説明

耐風・耐震在来赤瓦

【課題】主に沖縄地方で採用されている赤瓦屋根等のモルタルを介して固定する本葺き瓦の固定強度を上げ、耐風・耐震性能を向上させる。
【解決手段】本葺き瓦屋根のオス瓦(丸瓦)4の裏面に1個以上の突起状部を設け、団子モルタル6にオス瓦4を押し付けると、この突起状部がモルタルに食い込み、同時にメス瓦5とモルタル8が一体化されて固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
屋根下地9とメス瓦5、メス瓦5とオス瓦4の隙間をモルタル6、8で埋め、オス瓦4 とメス瓦5の 繋目を漆喰7で隙間無く目地張りする、主に沖縄地方で採用されている、 赤瓦屋根用の耐風・耐震在来瓦。
【背景技術】
【0002】
沖縄地方では、屋根下地9の上にモルタル8を塗り、屋根の上下方向にはメス瓦5を、上側のメス瓦が下側のメス瓦の上に一部重なるように、左右方向には隣接するメス瓦の間に少し隙間を設けて並べ、左右に隣接するメス瓦間の繋目の上に団子モルタル6を置いてその上にオス瓦4を固定していく在来赤瓦葺きが行われている。
【0003】
更にオス瓦4の下方半円形断面の左右下端はメス瓦面5と接する。この繋目に上から漆喰7を十分塗って目地張りをする。
【0004】
漆喰7が経年劣化するまでは結構耐風・耐震性能は確保できる施工方法である。
【0005】
然し漆喰7が劣化してヒビ割れや一部欠落してしまうとその割れ目から風が入り簡単にオス瓦4が剥がれてしまうし耐震性も落ちる。
【0006】
台風の時にはその被害は甚大で、沖縄県内で一度に数十件の被害が発生し、一件当たりの被害金額は40〜50万円になるので、年間5〜6回の台風に見舞われる沖縄ではかなりの被害額にのぼることになる。
【0007】
和瓦や平板瓦の耐風・耐震対策としては色々な方式や技術が開発実用化されている。
【0008】
主なるものは、上下、左右に又は上下左右ともに隣接する瓦同士の係合突起と差込受け部の係合による一体化によるか又は釘等を用いて屋根板に固定する、もしくは桟木に固定具を設けて瓦を固定する方式である。
【0009】
特開2003−56124、特開2003−33635、特開2003−343040などは前者に属するし、特開2001−349004、特開2003−206596などは後者に属するものである。
【0010】
これ等の方式はいずれも瓦の構造を複雑にし金型コストを高くするうえに瓦葺き作業も作業工賃の増加を余儀なくさせる。
【特許文献1】特開2003−56124
【特許文献2】特開2003−33635
【特許文献3】特開2003−343040
【特許文献4】特開2001−349004
【特許文献5】特開2003−206596
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
在来瓦のコストアップを招かず、屋根葺き作業の、工賃を上げることのない耐風・耐震在来赤瓦を実現すること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
在来瓦屋根においては、屋根下地9とメス瓦5、横に並んだメス瓦5の隙間やメス瓦5 とオス瓦4の重合せ空間に団子状モルタル6などを隙間無く詰めて瓦を葺く。
【0013】
従って夫々の瓦をモルタル6、8に固定すれば瓦同士が一体化され、おのずと耐風・耐震性は向上する。
【0014】
オス瓦1の裏面に簡単な線や面図形の突起2を設け、オス瓦4を団子モルタル6に押し付けるように葺き、突起部2をモルタル6に食い込ませることでオス瓦4とトモルタル6及びメス瓦5とモルタル8が一体化されて耐風・耐震性を向上させることが出来る。
【0015】
突起部2の形状は特定する必要はないが、風の吹く方向が一定でない事を考えると四方八方からの力を受け止められる面図形又は線図形と面図形の組み合わせが有効である。
【0016】
美観的に工夫した模様でも良いが、施工後は人目に触れないし、金型の製作コストを考慮すれば円や楕円、横棒、縦棒形等の単純図形やそれらの組み合わせが有効である。
【0017】
又突起の高さとしては、瓦を葺くときに手で押し付けてモルタルに食い込ませ保持力を確保でき得る高さとして5mm以上15mm以下が適当である。
【0018】
請求項1は、在来赤瓦のオス瓦の裏面に一個以上の突起部2を有するオス瓦を特定する。突起部の形状は問わないし、色々な形状の組合せでも良い。
【0019】
請求項2は、その突起部2の高さが5mm以上であることを特定している。
【0020】
5mm以下では突起部2のモルタル6への食い込み量が少なく耐風・耐震効果が期待できない。
【0021】
高さの制限はしていないが、現場での作業性を考慮すると15mm以下が実用的と思われる。
【0022】
請求項3は、突起部2の構成に線・面または任意の模様図形及びその組み合わせが可能であることを述べている。
【0023】
請求項4は、面模様の周縁より内部に凹部を有する面模様を特定している。
【0024】
このような面模様は、より耐風・耐震の改善に効果を発揮する。
【0025】
請求項5は、オス瓦4の裏面に突起部2を有する請求項1記載のオス瓦4表面で、メス瓦5との接線部から3cm高さ以内の部分に凹凸を有する線または面図形を有することを特定している。
【0026】
オス瓦4の裏面のみならず表面に模様3をつけることでも耐風・耐震効果をより一層高めることが出来る。
【0027】
この部分での固定は、メス瓦5とオス瓦4の接線部を漆喰7で固定するもので、オス瓦4裏面の突起部2を団子モルタル6に食い込ませて固定し、耐風・耐震を持たせる機能の補助的な役割を果たす。
【実施例】
【0028】
図1〜図4に基づき、在来赤瓦のオス瓦実施の一形態を示し説明するが本件発明はこれに限定されるものではない。図1、図4に示す各寸法は次の通り。
【0029】
L:300mm ,l1: 50mm ,l2: 45mm
H: 80mm ,h1: 48mm ,h2: 65mm ,h3: 30mm,W:150mm ,w1:108mm ,w2: 90mm
【0030】
オス瓦裏面の凸状図形2は、8個の線図形であり、長さ45mm、幅10mm、高さは9mmとした。
【0031】
また表面の凹状線図形3は金型または手書きで模様付けしている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】在来赤瓦のオス瓦図正面図
【図2】在来赤瓦のオス瓦図左側面図
【図3】在来赤瓦のオス瓦図右側面図
【図4】在来赤瓦のオス瓦図底面図
【図5】瓦葺き図
【符号の説明】
【0033】
記号 1 正面図 6 団子モルタル
2 オス瓦裏面の線状突起部 7 漆喰
3 オス瓦表面の凹状線図形 8 モルタル
4 オス瓦 9 コンクリート(屋根下地)
5 メス瓦




【特許請求の範囲】
【請求項1】
瓦の裏面に一個以上の突起状部を有する在来瓦のオス瓦。
【請求項2】
突起の高さが5mm以上である事を特徴とする請求項1に記載の在来瓦の
オス瓦。
【請求項3】
突起の形状が線、面または任意の模様や図形及びその組合せからなる請求
項1、2に記載の在来瓦。
【請求項4】
突起面図形の周縁より内部に凹部を有する事を特徴とする請求項3に記載
の在来瓦。
【請求項5】
オス瓦の表面で、カマボコ形の断面の左右下端部より30mm以内の側面
部分に凹凸を有する線又は面図形を有する請求項1に記載の在来瓦のオス瓦。































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−9443(P2006−9443A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189078(P2004−189078)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(594079350)有限会社八幡瓦工場 (1)