説明

肝硬変の重症度の評価方法

本発明は、被験体由来のサンプル中におけるGDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)、及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量の測定、並びにこうして測定した量の参照量との比較に基づいて、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断する方法に関する。本方法は、該被験体由来のサンプル中におけるアディポネクチンの量の測定、及び該量のアディポネクチンについての参照量との比較をさらに含みうる。さらに、本発明は、被験体由来のサンプル中におけるGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)、ビリルビン及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量の測定、並びにこうして測定した量の参照量との比較を含む、肝移植を許容する被験体の同定に関する。本発明はさらに、本発明の方法を実施するのに適したキット及びデバイスを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体由来のサンプル中におけるGDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)、及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量の測定、並びにこうして測定した量の参照量との比較に基づいて、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断する方法に関する。本方法は、該被験体由来のサンプル中におけるアディポネクチンの量の測定、及び該量のアディポネクチンについての参照量との比較をさらに含みうる。さらに、本発明は、被験体由来のサンプル中におけるGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)、及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量の測定、並びにこうして測定した量の参照量との比較を含む、肝移植を許容する被験体の同定に関する。本発明はさらに、本発明の方法を実施するのに適したキット及びデバイスを包含する。
【背景技術】
【0002】
肝臓は、体内で最大の内臓であり、グリコーゲン貯蔵、赤血球の分解、血漿タンパク質合成、並びに薬物、アルコール及びその他の有害物質の血液からの除去に関与する。肝臓のない生命体は生きられず、被験体は肝機能なしでは数時間しか生存できない。
【0003】
最も豊富な肝臓細胞は、肝臓質量の約70%を占める肝細胞(hepatocyte)である。肝臓のための血液供給は肝動脈から来て、酸素に富む血液を供給する。肝臓はまた、様々な器官由来の血液をろ過する門脈から血液を得る。
【0004】
肝硬変は、肝線維症から進行しうる。それは、肝臓の正常な構造を破壊する、進行性、線維化性かつ結節性の状態である。肝硬変では、肝組織は、非生存瘢痕組織及び再生結節に置き換えられ、結果として肝機能の低下が生じる。肝硬変は、肝線維症と同じ障害及び薬物によって引き起こされうる。アルコール乱用は、肝硬変の最も一般的な原因である。新たに診断される肝硬変の症例の約60〜70%は、慢性アルコール依存症(アルコール性肝疾患)の結果であると考えられている。肝硬変の原因に関わらず、病因となる特徴は、密な線維性組織に囲まれた再生結節の形成を伴う構造上の歪みがあるまで、線維化が進行することからなる(Harrison's Principles of Internal Medicine, 第17版, A. Fauci編, Mcgraw-Hill Professionalを参照)。
【0005】
肝硬変は、様々な診断法によって診断することができる。究極の判断基準は、患者から肝組織由来の小サンプルを取り出し、顕微鏡下で解析する肝生検である。肝硬変はまた、様々なイメージング技術、例えば超音波計算機トモグラフィー(CT)スキャン及び核磁気共鳴画像法(MRI)によって診断することができる。
【0006】
さらに、肝硬変を診断するための様々な血液検査が、最近20年間に導入された(概説について、Heidelbauch and Bruderly, 2006, American Family Physican, 74(5):756-762を参照)。これらの血液検査は、肝硬変に存在又は不在の特定のポリペプチドの量の測定に基づいている。例えば、肝硬変は、血中アルブミンのレベルの低下及び血液凝固因子のレベルの低下をもたらし、これはこれらのタンパク質を生成する肝臓の能力の喪失の結果として起こる。さらに、血清酵素、すなわちアスパラギン酸トランスアミナーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アルカリホスファターゼ及びγグルタミルトランスフェラーゼのレベルの増加が、肝硬変を示唆しうる。別の診断アッセイは、ビリルビン検査である。ビリルビンは、血液細胞の破壊の分解産物である。損傷した肝組織は、ビリルビンを十分に処理することができず、この色素の高い血中レベルをもたらす。
【0007】
肝硬変に罹患している患者の治療に関して信頼できる決定を下すために、重症度、すなわち肝硬変の程度を慎重に評価(病期分類/等級付け)する必要がある。肝硬変を等級付けする方法は当技術分野で知られている。Child-Pughスコアを決定することによって、肝硬変を、ChildクラスA(比較的軽度)、ChildクラスB、及びChildクラスC(重度)に分類することができる。Child-Pughスコアは、5つの経験的に選択された変数の決定を含む:2つの連続型変数(ビリルビン及びアルブミン)と3つの離散変数(腹水、脳症、及びプロトロンビン時間)。しかし、Childスコアの評価は様々なマーカー/変数の決定を必要とし、従って費用と時間がかかる。
【0008】
肝生検の組織学的検査による肝硬変の病期分類は、痛み、出血、及び(稀に)さらには死の合併症を引き起こしうる。肝生検は費用がかかり、その合併症の治療に伴う費用も高価である。さらに、観察者間誤差及び観察者内誤差は、誤った病期分類をもたらす可能性があり、最大33%の生検においてサンプリング誤差がありうる(Adamsら, Clinical Chemistry. 2005;51:1867-1873を参照)。
【0009】
肝機能に対する損傷が非常に重大であり、致命的となる場合、肝移植が必要である。最近20年間で肝移植からの生存率は改善しているものの、約20%のレシピエントが肝移植の結果死亡するため、肝移植は依然としてレシピエントを危険にさらす。従って、肝機能に重大な損傷を有する患者のみが肝移植を受ける。それらの患者にとって、移植の恩恵(肝機能の回復)は、欠点(移植の結果死亡する危険性、肝移植の高い費用)を上回る。
【0010】
MELDシステム(末期肝疾患のモデル)は、肝硬変を等級付けし、最も緊急に肝移植を必要とする患者の同定を可能にする。MELDは3つの血液検査(ビリルビン、クレアチニン及び凝固(プロトロンビン時間))に基づく式を用いて、各患者についてスコアをもたらす。スコアは6〜40に及びうる。スコアが高いほど、患者の移植に対する必要性は増す。MELDシステムは、ビリルビン、クレアチニン及び凝固(INR時間)に対する血液検査の結果を使用する。しかし、MELDスコアの決定は、MELDスコアが3つの変数を含むため、費用及び時間がかかる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Harrison's Principles of Internal Medicine, 第17版, A. Fauci編, Mcgraw-Hill Professional
【非特許文献2】Heidelbauch and Bruderly, 2006, American Family Physican, 74(5):756-762
【非特許文献3】Adamsら, Clinical Chemistry. 2005;51:1867-1873
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、肝硬変の重症度の評価を可能にする手段及び方法に対して明らかな長年のニーズがある。この手段及び方法は、信頼でき効率のよい診断を可能にし、現在の技術の欠点を回避するものである。
【0013】
従って、本発明の根底にある技術的課題は、上述のニーズを満たす手段及び方法の提供とみなされなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記技術的課題は、特許請求の範囲及び本明細書中の以下で特徴付けられる実施形態により解決される。
【0015】
従って、本発明は、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量を測定するステップ、
b)ステップa)で測定された量を参照量と比較するステップ、並びに
c)該被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するステップ
を含む、前記方法に関する。
【0016】
本発明はまた、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体由来のサンプル中で測定されたGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量を参照量と比較するステップ、並びに
b)該被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するステップ
を含む、前記方法を想定する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】肝線維症又は肝硬変を有する被験体におけるGDF-15レベルである(ボックスプロット図、実施例1も参照)。
【図2】肝線維症又は肝硬変を有する被験体におけるPlGFレベルである(ボックスプロット図、実施例1も参照)。
【図3】肝線維症又は肝硬変を有する被験体におけるPlGFレベルである(ボックスプロット図、実施例1も参照)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の方法は、好ましくはin vitro法である。さらに、本方法は、上で明示的に記載したステップに加えてさらなるステップを含んでもよい。例えば、さらなるステップは、サンプルの前処理又は本方法により得られた結果の評価に関連しうる。本発明の方法は、肝硬変に罹患している患者のモニタリング、確認、及び下位分類に使用してもよい。特に、本発明の方法はさらなる下位分類、特に軽度、中程度及び重度の肝硬変(以下参照)を識別するために使用してもよい。本方法は、手動で実施してもよいし、又は自動化により支援してもよい。好ましくは、ステップ(a)及び/又は(b)は、自動化により、例えばステップ(a)では測定に好適なロボット及びセンサー装置により、又はステップ(b)ではコンピュータにより実行される比較により、全体的又は部分的に支援可能である。
【0019】
本明細書で用いる「診断する」という用語は、被験体において肝硬変の重症度を評価することを意味する。従って、本方法は肝硬変の等級付けを可能にする。当業者であれば理解されるように、そのような評価は通常、診断対象の被験体の100%について正確であることは意図されていない。しかし、その用語は、被験体の統計的に有意な一部を正確に診断できることを要する。当業者であれば、他に苦労なく種々の周知の統計学的評価ツールを用いて、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定などを行って、一部が統計学的に有意であるかどうかを決定することが可能である。詳細な内容は、Dowdy and Wearden、Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見い出される。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、又は0.0001である。好ましくは、本発明により想定される確率は、診断が、一定のコホート又は集団の被験体の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%について正確であることを可能にする。
【0020】
本明細書で用いる「被験体」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに関する。しかし、本発明は、被験体が肝硬変に罹患していることを想定する。さらに、該被験体は、心疾患に罹患していないことが好ましく、該被験体は、右心疾患に罹患していないことがより好ましい。
【0021】
「肝硬変」という用語は、当業者に理解されている。肝硬変は、正常な微小循環、全体の血管構造、及び肝臓構造が、線維中隔が包囲している再生した又は再生中の実質性結節によって可変的に破壊され、改変されている肝疾患である。肝硬変は、線維症から進行しうる。従って、肝硬変は、肝臓の正常な構造を破壊する、進行性、線維化性かつ結節性の状態である。肝硬変では、肝組織は、非生存瘢痕組織及び再生結節に置き換えられ、結果として肝機能の低下が生じる。肝硬変は、肝臓が炎症を起こし、瘢痕組織及び再生結節が形成する場合に生じる。従って、肝硬変は、密な線維性組織に囲まれた再生結節の形成を伴う、肝臓における構造上の歪みがあるまで、病因となる線維化が進行する場合に生じる(Harrison's Principles of Internal Medicine, 第17版, A. Fauci編, Mcgraw-Hill Professional、特に第302章を参照)。
【0022】
肝硬変は様々な原因を有しうる。肝硬変の好ましい原因は、慢性B型肝炎、慢性C型肝炎、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、自己免疫性肝疾患(例えば自己免疫性肝炎及び原発性胆汁性肝硬変)、遺伝性代謝異常(例えばヘモクロマトーシス(hematochromatosis))、ウィルソン病、α1アンチトリプシン欠損症、及び薬物若しくは毒素誘導性肝疾患である。
【0023】
本発明の方法は肝硬変の重症度の診断を可能にする。好ましくは、本発明の方法は、軽度の肝硬変と重度の肝硬変とを識別すること、すなわち被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを評価することを可能にする。好ましくは、「軽度の肝硬変」とは、Child-Pugh分類システムによってChild Aと等級付けされる肝硬変の病期を意味する。好ましくは、「重度の肝硬変」とは、Child-Pugh分類システムによってChild Cと等級付けされる肝硬変の病期を意味する。
【0024】
Child-Pugh分類システム(Child-Pughスコア又はChild-Turcotte-Pughとも称される)は当技術分野で周知である。このシステムは、肝硬変の重症度に応じて肝硬変を有する患者を様々な群に割り当てることを可能にする(Pughら, Transection of the oesophagus for bleeding oesophageal varices. Br J Surg 1973; 60:646-649も参照)。それは、肝硬変の5つの変数、すなわち腹水、ビリルビンとアルブミンの血漿濃度、プロトロンビン時間、及び脳症の程度の評価に基づく。
【0025】
軽度の肝硬変に罹患している被験体は、重度の肝硬変に罹患している被験体より、長い平均余命を有することは理解されるであろう。軽度の肝硬変を有する被験体は、好ましくは5〜20年、より好ましくは10〜20年、最も好ましくは15〜20年の残りの平均余命を有する。重度の肝硬変を有する被験体は、好ましくは0〜5年、より好ましくは1〜4年、最も好ましくは1〜3年の平均余命を有する。
【0026】
「サンプル」という用語は、体液のサンプル、分離された細胞のサンプル、又は組織若しくは器官に由来するサンプルを意味する。体液のサンプルは周知技術によって得ることができ、好ましくは、血液、血漿、血清、又は尿のサンプルを含み、より好ましくは、血液、血漿又は血清のサンプルを含む。組織又は器官サンプルは、例えば生検によって、任意の組織又は器官から得ることができる。分離細胞は、遠心又はセルソーティング等の分離技術によって、体液又は組織若しくは器官から得ることができる。好ましくは、細胞、組織又は器官サンプルは、本明細書に記載するペプチドを発現又は産生する細胞、組織又は器官から得る。より好ましくは、細胞、組織又は器官サンプルは、肝細胞、肝組織又は肝臓から得る。最も好ましいサンプルは、本発明において、血液、血清、又は血漿サンプルである。
【0027】
「増殖分化因子15」又は「GDF-15」という用語は、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-βサイトカインスーパーファミリーのメンバーであるポリペプチドに関する。ポリペプチド、ペプチド及びタンパク質という用語は、本明細書において、互換的に用いられる。 GDF-15は元々はマクロファージ阻害性サイトカイン-1としてクローニングされ、後に胎盤性トランスフォーミング増殖因子-β、胎盤性骨形成タンパク質、非ステロイド系抗炎症剤活性化遺伝子-1、及び前立腺由来因子としても同定された(Bootcov 前掲; Hromas, 1997 Biochim Biophys Acta 1354:40-44; Lawton 1997, Gene 203:17-26; Yokoyama-Kobayashi 1997, J Biochem (Tokyo), 122:622-626; Paralkar 1998, J Biol Chem 273:13760-13767)。他のTGF-β関連サイトカインと同様に、GDF-15は不活性の前駆体タンパク質として合成され、これはジスルフィド結合でホモ二量体となる。N末端プロペプチドがタンパク質分解切断されると、GDF-15は約28 kDaの二量体タンパク質として分泌される(Bauskin 2000, Embo J 19:2212-2220)。GDF-15についてのアミノ酸配列は、国際公開第99/06445号、同第00/70051号、同第2005/113585号、Bottner 1999, Gene 237: 105-111、Bootcov 前掲、Tan 前掲、Baek 2001, Mol Pharmacol 59: 901-908、Hromas 前掲、Paralkar 前掲、Morrish 1996, Placenta 17:431-441又はYokoyama-Kobayashi前掲に開示されている。本明細書で用いるGDF-15は上記の特定のGDF-15ポリペプチドの変異体も含む。そのような変異体は、特定のGDF-15ポリペプチドと少なくとも同一の本質的な生物学的性質及び免疫学的性質を有する。特に、それらは、本明細書に記載される同一の特定のアッセイ、例えば、該GDF-15ポリペプチドを特異的に認識するポリクローナル又はモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイによって検出可能であるならば、同一の本質的な生物学的性質及び免疫学的性質を有する。好ましいアッセイを、下記実施例に記載する。さらに、本発明に関して記載する変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、及び/又は付加に起因して異なるアミノ酸配列を有し、この場合、変異体のアミノ酸配列は、依然として、好ましくは、特定のGDF-15ポリペプチドのアミノ酸配列と(好ましくは該ポリペプチドの全長にわたって)少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%の同一性を有することが理解されるであろう。2つのアミノ酸配列間の同一性の程度は当技術分野で周知のアルゴリズムによって、決定できる。好ましくは、同一性の程度は2つの最適にアライメントした配列を比較ウインドウにわたって比較することにより決定され、その際、比較ウインドウ中のアミノ酸配列の断片は最適なアライメントのために、参照配列(付加又は欠失を含んでいない)と比較して付加又は欠失(例えば、ギャップ又はオーバーハング)を含んでいてもよい。パーセンテージは2つの配列の双方で同一のアミノ酸残基が存在する位置の数から一致している位置の数を求め、一致している位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数で除し、その解に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより算出される。比較のための配列の最適なアライメントは、Smith及びWatermannのローカルホモロジーアルゴリズム(Add. APL. Math. 2:482(1981))によって、Needleman及びWunschのホモロジーアライメントアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:443(1970))によって、Pearson及びLipmanの類似性探索法(Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85:2444(1988))によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実施(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group(GCG), 575 Science Dr., Madison, WI中のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、及びTFASTA)によって、又は目視による検討により行うことができる。比較のために2つの配列が同定されている場合は、GAP及びBESTFITを用いてそれらの最適なアライメントを決定することによって、同一性の程度を求めることが好ましい。好ましくは、ギャップウエイトについてのデフォルト値5.00及びギャップウエイトレングスについてのデフォルト値0.30を使用する。上記変異体は、アレル変異体、又は他の任意の生物種特異的なホモログ、パラログ若しくはオルソログであってもよい。さらに、本明細書において記載する変異体としては、特定のGDF-15ポリペプチド又は上述のタイプの変異体の断片が、上に記載した本質的な免疫学的性質及び生物学的性質を有するものである限り、含まれる。そのような断片は、例えば、GDF-15ポリペプチドの分解産物でありうる。さらには、リン酸化やミリスチル化のような翻訳後修飾に起因して異なる変異体が挙げられる。
【0028】
本明細書で用いる「PlGF(胎盤増殖因子)」という用語は、149アミノ酸長のポリペプチドであり、かつヒト血管内皮増殖因子(VEGF)の血小板由来増殖因子様領域に高度に相同(53%の同一性)である胎盤由来増殖因子を意味する。VEGFのように、PlGFは、in vitro及びin vivoで血管形成活性を有する。例えば、トランスフェクトされたCOS-1細胞に由来するPlGFの生化学的及び機能的特性解析によって、それは、in vitroで内皮細胞増殖を刺激することができるグリコシル化二量体分泌タンパク質であることが明らかとなった(Maqlione1993, Oncogene 8(4):925-31)。好ましくは、PlGFは、ヒトPlGFを意味し、より好ましくはGenebankアクセッション番号P49763、GI: 17380553(GenbankはNCBI、米国からwww.ncbi.nlm.nih.gov/entrezで利用できる)に示されるアミノ酸配列を有するヒトPlGF又はその変異体を意味する。さらに、本発明に関して記載する変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、及び/又は付加に起因して異なるアミノ酸配列を有し、この場合、変異体のアミノ酸配列は、依然として、好ましくは、特定のPlGFのアミノ酸配列と(好ましくはPlGFポリペプチドの全長にわたって)少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%の同一性を有することが理解されるであろう。同一性の程度の決定方法は本明細書中の他の箇所に記載される。変異体は、アレル変異体、スプライス変異体又は任意の他の生物種特異的なホモログ、パラログ若しくはオルソログであってよい。さらに、本明細書において記載する変異体としては、特定のPlGF又は上述のタイプの変異体の断片が、上に記載した本質的な免疫学的性質及び生物学的性質を有するものである限り、含まれる。そのような断片は、例えば、PlGFの分解産物でありうる。さらには、リン酸化やミリスチル化のような翻訳後修飾に起因して異なる変異体が挙げられる。
【0029】
「肝細胞増殖因子」(略称「HGF」)という用語は、当業者に理解されている。この因子は、散乱因子(scatter factor)と称されることも多い。ヒトでは、HGFは、29アミノ酸のシグナル配列及び25アミノ酸のプロ配列を有する一本鎖728アミノ酸残基のプレプロペプチドとして合成される。成熟HGFは、プロ配列Arg-Val結合を細胞外で切断する固有のセリンプロテアーゼの活性によって形成され、この活性は、それ自体、組織損傷に応答して別のプロテアーゼによって活性化される。成熟HGFは、82kDa、674アミノ酸残基のヘテロ二量体糖タンパク質である。それは、ジスルフィド結合した69kDaのα鎖(予測分子量50,800を有する約440アミノ酸長)及び34kDaのβ鎖(234アミノ酸長)からなる。
【0030】
HGFは、パラクリンの細胞増殖、運動性及び形態形成の因子として知られ、従って、特定の組織及び細胞種に対する増殖因子として機能する。それは、当初、肝細胞に対する分裂促進因子(mitogen)として同定された(Michalopoulosら, Cancer Res., 44:4414-4419 (1984); Russelら, J. Cell. Physiol., 119:183-192 (1984); Nakamuraら, Biochem. Biophys. Res. Comm., 122:1450-1459 (1984)を参照)。ヒト血漿からのヒトHGFの精製は、Gohdaら, J. Clin. Invest., 81:414-419 (1988)に初めて記載された。
【0031】
本明細書で用いる場合、HGFという用語は、好ましくはヒトHGFを意味する。好ましくは、その用語はHGFプレプロタンパク質及び成熟HGFを含む。より好ましくは、その用語はHGFプレプロペプチドを意味し、最も好ましくは、成熟HGFを意味する。HGFのアミノ酸配列は当技術分野で周知である。ヒトHGF(プレプロタンパク質)のアミノ酸配列は、例えばGenBankアクセッション番号NP_000592.3 GI:33859835、又は米国特許第7390482号、同第7563768号、又は同第7578998号に開示されている。
【0032】
本明細書で用いるHGFは、上述の特定のHGFポリペプチドの変異体も包含する。「変異体」という用語の説明については、上を参照のこと。
【0033】
好ましくは、HGFの変異体は、特に、肝細胞においてDNA合成を刺激する能力をはじめとする、HGFの生物学的性質/活性を有するものである。好ましくは、該変異体は、HGFのDNA合成を刺激する能力の少なくとも99%、90%、80%、70%、60%又は50%を保持する。HGFの特定の変異体が肝細胞においてDNA合成を刺激するかどうかを評価する方法は、当技術分野で周知であり、例えばYanagitaら(Hepatocyte Growth Factor May Act as a Pulmotrophic Factor on Lung Regeneration after Acute Lung Injury (1993), J Biol Chem, Vol. 268, No. 28, pp. 21212-21217)に記載されている。HGF活性は、以下の方法によって測定することができる。成体肝細胞をin situコラゲナーゼかん流法によって単離する。その後、単離した細胞を播種し、I型コラーゲンで覆い、5%子牛血清、10-9Mインスリン及び10-9Mデキサメタゾンを含有するウィリアムE培地中で3時間培養する。次いで、培地を、10-9Mインスリン、10-9Mデキサメタゾン及び0.1μg/mlアプロチニンを含有する血清非含有ウィリアムE培地に交換する。20時間後、試験対象のHGF変異体を添加し、細胞を20時間培養する。細胞を1μCiの125Iデオキシウリジンで6時間パルス標識し、核内の125Iデオキシウリジンをγカウンターで測定する。1単位のHGF活性は、10ng/mlのEGF(上皮増殖因子)を添加した場合における、肝細胞のDNA合成に対する刺激効果の最大値の半分を与える刺激活性に相当する。
【0034】
本明細書に記載されるポリペプチドの量の測定は、好ましくは半定量的又は定量的に、量又は濃度を測定することに関する。測定は、直接的又は間接的に実施可能である。直接的測定とは、ポリペプチド自体から得られ、かつその強度がサンプル中に存在するポリペプチドの分子数と直接的に相関するシグナルに基づいてポリペプチドの量又は濃度を測定することに関する。そのようなシグナル(本明細書中では強度シグナルと称されることもある)は、例えば、ポリペプチドの特定の物理的性質又は化学的性質の強度値を測定することにより取得可能である。間接的測定としては、二次成分(すなわち、ポリペプチド自体ではない成分)、又は生物学的読取り系、例えば、測定可能な細胞応答、リガンド、標識、若しくは酵素反応生成物から得られるシグナルを測定することが挙げられる。
【0035】
本発明において、ポリペプチドの量の測定は、サンプル中のポリペプチドの量を測定するためのすべての公知の手段により達成可能である。該手段は、種々のサンドイッチアッセイ方式、競合アッセイ方式、又は他のアッセイ方式で標識分子を利用しうるイムノアッセイのデバイス及び方法を含む。該アッセイでは、ポリペプチドの存在又は不在の指標となるシグナルが発生するであろう。さらに、シグナル強度は、好ましくは、サンプル中に存在するポリペプチドの量に直接的又は間接的に相関する(例えば反比例する)ものもある。さらなる好適な方法は、ポリペプチドに特異的な物理的性質又は化学的性質、例えば、その正確な分子質量又はNMRスペクトルを測定することを含む。該方法としては、好ましくは、バイオセンサー、イムノアッセイに連結された光学デバイス、バイオチップ、分析装置、例えば、質量分析計、NMR分析器、又はクロマトグラフィー装置が含まれる。さらに、方法としては、マイクロプレートELISAに基づく方法、完全自動化若しくはロボット化イムノアッセイ(例えば、ElecsysTM分析器を用いて実施可能)、CBA(酵素的コバルト結合アッセイ、例えば、Roche-HitachiTM分析器を用いて実施可能)、及びラテックス凝集アッセイ(例えば、Roche-HitachiTM分析器を用いて実施可能)が挙げられる。
【0036】
好ましくは、ポリペプチドの量の測定は、(a)その強度がポリペプチドの量の指標となる細胞応答を引き起こすことができる細胞を、適切な時間にわたり、該ポリペプチドと接触させるステップ、及び(b)細胞応答を測定するステップを含む。細胞応答を測定するために、好ましくは、サンプル又は処理済サンプルを細胞培養物に添加して、内部又は外部の細胞応答を測定する。細胞応答としては、レポーター遺伝子の測定可能な発現、又はペプチド、ポリペプチド若しくは小分子などの物質の分泌が挙げられる。発現又は物質は、ポリペプチドの量と相関する強度シグナルを生成するものとする。
【0037】
また好ましくは、ポリペプチドの量の測定は、サンプル中のポリペプチドから取得可能な特異的強度シグナルを測定するステップを含む。以上に記載したように、そのようなシグナルは、質量スペクトルで観測されるポリペプチドに特異的な質量対電荷(m/z)変量又はポリペプチドに特異的なNMRスペクトルで観察されるシグナル強度でありうる。
【0038】
ポリペプチドの量の測定は、好ましくは、(a)ポリペプチドを特異的リガンドに接触させるステップ、(b)(場合により)非結合リガンドを除去するステップ、及び(c)結合リガンドの量を測定するステップを含みうる。結合リガンドは、強度シグナルを生成するであろう。本発明において、結合は、共有結合及び非共有結合の両方を包含する。本発明において、リガンドは、本明細書に記載のポリペプチドに結合する任意の化合物、例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸又は小分子でありうる。好ましいリガンドとしては、抗体、核酸、ペプチド又はポリペプチド、例えば、ポリペプチドに対するレセプター又は結合性パートナー、及びペプチドに対する結合ドメインを含むそれらの断片、並びにアプタマー、例えば、核酸アプタマー又はペプチドアプタマーが挙げられる。そのようなリガンドの調製方法は、当技術分野で周知である。例えば、好適な抗体又はアプタマーの同定及び作製もまた、供給業者により提供される。当業者は、より高いアフィニティ又は特異性を有するそのようなリガンドの誘導体の開発方法に精通している。例えば、ランダム突然変異を核酸、ペプチド又はポリペプチドに導入することが可能である。次に、当技術分野で公知のスクリーニング手順、例えば、ファージディスプレイにより、これらの誘導体を結合に関して試験することが可能である。本明細書において記載する抗体には、ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体の両方、並びにそれらのフラグメント、例えば、抗原又はハプテンに結合可能なFv、Fab、及びF(ab)2フラグメントが含まれる。本発明はまた、一本鎖抗体、及び所望の抗原特異性を呈する非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列とヒトアクセプター抗体の配列とが組み合わされたヒト化ハイブリッド抗体を包含する。ドナー配列は、通常、ドナーの少なくとも抗原結合性アミノ酸残基を含むであろうが、ドナー抗体の他の構造上及び/又は機能上関連するアミノ酸残基を含んでもよい。そのようなハイブリッドは、当技術分野で周知のいくつかの方法により調製可能である。好ましくは、リガンド又は作用剤は、ポリペプチドに特異的に結合する。本発明において、特異的結合は、リガンド又は作用剤が分析対象のサンプル中に存在する他のペプチド、ポリペプチド又は物質に実質的に結合する(それらと「交差反応する」)ものであってはならないことを意味する。特異的に結合するポリペプチドは、任意の他の関連するペプチド又はポリペプチドのアフィニティの好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも10倍、さらにより好ましくは少なくとも50倍高いアフィニティで結合する必要がある。非特異的結合は、それが、例えば、ウェスタンブロット上のサイズにより又はサンプル中の比較的高い存在量により、依然として識別可能でありかつ明確に測定可能である場合には、許容できる。リガンドの結合は、当技術分野で公知の任意の方法により測定可能である。好ましくは、該方法は、半定量的又は定量的である。好適な方法について、以下で説明する。
【0039】
第1に、リガンドの結合は、例えば、NMR又は表面プラズモン共鳴により、直接測定することができる。
【0040】
第2に、リガンドが対象ポリペプチドの酵素活性の基質としても機能する場合には、酵素反応生成物を測定することが可能である(例えば、切断された基質の量を、例えばウェスタンブロットにおいて、測定することにより、プロテアーゼの量を測定することが可能である)。あるいは、リガンドが酵素の性質自体を呈するものであってよく、「リガンド/ポリペプチド」複合体又はそれぞれポリペプチドと結合したリガンドを好適な基質と接触させて、強度シグナルの生成により検出を行うことが可能である。酵素反応生成物の測定では、好ましくは、基質の量は飽和状態である。また、反応前に、検出可能な標識で基質を標識することも可能である。好ましくは、サンプルを適切な時間にわたり基質と接触させる。適切な時間とは、検出可能な(好ましくは測定可能な)量の生成物が生成するのに必要な時間を意味する。生成物の量を測定する代わりに、所与の(例えば検出可能な)量の生成物が出現するのに必要な時間を測定することも可能である。
【0041】
第3に、リガンドを共有結合又は非共有結合で標識に結合させることにより、リガンドの検出及び測定を行うことが可能である。標識は、直接的又は間接的な方法により実施可能である。直接的標識は、標識をリガンドに(共有結合又は非共有結合で)直接結合させることを含む。間接的標識は、一次リガンドに二次リガンドを(共有結合又は非共有結合で)結合させることを含む。二次リガンドは、一次リガンドに特異的に結合するものでなければならない。該二次リガンドは、好適な標識に結合させてもよいし、かつ/又は二次リガンドに結合する三次リガンドの標的(レセプター)であってもよい。シグナルを増大させるために、二次、三次又はより高次のリガンドが用いられることもある。好適な二次及びより高次のリガンドとしては、抗体、二次抗体、及び周知のストレプトアビジン-ビオチン系(Vector Laboratories, Inc.)が挙げられる。当技術分野で公知のように、リガンド又は基質を1種以上のタグで「タグ標識」することも可能である。その場合、そのようなタグは、より高次のリガンドの標的でありうる。好適なタグとしては、ビオチン、ジゴキシゲニン、Hisタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、mycタグ、A型インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、マルトース結合タンパク質などが挙げられる。ペプチド又はポリペプチドの場合、タグは、好ましくはN末端及び/又はC末端に存在する。好適な標識は、適切な検出方法により検出可能な任意の標識である。典型的な標識としては、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素活性標識、放射性標識、磁性標識(例えば「磁性ビーズ」、常磁性標識及び超常磁性標識など)、及び蛍光標識が挙げられる。酵素活性標識としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、及びそれらの誘導体が挙げられる。検出に好適な基質としては、ジ-アミノ-ベンジジン(DAB)、3,3'-5,5'-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP(4-ニトロブルーテトラゾリウムクロリド及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェート、Roche Diagnosticsから既製のストック溶液として入手可能)、CDP-StarTM(Amersham Biosciences)、ECFTM(Amersham Biosciences)が挙げられる。好適な酵素-基質の組み合わせを用いれば、当技術分野で公知の方法(例えば、感光性フィルム又は好適なカメラシステムを用いる方法)により測定できる呈色反応生成物、蛍光又は化学発光を生成させることが可能である。酵素反応の測定に関しては、上に示した判定基準が同じように適用される。典型的な蛍光標識としては、蛍光タンパク質(例えば、GFP及びその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン、及びAlexa色素(例えば、Alexa 568)が挙げられる。さらなる蛍光標識は、例えば、Molecular Probes(Oregon)から入手可能である。さらに、蛍光標識として量子ドットの使用も想定される。典型的な放射性標識としては、35S、125I、32P、33Pなどが挙げられる。放射性標識は、任意の公知の適切な方法、例えば、感光性フィルム又はホスファーイメージャーにより、検出可能である。本発明において好適な測定方法としては、この他に、沈降(特に免疫沈降)、電気化学発光(電解発生化学発光)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁法、比朧法、ラテックス増強比濁法若しくはラテックス増強比朧法、又は固相免疫試験が挙げられる。当技術分野で公知のさらなる方法(例えば、ゲル電気泳動、2次元ゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、ウェスタンブロッティング、及び質量分析)を、単独で、又は標識化若しくは上に記載の他の検出方法と組み合わせて、使用することが可能である。
【0042】
ポリペプチドの量は、また好ましくは、以下のように測定することができる。(a)上に記載するようなポリペプチドに対するリガンドを含む固体支持体を、ポリペプチドを含むサンプルと接触させ、(b)支持体に結合しているポリペプチドの量を測定する。リガンド(好ましくは、核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体、及びアプタマーからなる群より選択される)は、好ましくは、固相化形態で固体支持体上に存在する。固体支持体を製造するための材料は、当技術分野で周知であり、特に、市販のカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、コロイド金属粒子、ガラス及び/又はシリコンのチップ及び表面、ニトロセルロースストリップ、膜、シート、デュラサイト(duracyte)、反応トレーのウェル及び壁、プラスチックチューブなどが挙げられる。リガンド又は作用剤は、多種多様な担体に結合可能である。周知の担体の例としては、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然セルロース及び変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、並びにマグネタイトが挙げられる。担体の性質は、本発明の目的では、可溶性又は不溶性のいずれも可能である。該リガンドの固定化/固相化に好適な方法は、周知であり、例えば限定されるものではないが、イオン性相互作用、疎水性相互作用、共有結合相互作用などが挙げられる。本発明ではアレイとして「懸濁アレイ」を使用することも想定される(Nolan 2002, Trends Biotechnol. 20(1):9-12)。そのような懸濁アレイでは、マイクロビーズやマイクロスフェアなどの担体は、懸濁状態で存在する。アレイは、標識化されていてもよい、様々なリガンドを担持する様々なマイクロビーズ又はマイクロスフェアで構成される。そのようなアレイ、例えば、固相化学及び光感受性保護基に基づくアレイの製造方法は、広く知られている(米国特許第5,744,305号)。
【0043】
本明細書で用いる「量」という用語は、ポリペプチドの絶対量、該ポリペプチドの相対量若しくは相対濃度、さらにはそれらと相関する若しくはそれから導くことのできる任意の値若しくはパラメータを包含する。そのような値又はパラメータは、直接的測定により該ポリペプチドから得られるいずれも特異的な物理的性質又は化学的性質に由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトル又はNMRスペクトルの強度値を含む。さらに、本明細書中の他の箇所に記載された間接的測定により得られるすべての値又はパラメータ、例えば、ペプチドに応答する生物学的読取り系から決定される応答レベル、又は特異的に結合したリガンドから得られる強度シグナルが含まれる。上述の量又はパラメータと相関する値もまた、いずれも標準的な数学演算により取得可能であることが理解されるであろう。
【0044】
本明細書で用いる比較は、分析対象のサンプルに含まれる本明細書に記載するポリペプチドの量の、本明細書中で以下に記載するように好適な参照サンプル中の該ポリペプチドの量との比較を包含する。本明細書で用いる比較は、対応するパラメータ又は値の比較を意味すると理解されるであろう。例えば、絶対量は絶対参照量と比較され、濃度は参照濃度と比較され、又は被験サンプルから得られた強度シグナルは、参照サンプルの同一タイプの強度シグナルと比較される。本発明の方法のステップ(b)で参照される比較は、手動で実施してもよいし又はコンピュータにより支援してもよい。コンピュータにより支援される比較では、測定量の値をデータベース中に格納された好適な参照に対応する値とコンピュータプログラムにより比較することが可能である。コンピュータプログラムは、専門のシステムによって比較の結果をさらに評価することができる。従って、本明細書に記載する肝硬変の重症度の診断は、好適な出力形式で自動的に提供されうる。
【0045】
本明細書で用いる「参照量」という用語は、上に記載したように、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかの診断を可能にする量を意味する。従って、参照は、軽度の肝硬変に罹患していることがわかっている被験体に由来しても、又は重度の肝硬変に罹患していることがわかっている被験体に由来してもよい。軽度の肝硬変に罹患している被験体由来の参照サンプルを使用する場合、検査被験体のサンプル中のポリペプチドの量が該参照サンプル中で測定された量(すなわち参照量)と本質的に同一であることは、軽度の肝硬変を示すものであることが理解されるであろう。同様に、重度の肝硬変に罹患している被験体由来の参照サンプルを使用する場合、検査被験体のサンプル中のポリペプチドの量が該参照サンプル中で測定された量(すなわち参照量)と本質的に同一であることは、重度の肝硬変を示すものである。個々の被験体に適用される参照量は、様々な生理的パラメータ、例えば年齢、性別又は下位集団(subpopulation)に応じて変化しうる。従って、好適な参照量は、分析対象の参照サンプルから、検査サンプルとともに、すなわち同時に又は続いて、本発明の方法によって決定することができる。
【0046】
さらに、閾値量を、好ましくは参照量として使用することができる。閾値量を上回る又は閾値量を下回るポリペプチドの量は、好ましくは、軽度又は重度の肝硬変のいずれかを示すものである。好ましくは、閾値量を上回るポリペプチドの量は、重度の肝硬変を示すものである。好ましくは、閾値量を下回るポリペプチドの量は、軽度の肝硬変を示すものである。
【0047】
本発明において記載するようにGDF-15についての閾値量を規定する本発明におけるGDF-15についての好ましい参照量は、約4000〜5000pg/mlの範囲内である。より好ましくは、参照量は、約4000pg/ml、約4500pg/ml又は約5000pg/mlである。
【0048】
好ましくは、本明細書で用いる「約」という用語は、特定の値、量、濃度、レベルなどに対して+及び−20%の範囲を包含し、例えば「約100」の値の表示は、100+/−20%の数値範囲の値、すなわち80〜120の範囲の値を包含することを意味する。好ましくは、特定の値、量、濃度、レベルなどに対して+及び−10%の範囲を包含し、より好ましくは、特定の値、量、濃度、レベルなどに対して+及び−10%の範囲を包含する。最も好ましくは、「約」という用語は、正確な値、量、濃度、レベルなどを意味する。
【0049】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15の量がGDF-15についての参照量(GDF-15についての閾値量を規定する)より多いことは、重度の肝硬変を示すものである。
【0050】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15の量がGDF-15についての参照量(GDF-15についての閾値量を規定する)より少ないことは、軽度の肝硬変を示すものである。
【0051】
本発明において記載するようにPlGFについての閾値量を規定する本発明におけるPlGFについての好ましい参照量は、13〜20pg/mlの範囲内、より好ましくは15〜18pg/mlの範囲内である。さらにより好ましくは、参照量は15pg/ml、17pg/ml又は20pg/mlである。
【0052】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のPlGFの量がPlGFについての参照量(PlGFについての閾値量を規定する)より多いことは、重度の肝硬変を示すものである。
【0053】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のPlGFの量がPlGFについての参照量(PlGFについての閾値量を規定する)より少ないことは、軽度の肝硬変を示すものである。
【0054】
本発明において記載するようにHGFについての閾値量を規定する本発明におけるHGFについての好ましい参照量は、好ましくは2500〜5000pg/mlの範囲内、より好ましくは3000〜4000pg/mlの範囲内である。特に好ましい参照量は、約4000pg/ml、約3500pg/ml又は約3000pg/mlである。
【0055】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のHGFの量がHGFについての参照量(HGFについての閾値量を規定する)より多いことは、重度の肝硬変を示すものである。
【0056】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のHGFの量がHGFについての参照量(HGFについての閾値量を規定する)より少ないことは、軽度の肝硬変を示すものである。
【0057】
本発明で実施される研究においてChild B及びCと等級付けされる被験体は同程度のレベルのHGFを有したため(実施例参照)、参照量より多い量のHGFを有する被験体は、中程度の肝硬変に罹患している可能性もある。従って、HGFに関して、本発明の方法は、a)一方で軽度の肝硬変とb)他方で中程度又は重度の肝硬変との識別を可能にもしうる。同じことがGDF-15に当てはまる。
【0058】
ある診断に対する参照量の決定は、当業者の知識に属する。本発明におけるバイオマーカーの参照量(従ってGDF-15、HGF又はPlGFの参照量)は、容易に確立することができ、患者サンプル中のマーカーのレベルは、参照量と簡単に比較することができる。診断検査の感度及び特異度は、単なる検査の分析上の「質」以上のものに左右される。それらは、異常な結果を構成するものの定義にも左右される。実際には、受診者動作特性曲線(Receiver Operating Characteristic curve)、すなわち「ROC」曲線は、軽度の肝硬変に罹患している集団及び重度の肝硬変に罹患している集団における相対頻度に対する変数の値をプロットすることによって計算することができる。任意の特定のマーカーについて、被験体に対するマーカーレベルの分布は重複する可能性が高い。そのような条件下で、検査は、重度の肝硬変を有する患者から軽度の肝硬変を有する患者を100%正確には絶対的に区別せず、重複する領域は、検査が重度の肝硬変を有する患者から軽度の肝硬変を有する患者を区別できない場合を示す。それ(閾値)を上回ると検査が肝硬変を示すとみなされ、それを下回ると検査が線維症を示すとみなされる閾値を選択する。ROC曲線下の面積は、受けた測定が、被験体の正しい診断を可能にする確率の尺度である。検査結果が必ずしも正確な数を与えない場合でさえ、ROC曲線を使用することができる。結果をランク付けできる限りは、ROC曲線を作成することができる。例えば、肝硬変に罹患している患者由来のサンプルに対する検査の結果を、程度に応じてランク付けすることができる(例えば1=低い、2=正常、及び3=高い)。このランク付けは、線維症を有する被験体の集団における結果と相関させることができ、ROC曲線が作成される。これらの方法は、当技術分野で周知である。例えば、Hanleyら, Radiology 143: 29-36 (1982)を参照。
【0059】
いくつかの実施形態において、マーカーは、少なくとも約70%の特異度、より好ましくは少なくとも約80%の特異度、さらにより好ましくは少なくとも約85%の特異度、はるかにより好ましくは少なくとも約90%の特異度、最も好ましくは少なくとも約95%の特異度と組み合わせて、少なくとも約70%の感度、より好ましくは少なくとも約80%の感度、さらにより好ましくは少なくとも約85%の感度、はるかにより好ましくは少なくとも約90%の感度、最も好ましくは少なくとも約95%の感度を示すように選択される。特に好ましい実施形態において、感度及び特異度の両方が、少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、はるかにより好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%である。
【0060】
上に記載したように、参照は、好ましくは、重度の肝硬変に罹患していることがわかっている被験体又は軽度の肝硬変に罹患していることがわかっている被験体由来のサンプルから得ることができる。参照は、そのようなサンプルの群から得られる平均値又は中間でもありうる。参照結果は、本発明の方法を適用することによって得てもよい。集団の該個体のバイオマーカーの絶対量又は相対量は、本明細書の他の箇所に記載するように決定することができる。好適な参照値、好ましくは平均値又は中央値を計算する方法は、当技術分野で周知である。以前に記載した被験体の集団は、複数の被験体、好ましくは少なくとも5、10、50、100、1,000又は10,000の被験体を含むものとする。本発明の方法によって評価される被験体及び該複数の被験体の被験体は、同じ種であることが理解されるであろう。
【0061】
「参照」は、参照被験体の群、すなわち重度の肝硬変に罹患していることがわかっている被験体の群、又は軽度の肝硬変に罹患していることがわかっている被験体の群においてバイオマーカーの量を測定し、本明細書の他の箇所に記載されるものをはじめとする適切な統計的方法、例えば中央値、平均値、変位値、PLS-DA、ロジスティック回帰法、ランダムフォレスト分類(random forest classification)又は閾値を与える他の方法により参照を計算することによって、得られることがさらに想定される。閾値は、検査の感度及び特異度の所望の臨床設定を考慮に入れるべきである。
【0062】
被験体が重度の肝硬変又は軽度の肝硬変に罹患しているかどうかの評価は、検査サンプルから得られた検査結果と上述の参照結果との同一性又は類似性の程度に基づいて、すなわちバイオマーカーに関する同一又は類似の量に基づいて、行うことができることも想定される。例えば、参照サンプルを軽度の肝硬変に罹患している被験体から得ている場合で、かつ検査サンプル中のバイオマーカーの量が参照サンプル中の該バイオマーカーの量と類似又は同一である場合は、軽度の肝硬変の存在を診断することができる。特徴的特性についての値、及び、定量的測定の場合には、強度値が同一であるならば、検査サンプルの結果及び参照結果は同一である。特徴的特性の値が同一であるが、強度値が異なるならば、該結果は類似している。そのような差異は、好ましくは有意ではなく、強度についての値が、参照値の1〜99パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、40〜60パーセンタイルの少なくとも区間内にあり、参照値の50、60、70、80、90又は95パーセンタイルにあることを特徴とする。
【0063】
本発明の方法において、評価が、検査サンプルから得られる検査結果と上述の参照結果との差異に基づきうることも想定される。上に記載するように計算した参照値を使用する場合に、同じことが当てはまる。差異は、好ましくは、本発明における診断マーカーの絶対量又は相対量における増加であるものとする。好ましくは、相対量又は絶対量における増加は有意であり、すなわち参照値の45〜55パーセンタイル、40〜60パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、1〜99パーセンタイルの区間外にある。
【0064】
有利には、本発明の根底にある研究において、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中におけるGDF-15、PlGF及びHGFからなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの測定により、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかの効率的で確実な診断が可能となることが見出された。具体的には、GDF-15、PlGF及びHGF(実施例参照)の量を、様々な程度の肝硬変に罹患している31人の被験体において測定した。その結果により、上述のマーカーのいずれか1つのレベルが肝硬変の重症度とともに上昇し、従ってその測定により肝硬変の病期分類が可能となることが示された。特に、測定されたバイオマーカーの量が、ChildクラスAに等級付けされた肝硬変に罹患している被験体における該バイオマーカーの量と比べて、ChildクラスCに等級付けされた肝硬変に罹患している被験体において、有意に増加することが示された。従って、これらのバイオマーカーの測定により、肝硬変に罹患している患者における肝硬変の重症度の確実な評価が可能となる。本発明の方法のおかげで、該鑑別診断の結果に従って、より容易かつ確実な診断、続いて正しい治療が可能である。本発明の方法は、単に被験体由来のサンプル中のマーカーの量を測定することによって、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかの診断が可能となるため、特に有利である。特に、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のマーカー(GDF-15、PlGF及び/又はHGF)の量が適切な参照量より多いことは、好ましくは、該被験体が重度の肝硬変に罹患していることを示し、一方で、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のマーカー(GDF-15、PlGF及び/又はHGF)の量が適切な参照量より多いことは、該被験体が軽度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0065】
本発明の方法の一実施形態において、被験体由来のサンプルにおいて1つのマーカーのみ、すなわちGDF-15、PlGF又はHGFを測定する。
【0066】
本発明の方法の別の実施形態において、2つのマーカー(すなわちGDF-15及びPlGF;又はGDF-15及びHGF;又はPlGF及びHGF)の量を測定する。2つのマーカーの測定は、肝硬変を有する被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかの診断の感度及び特異度を高める。
【0067】
GDF-15及びPlGFの量を測定する場合、以下を適用する。
【0068】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のGDF-15及びPlGFの量が対応する参照量(従って、それぞれGDF-15及びPlGFの参照量)より少ないことは、該被験体が軽度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0069】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のGDF-15及びPlGFの量が対応する参照量(従って、それぞれGDF-15及びPlGFの参照量)より多いことは、該被験体が重度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0070】
GDF-15及びHGFの量を測定する場合、以下を適用する。
【0071】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のGDF-15及びHGFの量が対応する参照量(従って、それぞれGDF-15及びHGFの参照量)より少ないことは、該被験体が軽度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0072】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のGDF-15及びHGFの量が対応する参照量(従って、それぞれGDF-15及びHGFの参照量)より多いことは、該被験体が重度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0073】
PlGF及びHGFの量を測定する場合、以下を適用する。
【0074】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のPlGF及びHGFの量が対応する参照量(従って、それぞれPlGF及びHGFの参照量)より少ないことは、該被験体が軽度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0075】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のPlGF及びHGFの量が対応する参照量(従って、それぞれPlGF及びHGFの参照量)より多いことは、該被験体が重度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0076】
GDF-15、PlGF及びHGFの量を測定することも想定される。この3つのマーカーの測定は、肝硬変を有する被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかの診断の感度及び特異度をさらに高める。
【0077】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF及びHGFの量が対応する参照量(従って、それぞれGDF-15、PlGF及びHGFの参照量)より少ないことは、該被験体が軽度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0078】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF及びHGFの量が対応する参照量(従って、それぞれGDF-15、PlGF及びHGFの参照量)より多いことは、該被験体が重度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0079】
好ましくは、本発明の方法は、該サンプル中のアディポネクチンの量の測定、及び該量の参照量との比較をさらに含む。
【0080】
アディポネクチンは、脂肪細胞によって分泌されるポリペプチド(いくつかの公知のアディポサイトカインの1つ)である。当技術分野では、アディポネクチンは、Acrp30及びapM1と称されることも多い。アディポネクチンは、最近、様々な活性、例えば抗炎症活性、抗動脈硬化活性、メタボリックシンドローム予防活性、及びインスリン抵抗性改善活性(insulin sensitizing activity)を有することが示されている。アディポネクチンは、単一の遺伝子にコードされ、244アミノ酸を有し、分子量は約30kDaである。成熟ヒトアディポネクチンタンパク質は、全長アディポネクチンのアミノ酸19〜244を含む。球状ドメインは、全長アディポネクチンのアミノ酸107〜244を含むと考えられている。アディポネクチンポリペプチドの配列は、当技術分野で周知であり、例えば国際公開第2008/084003号に開示されている。
【0081】
アディポネクチンは、それ自体をより大きな構造に結合させる。3つのアディポネクチンポリペプチドは結合して、ホモ三量体を形成する。これらの三量体は結合して、六量体又は十二量体を形成する。アディポネクチンは、血漿中で広範な多量体複合体で存在することが知られており、コラーゲンドメインを介して結合し、3つの主要なオリゴマー型、すなわち低分子量(LMW)三量体、中分子量(MMW)六量体、及び高分子量(HMW)十二〜十八量体アディポネクチンを生成する(Kadowakiら (2006) Adiponectin and adiponectin receptors in insulin resistance, diabetes, and the metabolic syndrome. J Clin Invest. 116(7): 1784-1792; Rexford S. Ahima, Obesity 2006;14:242S-249S)。アディポネクチンは、いくつかの生理的作用、例えばアテローム性動脈硬化に対する防御活性、インスリン感受性の改善作用、及び肝線維症の予防作用を有することが報告されている。
【0082】
本明細書で用いるアディポネクチンは、好ましくは、低分子量アディポネクチン、中分子量アディポネクチンに関し、より好ましくは全アディポネクチンに関し、最も好ましくは高分子量アディポネクチンに関する。高分子量アディポネクチン(十二〜十八量体アディポネクチン、好ましくは十八量体アディポネクチン)、低及び中分子量アディポネクチン、並びに全アディポネクチンという用語は、当業者に理解されている。好ましくは、該アディポネクチンはヒトアディポネクチンである。アディポネクチンの測定方法は、例えば米国特許出願公開第2007/0042424 A1号及び国際公開第2008/084003号に開示されている。好ましくは、アディポネクチンの量は血清サンプル中で測定される。
【0083】
本発明において記載されるアディポネクチンは、上で説明したヒトアディポネクチンについての該特異的配列のアレル変異体及び他の変異体をさらに包含する。具体的には、ヒトアディポネクチンと、アミノ酸レベルで、好ましくは少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%の同一性を有する変異体ポリペプチドが想定される。2つのアミノ酸配列間の同一性の程度は当技術分野で周知のアルゴリズムによって、決定できる。好ましくは、同一性の程度は2つの最適にアライメントした配列を比較ウインドウにわたって比較することにより決定され、その際、比較ウインドウ中のアミノ酸配列の断片は最適なアライメントのために、参照配列(付加又は欠失を含んでいない)と比較して付加又は欠失(例えば、ギャップ又はオーバーハング)を含んでいてもよい。パーセンテージは2つの配列の双方で同一のアミノ酸残基が存在する位置の数から一致している位置の数を求め、一致している位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数で除し、その解に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより算出される。比較のための配列の最適なアライメントは、Smith及びWatermannのローカルホモロジーアルゴリズム(Add. APL. Math. 2:482(1981))によって、Needleman及びWunschのホモロジーアライメントアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:443(1970))によって、Pearson及びLipmanの類似性探索法(Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85:2444(1988))によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実施(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group(GCG), 575 Science Dr., Madison, WI中のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、及びTFASTA)によって、又は目視による検討により行うことができる。比較のために2つの配列が同定されている場合は、GAP及びBESTFITを用いてそれらの最適なアライメントを決定することによって、同一性の程度を求めることが好ましい。好ましくは、ギャップウエイトについてのデフォルト値5.00及びギャップウエイトレングスについてのデフォルト値0.30を使用する。上記変異体は、アレル変異体、又は他の任意の生物種特異的なホモログ、パラログ若しくはオルソログであってもよい。診断手段によって、又は各全長ペプチドに対するリガンドによって依然として認識されるタンパク質分解産物は、実質的に類似しており、それらもまた想定される。ヒトアディポネクチンのアミノ酸配列と比べて、アミノ酸欠失、置換、及び/又は付加を有する変異体ポリペプチドも、該ポリペプチドがアディポネクチンの性質を有する限り、包含される。
【0084】
本発明において記載するようにアディポネクチンについての閾値量を規定する本発明におけるアディポネクチン(好ましくは高分子量アディポネクチン)についての好ましい参照量は、好ましくは5〜9μg/mlの範囲内、より好ましくは6〜8μg/mlの範囲内である。さらにより好ましくは、参照量は5.5μg/ml、6.5μg/ml、最も好ましくは7.5μg/mlである。
【0085】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のアディポネクチン(特に高分子量アディポネクチン)の量がアディポネクチンについての参照量(アディポネクチンについての閾値量を規定する)より多いことは、GDF-15、PlGF及び/又はHGFの量も参照量より多いならば、重度の肝硬変を示すものである。
【0086】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のアディポネクチンの量がアディポネクチンについての参照量(アディポネクチンについての閾値量を規定する)より少ないことは、GDF-15、PlGF及び/又はHGFの量も参照量より少ないならば、軽度の肝硬変を示すものである。
【0087】
有利には、本発明において行われた研究の中で、被験体のサンプル中のアディポネクチンのさらなる測定が、診断の特異度及び感度を高めることが見出された。
【0088】
本明細書中で上に与えられる説明及び定義は、変更すべきところは変更して、以下に適用する。
【0089】
さらに、本発明はまた、肝移植に適格な被験体を同定する方法であって、該被験体は肝硬変に罹患しており、以下のステップ:
a)該被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGFの量を測定するステップ、
b)ステップa)で測定された量を参照量と比較するステップ、並びに
c)ステップb)で得られた結果に基づいて、肝移植に適格な被験体を同定するステップ
を含む、前記方法に関する。
【0090】
本発明はまた、肝移植に適格な被験体を同定する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体由来のサンプル中で測定したGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量を、参照量と比較するステップ、
b)肝移植に適格な被験体を同定するステップ
を含む、前記方法を想定する。
【0091】
上記のように、本発明の過程において、マーカーGDF-15、PlGF及びHGFは、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するための信頼できるマーカーであることが見出された。特に、該マーカーは、軽度の肝硬変を有する被験体と比べて、重度の肝硬変を有する被験体のサンプル中で増加する。重度の肝硬変に罹患している被験体は、肝移植をより必要としている可能性が高いため、該マーカー(単独又は組み合わせて)の測定は、肝移植に適格な被験体の同定を可能にする。
【0092】
本明細書で用いる「肝移植に適格な被験体の同定」という表現は、被験体が肝移植を許容する/肝移植に適格であるか、又はそうではないか評価することを意味する。肝移植に適格な被験体は、好ましくは該移植から恩恵を受ける。
【0093】
好ましくは、移植に対する利点が欠点を上回る場合に、被験体は肝移植から恩恵を受ける。
【0094】
本明細書の他の箇所に記載されるように、一部の患者は手術を乗り切ることができないため、肝移植は危険性が高くまた費用がかかる手術である。従って、肝移植の欠点は、高い費用と有害な副作用である。
【0095】
他方、肝移植は、肝機能の有意な増加を可能にするという利点を有し、従って生存に必要でありうる。従って、重度の肝硬変に罹患している患者のみが、移植の利点がそれらの患者に対する欠点を上回るため、肝移植に適格である。患者が軽度の肝硬変に罹患している場合、肝移植の欠点が利点を上回るため、該患者は好ましくは肝移植を許容しない。
【0096】
当業者であれば理解されるように、記載された評価は通常、同定される被験体の100%について正確であることは意図されていない。しかし、その用語は、被験体の統計的に有意な一部を正確に同定できることを要する。当業者であれば、他に苦労なく種々の周知の統計学的評価ツールを用いて、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定などを行って、一部が統計学的に有意であるかどうかを決定することが可能である。詳細な内容は、Dowdy and Wearden、Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見い出される。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、又は0.0001である。好ましくは、本発明により想定される確率は、診断が、一定のコホート又は集団の被験体の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%について正確であることを可能にする。
【0097】
「肝移植」という用語は当業者に公知である。特に、肝移植は、罹患した肝臓の健康な肝臓同種移植片との置換である。好ましくは、「肝移植」という用語は、部分的及び全体的肝移植を含む。肝移植では、ドナーの肝臓は、好ましくは切除され(全体的又は部分的に)、レシピエントに移植される。肝移植を行う方法は、当技術分野で周知である。好ましくは、ドナーは死亡したドナーである。しかし、ドナーが生きているドナーであることも想定される。肝移植の好ましい方法は、例えばReddyら (2004) Liver Transpl 10 (10): 1223-32及びStarzlら (1981) New England Journal of Medicine 305: 266-269に記載されている。
【0098】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中の本明細書に記載のマーカーの量が(対応する)参照量より多いことは、肝移植に適格な被験体を示唆するものである。
【0099】
好ましくは、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中の本明細書に記載のマーカーの量が(対応する)参照量より少ないことは、肝移植に適格でない被験体を示唆するものである。
【0100】
好ましい参照量は本明細書中で上に示されている。
【0101】
好ましい実施形態において、本発明の上述の方法において記載される1つのマーカーのみの量を測定する(従って、GDF-15、PlGF又はHGF)。別の好ましい実施形態において、2つのマーカー(すなわちGDF-15及びPlGFの組み合わせ;又はGDF-15及びHGFの組み合わせ;又はPlGF及びHGFの組み合わせ)の量を測定する。本発明の方法のさらに好ましい実施形態において、3つのマーカー(すなわちGDF15、PlGF及びHGFの組み合わせ)を測定する。
【0102】
2つのマーカーの量を測定する場合、以下を適用する。
【0103】
好ましくは、被験体由来のサンプル中の2つのマーカーの量が対応する参照量より多いことは、肝移植に適格な被験体を示すものである。
【0104】
好ましくは、被験体由来のサンプル中の2つのマーカーの量が対応する参照量より少ないことは、肝移植に適格でない被験体を示すものである。
【0105】
3つのマーカーの量を測定する場合、以下を適用する。
【0106】
好ましくは、被験体由来のサンプル中の3つのマーカーの量が対応する参照量より多いことは、肝移植に適格な被験体を示すものである。
【0107】
好ましくは、被験体由来のサンプル中の3つのマーカーの量が対応する参照量より少ないことは、肝移植に適格でない被験体を示すものである。
【0108】
好ましくは、上述の方法は、該サンプル中のアディポネクチンの量の測定、及び該量の参照量との比較をさらに含む。
【0109】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のアディポネクチンの量がアディポネクチンについての参照量(アディポネクチンについての閾値量を規定する)より多いことは、本発明の方法に記載の他のマーカーの量も対応する参照量より多いならば、肝移植に適格な被験体を示すものである。
【0110】
好ましくは、被験体由来のサンプル中のアディポネクチンの量がアディポネクチンについての参照量(アディポネクチンについての閾値量を規定する)より少ないことは、本発明の方法に記載の他のマーカーの量も対応する参照量より多いならば、肝移植に適格でない被験体を示すものである。
【0111】
本明細書に記載のバイオマーカーの量の測定により、肝硬変に罹患している被験体のモニタリングが可能となることが理解されるであろう。該被験体のモニタリングでは、該被験体の第一のサンプル及び該被験体の第二のサンプル中でPlGF及び/又はGDF-15の量を測定する。さらなるステップでは、第二のサンプル中のマーカーの量を、第一のサンプル中の該マーカーの量と比較する。好ましくは、第一のサンプルと比較した、第二のサンプル中のPlGF及び/又はGDF-15の量の増加は、肝硬変が悪化していることを示す。好ましくは、統計的に有意な増加は、肝硬変が有意に悪化している(特に、軽度の肝硬変から重度の肝硬変へ)ことを示す。増加が統計的に有意か否かは、当業者であれば他に苦労なく決定することができる。
【0112】
好ましくは、第二のサンプルは、第一のサンプルの後に得る。第一のサンプルと第二のサンプルを得る好ましい時間間隔は6ヶ月、1年、2年、3年又は5年である。
【0113】
本明細書中で上に与えられる定義及び説明は、変更すべきところは変更して、以下に適用する。
【0114】
本発明はまた、被験体がi)軽度、ii)中程度又はiii)重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプル中のGDF-15及びPlGFの量を測定するステップ、
b)ステップa)で測定したGDF-15及びPlGFの量を、GDF-15及びPlGFについての参照量と比較するステップ、並びに
c)被験体がi)軽度、ii)中程度又はiii)重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するステップ
を含み、ここで
i)GDF-15及びPlGFの量がGDF-15及びPlGFについての参照量より少ないことは、該被験体が軽度の肝硬変に罹患していることを示し、
ii)GDF-15の量がGDF-15についての参照量より多いが、PlGFの量がPlGFについての参照量より少ないことは、該被験体が中程度の肝硬変に罹患していることを示し、そして
iii)GDF-15及びPlGFの量がGDF-15及びPlGFについての参照量より多いことは、該被験体が重度の肝硬変に罹患していることを示す、
前記方法に関する。
【0115】
「軽度」及び「重度」の肝硬変という用語の定義は本明細書中で上に与えられる。好ましくは、「中程度の肝硬変」という用語は、Child-Pugh分類システムによってChild Bと等級付けされる肝硬変の病期を意味する。
【0116】
有利には、肝硬変を有する被験体由来のサンプル中におけるPlGF及びGDF-15の測定により、軽度、中程度及び重度の肝硬変の識別が可能となることが示された。特に、本発明において行われた実験では、PlGF及びGDF-15の量が各参照量より多いことが、重度の肝硬変を示すものであり、一方、PlGF及びGDF-15の量が各参照量より少ないことが、軽度の肝硬変を示すものであることが示された。さらに、GDF-15の量は中程度の肝硬変(Child-Pugh分類システムによるChild B)を有する被験体において増加し、一方で、PlGFの量はPlGFについての参照量より少なかった(図を参照)。
【0117】
上述の方法において、GDF-15の代わりにHGFを測定し、こうして測定されたHGFの量をHGFについての参照量と比較することも想定される。HGF及びGDF-15は、ともに中程度の肝硬変を有する被験体由来のサンプル中で増加する。
【0118】
HGF及びPlGFを測定する場合、以下を適用する:
i)HGF及びPlGFの量がHGF及びPlGFについての参照量より少ないことは、該被験体が軽度の肝硬変に罹患していることを示し、
ii)HGFの量がHGFについての参照量より多いが、PlGFの量がPlGFについての参照量より少ないことは、該被験体が中程度の肝硬変に罹患していることを示し、並びに
iii)HGF及びPlGFの量がHGF及びPlGFについての参照量より多いことは、該被験体が重度の肝硬変に罹患していることを示す。
【0119】
さらに、本発明は、本発明の方法を実施するのに適したデバイス及びキットに関する。
【0120】
従って、本発明は、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するためのデバイスであって、該被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGFの量を測定する手段、並びに該量を参照量と比較する手段を含む、前記デバイスに関する。
【0121】
好ましくは、該デバイスは、アディポネクチンの量を測定する手段、及び該量を参照量と比較する手段をさらに含む。
【0122】
さらに、本発明は、被験体が軽度、中程度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するためのデバイスであって、該被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)の量を測定する手段、及び該量を参照量と比較する手段を含む、前記デバイスに関する。
【0123】
さらに、本発明は、肝移植に適格な被験体を同定するためのデバイスであって、該被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)の量を測定する手段、及び該量を参照量と比較する手段を含む、前記デバイスに関する。
【0124】
好ましくは、該デバイスは、アディポネクチンの量を測定する手段、及び該量を参照量と比較する手段をさらに含む。
【0125】
本明細書で用いる「デバイス」という用語は、予測が可能となるように互いに動作可能なように連結された少なくとも上述の手段を含む手段のシステムに関する。該ポリペプチドの量を測定する好ましい手段及び比較を実施する好ましい手段は、本発明の方法と関連して上に開示されている。手段を動作可能に連結する方法は、デバイスに組み込まれる手段の種類に応じて異なる。例えば、ペプチドの量を自動的に測定する手段を適用する場合、自動的に動作する手段によって得られるデータは、例えば本明細書に記載される疾患を診断又は識別するためのコンピュータプログラムによって処理することができる。好ましくは、そのような場合、手段は、単一のデバイス内に含まれる。従って、該デバイスは、サンプル中のペプチドの量を測定するための分析ユニット、及び鑑別診断を行うべく得られたデータを処理するためのコンピュータユニットを備えることができる。あるいは、ポリペプチドの量を測定するための検査ストリップなどの手段を使用する場合、診断のための手段は、測定した量を、a)軽度若しくは重度の線維症、b)軽度、中程度若しくは重度の線維症、又はc)肝移植に適格な被験体若しくは肝移植に適格でない被験体に伴うことがわかっている量に割り当てる対照ストリップ又は表を含んでよい。検査ストリップは、好ましくは、本明細書の他の箇所に規定されるように、ポリペプチドに特異的に結合するリガンドと結合している。ストリップ又はデバイスは、好ましくは、該リガンドへの該ペプチドの結合を検出する手段を含む。検出のための好ましい手段については、本発明の方法に関する実施形態に関連して上に開示されている。そのような場合、マニュアルに定められる指示及び解釈に基づいてシステムの利用者がその量の測定結果とその診断値とを結びつけるという意味で、手段は動作可能に連結されている。手段は、そのような実施形態では、別個のデバイスとして存在してもよいが、好ましくは、キットとして一緒にパッケージングされる。当業者は、さらなる苦労なく手段を連結する方法を理解している。好ましいデバイスは、専門臨床医の特別な知識がなくても適用可能なものであり、例えば、単にサンプルを充填すればよい検査ストリップ又は電子デバイスである。結果は、パラメータの診断生データの出力として、好ましくは絶対量又は相対量として与えることができる。これらのデータが、臨床医による解釈を必要とすることは理解されるであろう。しかし、出力が、その解釈に専門臨床医を要しない処理された診断生データを含む、専門システムデバイスも想定される。さらなる好ましいデバイスは、分析ユニット/デバイス(例えば、バイオセンサー、アレイ、ポリペプチドを特異的に認識するリガンドに結合された固体支持体、表面プラズモン共鳴デバイス、NMR分光計、質量分析計など)、又は本発明の方法に適合する上で参照した評価ユニット/デバイスを備える。
【0126】
さらに、本発明は、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するためのキットであって、診断を行うための説明書、該被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGFの量を測定する手段、並びに該量を参照量と比較する手段を含む、前記キットに関する。
【0127】
好ましくは、該キットは、アディポネクチンの量を測定する手段、及び該量を参照量と比較する手段をさらに含む。
【0128】
さらに、本発明は、肝移植に適格な被験体を同定するためのキットであって、同定を行うための説明書、該被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGFの量を測定する手段、並びに該量を参照量と比較する手段を含む、前記キットに関する。
【0129】
好ましくは、該キットは、アディポネクチンの量を測定する手段、及び該量を参照量と比較する手段をさらに含む。
【0130】
さらに、本発明は、被験体が軽度、中程度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するためのキットであって、診断を行うための説明書、該被験体由来のサンプル中のGDF-15及びPlGF(胎盤増殖因子)の量を測定する手段、並びに該量を参照量と比較する手段を含む、前記キットに関する。
【0131】
本明細書で用いる「キット」という用語は、上述の手段の集合を意味し、別々に又は単一容器内で提供されることが好ましい。また好ましくは、容器は本発明の方法を実施するための説明書も含む。従って、本発明は、本明細書に記載するポリペプチドを測定するための手段又は作用剤を含むキットに関する。そのような手段又は作用剤並びにそれらの使用方法の例は、本明細書に記載されている。キットは、好ましくは、上述の手段又は作用剤をすぐに使える様式で含有する。好ましくは、キットは、説明書、例えば、本発明の方法によって提供される診断に関する任意の測定結果を解釈するためのユーザーズマニュアルをさらに含みうる。特に、そのようなマニュアルは、測定されたポリペプチドの量を診断の種類に割り当てるための情報を含んでよい。詳細は、本明細書中の他の箇所に見出される。さらに、そのようなユーザーズマニュアルは、各バイオマーカーの量を測定するためのキットの構成要素を正しく使用することについての説明書を提供しうる。ユーザーズマニュアルは、紙又は電子形式で、例えばCD又はCD ROMに保存されて提供されてよい。本発明はまた、本発明における方法のいずれかにおける該キットの使用にも関する。
【0132】
また、本発明は、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するための、あるいは肝移植に適格な被験体を同定するための、肝硬変を有する被験体由来のサンプル中のGDF-15、PlGF及び/又はHGFの使用に関する。
【0133】
上述のマーカー(又はそれらの組み合わせ)に加え、アディポネクチンも、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するために、あるいは肝移植に適格な被験体を同定するために使用することができる。
【0134】
また、本発明は、肝硬変を有する被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するための、あるいは肝移植に適格な被験体を同定するための、GDF-15のリガンド、PlGFのリガンド及び/又はHGFのリガンドの使用に関する。
【0135】
もちろん、2つ又は3つの上述のリガンドの組み合わせも、(肝硬変を有する被験体のサンプル中で)被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するために、あるいは(被験体のサンプル中で)肝移植に適格な被験体を同定するために、使用することができる。
【0136】
上述のリガンド(又はそれらの組み合わせ)に加え、アディポネクチンのリガンドも、(被験体由来のサンプル中で)肝硬変を有する被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するために、あるいは(被験体由来のサンプル中で)肝移植に適格な被験体を同定するために、使用することができる。
【0137】
また、本発明は、被験体が軽度、中程度又は重度の肝硬変に罹患しているか診断するための、肝硬変を有する被験体由来のサンプル中のGDF-15及びPlGFの使用に関する。
【0138】
さらに、本発明は、(被験体由来のサンプル中で)肝硬変を有する被験体が軽度、中程度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するための、a)GDF-15のリガンド及びPlGFのリガンド、又はb)HGFのリガンド及びPlGFのリガンドの使用に関する。
【0139】
さらに、本発明は、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するための方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプル中のビリルビンの量を測定するステップ、
b)上記ビリルビンの量を参照量と比較するステップ、及び
c)ステップb)の結果に基づいて、該被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するステップ
を含む、前記方法に関する。
【0140】
さらに、本発明は、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するための方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプルにおいてヘパスコア(hepascore)を決定するステップ、
b)上記ヘパスコアを参照ヘパスコアと比較するステップ、及び
c)ステップb)の結果に基づいて、該被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するステップ
を含む、前記方法に関する。
【0141】
最後に、本発明は、肝移植に適格な被験体を同定する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプル中のヒアルロン酸の量を測定するステップ、
b)上記ヒアルロン酸の量を参照量と比較するステップ、及び
c)ステップb)の結果に基づいて、肝線維症と肝硬変を識別するステップ
を含む、前記方法に関する。
【0142】
本明細書中で引用された参考文献はすべて、それらの全開示内容に関して参照により本明細書に援用されるものとし、かつ該開示内容は本明細書中に具体的に述べられているものとする。
【0143】
以下の実施例は、本発明を説明するだけのものである。決して本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例1】
【0144】
高分子量アディポネクチン、GDF-15及びPlGFの量を、肝線維症及び肝硬変に罹患している計64人の患者において測定した。
【0145】
患者集団は、Raedle-Hurstら(Europoean Journal of Gastroenterology & Hepatology 2008, Vol 20 No 9)に記載されているのと同じである。
【0146】
平均年齢は48.1 +/- 6.5歳(範囲31〜65)であった。26人の患者が女性で、38人が男性であった。
【0147】
肝硬変の明らかな兆候を有する患者を除いて、全ての患者で肝生検を行った(Raedle-Hurstら, 前掲を参照)。肝生検の検体を、患者の臨床及び生化学データを知らない経験豊富な病理学者が評価した。肝臓の線維化を、Ishakスコア(Ishakら, Histological grading and staging of chronic hepatitis. J Hepatol 1995; 22:696-699)に従って病期分類した。軽度の線維化はステージF1〜2に属し、中程度の線維化はF3〜4に属し、重度の線維化/肝硬変はF5〜6に属する。重度の線維化/肝硬変を、Child-Turcotte-Pugh基準(Pughら, Transection of the oesophagus for bleeding oesophageal varices. Br J Surg 1973; 60:646-649)に従って分類した。
【0148】
肝疾患の病期分類は、64人の患者中25人(39.1%)で軽度の線維化(F1〜2)、64人の患者中8人(12.5%)で中程度の線維化(F3〜4)、64人の患者中31人(48.4%)で重度の線維化/肝硬変(F5〜6)を示した。重度の線維化/肝硬変を有する患者の下位群において、肝機能障害の程度を、11人の患者でChild-Turcotte-PughクラスA、11人の患者でB、9人の患者でCと分類した。
【0149】
様々なマーカーの測定結果を図1〜3に示す。
【0150】
結果からわかるように、アディポネクチン、GDF-15及びPlGFの量は、重度の肝硬変を有する患者由来のサンプル中で、軽度の肝硬変を有する患者由来のサンプル中より多い。特に、GDF-15の量は、Child B及びCと等級付けされた肝硬変を有する患者において、Child Aと等級付けされた肝硬変を有する患者におけるGDF-15の量に比べて増加した。さらに、PlGFの量は、Child Cと等級付けされた肝硬変を有する患者において、Child A及びBと等級付けされた肝硬変を有する患者におけるPlGFの量に比べて増加した。従って、これらのマーカーの測定により、上述の等級の肝硬変の識別が可能となる。
【実施例2】
【0151】
62歳の患者がかかりつけの医者のところにいる。この被験体由来の血清サンプル中で、PlGF(12.1pg/ml)及びGDF-15(2780pg/ml)を測定する。肝生検を行い、続いて組織学的検査に供する。小さな再生結節が検出され、これは肝硬変を示している。肝硬変はChild-Pughスコア(Child A)の決定によって病期分類される。さらに、上記の血清サンプル中のHGFをその後測定すると、HGFレベルは2560pg/mlであることが示される。
【実施例3】
【0152】
進行した肝疾患を有する被験体における肝硬変の急性発症後、該被験体が肝移植を要するかどうか決定しなければならない。肝硬変はChild-Pughスコア(Child C)の決定によって病期分類される。さらに、PlGF(18pg/ml)及びGDF-15(6850pg/ml)及び高分子量アディポネクチン(15.2μg/ml)を患者由来の血清サンプル中で測定し、これらは被験体が末期肝疾患(重度の肝硬変)に罹患していることを示している。このことは、血清サンプル中のHGFの測定(6280pg/ml)によってさらに確認される。この患者は肝移植のリストに挙げられる。肝移植は6週間後に行われる。
【実施例4】
【0153】
電気化学発光イムノアッセイElecsysTM装置(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)によってGDF-15を測定した。アッセイは電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ原理に従って機能する。第一段階では、ビオチン標識IgG(1-21)捕捉抗体、ルテニウム標識F(ab')2(39-50)シグナル抗体及び20μlのサンプルを37℃で9分間インキュベートする。その後、ストレプトアビジン被覆磁性微粒子を添加し、混合物をさらに9分間インキュベートする。2回目のインキュベーション後、電極の表面にビーズが磁気的に捕捉されるシステムの測定セルに反応混合物を移す。測定セルを緩衝液で洗浄することによって、非結合標識を除去する。
【0154】
最後の段階では、電圧を、トリプロピルアミン含有緩衝液の存在下で電極に印加し、結果として生じる電気化学発光シグナルを光電子増倍管によって記録する。全ての試薬及びサンプルをElecsysTM装置によって完全に自動的に扱う。結果を、2点キャリブレーションによって生成した装置特異的な検量線及び試薬バーコードを介して与えられるマスター曲線によって測定する。検査を製造業者の説明書に従って行う。
【0155】
PlGFの血中レベルを、Roche Diagnostics, DEから市販のElecsysイムノアッセイを用いて測定した。
【0156】
アディポネクチンの血中レベルを、アディポネクチン用に市販されているALPCOアディポネクチン多量体EIAイムノアッセイを用いて、血清サンプル中で測定した。
【実施例5】
【0157】
HGFのレベルを、実施例1に記載されているように、肝硬変を有する患者の下位群に属する患者(Child A: 11人の患者; Child B: 11人の患者; Child C: 9人の患者)から得られた血清サンプル中で測定した。HGFを、Quantikine(登録商標)ヒトHGFイムノアッセイ, R&D Systems, Inc., MN, Minneapolis, USAを用いて検査した。
【0158】
HGFについての中央値を以下の表に示す。
【表1】

【0159】
上の表からわかるように、HGFのレベルは肝硬変の重症度とともに増加する。従って、肝硬変に罹患している被験体由来のサンプル中のHGFの測定により、肝硬変を確実に病期分類することが可能となる。特に、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを識別することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量を測定するステップ、
b)ステップa)で測定された量を参照量と比較するステップ、並びに
c)ステップb)の結果に基づいて、該被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
該被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該サンプルが血液、血清又は血漿である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1つのマーカー(GDF-15、PlGF又はHGF)の量を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
マーカーの量が参照量より多いことは重度の肝硬変を示し、及び/又はマーカーの量が参照量より少ないことは軽度の肝硬変を示すものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
マーカーがGDF-15であり、かつGDF-15についての参照量が約4500pg/mlであるか、あるいはマーカーがPlGFであり、かつPlGFについての参照量が約17pg/mlであるか、あるいはマーカーがHGFであり、かつHGFについての参照量が約3000pg/mlである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
GDF-15及びPlGFの量を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
GDF-15、PlGF及びHGFの量を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該サンプル中のアディポネクチンの量を測定するステップ、及びこうして測定した量をアディポネクチンについての参照量と比較するステップをさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
肝移植に適格な被験体を同定する方法であって、該被験体は肝硬変に罹患しており、以下のステップ:
a)該被験体由来のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量を測定するステップ、
b)ステップa)で測定された量を参照量と比較するステップ、並びに
c)ステップb)の結果に基づいて、肝移植に適格な被験体を同定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項11】
少なくとも1つのマーカーの量が参照量より多いことは、該被験体が肝移植に適格であることを示し、及び/又は少なくとも1つのマーカーの量が参照量より少ないことは、該被験体が肝移植に適格でないことを示す、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
GDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量の代わりに、ビリルビンの量を測定する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するためのデバイスであって、該被験体由来のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量を測定する手段、並びに該量を参照量と比較する手段を含む、前記デバイス。
【請求項14】
肝移植に適格な被験体を同定するためのデバイスであって、該被験体由来のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量を測定する手段、並びに該量を参照量と比較する手段を含む、前記デバイス。
【請求項15】
被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するためのキットであって、診断を行うための説明書、該被験体由来のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量を測定する手段、並びに該量を参照量と比較する手段を含む、前記キット。
【請求項16】
肝移植に適格な被験体を同定するためのキットであって、診断を行うための説明書、該被験体由来のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の量を測定する手段、並びに該量を参照量と比較する手段を含む、前記キット。
【請求項17】
アディポネクチンの量を測定する手段、及び該量をアディポネクチンについての参照量と比較する手段をさらに含む、請求項12又は13に記載のデバイス、あるいは請求項14又は15に記載のキット。
【請求項18】
被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するための、肝硬変を有する被験体由来のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、PlGF(胎盤増殖因子)及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)の使用。
【請求項19】
肝硬変を有する被験体由来のサンプル中で、被験体が軽度又は重度の肝硬変に罹患しているかどうかを診断するための、GDF-15(増殖分化因子15)のリガンド、PlGF(胎盤増殖因子)のリガンド及び/又はHGF(肝細胞増殖因子)のリガンドの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−515336(P2012−515336A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545691(P2011−545691)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000235
【国際公開番号】WO2010/081729
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】