説明

育毛装置

【課題】使用者の負担がなく、長期的に頭皮ケアの継続が可能な育毛装置を提供する。
【解決手段】頭部を保持する頭部保持部10と、頭部保持部10内に設けられ、毛髪の成長を促進させる光を照射する内蔵光源ユニット20と、頭部保持部10と別離して設けられ、毛髪の成長を促進させる光を照射する外部光源ユニット30aとを備え、内蔵光源ユニット20及び外部光源ユニット30aが連動して頭部保持部10に頭部を載せた使用者の頭部に光照射を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮に光を照射して毛髪の成長を促進させる育毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚に軽い炎症を起こさせることで体毛の発育を加速させるようにした技術が知られている。効果が高いとされているこの手法は、薬剤などで炎症を起こさせるものであるが、このような薬剤の使用は、しばしば軽度の肌荒れを生じさせると共に、痛みや感染症などの問題を有している。
【0003】
630nm〜680nmの波長を発光する赤色レーザーダイオードと750nm〜1000nmの波長を発光する近赤外線レーザーダイオードを交互に配置したブラシ型のレーザー照射器によって、毛嚢細胞の活性化と血流増加を促す育毛促進デバイスの技術がある(例えば、特許文献1参照。)。また、頭部に装着することによって、毛嚢細胞の活性化と血流増加を促す育毛促進デバイスの技術がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
これら光照射による育毛促進デバイスや育毛剤などに共通しているのは、育毛のための頭皮ケアは定期的(1日1回など)に行う必要があり、かつ、使用を停止すると徐々に効果が無くなっていくため、使用し続ける必要がある。また、好適な効果を得るためには、光照射は瞬時ではなく、ある程度の時間を必要とする。
【0005】
上記のように頭髪の状態を好適に保つためには、毎日所定の時間を頭皮ケアに割く必要があるため、長期的に使用し続けるには、使用者が能動的に使用するタイプの育毛促進デバイス(ブラシ型)では、使用者の負担が大きくなってしまう。また、頭部に装着し自動照射する育毛促進デバイス(頭部装着型)の場合も、その重さや装着時の圧迫感などが使用者の負担となる。一般的に、光のパワーが大きく、良い効果を得られるデバイスほど、装置は大きく、装着には負担を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2007−537819号公報
【特許文献2】国際公開第2004/026400号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、使用者の負担がなく、長期的に頭皮ケアの継続が可能な育毛装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の一態様によれば、頭部を保持する頭部保持部と、頭部保持部内に設けられ、毛髪の成長を促進させる光を照射する内蔵光源ユニットと、頭部保持部と別離して設けられ、毛髪の成長を促進させる光を照射する外部光源ユニットとを備え、内蔵光源ユニット及び外部光源ユニットが連動して頭部保持部に頭部を載せた使用者の頭部に光照射を行う育毛装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用者の負担がなく、長期的に頭皮ケアの継続が可能な育毛装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置の模式的概略図であり、図1(b)は、図1(a)のA方向から見た模式的概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置の頭部保持部及び内蔵光源ユニットの模式的概略図である。
【図3】図3(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る育毛装置の模式的概略図であり、図3(b)は、図3(a)のA方向から見た模式的概略図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る型育毛装置の模式的概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置は、図1(a)及び(b)に示すように、頭部を保持する頭部保持部10と、頭部保持部10内に設けられ、毛髪の成長を促進させる光を照射する内蔵光源ユニット20と、頭部保持部10と別離して設けられ、毛髪の成長を促進させる光を照射する外部光源ユニット30aとを備える。本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置は、内蔵光源ユニット20及び外部光源ユニット30aが連動して頭部保持部10に頭部を載せた使用者の頭部に光照射を行う。
【0013】
頭部保持部10は、図2(a)及び(b)に示すように、就寝時に枕として使用する頭部の保持部である。頭部保持部10は、収納部14として凹部が形成されており、内部に内蔵光源ユニット20を収納することが可能となっている。頭部保持部10の内部に内蔵光源ユニット20を収納した際には、内蔵光源ユニット20の制御ケーブル22は、外部から電力の供給を受けるために、貫通孔12から外部へ引き出される。頭部保持部10の内部に内蔵光源ユニット20を収納した後には、内蔵光源ユニット20から照射される光に対して透過性を有する透過性シート16を被せる。透過性シート16を被せることで柔軟性を付加することや、内蔵光源ユニット20が外れてしまうのを防ぐことができるが、それらを容認できるのであれば透過性シート16はなくても構わない。
【0014】
内蔵光源ユニット20は、毛髪の成長を促進させる光を表面から照射するように、表面近傍に発光ダイオード(LED)アレイ、有機電界発光(有機EL)素子、及び導光板等の光源が面発光するように構成されている。
【0015】
内蔵光源ユニット20の内蔵光源は、波長が0.76〜2.5μmの近赤外光を発する。ここで、内蔵光源が発する光の波長は、水の特異吸収波長と等しいことが好ましい。水の特異吸収波長とは、光が水に吸収される際に、他の波長に比べて強い吸光度を示す波長と定義される。水の特異吸収波長は水のO−H結合に起因するものであり、特に近赤外領域における水の特異吸収波長は、例えば950nm、1150nm、1450nm及び1790nmである。そして、内蔵光源は、これらの水の特異吸収波長の中でも950nm及び/または1450nmの波長を発することが好ましい。この波長の光であれば、皮膚に炎症を与えることなく、育毛効果を高めることができる。
【0016】
内蔵光源ユニット20の内蔵光源は、図示を省略した基板に実装されている。内蔵光源を実装する基板は、制御ケーブル22を介して内蔵光源ユニット20を制御する制御部(図示せず)と接続されている。制御部は、内蔵光源ユニット20を発光させる電源部と、内蔵光源ユニット20の発光パルスを制御するパルス制御部と、オンオフスイッチとを備える。制御部は、電源部として、一次電池や二次電池など出力電圧が一定な直流電源を備えていても良いし、商用電源より得た交流電圧を直流電圧に変換する機能を備えていても良い。パルス制御部は、内蔵光源ユニット20をパルス点灯させるように内蔵光源ユニット20を駆動制御する。パルス制御された光は、500Hzで点灯されるのが好ましい。オンオフスイッチは、スイッチをオン又はオフと選択することで、育毛装置の稼動及び停止を選択することができる。
【0017】
また、内蔵光源ユニット20は、圧力センサ及び接触センサ等の使用者の頭部位置を検出する頭部位置検出センサ(図示せず)を備えている。頭部位置検出センサが頭部の位置を検出することによって、検出した箇所に対してのみ内蔵光源ユニット20の光を照射することができる。
【0018】
外部光源ユニット30aは、図1(a)及び(b)に示すように、外部光源32aと、外部光源32aが設けられた光源設置部34aとを備える。外部光源32aは、内蔵光源ユニット20と同様の波長の光を照射する光源を採用することができ、毛髪の成長を促進させる光を照射する。外部光源32aは、使用者の頭部及び頭部保持部10に非接触となるドーム状の形状である。外部光源32aを設置する光源設置部34aも、同様にドーム状の形状である。
【0019】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置を用いた育毛方法について説明する。まず、本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置は、使用者の就寝時に使用することが好ましいので、使用者は布団40上に横たわり頭部保持部10に頭部を乗せて睡眠の体勢を取る。そして、外部光源ユニット30aは、頭部を覆うようにセッティングする。
【0020】
そして、制御部のオンオフスイッチをオンに切り替えることによって、内蔵光源ユニット20及び外部光源ユニット30aを稼動させる。この時点で、使用者は就寝しても構わない。稼動された内蔵光源ユニット20及び外部光源ユニット30aは、それぞれの光源から光を照射する。
【0021】
内蔵光源ユニット20及び外部光源ユニット30aが連動して照射される光は、水の特異吸収波長と同じ950nmまたは1450nmの波長とした光とされる。本実施形態では、950nmの波長か1450nmの波長の何れかの光を照射するものとする。
【0022】
内蔵光源ユニット20及び外部光源ユニット30aから照射される光は、光源を複数用意して950nmの波長と1450nmの波長の光を、同時または交互に照射するようにしても良い。特に、光を照射される対象者の年齢に応じて、照射される光の波長を切り替えることが好ましい。例えば、950nmの波長の光は、50歳以下の人を対象として照射し、1450nmは全ての年齢の人を対象として照射することで、育毛効果がより一層向上する。これは、1450nmの波長の光は、950nmの波長の光に比べて水の吸収が強いため、水分の少ない年配者は1450nmの波長の光を使用した方が育毛効果をより発揮できるものと考えられている。
【0023】
内蔵光源ユニット20及び外部光源ユニット30aが連動して照射される光は、制御部のパルス制御部によってパルス点灯される。また、内蔵光源ユニット20及び外部光源ユニット30aから照射される光は、1回分の照射で15分以上照射することによって育毛効果をより発揮できるものと考えられているので、1回あたり15分以上照射することが好ましい。使用者の就寝の間、ある程度の間隔を開けながら、複数回の照射を行うことが好ましい。
【0024】
内蔵光源ユニット20の頭部位置検出センサで使用者の頭部位置を検出している場合には、内蔵光源ユニット20及び外部光源ユニット30aから照射される光は、頭部を検出した箇所に対してのみ光を照射する。
【0025】
本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置によれば、使用者の睡眠を妨げず、育毛効果を得るために適したある一定のパワーの光を頭皮に対して照射し続けることができるので、使用者の就寝の間に自動的に頭皮ケアが可能となる。
【0026】
また、本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置によれば、頭部保持部10に内蔵された内蔵光源ユニット20により後頭部の育毛を行うことができ、外部光源ユニット30aにより頭頂部および生え際の育毛を行うことができる。つまり、使用者は、特に特別な負担を負うことなく、頭部全体の頭皮ケアを行うことができる。
【0027】
また、本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置によれば、外部光源ユニット30aは、頭部の形状に合わせてドーム状に外部光源を配置することによって、頭部全体に光照射をすることができる。
【0028】
また、本発明の第1の実施の形態に係る育毛装置によれば、内蔵光源ユニット20の頭部位置検出センサで検出していない箇所は、光を照射しないようにすれば電力の消費を押さえることができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る育毛装置は、図3(a)及び(b)に示すように、図1(a)及び(b)で示した育毛装置の外部光源ユニット30aと比して、外部光源ユニット30bの形状が異なる。その他に関して、実質的に同様である点についての重複する記載を省略する。
【0030】
外部光源ユニット30bは、図3(a)及び(b)に示すように、水平方向に光を照射する面光源の外部光源32bと、外部光源32bが設けられた光源設置部34bとを備える。外部光源32bは、内蔵光源ユニット20と同様の波長の光を照射する光源を採用することができ、毛髪の成長を促進させる光を照射する。外部光源ユニット30bは、使用者の頭部及び頭部保持部10に非接触となる位置に配置される。ここでは、1平面からなる外部光源ユニット30bを示しているが、複数平面から頭部に向かって光を照射するような形態であっても構わない。
【0031】
このように構成された第3の実施の形態に係る育毛装置でも、第1の実施の形態に係る育毛装置と同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、第2の実施の形態に係る育毛装置によれば、図3(b)に示すような長い頭部保持部10を使用している場合であって、頭部15が寝返り等で移動してしまっても、外部光源ユニット30bは頭部15に対して光を照射することができる。
【0033】
また、第2の実施の形態に係る育毛装置によれば、内蔵光源ユニット20の頭部位置検出センサで検出することで、頭部15と外部光源ユニット30bとの距離に応じて光の出力を制御することで、頭皮に対して一定のパワーでの照射ができる。
【0034】
また、第2の実施の形態に係る育毛装置によれば、内蔵光源ユニット20の頭部位置検出センサで検出した箇所のみに、光を照射するようにすれば電力の消費を押さえることができる。
【0035】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る育毛装置は、図4に示すように、図1(a)及び(b)で示した育毛装置の外部光源ユニット30aと比して、外部光源ユニット30cの形状が異なる。その他に関して、実質的に同様である点についての重複する記載を省略する。
【0036】
外部光源ユニット30cは、図4に示すように、外部光源32cと、外部光源32cが設けられたドーム状の光源設置部34cと、外部光源32c及び光源設置部34cを支持し、稼動可能な稼動軸36とを備える。外部光源ユニット30cは、スタンド型電灯と形状は類似する。
【0037】
稼動軸36は、内蔵光源ユニット20の頭部位置検出センサで検出した頭部位置に対して光を照射できるように、外部光源32c及び光源設置部34cを移動させることができる。具体的には、内蔵光源ユニット20の頭部位置検出センサで検出した頭部位置のデータを制御部に送信する。制御部は、受信した頭部位置のデータを基に、頭部を照射するための外部光源32cの位置情報を算出する。そして、制御部は、算出された外部光源32cの位置情報へ向かうための稼動軸36の軸稼動情報を算出する。そして、制御部は、軸稼動情報を基に、稼動軸36の稼動を制御し、外部光源32cを頭部照射位置へ移動させる。
【0038】
外部光源ユニット30cは、更に、頭部との距離を検出する距離検出センサを備える。外部光源ユニット30cは、距離検出センサで検出した距離を基に、外部光源ユニット30cと頭部との距離を、常に一定に保つよう制御する。
【0039】
このように構成された第3の実施の形態に係る育毛装置でも、第1の実施の形態に係る育毛装置と同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、第3の実施の形態に係る育毛装置によれば、稼動軸36と距離検出センサとを備えることで、外部光源32cと頭部との距離を一定に保つよう追尾することができる。したがって、寝返りなどで頭部位置が変わっても外部光源ユニット30cに頭部が当たることがなくなり、睡眠を妨げない。
【0041】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0042】
例えば、第1の実施の形態に係る育毛装置において、外部光源32aを蛇腹状の光源設置部34aに配置した場合には、頭皮ケアを行わないときには畳んで収納することができる。
【0043】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0044】
10…頭部保持部
12…貫通孔
14…収納部
15…頭部
16…透過性シート
20…内蔵光源ユニット
22…制御ケーブル
30a,30b,30c…外部光源ユニット
32a,32b,32c…外部光源
34a,34b,34c…光源設置部
36…稼動軸
40…布団

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を保持する頭部保持部と、
前記頭部保持部内に設けられ、毛髪の成長を促進させる光を照射する内蔵光源ユニットと、
前記頭部保持部と別離して設けられ、毛髪の成長を促進させる光を照射する外部光源ユニット
とを備え、前記内蔵光源ユニット及び前記外部光源ユニットが連動して前記頭部保持部に頭部を載せた使用者の頭部に光照射を行うことを特徴とする育毛装置。
【請求項2】
前記外部光源ユニットは、前記頭部及び前記頭部保持部に非接触となるドーム状であることを特徴とする請求項1に記載の育毛装置。
【請求項3】
前記頭部保持部は、頭部位置を検出する頭部位置検出センサを備え、
前記内蔵光源ユニットは、前記頭部位置検出センサで検出した前記頭部位置に対して光を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の育毛装置。
【請求項4】
前記外部光源ユニットは、水平方向に光を照射する面光源であり、前記頭部位置検出センサで検出した前記頭部位置に対して光を照射することを特徴とする請求項3に記載の育毛装置。
【請求項5】
前記外部光源ユニットは、稼動軸によって支持されていて、前記頭部位置検出センサで検出した前記頭部位置に対して光を照射できるように、前記稼動軸を稼動させることを特徴とする請求項3に記載の育毛装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−11126(P2012−11126A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153035(P2010−153035)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】