肺疾患の病歴を有する患者における心筋画像化法
本願は、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴を有するヒト患者における心筋画像化法を開示し、この方法は、心筋画像化を受けている哺乳動物に対し、1以上のA2Aアデノシンレセプターアゴニストの用量を投与する工程、ならびに、心筋機能不全を検出および/または診断する工程を包含する。一実施形態において、A2Aアデノシンレセプターアゴニストは、CVT−3033、Regadenosonおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年9月29日に出願された米国仮特許出願第60/848,294号および2007年2月13日に出願された米国仮特許出願第60/889,717号に対する優先権を主張し、これらの仮出願の全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴を有するヒト患者における心筋画像化法に関し、この方法は、心筋画像化を受けている哺乳動物に対し1以上のA2Aアデノシンレセプターアゴニストの用量を投与する工程、ならびに、心筋機能不全を検出および/または診断する工程を包含する。
【背景技術】
【0003】
背景
心筋灌流画像化(MPI)は、冠動脈疾患の検出および特徴づけに有用な診断技術である。灌流画像化は、血流が不十分な領域を同定するために放射性核種のような物質を使用する。MPIにおいて、血流は安静時に測定され、そして、その結果が、トレッドミル上での運動(このような激しい活動は、血流を刺激するに十分である)(心負荷試験)の間に測定された血流と比較される。不都合なことに、多くの患者は、末梢血管疾患、関節炎、肺障害などのような医学的状態に起因して、十分な血流を提供するに必要なレベルの運動ができない。
【0004】
したがって、短時間にわたり冠血流(CBF)を増加させる薬理学的因子、特に、末梢における血管拡張を引き起こさないか、または、肺の負荷因子として作用しないものが非常に有益である。いくつかの異なるタイプの血管拡張薬が、現在、灌流画像化における使用について知られている。ジピリダモールは、1つのこのような有効な血管拡張薬であるが、疼痛および悪心のような副作用が、この化合物を用いた処置の有用性を制限している。
【0005】
別の現在市販されている血管拡張薬は、AdenoScan(登録商標)(Astellas Pharma US,Inc.)であり、これは、天然に存在するアデノシンの処方物である。天然に存在するヌクレオシドであるアデノシン(ADO)は、サブタイプA1、A2A、A2BおよびA3として特徴付けられるアデノシンレセプターファミリーと相互作用することによってその生物学的作用を発揮する。不都合なことに、アデノシンの使用は、紅潮、胸部の不快感、深呼吸への衝動、頭痛、咽頭、首および顎の痛みのような副作用に起因して制限される。アデノシンのこれらの有害な影響は、アデノシンの血管拡張作用を媒介するA2Aに加えて他のアデノシンレセプターサブタイプを活性化することに起因するものである。さらに、アデノシンの短い半減期は、処置の間に4〜6分間の連続注入を必要とし、その使用をさらに制限している。
【0006】
アデノシン投与に伴う別の副作用は、喘息患者における気管支収縮である。気管支収縮は、肥満細胞上のアデノシンA3レセプターの活性化に関連している(非特許文献1を参照のこと)。さらに、アデノシンは、特許文献1において、喘息惹起因子として記載されている。したがって、アデノシンおよびアデノシン放出因子の副作用は、実質的に、種々のアデノシンレセプターサブタイプの非選択的な刺激に起因するものである。
【0007】
A2Aアデノシンレセプターに対する他の強力かつ選択的なアゴニストが公知である。例えば、MRE−0470(Medco、WRC−0470またはビンドデノソン(bindodenoson)としても知られる)は、A2Aアデノシンレセプターアゴニストであり、アデノシンの強力かつ選択的な誘導体である。A2Aアデノシンレセプターに対する高い親和性を有し、結果として、作用の持続期間が長いこの化合物は、最近、喘息または気管支痙攣の病歴を有する患者における心筋灌流画像化において有用であることが示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,248,723号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0159621号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Linden,Trends.Pharmacol.Sci.15:298−306(1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、対応する末梢の血管拡張を引き起こすことも、肺炎を誘発することもなく、哺乳動物において迅速かつ最大の冠血管拡張を生じる方法が依然として必要とされており、この方法は、放射性核種剤を用いた心筋画像化に有用である。好ましい化合物は、A2Aアデノシンレセプターに選択的であり、そして、作用の持続期間が短い(が、アデノシンのような化合物よりも長く作用し)、したがって、連続注入の必要性を除く。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
以下は本発明の局面である。
【0012】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化(myocardial stress perfusion imaging)の間に心筋機能不全を診断する方法であって、少なくとも10μgの少なくとも1種のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【0013】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、少なくとも約1000μgのA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【0014】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【0015】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、単一用量で投与される、方法。
【0016】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、ivボーラスで投与される、方法。
【0017】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約10秒以内で投与される、方法。
【0018】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約10μgより多い量で投与される、方法。
【0019】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により油初させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約100μgより多い量で投与される、方法。
【0020】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約600μgより少ない量で投与される、方法。
【0021】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約500μgより少ない量で投与される、方法。
【0022】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約100μg〜約500μgの範囲の量で投与される、方法。
【0023】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、CVT−3033、Regadenosonおよびこれらの組合せからなる群より選択される、方法。
【0024】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、放射性核種およびA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与後に、心筋層が血流が不十分な領域について検査される、方法。
【0025】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、心筋層は、放射性核種およびA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与後に、血流が不十分な領域について検査され、この心筋層の検査は、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを投与された時点から約1分以内に始まる、方法。
【0026】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与は、冠血流の少なくとも2.5倍の増加をもたらす、方法。
【0027】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与は、冠血流の少なくとも2.5倍の増加をもたらし、これが、この冠血流の増加が、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与から約1分以内に達成される、方法。
【0028】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、放射性核種とA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとが、別々に投与される、方法。
【0029】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、放射性核種とA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとが、同時に投与される、方法、
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与が、冠血流の約5分未満の少なくとも2.5倍の増加をもたらす、方法。
【0030】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与が、冠血流の約3分未満の少なくとも2.5倍の増加をもたらす、方法。
【0031】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、約10μg〜約600μgの範囲の量のRegadenosonを単回ivボーラスで投与する工程を包含する、方法。
【0032】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、約100μg〜約500μgの範囲の量のRegadenosonを単回ivボーラスで投与する工程を包含する、方法。
【0033】
上記方法の全てにおいて、用量は、代表的には、単回ivボーラスで投与される。
【0034】
上記方法の全てにおいて、少なくとも1種の放射性核種は、心筋画像化を促進するために、A2Aアデノシンレセプターアゴニスト投与の前、投与と同時または投与後に投与される。
【0035】
上記方法の全てにおいて、心筋機能不全としては、冠動脈疾患、冠動脈拡張、心室機能不全、疾患を有さない冠血管を通る血流と狭窄した血管を通る血流との差、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
上記方法の全てにおいて、心負荷灌流画像化法は、非侵襲性の画像化手法である。画像化は、シンチグラフィ、シングルフォトンエミッションCT(SPECT)、陽電子断層撮影法(PET)、核磁気共鳴(NMR)画像化、灌流超音波造影心エコー検査、デジタルサブトラクションアンギオグラフィ(DSA)および超高速X線CT(CINE CT)ならびにこれらの技術の組合せを含む方法によって行われ得る。
【0037】
心負荷灌流画像化法の特定の実施形態において、心筋機能不全を検出する工程は、ヒト患者の冠血流速度を測定して、罹病冠血管の血管拡張能力(vasodilatory capacity)を、疾患を有さない冠血管と比較して評価する工程を包含する。
【0038】
心負荷灌流画像化法の他の実施形態において、心筋機能不全を検出する工程は、罹病冠血管の血管拡張能力(予備能力(reserve capacity))を、疾患を有さない冠血管と比較して評価する工程を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、18μgアデノシンのICボーラス投与(上)および30μgのRegadenosonのIVボーラス投与後の冠動脈内ドプラフロープロフィール(intracoronary Doppler flow profile)である。
【図2】図2は、冠動脈の最大流速に対するRegadenoson用量の関係性を示すプロットである。
【図3】図3は、種々の用量のRegadenosonについて、冠動脈流速が、ベースラインの冠動脈流速の2.5倍以上となる持続時間を報告する表であり、ここで、「n」は、投薬したヒト患者の数を指す。
【図4】図4は、400μgのRegadenosonのIVボーラスを受けたヒト患者についての平均最大速度(APV)比の時間経過のプロットである。
【図5】図5は、400μgのRegadenosonのIVボーラスを受けたヒト患者についての心拍数の時間経過のプロットである。
【図6】図6は、400μgのRegadenosonのIVボーラスを受けたヒト患者についての血圧の時間経過である。
【図7】図7は、有害事象の表である。
【図8】図8は、仰臥位の健康な志願者男性における平均Regadenoson血漿濃度の経時変化のプロットである。種々の曲線は、患者に投与された種々の量のRegadenosonに関連付けられる。
【図9】図9および10は、Regadenosonの種々のボーラス投薬レベルについての、立位または仰臥位のいずれかの、健康な志願者男性における心拍数の平均経時変化のプロットである。
【図10】図9および10は、Regadenosonの種々のボーラス投薬レベルについての、立位または仰臥位のいずれかの、健康な志願者男性における心拍数の平均経時変化のプロットである。
【図11】図11は、立位または仰臥位のヒト男性患者に投与されたRegadenosonの総用量との関係における心拍数の最大変化のプロットである。プロットにおいて、用語「Obs」は、実測のデータ点を指し、一方で、「fit」は、実測のデータ点に対して調整された曲線を指す。
【図12】図12は、立位または仰臥位のヒト被験体に投与されたRegadenosonの総用量との関係における、心拍数−ベースラインからの(曲線下面積)AUC(0〜15分)の変化のプロットである。
【図13】図13は、仰臥位の被験体についての、Regadenosonの最大血漿濃度におけるベースライン心拍数からの最大変化のプロットである。
【図14】図14は、仰臥位の患者についての、心拍数−血漿AUC(0〜15分)に対するベースラインからの(曲線下面積−時間v.効果)AUCE(0〜15分)の変化のプロットである。
【図15】図15は、20μg/kgのRegadenoson用量についての、経時的な、平均血漿濃度の時間プロフィールに対するベースラインからの平均心拍数変化のプロットである。
【図16】図16は、肺動脈(PA)、前肢動脈(FA)、脳動脈血管系(BA)および左回旋冠動脈(LCX)において測定した、Regadenoson投与後の経時的な平均最大血流速度のプロットである。
【図17】図17は、種々の用量のRegadenosonについての、心拍数(HR)および血圧(BP)の%変化のプロットである。
【図18】図18は、イヌを覚醒させるために増加する量のADOまたはRegadenosonを投与した際の、LBFおよびRBFの血流における変化のプロットである。
【図19】図19は、研究中の全ての患者についての、経時的な(ボーラス後の分数)ボーラス後FEV1のベースラインからの%変化を示す線グラフである。
【図20】図20は、経時的な(ボーラス後の分数)ベースライン心拍数(bpm)からの平均変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(発明の説明)
強力なA2Aアデノシン部分アゴニストは、造影剤の投薬前または造影剤と同時のいずれかで加えられたときに、心画像化の補助薬として有用である。適切な造影剤としては、201タリウムまたは99mテクネチウム−Sestamibi、99mTcテボロキシム(teboroxime)および99mTc(III)が挙げられる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、心筋機能不全は、心筋灌流画像化によって検出される。画像化は、シンチグラフィ、シングルフォトンエミッションCT(SPECT)、陽電子断層撮影法(PET)、核磁気共鳴(NMR)画像化、灌流超音波造影心エコー検査、デジタルサブトラクションアンギオグラフィ(DSA)および超高速X線CT(CINE CT)、ならびにこれらの技術の組合せを含む方法によって行われ得る。
【0042】
組成物は、経口、静脈内(iv)、皮膚を通して、または、当該分野で公知の治療因子を投与するための任意の他の手段によって投与され得るが、ボーラスiv投与が好ましい。
【0043】
冠血流(CBF)を増加させるが、末梢血流を有意には増加させない新規かつ強力なA2Aアデノシン部分アゴニストが同定されている。A2Aアデノシン部分アゴニスト、特に、RegadenosonおよびCVT−3033は、投与された際に、作用の開始が急速でありかつ持続期間が短い。これらの新規化合物の予期しない新たに確認された利点は、これらが、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴を有するヒト患者に対して、非常に少量で、単回のボーラス静脈内(iv)注射で投与されたときに有用である、ということである。A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、10μgほど少ない量から600μg以上の多い量で投与され得、依然として有効であり得、副作用があったとしてもわずかである。最適な静脈内用量は、薬100μg〜約500μgの少なくとも1種のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを含む。この量は、代表的に約140μg/kg/分の速度でiv注入にて連続して投与されるアデノシンと比較して、予想外に低いものである。アデノシンとは異なり、患者の体重とは無関係に、同じ投薬量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニスト、特に、RegadenosonおよびCVT−3033がヒト患者に対して投与され得る。したがって、心筋画像化のためのivボーラスによる単回一定量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与は、アデノシンの時間および体重に依存した投与よりも、劇的に単純であり、かつ、失敗する傾向が少ない。
【0044】
本発明の化合物および/またはその誘導体を含む薬学的組成物は、非経口投与のために溶液または凍結乾燥粉末として処方され得る。粉末は、使用前に、適切な希釈剤または他の薬学的に受容可能なキャリアを加えることによって再構成され得る。液体形態で使用される場合、本発明の組成物は、好ましくは、緩衝化された等張の水溶液中に組み込まれる。適切な希釈剤の例は、通常の等張生理食塩水溶液、標準5%のデキストロース水溶液、および、酢酸ナトリウムもしくは酢酸アンモニウム緩衝液である。このような液体処方物は、非経口投与には適切であるが、経口投与にも使用され得る。本発明の化合物を含む薬学的組成物に、ポリビニルピロリジノン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、マンニトール、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムのような賦形剤、または、当業者に公知の任意の他の賦形剤を加えることが望ましくあり得る。さらなる組成物は、米国特許出願公開第2005/0020915号において見出され得、この出願明細書は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0045】
本発明の方法において有用なA2Aアデノシンレセプターに対する強力かつ選択的なアゴニストである化合物の第1の分類は、以下の式:
【0046】
【化1】
を持つ2−アデノシン N−ピラゾール化合物であり、上記式において、
R1は、CH2OH、−CONR5R6であり;
R2およびR4は、H、C1−6アルキルおよびアリールからなる群より選択され、このアルキルおよびアリール置換基は、ハロ、CN、CF3、OR20およびN(R20)2で必要に応じて置換されるが、但し、R2が水素でない場合はR4が水素であり、そして、R4が水素でない場合はR2が水素であり;
R3は、独立して、C1−15アルキル、ハロ、NO2、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2、−CONR7R8、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アルキル、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、この任意の置換ヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CNまたはOR20で必要に応じて置換され;
R5およびR6は、各々が独立して、HおよびC1−C15アルキルから選択され、このC1−C15アルキルは、ハロ、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で必要に応じて置換され、この任意の置換ヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基の各々は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミド、ヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CN,およびOR20で必要に応じて置換され;
R7およびR8は、各々が独立して、水素、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、この任意の置換ヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基の各々は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CNおよびOR20で必要に応じて置換され;
R20は、H、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アキル、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、CN、O−C1−6アルキル、CF3、アリールおよびヘテロアリールより独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され;そして
R22は、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アルキル、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、CN、O−C1−6アルキル、CF3、アリールおよびヘテロアリールより独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される。
【0047】
本発明の化合物の関連するグループにおいて、
R3は、C1−15アルキル、ハロ、CF3、CN、OR20、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、COR20、CO2R20、−CONR7R8、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アリールおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、COR20、CO2R20またはCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のヘテロアリールおよびアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3、CNおよびOR20で必要に応じて置換され;
R5およびR6は、独立して、Hおよび1個の任意のアリール置換基を含むC1−C15アルキルからなる群より選択され、そして、この任意のアリール置換基の各々は、ハロまたはCF3で必要に応じて置換され;
R7は、C1−15アルキル、C2−15アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のヘテロアリールおよびアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3、CNまたはOR20で必要に応じて置換され;
R8は、水素およびC1−15アルキルからなる群より選択され;
R20は、H、C1−4アルキルおよびアリールからなる群より選択され、ここで、アルキルおよびアリール置換基は、1個のアルキル置換基で必要に応じて置換され;そして
R22は、C1−4アルキルおよびアリールからなる群より選択され、ここで、このアルキルおよびアリールは、各々が、1〜3個のアルキル基で必要に応じて置換される。
【0048】
化合物のなお別の関連する分類において、
R1はCH2OHであり;
R3は、CO2R20、−CONR7R8およびアリールからなる群より選択され、このアリール置換基は、ハロ、C1−6アルキル、CF3およびOR20からなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で必要に応じて置換され;
R7は、水素、C1−8アルキルおよびアリールからなる群より選択され、このアルキルおよびアリール置換基は、ハロ、アリール、CF3、CN、OR20からなる群より選択される1個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3、CNおよびOR20で必要に応じて置換され;
R8は、水素およびC1−8アルキルからなる群より選択され;そして
R20は、水素およびC1−4アルキルより選択される。
【0049】
本発明の化合物のさらに別の関連する分類において、
R1はCH2OHであり;
R3は、CO2R20、−CONR7R8、ならびに、ハロ、C1−3アルキルおよびOR20からなる群より選択される1個の置換基で必要に応じて置換されたアリール、からなる群より選択され;
R7は、水素およびC1−3アルキルより選択され;
R8は水素であり;そして
R20は、水素およびC1−4アルキルより選択される。
【0050】
この好ましい実施形態において、R3は、最も好ましくは、−CO2Etおよび−CONHEtから選択される。
【0051】
化合物のなお別の関連する分類において、
R1は、−CONHEtであり、
R3は、CO2R20、−CONR7R8およびアリールからなる群より選択され、このアリールは、ハロ、C1−3アルキル、CF3またはOR20からなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で必要に応じて置換され;
R7は、水素およびC1−8アルキルからなる群より選択され、このアルキルは、ハロ、CF3、CNもしくはOR20からなる群より選択される1個の置換基で必要に応じて置換され;
R8は、水素およびC1−3アルキルからなる群より選択され;そして
R20は、水素およびC1−4アルキルからなる群より選択される。
【0052】
このより好ましい実施形態において、R8は好ましくは水素であり、R7は好ましくは、水素およびC1−3からなる群より選択され、そして、R20は好ましくは水素およびC1−4アルキルからなる群より選択される。
【0053】
特定の有用な化合物は以下から選択される:
1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−カルボン酸エチル、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[4−(4−クロロフェニル)ピラゾリル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[4−(4−メトキシフェニル)ピラゾリル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[4−(4−メチルフェニル)ピラゾリル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−メチルカルボキサミド、
1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−カルボン酸、
(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N,N−ジメチルカルボキサミド、
(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−エチルカルボキサミド、
1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−カルボキサミド、
1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−(シクロペンチルメチル)カルボキサミド、
(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−[(4−クロロフェニル)メチル]カルボキサミド、
2−[(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)カルボニルアミノ]酢酸エチルおよびこれらの混合物。
【0054】
本発明の方法において有用なA2Aアデノシンレセプターに対する強力かつ選択的なアゴニストである化合物の第2の分類は、以下の式:
【0055】
【化2】
を持つ2−アデノシン C−ピラゾール化合物であり、上記式において、
R1は先に定義したとおりであり;
R2’は、水素、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、このアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20,およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基の各々は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CNまたはOR20で必要に応じて置換され;
R3’、R4’は、独立して、水素、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール、ハロ、NO2、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より選択され、このアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、この任意のヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基の各々は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CN,またはOR20で必要に応じて置換され;そして
R5、R6、R20およびR22もまた先に定義されたとおりであり、
但し、R1がCH2OHである場合、R3’はHであり、R4’はHであり、ピラゾール環がC4’を介して結合され、そして、R2’はHではない。
【0056】
以下の式:
【0057】
【化3】
のうちの1つを有する化合物が選択される場合、R1は−CH2OHであり;R2’は、水素、C1−8アルキルからなる群より選択され、このアルキルは、アリール、CF3、CNからなる群より選択される1個の置換基で必要に応じて置換され、そして、この任意のアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3またはCNで必要に応じて置換され;そしてR3’およびR4’は、各々が独立して、水素、メチルからなる群より選択され、より好ましくは、R3’およびR4’は各々が水素であることが好ましい。
【0058】
本発明の化合物が以下の式:
【0059】
【化4】
を有する場合、R1は−CH2OHであり;R2’は、水素、および必要に応じてフェニルで置換されたC1−6アルキルからなる群より選択されることが好ましい。より好ましくは、R2’は、ベンジルおよびペンチルより選択され;R3’は、水素、C1−6アルキル、アリールからなる群より選択され、このアルキルおよびアリール置換基は、ハロ、アリール、CF3、CNからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3またはCNで必要に応じて置換され;そしてR4’は、水素およびC1−6アルキルからなる群より選択され、そしてより好ましくは、R4’は、水素およびメチルより選択される。
【0060】
化合物のより特定の分類は、以下からなる群より選択される:
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−ベンジルピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−[6−アミノ−2−(1−ペンチルピラゾール−4−イル)プリン−9−イル]−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−[6−アミノ−2−(1−メチルピラゾール−4−イル)プリン−9−イル]−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(メチルエチル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(3−フェニルプロピル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(4−t−ブチルベンジル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−(6−アミノ−2−ピラゾール−4−イルプリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−ペンタ−4−エニルピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−デシルピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(シクロヘキシルメチル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(2−フェニルエチル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(3−シクロヘキシルプロピル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(2−シクロヘキシルエチル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオールおよびこれらの混合物。
【0061】
A2Aアデノシンレセプターに対する非常に有用かつ強力かつ選択的なアゴニストは、以下の式:
【0062】
【化5】
を有する、Regadenoson、すなわち、(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−メチルカルボキサミドである。
【0063】
選択的なA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとして有用な、作用の持続時間が短い別の好ましい化合物は、以下の式:
【0064】
【化6】
の化合物である。
CVT−3033は、心画像化における補助薬として特に有用である。
【0065】
上で同定した化合物の第1および第2の分類は、米国特許第6,403,567号および同第6,214,807号により詳細に記載されており、これらの各々の明細書は、本明細書中に参考として援用される。
【0066】
本明細書中で使用される場合、以下の定義が用語に適用される。
【0067】
「ハロ」または「ハロゲン」は、単独または組合せで、全ハロゲン、すなわち、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)を意味する。
【0068】
「ヒドロキシル」は、基−OHを指す。
【0069】
「チオール」または「メルカプト」は、基−SHを指す。
【0070】
「アルキル」は、単独または組み合わせで、(具体的に定義されていない限り)1〜20個、好ましくは1〜15個の炭素原子を含有するアルカン由来のラジカルを意味する。これは、直鎖アルキル、分枝鎖アルキルまたはシクロアルキルである。好ましくは、1〜15個、より好ましくは1〜8個、なおより好ましくは1〜6個、さらにより好ましくは1〜4個、そして最も好ましくは1〜2個の炭素原子を含有する、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチルなど)である。用語「低級アルキル」は、本明細書中で、直ぐ上で説明される直鎖アルキル基を説明するために用いられる。好ましくは、シクロアルキル基は、1環あたり3〜8個、より好ましくは3〜6個の環員の、単環式、二環式もしくは三環式の環系(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなど)である。アルキルはまた、シクロアルキル部分を含むかまたはシクロアルキル部分によって中断された、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基も含む。直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基は、安定な化合物を生じるための任意の利用可能な点に結合される。この例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:4−(イソプロピル)−シクロヘキシルエチルまたは2−メチル−シクロプロピルペンチル。置換アルキルは、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなどの、1〜3個の基または置換基で独立して置換された、先に定義した、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基またはシクロアルキル基である。
【0071】
「アルケニル」は、単独または組合せで、2〜20個、好ましくは2〜17個、より好ましくは2〜10個、なおより好ましくは2〜8個、最も好ましくは2〜4個の炭素原子を含み、なおかつ、少なくとも1個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、最も好ましくは1個の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖、分枝鎖または環式の炭化水素を意味する。シクロアルキル基の場合、1以上の炭素−炭素二重結合の共役は、環に芳香族性を与えるようなものではない。炭素−炭素二重結合は、シクロアルキル部分中に含まれても(シクロプロピルを除く)、直鎖もしくは分枝鎖の部分に含まれてもよい。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルアルキルなどが挙げられる。置換アルケニルは、安定な化合物を生じための任意の利用可能な点で結合された、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニルなどの、1〜3個の基または置換基で独立して置換された、先に定義した、直鎖アルケニル基、分枝鎖アルケニル基またはシクロアルケニル基である。
【0072】
「アルキニル」は、単独または組合せで、2〜20個、好ましくは2〜17個、より好ましくは2〜10個、なおより好ましくは2〜8個、最も好ましくは2〜4個の炭素原子を含み、なおかつ、少なくとも1個、好ましは1個の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニルなどが挙げられる。置換アルキニルは、安定な化合物を生じるための任意の利用可能な点で結合された、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなどの、1〜3個の基または置換基で独立して置換された、先に定義した、直鎖アルキニルまたは分枝鎖アルキニルを指す。
【0073】
「アルキルアルケニル」とは、基−R−CR'=CR'"R""を指し、ここで、Rは低級アルキルまたは置換低級アルキルであり、R'、R'"、R""は、独立して、以下に定義されるような、水素、ハロゲン、低級アルキル、置換低級アルキル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは、置換ヘテロアリールであり得る。
【0074】
「アルキルアルキニル」とは、基−RC≡CR'を指し、ここで、Rは低級アルキルまたは置換低級アルキルであり、R’は、以下に定義されるような、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。
【0075】
「アルコキシ」は、基−ORを示し、ここで、Rは、定義されるような、低級アルキル、置換低級アルキル、アシル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキルである。
【0076】
「アルキルチオ」は、基−SR、−S(O)n=1−2−Rを示し、ここで、Rは、本明細書中に定義されるような、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである。
【0077】
「アシル」は、基−C(O)Rを示し、ここで、Rは、本明細書中に定義されるような、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリールなどである。
【0078】
「アリールオキシ」は、基−OArを示し、ここで、Arは、本明細書中に定義されるような、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基である。
【0079】
「アミノ」は、基NRR’を示し、ここで、RおよびR’は、独立して、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または、本明細書中に定義されるような置換ヘテロアリール、またはアシルであり得る。
【0080】
「アミド」は、基−C(O)NRR’を示し、ここで、RおよびR’は、独立して、本明細書中に定義されるような、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールであり得る。
【0081】
「カルボキシル」は、基−C(O)ORを示し、ここで、Rは、本明細書中に定義されるような、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールである。
【0082】
「アリール」は、単独または組合せで、好ましくは5〜7個、より好ましくは5〜6個の環員のシクロアルキルと必要に応じて縮合され、そして/または、必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなどの1〜3個の基もしくは置換基で置換された、フェニルまたはナフチルの炭素環を意味する。
【0083】
「置換アリール」は、1個以上の官能基(例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなど)で必要に応じて置換されたリールを指す。
【0084】
「複素環」は、単一の環(例えば、モルホリノ、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、ナフトピリジル、キノキサリル、キノリニル、インドリジニルまたはベンゾ[b]チエニル)を有し、そして、環内に少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)を有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環式基を指し、この基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0085】
「ヘテロアリール」は、単独または組合せで、1個以上、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、なおより好ましくは1〜2個の、独立してO、SおよびNの群より選択されるヘテロ原子を含む、5個もしくは6個の環原子を含む単環式芳香族環、または、8〜10個の原子を有する二環式芳香族環を意味し、これらの芳香族環は、必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなどの1〜3個の基または置換基で置換される。ヘテロアリールはまた、スルフィニル、スルホニル、三級環窒素のN−オキシドのように、酸化されたSまたはNを含むことも意図される。炭素原子または窒素原子は、結果として安定な芳香族環が保持されるための、ヘテロアリール環構造の結合点である。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、キナゾリニル、プリニル、インドリル、キノリニル、ピリミジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、イソキサゾリル、オキサチアジアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフリル、インドリルなどである。置換ヘテロアリールは、安定な化合物を生じるために利用可能な炭素または窒素に結合された置換基を含む。
【0086】
「ヘテロシクリル」は、単独または組合せで、5〜10個の原子を有する非芳香族シクロアルキル基であって、環内の1〜3個の炭素原子が、O、SまたはNのヘテロ原子によって置き換えらた基を意味し、そして、必要に応じて、5〜6個の環員のベンゾ縮合または縮合ヘテロアリールであり、そして/または、必要に応じて、シクロアルキルの場合のように置換される。ヘテロシクリルはまた、スルフィニル、スルホニル、三級環窒素のN−オキシドのように、酸化されたSまたはNを含むことも意図される。結合点は、炭素原子または窒素原子である。ヘテロシクリル基の例は、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピリジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロインドリルなどである。置換ヘテロシクリルは、安定な化合物を生じるために利用可能な炭素または窒素に結合された置換基を含む。
【0087】
「置換ヘテロアリール」は、1個以上の官能基(例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなど)で必要に応じて一置換もしくは多置換された複素環を指す。
【0088】
「アラルキル」は、基−R−Arを指し、ここで、Arはアリール基であり、そして、Rは、低級アルキル基または置換低級アルキル基である。アリール基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0089】
「ヘテロアルキル」は、基−R−Hetを指し、ここで、Hetは複素環基であり、そして、Rは、低級アルキル基である。ヘテロアルキル基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0090】
「ヘテロアリールアルキル」は、基−R−HetArを指し、ここで、HetArは、ヘテロアリール基であり、そして、Rは、低級アルキルまたは置換低級アルキルである。ヘテロアリールアルキル基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0091】
「シクロアルキル」は、3〜15個の炭素原子を含む二価環式もしくは多環式アルキル基を指す。
【0092】
「置換シクロアルキル」は、1個以上の置換基(例えば、ハロゲン、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなど)を含むシクロアルキル基を指す。
【0093】
「シクロヘテロアルキル」は、1個以上の環炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、N、O、SまたはP)で置き換えられたシクロアルキル基を指す。
【0094】
「置換シクロヘテロアルキル」は、1個以上の置換基(例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなど)を含む、本明細書中で定義されるような、シクロヘテロアルキル基を指す。
【0095】
「アルキルシクロアルキル」は、基−R−シクロアルキルを示し、ここで、シクロアルキルは、シクロアルキル基であり、Rは低級アルキルまたは置換低級アルキルである。シクロアルキル基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0096】
「アルキルシクロヘテロアルキル」は、基−R−シクロヘテロアルキルを示し、ここで、Rは、低級アルキルまたは置換低級アルキルである。シクロヘテロアルキル基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アミド、カルボキシル、アセチレン、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0097】
上で同定された化合物の第1の分類は、以下のスキーム1〜4に概説されるようにして調製され得る。
【0098】
一般式IVを持つ化合物は、スキーム1に示されるように調製され得る。
【0099】
【化7】
化合物Iは、化合物1を、80℃にて、AcOHおよびMeOHの混合物中、適切に置換された1,3−ジカルボニルと反応させることによって調製され得る(Holzer et al.,J.Heterocycl.Chem.(1993)30,865)。酸の存在下で化合物Iを2,2−ジメトキシプロパンと反応させることによって得られ得る化合物IIは、構造的に類似の化合物に基づき、過マンガン酸カリウムまたはクロロクロム酸ピリジニウムを用いて、カルボン酸IIIまで酸化され得る(M.Hudlicky,(1990)Oxidations in Organic Chemistry,ACS Monographs,American Chemical Society,Washington D.C.)。DCC(M.Fujino et al.、Chem.Pharm.Bull.(1974),22,1857)、PyBOP(J.Martinez et al.,J.Med.Chem.(1988)28,1874)またはPyBrop(J.Caste et al.Tetrahedron,(1991),32,1967)のカップリング条件を用いる、式HNR6R7を持つ一級または二級アミンと、化合物IIIとの反応により、化合物IVが得られ得る。
【0100】
【化8】
化合物Vは、スキーム2に示されるように調製され得る。3TBDMS誘導体4は、化合物2を、DMF中、TBDMSClおよびイミダゾールで処理し、その後、NaOHを用いてエチルエステルを加水分解することにより得られ得る。DCC(M.Fujino et al.、Chem.Pharm.Bull.(1974),22,1857)、PyBOP(J.Martinez et al.,J.Med.Chem.(1988)28,1874)またはPyBrop(J.Caste et al.Tetrahedron,(1991),32,1967)のカップリング条件を用いる、式HNR6R7を持つ一級もしくは二級アミンと化合物4との反応により、化合物Vが得られ得る。
【0101】
【化9】
化合物11の特定の合成が、スキーム3に示される。市販のグアノシン5を、先に記載されたように、トリアセテート6へと変換した(M.J.RobinsおよびB.Uznanski、Can.J.Chem.(1981),59,2601−2607)。Cerster et al.(J.F.Cerster,A.F.LewisおよびR.K.Robins、Org.Synthesis,242−243)の文献の手順に従って調製した化合物7を、先に記載されたように、2段階で化合物9へと変換した(V.Nair et al.,J.Org.Chem.,(1988),53,3051−3057)。化合物1は、80℃にて、エタノール中、ヒドラジン水和物を化合物9と反応させることによって得た。80℃における、AcOHおよびMeOHの混合物中での、化合物1のエトキシカルボニルマロンジアルデヒドとの縮合により、化合物10が生じた。過剰なメチルアミン中で化合物10を加熱し、化合物11を得た。
【0102】
1,3−ジアルデヒドVIIの合成はスキーム4に記載される。
【0103】
【化10】
NaHの存在下、3,3−ジエトキシプロピオネートまたは3,3−ジエトキシプロピオニトリルまたは1,1−ジエトキシ−2−ニトロエタン VI(R3=CO2R、CNまたはNO2)の、ギ酸エチルまたはギ酸メチルとの反応により、ジアルデヒドVIIが得られ得る(Y.Yamamoto et al.,J.Org.Chem.(1989)54,4734)。
【0104】
上記化合物の第2の分類は、スキーム4〜9に概説されるようにして調製され得る。以下のスキーム5:
【0105】
【化11】
に示されるように、一般式VIIIを持つ化合物は、銅塩の存在下もしくは非存在下で、化合物12の、式IXによって表されるハロ−ピラゾール(合成はスキーム8に示される)とのパラジウムにより媒介されるカップリングを行い(K.Kato et.al.J.Org.Chem.1997,62,6833−6841;Palladium Reagents and Catalysts−Innovations in Organic Synthesis,Tsuji,John Wiley and Sons,1995)、その後、TBAFまたはNH4Fのいずれかで脱保護することによって調製した(Markiewicz et.al Tetrahedron Lett.(1988),29,1561)。化合物12の調製は、先に記載されており(K.Kato et.al.J.Org.Chem.1997,62,6833−6841)、そして、スキーム11において概説される。
【0106】
一般式XIVを持つ化合物は、スキーム6に示されるようにして調製され得る。
【0107】
【化12】
酸の存在下でVIIを2,2−ジメトキシプロパンと反応させることによって得られ得る化合物XIは、構造的に類似の化合物に基づき、過マンガン酸カリウムまたはクロロクロム酸ピリジニウムなどを用いて、カルボン酸XIIまで酸化され得る(Jones et.al.,J.Am.Chem.Soc.(1949),71,3994.;Hudlicky、Oxidations in organic chemistry,American Chemical Society,Washington D.C.,1990)。
【0108】
DCC(Fujino et.al.、Chem.Pharm.Bull.(1974),22,1857)、PyBOP(J.Martinez et.al.,J.Med.Chem.(1988),28,1967)またはPyBrop(J.Caste et.al.Tetrahedron,(1991),32,1967)のカップリング条件を用いる、式HNR5R6を持つ一級または二級アミンと、化合物XIIとの反応により、化合物XIIIが得られ得る。
【0109】
80%酢酸水溶液(T.W.Green and P.G.M.Wuts,(1991),Protective Groups in Organic Synthesis,A Wiley−Interscience publication)または無水HCl(4N)と共に加熱することによって化合物XIIIの脱保護を行い、一般式XIIIの化合物を得ることができる。
【0110】
あるいは、一般式VIIIを持つ化合物はまた、スキーム7に示されるように、スズキ型のカップリングによって調製され得る。
【0111】
【化13】
2−ヨードアデノシン16は、文献の手順(M.J.Robins et.al.Can.J.Chem.(1981),59,2601−2607;J.F.Cerster et.al.Org.Synthesis,−−−242−243;V.Nair at.al.,J.Org.Chem.,(1988),53,3051−3057)に従い、グアノシン25から、4段階で調製され得る。塩基の存在下での、適切に置換されたピラゾールボロン酸との、16のパラジウム触媒を用いたスズキカップリング(A.Suzuki,Acc.Chem.Res)(1982),15,178)により、一般式VIIIを持つ最終化合物を生じ得る。必要に応じて、6上の2’,3’,5’−ヒドロキシルを、スズキカップリングの前に、TBDMSエーテルとして保護し得る。
【0112】
一般式IXを持つ化合物は、市販品、または、スキーム8に示される工程に従って調製されたもののいずれかであり得る。
【0113】
【化14】
適切な溶媒中、式XVの1,3−ジケト化合物のヒドラジンとの縮合により、一般式XVIを持つピラゾールが得られ得る(R.H.Wiley et.al.、Org.Synthsis,Coll.Vol IV(1963),351)。これらのピラゾールは、種々のハロゲン化アルキルを用いてN−アルキル化されて、式XVIIの化合物を生じ、この化合物をヨウ素化して、一般式IXを持つ4−ヨード誘導体を生じ得る(R.Huttel et.al.Justus Liebigs Ann.Chem.(1955),593,200)。
【0114】
一般式XXIを持つ5−ヨードピラゾールは、スキーム9に概説される工程に従って調製され得る。
【0115】
【化15】
適切な溶媒中、式XVIIIの1,3−ジケト化合物のヒドラジンとの縮合により、一般式XIXを持つピラゾールが得られ得る。これらのピラゾールは、種々のハロゲン化アルキルを用いてN−アルキル化されて、式XXの化合物を生じ得る。強塩基を用いて5−Hを除去し、その後、ヨウ素でクエンチすることにより、一般式XXIを持つ5−ヨード誘導体を生じ得る(F.Effenberger et.al.J.Org.Chem.(1984),49,4687)。
【0116】
4−もしくは5−ヨードピラゾールは、スキーム10に示されるように、対応するボロン酸へと変換され得る。
【0117】
【化16】
n−buLiを用いた金属交換反応(transmetallation)と、その後のトリメチルホウ酸塩を用いた処理により、一般式XXIIを持つ化合物を生じ、この化合物を加水分解して、一般式XXIIIを持つボロン酸を生じ得る(F.C.Fischer et.al.RECUEIL(1965),84,439)。
【0118】
以下のスキーム11に示されるように、2−スタニルアデノシン(Stannyladenosine)12を、文献の手順(K.Kato et.al.,J.Org.Chem.(1997),62,6833−6841)に従い、市販の6−クロロプリンリボシドから3段階で調製した。
【0119】
【化17】
DMF中、18をTBDMSClおよびイミダゾールで処理することにより、3TBDMS誘導体を得た。LTMPを用いてリチウム化し、その後、塩化トリn−ブチルスズを用いてクエンチすることにより、排他的に2−スタニル誘導体20を得た。2−プロパノール中での加安分解により、2−スタニルアデノシン12を得た。Pd(PPh3)4およびCuIの存在下、12の、1−ベンジル−4−ヨードピラゾールとのStilleカップリングにより、21を生じた(K.Kato et.al.,J.Org.Chem.(1997),62,6833−6841)。メタノール中、0.5Mフッ化アンモニウムを用いて、2’、3’および5’のヒドロキシル上のシリル基を脱保護して、良好な収率で22を生じた。
【0120】
本発明の化合物を調製するために使用される方法は、上記のものに制限されない。さらなる方法は、以下の出典において見出され得、そして、これらは参考として援用される(J.March,Advanced Organic Chemistry;Reaction Mechanisms and Studies(1992),A Wiley Interscience Publications;およびJ.Tsuji,Palladium reagents and catalysts−Innovations in organic synthesis,John Wiley and Sons,1995)。
【0121】
本発明の最終化合物が塩基性の基を含む場合、酸付加塩が調製され得る。化合物の酸付加塩は、適切な溶媒中、標準的な方法で、親化合物および過剰の酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスルホン酸)から調製される。塩酸塩形態が特に有用である。最終化合物が酸性の基を含む場合、カチオン性の塩が調製され得る。代表的には、親化合物は、適切なカチオンを含む過剰のアルカリ性試薬(例えば、ヒドロキシド、カーボネートまたはアルコキシド)で処理される。Na+、K+、Ca+2およびNH4+のようなカチオンは、薬学的に受容可能な塩に存在するカチオンの例である。内部塩または両性イオンを形成する特定の化合物もまた受容可能であり得る。
【0122】
本発明は、ここで、完全に記載されてきたが、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明に対して多くの変更および改変がなされ得ることは、当業者に明らかである。
【実施例】
【0123】
実施例1
背景:
3分の初期半減期を持ち、作用の開始および終了が急速であるRegadenoson(CV Therapeutics)は、覚醒しているイヌの冠血流速度(CBFv)の増加において、アデノシン(Ado)よりも100倍を超えて強力である。このオープンラベル研究の目的は、ヒトにおけるCBFvに対する、Regadenoson(10〜500μg)の作用の大きさおよび持続期間を決定することであった。
【0124】
方法:
患者は、臨床適応のある冠状動脈カテーテル法(clinically indicated coronary catheterization)を受けており、全冠動脈における70%以下の狭窄症、そして、この研究対象の血管における50%以下の狭窄症について、ドプラフローワイヤ(Doppler flow wire)によりCBFvを決定した。研究の被験体は、18μgのAdoを冠動脈内(IC)注射した後に、CBFvのベースラインおよびピークを測定した後に選択した。アデノシンに対する応答において、CBFvのピーク対ベースラインの比が2.5以上であるという研究の基準を満たすと認定された23人の患者に、Regadenosonの急速(10秒以内)末梢IVボーラスを与えた;17人の患者におけるCBFvの増加の時間経過にわたって、ドプラシグナルは安定かつ解釈可能であった。
【0125】
結果
Regadenosonは、CBFvにおける急速な増加を引き起こし、これは、ボーラス開始から30〜40秒でほぼピークに達した。100μg(n=3)、300μg(n=4)および500μg(n=2)の用量のRegadenosonは、3.2±0.6(平均±SD)のピーク対ベースライン比を誘導し、これは、IC Adoにより得られる比(3.2±0.5)と類似していた。CBFv増大(CBFvにおける2倍以上の増加)の持続期間は用量依存であった;300μgにおいて、持続期間は、4.0±4.9分であり、そして、500μgにおいては、6.9±7.6分であった。500μg(n=3)において、HRにおける最大の増加は、18.7±4.0であり、そして、収縮期BPにおける最大減少は、8.7±7.6であった。有害事象(AE)は稀で、これには、悪心、潮紅および頭痛を含んだ;これらは、緩和であり、定型的であった。500μg用量を受けた3人の患者ではAEが見られなかった。
【0126】
結論:
ヒトにおいて、Regadenoson(IVボーラス)後のピークCBFvは、HRもしくはBPのいずれにおいても大きな変化を伴うことなく、IC Ado後のCBFvに似ている。この薬剤の、作用の大きさおよび持続期間、有害事象プロフィールならびにボーラス投与は、Regadenosonを心筋灌流画像化のための有用な薬理学的負荷因子にしている。
【0127】
実施例2
この実施例は、選択的A2AアデノシンレセプターアゴニストであるRegadenosonが投与され得、そして、冠動脈血管拡張薬として有効であり得る投薬量範囲を決定するために行われた研究である。
【0128】
この研究には、臨床適応のある冠状動脈カテーテル法を受けている患者を含め、そして、全冠動脈における70%以下の狭窄症、およびこの研究対象の血管における50%以下の狭窄症について、ドプラフローワイヤによりCBFvを決定した。研究の被験体は、18μgのAdoを冠動脈内(IC)注射した後に、CBFvのベースラインおよびピークを測定した後に選択した。36人の被験体が、アデノシンに対する応答において、CBFvのピーク対ベースラインの比が2.5以上であるという研究の基準を満たすと認定した。
【0129】
Regadenosonを、研究の被験体に対して、10秒以内に、10μg〜500μgの範囲の量でIVボーラスにより投与した。Regadenosonは、A2Aアデノシンレセプターに対して選択的である。
【0130】
両方の化合物の有効性を、冠動脈流速をモニタリングすることにより測定した。モニタリングした他の冠動脈パラメータには、心拍数および血圧を含めた。これらのパラメータは、ピーク用量応答に対する時間、用量応答の大きさ、および用量応答の持続期間を評価するために測定した。有害事象もまたモニタリングした。冠動脈血流速度は、LADまたはLCx血管において測定した。速度の測定は、標準的な心カテーテル法技術に従い、0.014インチのドプラ装置を先端に備えたフローワイヤ(Doppler−tipped Flowire)をLADまたはLCx血管内に挿入し、その後、血流速度をモニタリングすることにより行った。さらに、血流力学的測定および心電図測定を継続して記録した。
【0131】
全体として、36人のヒト被験体(n=36)を評価した。36人のうち、18人は女性で、18人が男性であった。その平均年齢は53.4歳であり、そして、その年齢の範囲は24〜72歳であった。評価した36人の被験体のうち、31人の被験体はLAD血管をモニタリングし、そして、5人の被験体はLCx血管をモニタリングした。以下の用量(μg)のRegadenosonを、被験体に対し、単回のivボーラスで与えた:10(n=4);30(n=6);100(n=4);300(n=7);400(n=9);500(n=6)。
【0132】
この研究結果を、図1〜6において報告する。図1のプロットは、Regadenosonが、10μg程度の少量でピーク流速を増加し、そして、約100μg未満のRegadenosonを投与すると、プラトーピーク速度に到達することを示す。他の試験結果および結論としては以下が挙げられる:
・全ての用量で、約30秒までにピークフローに到達した;
・約100μgを上回る用量においては、ピーク作用は、18μg icのアデノシンと等価であった;
・Regadenosonは一般に、図7として添付した表において報告する有害事象に対し十分に許容された;
・400μgにおいて:
○ベースラインを2.5倍以上上回る冠動脈血竜速度は2.8分間維持された
○心拍数の最大増加(18±8bpm)は、投薬後約1分で生じる
○収縮期BPの最大減少(20±8mmHg)は、投薬後約1分で生じる
○拡張期BPの最大減少(10±5mmHg)は、投薬後約1分で生じる。
【0133】
実施例3
この実施例は、単回のIVボーラス投薬後に、健康な志願者において、(1)Regadenosonの最大耐用量および(2)Regadenosonの薬物動態プロフィールを評価するために行った研究である。
【0134】
方法
この研究は、18歳〜59歳の間で、かつ、理想体重の15%以内の、37人の健康な非喫煙の男性被験体を用いて行った。
【0135】
研究設計
この研究は、第1相の、単一施設での、二重盲検の、無作為化した、プラセボ対照を用いた、クロスオーバーの、上昇する用量の研究において行った。無作為化は、仰臥位および立位の両方において、Regadenosonまたはプラセボに対して行った。
【0136】
Regadenosonは、0.1μg/kg、0.3μg/kg、1.3μg/kg、10μg/kg、20μg/kgおよび30μg/kgの上昇する用量において、IVボーラス(20秒)として投与した。
【0137】
被験体には、1日目に仰臥位にてRegadenosonまたはプラセボのいずれかを与え、その後、2日目に、仰臥位にてクロスオーバーの処置を与えた。3日目には、被験体に、立位にてRegadenosonまたはプラセボを与え、その後、4日目に立位にてクロスオーバーの処置を与えた。
【0138】
評価
患者の安全性を、ECG、検査室の評価、ならびに、生命徴候および有害事象の採集によりモニタリングした。
【0139】
薬物動態:
投薬後0分、1分、2分、3分、4分、5分、7分、10分、15分、20分、30分、45分において、そして、投薬後1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間において、仰臥位期の間に(1日目および2日目)、血漿サンプルを採血した。Regadenosonの排泄について、尿を24時間回収した。
【0140】
薬力学:
・この研究は、立位および仰臥位の両方における用量に対する心拍数変化の関係と、仰臥位における血漿濃度とを評価した。いくつかの研究結果を、図8〜15において報告する。
【0141】
結果
安全性
一般に、有害事象は、Regadenosonの薬理学的作用を反映し、そして、血管拡張または心拍数(HR)の増加と関連していた。全体として、有害事象は長続きせず、そして、その重篤度は低度〜中等度であった。重篤な有害事象はなかった。
【0142】
3つの受賞を、その強度における重篤度として評価した(表1)。
【0143】
【表1】
実測Tmax(1〜4分)を0次注入の持続期間として用いて、3コンパートメントオープンモデルを、データに対して調整した。1〜30μg/kgの用量について、信頼性の高いパラメータの推定値を得た。パラメータを以下にまとめる(表2):
【0144】
【表2】
結果
・全ての用量で、約30秒までにピークフローに到達した;
・約100μgを上回る用量においては、ピーク作用は、18μg icのアデノシンと等価であった;
・Regadenosonは、主としてその薬理学的作用をA2Aアデノシンレセプターアゴニストとして表し、AEに対し十分に許容された。
・Regadenosonに関する平均耐用量は、立位で10μ/kg、仰臥位で20μg/kgであった。
・Regadenosonは、体重により調節される投薬を必要としない。
・血漿濃度変化と心拍数変化との間には、タイムラグは存在しなかった。
・HRの増加と、用量もしくは濃度との間の関係は、S字型のEmaxモデルを用いて適切に説明された。
【0145】
実施例4
Regadenosonは、薬理学的負荷心筋灌流画像化または放射性核種心筋灌流画像化として開発された、新規の選択的A2Aアデノシンレセプターアゴニストである。これまでに、Regadenosonは、覚醒中のイヌにおいて、全末梢抵抗または腎血流のいずれかに有意に影響を与えることなく、冠血管拡張を引き起こすことが示されてきた。この研究の目的は、種々の血管床における血流速度に対する、Regadenosonの示差的な作用を決定することであった。
【0146】
Regadenosonの作用を、麻酔をかけたイヌの、比較可能な直径の左回旋冠動脈(LCX)、脳動脈血管系(BA)、前肢動脈(FA)および肺動脈(PA)における血流速度について研究した。Regadenoson(1.0μg/kg)を静脈内ボーラスとして投与して、血流を一過的に増大させたが、これは部位特異的であった。Regadenosonの作用を、静脈内ドプラトランスデューサを先端に備えたカテーテルを用いて、平均ピーク血流速度(APV)として定量化した。心拍数(HR)および全身の動脈血圧(BP)もまたモニタリングした。
【0147】
APVは、LCX、BA、FAおよびPAにおいて、それぞれ、3.1±0.2倍、1.4±0.1倍、1.2±0.1倍および1.1±0.01倍増加し、LCX>>BA>FA>PAの順の部位−効果ランクを示した(図16)。CVT−3146の血流速度に対する作用は、持続性が短かった;30秒未満でピークに達し、そして、10分未満で消失した。増大した血流速度は、HRにおける小さな一過性の増加(16bpm)と、BPにおける減少(12mmHg)とを伴った。まとめると、この研究は、Regadenosonが、冠血管系に極めて選択的な、強力かつ持続性の短い血管拡張薬であることを実証した。
【0148】
実施例5
本研究は、選択的A2AアデノシンレセプターアゴニストであるRegadenosonが、交感神経の興奮をもたらすかどうかを決定するために行った。
【0149】
CVT(0.31μg/kg〜50μg/kg)を、覚醒しているラットに対し急速i.v.ボーラスとして与え、そして、心拍数(HR)および血圧(BP)をモニタリングした。Regadenosonは、低用量で、BPおよび収縮期圧(SP)の増加をもたらしたが、高用量では、BPおよびSPの減少が存在した。Regadenosonは、HRの用量依存性の増加をもたらした(図17)。HRの増加は、CVTの最低用量において明らかであり、この最低用量において、容易に判断できるBPの減少はなかった。A2AアデノシンレセプターアンタゴニストであるZM241385(30μg/kg、N=5)は、RegadenosonによりもたらされるBPの減少(Regadenoson:14±3%、ZM:1±1%)およびHRの増加(CVT:27±3%、ZM:18±3%)を減じた。βブロッカーであるメトプロロール(MET、1mg/kg、n=5)を用いた前処置は、HRの増加(CVT:27±3%、MET:15±2%)を減じたが、Regadenosonによりもたらされる低血圧に対しては影響がなかった。神経遮断薬であるヘキサメトニウム(HEX、10mg/kg、n=5)の存在下では、頻脈は防止された(CVT:27±3%、HEX:−1±2%)が、BPはさらに減少した(CVT:−11±2%、HEX:−49±5%)。Regadenoson(10μg/kg、n=6)はまた、血漿中のノルエピネフリン(コントロール:146±11ng/ml、Regadenoson 269±22ng/ml)およびエピネフリン(コントロール:25:f:5ng/ml、CVT:I00:f:20ng/ml)のレベルを有意に(p<0.05)増加させた。用量、時間および薬理学的インターベンションによる、HR作用およびBP作用の分離は、Regadenosonによりもたらされる頻脈が、BPの減少とは無関係であるという証拠を提供し、Regadenosonが、A2Aアデノシンレセプターの活性化を介して、交感神経系の直接的な刺激をもたらし得ることを示唆している。
【0150】
実施例6
アデノシン(A)を用いた薬理学的負荷SPECT心筋灌流画像化(MPI)は、十分に容認されている技術であり、その診断および予後の値は優れており、安全性が証明されている。しかし、副作用が一般的であり、そして、AV結節遮断および重篤な潮紅は、許容できない。Regadenosonのような薬剤は、A2Aアデノシンレセプターに対して選択的に作用し、そして、このような有害な反応を防止し得る他のレセプターサブタイプの刺激を回避する。
【0151】
Regadenosonが冠動脈の充血をもたらす能力を決定し、そして、CADを正確に検出するために、35人の被験体(男性26人、女性9人;67±10歳)に、AおよびRegadenosonの両方の負荷/安静時MPIを受けさせた(これらの研究間は、10.0±9.1日であった)。事前のMIは、12人の患者において見られ、そして、その多くが、事前の脈管再生を有した[CABG(n=19)、PCI(n=22)]。Regadenoson[400μg(n=18)、500μg(n=17)]は、IVボーラスとして投与し、その直後に生理食塩水で洗い、次いで、Tc−99m放射性薬品[セスタミビ(sestamibi)(n=34)、テトロホスミン(tetrofosmin)(n=1)]を投与した。SPECT画像を均一に処理し、コントロール研究(正常および固定のみ(fixed−only)の欠如)と混合し、そして、17セグメントのモデルを用いた盲検様式で3人の観察者により解釈させた。4D MSPECTを用いた定量的解析もまた行った。3人の別々の読み取りに加え、合意による解釈を行い、次いで、1研究につき5の領域を用いて、AおよびRegadenosonの画像の直接的な同一スクリーンでの比較を行い、相対的な差を決定した。
【0152】
負荷後の合計スコアは、視覚的な解析法(A=13.9±1.5、Regadenoson=13.2±1.3;p=n.s.)および定量的な解析法(A=13.7±1.5、Regadenoson=13.6±1.6;p=n.s.)の両方で、同様であった。同様に、合計安静時(summed rest)スコアと合計差異(summed difference)スコアとの間の比較も同一であった。この直接比較はまた、虚血の検出において差がないことを明らかにし、虚血の程度および重篤度に対する部分的な一致は、それぞれ、86.3%および83.4%であった。虚血の検出に対するRegadenosonの用量依存性の作用は示されなかった。この研究の結論は、理論上単回のボーラス注射により投与されたRegadenosonが、1回のA注入で示されるものと同様の、SPECT MPIを用いて心筋虚血を検出および定量する能力を提供するということである。
【0153】
実施例7
Regadenosonは、冠動脈の充血と、冠動脈の血管拡張に関与しないレセプターサブタイプの制限された刺激に起因した潜在的に少ない有害作用とをもたらす、選択的A2Aアデノシンレセプターアゴニストである。この研究は、薬理学的負荷因子としてのRegadenosonの有効性を評価した。
【0154】
36人の被験体(男性27人、女性9人;67±10歳)を、薬理学的負荷心筋灌流画像化プロトコールの一部として、IVボーラスとして投与される2用量のRegadenoson[400μg(n=18)、500μg(n=18)]を用いて研究した。
【0155】
有害作用(AE)は、胸部の不快感(33%)、頭痛(25%)および腹痛(11%)を含め、26人の患者(72%)において生じ、両方の用量についての発生率は同様であった。潮紅、呼吸困難および眩暈感は、400μgの群(それぞれ、17%、17%および11%)よりも、500μgの群(それぞれ、44%、44%および28%)においてより頻繁であった。多くのAEは、低度〜中等度であり(96%)、そして、処置を無くしてから15分以内に解消された(91%)。入院を必要とする、偏頭痛の悪化を伴う1つの重篤なAEが生じた。ST波およびT波の異常が、それぞれ、7人および5人の患者において、Regadenosonにより生じた。第二または第三段階のAV遮断は示されず、そして、重篤な不整脈は起こらなかった。ピーク血流力学作用を表3に示し、これは、収縮期血圧(BP)について4分の時点、拡張期BPについて8分の時点、そして、心拍数(HR)について2分以内に示されたものである。BPに対する作用は最小であり、そして、収縮期BPは、いずれの用量でも、90mmHgを下回らなかった。HR応答における平均的な変化は、400μg(34.8%;p=n.s.)よりも、500μgの用量(44.2%)の方が大きかった。Regadenoson投与から30分後に、BP変化は、ベースラインから<2%逸れたが、HRは、ベースラインを8.6%上回ったままであった。
【0156】
この研究の結果は、Regadenosonが、十分に許容され、そして、容認可能な血流力学作用を有することを示す。最小限の差異が、400μgの用量と500μgの用量との間で、BPおよびHRの応答において認められたが、AEは、より高い用量においてより頻繁であった。Regadenosonは、安全であり、かつ、ボーラスにより媒介される薬理学的負荷灌流画像化に対して十分に許容されるようである。
血流力学の変化(平均±S.D.)
表3
絶対変化 相対変化
心拍数 毎分+21.9±10.4拍 +36.7%+21.0%
収縮期BP −5.9±10.7mmHg −4.1%± 7.6%
拡張期BP −5.4± 7.2mmHg −7.9%±10.5%。
【0157】
実施例8
この研究では、覚醒しているイヌの種々の血管床において、Regadenosonの血管拡張作用を、ADOの作用と比較した。イヌには、冠動脈(CBF)、腸間膜(MBF)、後肢(LBF)および腎臓(RBF)の血管床における血流の測定、ならびに、血流力学の測定のために、継続的に器具を取り付けた。Regadenoson(0.1〜2.5μg/kg)およびADO(10〜250μg/kg)のボーラス注射(iv)は、CBF(35±6%から205±23%、および58±13%から163±16%)およびMBF(18±4%から88±14%、および36±8%から84±5%)において有意な増加をもたらした。
【0158】
この研究の結果は、Regadenosonが、ADOと比較して、より強力かつより長く持続する冠血管拡張薬である(ベースラインを2倍上回るCBFに対する持続期間;Regadenoson(2.5μg/kg):130±19s;ADO(250μg/kg):16±3s、P<0.5)ことを実証する。図18(平均±SE)に示されるように、Regadenosonは、LBFにおいて、ADOよりも小さな増加をもたらした。ADOは、用量依存性の腎臓血管収縮をもたらした(RBF −46±7%から−85±4%)が、一方で、Regadenosonは、RBFに対して、全くもしくはほとんど作用がなかった(−5±2%から−11±4%、P<0.05、ADOに対する比較)。まとめると、Regadenosonは、ADOよりも選択的かつ強力な冠血管拡張薬である。Regadenosonは、覚醒しているイヌにおける腎血流に対し、有意な作用を有さない。Regadenosonのこれらの特徴は、Regadenosonを、放射性核種心筋灌流画像化に対する理想の候補にする。
【0159】
実施例9
低度または中等度の喘息を有するAMP感受性の被験体において、肺機能に対するRegadenosonの作用を評価するための、無作為化した、二重盲検の、プラセボ対照を用いた、クロスオーバーの研究
この研究は、冠動脈疾患の検出において心筋灌流画像化に使用される用量(400μg)におけるRegadenosonが、スクリーニング時に標準的なAMPチャレンジを用いた際に1秒間の努力呼気量(FEV1)の少なくとも20%の減少を示した、低度もしくは中等度の喘息を有する被験体において、気管支収縮応答を惹起したかどうかを評価するように設計した、二重盲検の、第2相の、クロスオーバー研究であった。
【0160】
主な目的は、400μgのRegadenosonもしくはマッチさせたプラセボの静脈内(iv)ボーラス後2時間以内の、FEV1における>15%のベースラインからの減少として規定される気管支収縮反応の発生を比較することであった。
【0161】
臨床上の病歴および肺機能検査により実証されるような低度もしくは中等度の喘息の診断を有する年齢18歳以上の男性もしくは女性を含めることについて考察した。標的は、登録された48人の評価可能な被験体(24人は低度、24人は中等度の喘息被験体)であった。低度の喘息被験体は、スクリーニングのための診察の前8週間以内にコルチコステロイド(吸入または経口)を受けてはならず、なおかつ、スクリーニング時に、予測値の80%以上のFEV1を有していなければならない。中等度の喘息被験体は、コルチコステロイドを受けていてもよく、なおかつ、スクリーニング時に、予測値の60%〜80%のFEV1を有していなければならない。患者は、AMP、Regadenosonまたはプラセボの前、6時間以内の短時間作用型の気管支拡張薬、そして、24時間以内の長時間作用型の気管支拡張薬およびメチルキサンチンを許容されなかった。
【0162】
24人の低度の喘息被験体が研究を完了した時点で、中等度の喘息被験体の登録を開始する前に、所定の臨床基準に基づいて、個々に安全性の再検討を行った。
【0163】
AMPチャレンジ
AMP(アデノシン5’−一リン酸ナトリウム塩)を、間接的な気管支収縮刺激薬として用いて、アデノシン媒介性の気管支過反応性を持つ敏感な被験体の群を選択した。気道における気管支収縮応答を引き起こす目的で、調査現場によりAMPの吸入に利用された標準的な臨床プロトコールを、全被験体のスクリーニングに適合させた。ユニットに到着すると、被験体は、ベースラインにおける肺機能の評価前に15分間の安静を必要とされ、このベースラインにおける評価は、1分間隔で行うFEV1の3つの技術的に容認可能なFEV1の記録のうち最良のものとして測定した。被験体には、コントロールとして、連続5回の生理食塩水の呼気を吸入させ、その後、3分間隔で、各々増加する濃度の呼気を吸入させた。FEV1の2回の測定を、各生理食塩水の吸入から90秒後および150秒後に行った。最高のFEV1値を記録した。FEV1のベースライン値からの>10%の減少が観察されない限り、これらの被験体に、次いで、FEV1の生理食塩水後の値からの≧20%の減少が記録されるまで、倍増する濃度のAMP(0.39mg/mLから開始)を吸入させた。FEV1を、各濃度を投与してから90秒後および150秒後に記録した。被験体は、<400mg/mLのAMPに対してPC20を示した場合、適格とした。
【0164】
薬物投与
被験体には、二重盲検のクロスオーバー設計において、400μgのRegadenosonまたはプラセボを1回の静脈内(iv)ボーラスとして投与した。気管支収縮の評価としてのFEV1の反復測定を、研究薬物の投与前と、投与から2時間後までに行った。
【0165】
結果
患者の平均年齢(±SD)は、27±6歳であり、そして、65%が男性であった。低度(n=24)および中等度(n=24)の群における平均ベースラインFEV1は、それぞれ、3.88±0.81Lおよび2.77±0.64Lであった。
【0166】
低度の喘息を持つ被験体は、プラセボまたはRegadenoson後に気管支収縮を起こさなかった。合計4人の中等度の喘息被験体は、気管支収縮反応を起こした。プラセボ(n=2)またはRegadenoson(n=2)を受けている間の、気管支収縮を有した中等度の喘息被験体の数には、統計的有意差は存在しなかった(p=0.99)。これらの4人の被験体には、クロスオーバーアームにおける処置の後、7〜12%の範囲のFEV1の減少を有し、これらは、臨床的に有意とはみなされなかった。これらの患者のうち、重篤な有害事象または肺の有害事象を経験した者、また、早期に研究から外された者はいなかった。FEV1における最大の減少(36%)は、Regadenosonから90分後に1人の患者において生じた。
【0167】
ベースラインFEV1に対するボーラス後FEV1の比を、研究薬物の投与後の7つの時点の各々について計算した。さらに、ベースラインFEV1に対する最低ボーラス後FEV1の比もまた評価した。これらのパラメータにおいて、regadenosonとプラセボとの間には、臨床上有意な差はなかった(図19を参照のこと)。
【0168】
追跡の身体検査において(2時間)、患者に異常は見られなかった。プラセボと比較して、Regadenoson後に、より多くの有害な事象が生じた(98%対8%)。最も一般的な有害事象には、頻脈(66%)、眩暈感(53%)、頭痛(45%)、呼吸困難(34%)、潮紅(32%)、胸部の不快感(21%)、悪心(19%)、および感覚異常(19%)が含まれた。
【0169】
Regadenosonは、プラセボ処置と比較して、HRを有意に増加させた(最大±10.4bpm)。この増加は、regadenosonを投薬してから30分後および60分後に依然として明白であった。HRは、regadenoson後60分で、ベースラインから5bpm以内に戻った(図20を参照のこと)。
【0170】
結論
1人の患者がRegadenoson投与後に、実質的なFEV1の減少(−36%)を有したが、敏感な喘息患者における平均FEV1または気管支収縮反応の徴候において、Regadenosonとプラセボとの間には明らかな差はなかった。Regadenosonに伴う心拍数および有害事象の有意な増加は、その薬理学的作用と一致していた。
【0171】
実施例10
背景:
その非選択的なアドレナリン作用性受容体アゴニスト活性に起因して、アデノシン(ADO)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する患者において、心受容体症候群を悪化させ得る。Regadenosonは、冠循環においてA2Aアデノシンレセプターを選択的に活性化するので、ADOと比較して、COPD患者においてより良く許容され得るという仮説が立てられた。
【0172】
方法および結果:
COPD患者を、ADOとREGとの間の可逆的な心臓の欠陥について適合する強度を検査するように設計された、無作為化した、三重盲検の、プラセボ対照を用いた、多施設での2つの第3相研究(N=2015)から選択した。ADO群には35人の患者が、そしてRegadenoson群には69人の患者がいた。年齢および性別は、ADO群(68±11歳;77%が男性)とRegadenoson群(68±11歳;81%が男性)との間で、同様であった。ADO群において、35人の患者のうち5人(14%)が心臓の症状を罹患しているのに対し、Regadenoson群では、69人中3人(4%)が心臓の症状を罹患していた(p=0.12);ADO群において35人中14人(40%)で呼吸器の症状を報告されたのに対し、Regadenoson群では、69人中20人(29%)で呼吸器の症状が報告された(p=0.28)。アンギナ、第二段階のAV遮断の発生、急性肺浮腫およびロンチ症(ronchi)は、ADO群において多かった;悪心、GIの不快感および頭痛は、Regadenoson群においてより頻繁に起こった。
【0173】
結論:
ADOと比較して、COPDを有する患者は、Regadenosonの投与後に、心臓−肺の副作用を有することがより少ないようであった。したがって、Regadenosonは、この研究において、COPDを有する患者における負荷因子として使用した場合に、より望ましい安全性プロフィールを実証した。
【0174】
実施例11
背景:
反応性気道疾患を有する患者は、A2Bおよび/またはA3アデノシンレセプターを介して媒介されるアデノシンにより誘導された気管支収縮に対する危険性がある。以下の研究は、心筋灌流のために開発された薬剤であるregadenoson(REG)が、選択的A2Aアデノシンレセプターアゴニストであるということに起因して、敏感な患者において気管支痙攣を誘発するかしないかを評価する。
【0175】
方法:
2つの同様な、無作為化した、二重盲検の、プラセボ(PLC)対照を用いたクロスオーバー治験を行い、一方は、正のアデノシン一リン酸(AMP)チャレンジ(気道炎症の実証されたマーカー)を受けた喘息患者においてであり、そして、もう一方は、中等度もしくは重篤な慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する患者においてであった。両方の研究において、短時間作用型の気管支拡張薬は、研究薬物処置の前、そして、処置後の120分の時間枠の間に維持し、この間に、肺活量測定を繰り返し評価した。
【0176】
結果:
喘息およびCOPDの研究患者の平均年齢およびベースラインFEV1値は、それぞれ、26(6)歳および67(11.9)歳、ならびに、3.33(0.91)Lおよび1.58(0.57)Lであった。REG後の有害事象の種類は、2つの治験において全体的に同様であった。いずれかの研究においてもREG後に被験体の>10%で生じた事象は以下の通りであった:頻脈、眩暈感、頭痛、呼吸困難、潮紅、胸部の不快感、知覚異常(parasthesia)および悪心。REG処置後、共通して呼吸困難が起こった(喘息の研究およびCOPDの研究において、それぞれ、34%および61%)が、これは、いずれの研究においても、FEV1と相関しなかった。さらなるデータについては、以下の表4を参照のこと。
【0177】
【表4】
結論:
反応性気道を有する敏感な患者の2つの対照を用いた治験における、多数の肺評価の全体を通じて、REGとPLCとの間には、実証可能な差はほとんどなかった。
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年9月29日に出願された米国仮特許出願第60/848,294号および2007年2月13日に出願された米国仮特許出願第60/889,717号に対する優先権を主張し、これらの仮出願の全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴を有するヒト患者における心筋画像化法に関し、この方法は、心筋画像化を受けている哺乳動物に対し1以上のA2Aアデノシンレセプターアゴニストの用量を投与する工程、ならびに、心筋機能不全を検出および/または診断する工程を包含する。
【背景技術】
【0003】
背景
心筋灌流画像化(MPI)は、冠動脈疾患の検出および特徴づけに有用な診断技術である。灌流画像化は、血流が不十分な領域を同定するために放射性核種のような物質を使用する。MPIにおいて、血流は安静時に測定され、そして、その結果が、トレッドミル上での運動(このような激しい活動は、血流を刺激するに十分である)(心負荷試験)の間に測定された血流と比較される。不都合なことに、多くの患者は、末梢血管疾患、関節炎、肺障害などのような医学的状態に起因して、十分な血流を提供するに必要なレベルの運動ができない。
【0004】
したがって、短時間にわたり冠血流(CBF)を増加させる薬理学的因子、特に、末梢における血管拡張を引き起こさないか、または、肺の負荷因子として作用しないものが非常に有益である。いくつかの異なるタイプの血管拡張薬が、現在、灌流画像化における使用について知られている。ジピリダモールは、1つのこのような有効な血管拡張薬であるが、疼痛および悪心のような副作用が、この化合物を用いた処置の有用性を制限している。
【0005】
別の現在市販されている血管拡張薬は、AdenoScan(登録商標)(Astellas Pharma US,Inc.)であり、これは、天然に存在するアデノシンの処方物である。天然に存在するヌクレオシドであるアデノシン(ADO)は、サブタイプA1、A2A、A2BおよびA3として特徴付けられるアデノシンレセプターファミリーと相互作用することによってその生物学的作用を発揮する。不都合なことに、アデノシンの使用は、紅潮、胸部の不快感、深呼吸への衝動、頭痛、咽頭、首および顎の痛みのような副作用に起因して制限される。アデノシンのこれらの有害な影響は、アデノシンの血管拡張作用を媒介するA2Aに加えて他のアデノシンレセプターサブタイプを活性化することに起因するものである。さらに、アデノシンの短い半減期は、処置の間に4〜6分間の連続注入を必要とし、その使用をさらに制限している。
【0006】
アデノシン投与に伴う別の副作用は、喘息患者における気管支収縮である。気管支収縮は、肥満細胞上のアデノシンA3レセプターの活性化に関連している(非特許文献1を参照のこと)。さらに、アデノシンは、特許文献1において、喘息惹起因子として記載されている。したがって、アデノシンおよびアデノシン放出因子の副作用は、実質的に、種々のアデノシンレセプターサブタイプの非選択的な刺激に起因するものである。
【0007】
A2Aアデノシンレセプターに対する他の強力かつ選択的なアゴニストが公知である。例えば、MRE−0470(Medco、WRC−0470またはビンドデノソン(bindodenoson)としても知られる)は、A2Aアデノシンレセプターアゴニストであり、アデノシンの強力かつ選択的な誘導体である。A2Aアデノシンレセプターに対する高い親和性を有し、結果として、作用の持続期間が長いこの化合物は、最近、喘息または気管支痙攣の病歴を有する患者における心筋灌流画像化において有用であることが示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,248,723号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0159621号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Linden,Trends.Pharmacol.Sci.15:298−306(1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、対応する末梢の血管拡張を引き起こすことも、肺炎を誘発することもなく、哺乳動物において迅速かつ最大の冠血管拡張を生じる方法が依然として必要とされており、この方法は、放射性核種剤を用いた心筋画像化に有用である。好ましい化合物は、A2Aアデノシンレセプターに選択的であり、そして、作用の持続期間が短い(が、アデノシンのような化合物よりも長く作用し)、したがって、連続注入の必要性を除く。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
以下は本発明の局面である。
【0012】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化(myocardial stress perfusion imaging)の間に心筋機能不全を診断する方法であって、少なくとも10μgの少なくとも1種のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【0013】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、少なくとも約1000μgのA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【0014】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【0015】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、単一用量で投与される、方法。
【0016】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、ivボーラスで投与される、方法。
【0017】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約10秒以内で投与される、方法。
【0018】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約10μgより多い量で投与される、方法。
【0019】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により油初させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約100μgより多い量で投与される、方法。
【0020】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約600μgより少ない量で投与される、方法。
【0021】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約500μgより少ない量で投与される、方法。
【0022】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、約100μg〜約500μgの範囲の量で投与される、方法。
【0023】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、CVT−3033、Regadenosonおよびこれらの組合せからなる群より選択される、方法。
【0024】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、放射性核種およびA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与後に、心筋層が血流が不十分な領域について検査される、方法。
【0025】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、心筋層は、放射性核種およびA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与後に、血流が不十分な領域について検査され、この心筋層の検査は、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを投与された時点から約1分以内に始まる、方法。
【0026】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与は、冠血流の少なくとも2.5倍の増加をもたらす、方法。
【0027】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与は、冠血流の少なくとも2.5倍の増加をもたらし、これが、この冠血流の増加が、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与から約1分以内に達成される、方法。
【0028】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、放射性核種とA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとが、別々に投与される、方法。
【0029】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、放射性核種とA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとが、同時に投与される、方法、
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与が、冠血流の約5分未満の少なくとも2.5倍の増加をもたらす、方法。
【0030】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、放射性核種と約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与が、冠血流の約3分未満の少なくとも2.5倍の増加をもたらす、方法。
【0031】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、約10μg〜約600μgの範囲の量のRegadenosonを単回ivボーラスで投与する工程を包含する、方法。
【0032】
例えば、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴または診断を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に心筋機能不全を診断する方法であって、約100μg〜約500μgの範囲の量のRegadenosonを単回ivボーラスで投与する工程を包含する、方法。
【0033】
上記方法の全てにおいて、用量は、代表的には、単回ivボーラスで投与される。
【0034】
上記方法の全てにおいて、少なくとも1種の放射性核種は、心筋画像化を促進するために、A2Aアデノシンレセプターアゴニスト投与の前、投与と同時または投与後に投与される。
【0035】
上記方法の全てにおいて、心筋機能不全としては、冠動脈疾患、冠動脈拡張、心室機能不全、疾患を有さない冠血管を通る血流と狭窄した血管を通る血流との差、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
上記方法の全てにおいて、心負荷灌流画像化法は、非侵襲性の画像化手法である。画像化は、シンチグラフィ、シングルフォトンエミッションCT(SPECT)、陽電子断層撮影法(PET)、核磁気共鳴(NMR)画像化、灌流超音波造影心エコー検査、デジタルサブトラクションアンギオグラフィ(DSA)および超高速X線CT(CINE CT)ならびにこれらの技術の組合せを含む方法によって行われ得る。
【0037】
心負荷灌流画像化法の特定の実施形態において、心筋機能不全を検出する工程は、ヒト患者の冠血流速度を測定して、罹病冠血管の血管拡張能力(vasodilatory capacity)を、疾患を有さない冠血管と比較して評価する工程を包含する。
【0038】
心負荷灌流画像化法の他の実施形態において、心筋機能不全を検出する工程は、罹病冠血管の血管拡張能力(予備能力(reserve capacity))を、疾患を有さない冠血管と比較して評価する工程を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、18μgアデノシンのICボーラス投与(上)および30μgのRegadenosonのIVボーラス投与後の冠動脈内ドプラフロープロフィール(intracoronary Doppler flow profile)である。
【図2】図2は、冠動脈の最大流速に対するRegadenoson用量の関係性を示すプロットである。
【図3】図3は、種々の用量のRegadenosonについて、冠動脈流速が、ベースラインの冠動脈流速の2.5倍以上となる持続時間を報告する表であり、ここで、「n」は、投薬したヒト患者の数を指す。
【図4】図4は、400μgのRegadenosonのIVボーラスを受けたヒト患者についての平均最大速度(APV)比の時間経過のプロットである。
【図5】図5は、400μgのRegadenosonのIVボーラスを受けたヒト患者についての心拍数の時間経過のプロットである。
【図6】図6は、400μgのRegadenosonのIVボーラスを受けたヒト患者についての血圧の時間経過である。
【図7】図7は、有害事象の表である。
【図8】図8は、仰臥位の健康な志願者男性における平均Regadenoson血漿濃度の経時変化のプロットである。種々の曲線は、患者に投与された種々の量のRegadenosonに関連付けられる。
【図9】図9および10は、Regadenosonの種々のボーラス投薬レベルについての、立位または仰臥位のいずれかの、健康な志願者男性における心拍数の平均経時変化のプロットである。
【図10】図9および10は、Regadenosonの種々のボーラス投薬レベルについての、立位または仰臥位のいずれかの、健康な志願者男性における心拍数の平均経時変化のプロットである。
【図11】図11は、立位または仰臥位のヒト男性患者に投与されたRegadenosonの総用量との関係における心拍数の最大変化のプロットである。プロットにおいて、用語「Obs」は、実測のデータ点を指し、一方で、「fit」は、実測のデータ点に対して調整された曲線を指す。
【図12】図12は、立位または仰臥位のヒト被験体に投与されたRegadenosonの総用量との関係における、心拍数−ベースラインからの(曲線下面積)AUC(0〜15分)の変化のプロットである。
【図13】図13は、仰臥位の被験体についての、Regadenosonの最大血漿濃度におけるベースライン心拍数からの最大変化のプロットである。
【図14】図14は、仰臥位の患者についての、心拍数−血漿AUC(0〜15分)に対するベースラインからの(曲線下面積−時間v.効果)AUCE(0〜15分)の変化のプロットである。
【図15】図15は、20μg/kgのRegadenoson用量についての、経時的な、平均血漿濃度の時間プロフィールに対するベースラインからの平均心拍数変化のプロットである。
【図16】図16は、肺動脈(PA)、前肢動脈(FA)、脳動脈血管系(BA)および左回旋冠動脈(LCX)において測定した、Regadenoson投与後の経時的な平均最大血流速度のプロットである。
【図17】図17は、種々の用量のRegadenosonについての、心拍数(HR)および血圧(BP)の%変化のプロットである。
【図18】図18は、イヌを覚醒させるために増加する量のADOまたはRegadenosonを投与した際の、LBFおよびRBFの血流における変化のプロットである。
【図19】図19は、研究中の全ての患者についての、経時的な(ボーラス後の分数)ボーラス後FEV1のベースラインからの%変化を示す線グラフである。
【図20】図20は、経時的な(ボーラス後の分数)ベースライン心拍数(bpm)からの平均変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(発明の説明)
強力なA2Aアデノシン部分アゴニストは、造影剤の投薬前または造影剤と同時のいずれかで加えられたときに、心画像化の補助薬として有用である。適切な造影剤としては、201タリウムまたは99mテクネチウム−Sestamibi、99mTcテボロキシム(teboroxime)および99mTc(III)が挙げられる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、心筋機能不全は、心筋灌流画像化によって検出される。画像化は、シンチグラフィ、シングルフォトンエミッションCT(SPECT)、陽電子断層撮影法(PET)、核磁気共鳴(NMR)画像化、灌流超音波造影心エコー検査、デジタルサブトラクションアンギオグラフィ(DSA)および超高速X線CT(CINE CT)、ならびにこれらの技術の組合せを含む方法によって行われ得る。
【0042】
組成物は、経口、静脈内(iv)、皮膚を通して、または、当該分野で公知の治療因子を投与するための任意の他の手段によって投与され得るが、ボーラスiv投与が好ましい。
【0043】
冠血流(CBF)を増加させるが、末梢血流を有意には増加させない新規かつ強力なA2Aアデノシン部分アゴニストが同定されている。A2Aアデノシン部分アゴニスト、特に、RegadenosonおよびCVT−3033は、投与された際に、作用の開始が急速でありかつ持続期間が短い。これらの新規化合物の予期しない新たに確認された利点は、これらが、喘息、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺炎または肺高血圧症のような肺疾患の病歴を有するヒト患者に対して、非常に少量で、単回のボーラス静脈内(iv)注射で投与されたときに有用である、ということである。A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストは、10μgほど少ない量から600μg以上の多い量で投与され得、依然として有効であり得、副作用があったとしてもわずかである。最適な静脈内用量は、薬100μg〜約500μgの少なくとも1種のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを含む。この量は、代表的に約140μg/kg/分の速度でiv注入にて連続して投与されるアデノシンと比較して、予想外に低いものである。アデノシンとは異なり、患者の体重とは無関係に、同じ投薬量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニスト、特に、RegadenosonおよびCVT−3033がヒト患者に対して投与され得る。したがって、心筋画像化のためのivボーラスによる単回一定量のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与は、アデノシンの時間および体重に依存した投与よりも、劇的に単純であり、かつ、失敗する傾向が少ない。
【0044】
本発明の化合物および/またはその誘導体を含む薬学的組成物は、非経口投与のために溶液または凍結乾燥粉末として処方され得る。粉末は、使用前に、適切な希釈剤または他の薬学的に受容可能なキャリアを加えることによって再構成され得る。液体形態で使用される場合、本発明の組成物は、好ましくは、緩衝化された等張の水溶液中に組み込まれる。適切な希釈剤の例は、通常の等張生理食塩水溶液、標準5%のデキストロース水溶液、および、酢酸ナトリウムもしくは酢酸アンモニウム緩衝液である。このような液体処方物は、非経口投与には適切であるが、経口投与にも使用され得る。本発明の化合物を含む薬学的組成物に、ポリビニルピロリジノン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、マンニトール、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムのような賦形剤、または、当業者に公知の任意の他の賦形剤を加えることが望ましくあり得る。さらなる組成物は、米国特許出願公開第2005/0020915号において見出され得、この出願明細書は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0045】
本発明の方法において有用なA2Aアデノシンレセプターに対する強力かつ選択的なアゴニストである化合物の第1の分類は、以下の式:
【0046】
【化1】
を持つ2−アデノシン N−ピラゾール化合物であり、上記式において、
R1は、CH2OH、−CONR5R6であり;
R2およびR4は、H、C1−6アルキルおよびアリールからなる群より選択され、このアルキルおよびアリール置換基は、ハロ、CN、CF3、OR20およびN(R20)2で必要に応じて置換されるが、但し、R2が水素でない場合はR4が水素であり、そして、R4が水素でない場合はR2が水素であり;
R3は、独立して、C1−15アルキル、ハロ、NO2、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2、−CONR7R8、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アルキル、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、この任意の置換ヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CNまたはOR20で必要に応じて置換され;
R5およびR6は、各々が独立して、HおよびC1−C15アルキルから選択され、このC1−C15アルキルは、ハロ、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で必要に応じて置換され、この任意の置換ヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基の各々は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミド、ヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CN,およびOR20で必要に応じて置換され;
R7およびR8は、各々が独立して、水素、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、この任意の置換ヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基の各々は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CNおよびOR20で必要に応じて置換され;
R20は、H、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アキル、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、CN、O−C1−6アルキル、CF3、アリールおよびヘテロアリールより独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され;そして
R22は、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アルキル、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、CN、O−C1−6アルキル、CF3、アリールおよびヘテロアリールより独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換される。
【0047】
本発明の化合物の関連するグループにおいて、
R3は、C1−15アルキル、ハロ、CF3、CN、OR20、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、COR20、CO2R20、−CONR7R8、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アリールおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、COR20、CO2R20またはCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のヘテロアリールおよびアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3、CNおよびOR20で必要に応じて置換され;
R5およびR6は、独立して、Hおよび1個の任意のアリール置換基を含むC1−C15アルキルからなる群より選択され、そして、この任意のアリール置換基の各々は、ハロまたはCF3で必要に応じて置換され;
R7は、C1−15アルキル、C2−15アルキニル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のヘテロアリールおよびアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3、CNまたはOR20で必要に応じて置換され;
R8は、水素およびC1−15アルキルからなる群より選択され;
R20は、H、C1−4アルキルおよびアリールからなる群より選択され、ここで、アルキルおよびアリール置換基は、1個のアルキル置換基で必要に応じて置換され;そして
R22は、C1−4アルキルおよびアリールからなる群より選択され、ここで、このアルキルおよびアリールは、各々が、1〜3個のアルキル基で必要に応じて置換される。
【0048】
化合物のなお別の関連する分類において、
R1はCH2OHであり;
R3は、CO2R20、−CONR7R8およびアリールからなる群より選択され、このアリール置換基は、ハロ、C1−6アルキル、CF3およびOR20からなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で必要に応じて置換され;
R7は、水素、C1−8アルキルおよびアリールからなる群より選択され、このアルキルおよびアリール置換基は、ハロ、アリール、CF3、CN、OR20からなる群より選択される1個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3、CNおよびOR20で必要に応じて置換され;
R8は、水素およびC1−8アルキルからなる群より選択され;そして
R20は、水素およびC1−4アルキルより選択される。
【0049】
本発明の化合物のさらに別の関連する分類において、
R1はCH2OHであり;
R3は、CO2R20、−CONR7R8、ならびに、ハロ、C1−3アルキルおよびOR20からなる群より選択される1個の置換基で必要に応じて置換されたアリール、からなる群より選択され;
R7は、水素およびC1−3アルキルより選択され;
R8は水素であり;そして
R20は、水素およびC1−4アルキルより選択される。
【0050】
この好ましい実施形態において、R3は、最も好ましくは、−CO2Etおよび−CONHEtから選択される。
【0051】
化合物のなお別の関連する分類において、
R1は、−CONHEtであり、
R3は、CO2R20、−CONR7R8およびアリールからなる群より選択され、このアリールは、ハロ、C1−3アルキル、CF3またはOR20からなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で必要に応じて置換され;
R7は、水素およびC1−8アルキルからなる群より選択され、このアルキルは、ハロ、CF3、CNもしくはOR20からなる群より選択される1個の置換基で必要に応じて置換され;
R8は、水素およびC1−3アルキルからなる群より選択され;そして
R20は、水素およびC1−4アルキルからなる群より選択される。
【0052】
このより好ましい実施形態において、R8は好ましくは水素であり、R7は好ましくは、水素およびC1−3からなる群より選択され、そして、R20は好ましくは水素およびC1−4アルキルからなる群より選択される。
【0053】
特定の有用な化合物は以下から選択される:
1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−カルボン酸エチル、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[4−(4−クロロフェニル)ピラゾリル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[4−(4−メトキシフェニル)ピラゾリル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[4−(4−メチルフェニル)ピラゾリル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−メチルカルボキサミド、
1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−カルボン酸、
(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N,N−ジメチルカルボキサミド、
(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−エチルカルボキサミド、
1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−カルボキサミド、
1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−(シクロペンチルメチル)カルボキサミド、
(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−[(4−クロロフェニル)メチル]カルボキサミド、
2−[(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)カルボニルアミノ]酢酸エチルおよびこれらの混合物。
【0054】
本発明の方法において有用なA2Aアデノシンレセプターに対する強力かつ選択的なアゴニストである化合物の第2の分類は、以下の式:
【0055】
【化2】
を持つ2−アデノシン C−ピラゾール化合物であり、上記式において、
R1は先に定義したとおりであり;
R2’は、水素、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、このアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20,およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基の各々は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CNまたはOR20で必要に応じて置換され;
R3’、R4’は、独立して、水素、C1−15アルキル、C2−15アルケニル、C2−15アルキニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール、ハロ、NO2、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より選択され、このアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール置換基は、ハロ、NO2、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、CF3、CN、OR20、SR20、N(R20)2、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、SO2NR20COR22、SO2NR20CO2R22、SO2NR20CON(R20)2、N(R20)2NR20COR22、NR20CO2R22、NR20CON(R20)2、NR20C(NR20)NHR23、COR20、CO2R20、CON(R20)2、CONR20SO2R22、NR20SO2R22、SO2NR20CO2R22、OCONR20SO2R22、OC(O)R20、C(O)OCH2OC(O)R20およびOCON(R20)2からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され、そして、この任意のヘテロアリール、アリールおよびヘテロシクリル置換基の各々は、ハロ、NO2、アルキル、CF3、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アルキルまたはアリールまたはヘテロアリールアミド、NCOR22、NR20SO2R22、COR20、CO2R20、CON(R20)2、NR20CON(R20)2、OC(O)R20、OC(O)N(R20)2、SR20、S(O)R22、SO2R22、SO2N(R20)2、CN,またはOR20で必要に応じて置換され;そして
R5、R6、R20およびR22もまた先に定義されたとおりであり、
但し、R1がCH2OHである場合、R3’はHであり、R4’はHであり、ピラゾール環がC4’を介して結合され、そして、R2’はHではない。
【0056】
以下の式:
【0057】
【化3】
のうちの1つを有する化合物が選択される場合、R1は−CH2OHであり;R2’は、水素、C1−8アルキルからなる群より選択され、このアルキルは、アリール、CF3、CNからなる群より選択される1個の置換基で必要に応じて置換され、そして、この任意のアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3またはCNで必要に応じて置換され;そしてR3’およびR4’は、各々が独立して、水素、メチルからなる群より選択され、より好ましくは、R3’およびR4’は各々が水素であることが好ましい。
【0058】
本発明の化合物が以下の式:
【0059】
【化4】
を有する場合、R1は−CH2OHであり;R2’は、水素、および必要に応じてフェニルで置換されたC1−6アルキルからなる群より選択されることが好ましい。より好ましくは、R2’は、ベンジルおよびペンチルより選択され;R3’は、水素、C1−6アルキル、アリールからなる群より選択され、このアルキルおよびアリール置換基は、ハロ、アリール、CF3、CNからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で必要に応じて置換され、そして、任意のアリール置換基の各々は、ハロ、アルキル、CF3またはCNで必要に応じて置換され;そしてR4’は、水素およびC1−6アルキルからなる群より選択され、そしてより好ましくは、R4’は、水素およびメチルより選択される。
【0060】
化合物のより特定の分類は、以下からなる群より選択される:
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−ベンジルピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−[6−アミノ−2−(1−ペンチルピラゾール−4−イル)プリン−9−イル]−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−[6−アミノ−2−(1−メチルピラゾール−4−イル)プリン−9−イル]−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(メチルエチル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(3−フェニルプロピル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(4−t−ブチルベンジル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−(6−アミノ−2−ピラゾール−4−イルプリン−9−イル)−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−ペンタ−4−エニルピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−デシルピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(シクロヘキシルメチル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(2−フェニルエチル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(3−シクロヘキシルプロピル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオール、
(4S,2R,3R,5R)−2−{6−アミノ−2−[1−(2−シクロヘキシルエチル)ピラゾール−4−イル]プリン−9−イル}−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3,4−ジオールおよびこれらの混合物。
【0061】
A2Aアデノシンレセプターに対する非常に有用かつ強力かつ選択的なアゴニストは、以下の式:
【0062】
【化5】
を有する、Regadenoson、すなわち、(1−{9−[(4S,2R,3R,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル}ピラゾール−4−イル)−N−メチルカルボキサミドである。
【0063】
選択的なA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとして有用な、作用の持続時間が短い別の好ましい化合物は、以下の式:
【0064】
【化6】
の化合物である。
CVT−3033は、心画像化における補助薬として特に有用である。
【0065】
上で同定した化合物の第1および第2の分類は、米国特許第6,403,567号および同第6,214,807号により詳細に記載されており、これらの各々の明細書は、本明細書中に参考として援用される。
【0066】
本明細書中で使用される場合、以下の定義が用語に適用される。
【0067】
「ハロ」または「ハロゲン」は、単独または組合せで、全ハロゲン、すなわち、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)を意味する。
【0068】
「ヒドロキシル」は、基−OHを指す。
【0069】
「チオール」または「メルカプト」は、基−SHを指す。
【0070】
「アルキル」は、単独または組み合わせで、(具体的に定義されていない限り)1〜20個、好ましくは1〜15個の炭素原子を含有するアルカン由来のラジカルを意味する。これは、直鎖アルキル、分枝鎖アルキルまたはシクロアルキルである。好ましくは、1〜15個、より好ましくは1〜8個、なおより好ましくは1〜6個、さらにより好ましくは1〜4個、そして最も好ましくは1〜2個の炭素原子を含有する、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチルなど)である。用語「低級アルキル」は、本明細書中で、直ぐ上で説明される直鎖アルキル基を説明するために用いられる。好ましくは、シクロアルキル基は、1環あたり3〜8個、より好ましくは3〜6個の環員の、単環式、二環式もしくは三環式の環系(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなど)である。アルキルはまた、シクロアルキル部分を含むかまたはシクロアルキル部分によって中断された、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基も含む。直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基は、安定な化合物を生じるための任意の利用可能な点に結合される。この例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:4−(イソプロピル)−シクロヘキシルエチルまたは2−メチル−シクロプロピルペンチル。置換アルキルは、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなどの、1〜3個の基または置換基で独立して置換された、先に定義した、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基またはシクロアルキル基である。
【0071】
「アルケニル」は、単独または組合せで、2〜20個、好ましくは2〜17個、より好ましくは2〜10個、なおより好ましくは2〜8個、最も好ましくは2〜4個の炭素原子を含み、なおかつ、少なくとも1個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、最も好ましくは1個の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖、分枝鎖または環式の炭化水素を意味する。シクロアルキル基の場合、1以上の炭素−炭素二重結合の共役は、環に芳香族性を与えるようなものではない。炭素−炭素二重結合は、シクロアルキル部分中に含まれても(シクロプロピルを除く)、直鎖もしくは分枝鎖の部分に含まれてもよい。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルアルキルなどが挙げられる。置換アルケニルは、安定な化合物を生じための任意の利用可能な点で結合された、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニルなどの、1〜3個の基または置換基で独立して置換された、先に定義した、直鎖アルケニル基、分枝鎖アルケニル基またはシクロアルケニル基である。
【0072】
「アルキニル」は、単独または組合せで、2〜20個、好ましくは2〜17個、より好ましくは2〜10個、なおより好ましくは2〜8個、最も好ましくは2〜4個の炭素原子を含み、なおかつ、少なくとも1個、好ましは1個の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニルなどが挙げられる。置換アルキニルは、安定な化合物を生じるための任意の利用可能な点で結合された、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなどの、1〜3個の基または置換基で独立して置換された、先に定義した、直鎖アルキニルまたは分枝鎖アルキニルを指す。
【0073】
「アルキルアルケニル」とは、基−R−CR'=CR'"R""を指し、ここで、Rは低級アルキルまたは置換低級アルキルであり、R'、R'"、R""は、独立して、以下に定義されるような、水素、ハロゲン、低級アルキル、置換低級アルキル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは、置換ヘテロアリールであり得る。
【0074】
「アルキルアルキニル」とは、基−RC≡CR'を指し、ここで、Rは低級アルキルまたは置換低級アルキルであり、R’は、以下に定義されるような、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。
【0075】
「アルコキシ」は、基−ORを示し、ここで、Rは、定義されるような、低級アルキル、置換低級アルキル、アシル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキルである。
【0076】
「アルキルチオ」は、基−SR、−S(O)n=1−2−Rを示し、ここで、Rは、本明細書中に定義されるような、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである。
【0077】
「アシル」は、基−C(O)Rを示し、ここで、Rは、本明細書中に定義されるような、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリールなどである。
【0078】
「アリールオキシ」は、基−OArを示し、ここで、Arは、本明細書中に定義されるような、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基である。
【0079】
「アミノ」は、基NRR’を示し、ここで、RおよびR’は、独立して、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または、本明細書中に定義されるような置換ヘテロアリール、またはアシルであり得る。
【0080】
「アミド」は、基−C(O)NRR’を示し、ここで、RおよびR’は、独立して、本明細書中に定義されるような、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールであり得る。
【0081】
「カルボキシル」は、基−C(O)ORを示し、ここで、Rは、本明細書中に定義されるような、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールである。
【0082】
「アリール」は、単独または組合せで、好ましくは5〜7個、より好ましくは5〜6個の環員のシクロアルキルと必要に応じて縮合され、そして/または、必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなどの1〜3個の基もしくは置換基で置換された、フェニルまたはナフチルの炭素環を意味する。
【0083】
「置換アリール」は、1個以上の官能基(例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなど)で必要に応じて置換されたリールを指す。
【0084】
「複素環」は、単一の環(例えば、モルホリノ、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、ナフトピリジル、キノキサリル、キノリニル、インドリジニルまたはベンゾ[b]チエニル)を有し、そして、環内に少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)を有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環式基を指し、この基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0085】
「ヘテロアリール」は、単独または組合せで、1個以上、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、なおより好ましくは1〜2個の、独立してO、SおよびNの群より選択されるヘテロ原子を含む、5個もしくは6個の環原子を含む単環式芳香族環、または、8〜10個の原子を有する二環式芳香族環を意味し、これらの芳香族環は、必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じて一置換または二置換される)、アミジノ、尿素(アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクリル基で必要に応じて置換される)、アミノスルホニル(アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で必要に応じてN−一置換またはN,N−二置換される)、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなどの1〜3個の基または置換基で置換される。ヘテロアリールはまた、スルフィニル、スルホニル、三級環窒素のN−オキシドのように、酸化されたSまたはNを含むことも意図される。炭素原子または窒素原子は、結果として安定な芳香族環が保持されるための、ヘテロアリール環構造の結合点である。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、キナゾリニル、プリニル、インドリル、キノリニル、ピリミジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、イソキサゾリル、オキサチアジアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフリル、インドリルなどである。置換ヘテロアリールは、安定な化合物を生じるために利用可能な炭素または窒素に結合された置換基を含む。
【0086】
「ヘテロシクリル」は、単独または組合せで、5〜10個の原子を有する非芳香族シクロアルキル基であって、環内の1〜3個の炭素原子が、O、SまたはNのヘテロ原子によって置き換えらた基を意味し、そして、必要に応じて、5〜6個の環員のベンゾ縮合または縮合ヘテロアリールであり、そして/または、必要に応じて、シクロアルキルの場合のように置換される。ヘテロシクリルはまた、スルフィニル、スルホニル、三級環窒素のN−オキシドのように、酸化されたSまたはNを含むことも意図される。結合点は、炭素原子または窒素原子である。ヘテロシクリル基の例は、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピリジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロインドリルなどである。置換ヘテロシクリルは、安定な化合物を生じるために利用可能な炭素または窒素に結合された置換基を含む。
【0087】
「置換ヘテロアリール」は、1個以上の官能基(例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなど)で必要に応じて一置換もしくは多置換された複素環を指す。
【0088】
「アラルキル」は、基−R−Arを指し、ここで、Arはアリール基であり、そして、Rは、低級アルキル基または置換低級アルキル基である。アリール基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0089】
「ヘテロアルキル」は、基−R−Hetを指し、ここで、Hetは複素環基であり、そして、Rは、低級アルキル基である。ヘテロアルキル基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0090】
「ヘテロアリールアルキル」は、基−R−HetArを指し、ここで、HetArは、ヘテロアリール基であり、そして、Rは、低級アルキルまたは置換低級アルキルである。ヘテロアリールアルキル基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0091】
「シクロアルキル」は、3〜15個の炭素原子を含む二価環式もしくは多環式アルキル基を指す。
【0092】
「置換シクロアルキル」は、1個以上の置換基(例えば、ハロゲン、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなど)を含むシクロアルキル基を指す。
【0093】
「シクロヘテロアルキル」は、1個以上の環炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、N、O、SまたはP)で置き換えられたシクロアルキル基を指す。
【0094】
「置換シクロヘテロアルキル」は、1個以上の置換基(例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなど)を含む、本明細書中で定義されるような、シクロヘテロアルキル基を指す。
【0095】
「アルキルシクロアルキル」は、基−R−シクロアルキルを示し、ここで、シクロアルキルは、シクロアルキル基であり、Rは低級アルキルまたは置換低級アルキルである。シクロアルキル基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0096】
「アルキルシクロヘテロアルキル」は、基−R−シクロヘテロアルキルを示し、ここで、Rは、低級アルキルまたは置換低級アルキルである。シクロヘテロアルキル基は、必要に応じて、非置換であっても、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アミド、カルボキシル、アセチレン、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどで置換されていてもよい。
【0097】
上で同定された化合物の第1の分類は、以下のスキーム1〜4に概説されるようにして調製され得る。
【0098】
一般式IVを持つ化合物は、スキーム1に示されるように調製され得る。
【0099】
【化7】
化合物Iは、化合物1を、80℃にて、AcOHおよびMeOHの混合物中、適切に置換された1,3−ジカルボニルと反応させることによって調製され得る(Holzer et al.,J.Heterocycl.Chem.(1993)30,865)。酸の存在下で化合物Iを2,2−ジメトキシプロパンと反応させることによって得られ得る化合物IIは、構造的に類似の化合物に基づき、過マンガン酸カリウムまたはクロロクロム酸ピリジニウムを用いて、カルボン酸IIIまで酸化され得る(M.Hudlicky,(1990)Oxidations in Organic Chemistry,ACS Monographs,American Chemical Society,Washington D.C.)。DCC(M.Fujino et al.、Chem.Pharm.Bull.(1974),22,1857)、PyBOP(J.Martinez et al.,J.Med.Chem.(1988)28,1874)またはPyBrop(J.Caste et al.Tetrahedron,(1991),32,1967)のカップリング条件を用いる、式HNR6R7を持つ一級または二級アミンと、化合物IIIとの反応により、化合物IVが得られ得る。
【0100】
【化8】
化合物Vは、スキーム2に示されるように調製され得る。3TBDMS誘導体4は、化合物2を、DMF中、TBDMSClおよびイミダゾールで処理し、その後、NaOHを用いてエチルエステルを加水分解することにより得られ得る。DCC(M.Fujino et al.、Chem.Pharm.Bull.(1974),22,1857)、PyBOP(J.Martinez et al.,J.Med.Chem.(1988)28,1874)またはPyBrop(J.Caste et al.Tetrahedron,(1991),32,1967)のカップリング条件を用いる、式HNR6R7を持つ一級もしくは二級アミンと化合物4との反応により、化合物Vが得られ得る。
【0101】
【化9】
化合物11の特定の合成が、スキーム3に示される。市販のグアノシン5を、先に記載されたように、トリアセテート6へと変換した(M.J.RobinsおよびB.Uznanski、Can.J.Chem.(1981),59,2601−2607)。Cerster et al.(J.F.Cerster,A.F.LewisおよびR.K.Robins、Org.Synthesis,242−243)の文献の手順に従って調製した化合物7を、先に記載されたように、2段階で化合物9へと変換した(V.Nair et al.,J.Org.Chem.,(1988),53,3051−3057)。化合物1は、80℃にて、エタノール中、ヒドラジン水和物を化合物9と反応させることによって得た。80℃における、AcOHおよびMeOHの混合物中での、化合物1のエトキシカルボニルマロンジアルデヒドとの縮合により、化合物10が生じた。過剰なメチルアミン中で化合物10を加熱し、化合物11を得た。
【0102】
1,3−ジアルデヒドVIIの合成はスキーム4に記載される。
【0103】
【化10】
NaHの存在下、3,3−ジエトキシプロピオネートまたは3,3−ジエトキシプロピオニトリルまたは1,1−ジエトキシ−2−ニトロエタン VI(R3=CO2R、CNまたはNO2)の、ギ酸エチルまたはギ酸メチルとの反応により、ジアルデヒドVIIが得られ得る(Y.Yamamoto et al.,J.Org.Chem.(1989)54,4734)。
【0104】
上記化合物の第2の分類は、スキーム4〜9に概説されるようにして調製され得る。以下のスキーム5:
【0105】
【化11】
に示されるように、一般式VIIIを持つ化合物は、銅塩の存在下もしくは非存在下で、化合物12の、式IXによって表されるハロ−ピラゾール(合成はスキーム8に示される)とのパラジウムにより媒介されるカップリングを行い(K.Kato et.al.J.Org.Chem.1997,62,6833−6841;Palladium Reagents and Catalysts−Innovations in Organic Synthesis,Tsuji,John Wiley and Sons,1995)、その後、TBAFまたはNH4Fのいずれかで脱保護することによって調製した(Markiewicz et.al Tetrahedron Lett.(1988),29,1561)。化合物12の調製は、先に記載されており(K.Kato et.al.J.Org.Chem.1997,62,6833−6841)、そして、スキーム11において概説される。
【0106】
一般式XIVを持つ化合物は、スキーム6に示されるようにして調製され得る。
【0107】
【化12】
酸の存在下でVIIを2,2−ジメトキシプロパンと反応させることによって得られ得る化合物XIは、構造的に類似の化合物に基づき、過マンガン酸カリウムまたはクロロクロム酸ピリジニウムなどを用いて、カルボン酸XIIまで酸化され得る(Jones et.al.,J.Am.Chem.Soc.(1949),71,3994.;Hudlicky、Oxidations in organic chemistry,American Chemical Society,Washington D.C.,1990)。
【0108】
DCC(Fujino et.al.、Chem.Pharm.Bull.(1974),22,1857)、PyBOP(J.Martinez et.al.,J.Med.Chem.(1988),28,1967)またはPyBrop(J.Caste et.al.Tetrahedron,(1991),32,1967)のカップリング条件を用いる、式HNR5R6を持つ一級または二級アミンと、化合物XIIとの反応により、化合物XIIIが得られ得る。
【0109】
80%酢酸水溶液(T.W.Green and P.G.M.Wuts,(1991),Protective Groups in Organic Synthesis,A Wiley−Interscience publication)または無水HCl(4N)と共に加熱することによって化合物XIIIの脱保護を行い、一般式XIIIの化合物を得ることができる。
【0110】
あるいは、一般式VIIIを持つ化合物はまた、スキーム7に示されるように、スズキ型のカップリングによって調製され得る。
【0111】
【化13】
2−ヨードアデノシン16は、文献の手順(M.J.Robins et.al.Can.J.Chem.(1981),59,2601−2607;J.F.Cerster et.al.Org.Synthesis,−−−242−243;V.Nair at.al.,J.Org.Chem.,(1988),53,3051−3057)に従い、グアノシン25から、4段階で調製され得る。塩基の存在下での、適切に置換されたピラゾールボロン酸との、16のパラジウム触媒を用いたスズキカップリング(A.Suzuki,Acc.Chem.Res)(1982),15,178)により、一般式VIIIを持つ最終化合物を生じ得る。必要に応じて、6上の2’,3’,5’−ヒドロキシルを、スズキカップリングの前に、TBDMSエーテルとして保護し得る。
【0112】
一般式IXを持つ化合物は、市販品、または、スキーム8に示される工程に従って調製されたもののいずれかであり得る。
【0113】
【化14】
適切な溶媒中、式XVの1,3−ジケト化合物のヒドラジンとの縮合により、一般式XVIを持つピラゾールが得られ得る(R.H.Wiley et.al.、Org.Synthsis,Coll.Vol IV(1963),351)。これらのピラゾールは、種々のハロゲン化アルキルを用いてN−アルキル化されて、式XVIIの化合物を生じ、この化合物をヨウ素化して、一般式IXを持つ4−ヨード誘導体を生じ得る(R.Huttel et.al.Justus Liebigs Ann.Chem.(1955),593,200)。
【0114】
一般式XXIを持つ5−ヨードピラゾールは、スキーム9に概説される工程に従って調製され得る。
【0115】
【化15】
適切な溶媒中、式XVIIIの1,3−ジケト化合物のヒドラジンとの縮合により、一般式XIXを持つピラゾールが得られ得る。これらのピラゾールは、種々のハロゲン化アルキルを用いてN−アルキル化されて、式XXの化合物を生じ得る。強塩基を用いて5−Hを除去し、その後、ヨウ素でクエンチすることにより、一般式XXIを持つ5−ヨード誘導体を生じ得る(F.Effenberger et.al.J.Org.Chem.(1984),49,4687)。
【0116】
4−もしくは5−ヨードピラゾールは、スキーム10に示されるように、対応するボロン酸へと変換され得る。
【0117】
【化16】
n−buLiを用いた金属交換反応(transmetallation)と、その後のトリメチルホウ酸塩を用いた処理により、一般式XXIIを持つ化合物を生じ、この化合物を加水分解して、一般式XXIIIを持つボロン酸を生じ得る(F.C.Fischer et.al.RECUEIL(1965),84,439)。
【0118】
以下のスキーム11に示されるように、2−スタニルアデノシン(Stannyladenosine)12を、文献の手順(K.Kato et.al.,J.Org.Chem.(1997),62,6833−6841)に従い、市販の6−クロロプリンリボシドから3段階で調製した。
【0119】
【化17】
DMF中、18をTBDMSClおよびイミダゾールで処理することにより、3TBDMS誘導体を得た。LTMPを用いてリチウム化し、その後、塩化トリn−ブチルスズを用いてクエンチすることにより、排他的に2−スタニル誘導体20を得た。2−プロパノール中での加安分解により、2−スタニルアデノシン12を得た。Pd(PPh3)4およびCuIの存在下、12の、1−ベンジル−4−ヨードピラゾールとのStilleカップリングにより、21を生じた(K.Kato et.al.,J.Org.Chem.(1997),62,6833−6841)。メタノール中、0.5Mフッ化アンモニウムを用いて、2’、3’および5’のヒドロキシル上のシリル基を脱保護して、良好な収率で22を生じた。
【0120】
本発明の化合物を調製するために使用される方法は、上記のものに制限されない。さらなる方法は、以下の出典において見出され得、そして、これらは参考として援用される(J.March,Advanced Organic Chemistry;Reaction Mechanisms and Studies(1992),A Wiley Interscience Publications;およびJ.Tsuji,Palladium reagents and catalysts−Innovations in organic synthesis,John Wiley and Sons,1995)。
【0121】
本発明の最終化合物が塩基性の基を含む場合、酸付加塩が調製され得る。化合物の酸付加塩は、適切な溶媒中、標準的な方法で、親化合物および過剰の酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスルホン酸)から調製される。塩酸塩形態が特に有用である。最終化合物が酸性の基を含む場合、カチオン性の塩が調製され得る。代表的には、親化合物は、適切なカチオンを含む過剰のアルカリ性試薬(例えば、ヒドロキシド、カーボネートまたはアルコキシド)で処理される。Na+、K+、Ca+2およびNH4+のようなカチオンは、薬学的に受容可能な塩に存在するカチオンの例である。内部塩または両性イオンを形成する特定の化合物もまた受容可能であり得る。
【0122】
本発明は、ここで、完全に記載されてきたが、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明に対して多くの変更および改変がなされ得ることは、当業者に明らかである。
【実施例】
【0123】
実施例1
背景:
3分の初期半減期を持ち、作用の開始および終了が急速であるRegadenoson(CV Therapeutics)は、覚醒しているイヌの冠血流速度(CBFv)の増加において、アデノシン(Ado)よりも100倍を超えて強力である。このオープンラベル研究の目的は、ヒトにおけるCBFvに対する、Regadenoson(10〜500μg)の作用の大きさおよび持続期間を決定することであった。
【0124】
方法:
患者は、臨床適応のある冠状動脈カテーテル法(clinically indicated coronary catheterization)を受けており、全冠動脈における70%以下の狭窄症、そして、この研究対象の血管における50%以下の狭窄症について、ドプラフローワイヤ(Doppler flow wire)によりCBFvを決定した。研究の被験体は、18μgのAdoを冠動脈内(IC)注射した後に、CBFvのベースラインおよびピークを測定した後に選択した。アデノシンに対する応答において、CBFvのピーク対ベースラインの比が2.5以上であるという研究の基準を満たすと認定された23人の患者に、Regadenosonの急速(10秒以内)末梢IVボーラスを与えた;17人の患者におけるCBFvの増加の時間経過にわたって、ドプラシグナルは安定かつ解釈可能であった。
【0125】
結果
Regadenosonは、CBFvにおける急速な増加を引き起こし、これは、ボーラス開始から30〜40秒でほぼピークに達した。100μg(n=3)、300μg(n=4)および500μg(n=2)の用量のRegadenosonは、3.2±0.6(平均±SD)のピーク対ベースライン比を誘導し、これは、IC Adoにより得られる比(3.2±0.5)と類似していた。CBFv増大(CBFvにおける2倍以上の増加)の持続期間は用量依存であった;300μgにおいて、持続期間は、4.0±4.9分であり、そして、500μgにおいては、6.9±7.6分であった。500μg(n=3)において、HRにおける最大の増加は、18.7±4.0であり、そして、収縮期BPにおける最大減少は、8.7±7.6であった。有害事象(AE)は稀で、これには、悪心、潮紅および頭痛を含んだ;これらは、緩和であり、定型的であった。500μg用量を受けた3人の患者ではAEが見られなかった。
【0126】
結論:
ヒトにおいて、Regadenoson(IVボーラス)後のピークCBFvは、HRもしくはBPのいずれにおいても大きな変化を伴うことなく、IC Ado後のCBFvに似ている。この薬剤の、作用の大きさおよび持続期間、有害事象プロフィールならびにボーラス投与は、Regadenosonを心筋灌流画像化のための有用な薬理学的負荷因子にしている。
【0127】
実施例2
この実施例は、選択的A2AアデノシンレセプターアゴニストであるRegadenosonが投与され得、そして、冠動脈血管拡張薬として有効であり得る投薬量範囲を決定するために行われた研究である。
【0128】
この研究には、臨床適応のある冠状動脈カテーテル法を受けている患者を含め、そして、全冠動脈における70%以下の狭窄症、およびこの研究対象の血管における50%以下の狭窄症について、ドプラフローワイヤによりCBFvを決定した。研究の被験体は、18μgのAdoを冠動脈内(IC)注射した後に、CBFvのベースラインおよびピークを測定した後に選択した。36人の被験体が、アデノシンに対する応答において、CBFvのピーク対ベースラインの比が2.5以上であるという研究の基準を満たすと認定した。
【0129】
Regadenosonを、研究の被験体に対して、10秒以内に、10μg〜500μgの範囲の量でIVボーラスにより投与した。Regadenosonは、A2Aアデノシンレセプターに対して選択的である。
【0130】
両方の化合物の有効性を、冠動脈流速をモニタリングすることにより測定した。モニタリングした他の冠動脈パラメータには、心拍数および血圧を含めた。これらのパラメータは、ピーク用量応答に対する時間、用量応答の大きさ、および用量応答の持続期間を評価するために測定した。有害事象もまたモニタリングした。冠動脈血流速度は、LADまたはLCx血管において測定した。速度の測定は、標準的な心カテーテル法技術に従い、0.014インチのドプラ装置を先端に備えたフローワイヤ(Doppler−tipped Flowire)をLADまたはLCx血管内に挿入し、その後、血流速度をモニタリングすることにより行った。さらに、血流力学的測定および心電図測定を継続して記録した。
【0131】
全体として、36人のヒト被験体(n=36)を評価した。36人のうち、18人は女性で、18人が男性であった。その平均年齢は53.4歳であり、そして、その年齢の範囲は24〜72歳であった。評価した36人の被験体のうち、31人の被験体はLAD血管をモニタリングし、そして、5人の被験体はLCx血管をモニタリングした。以下の用量(μg)のRegadenosonを、被験体に対し、単回のivボーラスで与えた:10(n=4);30(n=6);100(n=4);300(n=7);400(n=9);500(n=6)。
【0132】
この研究結果を、図1〜6において報告する。図1のプロットは、Regadenosonが、10μg程度の少量でピーク流速を増加し、そして、約100μg未満のRegadenosonを投与すると、プラトーピーク速度に到達することを示す。他の試験結果および結論としては以下が挙げられる:
・全ての用量で、約30秒までにピークフローに到達した;
・約100μgを上回る用量においては、ピーク作用は、18μg icのアデノシンと等価であった;
・Regadenosonは一般に、図7として添付した表において報告する有害事象に対し十分に許容された;
・400μgにおいて:
○ベースラインを2.5倍以上上回る冠動脈血竜速度は2.8分間維持された
○心拍数の最大増加(18±8bpm)は、投薬後約1分で生じる
○収縮期BPの最大減少(20±8mmHg)は、投薬後約1分で生じる
○拡張期BPの最大減少(10±5mmHg)は、投薬後約1分で生じる。
【0133】
実施例3
この実施例は、単回のIVボーラス投薬後に、健康な志願者において、(1)Regadenosonの最大耐用量および(2)Regadenosonの薬物動態プロフィールを評価するために行った研究である。
【0134】
方法
この研究は、18歳〜59歳の間で、かつ、理想体重の15%以内の、37人の健康な非喫煙の男性被験体を用いて行った。
【0135】
研究設計
この研究は、第1相の、単一施設での、二重盲検の、無作為化した、プラセボ対照を用いた、クロスオーバーの、上昇する用量の研究において行った。無作為化は、仰臥位および立位の両方において、Regadenosonまたはプラセボに対して行った。
【0136】
Regadenosonは、0.1μg/kg、0.3μg/kg、1.3μg/kg、10μg/kg、20μg/kgおよび30μg/kgの上昇する用量において、IVボーラス(20秒)として投与した。
【0137】
被験体には、1日目に仰臥位にてRegadenosonまたはプラセボのいずれかを与え、その後、2日目に、仰臥位にてクロスオーバーの処置を与えた。3日目には、被験体に、立位にてRegadenosonまたはプラセボを与え、その後、4日目に立位にてクロスオーバーの処置を与えた。
【0138】
評価
患者の安全性を、ECG、検査室の評価、ならびに、生命徴候および有害事象の採集によりモニタリングした。
【0139】
薬物動態:
投薬後0分、1分、2分、3分、4分、5分、7分、10分、15分、20分、30分、45分において、そして、投薬後1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間において、仰臥位期の間に(1日目および2日目)、血漿サンプルを採血した。Regadenosonの排泄について、尿を24時間回収した。
【0140】
薬力学:
・この研究は、立位および仰臥位の両方における用量に対する心拍数変化の関係と、仰臥位における血漿濃度とを評価した。いくつかの研究結果を、図8〜15において報告する。
【0141】
結果
安全性
一般に、有害事象は、Regadenosonの薬理学的作用を反映し、そして、血管拡張または心拍数(HR)の増加と関連していた。全体として、有害事象は長続きせず、そして、その重篤度は低度〜中等度であった。重篤な有害事象はなかった。
【0142】
3つの受賞を、その強度における重篤度として評価した(表1)。
【0143】
【表1】
実測Tmax(1〜4分)を0次注入の持続期間として用いて、3コンパートメントオープンモデルを、データに対して調整した。1〜30μg/kgの用量について、信頼性の高いパラメータの推定値を得た。パラメータを以下にまとめる(表2):
【0144】
【表2】
結果
・全ての用量で、約30秒までにピークフローに到達した;
・約100μgを上回る用量においては、ピーク作用は、18μg icのアデノシンと等価であった;
・Regadenosonは、主としてその薬理学的作用をA2Aアデノシンレセプターアゴニストとして表し、AEに対し十分に許容された。
・Regadenosonに関する平均耐用量は、立位で10μ/kg、仰臥位で20μg/kgであった。
・Regadenosonは、体重により調節される投薬を必要としない。
・血漿濃度変化と心拍数変化との間には、タイムラグは存在しなかった。
・HRの増加と、用量もしくは濃度との間の関係は、S字型のEmaxモデルを用いて適切に説明された。
【0145】
実施例4
Regadenosonは、薬理学的負荷心筋灌流画像化または放射性核種心筋灌流画像化として開発された、新規の選択的A2Aアデノシンレセプターアゴニストである。これまでに、Regadenosonは、覚醒中のイヌにおいて、全末梢抵抗または腎血流のいずれかに有意に影響を与えることなく、冠血管拡張を引き起こすことが示されてきた。この研究の目的は、種々の血管床における血流速度に対する、Regadenosonの示差的な作用を決定することであった。
【0146】
Regadenosonの作用を、麻酔をかけたイヌの、比較可能な直径の左回旋冠動脈(LCX)、脳動脈血管系(BA)、前肢動脈(FA)および肺動脈(PA)における血流速度について研究した。Regadenoson(1.0μg/kg)を静脈内ボーラスとして投与して、血流を一過的に増大させたが、これは部位特異的であった。Regadenosonの作用を、静脈内ドプラトランスデューサを先端に備えたカテーテルを用いて、平均ピーク血流速度(APV)として定量化した。心拍数(HR)および全身の動脈血圧(BP)もまたモニタリングした。
【0147】
APVは、LCX、BA、FAおよびPAにおいて、それぞれ、3.1±0.2倍、1.4±0.1倍、1.2±0.1倍および1.1±0.01倍増加し、LCX>>BA>FA>PAの順の部位−効果ランクを示した(図16)。CVT−3146の血流速度に対する作用は、持続性が短かった;30秒未満でピークに達し、そして、10分未満で消失した。増大した血流速度は、HRにおける小さな一過性の増加(16bpm)と、BPにおける減少(12mmHg)とを伴った。まとめると、この研究は、Regadenosonが、冠血管系に極めて選択的な、強力かつ持続性の短い血管拡張薬であることを実証した。
【0148】
実施例5
本研究は、選択的A2AアデノシンレセプターアゴニストであるRegadenosonが、交感神経の興奮をもたらすかどうかを決定するために行った。
【0149】
CVT(0.31μg/kg〜50μg/kg)を、覚醒しているラットに対し急速i.v.ボーラスとして与え、そして、心拍数(HR)および血圧(BP)をモニタリングした。Regadenosonは、低用量で、BPおよび収縮期圧(SP)の増加をもたらしたが、高用量では、BPおよびSPの減少が存在した。Regadenosonは、HRの用量依存性の増加をもたらした(図17)。HRの増加は、CVTの最低用量において明らかであり、この最低用量において、容易に判断できるBPの減少はなかった。A2AアデノシンレセプターアンタゴニストであるZM241385(30μg/kg、N=5)は、RegadenosonによりもたらされるBPの減少(Regadenoson:14±3%、ZM:1±1%)およびHRの増加(CVT:27±3%、ZM:18±3%)を減じた。βブロッカーであるメトプロロール(MET、1mg/kg、n=5)を用いた前処置は、HRの増加(CVT:27±3%、MET:15±2%)を減じたが、Regadenosonによりもたらされる低血圧に対しては影響がなかった。神経遮断薬であるヘキサメトニウム(HEX、10mg/kg、n=5)の存在下では、頻脈は防止された(CVT:27±3%、HEX:−1±2%)が、BPはさらに減少した(CVT:−11±2%、HEX:−49±5%)。Regadenoson(10μg/kg、n=6)はまた、血漿中のノルエピネフリン(コントロール:146±11ng/ml、Regadenoson 269±22ng/ml)およびエピネフリン(コントロール:25:f:5ng/ml、CVT:I00:f:20ng/ml)のレベルを有意に(p<0.05)増加させた。用量、時間および薬理学的インターベンションによる、HR作用およびBP作用の分離は、Regadenosonによりもたらされる頻脈が、BPの減少とは無関係であるという証拠を提供し、Regadenosonが、A2Aアデノシンレセプターの活性化を介して、交感神経系の直接的な刺激をもたらし得ることを示唆している。
【0150】
実施例6
アデノシン(A)を用いた薬理学的負荷SPECT心筋灌流画像化(MPI)は、十分に容認されている技術であり、その診断および予後の値は優れており、安全性が証明されている。しかし、副作用が一般的であり、そして、AV結節遮断および重篤な潮紅は、許容できない。Regadenosonのような薬剤は、A2Aアデノシンレセプターに対して選択的に作用し、そして、このような有害な反応を防止し得る他のレセプターサブタイプの刺激を回避する。
【0151】
Regadenosonが冠動脈の充血をもたらす能力を決定し、そして、CADを正確に検出するために、35人の被験体(男性26人、女性9人;67±10歳)に、AおよびRegadenosonの両方の負荷/安静時MPIを受けさせた(これらの研究間は、10.0±9.1日であった)。事前のMIは、12人の患者において見られ、そして、その多くが、事前の脈管再生を有した[CABG(n=19)、PCI(n=22)]。Regadenoson[400μg(n=18)、500μg(n=17)]は、IVボーラスとして投与し、その直後に生理食塩水で洗い、次いで、Tc−99m放射性薬品[セスタミビ(sestamibi)(n=34)、テトロホスミン(tetrofosmin)(n=1)]を投与した。SPECT画像を均一に処理し、コントロール研究(正常および固定のみ(fixed−only)の欠如)と混合し、そして、17セグメントのモデルを用いた盲検様式で3人の観察者により解釈させた。4D MSPECTを用いた定量的解析もまた行った。3人の別々の読み取りに加え、合意による解釈を行い、次いで、1研究につき5の領域を用いて、AおよびRegadenosonの画像の直接的な同一スクリーンでの比較を行い、相対的な差を決定した。
【0152】
負荷後の合計スコアは、視覚的な解析法(A=13.9±1.5、Regadenoson=13.2±1.3;p=n.s.)および定量的な解析法(A=13.7±1.5、Regadenoson=13.6±1.6;p=n.s.)の両方で、同様であった。同様に、合計安静時(summed rest)スコアと合計差異(summed difference)スコアとの間の比較も同一であった。この直接比較はまた、虚血の検出において差がないことを明らかにし、虚血の程度および重篤度に対する部分的な一致は、それぞれ、86.3%および83.4%であった。虚血の検出に対するRegadenosonの用量依存性の作用は示されなかった。この研究の結論は、理論上単回のボーラス注射により投与されたRegadenosonが、1回のA注入で示されるものと同様の、SPECT MPIを用いて心筋虚血を検出および定量する能力を提供するということである。
【0153】
実施例7
Regadenosonは、冠動脈の充血と、冠動脈の血管拡張に関与しないレセプターサブタイプの制限された刺激に起因した潜在的に少ない有害作用とをもたらす、選択的A2Aアデノシンレセプターアゴニストである。この研究は、薬理学的負荷因子としてのRegadenosonの有効性を評価した。
【0154】
36人の被験体(男性27人、女性9人;67±10歳)を、薬理学的負荷心筋灌流画像化プロトコールの一部として、IVボーラスとして投与される2用量のRegadenoson[400μg(n=18)、500μg(n=18)]を用いて研究した。
【0155】
有害作用(AE)は、胸部の不快感(33%)、頭痛(25%)および腹痛(11%)を含め、26人の患者(72%)において生じ、両方の用量についての発生率は同様であった。潮紅、呼吸困難および眩暈感は、400μgの群(それぞれ、17%、17%および11%)よりも、500μgの群(それぞれ、44%、44%および28%)においてより頻繁であった。多くのAEは、低度〜中等度であり(96%)、そして、処置を無くしてから15分以内に解消された(91%)。入院を必要とする、偏頭痛の悪化を伴う1つの重篤なAEが生じた。ST波およびT波の異常が、それぞれ、7人および5人の患者において、Regadenosonにより生じた。第二または第三段階のAV遮断は示されず、そして、重篤な不整脈は起こらなかった。ピーク血流力学作用を表3に示し、これは、収縮期血圧(BP)について4分の時点、拡張期BPについて8分の時点、そして、心拍数(HR)について2分以内に示されたものである。BPに対する作用は最小であり、そして、収縮期BPは、いずれの用量でも、90mmHgを下回らなかった。HR応答における平均的な変化は、400μg(34.8%;p=n.s.)よりも、500μgの用量(44.2%)の方が大きかった。Regadenoson投与から30分後に、BP変化は、ベースラインから<2%逸れたが、HRは、ベースラインを8.6%上回ったままであった。
【0156】
この研究の結果は、Regadenosonが、十分に許容され、そして、容認可能な血流力学作用を有することを示す。最小限の差異が、400μgの用量と500μgの用量との間で、BPおよびHRの応答において認められたが、AEは、より高い用量においてより頻繁であった。Regadenosonは、安全であり、かつ、ボーラスにより媒介される薬理学的負荷灌流画像化に対して十分に許容されるようである。
血流力学の変化(平均±S.D.)
表3
絶対変化 相対変化
心拍数 毎分+21.9±10.4拍 +36.7%+21.0%
収縮期BP −5.9±10.7mmHg −4.1%± 7.6%
拡張期BP −5.4± 7.2mmHg −7.9%±10.5%。
【0157】
実施例8
この研究では、覚醒しているイヌの種々の血管床において、Regadenosonの血管拡張作用を、ADOの作用と比較した。イヌには、冠動脈(CBF)、腸間膜(MBF)、後肢(LBF)および腎臓(RBF)の血管床における血流の測定、ならびに、血流力学の測定のために、継続的に器具を取り付けた。Regadenoson(0.1〜2.5μg/kg)およびADO(10〜250μg/kg)のボーラス注射(iv)は、CBF(35±6%から205±23%、および58±13%から163±16%)およびMBF(18±4%から88±14%、および36±8%から84±5%)において有意な増加をもたらした。
【0158】
この研究の結果は、Regadenosonが、ADOと比較して、より強力かつより長く持続する冠血管拡張薬である(ベースラインを2倍上回るCBFに対する持続期間;Regadenoson(2.5μg/kg):130±19s;ADO(250μg/kg):16±3s、P<0.5)ことを実証する。図18(平均±SE)に示されるように、Regadenosonは、LBFにおいて、ADOよりも小さな増加をもたらした。ADOは、用量依存性の腎臓血管収縮をもたらした(RBF −46±7%から−85±4%)が、一方で、Regadenosonは、RBFに対して、全くもしくはほとんど作用がなかった(−5±2%から−11±4%、P<0.05、ADOに対する比較)。まとめると、Regadenosonは、ADOよりも選択的かつ強力な冠血管拡張薬である。Regadenosonは、覚醒しているイヌにおける腎血流に対し、有意な作用を有さない。Regadenosonのこれらの特徴は、Regadenosonを、放射性核種心筋灌流画像化に対する理想の候補にする。
【0159】
実施例9
低度または中等度の喘息を有するAMP感受性の被験体において、肺機能に対するRegadenosonの作用を評価するための、無作為化した、二重盲検の、プラセボ対照を用いた、クロスオーバーの研究
この研究は、冠動脈疾患の検出において心筋灌流画像化に使用される用量(400μg)におけるRegadenosonが、スクリーニング時に標準的なAMPチャレンジを用いた際に1秒間の努力呼気量(FEV1)の少なくとも20%の減少を示した、低度もしくは中等度の喘息を有する被験体において、気管支収縮応答を惹起したかどうかを評価するように設計した、二重盲検の、第2相の、クロスオーバー研究であった。
【0160】
主な目的は、400μgのRegadenosonもしくはマッチさせたプラセボの静脈内(iv)ボーラス後2時間以内の、FEV1における>15%のベースラインからの減少として規定される気管支収縮反応の発生を比較することであった。
【0161】
臨床上の病歴および肺機能検査により実証されるような低度もしくは中等度の喘息の診断を有する年齢18歳以上の男性もしくは女性を含めることについて考察した。標的は、登録された48人の評価可能な被験体(24人は低度、24人は中等度の喘息被験体)であった。低度の喘息被験体は、スクリーニングのための診察の前8週間以内にコルチコステロイド(吸入または経口)を受けてはならず、なおかつ、スクリーニング時に、予測値の80%以上のFEV1を有していなければならない。中等度の喘息被験体は、コルチコステロイドを受けていてもよく、なおかつ、スクリーニング時に、予測値の60%〜80%のFEV1を有していなければならない。患者は、AMP、Regadenosonまたはプラセボの前、6時間以内の短時間作用型の気管支拡張薬、そして、24時間以内の長時間作用型の気管支拡張薬およびメチルキサンチンを許容されなかった。
【0162】
24人の低度の喘息被験体が研究を完了した時点で、中等度の喘息被験体の登録を開始する前に、所定の臨床基準に基づいて、個々に安全性の再検討を行った。
【0163】
AMPチャレンジ
AMP(アデノシン5’−一リン酸ナトリウム塩)を、間接的な気管支収縮刺激薬として用いて、アデノシン媒介性の気管支過反応性を持つ敏感な被験体の群を選択した。気道における気管支収縮応答を引き起こす目的で、調査現場によりAMPの吸入に利用された標準的な臨床プロトコールを、全被験体のスクリーニングに適合させた。ユニットに到着すると、被験体は、ベースラインにおける肺機能の評価前に15分間の安静を必要とされ、このベースラインにおける評価は、1分間隔で行うFEV1の3つの技術的に容認可能なFEV1の記録のうち最良のものとして測定した。被験体には、コントロールとして、連続5回の生理食塩水の呼気を吸入させ、その後、3分間隔で、各々増加する濃度の呼気を吸入させた。FEV1の2回の測定を、各生理食塩水の吸入から90秒後および150秒後に行った。最高のFEV1値を記録した。FEV1のベースライン値からの>10%の減少が観察されない限り、これらの被験体に、次いで、FEV1の生理食塩水後の値からの≧20%の減少が記録されるまで、倍増する濃度のAMP(0.39mg/mLから開始)を吸入させた。FEV1を、各濃度を投与してから90秒後および150秒後に記録した。被験体は、<400mg/mLのAMPに対してPC20を示した場合、適格とした。
【0164】
薬物投与
被験体には、二重盲検のクロスオーバー設計において、400μgのRegadenosonまたはプラセボを1回の静脈内(iv)ボーラスとして投与した。気管支収縮の評価としてのFEV1の反復測定を、研究薬物の投与前と、投与から2時間後までに行った。
【0165】
結果
患者の平均年齢(±SD)は、27±6歳であり、そして、65%が男性であった。低度(n=24)および中等度(n=24)の群における平均ベースラインFEV1は、それぞれ、3.88±0.81Lおよび2.77±0.64Lであった。
【0166】
低度の喘息を持つ被験体は、プラセボまたはRegadenoson後に気管支収縮を起こさなかった。合計4人の中等度の喘息被験体は、気管支収縮反応を起こした。プラセボ(n=2)またはRegadenoson(n=2)を受けている間の、気管支収縮を有した中等度の喘息被験体の数には、統計的有意差は存在しなかった(p=0.99)。これらの4人の被験体には、クロスオーバーアームにおける処置の後、7〜12%の範囲のFEV1の減少を有し、これらは、臨床的に有意とはみなされなかった。これらの患者のうち、重篤な有害事象または肺の有害事象を経験した者、また、早期に研究から外された者はいなかった。FEV1における最大の減少(36%)は、Regadenosonから90分後に1人の患者において生じた。
【0167】
ベースラインFEV1に対するボーラス後FEV1の比を、研究薬物の投与後の7つの時点の各々について計算した。さらに、ベースラインFEV1に対する最低ボーラス後FEV1の比もまた評価した。これらのパラメータにおいて、regadenosonとプラセボとの間には、臨床上有意な差はなかった(図19を参照のこと)。
【0168】
追跡の身体検査において(2時間)、患者に異常は見られなかった。プラセボと比較して、Regadenoson後に、より多くの有害な事象が生じた(98%対8%)。最も一般的な有害事象には、頻脈(66%)、眩暈感(53%)、頭痛(45%)、呼吸困難(34%)、潮紅(32%)、胸部の不快感(21%)、悪心(19%)、および感覚異常(19%)が含まれた。
【0169】
Regadenosonは、プラセボ処置と比較して、HRを有意に増加させた(最大±10.4bpm)。この増加は、regadenosonを投薬してから30分後および60分後に依然として明白であった。HRは、regadenoson後60分で、ベースラインから5bpm以内に戻った(図20を参照のこと)。
【0170】
結論
1人の患者がRegadenoson投与後に、実質的なFEV1の減少(−36%)を有したが、敏感な喘息患者における平均FEV1または気管支収縮反応の徴候において、Regadenosonとプラセボとの間には明らかな差はなかった。Regadenosonに伴う心拍数および有害事象の有意な増加は、その薬理学的作用と一致していた。
【0171】
実施例10
背景:
その非選択的なアドレナリン作用性受容体アゴニスト活性に起因して、アデノシン(ADO)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する患者において、心受容体症候群を悪化させ得る。Regadenosonは、冠循環においてA2Aアデノシンレセプターを選択的に活性化するので、ADOと比較して、COPD患者においてより良く許容され得るという仮説が立てられた。
【0172】
方法および結果:
COPD患者を、ADOとREGとの間の可逆的な心臓の欠陥について適合する強度を検査するように設計された、無作為化した、三重盲検の、プラセボ対照を用いた、多施設での2つの第3相研究(N=2015)から選択した。ADO群には35人の患者が、そしてRegadenoson群には69人の患者がいた。年齢および性別は、ADO群(68±11歳;77%が男性)とRegadenoson群(68±11歳;81%が男性)との間で、同様であった。ADO群において、35人の患者のうち5人(14%)が心臓の症状を罹患しているのに対し、Regadenoson群では、69人中3人(4%)が心臓の症状を罹患していた(p=0.12);ADO群において35人中14人(40%)で呼吸器の症状を報告されたのに対し、Regadenoson群では、69人中20人(29%)で呼吸器の症状が報告された(p=0.28)。アンギナ、第二段階のAV遮断の発生、急性肺浮腫およびロンチ症(ronchi)は、ADO群において多かった;悪心、GIの不快感および頭痛は、Regadenoson群においてより頻繁に起こった。
【0173】
結論:
ADOと比較して、COPDを有する患者は、Regadenosonの投与後に、心臓−肺の副作用を有することがより少ないようであった。したがって、Regadenosonは、この研究において、COPDを有する患者における負荷因子として使用した場合に、より望ましい安全性プロフィールを実証した。
【0174】
実施例11
背景:
反応性気道疾患を有する患者は、A2Bおよび/またはA3アデノシンレセプターを介して媒介されるアデノシンにより誘導された気管支収縮に対する危険性がある。以下の研究は、心筋灌流のために開発された薬剤であるregadenoson(REG)が、選択的A2Aアデノシンレセプターアゴニストであるということに起因して、敏感な患者において気管支痙攣を誘発するかしないかを評価する。
【0175】
方法:
2つの同様な、無作為化した、二重盲検の、プラセボ(PLC)対照を用いたクロスオーバー治験を行い、一方は、正のアデノシン一リン酸(AMP)チャレンジ(気道炎症の実証されたマーカー)を受けた喘息患者においてであり、そして、もう一方は、中等度もしくは重篤な慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する患者においてであった。両方の研究において、短時間作用型の気管支拡張薬は、研究薬物処置の前、そして、処置後の120分の時間枠の間に維持し、この間に、肺活量測定を繰り返し評価した。
【0176】
結果:
喘息およびCOPDの研究患者の平均年齢およびベースラインFEV1値は、それぞれ、26(6)歳および67(11.9)歳、ならびに、3.33(0.91)Lおよび1.58(0.57)Lであった。REG後の有害事象の種類は、2つの治験において全体的に同様であった。いずれかの研究においてもREG後に被験体の>10%で生じた事象は以下の通りであった:頻脈、眩暈感、頭痛、呼吸困難、潮紅、胸部の不快感、知覚異常(parasthesia)および悪心。REG処置後、共通して呼吸困難が起こった(喘息の研究およびCOPDの研究において、それぞれ、34%および61%)が、これは、いずれの研究においても、FEV1と相関しなかった。さらなるデータについては、以下の表4を参照のこと。
【0177】
【表4】
結論:
反応性気道を有する敏感な患者の2つの対照を用いた治験における、多数の肺評価の全体を通じて、REGとPLCとの間には、実証可能な差はほとんどなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺疾患の病歴を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に、心筋機能不全を診断する方法であって、該方法は、少なくとも10μgの少なくとも1種のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
約1000μg以下の前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが前記哺乳動物に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
投与される前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの量が、約600μgよりも多い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
投与される前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの量が、約100μgよりも多い、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
投与される前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの量が、約10μg〜約600μgの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記A2Aアデノシンレセプターアゴニストが、単一用量で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、ivボーラスにより投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、約10秒以内で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
投与される前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、約500μgよりも多い、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、約100μg〜約500μgの範囲の量で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、CVT−3033、Regadenosonおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストがRegadenosonである、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
肺疾患の病歴を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に、心筋機能不全を診断する方法であって、該方法は、放射性核種と、約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、該放射性核種および該A2Aレセプター部分アゴニストの投与後に、血流が不十分な領域について心筋層が検査される、方法。
【請求項14】
前記心筋層の検査が、前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを投与された時点から約1分以内に始まる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与は、冠血流の少なくとも2.5倍の増加をもたらす、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記冠血流の少なくとも2.5倍の増加が、前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与から約1分以内に達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記放射性核種と前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとが別々に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記放射性核種と前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとが同時に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記冠血流の少なくとも2.5倍の増加が、約5分未満の持続期間である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記冠血流の少なくとも2.5倍の増加が、約3分未満の持続期間である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストがRegadenosonである、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
肺疾患の病歴を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に、心筋機能不全を診断する方法であって、約10μg〜約600μgの範囲の量のRegadenosonを単回ivボーラスで投与する工程を包含する、方法。
【請求項23】
肺疾患の病歴を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に、心筋機能不全を診断する方法であって、約100μg〜約500μgの範囲の量のRegadenosonを単回ivボーラスで投与する工程を包含する、方法。
【請求項1】
肺疾患の病歴を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に、心筋機能不全を診断する方法であって、該方法は、少なくとも10μgの少なくとも1種のA2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
約1000μg以下の前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが前記哺乳動物に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
投与される前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの量が、約600μgよりも多い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
投与される前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの量が、約100μgよりも多い、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
投与される前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの量が、約10μg〜約600μgの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記A2Aアデノシンレセプターアゴニストが、単一用量で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、ivボーラスにより投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、約10秒以内で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
投与される前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、約500μgよりも多い、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、約100μg〜約500μgの範囲の量で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストが、CVT−3033、Regadenosonおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストがRegadenosonである、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
肺疾患の病歴を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に、心筋機能不全を診断する方法であって、該方法は、放射性核種と、約10μg〜約600μgの範囲の量のA2Aレセプター部分アゴニストとを投与する工程を包含し、ここで、該放射性核種および該A2Aレセプター部分アゴニストの投与後に、血流が不十分な領域について心筋層が検査される、方法。
【請求項14】
前記心筋層の検査が、前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストを投与された時点から約1分以内に始まる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与は、冠血流の少なくとも2.5倍の増加をもたらす、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記冠血流の少なくとも2.5倍の増加が、前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストの投与から約1分以内に達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記放射性核種と前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとが別々に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記放射性核種と前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストとが同時に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記冠血流の少なくとも2.5倍の増加が、約5分未満の持続期間である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記冠血流の少なくとも2.5倍の増加が、約3分未満の持続期間である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記A2Aアデノシンレセプター部分アゴニストがRegadenosonである、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
肺疾患の病歴を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に、心筋機能不全を診断する方法であって、約10μg〜約600μgの範囲の量のRegadenosonを単回ivボーラスで投与する工程を包含する、方法。
【請求項23】
肺疾患の病歴を有するヒト患者において、血管拡張薬により誘発させた心筋負荷灌流画像化の間に、心筋機能不全を診断する方法であって、約100μg〜約500μgの範囲の量のRegadenosonを単回ivボーラスで投与する工程を包含する、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2011−502101(P2011−502101A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530646(P2009−530646)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/079955
【国際公開番号】WO2008/042796
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(504003226)ギリアード・パロ・アルト・インコーポレイテッド (62)
【氏名又は名称原語表記】Gilead Palo Alto,Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/079955
【国際公開番号】WO2008/042796
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(504003226)ギリアード・パロ・アルト・インコーポレイテッド (62)
【氏名又は名称原語表記】Gilead Palo Alto,Inc.
【Fターム(参考)】
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