説明

肩着

【課題】屋内作業時、スポーツ時、就寝時等に、特に肩や上腕部の保温だけを望む場合に身丈の長さや身体への固定の面で極めて優れ、かつ様々な肩幅を有する着用者に適用できる肩着を提供する。
【解決手段】本体(2)と袖部(10)とからなる肩着(1)であって、本体は、身体の上胸部を両開きで覆う左右一対の前部(3,3)と、各前部が取り付けられて身体の上背部を覆う背部(4)とからなり、袖部は、前部と背部との側部に取り付けられて身体の少なくとも肩を覆うことができる短袖からなり、本体の各前部と背部は、脇部(5)で連結され、背部は、首部から身丈方向に左右に分離可能に形成されると共に第1の締結部材により横幅調整可能にかつ着脱可能に連結されている。本体の脇部と袖部の内側部は、連続して前後に分離可能に形成されると共に第2の締結部材により着脱可能に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として肩の保温のために使用されて好適な肩着に関する。
【背景技術】
【0002】
冷えにより、日常的に肩や腕の痛みや凝りに悩まされている人々が多数存在することは周知のとおりである。この肩や腕などを冷えから守る衣服としては、着る物として、例えばコート、ジャンパー、ジャケット等があり、また、羽織るものや巻くものとしては、例えばマフラー、ショール、ストール、肩当て等がある。この他、首や肩の保温を目的とするものとして、例えば以下の特許文献に記載されているものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−189774号公報(図1)
【特許文献2】特開2007−211383号公報(図1)
【特許文献3】特開2008−255545号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来のコート、ジャンパー、ジャケット等は、主として外出のときに用いられ、しかも全身の保温が必要なことがら身丈が長く、肩や上腕部の保温だけを望む場合に、非常に着用性の悪いものとなっている。このため、屋内作業やスポーツを行うときには、あまり着用されない。また、就寝時に布団からはみ出す肩や上腕部の保温だけを望む場合にも、その身丈の長さが災いして使用することが出来ないという問題がある。
【0005】
また、この従来のコート、ジャンパー、ジャケット等は、各サイズに応じて肩幅寸法がそれぞれ一定に製作されるため、製作者は様々な肩幅寸法のものを用意しなければならない。また購入者は、着用者の肩幅にそれぞれ適した肩幅寸法のものを購入しなければならないという無駄が発生するという問題がある。
【0006】
この一方、上述の従来のマフラー、ショール、ストールや、特許文献に開示された肩当て等は、身体への固定部分がなく、身体を激しく動かすことが多い屋内作業時やスポーツ時に、着用することが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、屋内作業時、スポーツ時、就寝時等に、特に肩や上腕部の保温だけを望む場合に、身丈の長さや身体への固定の面で極めて優れ、かつ、様々な肩幅の着用者に適用することができる肩着を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明が採用する手段は、本体と袖部とからなる肩着であって、本体は、身体の上胸部を両開きで覆う左右一対の前部と、各前部が取り付けられて身体の上背部を覆う背部とからなり、袖部は、前部と背部との側部に取り付けられて身体の少なくとも肩部を覆うことができる短袖からなり、本体の各前部と背部は、脇部で連結され、背部は、首部から身丈方向に左右に分離可能に形成されると共に第1の締結部材により横幅調整可能にかつ着脱可能に連結されたことにある。
【0009】
このように、本発明の肩着は、身体の上胸部を両開きで覆う左右一対の前部と、各前部が取り付けられて身体の上背部を覆う背部とからなり、また、前部と背部との側部に取り付けられる袖部は、身体の少なくとも肩部を覆うことができる短袖からなるから、特に肩や上腕部を集中的に保温することができる。
【0010】
また、覆っているのは主として肩であるから、身丈が極めて短く、非常に着用性がよいから、屋内作業やスポーツなどを行うときに身丈部分が邪魔にならず運動性に優れる。また、就寝時に布団からはみ出す肩や上腕部の保温だけを集中的に行なうことができ、就寝時にも身丈部分が邪魔にならない。
【0011】
さらに、本体の各前部と背部は脇部で連結されているから、その連結されている脇部に腕を通すことにより身体への固定が確実になされ、身体を激しく動かすことが多い屋内作業時やスポーツ時などにも確実に着用することができる。
【0012】
これに加えて、背部は、首部から身丈方向に左右に分離可能であると共に、第1の締結部材により横幅調整可能にかつ着脱可能に連結されているから、着用者の肩幅に応じてその横幅を最適に調整することができる。これにより、製作者は様々な肩幅寸法のものを用意する必要がなくなり、また着用者は、肩幅寸法を考慮することなく肩着を購入することができる。
【0013】
上記肩着において、本体の脇部から袖部の内側部にかけて連続して前後に分離可能に形成されると共に、第2の締結部材により着脱可能に連結されていることが望ましい。このように、本体の脇部から袖部の内側部にかけて、連続して前後に分離可能に形成されるから、着用時に腕を袖部に通す必要がなくなり、身体が不自由な者、老人、病人等も容易に着用することができる。
【0014】
上記肩着において、袖部とは別体の延長袖部を有し、袖部と延長袖部は、第3の締結部材により着脱可能に連結されていることが望ましい。このように、袖部とは別体の延長袖部を有し、袖部と延長袖部は、第3の締結部材により着脱可能に連結されているから、必要により袖を片腕ずつ長くすることができる。
【0015】
上記肩着において、本体と袖部は、内部に保温材を有することが望ましい。このように、本体と袖部の内部に保温材を有することにより、保温性を一段と高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の肩着は、本体と袖部とからなる肩着であって、本体は、身体の上胸部を両開きで覆う左右一対の前部と、各前部が取り付けられて身体の上背部を覆う背部とからなり、袖部は、前部と背部との側部に取り付けられて身体の少なくとも肩部を覆うことができる短袖からなり、本体の各前部と背部は、脇部で連結され、背部は、首部から身丈方向に左右に分離可能に形成されると共に第1の締結部材により横幅調整可能にかつ着脱可能に連結されているから、屋内作業時、スポーツ時、就寝時等に、特に肩や上腕部の保温だけを望む場合に、身丈の長さや身体への固定の面で極めて優れると共に、様々な肩幅の着用者に適用することができるという格別の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の肩着を示す正面図である。
【図2】図1の肩着が左右に2つに完全に分離された状態を示す正面図である。
【図3】図2の第1の締結部材の別の態様を示す正面図である。
【図4】図1の肩着のA部分について示す部分底面図である。
【図5】図1の肩着の変形を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る肩着を実施するための形態を、図1ないし図5を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、肩着1は、本体2と左右一対の袖部10,10とからなる。本体2は、身体の上胸部を両開きで覆う左右一対の前部3,3と、各前部3が取り付けられて身体の上背部を覆う背部4とからなる。各袖部10は、本体2の前部3と背部4との側部に取り付けられて、身体の肩ないし上腕部を覆うことができる短袖からなる。本体2の各前部3と背部4は、脇部5で連結されている。
【0020】
図2に示すように、背部4は、その略中央部分で首部から身丈方向に、左右に完全に2つに分離可能に形成される。また、分離される2つの背部4a,4bの内側端部には、横幅の広いマジックテープ(登録商標)(第1の締結部材)6が身丈方向に取り付けられる。
【0021】
このように、マジックテープ6は横幅が広いから、マジックテープ6の左右部材の留め位置を調整することにより、肩着1の横幅を着用者の肩幅に応じて最適に変化させることができる。すなわち、2つの背部4a,4bは、このマジックテープ6により、本体2の横幅、つまり肩着1の肩幅寸法を連続的に調整可能に、かつ着脱可能に連結されている。
【0022】
なお、横幅の広いマジックテープ6を用いる代わりに、図3に示すように、幅細のマジックテープ(第1の締結部材)7を身丈方向に、かつ横方向に複数列だけ並べて取り付けてもよい。このようにすることによっても、本体2の横幅、つまり肩着1の肩幅寸法を調整可能に、かつ着脱可能に連結することができる。また、第1の締結部材は、必ずしもマジックテープ6,7に限定されるものではなく、本体2の横幅、つまり肩着1の肩幅寸法を連続的に又は段階的に調整可能に、かつ着脱可能に連結することができるものであれば、どのようなものでもよい。
【0023】
このように、本発明の肩着1は、本体2が、身体の上胸部を両開きで覆う左右一対の前部3,3と、各前部3が取り付けられて身体の上背部を覆う背部4とからなり、また、前部3,3と背部4との側部に取り付けられる袖部10,10は、身体の少なくとも肩部を覆うことができる短袖からなるから、特に肩や上腕部を集中的に保温することができる。
【0024】
また、覆っているのは主として肩であるから、身丈が極めて短く、非常に着用性がよいから、屋内作業やスポーツなどを行うときには身丈部分が邪魔にならず運動性がよい。野球の投手の肩冷え対策や、極冷時のゴルフなどに使用されて最適である。
【0025】
また、就寝時に、布団からはみ出す肩や上腕部の保温だけを集中的に行なうことができ、しかも身丈部分が邪魔にならない。。特に真夏時のエアコン使用時にこの肩着1を着用すれば、就寝時における肩や上腕部の冷えを確実に防止することができる。
【0026】
さらに、本体2の各前部3と背部4は脇部5で連結されているから、脇部5に腕を通すことにより身体への固定が確実になされ、身体を激しく動かすことが多い屋内作業時やス
ポーツ時などにも、確実に着用することができる。
【0027】
これに加えて、背部4は、首部から身丈方向に左右に2つに完全に分離可能であると共に、マジックテープ6,7により横幅調整可能に、かつ着脱可能に連結されている。したがって、着用者の肩幅に応じて肩着1の横幅を最適に調整することができる。これにより、製作者は様々な肩幅寸法のものを用意する必要がなくなり、また着用者は、肩幅寸法を考慮することなく肩着1を購入することができる。
【0028】
図4に示すように、本体2と袖部10は、本体2の脇部5から袖部10の内側部にかけて、連続して前後に完全に分離可能に形成され、マジックテープ(第2の締結部材)8により着脱可能に連結されている。
【0029】
このように、本体2の脇部5から袖部10の内側部にかけて、連続して前後に完全に分離可能に形成されているから、着用時に腕を肩着1の袖部10に通す必要がなくなり、身体が不自由な者、老人、病人等も容易に着用することができる。また、マジックテープ8に幅広のものを使用すれば、その部分で多少のサイズ調整も可能となる。なお、この第2の締結部材は、必ずしもマジックテープ8に限定されるものではない。
【0030】
図5に示すように、袖部10とは別体の延長袖部11が形成され、袖部10と延長袖部11は、完全に分離可能であると共に、マジックテープ(第3の締結部材)12により着脱可能に連結されている。このように、袖部10とは別体の延長袖部11を有し、袖部10と延長袖部11は、マジックテープ12により着脱可能に連結されているから、袖を片腕ずつ長くすることができ、必要により腕の保温性を一段と高めることができる。
【0031】
また、上記本体2、袖部10、延長袖部11の各内部には、羽毛、ウレタン材などの保温材が縫い込まれている。したがって、肩や腕の保温性に極めて優れている。
【0032】
なお、上述の肩着は一例にすぎず、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、第1ないし第3の締結部材は、上述のマジックテープに限定されるものではなく、例えば該当箇所にホック類を複数列だけ並設して、肩着を横幅調整可能にしてもよい。また、肩着の第1ないし第3の締結部材によって相互に締結される各部材は、必ずしも上述のように完全に分離可能にする必要はなく、一部が連続したものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の肩着は、必ずしも保温を目的とする場合に限定されず、使用する布地や内部構造の変更等により、あらゆる用途に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 肩着
2 本体
3 前部
4,4a,4b 背部
5 脇部
6,7 マジックテープ(第1の締結部材)
8 マジックテープ(第2の締結部材)
10 袖部
11 延長袖部
12 マジックテープ(第3の締結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(2)と袖部(10)とからなる肩着(1)であって、前記本体は、身体の上胸部を両開きで覆う左右一対の前部(3,3)と、前記各前部が取り付けられて身体の上背部を覆う背部(4)とからなり、前記袖部は、前記前部と前記背部との側部に取り付けられて身体の少なくとも肩部を覆うことができる短袖からなり、前記本体の前記各前部と前記背部は、脇部(5)で連結され、前記背部は、首部から身丈方向に左右に分離可能に形成されると共に第1の締結部材(6,7)により横幅調整可能にかつ着脱可能に連結されていることを特徴とする肩着。
【請求項2】
前記本体(2)の前記脇部(5)と前記袖部(10)の内側部は、一体に前後に分離可能に形成されると共に第2の締結部材(8)により着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の肩着。
【請求項3】
前記袖部(10)とは別体の延長袖部(11)をさらに備え、前記袖部と前記延長袖部は、第3の締結部材(12)により着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の肩着。
【請求項4】
前記本体(2)及び前記袖部(10)は、内部に保温材を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の肩着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−102434(P2012−102434A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252345(P2010−252345)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(510298252)
【Fターム(参考)】