胸部圧迫装置で使用する圧迫ベルトシステム
胸部圧迫装置で使用する圧迫ベルトカートリッジである。圧迫ベルトカートリッジは、両刃の櫂形状のベルトと、前記ベルトが通されるカバー板とを有する。前記カバー板には、フックと、ベルトドライブプラットフォームに嵌り込むスナップラッチとが設けられている。前記カバー板は、選択されたプラットフォームだけに嵌り込むような大きさ及び寸法に形成されている。前記ベルトは、前記ベルトに取り付けられたスプラインを介して前記ベルトを締め付ける手段に装着される。前記ベルトを締め付ける手段は、前記ベルトを反復的に締め付け、これにより胸部圧迫を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する本発明は、緊急医療装置に関し、特に心停止患者蘇生の装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心肺蘇生術(CPR)は心停止に陥った人々を救急蘇生させるために用いられる、周知の貴重な救急処置である。CPRは心臓および胸腔を締め付けて、血液を体内に送り出すために胸部の反復圧迫を必要とする。肺に空気を供給するためにはマウス・トゥ・マウス式人工呼吸などの人工呼吸、またはバッグマスク装置が用いられる。救急処置を施す者が手動で効果的に胸部圧迫を行なうと、体内の血流は正常な血流の25%から30%になる。しかし、経験の長い救急救命士でも充分な胸部圧迫を数分間以上続けることはできない。Hightower, et al., Decay in Quality of Chest Compressions Over Time, 26 Ann. Emerg. Med. 300 (Sep. 1995)(ハイタワー他、「胸部圧迫特性の経時的減衰」、26 Ann. Emerg. Med. 300 (Sep. 1995))。このように、CPRによる患者の維持または蘇生はしばしば成功しないことがある。しかし胸部圧迫が充分に続けられれば、心停止の被害者を長時間延命することが可能である。長時間のCPR実施(45分から90分間)の後、被害者が冠状動脈バイパス手術により命を救われたという報告も時折報告されている。Tovar, et al., Successful Myocardial Revascularization and Neurologic Recovery, 22 Texas Heart J. 271 (1995)(トバー他、「効を奏する血管再生および神経回復」、22 Texas Heart J. 271 (1995))を参照されたい。
【0003】
より効果的に血流を提供し、居合わせた者による蘇生努力の効果を高めるべく、CPR用に各種の機械的装置が提案されている。このような装置の一形態ではベルトが患者の胸の周りに配置され、自動的な胸部圧迫装置がベルトを締めて胸部の圧迫をもたらす。我々自身の特許、Mollenauer 他、Resuscitation device having a motor driven belt to constrict/compress the chest(胸部を締め付け/圧迫するためにモータ駆動のベルトを有する蘇生装置)、米国特許第6,142,962号(2000年11月7日)、Sherman他、CPR Assit Device with Pressure Bladder Feedback,、(圧力ブラダーフィードバックを有するCPR補助装置)米国特許第6,616,620号(2003年9月9日)、Sherman他、Modular CPR assist device(モジュラーCPR補助装置)、米国特許第6,066,106号(2000年5月23日);およびSherman他、Modular CPR assist device(モジュラーCPR補助装置)、米国特許第6,398,745号(2002年6月4日)、ならびに2001年5月21日に出願された我々の出願番号09/866,377号はベルトを用いて患者の胸を圧迫する胸部圧迫装置を開示している。これらの特許または出願は各々引用によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【特許文献1】米国特許第6,142,962号
【特許文献2】米国特許第6,616,620号
【特許文献3】米国特許第6,066,106号
【特許文献4】米国特許第6,398,745号
【特許文献5】米国特許出願第09/866,377号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緊急の場合は1秒を争うため、CPR装置はいずれも使用が簡単で、患者に素早く取り付けられることが必要である。我々自身の装置は素早く取り付け易く、患者の生存の可能性を相当に高めることができる。しかし、さらに使用し易さを高め、さらに素早い取り付けを可能にし、装置の寿命および利便性を増加させるために、新規の胸部圧迫装置が設計された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
下記の装置及び方法は、胸部圧迫を行う装置で使用されるベルトカートリッジを提供するものである。カートリッジは、ベルト、前記ベルトに装着された圧迫パッド、前記ベルトが通されるカバー板、前記ベルトをベルトドライブプラットフォームのドライブスプールに取り付けるためのベルトスプライン、及び、回転自在に前記カバー板に取り付けられたベルトガードを有する。使用中、前記カバー板及び前記ベルトガードは、ベルトドライブプラットフォームのハウジングに着脱自在に取り付けられている。一方、前記ベルトはハウジングから伸び、患者の周りに固定される。
【0006】
前記ベルト自体は、非均一の幅を有する材料の単一帯である。前記ベルトには2つの部分があり、各部分は、細い共有の引きストラップ、幅広の荷重分配部分、及び、前記引きストラップと各荷重分配部分間の台形形状の変遷部分を有する。前記ベルトの変遷部分は、前記ベルトを強化する強化板を備えている。前記ベルトの各荷重分配部分には、前記ベルトを患者の周りに固定できるようにフックループ締め具が備えられている。更に、1つの荷重分配部分の中央のペグは、他の荷重分配部分の対応するアイレットに嵌合し、前記ベルトを患者の胸骨に正しく重ね合わせる手段を提供する。前記圧迫パッドは各荷重分配部分の下に配置されており、胸部圧迫を支持する。
【0007】
前記カバー板には湾曲した伸長部が備えられており、前記ベルトカートリッジは特定のベルトドライブプラットフォームにのみ嵌合するようになっている。前記カバー板には、前記カバー板が前記ベルトドライブプラットフォームにしっかりと事前設定の方位で装着するようにスナップラッチとフックも備えられている。前記カバー板をプラスチックの薄い軽量の板で作製できるように、前記カバー板にはクロスバー及び強化ビームが備えられている。胸部圧迫カートリッジ全体は、低コスト、軽量、使い捨て自在である。
【0008】
前記ベルトカートリッジは、カートリッジカバー板を介して前記ベルトドライブプラットフォームに取り付けられる。前記ベルト自体は、前記ベルトスプラインを介して1つの前記ドライブスプールに装着される。前記ベルトスプラインは、前記ドライブスプール中に備えられているスロットに嵌合する。前記スプラインがしっかりと前記スロットに嵌合するように、前記スプラインにはボスまたはキャッチが備えられており、スロットは対応する形状を有する。前記ドライブスプールの一終端の周りに配置されている前記ガイド板はスプライン挿入のガイドとなる。前記スプラインが前記スロットに挿入された後、前記スプラインを前記スロット中に更に固定するために前記ガイド板は調整される。前記スプライン及び前記ベルトが前記ドライブスプールに固定されると、前記カバー板はベルトドライブプラットフォームのハウジングに取り付けられる。
【0009】
前記カバー板を前記ハウジングに固定するために、前記カバー板に備わっているスナップラッチ及びフックは、前記ベルトドライブプラットフォームのハウジングの対応するデテント(detents)及び開口部に嵌合する。すると、カバー板の横側に配置されたベルトガードが、前記ベルトドライブプラットフォーム上に配置されたスピンドルの周りで閉じられる。前記ベルトガードは、使用中に患者、救助者、及びベルトを保護するために、前記カバー板を更に前記ベルトドライブプラットフォームに固定させる。前記ベルトガードの他に、前記カートリッジをベルトドライブプラットフォームに正しく装着する方法とベルトを患者の周りに巻きつける正しい方法をユーザに示すために、前記ハウジング、前記カバー板、及び前記ベルトにラベルが施されている。
【0010】
安全機構としては、分離可能リンク、ライナーソックス、ベルトガード、及び即時解放コネクタが含まれる。前記分離可能リンクは、前記ベルトの変遷部分の近くに装着されている。前記分離可能リンクは、事前設定の荷重閾値で壊れることにより、前記ベルト中に不安全な量の張力が発生することを防止する。前記ライナーソックスは、患者を摩擦から保護し、前記分離可能リンクを包含している。前記ライナーソックスは、前記ベルトが患者の上でなく前記ライナーソックス上を摺動するように、前記ベルトを覆っている。前記リンクが壊れると、前記リンクは前記ソックス中に残る。前記ベルトガードは、異物が前記ベルトドライブプラットフォームに入り込まないように保護する。従って、衣服類、道具、指、他の体の部分、又は他の異物が前記ベルトドライブプラットフォームを邪魔する可能性は低い。同様に、前記ベルトガードが前記ベルトドライブプラットフォームの可動部分を保護するので、患者や救助者が装置により負傷する可能性は低い。前記即時解放コネクタにより、前記ベルトは圧迫中でも安全に取り外せる。前記即時解放コネクタは、前記ベルトの荷重分配部分上に配置されている。同コネクタは、フックループ締め具と、アイレット中に配置されているペグの組み合わせである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
患者1に装着された胸部圧迫ベルトを図1に示す。胸部圧迫装置2で、ベルト3を以って圧迫が加えられ、同ベルトには右ベルト部3R及び左ベルト部3Lがある。胸部圧迫装置2には、ベルトドライブプラットフォーム4及び(そのベルトを含む)圧迫ベルトカートリッジ5が含まれている。ベルトドライブプラットフォームにはその上に患者が横たわるハウジング6、ベルトを締める手段、プロセッサ、及びハウジング上に配置されたユーザインタフェースが含まれている。ベルトを締める手段には、モータ、駆動系(クラッチ、ブレーキ及び/又はギヤボックス)、及び使用中にベルトが巻かれるドライブスプールが含まれている。ベルトを締めるには他の様々な機構が使用可能であり、それらには米国特許第4,774,160号(1998年9月13日)に記載のラッチ(Lach)その他による蘇生方法と装置、及び米国特許第5,738,637号(1998年4月14日)に記載のケリー(Kelly)その他による心停止用の胸部圧迫装置などが含まれる。これら特許の全体は、参照によりここに包含されるものとする。
【0012】
使用にあたっては、患者はハウジングに置かれ、ベルトが患者の腋窩(腋下)の下に置かれ、患者の胸の周りに巻かれて固定される。次に、ベルト締め手段がベルトを繰り返し締めて、胸部圧迫を行う。
【0013】
図1に示す圧迫ベルト3には、圧迫を効果的かつ効率的に行うことを補助する1つの構造が備えられている。すなわち、ベルトは両刃の櫂(oar)のような形状を成す。ベルトのより広い荷重分配部分16,17は、患者の胸の上方で相互固定され、使用中圧迫荷重の大部分を加えるものである。ベルトの狭い引きストラップ18,19は、ベルトドライブプラットフォームのドライブスプールに巻き取られ、使用中ベルトを締めるものである。台形状の変遷部分(transition section)20,21はベルトを強化し、荷重分配部分の幅全体にわたって力を引きストラップから荷重分配部分に伝達する。
【0014】
胸部圧迫装置が圧迫をより効率的に行え、電池を節約し、装置の圧迫能力の持続時間を長くするために、ベルトの引きストラップ18,19は幅狭くできている。ベルトの幅狭な引きストラップはベルトの質量を低減せしめ、特にベルト締め手段がベルトをドライブスプールの周りに巻きつけることによりベルトを締める場合、ベルトを患者の胸部の周りに締めるトルクを低減せしめる。更に、細い引きストラップを使用することにより、ベルトはベルトドライブプラットフォーム中の狭いチャネルビーム内に嵌るようになる。これにより、プラットフォームで細いチャネルビーム(図2の部材45参照)が使用でき、従ってベルトドライブプラットフォームの重量と寸法が低減され、同プラットフォームの強度が増加するのである。
【0015】
ベルトの荷重分配部分16,17は引きストラップより幅広く、胸部圧迫装置がより効果的かつより安全に圧迫を行えるようになっている。ベルトのより広い部分が胸部のより多くの部分を圧迫し血流を増大せしめ、従って圧迫がより効果的に行われる。更に、ベルトの幅広い部分により、患者の胸部に対して圧力が均等に分配され、より多くの力が患者に加えられ、従って血流が増大し、患者にとって胸部圧迫がより安全に行われる。
【0016】
ベルトの変遷部分20,21により引きストラップから張力が荷重分配部分に伝達され、ベルトを締め付ける。各変遷部はベルトの横の部分に沿って狭くなる。
【0017】
ベルトの右荷重分配部分16及び左荷重分配部分17には、ベルトを患者の胸部に固定できるようにフックループ締め具が備えられている。(左右荷重分配部分を相互に固定することにより、ベルトが患者の胸部の周りに固定される)。好適には、ベルトが開いて、地面に広がっているときに各フックがカーペットなどに接触しないように、フックループ締め具のフック側はベルトの前方荷重分配部分に配置されるが(この例では、左側が右荷重分配部分の前方であり、その表面である)、フックループ締め具はベルトの荷重分配部分の如何なる部分に配置されていてもよい。ベルトの装着と取り外しを助けるために、(図2に、より明らかに示す)1つのハンドル32がベルトの左終端に備えられている。ベルトの装着と取り外しを人間工学的動作とするために、ハンドルとユーザインタフェースはベルトドライブプラットフォームの同じ側に配置されている。
【0018】
ベルトの左荷重分配部分にはアイレット33が備えられており、対応する位置合わせペグ34がベルトの右荷重分配部分に備えられている。(ペグ、アイレット、及びフックループ締め具は荷重分配部分のいずれの側に配置されていてもよい)。ベルトを患者に固定するには、左荷重分配部分を右荷重分配部分の上に重ね、アイレットをペグと合わせる。(ペグはアイレット中に嵌る)。アイレット及びペグは、救助者が各荷重分配部分を相互及び患者に対して適正に合わせることを補助し、そうすることによりベルトを患者に対して適切に位置決めできる。また、アイレット及びペグは患者の身長方向に対して長いもので、組み立てられた各荷重分配部分の中心に配置されている。このように、アイレット及びペグは、救助者が患者の胸骨の中心に荷重分配部分の中心を置くことを補助するものである。更に、左右荷重分配部分はベルトに張力が加えられると相互に引き離れる傾向があるので、アイレット及びペグは同部分をお互いに引き離すせん断力に抵抗することにより、ベルトの各荷重分配部分をより強く固定するものである。
【0019】
更に、ベルトを患者の周りに固定するたびにベルトが同じ長さであるように、アイレット及びペグは救助者が繰り返しベルトを緩め、ベルトを患者の周りに固定することを可能とするものである。(使用中、救助者はカートリッジを交換せずにベルトを緩め、またそれを患者の周りに再固定する必要がある)。ベルトは同じ長さを保つので、ベルトの再固定の前と比べて、胸部圧迫装置はベルトの再固定の後、同じ深さの胸部圧迫を達成する確率が高い。
【0020】
フックループ締め具とアイレット/ペグ締め具の組み合わせにより、ベルトを患者の周りに固定する手段が得られる。同じ組み合わせで、救助者はベルトを速やかに、容易に緩めることができる。救助者は、圧迫中でも、ベルトの左端を掴み、左荷重分配部分を右荷重分配部分から持ち上げることによりベルトを緩めることができる。このように、固定機構は緊急解放機構でもある。安全性の更なる向上のために、ペグがアイレットに挿入されているかどうかを判断する電気接触スイッチ、工学センサ、又は機械的手段が備えられている。このようにして、適正なソフトウェア又はハードウェアを備える胸部圧迫装置は、ペグが完全にアイレットに挿入されているかどうかを感知できる。ペグがアイレットにない場合、胸部圧迫装置は圧迫を行わない。適正な位置合わせが検出されないと、オペレータがベルトを嵌め直せるようにシステムはオペレータに通知する。
【0021】
図2にベルトドライブプラットフォーム4の底部図を示し、ハウジング6、該ハウジングに取り付けられたベルトカートリッジ5、及びベルトドライブプラットフォーム中に配置されたベルト締め手段を示す。ベルト締め手段は、ベルトと、1つのモータに取り付けられたドライブスプール42からなる。同ドライブスプールは、カバープレート下のその位置を示すために点線で表示されている。モータ及びそれに付随する構成部品はベルトドライブプラットフォーム中に配置されている。
【0022】
ベルトドライブプラットフォームは、ベルトがどのようにしてドライブスプールの周りに巻き付けられるかを制御する制御装置を備えている。例えば、ベルトの一部が圧迫動作間にドライブスプールに巻き付けられたままでいるように、ドライブスプールが制御される。締め付け手段が患者の周りのベルトを緩めたときであって次の圧迫の開始直前の時点で、ドライブスプールの1回転に対応するベルトの長さがドライブスプールに巻き付けられたままでいる。従って、ベルトはそのカールした形状を保ち、圧迫中にベルトが折り曲がる確率が減少し、ベルトをドライブスプールの周りに巻く能率が改善される。
【0023】
ハウジングは、患者の保持材として機能する。ハンドル43は、ハウジングの持ち運びを容易にし、ハウジングに安置された患者の移動を容易にするものである。ベルトカートリッジにはベルトドライブプラットフォーム中のチャネルビーム45中に嵌るカバー板44があり、ベルトカートリッジ41をベルトドライブプラットフォーム4に固定するようになっている。各ラベル46は、ハウジング上とカバー板上に配置され、カバー板の位置調整が適正であるかを示す。カバー板は、リテイナクリップ又はスナップラッチ47,48,49,50を使用してチャネルビームに固定され、チャネルビーム内に位置合わせされている。同クリップ又はラッチは、ハウジング中の対応し、対をなすボス又はデテント間に嵌るものである。各スナップラッチと一体に形成された各タブは、ベルトドライブプラットフォームのハウジング中に配置された各スロットまで伸びている。カバー板もフック51,52,53,54を使用してチャネルビーム中に固定され、位置合わせされているが、同フックはハウジング中の対応する開口部に嵌るようになっている。更に、カバー板には他のラベル55が備えられており、警告、メーカ情報、商標や広告が表示できるようになっている。
【0024】
図3、4、5にベルトカートリッジ41を示す。使用後ベルトやカートリッジの他の要素を洗浄する必要を省くために、ベルトカートリッジは使い捨てとなっている。従って、ベルトカートリッジは患者や他のユーザが体液や他の汚染物に晒される確率を低減せしめるものである。必要ならば、患者がまだベルトドライブプラットフォーム上に載せられている間にカートリッジを交換できる。更に、ベルトカートリッジは使い捨てなので、ベルトは寿命は短いが個々の患者の形に容易に整合する材料で作製できる。
【0025】
カートリッジには、ベルト3、同ベルトに取り付けられた圧迫パッド65、ベルトクリップ、ベルトをドライブスプールに取り付けるためのキー又はスプライン66、カバー板44、及びヒンジ69,70を介してカバー板に回転自在に取り付けられた各ベルトガード67,68が含まれる。各ベルトガードは、ベルトドライブプラットフォームに取り付けられたスピンドル上に着脱自在に固定されている。図5に示すように、1つのライナー、スリーブ、又はソックスがベルト上に配置されている。ベルトは、各ベルトガード67,68に配置されたスロット71,72に通される。ベルト3に関しては、ベルトの右部3R及び左部3Lは引きストラップ18,19を共有し、各部は、荷重分配部分16,17と変遷部20,21を有する。ベルトのそれぞれの荷重分配部分にはフックループ締め具が備えられており、ベルトは患者の胸部の周りに固定できるようになっている。更に、上述のように左荷重分配部分にはアイレット33が備えられており、対応するペグ34が右荷重分配部分に備えられている(図5参照)。好適には、各引きストラップ部分は1つのストラップをなすものである。
【0026】
ベルトの各引きストラップは、スプライン66でベルトドライブプラットフォームのドライブスプールに固定されており、同スプラインはベルトの各引きストラップに取り付けられている。スプラインは、ドライブスプール中に備えられている1つのスロットに嵌っている。ドライブスプールが回転すると、引きストラップはドライブスプールに巻きつけられる。すると圧迫ベルトが締め付けられて患者の胸部で引っ張られ、これにより圧迫が行われる。
【0027】
ベルトの引きストラップ18,19は、各ベルトガード67,68に通されるが、同ベルトガードはカバー板44に回転自在に取り付けられている。各ベルトガード及びカバー板は、軽量ではあるが強いプラスチックで作られている。カバー板及び各ベルトガードは、ベルトカートリッジを着脱自在にベルトドライブプラットフォームに取り付け、使用中ベルトを保護するためのものである。すなわち、カバー板にはハウジング上の対をなす対応する各ボス及びデテント間に嵌るスナップラッチ47,48,49,50が備えられている。一体型の各タブが各スナップラッチから伸び、ハウジング中の対応するスロットに嵌合する。カバー板には、ベルトドライブプラットフォームのハウジング中の対応する開口部に嵌合するフック51,52,53,54も備えられている。各スナップラッチ及び各フックは、道具を使わずにカバー板をベルトドライブプラットフォームに着脱自在に取り付けるためのものである。各スナップラッチ及び各フックは、様々な形状と形を有していてもよい。各スナップラッチ及び各フックはまたカバー板に対して非対称であってもよく、従ってベルトドライブプラットフォーム上のカバー板を1方向のみに嵌合せしめることが可能となる。カートリッジを使い易くするために、カバー板には各ラベル46が備えられており、同ラベルはベルトドライブプラットフォームに対するカバー板の所望の方向を示すものである。
【0028】
ベルトの荷重分配部分の下部には、圧迫パッド65があり、同パッドは圧迫力の分配に影響し、胸部圧迫を補助するものである。胸部圧迫パッドの例としては、2002年7月10日出願の我々の米国特許出願第10/192,771号を参照されたい。1つの実施形態では、圧迫パッドは泡材で充填された3セクションのブラダー(bladder)である。圧迫パッドは、ベルトの使用中患者の胸部上で中央配置されるような形でベルトに配置されている。圧迫パッドは、ベルトの各荷重分配部分の下部に配置されており、二重接着テープ、フックループ締め具、又は同等の締め付け手段によりベルトに着脱自在に取り付けられている。圧迫パッドはまたライナーソックス内にも配置されている。
【0029】
圧迫ベルトカートリッジ41で更なる安全機能を提供できる。例えば、ベルトの変遷部分に縫い目88を用いてスプレッダーバー又は強化板87を取り付けてもよい。(各強化板は、ベルトの変遷部分に如何なる適切な方法でも取り付けることができる)。強化板は、ベルトの各変遷部分を強化するもので、ベルトの患者の胸部に巻きつく能力を除き、変遷部分及び荷重分配部分が捩れたり、曲がったり、折れたり、あるいは引きストラップに対して変形することを防ぐのに役立つ。強化板は、柔軟であるが硬いプラスチック又は他の非弾性の材質で作製される。
【0030】
ベルトには、荷重分配部分又は変遷部分の片側又は両側に1つ以上の分離可能カップリング又は分離可能リンク89が備えられている。分離可能リンク89又は各リンクは、1つのリンクが壊れるとベルトが分離するように、ベルトの連続部分間に差し込まれている。リンクは、事前設定の張力で壊れるようになっている。ベルトに不安全な張力が加わると、リンクが壊れ、ベルトは分離し、従って患者は過剰な力から保護される。何が不安全な張力又は過剰な力であるかは、患者と、使用される装置とベルトにより異なるが、患者の横側のベルトの領域で測定した場合、200ポンドないし500ポンドの範囲である。好適には、リンクは患者の横側のベルトの領域で測定した場合約300ポンドの張力で壊れるように設計されている。更に、リンクは故障の後それ自体に再装着するか、1つのクリップか他の組み合わせ締め付け具に装着するように設計されていてもよい。従って、リンク故障の場合、ベルトは速やかに再装着され、圧迫は最小限の遅滞で再開できる。
【0031】
ベルトの他の部分に対して荷重分配部分が捩れることを防止するために、リンクはスイベル継ぎ手として機能するように設計されていてもよいし、ベルトに沿って追加のスイベル継ぎ手をベルトに備えてもよい。スイベル継ぎ手は、引きストラップをベルト変遷部分に接続するものである。スイベル継ぎ手により、荷重分配部分は引きストラップに対して、引きストラップ自体を捩じることなく、ベルトの長手方向軸を中心として捩れるようになる。
【0032】
もう1つの安全機能は、ベルトのライナーソックス90である(図5を参照)。ライナーソックスは、圧迫パッドのみならず患者に触れる引きストラップの部分を囲むもので、そうすることにより圧迫中にベルトが移動するときの摩擦から患者を保護するものである。毛髪や他の体の部分や異物がベルトガードスロットに挟まれないように、ライナーソックスはベルトガードスロット周囲でベルトガードに取り付けられている。他端では、各ソックスはベルトの荷重分配部分の周りに配置され、同荷重分配部分に取り付けられている。
【0033】
使用中、ベルトスプラインがベルトドライブプラットフォームのドライブスプールに挿入される。次に、カートリッジのカバー板がベルトドライブプラットフォームのチャネルビームに挿入され、フック及びスナップラッチを介して固定される。各荷重分配部分が患者の胸部の上に固定された状態で、ベルトが患者の周りに巻かれる。このようにして、胸部圧迫装置はベルトを繰り返し締め付けることにより圧迫を行うのである。
【0034】
図6に、図3-5のベルトカートリッジで使用されるベルト3を示す。横たえると、ベルトは両刃の櫂かパドルの形状を有する。図3-5を参照して上記に述べたように、ベルトの右部分3R及び左部分3Lはそれぞれ荷重分配部分16,17、変遷部分20,21、そして引きストラップ18,19を有する。各引きストラップは、各荷重分配部分に対して狭くなっている。各荷重分配部分は、相互に対向して配置されており、ベルトの各荷重分配部分には各フックループ締め具96が備えられており、ベルトが患者の胸部に固定できるようになっている。左荷重分配部分にはアイレット33が備えられており、右荷重分配部分には対応するペグ34が備えられていて、ベルトを患者の周りに更に固定できるようになっている。(ペグとアイレットは様々な形状と寸法でよい。例えば、ペグは支柱、アイレットは丸い座ゴムなどである)。その他に、スプライン66がベルトに適切な方法で取り付けられる。スプラインは、ベルトドライブプラットフォームのドライブスプールにある1つのスロットに嵌るものである。従って、ドライブスプールが回転すると、引きストラップがドライブスプールに巻きつけられる。
【0035】
ベルトの変遷部分20,21は互いに対向して配置され、対応する、柔軟プラスチックである薄い(1/16インチ)の強化板97,98が備わっている。同強化板はベルトを強化するものである。(同板は、使用された材料と変遷部分の所望の硬さにより薄いか厚い、異なった材質、あるいは可変の厚さの材質であってもよいが、厚さ1/4以下の板が好適である)。強化板は、ベルト中の応力集中、ベルト中の応力欠如、ベルトのしわ、ベルトの丸み、その他の非均一の幅を有する圧迫ベルトの使用に起因する問題の影響を緩和するものである。強化板は、ベルトの変遷部分に取り付けられ、強化板の形状はベルトの変遷部分の形状に整合するのである。(強化板はどのような手段で変遷部分に取り付けられてもよく、変遷部分の上方、下方、又はその内部に配置されていてもよい)。強化板は曲がり、圧迫中患者の胴の形状に整合する。各板が患者の周りで曲がると、板の他の軸に沿っての同板の曲がり硬さが増加する。患者の胸部に沿って円滑な圧迫を与えるために、強化板の1つまたは複数の端を外側に向けて、患者の反対側に(スキーの先端のように)曲げてもよい。
【0036】
引きストラップ、荷重分配部分、及び変遷部分のベルト材質は、約0.010インチの一定厚さがあり、幾つかのベルトメーカにより製造可能な特注のファイバ強化材で作られている。我々のベルトは、樹脂で固定された高強度ファイバの単一方向複数層でできている。(これらのファイバはアライド・シグナル(Allied Signall)社から入手可能なスペクトラ(Spectra)2000ファイバであるが、炭素、ケブラ(Kevlar)(商標)及び他のファイバであってもよい)。我々の特注ベルトは多大な重量でも伸びたり切れたりせず、しかも体液、経時変化、湿度、温度などに対して抵抗性がある。
【0037】
ベルトは、平らな金属、丸い金属製ケーブル、ナイロン、帆布、その他の強くて柔軟性のある材料でも作製できる。ベルト材には、ベルト素材に直接接着したティベック(Tyvek)(商標)(高密度、紡ぎ接着ポリエチレン)又はテフロン(商標)(ポリテトラフルオロエチレン)などの追加材料の層を含めてもよい。
【0038】
ベルトカートリッジで使用される特注ベルトは、ベルトの長軸に対して0、90、6、及び-6度の角度の方位を持つ4層の積層を有する。少なくともそれらの層のうちあるものをベルトの長軸に対して斜角に配置することによりベルトの性能と寿命が向上する。ファイバを固定する樹脂は材料の体積の約60% ないし70%である。使用中の耐水性を向上させるとともに摩擦を低減するために、ベルトの外側に1つの追加層が積層される。ベルトの長軸に対して異なった方向で積層ファイバを有するように設計されたベルトは、圧迫中伸びにくい。上記のベルトは、ベルトの縦軸に沿って測定した場合ベルトの1インチの長さあたり約77,000ポンド/インチの平均剛性を有するもので、圧迫中伸びることはない。
【0039】
ベルト(又はケーブル)は、配布又は販売の前に前処理してもよい。カートリッジ及びベルトは、テストプラットフォームに配置して、販売の前にカートリッジ及びベルトを試験に供してもよい。このプロセスによりベルトの前処理が行われる。ベルトを前処理することによりベルトがスプール軸の形状に変形され、その結果圧迫中ベルトのより効率的な巻きつけが可能となる。また、前処理により使用中のベルトの変形を防ぐことができる。従って、前処理されたベルトは使用中一貫した性能を期待できる。更に、ベルトは保存中ドライブスプールに少なくとも部分的に巻きつけられており、その結果引きストラップは使用前にドライブスプールの形状に設定されている。
【0040】
ベルト及びベルトカートリッジの全体は、全ての人体サイズの95%で使用できるような大きさ及び寸法に形成されている。(極端に小さいか大きな患者だけが、圧迫ベルトカートリッジを含む装置の恩恵に浴せないこととなる)。引きストラップは(矢印99の方向で示すように、患者の身長方向に沿って)幅約2インチで、(矢印100の方向で示すように患者の幅方向に沿って)長さ約40インチである。ベルトの荷重分配部分は幅約8インチで長さ約12インチである。ベルトの変遷部分は長さ約6インチで、引きストラップと荷重分配部分との間で徐々に細くなり、従って変遷部分は台形である。ベルト材料の全ての部分は約0.010インチの一定厚みがあり、その公差は0.001インチである。ベルトは、カートリッジの重量及び装置全体の重量を減らすために薄くてもよいが、0.25インチまで厚くてもよい。
【0041】
ベルトが薄いので、圧迫装置の総重量は最低限に留められる。薄いベルトを使用することで、使用中に、より小量の材料がドライブスプールに巻き取られる。それにより、ドライブスプール及びベルト材料の総合径が減少し、従って胸部圧迫装置を作動せしめるトルクの量が低減される。このように、薄いベルトの使用はエネルギー節約に繋がり、胸部圧迫装置を作動せしめる電池の寿命が長くなる。
【0042】
図7に、図3-5で示したベルトカートリッジで使用されるカバー板44の拡大図を示す。上述のように、カバー板にはベルトカートリッジをベルトドライブプラットフォームに着脱自在に取り付け、使用中ベルトを保護するためのものである。具体的には、カバー板にはハウジングに備えられている開口部中に嵌合する各フック51,52が備えられている。カバー板にはスナップラッチ47,48も備わっており、スナップラッチはハウジングに配置されたスロットから伸びる対応する、対をなすボス又はデテントにしっかりと嵌合するものである。カバー板がハウジングに固定されると、各スナップラッチと一体で形成された各タブは各スロット内に伸びる。
【0043】
重量を削減するために、カバー板はプラスチックの薄板で作られている。強度を上げるために、カバー板には交差する各強化リブ106(図3にも図示)が備わっており、同リブはカバー板を強化し、カバー板が圧迫の力に対抗するのを補助する。カバー板を更に強化するために追加のアルミ強化ブレース107(図3にも示す)も備わっている。強化ブレースは、カバー板の高さを覆うもので、カバー板に余分の強度を与えるものである。強化ブレースはチャネルビームも強化し、ベルトドライブプラットフォームが高い力の下で変形しないように保護する。
【0044】
カバー板には、対向する湾曲伸長部108,109が備えられており、カバー板はベルトドライブプラットフォーム内に正確に嵌合するようになっている。湾曲伸長部及びカバー板の全体的寸法とサイズにより、ベルトカートリッジを受け入れるようになっていない装置に関連してベルトカートリッジを使用することが防止される。従って、カバー板はカートリッジが安全に使用されるように保証するものである。
【0045】
ベルトガード67,68がカバー板の湾曲伸長部に回転自在に取り付けられており、胸部圧迫装置使用中に、ユーザ、ベルトドライブプラットフォーム、及びベルトを保護する。使用中、各ベルトガードはスピンドルの周りに着脱自在に固定されている。ベルトガードはベルトより幅広くて、引きストラップがベルトガード中に配置された各スロット71,72を介して通される。従って、使用中、ベルトはベルトガード内でスピンドル上で摺動する。一方、各スピンドルはベルトドライブプラットフォーム中で回転する。スピンドルはベルトガードの下でも回転し、ベルトガードがスピンドルに当たるように配置されたベルトガードに対して摺動する。
【0046】
カバー板の各端では、フィンガー又は爪110,111が対応するキャッチ又はラチェット112,113の周りに引っ掛かっている。各ラチェットは、対応するヒンジ69,70に取り付けられているが、対応するベルトガードに取り付けてもよい。各爪はカバー板に取り付けられており、ベルトガードがカバー板から離れてカールしてしまうことを防止する。しかし、ユーザは(好適には道具を使用せずに)ヒンジが回転する際にラチェットを各爪から引き離すのに十分な力を加えてもよい。そうすることにより、ベルトガードに外側に向けて、カバー板の反対側に回転する自由度を与えることができる。ユーザは爪とラチェットを再び噛み合わせて、ベルトガードが外側にカールすることを再び防止できる。
【0047】
ベルトカートリッジの様々な構成部品は相互に異なった方向に配置されていてもよい。例えば、圧迫パッドをライナーソックスの内部でなくライナーソックスの下部に配置してもよい。他の実施形態では、ベルトドライブプラットフォームの位置関係が変化すると、それに従って圧迫ベルトカートリッジを変えてもよい。例えば、ドライブスプールがベルトドライブプラットフォームの片側に配置されている場合、スプラインは(ベルトガードの間でなく)各ベルトガードの外側に配置され、カートリッジの残りの部分はハウジングとベルトドライブプラットフォームに嵌合するように調整される。ベルトは他の形状を有していてもよい。例えば、ベルトは2つ以上の狭い領域を有していてもよい。(ベルトドライブプラットフォームが複数のドライブスプールを使用する場合、ベルトは複数の引きストラップのセットを有していてもよい)。更に、複数のモータ、ドライブスプール、ピストン、ハサミ機構、又は他の機械的アクチュエータなどのベルトを締める他の手段も使用できる。
【0048】
図8-11にベルトドライブプラットフォームのハウジングにベルトカートリッジを操作可能に挿入する方法を示す。図8に、ユーザ124がドライブスプール42中のスロット125にベルトスプライン66を挿入しているところを示す。ユーザは、カバー板44を外して、スプラインの前端127をドライブスプールスロット125に矢印128で示す方向に挿入する。次に、ユーザはスプラインの後端129をガイド板131に配置されている、スプラインを更に固定するガイドスロット130に嵌め込み、スプラインの後端をドライブスプールスロットに固定する。次に、ユーザはカバー板をチャネルビーム45上に固定する。カバー板をチャネルビームに固定した後、各ベルトガード67,68はベルトドライブプラットフォームの両側に固定された、対向するロッド、ローラ、又はスピンドルに装着する。ベルトがスピンドルに沿って移動する際、スピンドルは摩擦を低減せしめるものである。
【0049】
図9にスプライン66、ガイド板131、及びドライブスプールスロット125の拡大図を示す。スプラインは、スプラインがドライブスプールスロットによりしっかりと嵌合するように特定の形状を備えている。スプラインの形状は、メーカ以外の設計のスプラインの使用を防止するためのものでもあり、スプラインを不正な方向で配置することを防止する。従って、スプラインはドライブスプールスロットに鍵のように嵌るものである。
【0050】
具体的には、スプライン66は硬いプラスチック又は金属製の矩形棒又は横棒の形で提供されている。スプラインの前端127には、ドライブスプールスロットの前端144に嵌合する形状の突起状フット、ボス、又はキャッチ143が備わっている。同様に、スプラインの後端129にはドライブスプールスロットの後端146に嵌合する形状の第2突起状フット、ボス、又はキャッチ145が備わっている。(スプラインは、ドライブスプール中の異なった形状のスロットに対応するために他の形状を有していてもよい)。
【0051】
スプライン上の前側及び後側キャッチ(catches)とそれぞれ対応するために、ドライブスプールスロットには対応する凹部147,148が備えられている。従って、スプラインは鍵に類似したもので、胸部圧迫装置の使用に関してはそれと同様に機能する。図示のキャッチ、スロット、及び凹部の他に、スプラインは更にベルトドライブプラットフォーム中の1個以上のデテントにより固定されており、同デテントはスプライン上の前キャッチ又は後キャッチと噛み合うものである。デテントは、ドライブスプールスロットにスプラインが挿入されていない場合、ドライブスプールの回転を防止するベルトドライブプラットフォーム中のキャッチとしても機能する。従って、スプラインがドライブスプールスロットに正しく挿入されていないと、装置は作動しないようになっている。更に、スプラインの前端は、スロットに挿入されると電気機械的スイッチと噛み合う。スプラインがスイッチと噛み合うと、信号が発生し(あるいは中断され)、クリップがそのとき適正に噛み合っていると制御装置に通知される。更に、ベルトドライブプラットフォームにはハードウェア又はソフトウェアが備わっており、スプラインが正しく挿入されているかどうかを通知し、不正な挿入をユーザに通知し、スプラインが正しく挿入されていない場合、スプラインを再挿入するようにユーザに知らせる。
【0052】
スプライン、カバー板、又はベルトドライブプラットフォームには、特定の圧迫ベルトカートリッジが1回だけ使用される(すなわち、1回の救助中1人の患者だけに使用される)ことを保証する手段を備えてもよい。例えば、ドライブスプールスロットに挿入されると、スプラインがスプール軸スロットから除去された後にスプラインを使用不能とするための分離可能又は変形可能なタブをスプラインに備えてもよい。その他に、スプラインが承認済のメーカにより作製されたものであるかどうか、あるいはスプラインがベルトドライブプラットフォームのドライブスプールスロットに以前取り付けられていたかどうかを識別する手段をスプラインに備えてもよい。例えば、スプラインにRF識別タグ又は他の無線通信機構を取り付けてもよい。そこでは、RFタグは固有の識別番号に対応するデータを送信するものである。また、固有識別番号を記憶する磁気細片をスプラインに取り付けてもよい。特定のベルトドライブプラットフォームは、識別番号がメーカによってプラットフォームに与えられた番号に対応する場合のみ、そしてその番号が過去においてそのベルトドライブプラットフォームで使用されていない場合のみ、作動する。ベルトドライブプラットフォームが1つのネットワークに接続している場合、特定のベルトカートリッジが他のベルトドライブプラットフォームで使用された場合、そのネットワークに接続された他の全てのベルトドライブプラットフォームが認識できるようにプログラム化できる。
【0053】
更に、スプライン上の識別番号を変えるようにベルトドライブプラットフォームをプログラム化できる。そうすることにより、カートリッジを他のベルトドライブプラットフォームで使用不可能とすることができる。この機能を組み込む場合、ベルトドライブプラットフォームには強制変更機能を加えて、すでに使用済のカートリッジの再使用を可能とすることもできる。そのようにして、複数の心臓発作患者が発生したような異常事態の場合、あるいはすでに使用済のカートリッジだけしかない場合、そのカートリッジを再使用できるようにする。
【0054】
スプラインをドライブスプールスロット中で更に固定させるために、ドライブスプール42の一方の端又は両端にカラー又はガイド板131を備えている。ガイド板には、ガイド板スロット130が備わっており、それを通してスプラインの後端が挿入される。スプラインが挿入された後、スプラインをドライブスプールスロット中にしっかりと固定するためにガイド板は調整可能である。スプラインをスロットに挿入し、それをスロットから外すために、ユーザはガイド板を十分に手で動かすことができる。
【0055】
ガイド板は、ばね仕掛けとなって、チャネルビームの壁に押し込まれてスプライン挿入の空間を作るようになっていてもよく、又は、ドライブスプールスロット中にスプラインの後側を固定させるためにガイド板が回転する(あるいは回して押し込まれる)ようになっていてもよい。ガイド板がばね仕掛けの場合、同ばねはガイド板に付勢力を加える手段を構成するが、フレキシブルタブのような、ガイド板に付勢力を与える他の手段を使用してもよい。いずれにせよ、ガイド板又はドライブスプールが動かされない限りドライブスプールスロットにスプラインを挿入できないように、あるいはドライブスプールスロットからスプラインを外せないように、ドライブスプールに対してガイド板が配置される。これにより、使用中及び保存中(ドライブスプールが回転中または静止状態のとき)スプラインがドライブスプールに固定されていることが保証される。
【0056】
使用中、矢印149及び150で示すように、スプラインはドライブスプールスロットに挿入される。ドライブスプールが回転すると、ベルト3がドライブスプールに巻き付き、ベルトが締まる。ベルトが締まると、患者の胸部が圧迫される。ドライブスプールが反対方向に回転すると、患者の胸部は減圧され、ベルトが解かれて緩む。使用の後、ベルト挿入の手順を逆にしてベルトカートリッジをベルトドライブプラットフォームから外すことができる。このようにして、ベルトドライブプラットフォームの使用ごとにカートリッジを交換できる。オペレータがベルトを特別な道具なしに交換できるように、全ての装着機構は上記の如く解放可能であることが好ましい。
【0057】
図10に、ベルトドライブプラットフォームのハウジングにベルトカートリッジを装着する方法を示す。ベルトカートリッジカバー板44は、ベルトドライブプラットフォーム中の(ビーム45によって確立される)チャネルに取り付けられる。各ラベル46は、チェネルビーム内でカバー板をユーザが簡単に位置合わせできるよにするものである。カバー板上の各フック53はベルトドライブプラットフォーム中の対応する開口部158に嵌合する。各ベルトガード67は各スピンドル132の周りに着脱自在に配置されている。(スピンドルは、ベルトガードの下であってベルトドライブプラットフォーム内でのその位置を示すために点線で表示されている)。更に、各スナップラッチ47は、ベルトドライブプラットフォーム中のスロット159の端から伸びる対を成すデテント中に嵌合している。各スナップラッチから伸びる各タブはスロット自体の中に嵌っている。
【0058】
各ラベルには、ベルトドライブプラットフォーム中の凹部161に配置された矢印160と、カバー板44上の凹部163に配置された矢印162が含まれている。ベルトドライブプラットフォーム上の矢印がカバー板上の矢印を指しているとき、カバー板はチャネルビーム中で正しく位置合わせされている。そのとき、カバー板上のフック及びスナップラッチは、ベルトドライブプラットフォーム中の対応する開口部及びスロット中に嵌合する。
【0059】
各スナップラッチは、対応するスロットに1つのスナップラッチが完全に挿入するとかちっという音が聞こえるように設計されている。スナップラッチは、それらがデテント間に嵌合すると曲がるように設計されていてもよい。完全に挿入されると、スナップラッチの終端のフランジがデテントに対して滑り、フランジがスロットの端に当たるとかちっという音を立てる。更に、ベルトカートリッジがベルトドライブプラットフォームに対して一方向のみに嵌合するようにフック及びスナップラッチを合わせることができる。例えば、カバー板の方向が正しくないとカバー板がチャネルビームに嵌らないように、スナップラッチ又はフックを非対称の間隔で配置してもよい。
【0060】
ベルトドライブプラットフォーム4のスピンドル132にベルトガード68を取り付ける方法を図11に示す。各ヒンジ70によりベルトガードはベルトドライブプラットフォーム及びカバー板に対して回転できるが、カバー板44は既にベルトドライブプラットフォームに固定されている。各ベルトガードには、ベルトドライブプラットフォームに固定されたスピンドル132の周りにしっかりと固定されるように、フック形状が備えられている。ユーザは、矢印173に示すようにベルトガードをスピンドルの周りに固定できる。
【0061】
使用においては、各ベルトガードは、患者、救助者、ベルト、ベルトカートリッジ、及びベルトドライブプラットフォームを保護するものである。ベルトガードは、異物がベルトドライブプラットフォームに入り込んでチャネルビームに挟まれてしまうことを防止するものである。従って、ユーザの指や衣服、患者の衣服や体の部分、又は緊急事態の場所の近くにあるごみ類がベルトドライブプラットフォームに入り込んで、患者、救助者、又はベルトドライブプラットフォームの様々な部分やベルトカートリッジに被害を与えることはない。
【0062】
図12に圧迫ベルトカートリッジ41の拡大図を示す。圧迫ベルトカートリッジ又はベルトドライブプラットフォームの使用法に関する説明174がベルト3、ベルトライナ、カバー板、圧迫パッド、又は圧迫ベルトカートリッジの他の部分の外面に印刷されている。具体的には、図形の説明と記述の説明(点字を含む)を含む指示では、救助者に対して圧迫ベルトをどのようにして患者の周りに固定させるかに関する表示が提供されている。
【0063】
ベルトライナの外側のマーク175は、ベルトストラップが何時捩れたかを示すものである。それらのマークは、ベルト又はベルトライナの長手方向軸に対して鋭角であるか斜めである線であってもよいし、ベルト又はベルトライナの片側の濃い色の領域であってもよい。ベルトライナの片側の表面全体よりも少ない部分に印刷又はマークが表示されているのが好ましい。(過剰なインク、染料、版画、又はスティッカーなどの粘着剤を使用するとライナが硬くなり、ベルトライナがすり減ってしまう確率が大幅に増える)。これらのマーク175はまた、メーカを表示する手段ともなる。例えば、マークではメーカの名前や他の広告情報を表示できる。
【0064】
更に、圧迫ベルト及びベルトドライブプラットフォームを患者にどのようして正しく合わせるかを救助者に示すマークが備えられている。黄色か他の明るい色の方位線が圧迫ベルトの荷重分配部分の上端に配置されており、その線は圧迫ベルトの長手方向軸に平行である。圧迫ベルトが患者上に正しく置かれると、黄色い線は患者の腋窩(腋下)と合うようになる。更に、その黄色い線はベルトドライブプラットフォームのハウジング上に配置された対応する黄色い細片とも並び合う。このようにして、救助者は、ベルト及びベルトドライブプラットフォームが患者に対して、そしてお互いに正しく向かい合っていることを簡単に目で見ることができる。(他の体の部分の目印に対して他のマーク方法も使用できるので、方位線の配置は変えることができる)。
【0065】
同様に、荷重分配部分の位置合わせペグは、患者はベルトドライブプラットフォームの中心に合わせるべきで、荷重分配部分は患者の胸部の中心に合わせるべきであることを示す。従って、ベルトが正しく配置されると、ペグは患者の胸骨の中心の上に位置する。ペグは身長方向に対して長く、ペグの縦軸は患者の胸骨の中心の身長方向の線の直上でそれに対して平行に位置するようになっているのが好ましい。
【0066】
説明、位置合わせ矢印、及びカートリッジ部品は色で識別されており(あるいは独特にマークされている)、読み易くて理解し易いようになっているか、又は説明の目的を表している。例えば、アイレット33及びペグ34は黄色に塗られており(あるいは独特に色付けされているかマークされている)、それらが雌雄一対をなすことが示されている。ベルトカートリッジには色付きの警告や説明ラベル176(複数の色及び色使いも使用できる)が備えられている。警告は説明ラベルの例としては、「脇下を黄色の線に合わせる」、「救命ベルトをプラットフォームに対して90度で巻く」、「切るべからず」、「捩じるべからず」、「患者1人に使用、再使用禁止」などがある。各警告には、赤、青、黒、灰色など、異なった色を付してもよい。
【0067】
各図を参照して上記に示した装置と方法は変更可能である。例えば、スプラインは半球形で、ドライブスプール上の対応する半球に取り付けてもよい。ドライブスプール中のスロットはドライブスプールを貫通し、ベルトをスロットに通してもよい。スプラインにはドライブスプールの回りを巻くアームを備えて、スプラインをドライブスプールに固定するようにしてもよい。スプラインには磁石、カラー、デテントその他の掛け金機能を設けて、使用中スプラインがドライブスプールに固定していることを保証する。磁石の場合、荷重が大きくなるとドライブスプールに巻いたベルトの部分がベルトを保持する。
【0068】
フック及びループ締め具の代わりにバックルを使用してもよい。カートリッジにプロセッサとスピーカを備えて、プロセッサをプログラム化してユーザに音声指示を与えるようにしてもよい。その他に、複数のモータとドライブスプール、ピストン、鋏機構、又はその他の機械的アクチュエータのベルト締め手段を使用してもよい。
【0069】
同様に、ドライブスプールや複数のドライブスプールは異なった形状でもよい。その場合、新しいドライブスプールの形状に対応するために引きストラップとドライブスプール間の接続を変える必要がある。例えば、ドライブスプールの形は円錐形で、引きストラップを引きケーブルに変えたり、樹脂を含まない材質で作った引きストラップに変えてもよい。この場合、ベルト又はケーブルをドライブスプールに固定して取り付けてもよい。
【0070】
図13-15にベルト3、分離可能リンク89、及び患者に接触するベルトの部分3R,3Lを囲っているライナーソックス182,183の拡大図を示し、分離可能リンク89も示す。(ペグ34、アイレット33、スプライン66及びベルトの様々な部分16、17、18,19、20、及び21は参照用に示す。ベルトライナを明示するために圧迫パッドとカバー板は図示していない)。ゆるく装着されたライナーソックスは患者を摩擦から保護するものである。ベルトが患者の胸部を繰り返し圧迫すると、ベルトは患者の表面に沿って摩擦を発生させる。摩擦を低減せしめるある種の手段がないと、擦傷や挫傷などの圧迫関連の傷害を圧迫中にベルトが引き起こす可能性がある。更に、摩擦は圧迫装置を作動せしめるのに必要なエネルギーを増大させ、電池の寿命を短くする。ライナーソックスは、ベルトがライナに沿って容易に滑るようにさせることにより、そしてライナは患者の胸部に対して僅かに移動するようにして、患者を保護し、エネルギー効率を高めるものである。(圧迫中、ライナーソックスがある程度束になることがある)。
【0071】
ライナーソックスは、ベルトカートリッジに取り付けられ、ベルトの右部分3R及び左部分3Lの周りにソックスを形成するティベック(Tyvek)(商標)(高密度、紡ぎ接着ポリエチレン)からなるチューブである。(ライナーソックスは、水抵抗性でティベック、テフロン(商標)や他の類似物資と同様な摩擦係数を有する他の物質でできていてもよい。ライナーソックスは複数層の材料であってもよい。すなわち、ソックスの中にソックスのある材料で構成されていてもよい)。左ソックス182は一端で左ベルトガード68に取り付けられ、他の端ではベルトの左荷重分配部分17に取り付けられている。左ソックス中の穴により、ペグ34をアイレット33に挿入できるようになっている。左ソックスは、荷重分配部分の自由終端の近くのどこかでベルトに取り付けられている。右ソックス183は一端で右ベルトガード67に取り付けられ、他の端でベルトの左荷重分配部分16に取り付けられている。右ソックスは、荷重分配部分の自由終端の近くのどこかでベルトに取り付けられている。右ソックスは、圧迫パッド65に巻きつき、分離可能リンクを囲んでいる。
【0072】
分離可能リンク89はアルミや他の適切な材料で作られたシリンダである。同シリンダの中央部分190は、そのシリンダの他の端部分191,192より小さな直径を有している。リンクはシリンダの最も細い部分で壊れるので、リンクを破壊するのに必要な力はシリンダの中央部分190の半径を設定することにより正確に制御できる。リンク89が張力によって壊れると、リンクの残りの2つの終端はソックス中に残る。そのようにして、ライナーソックスは壊れたリンクが打ちあたり患者や周囲の人を怪我させる可能性を減少せしめる。その他に、別の袋やスリーブ184をリンクのいずれかの終端の近くのベルトに取り付けてもよい。袋は分離可能リンクを囲って、リンクが壊れた場合にリンクを収容する。
【0073】
ベルトに装着されたリンク又は複数のリンクには他の機能も備えることができる。例えば、リンクはスイベル継ぎ手として機能するように設計してもよい。スイベル継ぎ手は、引きストラップをベルトのベルト変遷部分に接続するものである。スイベル継ぎ手リンクにより、荷重分配部分は引きストラップに対して、ベルトの長手方向軸の周りで、引きストラップ自体を捩じることなく捩じれることができる。(引きストラップは十分に剛性があるので、使用中捩じれることはない)。引きストラップが捩じれることにより装置が誤動作することをスイベル継ぎ手リンクは防止でき、該リンクがせん断力又は捩じれ力により壊れることを防止するのを補助する。他の装置では、別個のスイベル継ぎ手が備えられ、上述のようにベルトに取り付けられる。それらの装置ではスイベル継ぎ手とリンクは相互接続していてもよいが、ベルトの別々の場所に配置されていてもよい。
【0074】
更に、リンクやスイベル継ぎ手は、1つ又は複数のリンクが分離した場合に再び噛み合う(あるいはベルトに取り付け直す)ように設計してもよい。例えば、リンクやスイベル継ぎ手を事前設定の力で壊れるクリップでベルトに取り付けて、その後ベルトに取り付け直せるようにしてもよい。同様に、スイベル継ぎ手を事前設定の力で分離する継ぎ手で接続した2個の部品で作ってもよい。ただし分離した2個の部品はその後相互に再取り付け可能とする。(他の再取り付け可能なリンクやスイベル継ぎ手の設計も使用できる)。従って、胸部圧迫中リンクが壊れても、ベルトカートリッジ全体を交換する必要はない。その代わり、破壊の原因である問題を解決し、壊れたリンク又は複数のリンクを速やかに再び噛み合わせるか再び取り付けて、胸部圧迫を再開できる。再び取り付けられたリンクは、最初に破壊を起こした力と同じ力が発生したらまた破壊する可能性がある。
【0075】
着脱可能リンクは、力センサ、圧力センサ、又はひずみゲージに操作可能に接続された着脱可能装置で構成されていてもよい。着脱可能装置は、力が加えられても破壊に対して高度に抵抗を有するが、力センサ、圧力センサ、又はひずみゲージが過剰な力を測定すると分離するものである。そのような着脱可能装置は、ユーザがリンクをそれ自体に、あるいはベルトに取り付け直せるように、そしてユーザが圧迫を速やかに再開できるように設計されていてもよい。
【0076】
図14に着脱可能リンク89に取り付けられたベルト3を示す。着脱可能リンクは、ベルトの中でベルト張力が患者上の実際の荷重に最も近く対応する場所に配置されている。従って、着脱可能リンク89はベルトの引きストラップと変遷部分の間に配置されている。着脱可能リンクはベルトの他の場所に配置してもよいが、その場合リンクに対する張力とせん断力は異なるので、リンクはベルト張力の異なった量で壊れるように調整する必要がある。ベルトの両側に複数のリンクを備えることもできる。好適には、患者に対してベルトの各側に1個のリンクを設置する。
【0077】
リンクは、過剰な張力の存在下で壊れるように設計されている(患者の片側で約200ポンドから約500ポンド、好適には約300ポンド)。着脱可能リンクは過剰な張力が加わるときれいに壊れ、破壊の前に塑性変形が発生することはほとんどない。そのようにして、ベルトに過剰な張力が加わると、リンクが壊れてベルトが分離し、患者は過剰な力から保護されるのである。
【0078】
リンクをベルトに取り付けるには、ベルトを2つの部分に分け、各対向する終端近くの対応するフラップ185,186を折って、各ベルト部分でポケットを作る。これらのポケットは、各縫い目187で固定される。各ポケット中にピン188が配置され、縫い目で固定される。各ピンは、各ポケットの対応する終端に備えられた穴189の領域に露出する。各穴はリンクの各終端を受け入れる空間を提供するもので、それによりリンク中に備わっている開口部にピンを通すことができる。(各ピンの露出していない部分は、ポケット中、そしてリンク中のそれらの位置を示すために点線で図示されている)。従って、ピンはベルトの一部分をリンクに接続し、そうすることによりベルトの各部分はリンクを介して互いに接続される。リンクは、ピンやリンクの他の部分が壊れる前にリンクの中央が壊れ、その結果ベルトが分離するようにしてある。
【0079】
図15に分離可能リンクの他の断面図を示す。分離可能リンク89はアルミ製シリンダである。シリンダの中央部190は同シリンダの終端部191,192と比べて小さな直径を有する。リンクはシリンダの最も細い部分で壊れるので、リンクを壊すのに必要な力の量は、シリンダの中央部190の最小部分の断面面積を設定することにより正確に制御できる。リンク作製に使用された材料は、またリンクを壊すために必要な力を加減するものである。異なった材料は、幾つかの要因により異なったレベルの力で壊れる。それらの要因には、リンクの断面面積、使用された合金の種類、リンクが熱処理されたものであるかどうか、行われた表面処理の種類、などが含まれる。
【0080】
シリンダの各終端には、ピンと対応するために穴193が備わっている。各穴は、円錐形ドリルでシリンダの各側から穿孔される。円錐形ドリルは、各穴の中心に対向する隆起部194を作る。ピンは隆起部の範囲内でリンクに接触し、したがってそのピンは1つの点で荷重がかかる。この方位により、リンクが壊れるように意図された方向以外の方向で過剰な力が発生することが防止される。円錐形の穴とピンの組み合わせにより、リンクはリンクが壊れるように意図された方向のみに曲がったり壊れたりするようになる。曲がりやせん断力を更に低減せしめるために、各ピン及び/又はリンクはテフロン(商標)(ポリテトラフルオロエチレン)で被覆されており、その結果各ピンはリンク穴中で最小の摩擦で揺れるようになっている。
【0081】
分離可能リンクの長さは0.942インチ、終端部での半径は0.310インチ、最も細い中央部の半径は0.088インチである。リンクの各終端部の長さは0.310インチで、リンクの中央部の長さは0.322インチである。リンクの最も細い中央部の長さは0.042インチ(中央部全体の長さ0.322インチの一部)である。これらの寸法のアルミリンクは、リンクの長軸に沿って約300ポンドの力が加えられると壊れる。リンクを壊すのに必要な力を変えるには、リンクの寸法を変えてもよい。図3-5に示す着脱可能装置とベルトカートリッジの場合、好適には約300ポンドである。アルミの他に、リンクは多様な他の材料でも作製できる。それには、他の金属(鋼鉄やマグネシウム)、ポリマー、複合材、繊維などが含まれるが、特定の力が特定の方向で作用した場合、リンクは予測可能に壊れるものでなければならない。
【0082】
ベルトを使用して胸部圧迫を行うことの安全性を向上させるために、他の装置と方法も使用できる。例えば、ベルトの摩擦係数を低下せしめる他の形態も使用できる。ライナ、ベルト、又は患者に摩擦低減材料の層を与えることもできる。例えば、テフロン(商標)の層をベルトとライナーソックスの間、ベルトと圧迫パッド、あるいはベルトと患者の間に当てがうこともできる。(摩擦低減材料の層は、患者が胸部圧迫中負傷する可能性を低減せしめ、胸部圧迫のエネルギー効率を高める)。そのようにして、ライナーソックスの代わりに、あるいはライナーソックスに追加して1枚又は複数のライナーシーツを使用して患者の負傷を防止できる。ベルトの摩擦係数はベルトを超冷却(supper-cooling)しても低減できる。タルク粉又は液のような潤滑物質を患者とベルトとの間に入れることもできるが、潤滑剤がベルトドライブプラットフォームに入り込むことを防止する手段も提供する必要がある。
【0083】
更に、異なったサイズの患者に対応するために異なったサイズのベルト及びベルトカートリッジを提供してもよい。ここに記載のベルト及びベルトカートリッジは、人口の約95%に対応するためのサイズである。従って、1つのより小さなベルトサイズと1つのより大きなベルトサイズが使用可能であるならば、3つのベルトサイズで全ての患者のサイズの大部分に対応できる(ただし、ベルトサイズの範囲で可能になるものである)。別の設計案では、1つのサイズのベルト及びカートリッジを使用して、ベルトのサイズを増大するために着脱可能なベルト伸長部を提供する。ベルト伸長部とは、カートリッジ上のベルトと同様な特性を有するある長さのベルトである。フック及びループ締め具や着脱可能リンクなどの適切な締め具を使用してベルト伸長部をカートリッジ上のベルトに接続する。
【0084】
複数のベルトサイズがある場合、救助者が患者に対してベルトの長さを測れるようにベルトにマークを備えておいてもよい。するとユーザはベルトドライブプラットフォーム中のユーザインタフェースを介してベルトのサイズをベルトドライブプラットフォームに手動で入力する。この新しいベルトサイズに対応するために、装置のソフトウェアは装置がどのようにして胸部圧迫を実行するかを変更する。そのようにして、ベルトのサイズや患者のサイズとは無関係に(装置の設計限度内で)、装置は医療ガイドラインに沿って胸部圧迫を実行する。
【0085】
他の装置では、ベルトカートリッジにはベルトのサイズをベルトドライブプラットフォームに自動的に入力する識別コード、ピンアウト、又は他の識別記号が備えられている。装置は、ベルトのサイズに基づいて(ベルトの緩みのどれだけが締め付け手段により吸収されるかということに関して)胸部圧迫の方法を変更する。ベルト伸長部の場合、ベルト伸長部には新しい総ベルト長さをプロセッサに自動的に入力するスイッチや他の識別機構を備えてもよいが、新規ベルト長さはプロセッサに手動で入力される。この場合も、ベルトドライブプラットフォームのソフトウェアは装置がどのようにして胸部圧迫を実行するかを新しい長さに基づいて変更する。
【0086】
更に、複数のモータ及びドライブスプール、ピストン、鋏機構、又は他の機械的アクチュエータなどのベルト締めの他の手段を使用してもよい。そして、そのような手段を含むベルトドライブプラットフォームやハウジングは、ベルト及びベルトカートリッジが特定のベルトドライブプラットフォーム及びベルトを締める手段に装着するように設計されている限り、様々な形状と寸法とであってもよい。
【0087】
このように、装置および方法の好適な実施形態がその開発環境に関連して説明されたが、これらは発明の原理を例示するのみである。他の実施形態および構成も発明の精神および添付の特許請求項の範囲を逸脱せずに考案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】患者に嵌合した胸部圧迫ベルトである。
【図2】圧迫を行うために1つのベルトを使用する胸部圧迫装置の底部図である。
【図3】ベルトドライブプラットフォームで使用されるベルトカートリッジの上面(前部)図である。
【図4】ベルトドライブプラットフォームで使用されるベルトカートリッジの下面(後部)図である。
【図5】ベルトドライブプラットフォームで使用されるベルトカートリッジの上面図である。
【図6】図3-5に示すベルトカートリッジで使用されるベルトである。
【図7】図3-5に示すベルトカートリッジで使用されるカバー板の拡大図である。
【図8】圧迫ベルトをドライブスプールに装着する方法を示す図である。
【図9】スプライン、ベルト、及びドライブスプールの拡大図である。
【図10】ベルトカートリッジをベルトドライブプラットフォームに装着する方法を図示する。
【図11】ベルトガードをベルトドライブプラットフォームのスピンドルに装着する方法を図示する。
【図12】圧迫ベルトカートリッジの拡大図である。
【図13】ベルト、ライナーソックス、及び分離可能リンクの断面図である。
【図14】分離可能リンクに取り付けられたベルトを示す図である。
【図15】分離可能リンクの別の断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1…患者
2…胸部圧迫装置
3…ベルト
3R…右ベルト部分
3L…左ベルト部分
4…ベルトドライブプラットフォーム
5…圧迫ベルトカートリッジ
6…ハウジング
16,17…荷重分配部
18,19…引きストラップ
20,21…変遷部分
33…アイレット
34…ペグ
【技術分野】
【0001】
以下に説明する本発明は、緊急医療装置に関し、特に心停止患者蘇生の装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心肺蘇生術(CPR)は心停止に陥った人々を救急蘇生させるために用いられる、周知の貴重な救急処置である。CPRは心臓および胸腔を締め付けて、血液を体内に送り出すために胸部の反復圧迫を必要とする。肺に空気を供給するためにはマウス・トゥ・マウス式人工呼吸などの人工呼吸、またはバッグマスク装置が用いられる。救急処置を施す者が手動で効果的に胸部圧迫を行なうと、体内の血流は正常な血流の25%から30%になる。しかし、経験の長い救急救命士でも充分な胸部圧迫を数分間以上続けることはできない。Hightower, et al., Decay in Quality of Chest Compressions Over Time, 26 Ann. Emerg. Med. 300 (Sep. 1995)(ハイタワー他、「胸部圧迫特性の経時的減衰」、26 Ann. Emerg. Med. 300 (Sep. 1995))。このように、CPRによる患者の維持または蘇生はしばしば成功しないことがある。しかし胸部圧迫が充分に続けられれば、心停止の被害者を長時間延命することが可能である。長時間のCPR実施(45分から90分間)の後、被害者が冠状動脈バイパス手術により命を救われたという報告も時折報告されている。Tovar, et al., Successful Myocardial Revascularization and Neurologic Recovery, 22 Texas Heart J. 271 (1995)(トバー他、「効を奏する血管再生および神経回復」、22 Texas Heart J. 271 (1995))を参照されたい。
【0003】
より効果的に血流を提供し、居合わせた者による蘇生努力の効果を高めるべく、CPR用に各種の機械的装置が提案されている。このような装置の一形態ではベルトが患者の胸の周りに配置され、自動的な胸部圧迫装置がベルトを締めて胸部の圧迫をもたらす。我々自身の特許、Mollenauer 他、Resuscitation device having a motor driven belt to constrict/compress the chest(胸部を締め付け/圧迫するためにモータ駆動のベルトを有する蘇生装置)、米国特許第6,142,962号(2000年11月7日)、Sherman他、CPR Assit Device with Pressure Bladder Feedback,、(圧力ブラダーフィードバックを有するCPR補助装置)米国特許第6,616,620号(2003年9月9日)、Sherman他、Modular CPR assist device(モジュラーCPR補助装置)、米国特許第6,066,106号(2000年5月23日);およびSherman他、Modular CPR assist device(モジュラーCPR補助装置)、米国特許第6,398,745号(2002年6月4日)、ならびに2001年5月21日に出願された我々の出願番号09/866,377号はベルトを用いて患者の胸を圧迫する胸部圧迫装置を開示している。これらの特許または出願は各々引用によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【特許文献1】米国特許第6,142,962号
【特許文献2】米国特許第6,616,620号
【特許文献3】米国特許第6,066,106号
【特許文献4】米国特許第6,398,745号
【特許文献5】米国特許出願第09/866,377号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緊急の場合は1秒を争うため、CPR装置はいずれも使用が簡単で、患者に素早く取り付けられることが必要である。我々自身の装置は素早く取り付け易く、患者の生存の可能性を相当に高めることができる。しかし、さらに使用し易さを高め、さらに素早い取り付けを可能にし、装置の寿命および利便性を増加させるために、新規の胸部圧迫装置が設計された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
下記の装置及び方法は、胸部圧迫を行う装置で使用されるベルトカートリッジを提供するものである。カートリッジは、ベルト、前記ベルトに装着された圧迫パッド、前記ベルトが通されるカバー板、前記ベルトをベルトドライブプラットフォームのドライブスプールに取り付けるためのベルトスプライン、及び、回転自在に前記カバー板に取り付けられたベルトガードを有する。使用中、前記カバー板及び前記ベルトガードは、ベルトドライブプラットフォームのハウジングに着脱自在に取り付けられている。一方、前記ベルトはハウジングから伸び、患者の周りに固定される。
【0006】
前記ベルト自体は、非均一の幅を有する材料の単一帯である。前記ベルトには2つの部分があり、各部分は、細い共有の引きストラップ、幅広の荷重分配部分、及び、前記引きストラップと各荷重分配部分間の台形形状の変遷部分を有する。前記ベルトの変遷部分は、前記ベルトを強化する強化板を備えている。前記ベルトの各荷重分配部分には、前記ベルトを患者の周りに固定できるようにフックループ締め具が備えられている。更に、1つの荷重分配部分の中央のペグは、他の荷重分配部分の対応するアイレットに嵌合し、前記ベルトを患者の胸骨に正しく重ね合わせる手段を提供する。前記圧迫パッドは各荷重分配部分の下に配置されており、胸部圧迫を支持する。
【0007】
前記カバー板には湾曲した伸長部が備えられており、前記ベルトカートリッジは特定のベルトドライブプラットフォームにのみ嵌合するようになっている。前記カバー板には、前記カバー板が前記ベルトドライブプラットフォームにしっかりと事前設定の方位で装着するようにスナップラッチとフックも備えられている。前記カバー板をプラスチックの薄い軽量の板で作製できるように、前記カバー板にはクロスバー及び強化ビームが備えられている。胸部圧迫カートリッジ全体は、低コスト、軽量、使い捨て自在である。
【0008】
前記ベルトカートリッジは、カートリッジカバー板を介して前記ベルトドライブプラットフォームに取り付けられる。前記ベルト自体は、前記ベルトスプラインを介して1つの前記ドライブスプールに装着される。前記ベルトスプラインは、前記ドライブスプール中に備えられているスロットに嵌合する。前記スプラインがしっかりと前記スロットに嵌合するように、前記スプラインにはボスまたはキャッチが備えられており、スロットは対応する形状を有する。前記ドライブスプールの一終端の周りに配置されている前記ガイド板はスプライン挿入のガイドとなる。前記スプラインが前記スロットに挿入された後、前記スプラインを前記スロット中に更に固定するために前記ガイド板は調整される。前記スプライン及び前記ベルトが前記ドライブスプールに固定されると、前記カバー板はベルトドライブプラットフォームのハウジングに取り付けられる。
【0009】
前記カバー板を前記ハウジングに固定するために、前記カバー板に備わっているスナップラッチ及びフックは、前記ベルトドライブプラットフォームのハウジングの対応するデテント(detents)及び開口部に嵌合する。すると、カバー板の横側に配置されたベルトガードが、前記ベルトドライブプラットフォーム上に配置されたスピンドルの周りで閉じられる。前記ベルトガードは、使用中に患者、救助者、及びベルトを保護するために、前記カバー板を更に前記ベルトドライブプラットフォームに固定させる。前記ベルトガードの他に、前記カートリッジをベルトドライブプラットフォームに正しく装着する方法とベルトを患者の周りに巻きつける正しい方法をユーザに示すために、前記ハウジング、前記カバー板、及び前記ベルトにラベルが施されている。
【0010】
安全機構としては、分離可能リンク、ライナーソックス、ベルトガード、及び即時解放コネクタが含まれる。前記分離可能リンクは、前記ベルトの変遷部分の近くに装着されている。前記分離可能リンクは、事前設定の荷重閾値で壊れることにより、前記ベルト中に不安全な量の張力が発生することを防止する。前記ライナーソックスは、患者を摩擦から保護し、前記分離可能リンクを包含している。前記ライナーソックスは、前記ベルトが患者の上でなく前記ライナーソックス上を摺動するように、前記ベルトを覆っている。前記リンクが壊れると、前記リンクは前記ソックス中に残る。前記ベルトガードは、異物が前記ベルトドライブプラットフォームに入り込まないように保護する。従って、衣服類、道具、指、他の体の部分、又は他の異物が前記ベルトドライブプラットフォームを邪魔する可能性は低い。同様に、前記ベルトガードが前記ベルトドライブプラットフォームの可動部分を保護するので、患者や救助者が装置により負傷する可能性は低い。前記即時解放コネクタにより、前記ベルトは圧迫中でも安全に取り外せる。前記即時解放コネクタは、前記ベルトの荷重分配部分上に配置されている。同コネクタは、フックループ締め具と、アイレット中に配置されているペグの組み合わせである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
患者1に装着された胸部圧迫ベルトを図1に示す。胸部圧迫装置2で、ベルト3を以って圧迫が加えられ、同ベルトには右ベルト部3R及び左ベルト部3Lがある。胸部圧迫装置2には、ベルトドライブプラットフォーム4及び(そのベルトを含む)圧迫ベルトカートリッジ5が含まれている。ベルトドライブプラットフォームにはその上に患者が横たわるハウジング6、ベルトを締める手段、プロセッサ、及びハウジング上に配置されたユーザインタフェースが含まれている。ベルトを締める手段には、モータ、駆動系(クラッチ、ブレーキ及び/又はギヤボックス)、及び使用中にベルトが巻かれるドライブスプールが含まれている。ベルトを締めるには他の様々な機構が使用可能であり、それらには米国特許第4,774,160号(1998年9月13日)に記載のラッチ(Lach)その他による蘇生方法と装置、及び米国特許第5,738,637号(1998年4月14日)に記載のケリー(Kelly)その他による心停止用の胸部圧迫装置などが含まれる。これら特許の全体は、参照によりここに包含されるものとする。
【0012】
使用にあたっては、患者はハウジングに置かれ、ベルトが患者の腋窩(腋下)の下に置かれ、患者の胸の周りに巻かれて固定される。次に、ベルト締め手段がベルトを繰り返し締めて、胸部圧迫を行う。
【0013】
図1に示す圧迫ベルト3には、圧迫を効果的かつ効率的に行うことを補助する1つの構造が備えられている。すなわち、ベルトは両刃の櫂(oar)のような形状を成す。ベルトのより広い荷重分配部分16,17は、患者の胸の上方で相互固定され、使用中圧迫荷重の大部分を加えるものである。ベルトの狭い引きストラップ18,19は、ベルトドライブプラットフォームのドライブスプールに巻き取られ、使用中ベルトを締めるものである。台形状の変遷部分(transition section)20,21はベルトを強化し、荷重分配部分の幅全体にわたって力を引きストラップから荷重分配部分に伝達する。
【0014】
胸部圧迫装置が圧迫をより効率的に行え、電池を節約し、装置の圧迫能力の持続時間を長くするために、ベルトの引きストラップ18,19は幅狭くできている。ベルトの幅狭な引きストラップはベルトの質量を低減せしめ、特にベルト締め手段がベルトをドライブスプールの周りに巻きつけることによりベルトを締める場合、ベルトを患者の胸部の周りに締めるトルクを低減せしめる。更に、細い引きストラップを使用することにより、ベルトはベルトドライブプラットフォーム中の狭いチャネルビーム内に嵌るようになる。これにより、プラットフォームで細いチャネルビーム(図2の部材45参照)が使用でき、従ってベルトドライブプラットフォームの重量と寸法が低減され、同プラットフォームの強度が増加するのである。
【0015】
ベルトの荷重分配部分16,17は引きストラップより幅広く、胸部圧迫装置がより効果的かつより安全に圧迫を行えるようになっている。ベルトのより広い部分が胸部のより多くの部分を圧迫し血流を増大せしめ、従って圧迫がより効果的に行われる。更に、ベルトの幅広い部分により、患者の胸部に対して圧力が均等に分配され、より多くの力が患者に加えられ、従って血流が増大し、患者にとって胸部圧迫がより安全に行われる。
【0016】
ベルトの変遷部分20,21により引きストラップから張力が荷重分配部分に伝達され、ベルトを締め付ける。各変遷部はベルトの横の部分に沿って狭くなる。
【0017】
ベルトの右荷重分配部分16及び左荷重分配部分17には、ベルトを患者の胸部に固定できるようにフックループ締め具が備えられている。(左右荷重分配部分を相互に固定することにより、ベルトが患者の胸部の周りに固定される)。好適には、ベルトが開いて、地面に広がっているときに各フックがカーペットなどに接触しないように、フックループ締め具のフック側はベルトの前方荷重分配部分に配置されるが(この例では、左側が右荷重分配部分の前方であり、その表面である)、フックループ締め具はベルトの荷重分配部分の如何なる部分に配置されていてもよい。ベルトの装着と取り外しを助けるために、(図2に、より明らかに示す)1つのハンドル32がベルトの左終端に備えられている。ベルトの装着と取り外しを人間工学的動作とするために、ハンドルとユーザインタフェースはベルトドライブプラットフォームの同じ側に配置されている。
【0018】
ベルトの左荷重分配部分にはアイレット33が備えられており、対応する位置合わせペグ34がベルトの右荷重分配部分に備えられている。(ペグ、アイレット、及びフックループ締め具は荷重分配部分のいずれの側に配置されていてもよい)。ベルトを患者に固定するには、左荷重分配部分を右荷重分配部分の上に重ね、アイレットをペグと合わせる。(ペグはアイレット中に嵌る)。アイレット及びペグは、救助者が各荷重分配部分を相互及び患者に対して適正に合わせることを補助し、そうすることによりベルトを患者に対して適切に位置決めできる。また、アイレット及びペグは患者の身長方向に対して長いもので、組み立てられた各荷重分配部分の中心に配置されている。このように、アイレット及びペグは、救助者が患者の胸骨の中心に荷重分配部分の中心を置くことを補助するものである。更に、左右荷重分配部分はベルトに張力が加えられると相互に引き離れる傾向があるので、アイレット及びペグは同部分をお互いに引き離すせん断力に抵抗することにより、ベルトの各荷重分配部分をより強く固定するものである。
【0019】
更に、ベルトを患者の周りに固定するたびにベルトが同じ長さであるように、アイレット及びペグは救助者が繰り返しベルトを緩め、ベルトを患者の周りに固定することを可能とするものである。(使用中、救助者はカートリッジを交換せずにベルトを緩め、またそれを患者の周りに再固定する必要がある)。ベルトは同じ長さを保つので、ベルトの再固定の前と比べて、胸部圧迫装置はベルトの再固定の後、同じ深さの胸部圧迫を達成する確率が高い。
【0020】
フックループ締め具とアイレット/ペグ締め具の組み合わせにより、ベルトを患者の周りに固定する手段が得られる。同じ組み合わせで、救助者はベルトを速やかに、容易に緩めることができる。救助者は、圧迫中でも、ベルトの左端を掴み、左荷重分配部分を右荷重分配部分から持ち上げることによりベルトを緩めることができる。このように、固定機構は緊急解放機構でもある。安全性の更なる向上のために、ペグがアイレットに挿入されているかどうかを判断する電気接触スイッチ、工学センサ、又は機械的手段が備えられている。このようにして、適正なソフトウェア又はハードウェアを備える胸部圧迫装置は、ペグが完全にアイレットに挿入されているかどうかを感知できる。ペグがアイレットにない場合、胸部圧迫装置は圧迫を行わない。適正な位置合わせが検出されないと、オペレータがベルトを嵌め直せるようにシステムはオペレータに通知する。
【0021】
図2にベルトドライブプラットフォーム4の底部図を示し、ハウジング6、該ハウジングに取り付けられたベルトカートリッジ5、及びベルトドライブプラットフォーム中に配置されたベルト締め手段を示す。ベルト締め手段は、ベルトと、1つのモータに取り付けられたドライブスプール42からなる。同ドライブスプールは、カバープレート下のその位置を示すために点線で表示されている。モータ及びそれに付随する構成部品はベルトドライブプラットフォーム中に配置されている。
【0022】
ベルトドライブプラットフォームは、ベルトがどのようにしてドライブスプールの周りに巻き付けられるかを制御する制御装置を備えている。例えば、ベルトの一部が圧迫動作間にドライブスプールに巻き付けられたままでいるように、ドライブスプールが制御される。締め付け手段が患者の周りのベルトを緩めたときであって次の圧迫の開始直前の時点で、ドライブスプールの1回転に対応するベルトの長さがドライブスプールに巻き付けられたままでいる。従って、ベルトはそのカールした形状を保ち、圧迫中にベルトが折り曲がる確率が減少し、ベルトをドライブスプールの周りに巻く能率が改善される。
【0023】
ハウジングは、患者の保持材として機能する。ハンドル43は、ハウジングの持ち運びを容易にし、ハウジングに安置された患者の移動を容易にするものである。ベルトカートリッジにはベルトドライブプラットフォーム中のチャネルビーム45中に嵌るカバー板44があり、ベルトカートリッジ41をベルトドライブプラットフォーム4に固定するようになっている。各ラベル46は、ハウジング上とカバー板上に配置され、カバー板の位置調整が適正であるかを示す。カバー板は、リテイナクリップ又はスナップラッチ47,48,49,50を使用してチャネルビームに固定され、チャネルビーム内に位置合わせされている。同クリップ又はラッチは、ハウジング中の対応し、対をなすボス又はデテント間に嵌るものである。各スナップラッチと一体に形成された各タブは、ベルトドライブプラットフォームのハウジング中に配置された各スロットまで伸びている。カバー板もフック51,52,53,54を使用してチャネルビーム中に固定され、位置合わせされているが、同フックはハウジング中の対応する開口部に嵌るようになっている。更に、カバー板には他のラベル55が備えられており、警告、メーカ情報、商標や広告が表示できるようになっている。
【0024】
図3、4、5にベルトカートリッジ41を示す。使用後ベルトやカートリッジの他の要素を洗浄する必要を省くために、ベルトカートリッジは使い捨てとなっている。従って、ベルトカートリッジは患者や他のユーザが体液や他の汚染物に晒される確率を低減せしめるものである。必要ならば、患者がまだベルトドライブプラットフォーム上に載せられている間にカートリッジを交換できる。更に、ベルトカートリッジは使い捨てなので、ベルトは寿命は短いが個々の患者の形に容易に整合する材料で作製できる。
【0025】
カートリッジには、ベルト3、同ベルトに取り付けられた圧迫パッド65、ベルトクリップ、ベルトをドライブスプールに取り付けるためのキー又はスプライン66、カバー板44、及びヒンジ69,70を介してカバー板に回転自在に取り付けられた各ベルトガード67,68が含まれる。各ベルトガードは、ベルトドライブプラットフォームに取り付けられたスピンドル上に着脱自在に固定されている。図5に示すように、1つのライナー、スリーブ、又はソックスがベルト上に配置されている。ベルトは、各ベルトガード67,68に配置されたスロット71,72に通される。ベルト3に関しては、ベルトの右部3R及び左部3Lは引きストラップ18,19を共有し、各部は、荷重分配部分16,17と変遷部20,21を有する。ベルトのそれぞれの荷重分配部分にはフックループ締め具が備えられており、ベルトは患者の胸部の周りに固定できるようになっている。更に、上述のように左荷重分配部分にはアイレット33が備えられており、対応するペグ34が右荷重分配部分に備えられている(図5参照)。好適には、各引きストラップ部分は1つのストラップをなすものである。
【0026】
ベルトの各引きストラップは、スプライン66でベルトドライブプラットフォームのドライブスプールに固定されており、同スプラインはベルトの各引きストラップに取り付けられている。スプラインは、ドライブスプール中に備えられている1つのスロットに嵌っている。ドライブスプールが回転すると、引きストラップはドライブスプールに巻きつけられる。すると圧迫ベルトが締め付けられて患者の胸部で引っ張られ、これにより圧迫が行われる。
【0027】
ベルトの引きストラップ18,19は、各ベルトガード67,68に通されるが、同ベルトガードはカバー板44に回転自在に取り付けられている。各ベルトガード及びカバー板は、軽量ではあるが強いプラスチックで作られている。カバー板及び各ベルトガードは、ベルトカートリッジを着脱自在にベルトドライブプラットフォームに取り付け、使用中ベルトを保護するためのものである。すなわち、カバー板にはハウジング上の対をなす対応する各ボス及びデテント間に嵌るスナップラッチ47,48,49,50が備えられている。一体型の各タブが各スナップラッチから伸び、ハウジング中の対応するスロットに嵌合する。カバー板には、ベルトドライブプラットフォームのハウジング中の対応する開口部に嵌合するフック51,52,53,54も備えられている。各スナップラッチ及び各フックは、道具を使わずにカバー板をベルトドライブプラットフォームに着脱自在に取り付けるためのものである。各スナップラッチ及び各フックは、様々な形状と形を有していてもよい。各スナップラッチ及び各フックはまたカバー板に対して非対称であってもよく、従ってベルトドライブプラットフォーム上のカバー板を1方向のみに嵌合せしめることが可能となる。カートリッジを使い易くするために、カバー板には各ラベル46が備えられており、同ラベルはベルトドライブプラットフォームに対するカバー板の所望の方向を示すものである。
【0028】
ベルトの荷重分配部分の下部には、圧迫パッド65があり、同パッドは圧迫力の分配に影響し、胸部圧迫を補助するものである。胸部圧迫パッドの例としては、2002年7月10日出願の我々の米国特許出願第10/192,771号を参照されたい。1つの実施形態では、圧迫パッドは泡材で充填された3セクションのブラダー(bladder)である。圧迫パッドは、ベルトの使用中患者の胸部上で中央配置されるような形でベルトに配置されている。圧迫パッドは、ベルトの各荷重分配部分の下部に配置されており、二重接着テープ、フックループ締め具、又は同等の締め付け手段によりベルトに着脱自在に取り付けられている。圧迫パッドはまたライナーソックス内にも配置されている。
【0029】
圧迫ベルトカートリッジ41で更なる安全機能を提供できる。例えば、ベルトの変遷部分に縫い目88を用いてスプレッダーバー又は強化板87を取り付けてもよい。(各強化板は、ベルトの変遷部分に如何なる適切な方法でも取り付けることができる)。強化板は、ベルトの各変遷部分を強化するもので、ベルトの患者の胸部に巻きつく能力を除き、変遷部分及び荷重分配部分が捩れたり、曲がったり、折れたり、あるいは引きストラップに対して変形することを防ぐのに役立つ。強化板は、柔軟であるが硬いプラスチック又は他の非弾性の材質で作製される。
【0030】
ベルトには、荷重分配部分又は変遷部分の片側又は両側に1つ以上の分離可能カップリング又は分離可能リンク89が備えられている。分離可能リンク89又は各リンクは、1つのリンクが壊れるとベルトが分離するように、ベルトの連続部分間に差し込まれている。リンクは、事前設定の張力で壊れるようになっている。ベルトに不安全な張力が加わると、リンクが壊れ、ベルトは分離し、従って患者は過剰な力から保護される。何が不安全な張力又は過剰な力であるかは、患者と、使用される装置とベルトにより異なるが、患者の横側のベルトの領域で測定した場合、200ポンドないし500ポンドの範囲である。好適には、リンクは患者の横側のベルトの領域で測定した場合約300ポンドの張力で壊れるように設計されている。更に、リンクは故障の後それ自体に再装着するか、1つのクリップか他の組み合わせ締め付け具に装着するように設計されていてもよい。従って、リンク故障の場合、ベルトは速やかに再装着され、圧迫は最小限の遅滞で再開できる。
【0031】
ベルトの他の部分に対して荷重分配部分が捩れることを防止するために、リンクはスイベル継ぎ手として機能するように設計されていてもよいし、ベルトに沿って追加のスイベル継ぎ手をベルトに備えてもよい。スイベル継ぎ手は、引きストラップをベルト変遷部分に接続するものである。スイベル継ぎ手により、荷重分配部分は引きストラップに対して、引きストラップ自体を捩じることなく、ベルトの長手方向軸を中心として捩れるようになる。
【0032】
もう1つの安全機能は、ベルトのライナーソックス90である(図5を参照)。ライナーソックスは、圧迫パッドのみならず患者に触れる引きストラップの部分を囲むもので、そうすることにより圧迫中にベルトが移動するときの摩擦から患者を保護するものである。毛髪や他の体の部分や異物がベルトガードスロットに挟まれないように、ライナーソックスはベルトガードスロット周囲でベルトガードに取り付けられている。他端では、各ソックスはベルトの荷重分配部分の周りに配置され、同荷重分配部分に取り付けられている。
【0033】
使用中、ベルトスプラインがベルトドライブプラットフォームのドライブスプールに挿入される。次に、カートリッジのカバー板がベルトドライブプラットフォームのチャネルビームに挿入され、フック及びスナップラッチを介して固定される。各荷重分配部分が患者の胸部の上に固定された状態で、ベルトが患者の周りに巻かれる。このようにして、胸部圧迫装置はベルトを繰り返し締め付けることにより圧迫を行うのである。
【0034】
図6に、図3-5のベルトカートリッジで使用されるベルト3を示す。横たえると、ベルトは両刃の櫂かパドルの形状を有する。図3-5を参照して上記に述べたように、ベルトの右部分3R及び左部分3Lはそれぞれ荷重分配部分16,17、変遷部分20,21、そして引きストラップ18,19を有する。各引きストラップは、各荷重分配部分に対して狭くなっている。各荷重分配部分は、相互に対向して配置されており、ベルトの各荷重分配部分には各フックループ締め具96が備えられており、ベルトが患者の胸部に固定できるようになっている。左荷重分配部分にはアイレット33が備えられており、右荷重分配部分には対応するペグ34が備えられていて、ベルトを患者の周りに更に固定できるようになっている。(ペグとアイレットは様々な形状と寸法でよい。例えば、ペグは支柱、アイレットは丸い座ゴムなどである)。その他に、スプライン66がベルトに適切な方法で取り付けられる。スプラインは、ベルトドライブプラットフォームのドライブスプールにある1つのスロットに嵌るものである。従って、ドライブスプールが回転すると、引きストラップがドライブスプールに巻きつけられる。
【0035】
ベルトの変遷部分20,21は互いに対向して配置され、対応する、柔軟プラスチックである薄い(1/16インチ)の強化板97,98が備わっている。同強化板はベルトを強化するものである。(同板は、使用された材料と変遷部分の所望の硬さにより薄いか厚い、異なった材質、あるいは可変の厚さの材質であってもよいが、厚さ1/4以下の板が好適である)。強化板は、ベルト中の応力集中、ベルト中の応力欠如、ベルトのしわ、ベルトの丸み、その他の非均一の幅を有する圧迫ベルトの使用に起因する問題の影響を緩和するものである。強化板は、ベルトの変遷部分に取り付けられ、強化板の形状はベルトの変遷部分の形状に整合するのである。(強化板はどのような手段で変遷部分に取り付けられてもよく、変遷部分の上方、下方、又はその内部に配置されていてもよい)。強化板は曲がり、圧迫中患者の胴の形状に整合する。各板が患者の周りで曲がると、板の他の軸に沿っての同板の曲がり硬さが増加する。患者の胸部に沿って円滑な圧迫を与えるために、強化板の1つまたは複数の端を外側に向けて、患者の反対側に(スキーの先端のように)曲げてもよい。
【0036】
引きストラップ、荷重分配部分、及び変遷部分のベルト材質は、約0.010インチの一定厚さがあり、幾つかのベルトメーカにより製造可能な特注のファイバ強化材で作られている。我々のベルトは、樹脂で固定された高強度ファイバの単一方向複数層でできている。(これらのファイバはアライド・シグナル(Allied Signall)社から入手可能なスペクトラ(Spectra)2000ファイバであるが、炭素、ケブラ(Kevlar)(商標)及び他のファイバであってもよい)。我々の特注ベルトは多大な重量でも伸びたり切れたりせず、しかも体液、経時変化、湿度、温度などに対して抵抗性がある。
【0037】
ベルトは、平らな金属、丸い金属製ケーブル、ナイロン、帆布、その他の強くて柔軟性のある材料でも作製できる。ベルト材には、ベルト素材に直接接着したティベック(Tyvek)(商標)(高密度、紡ぎ接着ポリエチレン)又はテフロン(商標)(ポリテトラフルオロエチレン)などの追加材料の層を含めてもよい。
【0038】
ベルトカートリッジで使用される特注ベルトは、ベルトの長軸に対して0、90、6、及び-6度の角度の方位を持つ4層の積層を有する。少なくともそれらの層のうちあるものをベルトの長軸に対して斜角に配置することによりベルトの性能と寿命が向上する。ファイバを固定する樹脂は材料の体積の約60% ないし70%である。使用中の耐水性を向上させるとともに摩擦を低減するために、ベルトの外側に1つの追加層が積層される。ベルトの長軸に対して異なった方向で積層ファイバを有するように設計されたベルトは、圧迫中伸びにくい。上記のベルトは、ベルトの縦軸に沿って測定した場合ベルトの1インチの長さあたり約77,000ポンド/インチの平均剛性を有するもので、圧迫中伸びることはない。
【0039】
ベルト(又はケーブル)は、配布又は販売の前に前処理してもよい。カートリッジ及びベルトは、テストプラットフォームに配置して、販売の前にカートリッジ及びベルトを試験に供してもよい。このプロセスによりベルトの前処理が行われる。ベルトを前処理することによりベルトがスプール軸の形状に変形され、その結果圧迫中ベルトのより効率的な巻きつけが可能となる。また、前処理により使用中のベルトの変形を防ぐことができる。従って、前処理されたベルトは使用中一貫した性能を期待できる。更に、ベルトは保存中ドライブスプールに少なくとも部分的に巻きつけられており、その結果引きストラップは使用前にドライブスプールの形状に設定されている。
【0040】
ベルト及びベルトカートリッジの全体は、全ての人体サイズの95%で使用できるような大きさ及び寸法に形成されている。(極端に小さいか大きな患者だけが、圧迫ベルトカートリッジを含む装置の恩恵に浴せないこととなる)。引きストラップは(矢印99の方向で示すように、患者の身長方向に沿って)幅約2インチで、(矢印100の方向で示すように患者の幅方向に沿って)長さ約40インチである。ベルトの荷重分配部分は幅約8インチで長さ約12インチである。ベルトの変遷部分は長さ約6インチで、引きストラップと荷重分配部分との間で徐々に細くなり、従って変遷部分は台形である。ベルト材料の全ての部分は約0.010インチの一定厚みがあり、その公差は0.001インチである。ベルトは、カートリッジの重量及び装置全体の重量を減らすために薄くてもよいが、0.25インチまで厚くてもよい。
【0041】
ベルトが薄いので、圧迫装置の総重量は最低限に留められる。薄いベルトを使用することで、使用中に、より小量の材料がドライブスプールに巻き取られる。それにより、ドライブスプール及びベルト材料の総合径が減少し、従って胸部圧迫装置を作動せしめるトルクの量が低減される。このように、薄いベルトの使用はエネルギー節約に繋がり、胸部圧迫装置を作動せしめる電池の寿命が長くなる。
【0042】
図7に、図3-5で示したベルトカートリッジで使用されるカバー板44の拡大図を示す。上述のように、カバー板にはベルトカートリッジをベルトドライブプラットフォームに着脱自在に取り付け、使用中ベルトを保護するためのものである。具体的には、カバー板にはハウジングに備えられている開口部中に嵌合する各フック51,52が備えられている。カバー板にはスナップラッチ47,48も備わっており、スナップラッチはハウジングに配置されたスロットから伸びる対応する、対をなすボス又はデテントにしっかりと嵌合するものである。カバー板がハウジングに固定されると、各スナップラッチと一体で形成された各タブは各スロット内に伸びる。
【0043】
重量を削減するために、カバー板はプラスチックの薄板で作られている。強度を上げるために、カバー板には交差する各強化リブ106(図3にも図示)が備わっており、同リブはカバー板を強化し、カバー板が圧迫の力に対抗するのを補助する。カバー板を更に強化するために追加のアルミ強化ブレース107(図3にも示す)も備わっている。強化ブレースは、カバー板の高さを覆うもので、カバー板に余分の強度を与えるものである。強化ブレースはチャネルビームも強化し、ベルトドライブプラットフォームが高い力の下で変形しないように保護する。
【0044】
カバー板には、対向する湾曲伸長部108,109が備えられており、カバー板はベルトドライブプラットフォーム内に正確に嵌合するようになっている。湾曲伸長部及びカバー板の全体的寸法とサイズにより、ベルトカートリッジを受け入れるようになっていない装置に関連してベルトカートリッジを使用することが防止される。従って、カバー板はカートリッジが安全に使用されるように保証するものである。
【0045】
ベルトガード67,68がカバー板の湾曲伸長部に回転自在に取り付けられており、胸部圧迫装置使用中に、ユーザ、ベルトドライブプラットフォーム、及びベルトを保護する。使用中、各ベルトガードはスピンドルの周りに着脱自在に固定されている。ベルトガードはベルトより幅広くて、引きストラップがベルトガード中に配置された各スロット71,72を介して通される。従って、使用中、ベルトはベルトガード内でスピンドル上で摺動する。一方、各スピンドルはベルトドライブプラットフォーム中で回転する。スピンドルはベルトガードの下でも回転し、ベルトガードがスピンドルに当たるように配置されたベルトガードに対して摺動する。
【0046】
カバー板の各端では、フィンガー又は爪110,111が対応するキャッチ又はラチェット112,113の周りに引っ掛かっている。各ラチェットは、対応するヒンジ69,70に取り付けられているが、対応するベルトガードに取り付けてもよい。各爪はカバー板に取り付けられており、ベルトガードがカバー板から離れてカールしてしまうことを防止する。しかし、ユーザは(好適には道具を使用せずに)ヒンジが回転する際にラチェットを各爪から引き離すのに十分な力を加えてもよい。そうすることにより、ベルトガードに外側に向けて、カバー板の反対側に回転する自由度を与えることができる。ユーザは爪とラチェットを再び噛み合わせて、ベルトガードが外側にカールすることを再び防止できる。
【0047】
ベルトカートリッジの様々な構成部品は相互に異なった方向に配置されていてもよい。例えば、圧迫パッドをライナーソックスの内部でなくライナーソックスの下部に配置してもよい。他の実施形態では、ベルトドライブプラットフォームの位置関係が変化すると、それに従って圧迫ベルトカートリッジを変えてもよい。例えば、ドライブスプールがベルトドライブプラットフォームの片側に配置されている場合、スプラインは(ベルトガードの間でなく)各ベルトガードの外側に配置され、カートリッジの残りの部分はハウジングとベルトドライブプラットフォームに嵌合するように調整される。ベルトは他の形状を有していてもよい。例えば、ベルトは2つ以上の狭い領域を有していてもよい。(ベルトドライブプラットフォームが複数のドライブスプールを使用する場合、ベルトは複数の引きストラップのセットを有していてもよい)。更に、複数のモータ、ドライブスプール、ピストン、ハサミ機構、又は他の機械的アクチュエータなどのベルトを締める他の手段も使用できる。
【0048】
図8-11にベルトドライブプラットフォームのハウジングにベルトカートリッジを操作可能に挿入する方法を示す。図8に、ユーザ124がドライブスプール42中のスロット125にベルトスプライン66を挿入しているところを示す。ユーザは、カバー板44を外して、スプラインの前端127をドライブスプールスロット125に矢印128で示す方向に挿入する。次に、ユーザはスプラインの後端129をガイド板131に配置されている、スプラインを更に固定するガイドスロット130に嵌め込み、スプラインの後端をドライブスプールスロットに固定する。次に、ユーザはカバー板をチャネルビーム45上に固定する。カバー板をチャネルビームに固定した後、各ベルトガード67,68はベルトドライブプラットフォームの両側に固定された、対向するロッド、ローラ、又はスピンドルに装着する。ベルトがスピンドルに沿って移動する際、スピンドルは摩擦を低減せしめるものである。
【0049】
図9にスプライン66、ガイド板131、及びドライブスプールスロット125の拡大図を示す。スプラインは、スプラインがドライブスプールスロットによりしっかりと嵌合するように特定の形状を備えている。スプラインの形状は、メーカ以外の設計のスプラインの使用を防止するためのものでもあり、スプラインを不正な方向で配置することを防止する。従って、スプラインはドライブスプールスロットに鍵のように嵌るものである。
【0050】
具体的には、スプライン66は硬いプラスチック又は金属製の矩形棒又は横棒の形で提供されている。スプラインの前端127には、ドライブスプールスロットの前端144に嵌合する形状の突起状フット、ボス、又はキャッチ143が備わっている。同様に、スプラインの後端129にはドライブスプールスロットの後端146に嵌合する形状の第2突起状フット、ボス、又はキャッチ145が備わっている。(スプラインは、ドライブスプール中の異なった形状のスロットに対応するために他の形状を有していてもよい)。
【0051】
スプライン上の前側及び後側キャッチ(catches)とそれぞれ対応するために、ドライブスプールスロットには対応する凹部147,148が備えられている。従って、スプラインは鍵に類似したもので、胸部圧迫装置の使用に関してはそれと同様に機能する。図示のキャッチ、スロット、及び凹部の他に、スプラインは更にベルトドライブプラットフォーム中の1個以上のデテントにより固定されており、同デテントはスプライン上の前キャッチ又は後キャッチと噛み合うものである。デテントは、ドライブスプールスロットにスプラインが挿入されていない場合、ドライブスプールの回転を防止するベルトドライブプラットフォーム中のキャッチとしても機能する。従って、スプラインがドライブスプールスロットに正しく挿入されていないと、装置は作動しないようになっている。更に、スプラインの前端は、スロットに挿入されると電気機械的スイッチと噛み合う。スプラインがスイッチと噛み合うと、信号が発生し(あるいは中断され)、クリップがそのとき適正に噛み合っていると制御装置に通知される。更に、ベルトドライブプラットフォームにはハードウェア又はソフトウェアが備わっており、スプラインが正しく挿入されているかどうかを通知し、不正な挿入をユーザに通知し、スプラインが正しく挿入されていない場合、スプラインを再挿入するようにユーザに知らせる。
【0052】
スプライン、カバー板、又はベルトドライブプラットフォームには、特定の圧迫ベルトカートリッジが1回だけ使用される(すなわち、1回の救助中1人の患者だけに使用される)ことを保証する手段を備えてもよい。例えば、ドライブスプールスロットに挿入されると、スプラインがスプール軸スロットから除去された後にスプラインを使用不能とするための分離可能又は変形可能なタブをスプラインに備えてもよい。その他に、スプラインが承認済のメーカにより作製されたものであるかどうか、あるいはスプラインがベルトドライブプラットフォームのドライブスプールスロットに以前取り付けられていたかどうかを識別する手段をスプラインに備えてもよい。例えば、スプラインにRF識別タグ又は他の無線通信機構を取り付けてもよい。そこでは、RFタグは固有の識別番号に対応するデータを送信するものである。また、固有識別番号を記憶する磁気細片をスプラインに取り付けてもよい。特定のベルトドライブプラットフォームは、識別番号がメーカによってプラットフォームに与えられた番号に対応する場合のみ、そしてその番号が過去においてそのベルトドライブプラットフォームで使用されていない場合のみ、作動する。ベルトドライブプラットフォームが1つのネットワークに接続している場合、特定のベルトカートリッジが他のベルトドライブプラットフォームで使用された場合、そのネットワークに接続された他の全てのベルトドライブプラットフォームが認識できるようにプログラム化できる。
【0053】
更に、スプライン上の識別番号を変えるようにベルトドライブプラットフォームをプログラム化できる。そうすることにより、カートリッジを他のベルトドライブプラットフォームで使用不可能とすることができる。この機能を組み込む場合、ベルトドライブプラットフォームには強制変更機能を加えて、すでに使用済のカートリッジの再使用を可能とすることもできる。そのようにして、複数の心臓発作患者が発生したような異常事態の場合、あるいはすでに使用済のカートリッジだけしかない場合、そのカートリッジを再使用できるようにする。
【0054】
スプラインをドライブスプールスロット中で更に固定させるために、ドライブスプール42の一方の端又は両端にカラー又はガイド板131を備えている。ガイド板には、ガイド板スロット130が備わっており、それを通してスプラインの後端が挿入される。スプラインが挿入された後、スプラインをドライブスプールスロット中にしっかりと固定するためにガイド板は調整可能である。スプラインをスロットに挿入し、それをスロットから外すために、ユーザはガイド板を十分に手で動かすことができる。
【0055】
ガイド板は、ばね仕掛けとなって、チャネルビームの壁に押し込まれてスプライン挿入の空間を作るようになっていてもよく、又は、ドライブスプールスロット中にスプラインの後側を固定させるためにガイド板が回転する(あるいは回して押し込まれる)ようになっていてもよい。ガイド板がばね仕掛けの場合、同ばねはガイド板に付勢力を加える手段を構成するが、フレキシブルタブのような、ガイド板に付勢力を与える他の手段を使用してもよい。いずれにせよ、ガイド板又はドライブスプールが動かされない限りドライブスプールスロットにスプラインを挿入できないように、あるいはドライブスプールスロットからスプラインを外せないように、ドライブスプールに対してガイド板が配置される。これにより、使用中及び保存中(ドライブスプールが回転中または静止状態のとき)スプラインがドライブスプールに固定されていることが保証される。
【0056】
使用中、矢印149及び150で示すように、スプラインはドライブスプールスロットに挿入される。ドライブスプールが回転すると、ベルト3がドライブスプールに巻き付き、ベルトが締まる。ベルトが締まると、患者の胸部が圧迫される。ドライブスプールが反対方向に回転すると、患者の胸部は減圧され、ベルトが解かれて緩む。使用の後、ベルト挿入の手順を逆にしてベルトカートリッジをベルトドライブプラットフォームから外すことができる。このようにして、ベルトドライブプラットフォームの使用ごとにカートリッジを交換できる。オペレータがベルトを特別な道具なしに交換できるように、全ての装着機構は上記の如く解放可能であることが好ましい。
【0057】
図10に、ベルトドライブプラットフォームのハウジングにベルトカートリッジを装着する方法を示す。ベルトカートリッジカバー板44は、ベルトドライブプラットフォーム中の(ビーム45によって確立される)チャネルに取り付けられる。各ラベル46は、チェネルビーム内でカバー板をユーザが簡単に位置合わせできるよにするものである。カバー板上の各フック53はベルトドライブプラットフォーム中の対応する開口部158に嵌合する。各ベルトガード67は各スピンドル132の周りに着脱自在に配置されている。(スピンドルは、ベルトガードの下であってベルトドライブプラットフォーム内でのその位置を示すために点線で表示されている)。更に、各スナップラッチ47は、ベルトドライブプラットフォーム中のスロット159の端から伸びる対を成すデテント中に嵌合している。各スナップラッチから伸びる各タブはスロット自体の中に嵌っている。
【0058】
各ラベルには、ベルトドライブプラットフォーム中の凹部161に配置された矢印160と、カバー板44上の凹部163に配置された矢印162が含まれている。ベルトドライブプラットフォーム上の矢印がカバー板上の矢印を指しているとき、カバー板はチャネルビーム中で正しく位置合わせされている。そのとき、カバー板上のフック及びスナップラッチは、ベルトドライブプラットフォーム中の対応する開口部及びスロット中に嵌合する。
【0059】
各スナップラッチは、対応するスロットに1つのスナップラッチが完全に挿入するとかちっという音が聞こえるように設計されている。スナップラッチは、それらがデテント間に嵌合すると曲がるように設計されていてもよい。完全に挿入されると、スナップラッチの終端のフランジがデテントに対して滑り、フランジがスロットの端に当たるとかちっという音を立てる。更に、ベルトカートリッジがベルトドライブプラットフォームに対して一方向のみに嵌合するようにフック及びスナップラッチを合わせることができる。例えば、カバー板の方向が正しくないとカバー板がチャネルビームに嵌らないように、スナップラッチ又はフックを非対称の間隔で配置してもよい。
【0060】
ベルトドライブプラットフォーム4のスピンドル132にベルトガード68を取り付ける方法を図11に示す。各ヒンジ70によりベルトガードはベルトドライブプラットフォーム及びカバー板に対して回転できるが、カバー板44は既にベルトドライブプラットフォームに固定されている。各ベルトガードには、ベルトドライブプラットフォームに固定されたスピンドル132の周りにしっかりと固定されるように、フック形状が備えられている。ユーザは、矢印173に示すようにベルトガードをスピンドルの周りに固定できる。
【0061】
使用においては、各ベルトガードは、患者、救助者、ベルト、ベルトカートリッジ、及びベルトドライブプラットフォームを保護するものである。ベルトガードは、異物がベルトドライブプラットフォームに入り込んでチャネルビームに挟まれてしまうことを防止するものである。従って、ユーザの指や衣服、患者の衣服や体の部分、又は緊急事態の場所の近くにあるごみ類がベルトドライブプラットフォームに入り込んで、患者、救助者、又はベルトドライブプラットフォームの様々な部分やベルトカートリッジに被害を与えることはない。
【0062】
図12に圧迫ベルトカートリッジ41の拡大図を示す。圧迫ベルトカートリッジ又はベルトドライブプラットフォームの使用法に関する説明174がベルト3、ベルトライナ、カバー板、圧迫パッド、又は圧迫ベルトカートリッジの他の部分の外面に印刷されている。具体的には、図形の説明と記述の説明(点字を含む)を含む指示では、救助者に対して圧迫ベルトをどのようにして患者の周りに固定させるかに関する表示が提供されている。
【0063】
ベルトライナの外側のマーク175は、ベルトストラップが何時捩れたかを示すものである。それらのマークは、ベルト又はベルトライナの長手方向軸に対して鋭角であるか斜めである線であってもよいし、ベルト又はベルトライナの片側の濃い色の領域であってもよい。ベルトライナの片側の表面全体よりも少ない部分に印刷又はマークが表示されているのが好ましい。(過剰なインク、染料、版画、又はスティッカーなどの粘着剤を使用するとライナが硬くなり、ベルトライナがすり減ってしまう確率が大幅に増える)。これらのマーク175はまた、メーカを表示する手段ともなる。例えば、マークではメーカの名前や他の広告情報を表示できる。
【0064】
更に、圧迫ベルト及びベルトドライブプラットフォームを患者にどのようして正しく合わせるかを救助者に示すマークが備えられている。黄色か他の明るい色の方位線が圧迫ベルトの荷重分配部分の上端に配置されており、その線は圧迫ベルトの長手方向軸に平行である。圧迫ベルトが患者上に正しく置かれると、黄色い線は患者の腋窩(腋下)と合うようになる。更に、その黄色い線はベルトドライブプラットフォームのハウジング上に配置された対応する黄色い細片とも並び合う。このようにして、救助者は、ベルト及びベルトドライブプラットフォームが患者に対して、そしてお互いに正しく向かい合っていることを簡単に目で見ることができる。(他の体の部分の目印に対して他のマーク方法も使用できるので、方位線の配置は変えることができる)。
【0065】
同様に、荷重分配部分の位置合わせペグは、患者はベルトドライブプラットフォームの中心に合わせるべきで、荷重分配部分は患者の胸部の中心に合わせるべきであることを示す。従って、ベルトが正しく配置されると、ペグは患者の胸骨の中心の上に位置する。ペグは身長方向に対して長く、ペグの縦軸は患者の胸骨の中心の身長方向の線の直上でそれに対して平行に位置するようになっているのが好ましい。
【0066】
説明、位置合わせ矢印、及びカートリッジ部品は色で識別されており(あるいは独特にマークされている)、読み易くて理解し易いようになっているか、又は説明の目的を表している。例えば、アイレット33及びペグ34は黄色に塗られており(あるいは独特に色付けされているかマークされている)、それらが雌雄一対をなすことが示されている。ベルトカートリッジには色付きの警告や説明ラベル176(複数の色及び色使いも使用できる)が備えられている。警告は説明ラベルの例としては、「脇下を黄色の線に合わせる」、「救命ベルトをプラットフォームに対して90度で巻く」、「切るべからず」、「捩じるべからず」、「患者1人に使用、再使用禁止」などがある。各警告には、赤、青、黒、灰色など、異なった色を付してもよい。
【0067】
各図を参照して上記に示した装置と方法は変更可能である。例えば、スプラインは半球形で、ドライブスプール上の対応する半球に取り付けてもよい。ドライブスプール中のスロットはドライブスプールを貫通し、ベルトをスロットに通してもよい。スプラインにはドライブスプールの回りを巻くアームを備えて、スプラインをドライブスプールに固定するようにしてもよい。スプラインには磁石、カラー、デテントその他の掛け金機能を設けて、使用中スプラインがドライブスプールに固定していることを保証する。磁石の場合、荷重が大きくなるとドライブスプールに巻いたベルトの部分がベルトを保持する。
【0068】
フック及びループ締め具の代わりにバックルを使用してもよい。カートリッジにプロセッサとスピーカを備えて、プロセッサをプログラム化してユーザに音声指示を与えるようにしてもよい。その他に、複数のモータとドライブスプール、ピストン、鋏機構、又はその他の機械的アクチュエータのベルト締め手段を使用してもよい。
【0069】
同様に、ドライブスプールや複数のドライブスプールは異なった形状でもよい。その場合、新しいドライブスプールの形状に対応するために引きストラップとドライブスプール間の接続を変える必要がある。例えば、ドライブスプールの形は円錐形で、引きストラップを引きケーブルに変えたり、樹脂を含まない材質で作った引きストラップに変えてもよい。この場合、ベルト又はケーブルをドライブスプールに固定して取り付けてもよい。
【0070】
図13-15にベルト3、分離可能リンク89、及び患者に接触するベルトの部分3R,3Lを囲っているライナーソックス182,183の拡大図を示し、分離可能リンク89も示す。(ペグ34、アイレット33、スプライン66及びベルトの様々な部分16、17、18,19、20、及び21は参照用に示す。ベルトライナを明示するために圧迫パッドとカバー板は図示していない)。ゆるく装着されたライナーソックスは患者を摩擦から保護するものである。ベルトが患者の胸部を繰り返し圧迫すると、ベルトは患者の表面に沿って摩擦を発生させる。摩擦を低減せしめるある種の手段がないと、擦傷や挫傷などの圧迫関連の傷害を圧迫中にベルトが引き起こす可能性がある。更に、摩擦は圧迫装置を作動せしめるのに必要なエネルギーを増大させ、電池の寿命を短くする。ライナーソックスは、ベルトがライナに沿って容易に滑るようにさせることにより、そしてライナは患者の胸部に対して僅かに移動するようにして、患者を保護し、エネルギー効率を高めるものである。(圧迫中、ライナーソックスがある程度束になることがある)。
【0071】
ライナーソックスは、ベルトカートリッジに取り付けられ、ベルトの右部分3R及び左部分3Lの周りにソックスを形成するティベック(Tyvek)(商標)(高密度、紡ぎ接着ポリエチレン)からなるチューブである。(ライナーソックスは、水抵抗性でティベック、テフロン(商標)や他の類似物資と同様な摩擦係数を有する他の物質でできていてもよい。ライナーソックスは複数層の材料であってもよい。すなわち、ソックスの中にソックスのある材料で構成されていてもよい)。左ソックス182は一端で左ベルトガード68に取り付けられ、他の端ではベルトの左荷重分配部分17に取り付けられている。左ソックス中の穴により、ペグ34をアイレット33に挿入できるようになっている。左ソックスは、荷重分配部分の自由終端の近くのどこかでベルトに取り付けられている。右ソックス183は一端で右ベルトガード67に取り付けられ、他の端でベルトの左荷重分配部分16に取り付けられている。右ソックスは、荷重分配部分の自由終端の近くのどこかでベルトに取り付けられている。右ソックスは、圧迫パッド65に巻きつき、分離可能リンクを囲んでいる。
【0072】
分離可能リンク89はアルミや他の適切な材料で作られたシリンダである。同シリンダの中央部分190は、そのシリンダの他の端部分191,192より小さな直径を有している。リンクはシリンダの最も細い部分で壊れるので、リンクを破壊するのに必要な力はシリンダの中央部分190の半径を設定することにより正確に制御できる。リンク89が張力によって壊れると、リンクの残りの2つの終端はソックス中に残る。そのようにして、ライナーソックスは壊れたリンクが打ちあたり患者や周囲の人を怪我させる可能性を減少せしめる。その他に、別の袋やスリーブ184をリンクのいずれかの終端の近くのベルトに取り付けてもよい。袋は分離可能リンクを囲って、リンクが壊れた場合にリンクを収容する。
【0073】
ベルトに装着されたリンク又は複数のリンクには他の機能も備えることができる。例えば、リンクはスイベル継ぎ手として機能するように設計してもよい。スイベル継ぎ手は、引きストラップをベルトのベルト変遷部分に接続するものである。スイベル継ぎ手リンクにより、荷重分配部分は引きストラップに対して、ベルトの長手方向軸の周りで、引きストラップ自体を捩じることなく捩じれることができる。(引きストラップは十分に剛性があるので、使用中捩じれることはない)。引きストラップが捩じれることにより装置が誤動作することをスイベル継ぎ手リンクは防止でき、該リンクがせん断力又は捩じれ力により壊れることを防止するのを補助する。他の装置では、別個のスイベル継ぎ手が備えられ、上述のようにベルトに取り付けられる。それらの装置ではスイベル継ぎ手とリンクは相互接続していてもよいが、ベルトの別々の場所に配置されていてもよい。
【0074】
更に、リンクやスイベル継ぎ手は、1つ又は複数のリンクが分離した場合に再び噛み合う(あるいはベルトに取り付け直す)ように設計してもよい。例えば、リンクやスイベル継ぎ手を事前設定の力で壊れるクリップでベルトに取り付けて、その後ベルトに取り付け直せるようにしてもよい。同様に、スイベル継ぎ手を事前設定の力で分離する継ぎ手で接続した2個の部品で作ってもよい。ただし分離した2個の部品はその後相互に再取り付け可能とする。(他の再取り付け可能なリンクやスイベル継ぎ手の設計も使用できる)。従って、胸部圧迫中リンクが壊れても、ベルトカートリッジ全体を交換する必要はない。その代わり、破壊の原因である問題を解決し、壊れたリンク又は複数のリンクを速やかに再び噛み合わせるか再び取り付けて、胸部圧迫を再開できる。再び取り付けられたリンクは、最初に破壊を起こした力と同じ力が発生したらまた破壊する可能性がある。
【0075】
着脱可能リンクは、力センサ、圧力センサ、又はひずみゲージに操作可能に接続された着脱可能装置で構成されていてもよい。着脱可能装置は、力が加えられても破壊に対して高度に抵抗を有するが、力センサ、圧力センサ、又はひずみゲージが過剰な力を測定すると分離するものである。そのような着脱可能装置は、ユーザがリンクをそれ自体に、あるいはベルトに取り付け直せるように、そしてユーザが圧迫を速やかに再開できるように設計されていてもよい。
【0076】
図14に着脱可能リンク89に取り付けられたベルト3を示す。着脱可能リンクは、ベルトの中でベルト張力が患者上の実際の荷重に最も近く対応する場所に配置されている。従って、着脱可能リンク89はベルトの引きストラップと変遷部分の間に配置されている。着脱可能リンクはベルトの他の場所に配置してもよいが、その場合リンクに対する張力とせん断力は異なるので、リンクはベルト張力の異なった量で壊れるように調整する必要がある。ベルトの両側に複数のリンクを備えることもできる。好適には、患者に対してベルトの各側に1個のリンクを設置する。
【0077】
リンクは、過剰な張力の存在下で壊れるように設計されている(患者の片側で約200ポンドから約500ポンド、好適には約300ポンド)。着脱可能リンクは過剰な張力が加わるときれいに壊れ、破壊の前に塑性変形が発生することはほとんどない。そのようにして、ベルトに過剰な張力が加わると、リンクが壊れてベルトが分離し、患者は過剰な力から保護されるのである。
【0078】
リンクをベルトに取り付けるには、ベルトを2つの部分に分け、各対向する終端近くの対応するフラップ185,186を折って、各ベルト部分でポケットを作る。これらのポケットは、各縫い目187で固定される。各ポケット中にピン188が配置され、縫い目で固定される。各ピンは、各ポケットの対応する終端に備えられた穴189の領域に露出する。各穴はリンクの各終端を受け入れる空間を提供するもので、それによりリンク中に備わっている開口部にピンを通すことができる。(各ピンの露出していない部分は、ポケット中、そしてリンク中のそれらの位置を示すために点線で図示されている)。従って、ピンはベルトの一部分をリンクに接続し、そうすることによりベルトの各部分はリンクを介して互いに接続される。リンクは、ピンやリンクの他の部分が壊れる前にリンクの中央が壊れ、その結果ベルトが分離するようにしてある。
【0079】
図15に分離可能リンクの他の断面図を示す。分離可能リンク89はアルミ製シリンダである。シリンダの中央部190は同シリンダの終端部191,192と比べて小さな直径を有する。リンクはシリンダの最も細い部分で壊れるので、リンクを壊すのに必要な力の量は、シリンダの中央部190の最小部分の断面面積を設定することにより正確に制御できる。リンク作製に使用された材料は、またリンクを壊すために必要な力を加減するものである。異なった材料は、幾つかの要因により異なったレベルの力で壊れる。それらの要因には、リンクの断面面積、使用された合金の種類、リンクが熱処理されたものであるかどうか、行われた表面処理の種類、などが含まれる。
【0080】
シリンダの各終端には、ピンと対応するために穴193が備わっている。各穴は、円錐形ドリルでシリンダの各側から穿孔される。円錐形ドリルは、各穴の中心に対向する隆起部194を作る。ピンは隆起部の範囲内でリンクに接触し、したがってそのピンは1つの点で荷重がかかる。この方位により、リンクが壊れるように意図された方向以外の方向で過剰な力が発生することが防止される。円錐形の穴とピンの組み合わせにより、リンクはリンクが壊れるように意図された方向のみに曲がったり壊れたりするようになる。曲がりやせん断力を更に低減せしめるために、各ピン及び/又はリンクはテフロン(商標)(ポリテトラフルオロエチレン)で被覆されており、その結果各ピンはリンク穴中で最小の摩擦で揺れるようになっている。
【0081】
分離可能リンクの長さは0.942インチ、終端部での半径は0.310インチ、最も細い中央部の半径は0.088インチである。リンクの各終端部の長さは0.310インチで、リンクの中央部の長さは0.322インチである。リンクの最も細い中央部の長さは0.042インチ(中央部全体の長さ0.322インチの一部)である。これらの寸法のアルミリンクは、リンクの長軸に沿って約300ポンドの力が加えられると壊れる。リンクを壊すのに必要な力を変えるには、リンクの寸法を変えてもよい。図3-5に示す着脱可能装置とベルトカートリッジの場合、好適には約300ポンドである。アルミの他に、リンクは多様な他の材料でも作製できる。それには、他の金属(鋼鉄やマグネシウム)、ポリマー、複合材、繊維などが含まれるが、特定の力が特定の方向で作用した場合、リンクは予測可能に壊れるものでなければならない。
【0082】
ベルトを使用して胸部圧迫を行うことの安全性を向上させるために、他の装置と方法も使用できる。例えば、ベルトの摩擦係数を低下せしめる他の形態も使用できる。ライナ、ベルト、又は患者に摩擦低減材料の層を与えることもできる。例えば、テフロン(商標)の層をベルトとライナーソックスの間、ベルトと圧迫パッド、あるいはベルトと患者の間に当てがうこともできる。(摩擦低減材料の層は、患者が胸部圧迫中負傷する可能性を低減せしめ、胸部圧迫のエネルギー効率を高める)。そのようにして、ライナーソックスの代わりに、あるいはライナーソックスに追加して1枚又は複数のライナーシーツを使用して患者の負傷を防止できる。ベルトの摩擦係数はベルトを超冷却(supper-cooling)しても低減できる。タルク粉又は液のような潤滑物質を患者とベルトとの間に入れることもできるが、潤滑剤がベルトドライブプラットフォームに入り込むことを防止する手段も提供する必要がある。
【0083】
更に、異なったサイズの患者に対応するために異なったサイズのベルト及びベルトカートリッジを提供してもよい。ここに記載のベルト及びベルトカートリッジは、人口の約95%に対応するためのサイズである。従って、1つのより小さなベルトサイズと1つのより大きなベルトサイズが使用可能であるならば、3つのベルトサイズで全ての患者のサイズの大部分に対応できる(ただし、ベルトサイズの範囲で可能になるものである)。別の設計案では、1つのサイズのベルト及びカートリッジを使用して、ベルトのサイズを増大するために着脱可能なベルト伸長部を提供する。ベルト伸長部とは、カートリッジ上のベルトと同様な特性を有するある長さのベルトである。フック及びループ締め具や着脱可能リンクなどの適切な締め具を使用してベルト伸長部をカートリッジ上のベルトに接続する。
【0084】
複数のベルトサイズがある場合、救助者が患者に対してベルトの長さを測れるようにベルトにマークを備えておいてもよい。するとユーザはベルトドライブプラットフォーム中のユーザインタフェースを介してベルトのサイズをベルトドライブプラットフォームに手動で入力する。この新しいベルトサイズに対応するために、装置のソフトウェアは装置がどのようにして胸部圧迫を実行するかを変更する。そのようにして、ベルトのサイズや患者のサイズとは無関係に(装置の設計限度内で)、装置は医療ガイドラインに沿って胸部圧迫を実行する。
【0085】
他の装置では、ベルトカートリッジにはベルトのサイズをベルトドライブプラットフォームに自動的に入力する識別コード、ピンアウト、又は他の識別記号が備えられている。装置は、ベルトのサイズに基づいて(ベルトの緩みのどれだけが締め付け手段により吸収されるかということに関して)胸部圧迫の方法を変更する。ベルト伸長部の場合、ベルト伸長部には新しい総ベルト長さをプロセッサに自動的に入力するスイッチや他の識別機構を備えてもよいが、新規ベルト長さはプロセッサに手動で入力される。この場合も、ベルトドライブプラットフォームのソフトウェアは装置がどのようにして胸部圧迫を実行するかを新しい長さに基づいて変更する。
【0086】
更に、複数のモータ及びドライブスプール、ピストン、鋏機構、又は他の機械的アクチュエータなどのベルト締めの他の手段を使用してもよい。そして、そのような手段を含むベルトドライブプラットフォームやハウジングは、ベルト及びベルトカートリッジが特定のベルトドライブプラットフォーム及びベルトを締める手段に装着するように設計されている限り、様々な形状と寸法とであってもよい。
【0087】
このように、装置および方法の好適な実施形態がその開発環境に関連して説明されたが、これらは発明の原理を例示するのみである。他の実施形態および構成も発明の精神および添付の特許請求項の範囲を逸脱せずに考案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】患者に嵌合した胸部圧迫ベルトである。
【図2】圧迫を行うために1つのベルトを使用する胸部圧迫装置の底部図である。
【図3】ベルトドライブプラットフォームで使用されるベルトカートリッジの上面(前部)図である。
【図4】ベルトドライブプラットフォームで使用されるベルトカートリッジの下面(後部)図である。
【図5】ベルトドライブプラットフォームで使用されるベルトカートリッジの上面図である。
【図6】図3-5に示すベルトカートリッジで使用されるベルトである。
【図7】図3-5に示すベルトカートリッジで使用されるカバー板の拡大図である。
【図8】圧迫ベルトをドライブスプールに装着する方法を示す図である。
【図9】スプライン、ベルト、及びドライブスプールの拡大図である。
【図10】ベルトカートリッジをベルトドライブプラットフォームに装着する方法を図示する。
【図11】ベルトガードをベルトドライブプラットフォームのスピンドルに装着する方法を図示する。
【図12】圧迫ベルトカートリッジの拡大図である。
【図13】ベルト、ライナーソックス、及び分離可能リンクの断面図である。
【図14】分離可能リンクに取り付けられたベルトを示す図である。
【図15】分離可能リンクの別の断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1…患者
2…胸部圧迫装置
3…ベルト
3R…右ベルト部分
3L…左ベルト部分
4…ベルトドライブプラットフォーム
5…圧迫ベルトカートリッジ
6…ハウジング
16,17…荷重分配部
18,19…引きストラップ
20,21…変遷部分
33…アイレット
34…ペグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に胸部圧迫を行うシステムであって、該システムは圧迫ベルト及びベルトドライブプラットフォームで構成され、該ベルトドライブプラットフォームはハウジング、ハウジング中に配置されたモータ、及びモータに操作可能に接続されたドライブスプールを備えており、
前記ベルトは、患者の周りに配置された際に患者の上下方向の身長に対応する幅を有するとともに、患者の周りに配置された際に患者の中央側方周囲に対応する長さも有し、
前記ベルトは、引きストラップ、前記引きストラップの第1終端に取り付けられた第1荷重分配部分、及び前記引きストラップの第2終端に取り付けられた第2荷重分配部分を有し、
前記第1荷重分配部分及び前記第2荷重分配部分は前記引きストラップより幅広く、
前記圧迫ベルトは前記ベルトドライブプラットフォームに解放自在に取り付けられた圧迫ベルトカートリッジに操作可能に接続され、
前記圧迫ベルトには更に前記圧迫ベルトを解放自在にドライブスプールに取り付ける手段が設けられていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ベルトは更に前記第1荷重分配部分及び前記引きストラップに取り付けられた前記第1変遷部分と、前記第2荷重分配部分及び前記引きストラップに取り付けられた第2変遷部分とを有し、前記第2変遷部分は前記第1変遷部分に対向していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2変遷部分は台形形状を有することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ベルトカートリッジは更に、前記第1変遷部分に取り付けられた第1強化板と、前記第2変遷部分に取り付けられた第2強化板とを有することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ベルトカートリッジは更に前記第1荷重分配部分に取り付けられた1つのアイレットと、前記第2荷重分配部分に取り付けられた1つのペグを有し、前記アイレットは前記ペグを受け入れるためのサイズと寸法があり、前記第1及び第2荷重分配部分が患者の胸部の上に固定された際に前記ペグが前記アイレットに挿入されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ペグが前記アイレットに挿入されているかどうかを判定する手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ベルトは樹脂で固定された単一方向性繊維を含む少なくとも1つの層を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ベルトは複数の層からなり、前記各層は樹脂で固定された複数のファイバを含み、
前記層に含まれる全てのファイバは一方向に向いており、
1つの層のファイバの方位は次の層のファイバの方位とは異なっていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
1人の患者に対して胸部圧迫を実行する方法であって、
胸部圧迫を実行するシステムを準備する工程を含み、前記システムは圧迫ベルト及びベルトドライブプラットフォームを備え、前記ベルトドライブプラットフォームがハウジング、前記ハウジング中に配置されたモータ、及び前記モータに操作可能に接続されたドライブスプールを有し、
前記システムは圧迫ベルトカートリッジを更に備え、前記圧迫ベルトカートリッジはベルトを含み、前記ベルトは、患者の周りに配置された際に患者の上下方向の身長に対応する幅を有するとともに患者の周りに配置された際に患者の中央側方周囲に対応する長さを有し、かつ、引きストラップ、前記引きストラップの第1終端に取り付けられた第1荷重分配部分及び前記引きストラップの第2終端に取り付けられた第2荷重分配部分を有し、前記第1荷重分配部分と前記第2荷重分配部分は前記引きストラップより幅広く、前記圧迫ベルトカートリッジは更に、前記圧迫ベルトカートリッジを前記ベルトドライブプラットフォームに解放自在に装着する手段と、前記ベルトを前記ドライブスプールに解放自在に装着する手段とを含み、
前記方法は更に、
前記圧迫ベルトを前記ドライブスプールに解放自在に装着する工程と、
前記圧迫ベルトカートリッジを前記ベルトドライブプラットフォームに解放自在に装着する工程と、
前記圧迫ベルトを患者の胸部の周りに配置する工程と、
前記ベルトの前記各荷重分配部分を相互に装着し、前記各荷重分配部分を患者の胸部の上に配置する工程と、
患者の胸部を圧迫するために前記ベルトを締める工程と、を含むことを特徴とする患者に胸部圧迫を行う方法。
【請求項10】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、前記ドライブスプールを回転させる手段であって前記ハウジング中に配置されて前記ドライブスプールの操作可能に取り付けられる手段とを含むベルトドライブプラットフォーム、及び
患者の胸部を圧迫するのに適したベルトと前記ベルトに装着されたスプラインとを有する圧迫ベルトカートリッジを備え、
前記スプラインは着脱自在にドライブスプールに取り付けられ、
前記ドライブスプールの回転が前記ベルトを締め付けて胸部を圧迫することを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記ドライブスプールに配置された特定形状のスロットを更に備え、前記スプラインは前記スロットの形状に整合する特定の形状を有し、前記スプラインは前記スロットに嵌合することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記スプラインが前記スロットに挿入されているかどうかを識別する手段を更に備え、前記識別手段は前記スロットに操作可能に接続されていることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ハウジングと前記ドライブスプールとに操作可能に取り付けられたガイド板を更に備え、前記ガイド板は前記ガイド板中に配置されたスロットを有し、前記スロットは、前記スプラインの一部分が前記ドライブスプールスロットを通すような大きさと寸法に形成されていることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記ハウジングと前記ドライブスプールとに操作可能に取り付けられたガイド板を更に備え、前記ガイド板はガイド板中に配置されたスロットを有し、前記スロットは、前記スプラインの一部分が前記ドライブスプールスロットを通るような大きさと寸法に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記ドライブスプールはユーザにより回転可能であり、前記ガイト板スロットと前記ドライブスプールスロットとが揃った際に前記スプラインを前記ドライブスプールスロットに挿入可能なことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ガイド板はユーザにより回転可能で、前記ガイト板スロットと前記ドライブスプールスロットとが揃った際に前記スプラインを前記ドライブスプールスロットに挿入可能なことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
操作可能にハウジングに取り付けられたガイド板を更に備え、前記ガイド板は前記ガイド板が動かされない限り前記スプラインを前記ドライブスプールスロットに挿入したり、前記ドライブスプールスロットから外したりできないように前記ガイド板が前記ドライブスプールに対して配置されており、
前記スプラインを前記ドライブスプールスロットに挿入したり、前記ドライブスプールスロットから外したりすることを防止するために前記ガイド板が前記ドライブスプールに対して配置されるように前記ガイド板に付勢力を与える手段を更に備え、
ユーザは前記スプラインを前記スロットに挿入したり前記スプラインを前記スロットから外すために前記ガイド板を十分に手動で動かせることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、
前記ハウジング中に配置され、前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられた、前記ドライブスプールを回転させる手段と、
患者の胸部を圧迫するのに適したベルト、及び前記ベルトに緩く合わさったライナーソックスを含み、前記ベルトが前記ドライブスプールに取り付けられるようになっていて前記ライナーソックス中で摺動できるように操作可能である、圧迫ベルトと、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、
前記ハウジング中に配置されて前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられる、前記ドライブスプールを回転させる手段と、
圧迫ベルトカートリッジとを備え、
前記圧迫ベルトカートリッジは、患者の胸部を圧迫するのに適したベルトと、前記ベルトに取り付けられる分離可能リンクとを有し、前記分離可能リンクは、特定の力が加わると壊れるような大きさ及びサイズに形成されており、かつ、前記分離可能リンクが壊れると前記ベルトが分離するように前記ベルトに装着されており、
前記ベルトは前記ドライブスプールに取り付けられるようになっていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、
前記ハウジング中に配置されて前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられる、前記ドライブスプールを回転させる手段と、
前記ハウジングに回転自在に取り付けられた第1スピンドルと、
前記ハウジングに回転自在に取り付けられた第2スピンドルと、
圧迫ベルトカートリッジとを備え、
前記圧迫ベルトカートリッジは、患者の胸部を圧迫するのに適したベルトと、前記ベルトが第1ベルトガードを通して摺動するように前記ベルトに操作可能に取り付けられた第1ベルトガードと、前記ベルトが第2ベルトガードを通して摺動するように前記ベルトに操作可能に取り付けられた第2ベルトガードとを有し、
前記ベルトは着脱自在に前記ドライブスプールに取り付けられ、前記第1ベルトガードは着脱自在に前記第1スピンドルに取り付けられ、前記第2ベルトガードは着脱自在に前記第2スピンドルに取り付けられていることを特徴とするシステム。
【請求項21】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、
前記ハウジング中に配置されて前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられる、前記ドライブスプールを回転させる手段と、
前記ハウジングに回転自在に取り付けられた第1スピンドルと、
前記ハウジングに回転自在に取り付けられた第2スピンドルと、
圧迫ベルトカートリッジとを備え、
前記圧迫ベルトカートリッジは、
第1部分及び第2部分を有する、患者の胸部を圧迫するのに適したベルトと、
前記ハウジングに着脱自在に装着可能なカバー板と、
前記カバー板に操作可能に装着され、かつ、前記ベルトが貫通して摺動できるように前記ベルトに操作可能に取り付けられた第1ベルトガードと、
前記第1ベルトガードに対向する前記カバー板に操作可能に装着され、かつ、前記ベルトが貫通して摺動できるように前記ベルトに操作可能に取り付けられた第2ベルトガードと、
前記ベルトの前記第1部分に緩く合わさった状態で取り付けられるとともに前記第1ベルトガードに取り付けられた第1ライナーソックスと、
前記ベルトの前記第2部分に緩く合わさった状態で取り付けられるとともに前記第2ベルトガードに取り付けられた第2ライナーソックスと、
前記ベルトの前記第1部分に取り付けられ、且つ前記第1ライナーソックス中に配置された圧迫パッドと、
前記ベルトに装着された分離可能リンクとを有し、前記分離可能リンクは特定の力が前記リンクに加わると壊れるようなサイズ及び寸法に形成され、前記分離可能リンクが壊れると前記ベルトが分離するように前記分離可能リンクは前記ベルトに装着されており、
前記ベルトは着脱自在に前記ドライブスプールに取り付けられ、前記第1ベルトガードは着脱自在に前記第1スピンドルに取り付けられ、前記第2ベルトガードは着脱自在に前記第2スピンドルに取り付けられていることを特徴とするシステム。
【請求項1】
患者に胸部圧迫を行うシステムであって、該システムは圧迫ベルト及びベルトドライブプラットフォームで構成され、該ベルトドライブプラットフォームはハウジング、ハウジング中に配置されたモータ、及びモータに操作可能に接続されたドライブスプールを備えており、
前記ベルトは、患者の周りに配置された際に患者の上下方向の身長に対応する幅を有するとともに、患者の周りに配置された際に患者の中央側方周囲に対応する長さも有し、
前記ベルトは、引きストラップ、前記引きストラップの第1終端に取り付けられた第1荷重分配部分、及び前記引きストラップの第2終端に取り付けられた第2荷重分配部分を有し、
前記第1荷重分配部分及び前記第2荷重分配部分は前記引きストラップより幅広く、
前記圧迫ベルトは前記ベルトドライブプラットフォームに解放自在に取り付けられた圧迫ベルトカートリッジに操作可能に接続され、
前記圧迫ベルトには更に前記圧迫ベルトを解放自在にドライブスプールに取り付ける手段が設けられていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ベルトは更に前記第1荷重分配部分及び前記引きストラップに取り付けられた前記第1変遷部分と、前記第2荷重分配部分及び前記引きストラップに取り付けられた第2変遷部分とを有し、前記第2変遷部分は前記第1変遷部分に対向していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2変遷部分は台形形状を有することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ベルトカートリッジは更に、前記第1変遷部分に取り付けられた第1強化板と、前記第2変遷部分に取り付けられた第2強化板とを有することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ベルトカートリッジは更に前記第1荷重分配部分に取り付けられた1つのアイレットと、前記第2荷重分配部分に取り付けられた1つのペグを有し、前記アイレットは前記ペグを受け入れるためのサイズと寸法があり、前記第1及び第2荷重分配部分が患者の胸部の上に固定された際に前記ペグが前記アイレットに挿入されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ペグが前記アイレットに挿入されているかどうかを判定する手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ベルトは樹脂で固定された単一方向性繊維を含む少なくとも1つの層を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ベルトは複数の層からなり、前記各層は樹脂で固定された複数のファイバを含み、
前記層に含まれる全てのファイバは一方向に向いており、
1つの層のファイバの方位は次の層のファイバの方位とは異なっていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
1人の患者に対して胸部圧迫を実行する方法であって、
胸部圧迫を実行するシステムを準備する工程を含み、前記システムは圧迫ベルト及びベルトドライブプラットフォームを備え、前記ベルトドライブプラットフォームがハウジング、前記ハウジング中に配置されたモータ、及び前記モータに操作可能に接続されたドライブスプールを有し、
前記システムは圧迫ベルトカートリッジを更に備え、前記圧迫ベルトカートリッジはベルトを含み、前記ベルトは、患者の周りに配置された際に患者の上下方向の身長に対応する幅を有するとともに患者の周りに配置された際に患者の中央側方周囲に対応する長さを有し、かつ、引きストラップ、前記引きストラップの第1終端に取り付けられた第1荷重分配部分及び前記引きストラップの第2終端に取り付けられた第2荷重分配部分を有し、前記第1荷重分配部分と前記第2荷重分配部分は前記引きストラップより幅広く、前記圧迫ベルトカートリッジは更に、前記圧迫ベルトカートリッジを前記ベルトドライブプラットフォームに解放自在に装着する手段と、前記ベルトを前記ドライブスプールに解放自在に装着する手段とを含み、
前記方法は更に、
前記圧迫ベルトを前記ドライブスプールに解放自在に装着する工程と、
前記圧迫ベルトカートリッジを前記ベルトドライブプラットフォームに解放自在に装着する工程と、
前記圧迫ベルトを患者の胸部の周りに配置する工程と、
前記ベルトの前記各荷重分配部分を相互に装着し、前記各荷重分配部分を患者の胸部の上に配置する工程と、
患者の胸部を圧迫するために前記ベルトを締める工程と、を含むことを特徴とする患者に胸部圧迫を行う方法。
【請求項10】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、前記ドライブスプールを回転させる手段であって前記ハウジング中に配置されて前記ドライブスプールの操作可能に取り付けられる手段とを含むベルトドライブプラットフォーム、及び
患者の胸部を圧迫するのに適したベルトと前記ベルトに装着されたスプラインとを有する圧迫ベルトカートリッジを備え、
前記スプラインは着脱自在にドライブスプールに取り付けられ、
前記ドライブスプールの回転が前記ベルトを締め付けて胸部を圧迫することを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記ドライブスプールに配置された特定形状のスロットを更に備え、前記スプラインは前記スロットの形状に整合する特定の形状を有し、前記スプラインは前記スロットに嵌合することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記スプラインが前記スロットに挿入されているかどうかを識別する手段を更に備え、前記識別手段は前記スロットに操作可能に接続されていることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ハウジングと前記ドライブスプールとに操作可能に取り付けられたガイド板を更に備え、前記ガイド板は前記ガイド板中に配置されたスロットを有し、前記スロットは、前記スプラインの一部分が前記ドライブスプールスロットを通すような大きさと寸法に形成されていることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記ハウジングと前記ドライブスプールとに操作可能に取り付けられたガイド板を更に備え、前記ガイド板はガイド板中に配置されたスロットを有し、前記スロットは、前記スプラインの一部分が前記ドライブスプールスロットを通るような大きさと寸法に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記ドライブスプールはユーザにより回転可能であり、前記ガイト板スロットと前記ドライブスプールスロットとが揃った際に前記スプラインを前記ドライブスプールスロットに挿入可能なことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ガイド板はユーザにより回転可能で、前記ガイト板スロットと前記ドライブスプールスロットとが揃った際に前記スプラインを前記ドライブスプールスロットに挿入可能なことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
操作可能にハウジングに取り付けられたガイド板を更に備え、前記ガイド板は前記ガイド板が動かされない限り前記スプラインを前記ドライブスプールスロットに挿入したり、前記ドライブスプールスロットから外したりできないように前記ガイド板が前記ドライブスプールに対して配置されており、
前記スプラインを前記ドライブスプールスロットに挿入したり、前記ドライブスプールスロットから外したりすることを防止するために前記ガイド板が前記ドライブスプールに対して配置されるように前記ガイド板に付勢力を与える手段を更に備え、
ユーザは前記スプラインを前記スロットに挿入したり前記スプラインを前記スロットから外すために前記ガイド板を十分に手動で動かせることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、
前記ハウジング中に配置され、前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられた、前記ドライブスプールを回転させる手段と、
患者の胸部を圧迫するのに適したベルト、及び前記ベルトに緩く合わさったライナーソックスを含み、前記ベルトが前記ドライブスプールに取り付けられるようになっていて前記ライナーソックス中で摺動できるように操作可能である、圧迫ベルトと、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、
前記ハウジング中に配置されて前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられる、前記ドライブスプールを回転させる手段と、
圧迫ベルトカートリッジとを備え、
前記圧迫ベルトカートリッジは、患者の胸部を圧迫するのに適したベルトと、前記ベルトに取り付けられる分離可能リンクとを有し、前記分離可能リンクは、特定の力が加わると壊れるような大きさ及びサイズに形成されており、かつ、前記分離可能リンクが壊れると前記ベルトが分離するように前記ベルトに装着されており、
前記ベルトは前記ドライブスプールに取り付けられるようになっていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、
前記ハウジング中に配置されて前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられる、前記ドライブスプールを回転させる手段と、
前記ハウジングに回転自在に取り付けられた第1スピンドルと、
前記ハウジングに回転自在に取り付けられた第2スピンドルと、
圧迫ベルトカートリッジとを備え、
前記圧迫ベルトカートリッジは、患者の胸部を圧迫するのに適したベルトと、前記ベルトが第1ベルトガードを通して摺動するように前記ベルトに操作可能に取り付けられた第1ベルトガードと、前記ベルトが第2ベルトガードを通して摺動するように前記ベルトに操作可能に取り付けられた第2ベルトガードとを有し、
前記ベルトは着脱自在に前記ドライブスプールに取り付けられ、前記第1ベルトガードは着脱自在に前記第1スピンドルに取り付けられ、前記第2ベルトガードは着脱自在に前記第2スピンドルに取り付けられていることを特徴とするシステム。
【請求項21】
1人の患者に胸部圧迫を行うシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに操作可能に取り付けられたドライブスプールと、
前記ハウジング中に配置されて前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられる、前記ドライブスプールを回転させる手段と、
前記ハウジングに回転自在に取り付けられた第1スピンドルと、
前記ハウジングに回転自在に取り付けられた第2スピンドルと、
圧迫ベルトカートリッジとを備え、
前記圧迫ベルトカートリッジは、
第1部分及び第2部分を有する、患者の胸部を圧迫するのに適したベルトと、
前記ハウジングに着脱自在に装着可能なカバー板と、
前記カバー板に操作可能に装着され、かつ、前記ベルトが貫通して摺動できるように前記ベルトに操作可能に取り付けられた第1ベルトガードと、
前記第1ベルトガードに対向する前記カバー板に操作可能に装着され、かつ、前記ベルトが貫通して摺動できるように前記ベルトに操作可能に取り付けられた第2ベルトガードと、
前記ベルトの前記第1部分に緩く合わさった状態で取り付けられるとともに前記第1ベルトガードに取り付けられた第1ライナーソックスと、
前記ベルトの前記第2部分に緩く合わさった状態で取り付けられるとともに前記第2ベルトガードに取り付けられた第2ライナーソックスと、
前記ベルトの前記第1部分に取り付けられ、且つ前記第1ライナーソックス中に配置された圧迫パッドと、
前記ベルトに装着された分離可能リンクとを有し、前記分離可能リンクは特定の力が前記リンクに加わると壊れるようなサイズ及び寸法に形成され、前記分離可能リンクが壊れると前記ベルトが分離するように前記分離可能リンクは前記ベルトに装着されており、
前記ベルトは着脱自在に前記ドライブスプールに取り付けられ、前記第1ベルトガードは着脱自在に前記第1スピンドルに取り付けられ、前記第2ベルトガードは着脱自在に前記第2スピンドルに取り付けられていることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−508124(P2007−508124A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535668(P2006−535668)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/033952
【国際公開番号】WO2005/037178
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(500087017)ゾール・サーキュレイション・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Zoll Circulation, Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/033952
【国際公開番号】WO2005/037178
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(500087017)ゾール・サーキュレイション・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Zoll Circulation, Inc.
【Fターム(参考)】
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