説明

耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法

【課題】 分散性が優れており、しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さい耐熱性黄色含水酸化鉄顔料が工業的に得られる製造法を提供する。
【解決手段】 耐熱性黄色含水酸化鉄顔料は、黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物を被着することにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散性が優れており、しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さい耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】黄色顔料は、樹脂やビヒクル中に分散させて、樹脂、塗料、印刷インキ、道路アスファルトを製造する際の着色顔料として広く使用されている。黄色は交通上の規則や警戒を表す色であることから、殊に、道路アスファルト用や路面表示塗料(トラフィックペイント)用着色顔料としての用途が拡大している。
【0003】黄色顔料は、作業能率の面から樹脂やビヒクル中における分散性が優れていることはもちろん、耐熱性が優れていることが要求される。
【0004】黄色顔料としては、従来から、クロム酸鉛、クロム酸ストロンチウム、硫化カドミウム、含水酸化鉄等が知られており、広く使用されている。
【0005】上記クロム酸鉛、クロム酸ストロンチウム、硫化カドミウム等は、耐熱性に優れているため、樹脂、塗料、印刷インキ等の着色顔料として広く使用されているが、有毒性、発癌性を有することから、国民の健康、衛生、安全性の観点から、また、環境汚染防止の観点から代替黄色顔料が強く要求されている。
【0006】含水酸化鉄粒子は、無毒であり、国民の健康、衛生、安全性の観点から、また、環境汚染防止の観点から優れたものではあるが、耐熱性の点で劣っているという問題がある。
【0007】即ち、含水酸化鉄粒子は、Fe2 3 ・nH2 Oで示される通り、結晶水を有しており、加熱温度を昇温させていくと、一般に200℃前後で脱水が開始し始め、やがて230℃程度の温度で赤褐色のヘマタイト(α−Fe2 3 )に変態する。
【0008】そのため、通常200℃以上の高温度で成形加工されているポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン重合体、ポリアミド、ポリオレフィン、ABSなどの熱可塑性樹脂や、施工時に200〜260℃で加熱したり、溶融して使用される路面表示用塗料(トラフィックペイント)に含水酸化鉄粒子を使用することは困難であった。
【0009】そこで、含水酸化鉄粒子の耐熱性を向上させるために種々の処理を施すことが行われているが、耐熱性改善処理工程の前後で色相の変化が大きいと、着色顔料の命ともいうべき色相面からの製品設計が困難となることから、耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化ができるだけ小さいことが要求される。
【0010】従来、含水酸化鉄粒子の耐熱性を向上させるための改善が種々試みられており、(1)含水酸化鉄粒子をオートクレーブを用いて水又はアルカリ水溶液中で水熱処理する方法(特公昭53−28158号公報等)、(2)含水酸化鉄粒子の粒子表面をアルミニウム化合物、ケイ素化合物等で被覆したり、含有、固溶させる方法(特公平6−17237号公報等)、(3)上記(1)の方法と(2)の方法を組み合わせる方法(特公昭49−16531号公報、特公昭54−7293号公報、特公昭55−8462号公報、特開昭57−57755号公報等)等が知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】分散性が優れており、しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さい黄色含水酸化鉄粒子は、現在、最も要求されているところであるが、これら諸特性を有する黄色含水酸化鉄顔料は、未だ得られていない。
【0012】即ち、前出(1)の方法による処理を行った黄色含水酸化鉄粒子は、耐熱性が向上したものではあるが、粒子の形態や粒度分布が耐熱性改善処理工程の前後で大きく変化し、その結果、色相の変化が大きいものであった。
【0013】前出(2)の方法による処理を行った黄色含水酸化鉄粒子は、色相の変化は小さいものではあるが、黄色含水酸化鉄粒子を凝集したままでアルミニウム化合物等で被覆しているため、分散性が悪く、また、耐熱性も不十分なものであった。
【0014】前出(3)の方法による処理を行った黄色含水酸化鉄粒子は、耐熱性が向上したものではあるが、前出(1)の方法と同様に耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が大きいものである。
【0015】そこで、本発明は、分散性が優れており、しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さい黄色含水酸化鉄粒子を得ることを技術的課題とする。
【0016】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0017】即ち、本発明は、黄色含水酸化鉄粒子を含む水分散液に該黄色含水酸化鉄粒子に対しAl換算で0.1〜10重量%のアルミニウム化合物とFe換算で0.1〜50重量%の第一鉄塩化合物とを添加、混合した後酸素含有ガスを通気して、前記黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物を被着させ、次いで、濾別、水洗、乾燥するこにより粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子からなる黄色含水酸化鉄粒子粉末を得ることを特徴とする耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法である。
【0018】また、本発明は、黄色含水酸化鉄粒子を含む水分散液に該黄色含水酸化鉄粒子に対しAl換算で0.1〜10重量%のアルミニウム化合物とFe換算で0.1〜50重量%の第一鉄塩化合物とを添加、混合した後酸素含有ガスを通気して、前記含水酸化鉄粒子の粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物を被着させ、次いで、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている前記黄色含水酸化鉄粒子を含む水分散液のpH値を10以上又は4以下に調整した後、アルミニウム化合物を添加、攪拌し、次いで該分散液のpH値を5〜9の範囲に再調整して、前記Fe及びAlからなる複合含水酸化物表面にアルミニウムの水酸化物を被着させた後、濾別、水洗、乾燥することにより粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着され、更にその上にアルミニウムの水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子からなる黄色含水酸化鉄粒子粉末を得ることを特徴とする耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法である。
【0019】次に、本発明実施にあたっての諸条件について述べる。
【0020】本発明における黄色含水酸化鉄粒子は、■第一鉄塩水溶液に当量以上の水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液を、pH値が11以上、80℃以下の温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子を生成する方法、■第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られるFeCO3 を含む懸濁液を、必要により熟成した後、酸素含有ガスを通気してpH値が8〜10の範囲で酸化反応を行うことにより紡錘状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子を生成する方法、■第一鉄塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより、pHが4以下の溶液中から針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)核粒子を生成させ、次いで、該針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)核粒子を含む第一鉄塩水溶液に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量以上の水酸化アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより、pH値が11以上の溶液中で前記針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)核粒子を成長させる方法、■第一鉄塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより、pH値が5以下の溶液中から針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)核粒子を生成させ、次いで、酸性乃至中性領域で前記針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)核粒子を成長させる方法等により生成することができ、生成黄色含水酸化鉄粒子は常法により濾別、水洗、乾燥する。得られた黄色含水酸化鉄粒子は、平均長軸径が0.1〜1.0μm、平均短軸径が0.02〜0.10μm、軸比(長軸径/短軸径)が2〜20、BET比表面積が10〜180m2 /gであって、色相は、L* 値が50〜75、a* 値が5〜25、b* 値が40〜60である。
【0021】尚、黄色含水酸化鉄粒子の色相を調整することを目的として、黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子の生成反応中に、粒子粉末の長軸径、短軸径、軸比等の諸特性を制御する為のNi、Zn、P、Si、Al等Fe以外の異種元素を添加してもよく、この場合には、生成黄色含水酸化鉄粒子中に、これらFe以外の異種元素が含有される。
【0022】本発明において使用する黄色含水酸化鉄粒子は、上述した反応溶液中から生成した黄色含水酸化鉄粒子を、濾別、水洗して得られる湿ケーキ、該湿ケーキを水中に分散させた分散スラリー、前記湿ケーキを乾燥した乾燥粉末、乾燥した粉末を水中に再分散させた再分散スラリーのいずれの形態であってもよいが、前記分散スラリーを用いるのが効率上、作業上好ましい。
【0023】尚、反応溶液中の生成黄色含水酸化鉄粒子を常法により、濾別、水洗することにより得られる黄色含水酸化鉄粒子は、通常、鉄原料である硫酸第一鉄塩水溶液に由来する可溶性硫酸塩をSO4 換算で通常3000〜10000ppm程度、アルカリ原料である水酸化ナトリウムに由来する可溶性ナトリウム塩をNa換算で通常1500〜10000ppm程度含有している。
【0024】本発明における黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面へのFe及びAlからなる複合含水酸化物の被着は、黄色含水酸化鉄粒子を含む水懸濁液に、アルミニウム化合物と第一鉄塩化合物を添加、混合した後、酸素含有ガスを通気することにより行なう。Fe及びAlからなる複合含水酸化物の生成を考慮すれば、懸濁液のpH値を5以下又は10以上に維持しながら酸素含有ガスを通気することが好ましい。水懸濁液中の黄色含水酸化鉄粒子の濃度は、5〜150g/l程度に調整すればよい。生産性を考慮すれば、10〜120g/l程度が好ましく、より好ましくは、20〜100g/l程度である。
【0025】添加するアルミニウム化合物としては、アルミン酸ナトリウムなどのアルミン酸アルカリや、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を使用することができ、その添加量は、黄色含水酸化鉄粒子に対し、Al換算で0.1〜10重量%である。0.1重量%未満である場合には、本発明の目的とする分散性改良の効果や耐熱性向上の効果が得られない。10重量%を越える場合には、本発明の目的とする効果がほぼ飽和に達するので、必要以上に添加する意味がない。
【0026】添加する第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄等の第一鉄塩を使用することができ、その添加量は、黄色含水酸化鉄粒子に対し、0.1〜50重量%である。0.1重量%未満である場合には、本発明の目的とする分散性改良の効果や耐熱性向上の効果が得られない。50重量%を越える場合には、本発明の目的とする効果がほぼ飽和に達するので、必要以上に入れる意味がない。
【0027】添加するアルミニウム化合物と第一鉄塩水溶液の割合は、本発明の目的である分散性改良の効果や耐熱性向上の効果を考慮すれば、Al/Feの原子換算で1:0.5〜1:20の範囲が好ましく、より好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
【0028】添加したアルミニウム化合物と第一鉄塩水溶液は、そのほとんどがFe及びAlからなる複合含水酸化物として黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面に被着されるから、該FeおよびAlからなる複合含水酸化物におけるFe及びAlの割合は、添加時の割合とほぼ同程度である。
【0029】アルミニウム化合物と第一鉄塩水溶液の添加順序は、いずれが先でもまた、同時でもよい。
【0030】酸化手段は、酸素含有ガス(例えば、空気)を液中に通気することにより行い、また、当該通気ガスや機械的操作等により攪拌しながら行なう。
【0031】本発明の方法により得られる粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子は、前出被処理黄色含水酸化鉄粒子の平均長軸径、平均短軸径、軸比(長軸径/短軸径)、BET比表面積及び色相の各諸特性とほぼ同程度であって、分散性が優れたものであり、殊に、光沢が70〜110%、好ましくは、80〜110%である。しかも、耐熱性が向上した、殊に、耐熱温度が255℃以上、好ましくは265℃以上、さらに好ましくは270℃以上であるとともに耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さい、殊に、ΔLが絶対値で1.0以下、好ましくは0.5以下であって、Δaが絶対値で1.0以下、好ましくは0.5以下であって、Δbが絶対値で1.0以下、好ましくは0.5以下である。
【0032】次に、本発明においては、必要により更に、アルミニウムの水酸化物を被着させることができる。この場合には、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子を含む水懸濁液中のpH値を10以上又は4以下に調整した後、アルミニウム化合物を添加、攪拌し、次いで、水分散液のpH値を5〜9の範囲に再調整する。
【0033】アルミニウムの水酸化物で被覆するに際してのpH値の調整は、通常使用されるアルカリ水溶液、酸水溶液を使用すればよい。
【0034】アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液等を使用することができる。
【0035】酸水溶液としては、塩酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、硫酸等を使用することができる。
【0036】アルミニウム化合物を添加する前のpH値は、pH値が10以上又は4以下であることが必要である。pH値が10未満、pH値が4を越える場合には、添加したアルミニウム化合物が瞬時にアルミニウムの水酸化物として沈澱してしまい、Fe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の表面に均一に被着することが困難となる。
【0037】アルミニウム化合物を添加した後、pH値が10以上又は4以下の条件下で、懸濁液の攪拌を行う。pH値が10未満の場合、pH値が4を越える場合には、イオン状のアルミニウム塩が黄色含水酸化鉄粒子を含む懸濁液中に均一に混合されにくく、Fe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の表面にアルミニウムの水酸化物が均一に沈澱、被着することが困難となる。
【0038】Fe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の表面にアルミニウムの水酸化物を沈澱、被着する時の懸濁液温度は、常温でもよいが、均一に被着する為には、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上である。
【0039】Fe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の表面にアルミニウムの水酸化物を沈着させる際の懸濁液は、攪拌後、pH値5〜9の範囲となるように再調整する。pH値が5未満の場合、9を越える場合は、Fe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の表面にアルミニウムの水酸化物を沈澱、被着することが困難となる。
【0040】アルミニウム化合物の添加量は、Fe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子に対しAl換算で0.1〜20.0重量%である。0.1重量%未満の場合には、Fe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の表面にアルミニウムの水酸化物を十分、沈澱、被着することが困難となり、本発明の目的とする分散性改良の効果や耐熱性向上の効果が得られ難い。20.0重量%を越える場合にも、分散性改良の効果や耐熱性向上の効果は得られるが、効果がほぼ飽和に達するので、必要以上に添加する意味がない。黄色含水酸化鉄粒子の分散性改良の効果や耐熱性向上の効果を考慮すれば、好ましくは0.15〜5.0重量%である。
【0041】添加したアルミニウムの化合物は、ほぼ全量がアルミニウムの水酸化物となって、Fe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の表面に沈澱、被着される。
【0042】本発明の方法により得られる粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着され、更に、その表面にアルミニウムの水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子は、前出被処理黄色含水酸化鉄粒子の平均長軸径、平均短軸径、軸比(長軸径/短軸径)、BET比表面積及び色相の各諸特性とほぼ同程度であって、分散性が優れたものであり、殊に、光沢が75〜115%、好ましくは85〜115%である。しかも、耐熱性が向上した、殊に、耐熱温度が265℃以上、好ましくは275℃以上であるとともに、耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さい、殊に、ΔLが絶対値で1.0以下、好ましくは0.5以下であって、Δaが絶対値で1.0以下、好ましくは0.5以下であって、Δbが絶対値で1.0以下、好ましくは0.5以下である。
【0043】
【作用】本発明において最も重要な点は、黄色含水酸化鉄粒子を含む水分散液に該黄色含水酸化鉄粒子に対しAl換算で0.1〜10重量%のアルミニウム化合物とFe換算で0.1〜50重量%の第一鉄塩化合物とを添加、混合した後酸素含有ガスを通気して、前記黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物を被着させた場合には、分散性が優れており、しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さいものであるという事実である。
【0044】本発明においては、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子を含む水分散液のpH値を10以上又は4以下に調整し、次いで、アルミニウム化合物を添加、攪拌した後、該分散液のpH値を5〜9の範囲に再調整することにより、粒子表面に更にアルミニウムの水酸化物を被着させた場合には、分散性がより優れており、しかも、耐熱性がより向上しているとともに、耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さいものであるという事実である。
【0045】粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子や該粒子の表面に更にアルミニウムの水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の分散性が改良された理由については未だ明らかではないが、本発明者は、塗布膜とした時の光沢度が上がることや塗料化時における塗料粘度が低下すること等から、ビヒクルとの相溶性が向上したことによるものと考えている。
【0046】また、耐熱性が向上した理由について、Fe及びAlからなる複合含水酸化物は緻密な層を形成しやすく、しかも、Feを有していることにより、同じくFeを有している黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面に密着して被着されることによるものと考えている。
【0047】必要により、表面に更にアルミニウムの水酸化物を被着した場合、耐熱性がより向上する理由について、本発明者は、アルミニウムの水酸化物自体の優れた耐熱性と下層にAlが含有されていることから上層のアルミニウムの水酸化物が密着して被着されることによるものと考えている。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0049】尚、粒子の平均長軸径、平均短軸径は、いずれも電子顕微鏡写真(×20000)を縦方向及び横方向にそれぞれ2倍に拡大した写真(×80000)に示される粒子350個の長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0050】黄色含水酸化鉄中の可溶性硫酸塩及び可溶性ナトリウム塩は、黄色含水酸化鉄粉末5g及び純水100mlを秤量して200mlビーカーに添加して5分間煮沸をした後、室温まで冷却し、次いで、蒸発により損失した量の純水を追加した後、濾別して得られる濾液を用いて、濾液中のSO4 量及びNa量を誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS4000(セイコー電子工業(株)製)により測定した値で示した。
【0051】黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面に被着しているAl量は、蛍光X線分析により測定した。
【0052】黄色含水酸化鉄顔料の耐熱性は、熱分析装置SSC5000(セイコー電子工業(株)製)を用いて被測定物の示差走査熱量測定(DSC)を行い、得られた該DSCチャート上に示されるピークを形成する2つの変曲点のうち最初の変曲点を構成する2つの曲線のそれぞれについて接線を引き、両接線の交点に対応する温度を読み取って、その温度で示した。
【0053】黄色含水酸化鉄顔料の色相(L* 値、a* 値及びb* 値)及び光沢(分散性)は、下記の方法により、黄色含水酸化鉄顔料を用いた溶剤系塗料を作製し、その塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成することにより得られた測定用試料片を用いて測定した。
【0054】溶剤系塗料は、下記のようにして製造した。
【0055】黄色含水酸化鉄顔料10gと下記割合のアミノアルキッド樹脂及びシンナーとを、3mmφガラスビーズ90gとともに140mlのガラスびんに入れペイントシェーカーで90分間混合、分散し、ミルベースを作製した。
【0056】
黄色含水酸化鉄顔料 12.2重量部 アミノアルキッド樹脂 アミラックNo.1026 19.5重量部 (商品名:関西ペイント(株)製)
シンナー 7.3重量部
【0057】次に、上記ミルベースに下記割合のアミノアルキッド樹脂を配合して、更にペインシェーカーで15分間混合、分散し、溶剤系塗料を得た。
【0058】
ミルベース 39.0重量部 アミノアルキッド樹脂 アミラックNo.1026 61.0重量部 (商品名:関西ペイント(株)製)
【0059】色相を表すL* 値(明度)、a* 値(赤色度)及びb* 値(黄色度)は、上記測定用試料片を用いてHunterのLab空間によりL* 値、a* 値及びb*値をそれぞれ測色し、国際照明委員会(Commission Internationnale de l’Eclairage、CIE)1976(L* 、a* 、b* )均等知覚空間に従って表示した値で示した。尚、測色用には、多光源分光測色計(MSC−IS−2D、スガ試験機(株)製)Multi−spctro−colour−Meterを用いた。
【0060】黄色含水酸化鉄顔料の色相の変化は、耐熱性改善処理工程の前後における黄色含水酸化鉄粒子のL* 値、a* 値及びb* 値のそれぞれを測定し、耐熱性改善処理の前後における黄色含水酸化鉄粒子のL* 値、a* 値及びb* 値のそれぞれの差をΔL* 、Δa* 及びΔb* として示した。ΔL* 、Δa* 及びΔb* の絶対値が小さい程、色相の変化が小さいことを意味する。
【0061】光沢度は、上記測定用試料片の塗膜をデジタル光沢計UGV−5D(スガ試験機(株)製)を用いて入射角20°で測定した時の光沢度(グロス)の値で示した。光沢度(グロス)の値が高い程、分散性が優れていることを示す。
【0062】前記■の方法により酸性水溶液中から得られた針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子(反応溶液の一部を抜き取り、水洗して得られた黄色含水酸化鉄粒子の特性は、平均長軸径0.38μm、平均短軸径0.063μm、軸比(長軸径/短軸径)6.2、BET比表面積値20.1m2 /g、可溶性硫酸塩はSO4 換算で5780ppm、可溶性ナトリウム塩はNa換算で2560ppmであった。)の湿ケーキ(含水固形物)を水に懸濁して濃度50g/lの懸濁液20lを準備し、次いで、高速ディゾルバーおよび縦型ビーズミルを用いて、該懸濁液中の黄色含水酸化鉄粒子をよく分散させた。この時の水懸濁液のpH値は5.7であった。
【0063】この懸濁液20リットルに0.5mol/lの酢酸アルミニウム水溶液1481ml(黄色含水酸化鉄に対してAl換算で2.0重量%に相当)および1.4mol/lの硫酸第一鉄溶液1058ml(添加Al/Fe原子比=1/2)を加え、毎分70リットルの空気を吹き込みながら80℃まで加熱昇温した後、pHを4.3に維持しながら3時間保持し、黄色含水酸化鉄表面にAlとFeからなる複合含水酸化物を被着させた。
【0064】続いてプレスフィルターを用いて濾別し、通水しながら充分水洗して湿ケーキを得た。
【0065】上記湿ケーキの一部を120℃で24時間乾燥させた後、自由粉砕機M−Z型((株)奈良機械製作所製)で粉砕した。得られた粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子は、蛍光X線分析による測定の結果、Al換算で1.86重量%のアルミニウムを有していた。この黄色含水酸化鉄粒子は、平均長軸径が0.38μm、平均短軸径が0.064μm、BET比表面積が20.3m2 /gであった。また耐熱温度は272℃、色相はL* 値62.3、a* 値17.3、b* 値51.1であって、色相の変化はΔL* =+0.1、Δa* =+0.2、Δb* =−0.2であり、光沢度は82%であった。
【0066】得られた前記湿ケーキを攪拌機を用いて、水に解膠し、黄色含水酸化鉄濃度を45g/lに調整した20lの懸濁液を準備した。この懸濁液を攪拌しながら60℃まで加熱昇温した後、0.1NのNaOHをpH値が10.5になるまで添加し、攪拌を続けながら0.5mol/lのアルミン酸ナトリウム(NA−170、住友化学工業(株)製)溶液1000ml(Fe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化物に対しAl換算で1.5重量%に相当する。)を加え10分間保持した。その後、1Nの酢酸水溶液をpH値が6.0になるまで添加した後30分間維持し、粒子表面にAlとFeからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の表面に更にアルミニウムの水酸化物を沈澱、被着させた。
【0067】続いて、プレスフィルターを用いて濾別し、通水しながら十分水洗して湿ケーキを得た。この湿ケーキを120℃で24時間乾燥させた後、自由粉砕機M−2型(商品名:(株)奈良機械製作所製)で解砕し、粒子表面にAlとFeからなる複合含水酸化物が被着され、更に、その表面にアルミニウムの水酸化物が被着されている黄色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0068】この黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子は、蛍光X線分析による測定の結果、Al換算で3.32重量%のアルミニウムを有していた。このことから、アルミニウムの水酸化物中のアルミニウム量はAl換算で1.46重量%(3.32−1.86=1.46)であった。また、この黄色含水酸化鉄粒子は、平均長軸径が0.39μm、平均短軸径が0.064μm、BET比表面積値が19.3m2 /gであった。また、耐熱温度は284℃であって、色相はL* 値が62.0、a* 値が17.3、b* 値が51.6、色相の変化はΔL* =−0.2、Δa* =+0.2及びΔb* =+0.1であり、光沢度は87%であった。
【0069】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0070】<黄色含水酸化鉄粒子粉末の種類>被処理粒子である黄色含水酸化鉄粒子粉末として表1に示される被処理粒子1乃至被処理粒子3を準備した。
【0071】
【表1】


【0072】実施例1〜5黄色含水酸化鉄粒子の種類、水懸濁液中の黄色含水酸化鉄濃度、Fe及びAlからなる複合含水酸化物の被着工程におけるpH値、アルミニウム化合物の種類及び添加量、第一鉄塩水溶液の種類及び添加量、反応温度、維持pH、空気量、反応時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にしてFe及びAlからなる複合含水酸化物被着処理を行った。
【0073】この時の主要製造条件を表2に、諸特性を表3に示す。
【0074】
【表2】


【0075】
【表3】


【0076】実施例6〜10粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄の種類、アルミニウムの水酸化物による被着工程における水懸濁液中の複合含水酸化物被着含水酸化鉄濃度、添加前の懸濁液pH値、添加するアルミニウム化合物の種類及び量、懸濁液の最終pH値を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着され、更に、その表面にアルミニウムの水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子粉末を得た。
【0077】この時の主要製造条件を表4に、表面にアルミニウムの水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性を表5に示す。
【0078】
【表4】


【0079】
【表5】


【0080】比較例1発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と同一の黄色含水酸化鉄粒子を用い、いずれの処理も施さないで、その諸特性を測定した結果を表5に示す。
【0081】表6に示す通り、反応溶液中から濾別、水洗、乾燥して得られる黄色含水酸化鉄は、耐熱性が悪いものであった。
【0082】比較例2発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と同一の黄色含水酸化鉄粒子を用い、Fe及びAlからなる複合含水酸化物の被着処理を施すことなく、水懸濁液中の黄色含水酸化鉄濃度を50g/l、アルミン酸ナトリウムの添加量をAl換算で2.68重量%、添加前の懸濁液pH値を10.0、懸濁液の最終pH値を7.0に調整した以外は発明の実施の形態と同様にして、アルミニウムの水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子を得た。
【0083】得られた粒子表面にアルミニウムの水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の諸特性を表5に示す。
【0084】表5に示す通り、粒子表面にアルミニウムの水酸化物のみを被着させた黄色含水酸化鉄粒子は、耐熱性が未だ不十分なものであった。
【0085】比較例3発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と同一の黄色含水酸化鉄粒子を用いた水懸濁液濃度が50g/lの黄色含水酸化鉄スラリー20l(固形分として1kgに相当する。)に13NのNaOH溶液を加えてpH値を13.0とした。スラリー700mlを分取し、内容積1lのオートクレーブ(東洋高圧(株)製)に入れ、撹拌しながら昇温し、220℃で30分保持した後、冷却した。スラリーを取り出し水を用いたデカンテーションによって濾液が中性になるまで水で十分水洗した。次いで、ヌッチェを用いて濾別した湿ケーキを120℃で24時間乾燥した後、粉砕し、黄色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0086】得られた黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性を表5に示す。
【0087】表5に示す通り、耐熱性改善処理工程の前後での色相の変化が大きいものであった。
【0088】比較例4発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と同一の黄色含水酸化鉄粒子を用いた水懸濁液濃度が50g/lの黄色含水酸化鉄スラリー20l(固形分として1kgに相当する。)に硫酸アルミニウム156.4gを含む水溶液2lを投入し、よく撹拌した。スラリー700mlを分取し、内容積1lのオートクレーブ(東洋高圧(株)製)に入れ、撹拌しながら昇温し、220℃で30分保持した後、冷却した。スラリーを取り出しヌッチェを用いて濾別し、濾液が中性になるまで水洗した。得られた湿ケーキを120℃で24時間乾燥した後、粉砕し、黄色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0089】得られた黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性を表5に示す。
【0090】表5に示す通り、耐熱性改善処理工程の前後での色相の変化が大きいものであった。
【0091】比較例5発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と同一の黄色含水酸化鉄粒子を用いた水懸濁液濃度が46.7g/lの黄色含水酸化鉄スラリーに6NのNaOH溶液を加えてpH値を13.0とした。スラリー700ml(固形分として32.7gに相当する。)を分取し、内容積1lのオートクレーブ(東洋高圧(株)製)に入れ、撹拌しながら昇温し、180℃で120分保持した後、冷却した。取り出したスラリーに撹拌しながらアルミン酸ナトリウム(NA−170:住友化学工業(株)製)溶液4.32gを加え、徐々に希硫酸を加えてpH値を6.0に調整した。水を用いたデカンテーションによって十分に水洗した後、ヌッチェを用いて濾別した。得られた湿ケーキを120℃で24時間乾燥した後、粉砕し、黄色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0092】得られた黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性を表5に示す。
【0093】表5に示す通り、耐熱性改善処理工程の前後での色相の変化が大きいものであった。
【0094】比較例6発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と同一の黄色含水酸化鉄粒子を用いた水懸濁液濃度が46.7g/lの黄色含水酸化鉄スラリーに6NのNaOH溶液を加えてpH値を12.0とした。スラリー700ml(固形分として32.7gに相当する。)を分取し、これにアルミン酸ナトリウム(NA−170:住友化学工業(株)製)溶液2.87gを加え、内容積1lのオートクレーブ(東洋高圧(株)製)に入れ、撹拌しながら昇温し、180℃で60分間水熱処理した後冷却した。取り出したスラリーを水を用いたデカンテーションによって十分に水洗した後、ヌッチェを用いて濾別した。得られた湿ケーキを120℃で4時間乾燥した後、粉砕し、黄色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0095】得られた黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性を表5に示す。
【0096】表5に示す通り、耐熱性改善処理工程の前後での色相の変化が大きいものであった。
【0097】
【発明の効果】本発明に係る黄色含水酸化鉄粒子粉末の製造法によれば、前出実施例に示した通り、分散性が優れており、しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さい黄色含水酸化鉄粒子粉末を得ることができるので、黄色着色顔料、殊に、道路アスファルト用や路面表示塗料用黄色着色顔料として好ましいものである。
【0098】また、本発明に係る黄色含水酸化鉄粒子粉末の製造法によれば、前出実施例に示した通り、オートクレーブ等の特殊な装置を用いることなく、常圧下で耐熱性の改良された黄色含水酸化鉄粒子粉末を得ることができるので、工業的、経済的に有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 黄色含水酸化鉄粒子を含む水分散液に該黄色含水酸化鉄粒子に対しAl換算で0.1〜10重量%のアルミニウム化合物とFe換算で0.1〜50重量%の第一鉄塩化合物とを添加、混合した後酸素含有ガスを通気して、前記黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物を被着させ、次いで、濾別、水洗、乾燥することにより、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子からなる黄色含水酸化鉄粒子粉末を得ることを特徴とする耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法。
【請求項2】 黄色含水酸化鉄粒子を含む水分散液に該黄色含水酸化鉄粒子に対しAl換算で0.1〜10重量%のアルミニウム化合物とFe換算で0.1〜50重量%の第一鉄塩化合物とを添加、混合した後酸素含有ガスを通気して、前記含水酸化鉄粒子の粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物を被着させ、次いで、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている前記黄色含水酸化鉄粒子を含む水分散液のpH値を10以上又は4以下に調整した後、アルミニウム化合物を添加、攪拌し、次いで該分散液のpH値を5〜9の範囲に再調整して、前記Fe及びAlからなる複合含水酸化物表面にアルミニウムの水酸化物を被着させた後、濾別、水洗、乾燥することにより粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着され、更にその上にアルミニウムの水酸化物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子からなる黄色含水酸化鉄粒子粉末を得ることを特徴とする耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法。