発生させることが可能であるとともに、形態保持力の低下も抑制することができる。したがって、高温下で締付け使用する場合、初期の締付け圧は低くても、ガタツキなどを招かないで適正十分な締付け面圧を保持させることができる。
【0044】さらに、請求項3のように、その中央部にガス通過用孔を有する平坦部の全周から一方向へ向けて周壁部を一体に突出させるような立体形状に成形する場合は、特にディーゼル車用セラミックフィルタやセラミック触媒の保持材などのように、大型の部材の保持に際して有効に使用することができる。
【0045】さらにまた、請求項4のように、上記の耐熱性成形体の100重量部に対して1〜20重量部の無機結合材を含浸させる場合は、その成形体の耐熱強度を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における耐熱性成形体を自動車用セラミックフィルタあるいはセラミック触媒の保持材に適用する場合の形状を示す平面図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】ディーゼルエンジンからの排気ガス中の黒煙ススの除去用フィルタの保持材としての使用例を示す縦断面図である。
【図4】(a)〜(c)ともに耐熱性成形体の製造工程の説明図である。
【図5】(a)および(b)は、耐ガスアタック性試験装置の平面図および側面図である。
【図6】熱膨張圧試験装置の概略正面図である。
【図7】本発明の他の実施例における耐熱性成形体の形状を示す平面図である。
【図8】図7の縦断面図である。
【符号の説明】
1 耐熱性成形体
2 排気ガス通過孔
3 耐熱性平坦部
4 周壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 無機結合材1〜15wt%、有機結合材1〜10wt%、セラミック繊維20〜55wt%、無機質充填材30〜60wt%からなり、そのかさ密度が0.4g/cm3 以上に設定されていることを特徴とする耐熱性成形体。
【請求項2】 無機結合材1〜30wt%、有機結合材1〜5wt%、セラミック繊維20〜50wt%、無機質膨張材1〜30wt%、無機質充填材20〜40wt%からなり、そのかさ密度が0.4g/cm3 以上に設定されていることを特徴とする耐熱性成形体。
【請求項3】 中央部にガス通過用孔を有する平坦部の全周から一方向へ向けて周壁部を一体に突出させるように成形してなる請求項1または2の耐熱性成形体。
【請求項4】 上記耐熱性成形体の100重量部に対して1〜20重量部の無機結合材を含浸させてなる請求項1または2の耐熱性成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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