説明

耐酸耐水性紙シート及びその製造方法

【課題】本発明は、紙独自の風合いを維持しつつ、耐酸性及び耐水性に優れる耐酸耐水性紙シート及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、天然繊維を含む紙に、含蝋シェラックを硬化させた硬化含蝋シェラックが付与された耐酸耐水性紙シートであって、硬化含蝋シェラックの付与量が4〜59μg/mmである耐酸耐水性紙シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐酸耐水性紙シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、天然繊維を含む紙に機能性を付加する試みが数多くなされている。
例えば、耐水耐油性を向上させた紙シートとして、天然繊維からなる紙の片面または両面に、合成樹脂又はそのエマルジョンを塗布した耐水耐油紙が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、近年、環境問題に対する配慮から、上記合成樹脂の代わりに生分解性である天然樹脂を用いる方法が検討されている。
例えば、紙製容器本体の内面や外面に、ポリエステル系生分解性プラスチック若しくはシェラックでなる生分解性塗工膜が形成されたパルプ成形体や基材の少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコールとシェラックを含む塗工層を有するパルプ成形体が知られている(例えば、特許文献4又は5参照)。かかるパルプ成形体は、耐水性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−3795号公報
【特許文献2】特開平11−124792号公報
【特許文献3】特開2006−28650号公報
【特許文献4】特開2002−105887号公報
【特許文献5】特開2004−256926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、耐酸性及び耐水性に優れる紙シートは、未だ開発されていない。
上記特許文献1〜3に記載の耐水耐油紙、及び、上記特許文献4及び5に記載のパルプ成形体を始めとする従来の紙シートを用いても、耐水性には優れるものの、耐酸性は不十分である。
【0006】
また、家蚕の人工孵化においては、産卵された家蚕卵を2%ホルマリン浸漬により消毒し、流水と軽いブラッシングにより洗浄し、1時間の塩酸液(3.5〜12.0N)浸漬が行われる。
このため、産卵台紙として、耐酸性及び耐水性を有する耐酸耐水性紙シートが求められている。
なお、上述した従来の紙シートを産卵台紙として用いると、耐酸性が十分ではないため、紙が破損する。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐酸性及び耐水性に優れる耐酸耐水性紙シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、水素結合を有する天然繊維を含む紙と、シェラックの中でも含蝋シェラックとを用い、含蝋シェラックを硬化させた硬化含蝋シェラックを紙の内部にまで所定量付与したところ、意外にも、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)天然繊維を含む紙に、含蝋シェラックを硬化させた硬化含蝋シェラックが付与された耐酸耐水性紙シートであって、硬化含蝋シェラックの付与量が4〜59μg/mmである耐酸耐水性紙シートに存する。
【0010】
本発明は、(2)硬化含蝋シェラック中の蝋の付与量が1〜12μg/mmである上記(1)記載の耐酸耐水性紙シートに存する。
【0011】
本発明は、(3)含蝋シェラックが、次亜塩素酸を含む漂白液により漂白されたものである上記(1)又は(2)に記載の耐酸耐水性紙シートに存する。
【0012】
本発明は、(4)含蝋シェラックが、脱蝋シェラックと、蝋とを混合したものである上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の耐酸耐水性紙シートに存する。
【0013】
本発明は、(5)脱蝋シェラックが、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの溶解成分から得られたものである上記(4)記載の耐酸耐水性紙シートに存する。
【0014】
本発明は、(6)蝋が、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの不溶成分である上記(4)又は(5)に記載の耐酸耐水性紙シートに存する。
【0015】
本発明は、(7)蝋が、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの不溶成分を、キシレンと混合し、再び遠心分離したときの不溶成分である上記(4)又は(5)に記載の耐酸耐水性紙シートに存する。
【0016】
本発明は、(8)蝋が顆粒状である上記(4)〜(7)のいずれか一つ記載の耐酸耐水性紙シートに存する。
【0017】
本発明は、(9)家蚕の産卵台紙に用いられる上記(1)〜(8)のいずれか一つ記載の耐酸耐水性紙シートに存する。
【0018】
本発明は、(10)含蝋シェラックとエタノールとからなる混合液を、天然繊維を含む紙の内部にまで含浸させ、該紙に付着した前記含蝋シェラックを硬化手段により硬化させる耐酸耐水性紙シートの製造方法に存する。
【0019】
本発明は、(11)混合液中の含蝋シェラックの濃度が3〜77質量%である上記(10)記載の耐酸耐水性紙シートの製造方法に存する。
【0020】
本発明は、(12)硬化手段が熱処理であり、該熱処理の条件が、温度150〜190℃、時間30〜60分である上記(10)又は(11)に記載の耐酸耐水性紙シートの製造方法に存する。
【0021】
本発明は、(13)硬化手段がマイクロ波の照射である上記(10)又は(11)に記載の耐酸耐水性紙シートの製造方法に存する。
【0022】
本発明は、(14)硬化手段がマイクロ波の照射であり、照射されるエネルギーが15〜21cal/cmである上記(10)又は(11)に記載の耐酸耐水性紙シートの製造方法に存する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の耐酸耐水性紙シートは、水素結合を有する緻密な天然繊維を含む紙を用い、含蝋シェラックを硬化させた硬化含蝋シェラックが紙の内部にまで付与されているので、水分や酸の侵入を抑制し、酸の加水分解による破損も抑制される。
したがって、上記耐酸耐水性紙シートは、耐酸性及び耐水性に優れる。
また、上記耐酸耐水性紙シートは、硬化含蝋シェラックの付与量を上記範囲とすることにより、紙を曲げても割れてさけることが防止される。
さらに、上記耐酸耐水性紙シートは、天然繊維を含む紙を用い、天然の熱硬化性樹脂である含蝋シェラックを硬化させた硬化含蝋シェラックを用いているので、人体に対して無害であり、生分解性にも優れる。
【0024】
上記耐酸耐水性紙シートにおいては、硬化含蝋シェラック中の蝋の付与量が1〜12μg/mmであると、より耐水性が向上する。
【0025】
上記耐酸耐水性紙シートにおいては、含蝋シェラックが、次亜塩素酸を含む漂白液により漂白されたものであると、蝋で表面に文字や模様を施すことにより、紙の染色時における染め分けが可能となる。また、染色印刷等を行う場合、各種の色との折り合いがよくなる。
【0026】
上記耐酸耐水性紙シートにおいては、含蝋シェラックが、脱蝋シェラックと、蝋とを混合したものであると、これらの配合を調整することにより、耐酸性及び耐水性をより一層向上させることができる。
特に、脱蝋シェラックが、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの溶解成分から得られたものであることが好ましい。
また、蝋が、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの不溶成分であることが好ましく、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの不溶成分を、キシレンと混合し、再び遠心分離したときの不溶成分であることがより好ましい。
【0027】
上記耐酸耐水性紙シートにおいては、蝋が顆粒状であると、耐酸性が更に向上する。
【0028】
上記耐酸耐水性紙シートは、家蚕の産卵台紙に好適に用いられる。なお、上記耐酸耐水性紙シートは、蚕の人工孵化工程において一般に行われる2%ホルマリンへの浸漬や、流水と軽いブラッシングによる洗浄や、塩酸液(3.5〜12.0N)への浸漬が行われても、紙の破損が抑制される。
【0029】
上記耐酸耐水性紙シートの製造方法は、含蝋シェラックとエタノールとからなる混合液を、天然繊維を含む紙の内部にまで含浸させるので、含蝋シェラックが紙の内部にまで十分に浸透する。そして、紙に付着した含蝋シェラックを硬化手段により硬化させることにより緻密な天然繊維(紙)の隙間が硬化含蝋シェラックにより充填される。
このため、得られる耐酸耐水性紙シートは、水分や酸の侵入を抑制し、酸の加水分解による破損が抑制されるので、耐酸性及び耐水性に優れる。
また、上記耐酸耐水性紙シートの製造方法は、天然繊維を含む紙、天然の熱硬化性樹脂である含蝋シェラック、人体に対して無害であるエタノールを用いているので、環境にやさしく、安全性にも優れる。
【0030】
ここで、上記硬化手段が、熱処理であり、該熱処理の条件が、上記範囲内であると、確実に含蝋シェラックを硬化させることができる。
また、上記硬化手段が、マイクロ波の照射であると、短時間で含蝋シェラックを硬化させることができる。なお、照射されるエネルギーは15〜21cal/cmであることが好ましい。
【0031】
上記耐酸耐水性紙シートの製造方法においては、混合液中の含蝋シェラックの濃度が3〜77質量%であると、得られる耐酸耐水性紙シートの耐酸性及び耐水性が確実に向上すると共に、紙を曲げても割れてさけることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明に係る耐酸耐水性紙シートの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、実施例において、耐酸性及び耐水性を測定する際に用いた試験機を示す図である。
【図3】図3は、実施例の耐酸性試験2の結果を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例の耐酸性試験3の結果を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例の耐酸性試験4の結果を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例の耐酸性試験5の結果を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例の耐酸性試験6の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0034】
図1は、本発明に係る耐酸耐水性紙シートの一実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る耐酸耐水性紙シート10は、紙1の全体に、含蝋シェラックを硬化させた硬化含蝋シェラック2が付与されている。
【0035】
上記耐酸耐水性紙シート10においては、硬化含蝋シェラック2の付与量が4〜59μg/mmである。なお、かかる付与量は、所定の大きさの紙1に付着している含蝋シェラック2の全質量を、紙1の全体積で割った値である。
硬化含蝋シェラック2の付与量が4μg/mm未満であると、耐酸耐水性が不十分となり、硬化含蝋シェラック2の付与量が59μg/mmを超えると、紙1を曲げると表面が割れてさける事態が生じる。
【0036】
上記耐酸耐水性紙シート10は、厚みが0.2〜0.6mmであることが好ましい。
厚みが0.2mm未満であると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、破損し易くなる傾向にあり、厚みが0.6mmを超えると、厚みが上記範囲内にある場合と比較して、紙1を曲げると表面が割れてさける傾向にある。
【0037】
上記紙1は、水素結合を有する天然繊維を含み、これを製紙したものである。なお、得られる紙1は、手漉きで作る和紙であってもよく、機械的、化学的に処理して作る洋紙であってもよい。
これらの中でも、含蝋シェラック2が浸透しやすいという観点から、紙1は天然繊維からなるものであることが好ましく、耐水性の観点から、特に和紙であることが好ましい。
【0038】
上記天然繊維としては、綿等の種子毛繊維、ミツマタ・コウゾ等の靭皮繊維、マニラ麻等の葉繊維、木材繊維等のセルロース系の植物繊維や羊毛、絹等のタンパク質系の動物繊維が挙げられる。
これらの中でも、天然繊維は、含蝋シェラックとの接着性の観点から、セルロース系の植物繊維であることが好ましく、特に、木材繊維であることが好ましい。
【0039】
硬化させる前の含蝋シェラックは、エタノール不溶の微細顆粒を含む蝋の含有割合が3〜77質量%であることが好ましく、3.9〜59.1質量%であることがより好ましく、9〜40質量%であることが更に好ましい。
蝋の含有割合が3質量%未満であると、蝋の含有割合が上記範囲内にある場合と比較して、耐酸耐水性が不十分となる傾向にあり、蝋の含有割合が77質量%を超えると、蝋の含有割合が上記範囲内にある場合と比較して、紙1を曲げると表面が割れてさける傾向にある。
【0040】
硬化含蝋シェラック2中の蝋の付与量は1〜12μg/mmであることが好ましい。
蝋の付与量が1μg/mm未満であると、蝋の付与量が上記範囲内にある場合と比較して、耐酸耐水性が不十分となる傾向にあり、蝋の付与量が12μg/mmを超えると、蝋の付与量が上記範囲内にある場合と比較して、紙1を曲げると表面が割れてさける傾向にある。なお、この付与量は、上述した付与量と同義である。
【0041】
また、上述した硬化させる前の含蝋シェラック中の蝋の含有割合が3〜77質量%であり、且つ、硬化含蝋シェラック2中の蝋の付与量が1〜12μg/mmであることがより好ましい。
【0042】
硬化させる前の含蝋シェラックは、脱蝋シェラックと、蝋とを混合したものであることが好ましい。
この場合、脱蝋シェラックと蝋との配合割合を調整することにより、耐酸性及び耐水性をより一層向上させることができる。
【0043】
ここで、上記脱蝋シェラックは、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの溶解成分から得られたものであることが好ましい。
また、蝋が、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの不溶成分の蝋(以下便宜的に「第1の蝋」という。)であることが好ましく、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの不溶成分を、キシレンと混合し、再び遠心分離したときの不溶成分の蝋(以下便宜的に「第2の蝋」という。)であることがより好ましい。
上記蝋が、第1の蝋であると、天然シェラック由来であるので、脱蝋シェラックとの相溶性が優れる。また、第2の蝋であると、理由は定かではないが、耐酸性が著しく向上する。
【0044】
上記蝋の形状は、特に限定されないが、顆粒状であることが好ましい。
この場合、顆粒状の蝋が填料、サイズ剤として機能するので、耐酸性が更に向上する。
したがって、本発明の耐酸耐水性紙シート10においては、含蝋シェラックが、上記脱蝋シェラックと顆粒状の第2の蝋とを混合したものであることが特に好ましい。
【0045】
硬化させる前の含蝋シェラックは、次亜塩素酸を含む漂白液により漂白されたものであってもよい。
この場合、耐酸耐水性紙シート10の表面に文字や模様を施すことができる。また、染色、印刷を行う場合の相性がよい。
【0046】
上記耐酸耐水性紙シート10において、硬化含蝋シェラック2には、添加剤が含まれていてもよい。
かかる添加剤としては、サイズ剤、バインダー、コーティング剤、フィラー、分散剤、湿潤剤、潤滑剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、難燃剤等が挙げられる。
【0047】
本実施形態に係る耐酸耐水性紙シート10は、家蚕用産卵台紙、壁紙等の用途に好適に用いられる。
これらの中でも、上記耐酸耐水性紙シート10は、蚕の産卵台紙に好適に用いられる。
この場合、上記耐酸耐水性紙シート10は、2%ホルマリンに浸漬されても、流水と軽いブラッシングにより洗浄されても、塩酸液(3.5〜12.0N)浸漬されても、紙1の破損が抑制される。
【0048】
上述したように、本実施形態に係る耐酸耐水性紙シート10は、水素結合を有する緻密な天然繊維を含む紙1を用い、含蝋シェラックを硬化させた硬化含蝋シェラック2がその内部にまで付与されているので、水分や酸の侵入を抑制し、酸の加水分解による破損も抑制される。
したがって、上記耐酸耐水性紙シート10は、耐酸性及び耐水性に優れる。なお、含蝋シェラックが未硬化のままであると、十分な耐酸性及び耐水性は得られない。
また、上記耐酸耐水性紙シート10は、含蝋シェラック2の付与量を上記範囲とすることにより、紙1を曲げても割れてさけることが防止される。
さらに、上記耐酸耐水性紙シート10は、天然繊維を含む紙1を用い、天然の熱硬化性樹脂である含蝋シェラック2を用いているので、人体に対して無害であり、生分解性にも優れる。
【0049】
次に、耐酸耐水性紙シート10の製造方法について説明する。
本実施形態に係る耐酸耐水性紙シート10の製造方法は、脱蝋シェラックと蝋とを混合し、含蝋シェラックを作製し、得られた含蝋シェラックとエタノールとからなる混合液を天然繊維を含む紙1の内部にまで含浸させ、該紙1に付着した含蝋シェラックを硬化手段により硬化させる。
【0050】
まず、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離する。そうすると、脱蝋シェラックの成分が溶解した溶解成分と、第1の蝋が沈殿した不溶成分とが得られる。
そして、溶解成分を取り出し、エタノールを除去することにより脱蝋シェラックが得られ、不溶成分を取り出し、第1の蝋が得られる。
【0051】
次いで、第1の蝋が沈殿した不溶成分とキシレンとを混合し、遠心分離する。そうすると、溶解成分と第2の蝋が沈殿した不溶成分とが得られる。
そして、不溶成分を取り出し、第2の蝋が得られる。
【0052】
次に、混合液を作製する。
かかる混合液は、脱蝋シェラックと蝋(第1の蝋又は第2の蝋)とを混合した含蝋シェラックをエタノールと混合させることにより得られる。このとき、混合液中の含蝋シェラックの濃度は、蝋を5質量%含有する場合には56〜103g/リットルとすることが好ましい。
含蝋シェラックの濃度が56g/リットル未満であると、蝋の付与量が上記範囲内にある場合と比較して、耐酸性及び耐水性が不十分となる傾向にあり、含蝋シェラックの濃度が103g/リットルを超えると、含蝋シェラックの濃度が上記範囲内にある場合と比較して、紙を曲げると表面が割れてさける傾向にある。
【0053】
次に、天然繊維を含む紙1に混合液を含浸させる。すなわち、混合液が紙1の内部にまで浸透するようにする。その後、乾燥させる。
そして、該紙1に付着した含蝋シェラックを硬化手段により硬化させる。
かかる硬化手段としては、熱処理やマイクロ波の照射が挙げられる。なお、熱処理をしながらマイクロ波の照射を施してもよい。
【0054】
硬化手段が熱処理である場合、該熱処理の条件が、温度150〜190℃、時間30〜60minであることが好ましい。
温度が150℃未満であると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、含蝋シェラックが十分に硬化しない傾向にあり、温度が190℃を超えると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、得られる耐酸耐水性紙シートが黄変し、紙を曲げると表面が割れてさけるおそれがある。
また、時間が30min未満であると、時間が上記範囲内にある場合と比較して、含蝋シェラックが十分に硬化しない傾向にあり、時間が60minを超えても、含蝋シェラックの硬化の度合いが向上しない傾向にある。
【0055】
硬化手段がマイクロ波である場合、混合液が含浸された紙1に対してのエネルギーの照射量を4〜23cal/cmとすればよい。
この場合、短時間で含蝋シェラックを硬化させることができると共に、加熱に伴う装置を設けなくても硬化を行えるので、耐酸耐水性紙シートの生産性が向上する。
【0056】
このとき、エネルギーの照射量を15〜21cal/cmとすることが好ましい。
エネルギーの照射量が15cal/cm未満であると、エネルギーの照射量が上記範囲内にある場合と比較して、強度が低下する傾向にあり、エネルギーの照射量が21cal/cmを超えると、エネルギーの照射量が上記範囲内にある場合と比較して、硬化が強くなり、耐酸耐水性はあるものの、紙が曲げに対して脆くなる傾向にある。
【0057】
例えば、このようなエネルギーを付与する方法としては、マイクロ波の照射の条件を、周波数2400〜2500MHz、線源の出力500W、線源から紙までの距離15〜17cm、紙を下台から離す距離1〜2cm、時間30〜120秒とすればよい。
【0058】
上述したように、耐酸耐水性紙シート10の製造方法は、含蝋シェラックとエタノールとからなる混合液を、天然繊維を含む紙1の内部にまで含浸させるので、含蝋シェラックが紙の内部にまで十分に浸透する。
そして、紙1に付着した含蝋シェラックを硬化手段により硬化させることにより緻密な天然繊維(紙)の隙間が硬化含蝋シェラック2により充填される。
このため、得られる耐酸耐水性紙シート10は、水分や酸の侵入を抑制し、酸の加水分解による破損が抑制されるので、耐酸性及び耐水性に優れる。
また、上記耐酸耐水性紙シートの製造方法は、天然繊維を含む紙、天然の熱硬化性樹脂である含蝋シェラック、人体に対して無害であるエタノールを用いているので、環境にやさしく、安全性にも優れる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
[耐酸性試験1]
(実施例1)
蝋の含有割合が5質量%の含蝋シェラックをエタノールと混合させ、エタノール中における含蝋シェラックの濃度が30g/リットルである混合液を得た。
これを、天然繊維を含むケント紙(厚み:0.35mm)に含浸させた後、乾燥し、150℃で30分間熱処理を施すことにより含蝋シェラックを硬化させた。その後、室温にて放冷し、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。
【0061】
(比較例1)
含蝋シェラックを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、試料を得た。
【0062】
(比較例2)
熱処理をしなかった(含蝋シェラックを硬化させなかった)こと以外は、実施例1と同様にして、試料を得た。
【0063】
(比較例3)
含蝋シェラックの代わりに、ゴーセノール(ポリビニルアルコール)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、試料を得た。
【0064】
(評価方法)
実施例1及び比較例1〜3で得られた試料を2%ホルマリンに1時間浸漬し、15分間流水で洗浄後、風乾した。乾燥後、比重1.1(25℃)の希塩酸に1時間浸漬し、その後の状態を目視にて評価した。なお、ケント紙の代わりに厚紙(天然繊維を含む)、ボール紙(天然繊維を含む)、コピー紙(天然繊維を含まない)を用いた場合についても評価した。また、ケント紙への付与量はそれぞれ16μg/mm、厚紙(厚み:0.32mm)への付与量はそれぞれ16μg/mmとし、ボール紙(厚み:0.62mm)への付与量はそれぞれ16μg/mmとし、コピー紙(厚み:0.1mm)への付与量はそれぞれ16μg/mmとした。
得られた結果を表1に示す。表中「変化なし」は、耐酸性試験前後において、変化がない状態を意味し、「破損」は、耐酸性試験後、試料が破れたことを意味する。なお、実施例1のコピー紙と、比較例3のボール紙は、強度が強かったが、塩酸の浸透を妨げることができず、水洗による塩酸の除去にかなりの時間を要した。
【0065】
【表1】

【0066】
表1の結果より、天然繊維を含む紙と、含蝋シェラックとの組合せにより、耐酸性及び耐水性が向上することが確認された。
【0067】
[耐酸性試験2]
(実施例2)
熱処理の温度を110℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0068】
(実施例3)
熱処理の温度を120℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0069】
(実施例4)
熱処理の温度を130℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0070】
(実施例5)
熱処理の温度を140℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0071】
(実施例6)
熱処理の温度を150℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0072】
(実施例7)
熱処理の温度を160℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0073】
(実施例8)
熱処理の温度を180℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0074】
(実施例9)
熱処理の温度を190℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0075】
(評価方法)
実施例1〜9及び比較例2で得られた試料を2%ホルマリンに1時間浸漬し、15分間流水で洗浄後、風乾した。乾燥後、比重1.1(25℃)の希塩酸に1時間浸漬し、その後、流水中で15分間洗浄した。
そして、図2に示す試験装置で、耐酸性及び耐水性を試験した。
具体的には、図2に示すように、可動テーブル11上に、水中から引き上げた試料14を濡れたまま載置し、アーム12に連結された摩擦体13を試料14に当接させた状態で、可動テーブル11をスライドさせた。なお、摩擦体13としては、2.5cm角のサイズの天然ゴムスポンジを用い、垂直方向に上から603gの加重をかけた。また、可動テーブル11は、1分間に170回の速度で前後にスライドさせ、動作長は3.5cmとした。さらに、往復回数を100回とした。
【0076】
その後、各試料を乾燥させ、蛍光灯が配置されたライトボックスに載置し、デジタルカメラで白黒撮影をした。そして、デジタル画像の各ピクセルの濃度を、濃度値が0(白)から255(黒)までの範囲で測定し、その平均値を算出した。
試料の摩耗していない部分の値を1とし、摩耗して穴が開いた場合を0として、得られた平均値を標準化し、標準化した値を耐酸性度とした。
得られた結果(耐酸性及び耐水性度)のグラフを図3に示す。
【0077】
図3の結果より、実施例1〜9における熱処理の温度110〜190℃の範囲では、酸処理後の耐摩耗性(耐酸性及び耐水性)の向上が顕著に認められた。特に温度が150〜190℃であれば、耐酸性及び耐水性が十分に優れると言える。
一方、実施例7〜9における熱処理の温度170℃以上では、温度が高くなる程、試料の硬化が認められ、190℃を超えると紙が硬化する傾向にあった。なお、事前に行った試験では、熱処理温度200℃とすると、得られる試料は、より硬化し、紙を曲げるとより割れ目や裂け目が生じる場合があった。
【0078】
[耐酸性試験3]
(実施例10)
含蝋シェラックの代わりに含蝋シェラックを次亜塩素酸で脱色した含蝋脱色シェラックを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0079】
(比較例4)
蝋の含有割合が5質量%の含蝋シェラックの代わりに、蝋の含有割合が0質量%の脱蝋シェラックを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、試料を得た。なお、脱蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0080】
(評価方法)
実施例6,10及び比較例1,4で得られた試料を、耐酸性試験2と同様にして、耐酸性及び耐水性度を測定した。
但し、実施例6の紙厚の値を1とし、摩耗して穴が開いた場合を0として、得られた平均値を標準化し、標準化した値を耐酸性度とした。
得られた結果(耐酸性及び耐水性度)のグラフを図4に示す。
【0081】
図4の結果より、実施例6及び10における試料は、塩酸液があまり浸透せず、耐酸性及び耐水性に優れるものであった。
一方、比較例1における試料は、破れて穴があいた。比較例4における試料は、実施例6及び実施例10の試料よりも、耐酸性及び耐水性が劣った。
また、比較例4における試料は、撥水性を持つ填料・サイズ剤として機能する蝋が入っていないため、紙に塩酸が浸透し、沈むこと、及び、浸透が原因で洗浄時の塩酸の抜けが悪いこと、から、産卵台紙としては不適当であった。
【0082】
[耐酸性試験4]
(実施例11〜15)
蝋の含有割合が0質量%の脱蝋シェラックと、天然シェラックから抽出した蝋を、それぞれ別々にエタノールに溶解させ、下記表2に示す塗布量となるようにして、天然繊維を含むケント紙(厚み:0.35mm)に含浸させた。
その後、乾燥し、170℃で30分間熱処理を施すことにより含蝋シェラックを硬化させた。そして、室温にて放冷し、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。
【0083】
【表2】

【0084】
(評価方法)
実施例11〜15及び比較例4で得られた試料を、図2に示す摩擦体13としては、2.5cm角のサイズの天然ゴム板を用いた以外は耐酸性試験2における評価方法と同様にして、耐酸性及び耐水性度を測定した。
得られた結果(耐酸耐水性)のグラフを図5に示す。
【0085】
図5の結果より、蝋と脱蝋シェラックの付与量(合計密度)を16μg/mmとしたとき、蝋の付与量が1.4μg/mm(蝋割合18質量%)では、耐酸性及び耐水性を十分に示し、2.9μg/mm以上では、耐酸性及び耐水性を確実に示すことがわかった。なお、12.3μg/mm(蝋割合77質量%)以上であると、紙が硬化する傾向にあった。
【0086】
[耐酸性試験5]
(実施例16〜19)
蝋の含有割合が0質量%の脱蝋シェラックと、天然シェラックから抽出した蝋を、それぞれ別々にエタノールに溶解させ、下記表3に示す塗布量となるようにして、天然繊維を含むケント紙(厚み:0.35mm)に含浸させた後、乾燥し、170℃で30分間熱処理を施すことにより含蝋シェラックを硬化させた。その後、室温にて放冷し、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。
【0087】
【表3】

【0088】
(評価方法)
実施例16〜19で得られた試料を、耐酸性試験4における評価方法と同様にして、耐酸性及び耐水性度を測定した。
得られた結果(耐酸性及び耐水性度)のグラフ(散布図)を図6に示す。
【0089】
図6の結果より、含蝋シェラックの付与量が25.1μg/mmまではおおむね直線的に耐酸性及び耐水性が増加するが、それ以上では含蝋シェラック付与量の増加の割には強度の増加が少なくなった。
そして、含蝋シェラックの付与量が59.1μg/mmでは紙が硬化する場合があった。
また、近似曲線を利用して、既存紙程度の強度を発揮する含蝋シェラック付与量を算出すると、おおむね3.9μg/mmであった。
【0090】
[耐酸性試験6]
(実施例20)
熱処理の代わりに、周波数2450MHz、線源の出力500Wのマイクロ波を用い、照射量4cal/cmのエネルギーで硬化させたこと以外は、実施例1と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0091】
(実施例21)
エネルギーの照射量を6cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0092】
(実施例22)
エネルギーの照射量を8cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0093】
(実施例23)
エネルギーの照射量を10cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0094】
(実施例24)
エネルギーの照射量を12cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0095】
(実施例25)
エネルギーの照射量を13cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0096】
(実施例26)
エネルギーの照射量を15cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0097】
(実施例27)
エネルギーの照射量を17cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0098】
(実施例28)
エネルギーの照射量を19cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0099】
(実施例29)
エネルギーの照射量を21cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0100】
(実施例30)
エネルギーの照射量を23cal/cmとしたこと以外は、実施例20と同様にして、耐酸耐水性紙シートからなる試料を得た。なお、含蝋シェラックの付与量は16μg/mmであった。
【0101】
(評価方法)
実施例20〜30で得られた試料を、図2に示す摩擦体13の往復回数を10回としたこと以外は耐酸性試験4における評価方法と同様にして、耐酸性及び耐水性度を測定した。
得られた結果(耐酸耐水性)のグラフを図7に示す。
【0102】
図7の結果より、電磁波で与えたエネルギーの照射量が15cal/cm以上であると強度が増加した。そして、エネルギー量が21cal/cmを超えると、硬化が強くなり、耐酸耐水性はあるものの、紙が曲げに対して極度に脆くなった。
【符号の説明】
【0103】
1・・・紙
2・・・硬化含蝋シェラック
10・・・耐酸耐水性紙シート
11・・・可動テーブル
12・・・アーム
13・・・摩擦体
14・・・試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然繊維を含む紙に、含蝋シェラックを硬化させた硬化含蝋シェラックが付与された耐酸耐水性紙シートであって、
前記硬化含蝋シェラックの付与量が4〜59μg/mmである耐酸耐水性紙シート。
【請求項2】
前記硬化含蝋シェラック中の蝋の付与量が1〜12μg/mmである請求項1記載の耐酸耐水性紙シート。
【請求項3】
前記含蝋シェラックが、次亜塩素酸を含む漂白液により漂白されたものである請求項1又は2に記載の耐酸耐水性紙シート。
【請求項4】
前記含蝋シェラックが、脱蝋シェラックと、蝋とを混合したものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐酸耐水性紙シート。
【請求項5】
前記脱蝋シェラックが、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの溶解成分から得られたものである請求項4記載の耐酸耐水性紙シート。
【請求項6】
前記蝋が、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの不溶成分である請求項4又は5に記載の耐酸耐水性紙シート。
【請求項7】
前記蝋が、天然シェラックとエタノールとを混合し、遠心分離したときの不溶成分を、キシレンと混合し、再び遠心分離したときの不溶成分である請求項4又は5に記載の耐酸耐水性紙シート。
【請求項8】
前記蝋が顆粒状である請求項4〜7のいずれか一項に記載の耐酸耐水性紙シート。
【請求項9】
家蚕の産卵台紙に用いられる請求項1〜8のいずれか一項に記載の耐酸耐水性紙シート。
【請求項10】
含蝋シェラックとエタノールとからなる混合液を、天然繊維を含む紙の内部にまで含浸させ、該紙に付着した前記含蝋シェラックを硬化手段により硬化させる耐酸耐水性紙シートの製造方法。
【請求項11】
前記混合液中の含蝋シェラックの濃度が3〜77質量%である請求項10記載の耐酸耐水性紙シートの製造方法。
【請求項12】
前記硬化手段が熱処理であり、該熱処理の条件が、温度150〜190℃、時間30〜60分である請求項10又は11に記載の耐酸耐水性紙シートの製造方法。
【請求項13】
前記硬化手段がマイクロ波の照射である請求項10又は11に記載の耐酸耐水性紙シートの製造方法。
【請求項14】
前記硬化手段がマイクロ波の照射であり、照射されるエネルギーが15〜21cal/cmである請求項10又は11に記載の耐酸耐水性紙シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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