説明

背景地図自動位置合わせ装置

【目的】分割背景地図をつなぎ合せるとき、分割背景地図それぞれに付与する地図の座標系の座標値を自動的に計算し、付与する。
【構成】背景地図自動位置合わせ装置1は、分割背景地図を読み込み2値画像を作成するイメージスキャナ2と、2値画像を管理する2値画像入力ファイル3と、つなぎ合せの位置合わせの際の許容誤差や重なりサイズを入力するキーボード4と、イメージスキャナ2,2値画像入力ファイル3から2値画像を入力し、またキーボード4からパラメータ入力する入力制御部5と、隣接する2枚の2値画像のつなぎ合せの位置合わせを行う位置合わせ制御部6を有する。更に、位置合わせ制御部6で求めた背景地図上の座標を、位置合わせファイル7あるいは2値画像出力ファイル8に出力する出力制御部9と、分割背景地図の2値画像をディスプレイ10に送り込む表示制御部11を備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】イメージスキャナで読み込んだ分割背景地図を、ディスプレイ装置に表示し、つなぎ合せて大きな背景地図を生成する背景地図自動位置合わせ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】地図処理で使用する地図データには、測量を実際に行って作成する地理座標値に基づくベクトルデータが使用される。しかしベクトルデータを作成するには、コストがかかりすぎるので、市販されている地図帳の1ページ、1ページを分割背景地図としてイメージスキャナで読み込ませて得られる2値画像(モノクロ画像)を地図データとして使用する場合がある。この地図データを分割背景地図と呼ぶ。そして、元の大きな背景地図は、複数ページの分割背景地図をつなぎ合わせて元の大きさに戻した地図である。
【0003】2値画像は、画素(ドット)の情報の集まりであるので、背景地図として使用する場合は、隣接する2値画像との位置関係をあらかじめ定義しておく必要がある。また、測量したベクトルデータとの重ね合わせができなければならない。これらの問題を解決するためには、2値画像に測量した地理座標値のデータと同一の座標系の座標値を付与する。測量して得た地理座標値は必ず共通の座標系を基準にしており、個々の2値画像に対して地理座標系を基準にした座標値を2値画像の左下隅と右上隅に付与することによって、共通の地理座標系で測量した座標値のベクトルデータと、イメージスキャナで読み込まれる分割背景地図の2値画像の関係を対応づけることができる。図4にその例を示すと、入力された分割背景地図の2値画像の四隅の位置と、ベクトルデータ地図の四隅の地理座標データとを対応づければよい。
【0004】従来、個々の2値画像に基準座標系の座標値を付ける場合は、机上計算で座標値を求め、2値画像に付与していた。
【0005】参考文献:EWS−UX/V(Rel4.0)地図処理 地理情報システムMapview2利用の手引Mapview2によれば、背景地図は、測量データの座標系である測地座標系上の位置を表す座標値と、2値画像を管理しているファイル名によって、2値画像間の関係や測量データと関係付ける画像エレメントのデータを定義している。上述の参考文献の座標系の説明,画像エレメントの説明および2値画像の説明によれば、2値画像に付与する地理座標値は、あらかじめ計算で求め、その座標値によって画像エレメントを作成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法では、背景地図の2値画像の座標値の計算を机上で計算して行っていたため、手間がかかり、かつ不正な座標値を誤まって付与した場合のチェックが背景地図作成途中で発見できず、全2値画像に対して座標値を付け終って、ディスプレイ装置に表示を行ってみたとき誤りを発見する。その場合、全2値画像に対して再度計算し直した座標値を付与し直さねばならず、後戻り工数が膨大になる。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、分割背景地図の2値画像をつなぎ合せるとき、2値画像に付与する位置座標を自動付与する背景地図自動位置合せ装置の提供である。
【0008】そのため、この発明の背景地図自動位置合せ装置は、イメージスキャナ、あるいは2値画像入力ファイルから分割背景地図を入力する入力制御部と、隣接する2つの前記分割背景地図のへりを重ね合せて、一致させる位置合せを行う位置合わせ制御部と、前記位置合わせに基づく位置座標を前記分割背景地図に付与して2値画像出力ファイルに出力する出力制御部と、位置合わせを行った分割背景地図をディスプレイ画面につなぎ合せて大きな背景地図として表示する表示制御部と、を備る。
【0009】
【実施例】次に、この発明について図面を参照し説明する。
【0010】この発明の一実施例の構成を説明する図1を参照すると、背景地図自動位置合わせ装置1は、新規に分割背景地図を読み込み2値画像を作成するイメージスキャナ2と、作成済の2値画像を管理する2値画像入力ファイル3と、つなぎ合せの位置合わせの際、許容誤差や重なりサイズなどを入力するキーボード4と、イメージスキャナ2、あるいは2値画像入力ファイル3から2値画像を入力し、またキーボード4からパラメータを入力する入力制御部5と、入力した隣接する2枚の2値画像のつなぎ合せの位置合わせを自動で行う位置合わせ制御部6と、位置合わせ制御部6で求めた背景地図上の座標を、位置合わせファイル7、あるいは2値画像出力ファイル8に出力する出力制御部9と、イメージスキャナによって入力した分割背景地図の2値画像をディスプレイ10に送り込む表示制御部11とを備える。
【0011】位置合せファイル7は背景地図上の座標と対応する2値画像出力ファイルのファイル名を管理するファイルである。2値画像出力ファイル8はイメージスキャナ2で入力した2値画像を管理するファイルである。ディスプレイ装置10は分割背景地図をつなぎ合せる位置合わせを行って、大きい背景地図を表示するディスプレイ装置10である。
【0012】次にこの実施例の動作を示す流れ図2を参照すると、先ず、キーボード4によって1枚目の2値画像の左下隅の座標値と2値画像につける座標値の座標系と2値画像の大きさとの比率とつなぎ合せの位置合わせの際の許容誤差と重なりサイズとを入力する(ステップ21)。2値画像につける座標値の座標系と2値画像の大きさとの比率は入力した2値画像の大きさに関係なく2値画像に座標値を付けるために必要である。例えば、1枚目の2値画像の左下隅の座標値として(0,0)を入力し、比率として、座標値の座標系の長さ=10000に対応する2値画像の大きさを1024と入力したとする。そして、2値画像を入力し、その大きさがX=512,Y=512であるとすると、その2値画像に付与する座標値は左下隅(0,0),右上隅(5000,5000)となる。以降この2値画像を比較元画像とし隣接する2値画像のつなぎ合せの位置合わせが終わった時点で、左下隅、右上隅の座標値を付ける。次に、2値画像の入力方法を選択する(ステップ22)。イメージスキャナから新規に入力する場合、あるいは2値画像ファイルから入力する場合の選択を行う(ステップ22)。入力した2値画像に対しては、上述のキーボードから入力した座標値および比率によって左下隅,右上隅の座標値が求まる。この座標値を位置合わせファイルへ出力する(ステップ25)。次に、イメージスキャナ2から入力した2値画像であるか否かをチェックし、イメージスキャナ2から入力した場合(ステップ26のYes)、2値画像出力ファイル8へ出力する。以降この2値画像が比較元画像として隣接する2値画像とのつなぎ合せの位置合わせの元になる。次に隣接する2値画像をステップ29、あるいは30によって入力する。次に、先述の比較元画像と、ステップ29、あるいは30で入力した2値画像とつなぎ合せの位置合わせ処理を行う(ステップ31)。ステップ31でステップ29、あるいは30で入力した2値画像の座標値が求まるので、位置合わせファイルや2値画像ファイルへデータを出力する(ステップ32,33,34)。次に、つなぎ合せの位置合わせをする画像データがあるか否かを判定し、データがある場合は終了し(ステップ35のYes)、データがない場合(ステップ35のNo)、比較元画像の変更処理を行う(ステップ36)。これは比較元画像を変更しないか、またはステップ29、あるいは30で入力した2値画像に変更するのかの確認である。変更する場合(ステップ36のYes)、比較元画像の変更処理を行う(ステップ37)。以降2値画像の入力処理を継続する。
【0013】次につなぎ合せの位置合わせ処理(ステップ31)を流れ図3で説明する。
【0014】先ず最初に、比較元画像の右側とステップ25,26,27で入力した最新の2値画像の左側を重ね合わせる(ステップ41)。この時の重ね合わせの幅は、ステップ21で指定した重なりサイズである。例えばキーボード2から「20」と入力された場合は幅20画素(ドット)分の重ね合わせを行う。この時、重ね合わせの領域の画素間で排他的論理和をとる。この時、重ね合った同じ領域の画素間で排他的論理和をとると、重ね合わせと2値画像が完全に一致するとすべての画素の排他的論理和の結果は「0」になる。その例を図6の(a),(b)に例示する。ただし、スキャナで入力して作成した2値画像は、レンズの歪みやゴミにより、正確に一致することはあまりない。そのため、重ね合わせの領域全体に対する計算結果が「0」値になる画素の割合と、図3のステップ41で入力した許容範囲をチェックする(ステップ42)。許容範囲内の場合(ステップ42のYes)は、その位置が2枚の2値画像のつなぎ合せの重なり位置となる(ステップ47)。許容範囲外の場合(ステップ42のNo)は、比較元画像でない最新の2値画像を1画素(ドット)外側にずらして重なり領域を減らす(ステップ43)。その時、重なり領域が存在するか否かをチェックする。重なり領域が存在する場合は(ステップ44のYes)、ステップ41,42,43,44の処理を繰り返す。重なり領域が存在しない場合は(ステップ44のNo)、比較元画像の上側と最新の2値画像の下側と重ね合わせる(ステップ45のYes,46)。この時の重ね合わせはステップ41で指定した重なりサイズである。
【0015】以降、ステップ41乃至46の処理を繰り返し、比較元画像の右側→上側→左側→下側と重なりの側面を変更する。それで、重なり位置が見つからない場合は、重なりなしと判断し、終了する(ステップ45のNo)。次にステップ42で重ね合せ演算結果が許容範囲内に存在し、2枚の2値画像のつなぎ合せの位置が決まった場合は(ステップ42のYes)、最新の2値画像の左下隅と右上隅の座標値を求める(ステップ47)。これは比較元画像の左下隅と右上隅の座標が与えられているので、入力した座標値の座標系と2値画像の大きさの比率から、重なり領域の大きさである画素(ドット)数を座標値の座標系の大きさに変換することによって求めることができる。
【0016】次に、実際の運用では重なり領域分の2値画像データはだぶる必要がないので、この部分のデータを切り捨てる(ステップ48)。切り捨て重なり幅は最新の2値画像である。切り捨てを例示する図7を参照すと、先に入力した2値画像71に20画素分を重ねて、一致を検出した後から入力した2値画像72との重なり幅73を、2値画像72から切り捨てる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、背景地図として使用する分割背景地図の2値画像間のつなぎ合せの位置合わせを自動で行えるので、人手がかからず、また一致していない位置合わせを誤って判定することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】図1の実施例の動作を示す流れ図である。
【図3】実施例におけるつなぎ合せの位置合せ動作を示す流れ図である。
【図4】背景地図のつなぎ合わせを説明する図である。
【図5】2値画像のつなぎ合せを説明する図である。
【図6】子図(a),(b)は、それぞれ排他処理における一致検出を説明する図である。
【図7】重なり領域の削除を説明する図である。
【符号の説明】
1 背景地図自動位置合わせ装置
2 イメージスキャナ
3 2値画像入力ファイル
4 キーボード
5 入力制御部
6 位置合わせ制御
7 位置合わせファイル
8 2値画像ファイル
9 出力制御部
10 ディスプレイ装置
11 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 イメージスキャナ、あるいは2値画像入力ファイルから分割背景地図を入力する入力制御部と、隣接する2つの前記分割背景地図のへりを重ね合せて、つなぎ合せの位置合せを行う位置合わせ制御部と、前記位置合わせに基づく位置座標を前記分割背景地図に付与して2値画像出力ファイルに出力する出力制御部と、位置合わせを行った分割背景地図をディスプレイ画面につなぎ合せて大きな背景地図として表示する表示制御部と、を備えることを特徴とする背景地図自動位置合わせ装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開平7−192113
【公開日】平成7年(1995)7月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−332211
【出願日】平成5年(1993)12月27日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000222059)東北日本電気ソフトウェア株式会社 (10)