説明

耳掛け型身体装着具

【課題】身体装着具における肌対向面を保護するシートの使用量を最小限にとどめることができる耳掛け型身体装着具を提供すること。
【解決手段】身体装着具10は耳掛け型のものであり、使用時に使用者の身体の側を向く内面21及び外方を向く外面22を有する本体部20を備える。本体部20は、その内面の略全域が保護シート30によって覆われている。保護シート30は本体部20の周縁域において本体部20と接合されており、その接合は少なくとも一部が剥離可能なものである。保護シート30が、使用時に耳掛け部として用いるものであることが好適である。保護シート30が非通気性シートからなり、かつ本体部20の内面21を気密に覆っていることも好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の身体に取り付けられて使用される身体装着具に関し、特に、マスクやアイマスクのような耳掛け型の身体装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に使用されているマスクやアイマスク等の耳掛け型身体装着具は、その使用前まで、接肌面の衛生状態を保つこと等の遮蔽性を目的として、個別に又は複数枚が積層されて外袋内に収容された状態で保存される。使用時には外袋を開封し、身体装着具を取り出して耳掛け部を耳に掛けて肌面に装着する。身体装着具を収容していた袋は不要物として廃棄される。しかし、昨今の省資源・エコロジーの観点から、廃棄物が極力生じないようにすることが望まれている。
【0003】
一方、使い捨てカイロの技術分野において、使用前のカイロを外気と触れさせないようにするための外袋を不要にする技術が提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−284193号公報
【特許文献2】実開昭61−80015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記の文献に記載されている使い捨てカイロは、そのまま手に持って、又はポケットに入れて使用するものであるか、衣類などに貼って使用するものである。したがって同文献には、耳掛け部について何ら検討がなされていない。
【0006】
本発明の課題は、使用時に発生する廃棄物の量を少なくしつつ、使用前まで肌対向面の衛生状態を保つことができる耳掛け型身体装着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、使用時に使用者の身体の側を向く内面及び外方を向く外面を有する本体部と、該本体部に対してその一部が剥離不能に接合されている耳掛け部とを備え、該本体部は、その内面の略全域が保護シートによって覆われており、該保護シートは該本体部の周縁域において該本体部と接合されており、その接合は少なくとも一部が剥離可能なものである耳掛け型身体装着具を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の耳掛け型身体装着具によれば、該身体装着具における肌対向面が保護シートによって覆われているので、本体部や耳掛け部の接肌面の衛生状態を保つことが可能であるため衛生的且つ手軽に使用できる。とりわけ、使用時に該保護シートを耳掛け部として利用する実施形態の場合、特に廃棄物の発生を抑えることができ非常に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、本発明の身体装着具の第1の実施形態を、保護シートが設けられている側からみた平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す身体装着具における本体部のみを示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す身体装着具における保護シートを本体部から剥離して左右に展開した状態を示す平面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態の身体装着具を発熱具に適用した場合の構造を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の身体装着具の第2の実施形態を、保護シートが設けられている側からみた平面図である。
【図5】図5(a)は、本発明の身体装着具の第3の実施形態を示す斜視図であり、図5(b)は、図5(a)におけるb−b線断面図(図3相当図)であり、図5(c)は、図5(a)に示す状態の身体装着具を使用するときの状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の身体装着具の第4の実施形態を、第2保護シートを一部剥離して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)に示す第1の実施形態の身体装着具10は、本体部20と保護シート30とを備えている。本体部20は扁平であり、身体装着具10の使用時に、使用者の肌の側を向く内面21と、外側を向く外面(図示せず)とを有している。
【0011】
図1(b)に示すように、本体部20は、長手方向Xと、これに直交する幅方向Yとを有する横長の形状をしている。本体部20は、長手方向Xに延びる上辺23及び下辺24を有している。また本体部は、幅方向Yに延びる左側辺25及び右側辺26を有している。上辺23及び下辺24は、それらの中央域が、外側に向けてやや膨出した凸の曲線を描いている。左側辺25及び右側辺26は、それらの中央域が、内側に向けてやや湾曲した凹の曲線を描いている。上辺23及び下辺24と、左側辺25及び右側辺26とは、滑らかに連なっている。本体部20は、幅方向Yに延びる縦中心線Lに関して左右対称の形状になっている。
【0012】
保護シート30は1枚のシート材からなり、本体部20における内面21上に配置されている。保護シート30は、身体装着具10が使用されるまでの間、本体部20における内面21を保護する目的で用いられる。保護シート30はその輪郭が、本体部20の輪郭と略一致している。そして、保護シート30は、本体部20における内面21の略全域を覆うように、内面21上に配置されている。したがって、本体部20の内面21は、その略全域が外方に露出した状態になっていない。
【0013】
保護シート30は、本体部20の左側辺25及び右側辺26を含む所定幅の側縁域25a,26aに沿って、本体部20と剥離不能に接合されている剥離不能接合部(斜線部)を有する。保護シート30は、側縁域25a,26aの全域にわたって、本体部20と連続的に接合されている。つまり、側縁域25a,26aにおいては、本体部20と保護シート30との間に非接合部位が存在していない。
【0014】
上述した「剥離不能」とは、保護シート30を本体部20から剥離したときに、両者の接合部に材料破壊が生じるほどの高い接合力で両者が接合されていることをいう。側縁域25a,26aにおける本体部20と保護シート30との接合手段は、これらを構成する材料の種類に応じて適切な手段が用いられる。例えば接合手段として、熱融着、超音波接合、接着剤を用いた接着、縫着等を用いることができる。
【0015】
保護シート30は、本体部20の上辺23及び下辺24を含む所定幅の上辺域23a及び下辺域24aに沿って、本体部20と剥離可能に接合されている剥離可能接合部(ドット部)を有する。保護シート30は、上辺域23a及び下辺域24aの全域にわたって、本体部20と連続的に接合されている。つまり、上辺域23a及び下辺域24aにおいては、本体部20と保護シート30との間に非接合部位は存在していない。
【0016】
上述した「剥離可能」とは、保護シート30を本体部20から剥離したときに、両者の接合部に材料破壊が生じる前に、両者が分離することをいう。上辺域23a及び下辺域24aにおいて本体部20と保護シート30とを剥離可能に接合するための接合手段としては、いわゆるイージーシールと呼ばれる剥離可能な接合手段を採用することができる。また、本体部20及び保護シート30の一方に、シリコーン等を用いた剥離処理を施すとともに、他方に接着剤を塗布するという手段を採用しても良い。
【0017】
以上のとおり、保護シート30は、本体部20の周縁域の全域にわたって該本体部20と連続的に接合している。つまり該周縁域においては、本体部20と保護シート30との間に非接合部位は存在していない。しかし、該周縁域よりも内側の領域の全域においては、保護シート30と本体部20の内面21とは非接合の状態になっている。したがって、身体装着具10の使用前の状態においては、本体部20の内面21、すなわち身体装着具10の使用時に使用者の肌と対向する面は、保護シート30によって保護されており、外部との接触が阻止されている。これによって、内面21は、身体装着具10が使用されるまでの間、衛生的な状態が保たれる。なお、場合によっては、本体部20の周縁域において、内面21の衛生的な状態が保たれる程度に、該本体部20と保護シート30との間に非接合部位が存在しても良い。
【0018】
保護シート30には、本体部20を左右に二分する縦中心線Lに沿って縦方向切断誘導線31が1本設けられている。縦方向切断誘導線31は直線状に延びている。縦方向切断誘導線31は、例えばミシン目やドット状開孔群の列から構成されている。なお、縦方向切断誘導線31は、本体部20と保護シート3との間の密閉性を保つ必要がある場合には、密閉性を有する切断誘導処理が成されていると良い。密封性を有する切断誘導処理としては、例えば保護シート30をフィルムとアルミニウム箔等の金属箔との積層構造となし、ミシン目を該フィルムにのみ形成する処理が挙げられる。この場合、フィルムは、外方を向くように配置されてもよく、あるいは本体部20に臨むように配置されてもよい。また、別の切断誘導処理として、ハーフカットのミシン目を形成する処理、すなわち保護シート30の厚み方向全域を貫通しないような切断を行ったミシン目を形成する処理が挙げられる。更に、保護シート30にミシン目やドット状開孔群を構成し、そのミシン目やドット状開孔群上に非通気性のテープを貼る処理や、ミシン目を粘着剤で貼り合わせる処理を採用することもできる。
【0019】
また保護シート30には、縦中心線Lを挟んだ左右の位置に、本体部20の長手方向Xと同方向に延びる横方向切断誘導線32が1本ずつ設けられている。横方向切断誘導線32は、本体部20の幅方向Yにおける略中央部に位置している。横方向切断誘導線32における外方側の端部32aは、側縁域25a,26aにまでは達していない。一方、横方向切断誘導線32における内方側の端部32bは、縦中心線Lにまでは達していない。先に述べた縦方向切断誘導線31と同様に、横方向切断誘導線32もミシン目やドット状開孔群の列から構成することができ、本体部20と保護シート3との間の密閉性を保つ必要がある場合には、密閉性を有する切断誘導処理が成されていると良い。
【0020】
縦方向切断誘導線31及び横方向切断誘導線32に加え、保護シート30には、縦方向第2切断誘導線33が設けられている。縦方向第2切断誘導線33は、縦中心線Lを挟んだ左右の位置に、縦中心線Lから所定の距離を隔てて縦中心線Lと同方向に延びるように1本ずつ設けられている。縦方向第2切断誘導線33はその略中央部において、横方向切断誘導線32の内方側の端部32bと連続している。その結果、縦方向第2切断誘導線33と横方向切断誘導線32とで、T字状の切断誘導線が形成される。先に述べた縦方向切断誘導線31と同様に、縦方向第2切断誘導線33もミシン目やドット状開孔群の列から構成することができ、本体部20と保護シート3との間の密閉性を保つ必要がある場合には、密閉性を有する切断誘導処理が成されていると良い。
【0021】
図2には、図1に示す身体装着具10を使用するときの状態が示されている。図1に示す身体装着具10を使用する場合には、縦方向切断誘導線31に沿って保護シート30を左右に二分する。この操作によって、保護シート30は、互いに対称形である左半部30aと右半部30bとに分かれる。先に述べたとおり、保護シート30と本体部20とは、本体部20の上辺域23a及び下辺域24aにおいて剥離可能に接合されているので、保護シート30の左半部30a及び右半部30bを、これらの領域において本体部20から剥離して左右に展開することができる。図2はこの状態を示している。この場合、保護シート30と本体部20とは、本体部20の側縁域25a,26aにおいて剥離不能に接合されているので、保護シート30の左半部30a及び右半部30bは、本体部20から分離せず、本体部20と一体の状態が保たれている。
【0022】
縦方向切断誘導線31に沿って保護シート30を二分する操作に加えて、保護シート30の左半部30a及び右半部30bにそれぞれ形成されている横方向切断誘導線32及び縦方向第2切断誘導線33に沿って、右半部30a及び左半部30bを開裂する操作も行う。これによって、左半部30a及び右半部30bには開口部31a,31bが形成される。これら一連の操作によって、保護シート30から、開口部31a,31bをそれぞれ有する左右一対の耳掛け部40a,40bが形成される。
【0023】
図2に示す状態の身体装着具10は、左右の耳掛け部40a,40bにおける開口部31a,31bを耳に通すことで本体部20を肌面に接触させて固定することができる。この場合、本体部20を使用者の鼻から顎にかけての部位に接触させれば、通常のマスクと同様に用いることができる。また、本体部20を使用者の両眼に接触させれば、アイマスクとして用いることができる。そして、身体装着具10の使用の直前までは、本体部20の周縁域に剥離可能に接合されている保護シート30によって本体部20の内面21は覆われているので、該内面30の衛生的な状態が維持されたままになっている。また、内面21を保護する保護シート30は、身体装着具10の使用中、耳掛け部40a,40bとして用いられるので、廃棄物が一切発生しないという利点もある。
【0024】
内面21の衛生的な状態を確実に維持する観点からは、保護シート30は、非通気性の材料から構成することが好ましい。この場合には、本体部20の周縁部と保護シート30との接合を上述のとおり連続的に行い、縦方向切断誘導線31や横方向切断誘導線32や縦方向第2切断誘導線33も使用時までは本体部20と保護シートとの間の密閉性を有する切断誘導処理が成され、該保護シートが本体部20の内面21を気密に覆うようにすることが好ましい。内面21を保護する程度によっては、保護シート30として通気性のものを用いてもよく、あるいは、本体部20の周縁部と保護シート30との接合を断続的に行ってもよい。
【0025】
身体装着具10における本体部20の構成材料は、該本体部20を使用者の身体のどの部位に接触させるかに応じて適切なものが選択されて用いられる。例えば、本体部20を使用者の鼻から顎にかけての部位に接触させる場合には、通気性を有し、かつ肌触りの良好な柔軟な材料から本体部20を構成することが好ましい。そのような材料としては、各種の織物地、編み物地、不織布、それらの複合材料等を用いることができる。
【0026】
前記の材料から本体部20を構成することに加えて、該本体部20に付加的な機能を付与する材料を、該本体部20に含めることもできる。例えば本体部20の内部に活性炭等のガス吸着剤や消臭剤等を含ませておくことができる。また、本体部20に香料を含ませておくこともできる。
【0027】
本体部20に発熱体を含ませておき、身体装着具10の使用時に、該発熱体が発熱するようにしてもよい。この場合には、身体装着具10を温熱アイマスクや蒸気温熱マスクとして用いることが好適である。温熱を目に付与することで、目の疲れが緩和され、また目の隈が軽減されるという利点がある。蒸気温熱を喉鼻に付与することで、喉鼻を湿潤に保つことが可能となるという利点がある。
【0028】
前記の発熱体としては、例えば被酸化性金属の酸化熱、酸とアルカリとの中和熱、無機塩類の水和熱等を利用する材料を用いることができる。被酸化性金属の酸化熱を利用して発熱させる場合には、本体部20における外面を非通気性のシートから構成するとともに、上述した保護シート30も非通気性のシートから構成し、それらの間に発熱体を配し、縦方向切断誘導線31や横方向切断誘導線32や縦方向第2切断誘導線33も使用時までは本体部20と保護シート3との間の密閉性を有する切断誘導処理が成されることで、身体装着具10の使用前まで、発熱体を外気との接触を確実に断つことができる。
【0029】
図3には、被酸化性金属の酸化熱を利用した発熱体を有する身体装着具10の構造の一例が示されている。同図は、先に説明した図1に対応する状態(つまり、使用前の状態)を示している。同図に示す身体装着具10における本体部20は、内側シート40と、外側シート41とを有している。内側シートは、身体装着具10の使用時に内面21となる。外側シート41は外面22となる。両シート40,41はそれらの周縁部において接合されて袋状となり、内部に空間を形成している。この空間には発熱体42が2個配置されている。2個の発熱体42は、本体部20の長手方向Xに沿って配置されている。各発熱体42は、本体部50を使用者の両眼を覆うように配置したときに、各発熱体42が左右の目の上に位置するように配置されている。内側シート40と外側シート41の周縁部において接合されて形成された袋体内には、発熱体42が複数個収容されていても良く(図3においては2個)、この場合、袋体内での発熱体42の移動を防止することを目的として、内側シート40と外側シート41を、それらの周縁部よりも内方の領域において接合し、それによって形成された個々の区画内に発熱体42を収容してもよい。これに代えて、各発熱体42の一部を、内側シート40及び/又は外側シート41に固定してもよい。
【0030】
以上の構成の身体装着具10においては、外側シート41として、熱可塑性樹脂のフィルム等の非通気性シートを用いればよい。あるいは、非通気性シートと不織布等の繊維シートとの積層シートを用いることもできる。一方、内側シート40として、不織布シート等の繊維シートからなる通気性シートを用いればよい。そして、保護シート30として、非通気性シートを用いればよい。
【0031】
次に、本発明の第2〜第4の実施形態を、図4〜図6を参照しながら説明する。これらの実施形態については、先に述べた第1の実施形態と異なる点について説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態について詳述した説明が適宜適用される。また、図4〜図6において、図1〜図3と同じ部材には、同じ符号を付してある。
【0032】
図4に示す第2の実施形態の身体装着具10は、保護シートの構成が第1の実施形態と相違している。第1の実施形態では保護シートは1枚用いられていたが、本実施形態では2枚の保護シートが用いられている。詳細には、本実施形態における保護シートは、本体部20の縦中心線Lに対して左半部と同形をしている第1のシート材からなる第1保護シート30Aと、本体部20の縦中心線Lに対して右半部と同形をしている第2のシート材からなる第2保護シート30Bとから構成されている。第1保護シート30Aは、本体部20の左半部の全域を覆うように本体部20の内面上に配置されている。一方、第2保護シート30Bは、本体部20の右半部の全域を覆うように本体部20の内面上に配置されている。
【0033】
第1保護シート30Aは、本体部10の左側側縁域25aに沿って、側縁域25aと剥離不能に接合されている。これとともに第1保護シート30Aは、本体部20の上辺域23a及び下辺域24aに沿って本体部20と剥離可能に接合されている。更に第1保護シート30Aは、本体部10の縦中心線Lに沿う自由側縁域27Aにおいて本体部20と剥離可能に接合されている。第2保護シート30Bについても同様であり、第2保護シート30Bは、本体部10の右側側縁域26aに沿って、側縁域26aと剥離不能に接合されている。これとともに第2保護シート30Bは、本体部20の上辺域23a及び下辺域24aに沿って本体部20と剥離可能に接合されている。更に第2保護シート30Bは、本体部10の縦中心線Lに沿う自由側縁域28Aにおいて本体部20と剥離可能に接合されている。
【0034】
第1及び第2保護シート30A,30Bには、これらが図4に示す配置状態において、本体部20の長手方向と同方向に延びる横方向切断誘導線32が1本ずつ設けられている。横方向切断誘導線32に関する詳細は第1の実施形態と同様である。また各保護シート30A,30Bには、これらが図4に示す配置状態において、縦中心線Lを挟んだ左右の位置に、縦中心線Lから所定の距離を隔てて縦中心線Lと同方向に延びる縦方向切断誘導線34が設けられている。縦方向切断誘導線34に関する詳細は第1の実施形態における縦方向第2切断誘導線33と同様である。
【0035】
本第2の実施形態の身体装着具10を使用する場合には、第1及び第2保護シート30A,30Bを、自由側縁域27A,28Aの位置において本体部20から剥離して左右に展開する。この場合、各保護シート30A,30Bと本体部20とは、本体部20の側縁域25a,26aにおいて剥離不能に接合されているので、第1及び第2保護シート30A,30Bは、本体部20から分離せず、本体部20と一体の状態が保たれている。
【0036】
上述の操作に加えて、第1及び第2保護シート30A,30Bにそれぞれ形成されている横方向切断誘導線32及び縦方向切断誘導線34に沿って、各保護シート30A,30Bを開裂する操作も行う。これによって、各保護シート30A,30Bには開口部(図示せず)が形成される。
【0037】
本実施形態の身体装着具10における各部を構成する材料としては、第1の実施形態に関して説明した材料と同様のものを用いることができる。
【0038】
図5(a)及び(b)に示す第3の実施形態の身体装着具10は、先に説明した第1の実施形態において、本体部20の内面21の全域を被覆する第1保護シート301に加えて、本体部20の外面の全域を被覆する第2保護シート302を有している。第1保護シート301と第2保護シート302とは同形をしており、それらはいずれも第1の実施形態における保護シート30と同様に構成されている。例えば、第1保護シート301及び第2保護シート302は、本体部20の上辺23及び下辺24を含む所定幅の上辺域23a及び下辺域24aに沿って、本体部20と剥離可能に連続的に接合されている。また第1保護シート301及び第2保護シート302は、本体部20の左側辺25及び右側辺26を含む所定幅の側縁域25a,26aに沿って、本体部20と剥離不能に連続的に接合されている。このように、第1保護シート301及び第2保護シート302は、本体部20の周縁域の全域にわたって、該本体部20と連続的に接合しており、それによって、本体部20はその内面21のみならず、外面22も、身体装着具10が使用されるまでの間、気密な状態が維持され、清潔さが保たれる。
【0039】
特に、図5(b)に示すように、本体部20の内部に発熱体42が配置されており、かつ内面21を構成する内側シート40及び外面22を構成する外側シート41のいずれもが通気性のものである場合、本実施形態の身体装着具10は非常に有効である。
【0040】
本実施形態の身体装着具10は、図5(c)に示すように使用される。すなわち、縦方向切断誘導線31(図5(a)参照)に沿って第1保護シート301及び第2保護シート302を左右に二分する。この操作によって、第1及び第2保護シート301,02は、互いに対称形である左半部301a,302aと右半部301b,302bとに分かれる。左半部301a,302a及び右半部301b,302bは、本体部20の側縁域25a,26aにおいて該本体部20と接合した状態が維持されたままになっているので、これらを左右に展開すると図5(c)に示す状態となる。そして、2つの左半部301a,302aどうしを重ねて、それらに形成されている2つの開口部311a,312aの位置を一致させる。かつ2つの右半部301b,302bどうしを重ねて、それらに形成されている2つの開口部311b,312bの位置を一致させる。この状態下に、2つの左半部301a,302aの開口部301b,302bを左の耳に通し、かつ2つの右半部301b,302bの開口部311b,312bを左の耳に通す。このようにして、装着状態が完成する。以上の説明から明らかなように、本実施形態の身体装着具10は、左右の耳掛け部がそれぞれ二重のループになっている。
【0041】
なお、本実施形態は、先に説明した第1の実施形態の変形例であるが、これに代えて、本実施形態を、第2の実施形態に適用してもよい。
【0042】
図6に示す第4の実施形態の身体装着具10は、先に説明した第1及び第2の実施形態の身体装着具において、保護シート30の上側に第2の保護シート30’を更に配置したものである。第2の保護シート30’は1枚のシートから構成されている。第2の保護シート30’は一般的に非通気性シートから構成することができる。この場合、第1の保護シート30は通気性でもよく、あるいは非通気性でもよい。第2の保護シート30’は、その周縁部の全体が、本体部20の周縁部と剥離可能に接合されている。身体装着具10の使用時には、第2の保護シート30’を本体部20から完全に剥離して除去する。その後に第1の保護シート30を、第1の実施形態又は第2の実施形態に従い剥離・展開して、耳掛け部として利用し身体に装着すればよい。したがって、本実施形態においては、保護シートとしても機能する耳掛け部が、本体部20と第2保護シート30’との間に存在している。
【0043】
上述の説明から明らかなように、本実施形態の身体装着具10は、第1及び第2の実施形態と異なり、第2の保護シート30’が廃棄物となってしまう。しかし、その発生量は、本体部20の内面の面積に限られるので、従来用いられていた外袋よりも使用量を減らすことができ、廃棄物の発生量を最小限にとどめることができる。
【0044】
本実施形態の身体装着具10においては、第2の保護シート30’に対応する保護シートのみを用い、第1の保護シート30を用いなくてよい場合がある。例えば、第1の保護シート30を用いない代わりに、耳掛け部となるべきシートや紐製やゴム紐製の耳掛け具を本体部20の内面21上に配置しておき(このシートは、内面21の全域を被覆していない)、その上に第2の保護シート30’に対応する保護シートを配置し、該保護シートと本体部とをそれらの周縁部で接合することができる。つまり、耳掛け部が、本体部20と第2保護シート30’との間に存在するようにしてもよい。このような構成を採用することで、耳掛け部のデザインの自由度が高まる。
【0045】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記の実施形態に制限されない。例えば、本体部の形状は上述したものに限られず、本体部の具体的な適用部位に応じて適切な形状を選択することができる。
【0046】
また、図4に示す第2の実施形態においては、身体装着具10の具体的な用途によっては、第1保護シート30A及び第2保護シート30Bにおける自由側縁域27A,28Aは、本体部20と接合されていなくてもよい。
また、図1に示す第1の実施形態においては、本体部20と保護シート30との間に、場合によって衛生的な状態が保たれる程度に、非接合部位が存在しても良い。
【符号の説明】
【0047】
10 身体装着具
20 本体部
30 保護シート
30’ 第2の保護シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に使用者の身体の側を向く内面及び外方を向く外面を有する本体部と、該本体部に対してその一部が剥離不能に接合されている耳掛け部とを備え、
該本体部は、その内面の略全域が保護シートによって覆われており、該保護シートは該本体部の周縁域において該本体部と接合されており、その接合は少なくとも一部が剥離可能なものである耳掛け型身体装着具。
【請求項2】
前記保護シートが、使用時に耳掛け部として用いるものである請求項1に記載の耳掛け型身体装着具。
【請求項3】
前記保護シートが非通気性シートからなり、前記本体部の少なくとも内面を気密に覆っており、かつ前記本体部の外面が非通気性シートから構成されている請求項1又は2に記載の耳掛け型身体装着具。
【請求項4】
前記本体部の内面を通気性シートから構成し、該通気性シートと前記非通気性シートとの間に被酸化性金属を含む発熱体を配した請求項3に記載の耳掛け型身体装着具。
【請求項5】
本体部が、長手方向とこれに直交する幅方向を有する横長の形状であり、
保護シートが1枚のシート材からなり、該シート材は、本体部の長手方向両端の左右の側縁域に沿って本体部と剥離不能に接合されているとともに、本体部の上辺域及び下辺域に沿って本体部と剥離可能に接合されており、
前記シート材には、本体部を左右に二分する縦中心線に沿って縦方向切断誘導線が設けられており、かつ縦中心線を挟んだ左右の位置に本体部の長手方向と同方向に延びる横方向切断誘導線が設けられており、
使用時に縦方向切断誘導線に沿って前記シート材を開裂して該シート材を左右に二分し、二分された各シート材を本体部から剥離し、かつ横方向切断誘導線に沿って各シート材を開裂することで、各シート材を耳掛け部として用いる請求項1〜4の何れか一項に記載の耳掛け型身体装着具。
【請求項6】
本体部が、長手方向とこれに直交する幅方向を有する横長の形状であり、
保護シートが、本体部の左半部と同形をしており、かつ切断誘導線を有する第1のシート材及び右半部と同形をしており、かつ切断誘導線を有する第2のシート材からなり、
第1のシート材が、本体部の内面における左半部に配置されており、かつ第2のシート材が、本体部の内面における右半部に配置されており、この配置状態において、各シート材に設けられた切断誘導線は、本体部の長手方向と同方向に延びるように位置しており、
第1のシート材は、本体部の左側縁域に沿って本体部と剥離不能に接合されているとともに、本体部の上辺域及び下辺域に沿って本体部と剥離可能に接合されており、
第2のシート材は、本体部の右側縁域に沿って本体部と剥離不能に接合されているとともに、本体部の上辺域及び下辺域に沿って本体部と剥離可能に接合されており、
使用時に第1のシート材及び第2のシート材を本体部から剥離して、かつ切断誘導線に沿って各シート材を開裂することで、各シート材を耳掛け部として用いる1〜4の何れか一項に記載の耳掛け型身体装着具。
【請求項7】
本体部が、長手方向とこれに直交する幅方向を有する横長の形状であり、
本体部は、その内面の略全域が第1保護シートによって覆われており、かつその外面の略全域が第2保護シートによって覆われており、
第1及び第2保護シートが各々1枚のシート材からなり、これらのシート材は、本体部の長手方向両端の左右の側縁域に沿って本体部と剥離不能に接合されているとともに、本体部の上辺域及び下辺域に沿って本体部と剥離可能に接合されており、
これらのシート材には、本体部を左右に二分する縦中心線に沿って縦方向切断誘導線が設けられており、かつ縦中心線を挟んだ左右の位置に本体部の長手方向と同方向に延びる横方向切断誘導線が設けられており、
使用時に縦方向切断誘導線に沿ってこれらのシート材を開裂して各シート材を左右に二分し、二分された各シート材を本体部から剥離し、かつ横方向切断誘導線に沿って各シート材を開裂することで、各シート材を耳掛け部として用いる請求項1〜4の何れか一項に記載の耳掛け型身体装着具。
【請求項8】
本体部が、長手方向とこれに直交する幅方向を有する横長の形状であり、
本体部は、その内面の略全域が第1保護シートによって覆われており、かつその外面の略全域が第2保護シートによって覆われており、
第1及び第2保護シートのそれぞれが、本体部の左半部と同形をしており、かつ切断誘導線を有する第1のシート材及び右半部と同形をしており、かつ切断誘導線を有する第2のシート材からなり、
第1のシート材が、本体部の内面及び外面における左半部に配置されており、かつ第2のシート材が、本体部の内面及び外面における右半部に配置されており、この配置状態において、各シート材に設けられた切断誘導線は、本体部の長手方向と同方向に延びるように位置しており、
各第1のシート材は、本体部の左側縁域に沿って本体部と剥離不能に接合されているとともに、本体部の上辺域及び下辺域に沿って本体部と剥離可能に接合されており、
各第2のシート材は、本体部の右側縁域に沿って本体部と剥離不能に接合されているとともに、本体部の上辺域及び下辺域に沿って本体部と剥離可能に接合されており、
使用時に各第1のシート材及び各第2のシート材を本体部から剥離して、かつ切断誘導線に沿って各シート材を開裂することで、各シート材を耳掛け部として用いる請求項1〜4の何れか一項に記載の耳掛け型身体装着具。
【請求項9】
前記耳掛け部が、前記本体部と前記保護シートとの間に存在する請求項1に記載の耳掛け型身体装着具。
【請求項10】
前記保護シートが非通気性シートからなり、前記本体部の少なくとも内面を気密に覆っており、かつ前記本体部の外面が非通気性シートから構成されている請求項9に記載の耳掛け型身体装着具。
【請求項11】
前記本体部の内面を通気性シートから構成し、該通気性シートと前記非通気性シートとの間に被酸化性金属を含む発熱体を配した請求項10に記載の耳掛け型身体装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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