説明

胃腸洗剤、若しくは緩下剤として使用する経口投与医薬組成物

【発明の詳細な説明】
ポリエチレングリコール及び、例えば無水硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウムのような電解質の水容液から成る製剤は、診断するために結腸を迅速に洗浄するのに用いられることが知られている。
強力な胃腸洗浄が必要とされる場合、かかる製剤は通常約4■の量で経口投与され、1■当たりの組成は、代表的には次の如くである:ポリエチレングリコール59g、硫酸ナトリウム5.68g、重炭酸ナトリウム1.68g、塩化ナトリウム1.46g、塩化カリウム0.745gと1■にするための水である。
かかる製剤を用いる利点は、洗浄時間を大幅に減少(2〜3日から4〜5時間に)し、水及び電解質損失を最少とする点である。
これらは、該製剤の2つの本質的な特性から導かれる著しい改良を示し、これは主に、胃腸吸収を調整する運搬機構を補償するような生理液との同滲透圧性及び溶液(水薬)中のイオン種のバランスである。
これらの特性は消化管壁の組織における、製剤と細胞内及び細胞外液の間の等浸透(圧)性をもたらす結果を招く。
かかる製剤を開発する際に、該等浸透(圧)性は、溶液(水薬)中のイオン種を実験的にバランスを保つことにより、また、浸透圧を計算し、胃腸壁での移動を制御する機構を評価することにより得られた。
しかしながら、これらの既知の製剤の重大な欠点は、明らかに好ましくないにがい、塩からい味であるので過敏な患者は嘔吐し、従って摂取を止めなければならないことである。しかし、上記した前記利点を得るのに必要な溶液等浸透性の要求は、水溶性補助薬を従来の処方調剤へ導入するとかかる等浸透性が変化するので、一般的には可能でなく、少なくとも極めて問題性が多い。かかる点に鑑みると、若干の市場の製剤は、味中和剤(taste corrector)が該製剤を希釈するのに添加されていないことが明白である。
更に、従来の前記製剤においては、腸内菌相により発酵され得る物質の相当量を添加するのに適切でなく、それは、電気焼灼器を用いる結腸検査の場合に極めて危険であるガスが形成されるからである。溶液(水薬)の浸透条件が変化するような量の水溶性物質を導入することも可能でない。効果は、その有効性及び、該製剤の耐性が損なわれたものになる。製剤中に存在する一種若しくはそれ以上のイオン種の濃度を極めて変化させる電解質を導入することも可能でない。その結果は、浸透性を変化させることにより生ずるものと同様となる。
味中和剤用の水溶性物質、特に甘味剤(edulcorator)を添加する他の障害は、例えばサッカロース、フラクトース、グルコース及びソルビトールのような大部分の一般的な天然甘味料(sweeteners)でさえも製剤の発酵を起こし、その浸透性を変化させることである。
合成甘味料のような他の甘味剤に関しては、上記通常の問題に加えて他の問題が生じ、主に薬量を多くした時の毒性の問題であり、従って許容し得る一日薬量(ADD)を考慮に入れなければならない。
従来の製剤は、投与単位当たり4■の溶液(水薬)量を経口的に摂取されるものであり、実際には全ての既知の合成甘味剤は有効量で投与しなければならず、これは規定で定められているADDと矛盾するものである。
本発明において、実際患者に好まれるような味に著しく変化したが、胃腸洗浄を迅速にする能力(効果)に関してはかわらない上記種類の経口使用に用いる製剤を提供することを可能とすることを見出した。
本発明の他の点においては、かかる製剤は、有効な胃腸洗浄(gastrointestinal wash)を実施できるのみならず、少量の薬量で緩下剤(catharticlaxative)として有効な活性を示すことも見出した。
上記優れた効果及び以下に示される他の利点を呈する本発明は、ポリエチレングリコール、無水硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを含む型の胃腸洗剤、特に診断用に、若しくは緩下剤として使用する経口投与医薬組成物において、更に次の成分:サッカリン、アセサルファム−K及び、マンダリン、フレッシュフルーツ着香料から選定される着香料をも含有することを特徴とする医薬組成物から成るものである。他の例においては、本発明の組成物は、更にチクロをも含む。
本発明において、下記する適切な濃度範囲における上記成分の添加は、最終的な溶液(水薬)の浸透性を変えることがないことを見出し、これは要求される短い時間、例えば2〜3時間で正確かつ満足する胃腸洗浄に必要なことである。更に、他の欠点、例えば発酵及びイオンのアンバランスを誘導することなく、また許容し得る値内で組成物ADDを維持することができる。これらの効果は、快適な味と組み合わさって患者への投与の問題を解決する。
本発明を次の実施例により詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
特別マンダリンフレーバー顆粒(緩下剤若しくは胃腸洗剤)
これは1回の投与量に分配される顆粒組成物で、使用する際所定量の水道水に溶解できるものである。
0.5■の即時溶液を製造する1回の薬量処方;


製造方法;
A.調合されるべきバッチにより、薬量処方に示した比で各成分の重量を量る。
B.成分PA1を10〜20メッシュステンレス鋼スクリーンに通過させた後、該成分を適切な容量のステンレス鋼粉末混合機に入れる。
C.成分PA2を20〜30メッシュステンレス鋼スクリーンに通過させた後、添加する。
D.成分PA3,PA4,PA5,SC1,SC2,SC3及びSC4(粉末の場合のみ)を30〜40メッシュクリーンに通過させた後、添加してこれらを混合する。
E.使用する混合機を作動させて15〜30分混合する。
F.成分SC4を、全体に、若しくは部分的に液状体で用いる場合、極めて低い圧力で操作して、通常のスプレー装置を用いて、他の成分を混合しながらそれに噴射(スプレー)する。
G.混合物を、各画分の理論量の±5%の計量精度で、一般的なディスペンサーを用いて、単一薬量画分(小さい袋、ボトル等)に分配する。
H.調合の医薬的要求及び経済的要求を満足する必要な数の画分を含む最終的包装を施す。
(実施例2)
種々のフレッシュフルーツフレーバー顆粒 成分SC4を除いては実施例1を繰り返した。
SC4の代わりに、1:500と同等若しくはそれより大きいイールド(yield)を有する異なる食物品位の液体若しくは粉末フレッシュフルーツ着香料を、実施例1の表に示した量で単独で又はいろいろ組み合わせて乱雑に使用した。
例えば、典型的果物(チェリー、プラム、りんご、アプリコット等)
カンキツ類果物(レモン、みかん等)
野生果物(いちご、木いちご、コケモモ等)
熱帯果物(グレープフルーツ、パイナップル、バナナ等)
のような異なる種類であってもフレッシュフルーツ味(いわゆるウォールナッツ、ハーゼルナッツ、ピーナッツ等のドライフルーツを除く)を呈する全てのフルーツ着香料を用いて同様の結果を得た。
(実施例3)
特別マンダリンフレーバーの濃縮溶液(水薬)(緩下剤又は胃腸洗剤)
これは、使用する際、所定の最終量に水道水で希釈されるべき1回の薬量画分に分配される濃縮溶液である。
0.5■の即時溶液を製造する1回の薬量処方;


製造方法;
A.調合されるべきバッチにより薬量処方に示した比で各成分の重量を量る。
B.機械的撹拌機を具える適当な容量のステンレス鋼溶解浴に成分VSIを入れて、撹拌を開始する。
C.撹拌している間、薬量処方に示すように他の全ての成分を添加する。
D.全ての成分が溶解するまで、すなわち、約30分間(清澄溶液)撹拌を連続する。
E.溶液を、各画分の理論量の±5%の計量精度で、一般的なディスペンサーを用いて単一薬量画分(ボトル、小さな袋等)に分配する。
F.調合の医薬的要求及び経済的要求を満足する必要な数の画分を含む最終的包装を施す。
(実施例4)
種々のフレッシュフルーツフレーバー顆粒の濃縮溶液(水薬)
成分SC4を除いては実施例3を繰り返した。
SC4の代わりに、1:1000と同等若しくはそれより大きいイールドを有する異なる食物品位の液体若しくは粉末フレッシュフルーツ着香料を実施例3の表に示した量で、単独で又はいろいろ組み合わせて乱雑に使用した。
例えば、典型的果物(チェリー、プラム、りんご、アプリコット等)
カンキツ類果物(レモン、みかん等)
野生果物(いちご、木いちご、コケモモ等)
熱帯果物(グレープフルーツ、パイナップル、バナナ等)
のような異なる種類であってもフレッシュフルーツ味(いわゆるウォールナッツ、ハーゼルナッツ、ピーナッツ等のドライフルーツを除く)を呈する全てのフルーツ着香料を用いて同様の結果を得た。
(実施例5)
特別マンダリンフレーバーのすぐ使用できる溶液(水薬)
これは、すぐ使用できる水薬を、下記する薬量に従い、使用される単一薬量画分に分配されるものである。
0.5■薬量に対する処方;


製造方法;
A.調合されるべきバッチにより薬量処方に示した比で各成分の重量を量る。
B.成分VSIを、機械的撹拌機を具える適当な容量のステンレス鋼溶解浴に入れて、撹拌を開始する。
C.撹拌している間、薬量処方に示すように他の全ての成分を添加する。
D.全ての成分が溶解するまで、すなわち、約30分間(清澄溶液)撹拌を連続する。
E.溶液を、各画分の理論量の±5%の計量精度で、一般的なディスペンサーを用いて単一薬量画分(ボトル、小さな袋等)に分配する。
F.調合の医薬的要求及び経済的要求を満足する必要な数の画分を含む最終的包装を施す。
(実施例6)
種々のフレッシュフルーツフレーバーのすぐ使用できる溶液(水薬)
成分SC4を除いては実施例5を繰り返した。
SC4の代わりに、1:2000と同等若しくはそれより大きいイールドを有する異なる食物品位の液体若しくは粉末フレッシュフルーツ着香料を実施例5の表に示す量で、単独で又はいろいろ組み合わせて乱雑に使用した。
例えば、典型的果物(チェリー、プラム、りんご、アプリコット等)
カンキツ類果物(レモン、みかん等)
野生果物(いちご、木いちご、コケモモ等)
熱帯果物(グレープフルーツ、パイナップル、バナナ等)
のような異なる種類であってもフレッシュフルーツ味(いわゆるウォールナッツ、ハーゼルナッツ、ピーナッツ等のドライフルーツを除く)を呈する全てのフルーツ着香料を用いて同様の結果を得た。
本発明の組成物を実験的に試験した。次のものを各場合において評価した:発酵のようなあらゆる作用(effect)の生成;pH7.5での不安定性;所望範囲内での滲透性の維持、例えば237〜321mオスモル/■;イオンバランス;1■中のADD70(緩下剤として使用);4■中のADD70(胃腸洗浄水薬として使用)。
陰性の効果が全ての場合に全体に確認されなかった。次いで該組成物を患者に投与して、極めて味が悪いものから極めて味が良いものまで0〜10のスケールの範囲でその味を評価した。全ての試験の値を次の表に示す。


表のデータから、本発明は、最初に記載した組成物の受容しかねる味に関する技術的な問題を有効に解決する製剤を調整できることは明らかであり、一方、基礎処方調剤に他の成分を添加することから誘導される従来の懸念する陰性の効果が完全に防止することができる。
本発明においては、更に、前述の少ない薬量で、処方調剤組成物は、緩下剤として有効であることも見出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ポリエチレングリコール、無水硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを含む型の胃腸洗剤、若しくは緩下剤として使用する経口投与医薬組成物において、更に次の成分:サッカリン、アセサルファム−K及び、マンダリン、フレッシュフルーツ着香料から選定される着香料をも含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】0.5■の水溶液あたりポリエチレングリコール(分子量3000〜4000)
29.5g±20%無水硫酸ナトリウム 2.843g±10%重炭酸ナトリウム 0.843g±10%塩化ナトリウム 0.733g±10%塩化カリウム 0.371g±10%サッカリン 0.010〜0.320gアセサルファム−K 0.040〜0.160g着香料 ■1.000g を含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】チクロを更に含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】0.5■の水溶液あたりポリエチレングリコール(分子量3000〜4000)
29.5g±20%無水硫酸ナトリウム 2.843g±10%重炭酸ナトリウム 0.843g±10%塩化ナトリウム 0.733g±10%塩化カリウム 0.371g±10%サッカリン 0.010〜0.320g 0.010〜0.025gチクロ 0.100gまで アセサルファム−K 0.040〜0.160g 0.040〜0.080g着香料 ■1.000g を含むことを特徴とする請求項3記載の組成物。
【請求項5】0.5■の水溶液あたりポリエチレングリコール(分子量3000〜4000)
29.5g±20%無水硫酸ナトリウム 2.843g±10%重炭酸ナトリウム 0.843g±10%塩化ナトリウム 0.733g±10%塩化カリウム 0.371g±10%サッカリン 0.010〜0.320gチクロ 0.000〜0.100gアセサルファム−K 0.040〜0.160g着香料 ■1.000g を含むことを特徴とする水薬の最大薬量が1■で投与され、特に胃腸洗剤として使用する請求項3記載の組成物。
【請求項6】0.5■の水溶液あたりポリエチレングリコール(分子量3000〜4000)
29.5g±20%無水硫酸ナトリウム 2.843g±10%重炭酸ナトリウム 0.843g±10%塩化ナトリウム 0.733g±10%塩化カリウム 0.371g±10%サッカリン 0.010〜0.025gチクロ 0.050〜0.100gアセサルファム−K 0.040〜0.080g着香料 ■1.000g を含むことを特徴とする水薬の最大薬量が1■で投与される、特に緩下剤として使用する請求項3記載の組成物。
【請求項7】固形体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項記載の組成物。
【請求項8】水溶液体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項記載の組成物。
【請求項9】胃腸洗剤として用いる請求項1〜8のいずれか1つの項記載の組成物。
【請求項10】緩下剤として用いる請求項1〜8のいずれか1つの項記載の組成物。
【請求項11】下剤用にすぐ使用できる薬物の形態に下剤を製造するのに用いる請求項1〜8のいずれか1つの項記載の組成物。

【特許番号】特許第3255641号(P3255641)
【登録日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【発行日】平成14年2月12日(2002.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−99505
【出願日】平成2年4月17日(1990.4.17)
【公開番号】特開平2−292223
【公開日】平成2年12月3日(1990.12.3)
【審査請求日】平成9年2月25日(1997.2.25)
【出願人】(999999999)ジウリアニ ソチエタ ペル アチオニ