説明

能動型物体検出装置

【課題】不要な検出エリアを容易に光学的に除外し、また、検出エリアからの検出波の装置内における不要な内面反射を可及的に低減することができる能動型物体検出装置を提供する。
【解決手段】一対のエリア除外部材(遮光レバー)10Aa、10Abの一方のエリア除外部材10Aaの遮光部11により容易に不要な検出エリアを光学的に除外することができるとともに、他方のエリア除外部材10Abの内面反射阻止部12により当該検出エリアからの検出波の反射による受光素子8への入射を阻止するので、容易に遮光部11による遮光効果を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検出エリアに向けて物体検出用の検出波を送出して、物体で反射した検出波を受けたときに発生する受光信号が設定レベルを超えることにより人体のような物体を検出する能動型物体検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の検出エリアに向けて投光器から赤外線や近赤外線などの人間の眼に見えない物体検出用の検出波を送出して、受光器により物体で反射した検出波を受けて受光信号を発生させ、この受光信号が設定レベルを超えることにより人体のような物体を検出する能動型物体検出装置が知られている。複数の検出エリアは、投光素子から送出された検出波を投射するレンズのような光学体により形成される。
【0003】
この能動型物体検出装置の一例として、投光器に近い位置から遠い位置に向かって複数列の検出エリアを設定するために、投光器に、検出エリアの各列ごとに投光する1つの投光素子を割り当てるとともに、受光器に、検出エリアの各列ごとに受光する1つの受光素子を割り当てて、複数の検出エリアを形成したものが挙げられる(特許文献1)。この能動型物体検出装置は、例えば自動ドアの物体検出用として自動ドアセンサに用いられる。
【0004】
また、能動型物体検出装置は、上記したように赤外線などの人間の眼に見えない光線を利用して物体を検出するものであり、上記光学体により形成される複数の検出エリアも人間の眼に見えないので、物体が複数の検出エリアのどのエリアに存在しているかを具体的に認識することも難しい。
【特許文献1】特開2002−285755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検出エリア内の例えばドア横の壁など人が通行しないエリアや、風で揺れる木や太陽光を反射する物体などが存在するエリアなどでは、物体の誤検出が生じ易くなる場合がある。この場合、誤検出の生じ易い検出エリアを除外する必要があるが、上述のとおり物体が検出エリアのどのエリアに存在するかを認識しにくく、この不要な検出エリアを除外することが困難であった。
【0006】
また、自動ドアの大型化の傾向があり、それに伴い自動ドアセンサの設置高さも高くなって、検出能力の向上が求められている。検出能力を向上させるには、S/N比の向上が必要となり、例えばAIR(能動型赤外線方式)センサの場合、投光パワーアップ(Sの向上)、ノイズの低減(Nの低減)が有効な手段となる。投光パワーをアップさせる場合、検出エリアから物体で反射した検出波が受光素子へ入射するに際して、この入射する検出波のパワーも大きくなるので、受光素子に本来入射させる部材以外の他の構成部材の内面反射の影響が顕著に表れるため、この検出エリアからの検出波について装置内における不要な内面反射を可及的に低減させることにより、投光パワーアップへの対応を図る必要がある。また受光器からの受光信号について、アンプによる増幅が大きい場合にも同様に内面反射の影響が表れる。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決して、不要な検出エリアを容易に光学的に除外し、また、検出エリアからの検出波の装置内における不要な内面反射を可及的に低減することができる能動型物体検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる能動型物体検出装置は、複数の検出エリアに向けて物体検出用の検出波を送出する投光素子と、前記複数の検出エリアを形成する複数のレンズセグメントからなる投光レンズとを有する投光器、および物体で反射した前記検出波を受光する受光素子と、前記複数の検出エリア内の物体で反射した前記検出波を前記受光素子に入射させる複数のレンズセグメントからなる受光レンズとを有し、前記受光素子に入射した前記検出波を受けて受光信号を発生する受光器とを備え、前記投光器内の投光素子とその複数のレンズセグメントとの間、および前記受光器内の受光素子とその複数のレンズセグメントとの間の少なくとも一方に設けられて、この間の光路の一部である所定のレンズセグメントを通る光路を遮光して、当該レンズセグメントで形成される検出エリアを光学的に除外する光学的エリア除外手段を備えている。
【0009】
この構成によれば、光学的エリア除外手段が、投光素子および/または受光素子とその複数のレンズセグメントの間の光路の一部である所定のレンズセグメントを通る光路を遮光して、当該レンズセグメントで形成される検出エリアを光学的に除外するので、容易に不要な検出エリアを光学的に除外することができる。
【0010】
好ましくは、前記光学的エリア除外手段は、前記受光器内の受光素子とその複数のレンズセグメントとの間に設けられて、それぞれ第1の面に形成された遮光部および第2の面に形成された内面反射阻止部を有する一対のエリア除外部材からなり、いずれか一方のエリア除外部材の遮光部が、前記受光素子と所定のレンズセグメント間の光路を前記第1の面で遮光して、当該レンズセグメントで形成される検出エリアを光学的に除外するとともに、他方のエリア除外部材の内面反射阻止部が、前記一方のエリア除外部材の第1の面で除外された検出エリアからの検出波が当該他方のエリア除外部材の第2の面で反射して前記受光素子に入射するのを阻止する。したがって、一対のエリア除外部材のうち一方のエリア除外部材の遮光部により容易に不要な検出エリアを光学的に除外することができるとともに、他方のエリア除外部材の内面反射阻止部により当該検出エリアからの検出波の反射による受光素子への入射を阻止するので、容易に遮光部による遮光効果を維持することができ、検出エリアからの検出波について一対のエリア除外部材を設けたことによる装置内における不要な内面反射を可及的に低減することができる。
【0011】
好ましくは、前記エリア除外部材は、軸心回りに回転自在な支持軸と、この支持軸に連結された板状のレバー部とを有し、前記レバー部の第1の面に形成された前記遮光部の反対面の第2面に前記内面反射阻止部が形成されている。したがって、より容易に不要な検出エリアを光学的に除外することができ遮光効果を維持することができる。
【0012】
好ましくは、前記内面反射阻止面が多数の凹凸からなる。したがって、より簡単な構造で遮光部による遮光効果を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、本発明の第1実施形態の能動型物体検出装置の構成の説明に先立って、検出エリアについて説明する。この第1実施形態では、自動開閉ドアの開閉制御装置の起動用に適用した場合を例示してあり、図1(a)は 自動開閉ドア18のスライド方向から見た検出エリアの説明図、同図(b)は検出エリアを示す平面図である。前記能動型物体検出装置100は無目50の側面に取り付けられ、(a)に示すように、検出エリアA1〜A5は設置された能動型物体検出装置100に近い位置から遠い位置に向かって5列に配置されており、各列の検出エリアA1〜A5は、(b)に示すように、それぞれ12個のエリアからなる。
【0014】
図2(a)は前記能動型物体検出装置100の装置本体29からカバーおよびその内側のウィンドウ(図示せず)を取り外した状態を示す斜視図、同図(b)はさらに上ケース30を取り外した状態を示す斜視図である。図2(b)に示すように、この能動型物体検出装置100は、例えばAIR(能動型赤外線方式)センサであり、投光器1に近い位置から遠い位置に向かって5列に設定される検出エリアに向けて物体検出用の検出波の一種である近赤外線を投光する投光器1と、物体で反射した検出波を受けて受光信号を発生する受光器2とを備えている。
【0015】
投光器1は、検出波として近赤外線を送出する赤外線発光ダイオードからなる第1〜第5列目投光素子3と、各投光素子3から送出される近赤外線を、各列が12個の検出エリアを有するように、複数の例えば4つの所定パターンで投射する横方向Xに4分割されたレンズセグメント(4-1、4-2、4-3、4-4)からなる投光用光学系(投光レンズ)4とを有している。受光器2は、前記5列の各検出エリアの列ごとに受光する相異なる第1〜第5列目受光素子8と、各列の検出エリアから反射した近赤外線を各受光素子8に入射するよう集光する横方向Xに4分割されたレンズセグメント(9-1、9-2、9-3、9-4)からなる受光用光学系(受光レンズ)9とを有している。
【0016】
この能動型物体検出装置100は、装置本体29の下面側(図の手前側)に、投光用光学系4を構成する第1および第2投光レンズ4A、4Bが装置本体29の無目50(図1(a))の取付面29aと平行な水平方向である横方向Xに離間して配置され、その間に、受光用光学系9を構成する第1および第2受光レンズ9A、9Bが配置されている。図2(b)の第1投光レンズ3Aおよび第1受光レンズ9Aは、図1の第1から第3の検出エリアA1〜A3を設定し、図2(b)の第2投光レンズ3Bおよび第2受光レンズ9Bは、図1の第4および第5の検出エリアA4、A5を設定する。
【0017】
図2(b)の第1投光レンズ4Aに対応して各3個ずつが横方向Xに沿って一列に配列された第1〜第3列目投光素子3が装着され、第2投光レンズ4Bに対応して各3個ずつが横方向Xに沿って一列に配列された第4および第5列目投光素子8(図4(a)(b)に示すように、第1〜第3列目受光素子8よりも若干下方に突出している)が装着され、第1受光レンズ9Aに対応して各3個ずつが横方向Xに沿って一列に配列された第1〜第3列目受光素子8が装着され、第2受光レンズ9Bに対応して各3個ずつが横方向Xに沿って一列に配列された第4および第5列目受光素子(図示せず)が装着されている。第1および第2投光レンズ(複数のレンズセグメント)4A、4B、第1および第2受光レンズ(複数のレンズセグメント)9A、9Bはいずれも4分割されており、各1つの投光素子3および受光素子8に対して、4つの検出エリアを割り当てている。したがって、各列ごとに3個ずつ配列された第1〜第5列目の投光素子3および第1〜第5列目の受光素子8は、対応するレンズ4A、4B、9A、9Bによって、各列に12(=3×4)個の検出エリアを含む5列の検出エリアA1〜A5を設定する。
【0018】
各列の受光素子8ごとに個々に入力する受光信号が設定レベルを超えているか否かを判別して、設定レベルを超えていると判別したときに、自動開閉ドア18の開閉制御装置に対し物体検出信号を出力する。そして、この物体検出信号に基づき自動開閉ドア18が開閉される。
【0019】
図2(a)、(b)に示すように、この能動型物体検出装置100は、例えば受光器2内の受光素子8とその複数のレンズセグメント(9-1、9-2、9-3、9-4)との間に設けられて、この間の光路の一部である所定のレンズセグメントを通る光路を遮光して、当該レンズセグメントで形成される検出エリアを光学的に除外する光学的エリア除外手段5を備えている。この例では、光学的エリア除外手段5を受光器2内にだけ設けているが、投光器1内の投光素子3とその複数のレンズセグメント(4-1、4-2、4-3、4-4)との間にだけ設けてもよく、受光器2内と投光器1内の両方に設けてもよい。
【0020】
前記光学的エリア除外手段5は、この例では2つの一対のエリア除外部材10A、10Bからなり、左右一対の第1エリア除外部材(遮光レバー)10A(10Aa、10Ab)は受光素子8と第1受光レンズ(複数のレンズセグメント)9A間に、左右一対の第2エリア除外部材(遮光レバー)10B(10Ba、10Bb)は受光素子8と第2受光レンズ(複数のレンズセグメント)9B間に設けられている。2つの一対のエリア除外部材(遮光レバー)10A、10Bは、図3(a)(b)に示すように、それぞれ先端に回動角度調整用の十字溝を備えた操作部14が設けられて、軸心回りに回動自在な支持軸6と、この支持軸6に一体形成されて連結された板状のレバー部7とからなり、レバー部7の第1の面21に遮光部11が形成され、第2の面(第1の面21の反対面)22に内面反射阻止部12が形成されている。
【0021】
この例では、図2(b)のように、一対のエリア除外部材(遮光レバー)10A、10Bは、各受光素子8の左右両側部の外側近傍でそれぞれ支持軸6が横方向Xと直交する方向に直立して配置され、レンズセグメントとほぼ同一の面積をもつレバー部7が、支持軸6の回動にしたがって支持軸6と一体的に回動する。操作部14の回動操作によりレバー部7の回動角度が所定角度に調整されて、遮光部11で受光素子8と所定のレンズセグメントとの間の光路を遮光する。この遮光部11の裏面に内面反射阻止部12が設けられている。
【0022】
2つの一対のエリア除外部材(遮光レバー)10A、10Bは、いずれか一方のエリア除外部材(例えば遮光レバー10Aの一方10Aa)のレバー部7の遮光部11が、受光素子8と所定のレンズセグメント間の光路を第1の面21で遮光して、当該レンズセグメントで形成される検出エリアを光学的に除外する。これとともに、この一対のエリア除外部材(遮光レバー)10A、10Bを設けたことに伴って、後述するように、その内面反射の問題が生じることから、他方のエリア除外部材(例えば遮光レバー10Aの他方10Ab)のレバー部7の内面反射阻止部12が、前記一方のエリア除外部材10Aaの第1の面21で除外された検出エリアからの検出波が当該他方のエリア除外部材10Abの第2の面22で反射して受光素子8に入射するのを阻止する。
【0023】
なお、この例では、光学的エリア除外手段5に2つの一対のエリア除外部材(遮光レバー)10A、10Bを用いているが、複数の検出エリアの列数および個数に応じて、1つまたは3つ以上を用いてもよい。
【0024】
以下、上記構成の能動型物体検出装置100の動作について説明する。図2(b)のように、受光素子8と受光レンズ9Aとの間に設けられた一対の遮光レバー10A(10Aa、10Ab)が、検出エリアの第1〜3列目(A1〜A3)用であり、受光素子8と受光レンズ9Bとの間に設けられた一対の遮光レバー10B(10Ba、10Bb)が、検出エリアの第4、5列目(A4、A5)用である。図2(a)のように、装置本体29から露出している例えば遮光レバー10Aa、10Abの回動角度調整用の十字溝を備えた操作部14にドライバなどの先を差し込んで回すことにより、遮光レバー10Aa、10Abのレバー部7の回動角度を調整して受光レンズ(複数のレンズセグメント)9Aのうち所定のレンズセグメントをレバー部7の遮光部11で遮光することができる。この場合、遮光レバー10Aa、10Abについてそれぞれ異なる回動角度に調整することもできる。この一対の遮光レバー10Aa、10Abにより、複数の検出エリアのうち、例えば風で揺れる木や太陽光を反射する物などが存在している不要な検出エリアを光学的に除外する。
【0025】
図3(a)(b)に示すように、2つの一対の遮光レバー10A、10Bの各第2の面22の内面反射阻止部12は、例えば支持軸6の軸心に沿う方向に多数の溝が形成された形状のような多数の凹凸からなっており、光線をこの凹凸により乱反射させて受光素子8へ反射させない構造になっている。なお、光線を反射させない凹凸状に代えて、光線が集まる位置に孔を設けて光線を拡散させる構造に形成してもよく、また、スポンジ状など光線を吸収する構造に形成してもよい。
【0026】
能動型物体検出装置100から第1〜3列目の検出エリアA1〜A3は近く、第4、5列目の検出エリアA4、A5は遠いため、検出エリアへの角度がそれぞれ異なるので、これに応じて、図3(a)の第1〜3列目用の遮光レバー10Aは側面視で矩形の外形を有し、図3(b)の第4、5列目用の遮光レバー10Bは側面視で略半円形の外形を有する。
【0027】
図4(a)(b)は例えば一対の遮光レバー10Aa、10Abの開閉状態を示す。図4(a)のように遮光レバー10Aa、10Abを開いた状態では、第1〜第3列ごとに前述した12個の検出エリアとなる。図4(b)のように遮光レバー10Aaを閉じて受光レンズ9Aのレンズセグメント9-4を遮光部12により遮光した状態では、不要な3個の検出エリアが除外(消去)され(図示α)、遮光レバー10Abを閉じて受光レンズ9Aのレンズセグメント9-1を遮光部12により遮光した状態では、同様に不要な3個の検出エリアが除外(消去)されて(図示α)、第1〜第3列ごとに6個の検出エリアとなる。なお、上記遮光レバー10Aaまたは10Abのどちらか一方だけを閉じてもよく、この場合には、不要な3個の検出エリアだけが除外(消去)されて、第1〜第3列ごとに9個の検出エリアとなる。一対の遮光レバー10Ba、10Bbも検出エリアの第4、5列(A4、A5)についてほぼ同様の動作を行う。
【0028】
これにより、光学的エリア除外手段5が、受光素子8とその受光レンズ(複数のレンズセグメント)9Aとの間の光路の一部である所定のレンズセグメントを通る光路を遮光して、当該レンズセグメントで形成される検出エリアを光学的に除外するので、容易に不要な検出エリアを光学的に除外することができる。
【0029】
図5(a)(b)は、一対の遮光レバー10Aa、10Abが閉になっているときの検出エリアからの光線(検出波)の反射状態を示す。前記した図示αは一方の遮光レバー10Aaの遮光部11により除外(消去)される光線を示し、図示βは、第1受光レンズ9Aのうち別のレンズから入射した光線が他方の遮光レバー10Abに到達する光線を示す。この一対の遮光レバー10Aa、10Abを設けたことに伴って、遮光レバー10Abの回動角度が一定範囲内である場合、その第2の面22が反射面となって検出エリアからの光線が受光素子8に入射することが起こり得る。
【0030】
図5(a)のように、遮光レバー10Abの凹凸状の内面反射阻止部12により、図示βの光線は反射せず受光素子8に入射しないので、遮光レバー10Aaの遮光部11による遮光効果が消滅しない。しかし、図5(b)のように、遮光レバー10Abの第2の面22に何ら加工を施さず反射可能状態にしておくと、受光レンズ9Aのうち別のレンズから入射した光線が、遮光レバー10Abの第2の面22で反射し、遮光レバー10Aaの遮光部11で遮光しているはずの検出エリアから検出波が受光素子8に入射してしまうので、遮光効果が消滅してしまうこととなる。
【0031】
こうして、一対のエリア除外部材(遮光レバー)10Aa、10Abの一方のエリア除外部材10Aaの遮光部11により容易に不要な検出エリアを光学的に除外することができるとともに、他方のエリア除外部材10Abの内面反射阻止部12により当該不要な検出エリアからの検出波の反射による受光素子8への入射を阻止するので、容易に遮光部11による遮光効果を維持することができ、当該検出エリアからの検出波について一対のエリア除外部材10Aa、10Abを設けたことによる装置内における不要な内面反射を可及的に低減することができる。
【0032】
図6は本発明の第2実施形態に係る能動型物体検出装置110を示す下方から見た斜視図であり、装置本体33からカバー(図示せず)を取り外した状態である。この第2実施形態の物体検出装置110は、天井などに下向きに取り付けるタイプであり、図6の装置本体33の上面が取付面33aとなっている。装置本体33には、単一の投光用光学系(投光レンズ)4および受光用光学系(受光レンズ)9が下向きの配向で設けられて、取付位置の下方箇所に検出エリアが設定される。両光学系4、9は共に4分割されたレンズ(複数のレンズセグメント)からなり、装置本体33における投光用光学系4の上方箇所(内側)には、各3個ずつが一列に配列された第1〜第6列目投光素子(図示せず)が6列配置で投光用光学系4に対向して装着され、受光用光学系9の上方箇所には、各3個ずつが一列に配列された第1〜第6列目受光素子(図示せず)が6列配置で投光用光学系4に対向して装着されている。したがって、この物体検出装置110では、12個が一列配置された検出エリアが、6列に配列して設定される。
【0033】
図7に示すように、第1実施形態と同様に、受光素子8と受光レンズ9との間に一対の遮光レバー10が設けられており、この物体検出装置110においても、第1実施形態で説明したと同様に、一対の遮光レバー10における回動角度調整用の操作部14の調整により、遮光部11で不要な検出エリアを光学的に除外するとともに、内面反射阻止部12で不要な検出エリアからの検出波の反射による入射を阻止することができる。
【0034】
なお、上記各実施形態では、光学的エリア除外手段(遮光レバー)5を受光器2内に設けているが、投光器1内に設けてもよく、この場合、エリア除外部材(遮光レバー)の第2の面に形成された内面反射阻止部が遮光するとともに内面反射を阻止する。すなわち、投光素子から投光されると、一方の遮光レバーの第2の面の内面反射阻止部で遮光して所定の検出エリアが光学的に除外されるが、他方の遮光レバーの内面反射阻止部によって第2の面で反射して当該検出エリアへ投光されるのを阻止することができる。このとき、遮光レバーの第1の面による装置内への内面反射を阻止するために、第2の面だけでなく第1の面にも内面反射阻止部を形成してもよい。
【0035】
なお、上記各実施形態では、光学的エリア除外手段5は、遮光レバーを回動させて遮光するようにしているが、例えば直線的な移動方法で遮光してもよく、また、遮光レバーに代えて移動可能な遮光壁により遮光してもよい。
【0036】
また、上記各実施形態では、複数の検出エリアのうち1つのエリアを形成する1つのレンズセグメントごとに遮光しているが、1つのレンズセグメントの一部分ごとに遮光してもよい。
【0037】
なお、上記各実施形態では、一対のエリア除外部材(遮光レバー)はそれぞれ遮光部11および内面反射阻止部12を有しているが、必要に応じて内面反射阻止部12を省略するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る能動型物体検出装置を用いた自動開閉ドアのスライド方向側から見た検出エリアの説明図、(b)は検出エリアを示す平面図である。
【図2】(a)本発明の第1実施形態に係る能動型物体検出装置のカバーおよびウィンドウを取り外した状態を示す斜視図、(b)はさらに上ケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】(a)、(b)は遮光レバーの形状を示す斜視図である。
【図4】(a)、(b)は遮光レバーの開閉状態を示す正面図である。
【図5】(a)、(b)は遮光レバーが閉のときの光線の反射状態を示す正面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る能動型物体検出装置を示す下方から見た斜視図である。
【図7】図6の能動型物体検出装置の遮光レバーが閉のときの光線の反射状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1:投光器
2:受光器
3:投光素子
4:投光用光学系(投光レンズ)
4-1、4-2、4-3、4-4:複数のレンズセグメント
5:光学的エリア除外手段
6:支持軸
7:レバー部
8:受光素子
9:受光用光学系(受光レンズ)
9-1、9-2、9-3、9-4:複数のレンズセグメント
10Aa、10Ab:一対のエリア除外部材(遮光レバー)
11:遮光部
12:内面反射阻止部
18:自動開閉ドア(自動ドア)
21:第1の面
22:第2の面
100、110:能動型物体検出装置
A1〜A5:検出エリア




【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検出エリアに向けて物体検出用の検出波を送出する投光素子と、前記複数の検出エリアを形成する複数のレンズセグメントからなる投光レンズとを有する投光器、および物体で反射した前記検出波を受光する受光素子と、前記複数の検出エリア内の物体で反射した前記検出波を前記受光素子に入射させる複数のレンズセグメントからなる受光レンズとを有し、前記受光素子に入射した前記検出波を受けて受光信号を発生する受光器、を備えた能動型物体検出装置であって、
前記投光器内の投光素子とその複数のレンズセグメントとの間、および前記受光器内の受光素子とその複数のレンズセグメントとの間の少なくとも一方に設けられて、この間の光路の一部である所定のレンズセグメントを通る光路を遮光して、当該レンズセグメントで形成される検出エリアを光学的に除外する光学的エリア除外手段を備えた、能動型物体検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記光学的エリア除外手段は、前記受光器内の受光素子とその複数のレンズセグメントとの間に設けられて、それぞれ第1の面に形成された遮光部および第2の面に形成された内面反射阻止部を有する一対のエリア除外部材からなり、いずれか一方のエリア除外部材の遮光部が、前記受光素子と所定のレンズセグメント間の光路を前記第1の面で遮光して、当該レンズセグメントで形成される検出エリアを光学的に除外するとともに、他方のエリア除外部材の内面反射阻止部が、前記一方のエリア除外部材の第1の面で除外された検出エリアからの検出波が当該他方のエリア除外部材の第2の面で反射して前記受光素子に入射するのを阻止する、能動型物体検出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記エリア除外部材は、軸心回りに回動自在な支持軸と、この支持軸に連結された板状のレバー部とを有し、前記レバー部の第1の面に形成された前記遮光部の反対面の第2面に前記内面反射阻止部が形成されている、能動型物体検出装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかにおいて、
前記内面反射阻止部が多数の凹凸からなる、能動型物体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−115792(P2009−115792A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269531(P2008−269531)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)