説明

育苗トレイの洗浄装置

【課題】 安全かつ簡便に育苗トレイを洗浄する洗浄装置を提供する。
【解決手段】 育苗トレイの洗浄部と消毒部とを有する育苗トレイの洗浄装置であって、前記消毒部は、洗浄後の育苗トレイに強酸性電解水を散水または噴霧する機構を有することを特徴とする、育苗トレイの洗浄装置である。洗浄水として電解水生成装置の陰極から生成されるアルカリ水を使用してもよい。強酸性電解水は、殺菌力に優れるが人に対する安全性が高く、かつ有効塩素の除去時間も早いため、育苗トレイに塩素が残存する恐れも少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜類を播種し育苗する育苗トレイの洗浄装置および洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水稲の苗や野菜類の苗を育苗する育苗トレイや育苗箱を洗浄する方法は、公知であるが、野菜類を播種するトレイは、水稲育苗用のトレイと相違して多数の凹部と凸部が形成された薄いプラスチック製品であるため洗浄の際に変形しやすい点、かつ凹凸が多いため作業効率の向上が望まれる点から、各種の改良がなされている。
【0003】
例えば、トレイを変形させず正常な姿で確実に搬送させ、洗浄水の噴射によるトレイの浮き上がりを防止し作業能率を上げる方法がある(特許文献1)。該公報では、搬送するトレイを搬送方向に数本ずつ列設された押え棒と受け棒とで上下からはさみ、該トレイの上方がわと下方がわから洗浄水を噴射させて、トレイの浮き上がりを防止している。洗浄水によって洗浄する際、幅方向中央部に位置して搬送上手がわに延出する押え棒によりトレイの中央部が位置決めされ、次いで予め幅方向に変位調節しておいた他の押え棒によって両側の適所が押えられトレイが搬送されるため、トレイは変形せず正常な姿で確実に搬送されて洗浄水の噴射により洗浄される。
【0004】
また、野菜のプラグ苗を作るための育苗トレイを回転ブラシで洗浄する方法もある(特許文献2)。このような育苗トレイは薄い合成樹脂であり、洗浄装置構において回転ブラシを当てた場合に変形するため、回転ブラシの部分で変形しやすい。このような変形を防止して育苗トレイを洗浄する洗浄装置構は、洗浄装置Aと消毒・水切装置Eと、重合装置Cと、段積み装置Dと搬送装置Fにより構成される。洗浄装置Aと消毒・水切装置Eの部分には、噴射洗浄水が外部に洩れないように透明ドームカバーが被覆され、内部の洗浄状態と消毒・水切状態が外部から監視できる。育苗トレイ挿入位置に、操作ボックスが配置されており、可撓性の弾性合成樹脂により構成された育苗トレイと、剛性の有る箱に構成された育苗箱との両方が洗浄でき、かつこれらの両者を交互に挿入することで、育苗トレイと育苗箱との重合と段積みが可能となっている。
【0005】
更に、育苗トレイの内部に付着した細菌やウィルスを殺菌し、次年度への持ち越しを解消し、また育苗トレイを洗浄した後に水切りを行って、育苗トレイに付着した水が、細菌やウィルスの繁殖を助長させないようにする技術もある(特許文献3)。育苗トレイを裏返し状態で搬送し洗浄する育苗トレイ洗浄装置構において、洗浄装置の後部下方に育苗トレイの消毒装置が配置され、洗浄・消毒後の育苗トレイの水切りを行うべく、圧縮空気ノズルとエアカーテンとが併置されている。該消毒装置からは消毒ポンプから高圧の消毒液が吐出され、これによって裏返し状態とした育苗トレイPや育苗箱Bの下面即ち表側が噴射される。
【特許文献1】特開平7−135856号公報
【特許文献2】特開平6−303848号公報
【特許文献3】特開平6−303849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
育苗トレイの消毒処理は、トレイ内部に付着した細菌やウィルスを殺菌して次年度への持ち越しを解消するため行われるものであるが、特許文献3に記載するように消毒薬を使用すると、操作する作業員が消毒薬に接触する恐れがある。一方、このような消毒剤は、使用に消毒液の効力が低下しているため再使用が困難で、一旦その農薬を回収する容器が必要となる。また、回収した使用後の消毒液は、そのまま廃棄することができず、廃棄するための別個の作業が必要となる。
【0007】
上記現状に鑑み、本発明は安全かつ効率的に育苗トレイを洗浄しうる洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、育苗トレイの洗浄工程について詳細に検討した結果、少量の電解質を含む水を電気分解して装置の陽極側に得た強酸性電解水は、主として次亜塩素酸を有効成分として含み、感染病原耐性菌や病原性大腸菌などの食中毒菌に殺菌効果を奏する一方、人に対する安全性が高いことから、洗浄後の育苗トレイの消毒に適すること、および強酸性電解水は、従来の消毒薬よりも作業員の安全性に優れること、該強酸性電解水は効果の喪失が早いが、強酸性電解水を散水または噴霧により育苗トレイに付与すると特に育苗トレイの消毒効果に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
また、従来の水に変えてアルカリ水を使用して育苗トレイを洗浄すると、きわめて効率的に育苗トレイの汚れを落とし得ることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、消毒部で分解性に優れる強酸性電解水を消毒剤として使用するため、従来と相違して使用後の消毒剤の廃棄処理が不要となる。しかも、強酸性電解水は人に対する安全性に優れるため、作業者の安全も確保される。
【0011】
洗浄部で洗浄力に優れるアルカリ水を使用できるため、薄い合成樹脂性の育苗トレイの変形をより効果的に防ぐことができる。
【0012】
アルカリ水と強酸性電解水とを産生しうる電気分解装置を洗浄装置に含ませることで、生成するアルカリ水と強酸性電解水との双方を有効に利用でき、この場合、双方の廃液を合一して処理することができる育苗トレイの洗浄装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第一は、育苗トレイの洗浄部と消毒部とを有する育苗トレイの洗浄装置であって、前記消毒部は、洗浄後の育苗トレイに強酸性電解水を散水または噴霧する機構を有することを特徴とする、育苗トレイの洗浄装置である。前記前記消毒部には、更に、前記酸性電解水から発生する塩素ガスを排出する排気口が配設されてもよい。また、前記洗浄部は、育苗トレイにアルカリ水または水を散水または噴霧する機構を有していてもよい。更に、アルカリ水と強酸性電解水とを産生する電解水生成装置を含み、前記アルカリ水が洗浄部で使用され、前記強酸性電解水が毒部で使用される構成とすることもできる。上記第一の発明は、強酸性電解水を消毒剤として使用することで消毒効果に優れ、かつ強酸性電解水は人体に対する作用が温和であるため作業者の安全が確保され、環境保全に寄与し得る育苗トレイの洗浄装置である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明では、消毒部で消毒剤として強酸性電解水を使用する。一般に強酸性電解水は、少量の水酸化ナトリウムなどの電解質を含む水を有隔膜式電気分解槽内で電気分解して陽極側に得た次亜塩素酸を主成分とする電解水である。
【0015】
有隔膜式電気分解槽内では、陽極において水が電解を受けて酸素と水素イオンになり(2H2O→O2+4H++4e-)、塩素ガスが発生し(2Cl-→Cl2+2e-)、これが水と反応して塩酸と次亜塩素酸を生成する(Cl2+H2O→HCl+HClO)。得られた強酸性電解水に含まれる次亜塩素酸は、細菌の細胞膜に浸透し、細胞に不可欠な呼吸系酵素を破壊することで細胞の同化作用を停止させ、または細菌の細胞組織のタンパク質組織やアミノ酸に作用してその化学的性質を変質させたり分解して殺菌または滅菌すると考えられている。細胞膜に浸透して効果を発揮するため、他の殺菌剤と相違して耐性菌を生じ難く、一方、人に対する安全性が高い。
【0016】
本発明では、消毒剤として強酸性電解水を使用するが、この強酸性電解水は殺菌性に優れるが次亜塩素酸が分解しやすい。このため、本発明の装置では、電気分解装置によって生成された強酸性電解水を調製後、直ちに使用できるように構成されることが好ましく、このような態様であれば、電気分解装置が洗浄装置の外付けとして構成されていてもよく、また電気分解装置を洗浄装置の内部に含んでいてもよい。また、強酸性電解水は分解しやすいため、強酸性電解水に育苗トレイを浸漬させる方法では消毒効果が低減しやすい。そこで、本発明では、育苗トレイに強酸性電解水を散水または噴霧している。これによって用時調製した強酸性電解水の消毒効果が高い状態で効率的に消毒を行うことができる。強酸性電解水を散水または噴霧するための機構には特に制限はないが、たとえば強酸性電解水を散水または噴霧するためのノズルがあり、該ノズルから強酸性電解水が散水または噴霧できるようにポンプが配備される構成が例示できる。
【0017】
次亜塩素酸は、その酸化力によって消毒効果を発揮するため、消毒操作の進行に伴って前記消毒部に強酸性電解水が分解し塩素ガスを生成する場合がある。したがって、本発明の洗浄装置には、消毒部に塩素を回収または系外に排出する排気口が配設されることが好ましい。この排気口には排気用ファンが取り付けられ、回収した排気はたとえばアルカリ水などに導入して塩素を吸収する構成にしてもよい。
【0018】
本発明の洗浄部は、育苗トレイにアルカリ水または水を散水または噴霧する機構を有することが好ましく、アルカリ水としては、ナトリウム、カリウムなどの第1族元素の水酸化物、例えば、NaOH、KOHなどや、マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素の水酸化物、例えばMg(OH)2、Ca(OH)2などの水溶液を使用することができる。特に、たんぱく質の分解性能に優れる点で、水酸化ナトリウムを使用することが好適である。このようなアルカリ水として、少量の水酸化ナトリウムを含む水を有隔膜式電気分解槽内で電気分解して陰極側に生成されるアルカリ水であってもよい。有隔膜式電気分解槽内の陰極側では、水が電気分解によって水素と水酸化物イオンとになり、この水酸化物イオンとナトリウムイオンとによって水酸化ナトリウムが生成する。本発明では、このようにして得られたアルカリ水も好適に使用することができる。なお、アルカリ水としては、ナトリウム元素に換算して0.01〜0.2質量%、より好ましくは0.02〜0.1質量%のアルカリ水である。
【0019】
なお、アルカリ水または水を散水または噴霧するための機構には特に制限はないが、たとえばこのような洗浄水を散水または噴霧するためのノズルがあり、該ノズルから洗浄水が散水または噴霧できるようにポンプが配備される構成が例示できる。
【0020】
なお、洗浄部では、洗浄水による洗浄に限定されず、回転ブラシによって物理的に汚れを落とす機構を有していてもよい。このような回転ブラシを使用する態様としては、従来公知のいずれの方法を応用してもよい。
【0021】
次に、本発明の洗浄装置の好適な態様の一例を図1を参照して説明する。本発明の洗浄装置100は、洗浄部と消毒部とを有するが、洗浄部と消毒部との間および消毒部と排出部との間に脱水・水切部を有していてもよい。洗浄装置100の長手方向の中央には、コンベア駆動モータ10により駆動されるベルト12が巻回されたコンベアローラ14が育苗トレイTを載置し移送するために左右対称に配置され、該コンベアローラ14の上面が構成する搬送載置面の上下の位置に、回転ブラシ駆動モータ16によって駆動される回転ブラシ18が配置されている。該回転ブラシ18の回転は、育苗トレイTの汚れの除去と共にて、育苗トレイの移送を担っている。また、ベルト12の上下には、図示しない洗浄駆動モータにより駆動されて高圧水を噴射する動力噴霧器(図示せず)によって、高圧で洗浄水を供給する洗浄水供給ノズル20が設けられており、洗浄水を育苗トレイTに高圧で噴霧する。なお、図1では、洗浄水として強酸性電解水生成装置80の陰極側に生成するアルカリ水が供給される構成を記載したが、水道水を供給してもよく、はじめに第一洗浄水供給ノズル20aでアルカリ水を供給し、第二洗浄水供給ノズル20bで水道水を供給してもよい。
【0022】
本発明の育苗トレイTの洗浄装置において、洗浄部での洗浄の際に、育苗トレイTが洗浄水によって変形したり、またはコンベア上から動かないように、育苗トレイTがコンベア上に摺接されるような押さえが吊設されていてもよい。特に、育苗トレイTはコンベアの上に載置された状態で移動するが、該コンベアローラ14の上面が構成する搬送載置面の上下の位置に回転ブラシ18が配置されており、回転ブラシ18は回転ブラシモータにより駆動され、上下の回転ブラシにはさまれた状態で可撓性の育苗トレイTが洗浄されるため、逃げたり変形したりする可能性がある。このため、たとえば、上下の回転ブラシに挟まれた位置にベルトの流れ方向に平行して複数のガイドを設けて浮き上がりや逃げを防止したり、変形を防止するために回転数を制御したり、洗浄水を育苗トレイの浮き上がり防止できるような方向で供給してもよい。
【0023】
ついで、洗浄後の育苗トレイTは脱水・水切部に移送され、洗浄水が除去される。なお、洗浄部と脱水・水切部との間には、噴射洗浄水が外部に洩れないように仕切り22が設けられていてもよい。脱水・水切部では図示しない高圧空気ブロアからの高圧空気により水切を行う。該ブロアからの水切り用高圧ノズル30は、図1に示すように上方からの高圧空気ノズル30aと、下方からの高圧空気ノズル30bに分けて配置してもよく、更に、複数の上方からの高圧空気ノズルや下方からの高圧空気ノズル、またはそれより径の太い高圧空気流パイプなどを、それぞれ平行して配設してもよい。図1とは相違するが、高圧空気ノズル30a、30bと高圧空気流パイプとが前後に近接して並置されると、二重水切り構造となり、脱水率に優れ好ましい。
【0024】
脱水・水切後の育苗トレイTは消毒部に移送される。消毒部においても洗浄部と同様に、該コンベアローラ14の上面が構成する搬送載置面の上下の位置に、回転ブラシ駆動モータ16によって駆動される回転ブラシ18が配置されている。ベルト12の上下には、強酸性電解水を供給する強酸性電解水供給ノズル50があり、強酸性電解水生成装置80の陽極側に産生される強酸性電解水を図示しない駆動モータを介して育苗トレイに高圧で散水または噴霧できる。
【0025】
強酸性電解水の有効塩素量は、5〜100ppm、より好ましくは10〜90ppm、特に好ましくは20〜80ppmである。5ppmを下回ると殺菌力が低下する場合がある。強酸性電解水は、含まれる次亜塩素酸HClOの働きにより強力な殺菌作用を示すが、pHによってその形態が変化し、酸性に傾くほど有効塩素濃度が高く維持される。本発明では、強酸性電解水のpHは2.0〜3.0であることが好ましく、より好ましくは2.1〜2.9、特に好ましくは2.3〜2.7である。pHが3.0を超えると有効塩素がCl2に変化して殺菌力が低下する場合があり、好ましくない。一方、pHが2.0を下回ると有効塩素濃度の大部分が溶存塩素分子となり、やはり殺菌力が低下する場合がある。また、強酸性電解水の酸化還元電位は低い方が強い酸化力を示し、好ましくは1.0V以上、より好ましくは1.1V以上である。
【0026】
強酸性電解水は、生成直後は有効塩素濃度が高いが、経時的に有効塩素が塩素分子となり低減する。このことは、消毒後の育苗トレイに有効塩素が残存せず安全性に優れることを意味するが、一方、殺菌力の低下をも意味する。本発明では、洗浄後の育苗トレイに、上記強酸性電解水を育苗トレイに散水または噴霧するものである。強酸性電解水に育苗トレイを浸漬させる方法では、強酸性電解水に含まれる有効塩素濃度が低減して殺菌力が低下する場合があるが、散水または噴霧する方法では、生成直後の強酸性電解水を使用することができ、殺菌力を低下させることが少ない。
【0027】
本発明における強酸性電解水の使用量は、育苗トレイの単位面積当たり、0.01〜10ml/cm、より好ましくは0.03〜7ml/cm、特に好ましくは0.07〜3ml/cmとなるように散水または噴霧する。0.01ml/cmを下回ると殺菌力が低下し、一方、10ml/cmを超えてもそれ以上の殺菌力の向上はなく、無駄である。
【0028】
強酸性電解水は、洗浄の経過によって有効塩素である次亜塩素酸から有毒な塩素が発生する。この塩素を系外に排出するため消毒部の天井部には、排気口60に排気ファン62が取り付けられている。このように、発生する塩素の除去機構を設けたことで作業者の安全が確保される。また、該排気ファン62の前面には、強酸性電解水が直接排気ファン62から外部に漏れないように遮蔽板64が取り付けられている。なお、消毒部の両側には脱水・水切部があり、何れも高圧空気を供給して育苗トレイの水切りを行っているため加圧環境にある。したがって、消毒部の雰囲気が脱水・水切部には移行する恐れは少ない。なお、消毒部の下部には、使用済みの洗浄水と消毒剤の廃液口が設けられている。このように、消毒液として従来の農薬を使用する必要がないため、使用後の農薬の回収および廃棄処理工程が不要となる。
【0029】
消毒後の育苗トレイTは、脱水・水切部に移送され、強酸性電解水が除去される。なお、消毒部と脱水・水切部との間には、消毒部の噴射洗浄水や雰囲気が外部に洩れないように仕切り27が設けられている。なお、この脱水・水切部にも、洗浄部に隣接する脱水・水切部と同様に、高圧空気ブロア(図示せず)からの水切り用高圧ノズル30がコンベアの上下に設けられ、図1に示すように上方からの高圧空気ノズル30aと、下方からの高圧空気ノズル30bに分けて配置してもよく、更に、複数の上方からの高圧空気ノズルや下方からの高圧空気ノズル、またはそれより径の太い高圧空気流パイプなどを平行して配設してもよく、高圧空気ノズル30a、30bと高圧空気流パイプとが前後に近接して並置されると、二重水切り構造となり、脱水率に優れ好ましい。本発明では、消毒工程について脱水・水切を行うが、強酸性電解水は殺菌効果の強さに比例して有効塩素の消失速度が速い。したがって、脱水・水切り工程において高圧空気を送風するだけで育苗トレイに塩素が残存することを防止することができる。なお、脱水・水切部と消毒部との間には、消毒部の消毒液が脱水・水切部に移行しないように、仕切り40が設けられている。
【0030】
なお、本発明で使用する電解水生成装置としては、たとえばイオン交換膜で陰極と陽極を仕切った有隔膜式電気分解槽が例示でき、これに水道水を軟水器に導入して0.1〜0.05質量%の塩化ナトリウム水溶液としたものを前記電解水生成装置に導入し、10〜20Vの直流低電圧で5〜20分電気分解を行うと、陽極側に生成した強酸性電解水を、陰極側にアルカリ水を生成することができる。得られた強酸性電解水は、予めタンクに保存し、直ちにポンプで消毒部に供給してもよい。
【0031】
本発明の第二は、育苗トレイの洗浄方法であって、育苗トレイを水またはアルカリ水を噴霧または散水して洗浄する工程、ついで洗浄工程で得た育苗トレイに強酸性電解水を散水または噴霧して消毒する工程を含む、育苗トレイの洗浄方法である。該方法は、上記装置の使用に限定されることなく行うことができる。強酸性電解水、アルカリ水は前記したものを同様に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、育苗トレイに強酸性電解水を消毒剤として散水または噴霧する機構を有し、これによって安全かつ効率的に育苗トレイを洗浄および消毒することができ、特に野菜類のプラグ苗の育成分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の育苗トレイ用洗浄装置の平面図概略図および側面概略図である。
【符号の説明】
【0034】
10 コンベア駆動モータ、
12 ベルト、
14 コンベアローラ、
16 回転ブラシ駆動モータ、
18 回転ブラシ、
20 洗浄水供給ノズル20、
20a 第一洗浄水供給ノズル、
20b 第二洗浄水供給ノズル、
22 仕切り、
27 仕切り、
30 水切り用高圧ノズル、
30a 上方からの高圧空気ノズル、
30b 下方からの高圧空気ノズル、
40 仕切り、
50 強酸性電解水供給ノズル、
60 排気口、
62 排気ファン、
64 遮蔽板、
80 強酸性電解水生成装置、
100 育苗トレイ洗浄装置、
T 育苗トレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗トレイの洗浄部と消毒部とを有する育苗トレイの洗浄装置であって、前記消毒部は、洗浄後の育苗トレイに強酸性電解水を散水または噴霧する機構を有することを特徴とする、育苗トレイの洗浄装置。
【請求項2】
前記消毒部には、更に、前記酸性電解水から発生する塩素ガスを排出する排気口が配設されることを特徴とする、請求項1記載の育苗トレイの洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄部は、育苗トレイにアルカリ水または水を散水または噴霧する機構を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の育苗トレイの洗浄装置。
【請求項4】
更に、アルカリ水と強酸性電解水とを産生する電解水生成装置を含み、前記アルカリ水が洗浄部で使用され、前記強酸性電解水が毒部で使用される構成を有することを特徴とする、請求項3記載の育苗トレイの洗浄装置。
【請求項5】
育苗トレイの洗浄方法であって、育苗トレイを水またはアルカリ水を噴霧または散水して洗浄する工程、ついで洗浄工程で得た育苗トレイに強酸性電解水を散水または噴霧して消毒する工程を含む、育苗トレイの洗浄方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−6817(P2007−6817A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193558(P2005−193558)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】