育児器具の足カバー

【課題】夏場でも快適に使用することのできる育児器具の足カバーを提供する。
【解決手段】乳母車１の足カバー１０は、乳幼児の足の両側方および前方を覆う立壁部１１と、乳幼児の足の上方を覆う天壁部１２とを含む。天壁部１２は、開口窓１３と、この開口窓１３を開閉可能に覆う覆い部材１４とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、乳母車や自動車用子供座席等の育児器具の座席に取付けられる足カバーに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
足カバーは、育児器具の座席内の乳幼児の足の両側方、前方および上方を覆うように育児器具本体に取付けられる。足カバーを育児器具本体に取付ける目的は、防寒や日除けである。
【０００３】
上記のような足カバーは、例えば、アップリカ育児研究会監修のカタログ「２００４年版アップリカの育児書赤ちゃん幸せの本」に記載されている。具体的には、このカタログの第１５９頁に足カバーを備えた乳母車が掲載され、第１１６頁に足カバーを備えた自動車用子供座席が掲載されている。
【非特許文献１】アップリカ育児研究会監修のカタログ「２００４年版アップリカ育児書赤ちゃん幸せの本」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
足カバーは、座席内の乳幼児の足を取り囲むものであるので、防寒性および防風性に優れている。この観点から見れば、足カバーは、冬の寒い日に有効に利用され得る。
【０００５】
日差しの強い夏場においても、風の強い日には、足カバーによって強い風が直接乳幼児に当たるのを防ぐのが望ましい。また、紫外線を含んだ強い日差しが直接乳幼児の足の部分に当たるのを防ぐのも望ましい。この観点から見れば、足カバーは、夏においても有効に利用される。
【０００６】
足カバーは、乳幼児の足の両側方、前方および上方を取り囲むものであるので、内部で空気が淀みやすい。そのため、夏の暑い日に紫外線カットのために足カバーを育児器具に取付けると、乳幼児の足の周りの空気が暖かくなりすぎ、乳幼児に不快感を与えるおそれがある。
【０００７】
本発明の目的は、夏場でも快適に使用することのできる育児器具の足カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
この発明は、座席内の乳幼児の足の両側方、前方および上方を覆うように育児器具本体に取付けられる育児器具の足カバーであって、以下のことを特徴とする。すなわち、足カバーは、開口窓と、この開口窓を開閉可能に覆う覆い部材とを備える。
【０００９】
上記構成の足カバーによれば、夏の暑い日には、覆い部材を開いて開口窓を露出させれば、足カバー内の通気性を良好にすることができる。冬の寒い日には、覆い部材を閉じて良好な保温性を維持する。
【００１０】
足カバーは、例えば、乳幼児の足の両側方および前方を覆う立壁部と、乳幼児の足の上方を覆う天壁部とを含む。一つの実施形態では、天壁部が、上記開口窓および上記覆い部材を含む。他の実施形態では、立壁部が、上記開口窓および上記覆い部材を含む。天壁部および立壁部の両方に、開口窓および覆い部材を設けるようにしてもよい。天壁部に開口窓を設けず、立壁部にのみ開口窓を設けるようにすれば、天壁部によって日差しを遮りながら、立壁部の開口窓によって良好な通気性を維持できる。
【００１１】
好ましくは、開口窓には、メッシュ地が張られている。メッシュ地であれば、良好な通気性を維持しつつ、ある程度の遮光性を発揮できる。
【００１２】
一つの実施形態では、当該育児器具は、乳母車である。ただし、この発明は、乳母車に限定されるものではなく、自動車用子供座席等の他の育児器具にも適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
図１および図２は、この発明の一実施形態に係る育児器具の足カバーを示している。育児器具は、座席を備える乳母車１であり、座席の前方部分に足カバー１０が取付けられている。
【００１４】
乳母車１は、背もたれ部がほぼ水平位置にまで後傾可能に設けられており、座席が椅子状の形態とベッド状の形態とに切換え可能である。図１および図２においては、座席がベッド状の形態になっている。
【００１５】
足カバー１０は、座席内の乳幼児の足の両側方、前方および上方を覆うような形状を有している。図示した実施形態では、足カバー１０が、立体的な形状を維持し得るように、乳幼児の足の両側方および前方を覆う立壁部１１と、乳幼児の足の上方を覆う天壁部１２とを含む。天壁部１２の後方端部分１２ａは、乳母車１の前ガード部材２に巻きつけて固定されており、これにより足カバー１０を乳母車１に取付けている。
【００１６】
図示していないが、足カバー１０は、好ましくは、座席の座面シートの下に位置する底壁を有する。
【００１７】
図１および図２に示すように、足カバー１０の天壁部１２は、前方に向かって扇状に広がった開口窓１３と、この開口窓１３を開閉可能に覆う扇形状の覆い部材１４とを有する。好ましくは、開口窓１３には、メッシュ地が張られる。図１に示す状態では、覆い部材１４は、開口窓１３を覆っており、図２に示す状態では、覆い部材１４は前方にめくられて開口窓１３を露出させている。
【００１８】
覆い部材１４の先細となった先端部分には雄側止めボタン１５が取付けられ、天壁部１２には上記の雄側止めボタン１５に係合する雌側止めボタン１６が取付けられている。雌雄の止めボタン１５，１６を係合させれば、開口窓１３の閉鎖状態を安定して維持できる。
【００１９】
例えば、冬場の寒い日には、覆い部材１４によって開口窓１３を閉鎖し、足カバー１０内の空気を保温する。また、その他の季節においても、風の強い日には、覆い部材１４によって開口窓１３を閉鎖する。さらに、夏場においても、上方からの日差しが強い日には、覆い部材１４によって開口窓１３を閉鎖し、紫外線が乳幼児に当たるのを防止する。
【００２０】
足カバー１０内の空気が淀みすぎて乳幼児に不快感を与えるおそれがある場合には、覆い部材１４をめくり上げて開口窓１３を露出する。これにより、足カバー１０内の通気性を良好にすることができる。
【００２１】
図３および図４は、この発明の他の実施形態に係る育児器具の足カバーを示している。図示する足カバー２０は、乳幼児の足の両側方および前方を覆う立壁部２１と、乳幼児の足の上方を覆う天壁部２２とを含む。この実施形態では、天壁部２２に開口窓が設けられておらず、その代わりに立壁部２１が、開口窓２３および覆い部材２４を備えている。開口窓２３は、立壁部２１の一方側面部にのみ設けてもよいし、両側面部にそれぞれ設けるようにしてもよい。開口窓２３を立壁部２１の両側面部に設けるようにすれば、より良好な通気性を発揮できる。
【００２２】
開口窓２３には、メッシュ地が張られている。覆い部材２４は、開口窓２３を開閉可能に覆い得るように、その基端のみが立壁部に連結されている。覆い部材２４の先端部の表裏面に面ファスナ２５，２７が取付けられ、それに対応して、立壁部２１の外面上の２箇所に面ファスナ２６、２８が取付けられている。図３に示す開口窓２３の閉鎖状態では、覆い部材２４の裏面の面ファスナ２７と、立壁部２１上の一方の面ファスナ２６とが接合される。図４に示す開口窓２３の開放状態では、覆い部材２４の表面の面ファスナ２５と、立壁部２１上の他方の面ファスナ２８とが接合される。
【００２３】
図面を参照して２つの実施形態を説明したが、これらの実施形態の足カバー１０，２０は、いずれも、立体的な形状を維持し得るように立壁部と天壁部とを備えていたが、他の実施形態として、立体的な形状の維持を意図しないような足カバーにも本発明を適用することができる。
【００２４】
また、先の実施形態では、育児器具の一例として乳母車を説明したが、自動車用子供座席等の他の育児器具にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２５】
この発明は、足カバーを備えた育児器具に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】この発明の一実施形態に係る乳母車を示す斜視図である。
【図２】開口窓を露出させた状態の足カバーを示す斜視図である。
【図３】この発明の他の実施形態に係る足カバーを示す斜視図である。
【図４】開口窓を露出させた状態の足カバーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【００２７】
１乳母車、２前ガード部材、１０足カバー、１１立壁部、１２天壁部、１２ａ後方端部分、１３開口窓、１４覆い部材、１５雄側止めボタン、１６雌側止めボタン、２０足カバー、２１立壁部、２２天壁部、２３開口窓、２４覆い部材、２５，２６，２７，２８面ファスナ。

【特許請求の範囲】
【請求項１】
座席内の乳幼児の足の両側方、前方および上方を覆うように育児器具本体に取付けられる育児器具の足カバーであって、
開口窓と、
前記開口窓を開閉可能に覆う覆い部材とを備える、育児器具の足カバー。
【請求項２】
乳幼児の足の両側方および前方を覆う立壁部と、乳幼児の足の上方を覆う天壁部とを含み、
前記天壁部が、前記開口窓および前記覆い部材を含む、請求項１に記載の育児器具の足カバー。
【請求項３】
乳幼児の足の両側方および前方を覆う立壁部と、乳幼児の足の上方を覆う天壁部とを含み、
前記立壁部が、前記開口窓および前記覆い部材を含む、請求項１または２に記載の育児器具の足カバー。
【請求項４】
前記開口窓には、メッシュ地が張られている、請求項１〜３のいずれかに記載の育児器具の足カバー。
【請求項５】
当該育児器具は、乳母車である、請求項１〜４のいずれかに記載の育児器具の足カバー。

【図１】