説明

脂肪鎖を有する両親媒性ポリマーとシリコーングラフトポリマーを含有する局所用組成物

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリシロキサンを含有するモノマー類によりグラフトされた非シリコーン有機骨格を有する少なくとも1つのグラフトシリコーンポリマーと、少なくとも1つの親水性ユニットと少なくとも1つの脂肪鎖を含有する少なくとも1つのイオン性の両親媒性ポリマーを含有する、ケラチン物質類、特に、ヒトの髪をトリートメントするための、化粧品用または皮膚病用の組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリシロキサンを含有するモノマー類によりグラフトされた非シリコーン有機骨格を有するシリコーンポリマーのポリマー類は、そのスタイリング特性により、従来より公知である。それらは、髪の保持に寄与するため、髪用の化粧品類において、特に有利である。それにもかかわらず、髪に適用した後のそれらの化粧品特性は満足のいくものではなかった。これらのポリマー類を髪に適用すると、ポリマーが髪の繊維に不連続に分散してしまい、髪は荒くざらざらした感触となってしまうことが分かった。
【0003】本出願人は、これらの特定のポリマー類を含有する髪用の組成物に使用される、ある種の従来よりの増粘剤類、例えば、架橋したポリ(アクリル酸)ホモポリマー類が、組成物の粘度を減少せしめ、適用後、髪のもつれのほどけ具合または感触のなめらかさの特性を実質的に改善したり、または湿ったまたは乾燥した髪の繊維への組成物の分散を改善したりすることを不可能にしていることを見出した。
【0004】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】本発明人は、驚くべきことに、ポリシロキサンを含有するモノマー類によりグラフトされた非シリコーン有機骨格を有する少なくとも1つのグラフトシリコーンポリマーを含有する髪用組成物類に、増粘剤として、少なくとも1つの親水性ユニットと少なくとも1つの脂肪鎖を含有するイオン性の両親媒性ポリマーを使用すると、これらの組成物類の媒体の粘度を増加させるばかりでなく、適用時におけるケラチン繊維へのグラフトシリコーンポリマーの沈着が改善され、化粧品特性、特に、グラフトシリコーンポリマーのスタイリング特性を保持しつつ、もつれのほぐれ具合および感触が改善されることを見出した。
【0005】よって、本発明の組成物は、特に、化粧品的または皮膚科学的に許容可能な媒体に、ポリシロキサンを含有するモノマー類によりグラフトされた非シリコーン有機骨格を有する少なくとも1つのグラフトシリコーンポリマーと、少なくとも1つの親水性ユニットと少なくとも1つの脂肪鎖を含有する少なくとも1つのイオン性の両親媒性ポリマーを含有せしめてなることを特徴とするものである。
【0006】以下、シリコーンまたはポリシロキサンは、一般に許容されるところに従って、適切に機能化された(functionalized)シラン類の重縮合および/または重合により得られる種々の分子量の、分枝状または架橋した、直鎖状または環状構造を有する、任意のオルガノシリコーンポリマーまたはオリゴマーであり、本質的に、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに結合している(シロキサン結合≡Si−O−Si≡)主要単位の繰り返しからなり、場合によっては置換された炭化水素基が前記ケイ素原子に炭素原子を介して直接結合しているものを示すと解される。最も一般的な炭水化物基は、アルキル基、特に、C1−C10のアルキル基、特に、メチル基、フルオロアルキル基、アリール基、特に、フェニル基、およびアルケニル基、特に、ビニル基;シロキサン鎖に炭化水素基を介してまたは直接結合可能な他の基、特に、水素、ハロゲン、特に、塩素、臭素またはフッ素、チオール類、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン(またはポリエーテル)基、特に、ポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン基、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、アミド基、アシルオキシまたはアシルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキルアミノまたはアミノアルキル基、第4級アンモニウム基、両性またはベタイン基、またはアニオン基、例えば、カルボキシラート類、チオグリコーラート類、スルホスクシナート類、チオスルファート類、ホスファート類、およびスルファート類であり、もちろん、このリストは、何ら限定するものではない(いわゆる、「有機修飾(organomodified)」されたシリコーン類)。
【0007】以下、「ポリシロキサンマクロマー」は、一般的に許容されるところに従って、その構造中にポリシロキサンタイプのポリマー鎖を含む任意のモノマーを示すと解される。
【0008】本発明のシリコーンポリマー類は、シリコーンを含有しない、有機モノマー類から形成された有機主鎖であって、前記鎖の内部および場合によっては少なくとも1つの末端に、少なくとも1つのポリシロキサンマクロマーがグラクトしているものからなる。
【0009】グラフトシリコーンポリマーの主鎖を構成する非シリコーン有機モノマー類は、ラジカルルートにより重合可能な不飽和エチレンを有するモノマー類、重縮合により重合可能なモノマー類、例えば、ポリアミド類、ポリエステル類またはポリウレタン類を形成するもの、または開環したモノマー類、例えば、オキサゾリンまたはカプロラクトンタイプのものから選択することができる。
【0010】本発明のグラフトシリコーンポリマー類は、当業者にとって公知の任意の方法、特に、(i)ポリシロキサン鎖において適切に機能化されたポリシロキサンマクロマーと、(ii)一つまたは複数の非シリコーン有機化合物類で、それ自体が上記シリコーンに担持されて共有結合を形成する官能基もしくは官能基類と反応しうる官能基によって正しく機能化されているものとの間の反応によって得ることができる;このような反応の定型的な例としては、シリコーンの一端に担持されたビニル基と、主鎖の、不飽和エチレンを有するモノマーの二重結合との間のラジカル反応が挙げられる。
【0011】本発明のポリシロキサンを含有するモノマー類によりグラフトされた非シリコーン有機骨格を有するポリマー類は、より好ましくは、米国特許第4693935号、米国特許第4728571号、および米国特許第4972037号、および欧州特許公開第0412704号、欧州特許公開第0412707号、欧州特許公開第0640105号、および国際特許(WO)第95/00578号に記載されているものから選択される。それらは、不飽和エチレンを有するモノマー類、および末端にビニル基を有するシリコーンマクロマー類のラジカル重合により得られるコポリマー類、または機能化された基を含有するポリオレフィンと、該機能化された基と反応する官能基を末端に有するポリシロキサンマクロマーとの反応によって得られるコポリマーに関する。
【0012】本発明を実施するのに適切なシリコーンポリマー類の特定のグループは、a) ラジカルルートにより重合可能な不飽和エチレンを有する、0〜98重量%の少なくとも1つの低極性の親油性モノマー(A)と;
b) (A)タイプのモノマーまたはモノマー類と共重合可能な不飽和エチレンを有する、0〜98重量%の少なくとも1つの極性の親水性モノマー(B)と;
c) 次の一般式:
【化7】


[上式(I)中、Xは、モノマー類(A)および(B)と共重合可能なビニル基を示し;Yは、二価結合を有する基を示し;Rは、水素、C1−C6のアルキルまたはアルコキシまたはC6−C12のアリールを示し;Zは、少なくとも500の数平均分子量を有する一価のポリシロキサン単位を示し;nは、0または1であり、mは1〜3の整数である]で示される、0.01〜50重量%の少なくとも1つのポリシロキサンマクロマー(C)を、含有するグラフトシリコーンコポリマーからなるものであり、パーセンテージはモノマー類(A)、(B)および(C)の全重量に対して算出される。
【0013】これらのポリマー類、およびそれらの調製方法は、米国特許第4693935号、米国特許第4728571号および米国特許第4972037号および欧州特許公開第0412704号、欧州特許公開第0412707号および欧州特許公開第0640105号に記載されている。それらの数平均分子量は、10000〜2000000であることが好ましく、ガラス転移温度Tgまたは結晶融点Tmは、少なくとも−20℃であることが好ましい。
【0014】親油性モノマー類(A)の具体例としては、アクリル酸またはメタクリル酸とC1−C18のアルコール類とのエステル類;スチレン;ポリスチレンマクロマー類;酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;α−メチルスチレン;tert−ブチルスチレン;ブタジエン;シクロヘキサジエン;エチレン;プロピレン;ビニルトルエン;アクリル酸またはメタクリル酸と1,1−ジヒドロ−ペルフルオロアルカノールまたはその同族体とのエステル類;アクリル酸またはメタクリル酸とω−ヒドロフルオロアルカノールとのエステル類;アクリル酸またはメタクリル酸とフルオロアルキルスルホアミドアルコールとのエステル類;アクリル酸またはメタクリル酸とフルオロアルキルアルコールとのエステル類;アクリル酸またはメタクリル酸とアルコール=フルオロエーテルとのエステル類;またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0015】好ましいモノマー類(A)は、n−ブチル=メタクリラート、イソブチル=メタクリラート、tert−ブチル=アクリラート、tert−ブチル=メタクリラート、2−エチルヘキシル=メタクリラート、メチル=メタクリラート、2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル=アクリラート、2−(N−メチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル=アクリラート、およびそれらの混合物からなるグループから選択される。
【0016】極性のモノマー類(B)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチル=メタクリラート、第4級化ジメチルアミノエチル=メタクリラート、(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、マレイン酸、無水マレイン酸およびその半エステル類、ヒドロキシアルキル=(メタ)アクリラート類、ジアリルジメチルアンモニウム=クロリド、ビニルピロリドン、ビニルエーテル類、マレイン酸イミド類、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、極性の複素環ビニル化合物類、スチレンスルホナート、アリルアルコール、ビニルアルコール、ビニルカプロラクタム、またはそれらの混合物を挙げることができる。好ましいモノマー類(B)は、アクリル酸、N,N−ジメチル−アクリルアミド、ジメチルアミノエチル=メタクリラート、第4級化ジメチルアミノエチル=メタクリラート、ビニルピロリドンおよびそれらの混合物から選択される。
【0017】好ましい式(I)のポリシロキサンマクロマー類(C)は、次の式(II):
【化8】


[上式(II)中、R1は、水素または−COOHであり;R2は、水素、メチルまたは−CH2COOHであり;R3は、C1−C6のアルキル、アルコキシまたはアルキルアミノ、C6−C12のアリールまたはヒドロキシルであり;R4は、C1−C6のアルキル、アルコキシまたはアルキルアミノ、C6−C12のアリールまたはヒドロキシルであり;qは、2〜6の整数であり;pは、0または1であり;rは、5〜700の整数であり;mは、1〜3の整数(好ましくは1)である]に相当するものから選択される。
【0018】特に、次の式:
【化9】


(上式中、nは、5〜700の範囲内の数である)で表されるポリシロキサンマクロマー類が使用される。
【0019】本発明の特定の実施例は、a) 60重量%のtert−ブチルアクリラートと;
b) 20重量%のアクリル酸と;
c) 20重量%の次の式:
【化10】


(上式中、nは、5〜700の範囲内の数である)で表されるシリコーンマクロマー;からなるモノマー類の混合物から、ラジカル重合により得られるコポリマーを使用することからなる。なお、重量%はモノマー類の全重量に対して算出される。
【0020】本発明の特定の他の実施例は、a) 80重量%のtert−ブチルアクリラートと;
b) 20重量%の次の式:
【化11】


(上式中、nは、5〜700の範囲内の数である)で表されるシリコーンマクロマー;からなるモノマー類の混合物から、ラジカル重合により得られるコポリマーを使用することからなる。なお、重量%はモノマー類の全重量に対して算出される。
【0021】本発明を実施するのに適切なシリコーンポリマー類の特定の他のグループは、ポリオレフィンの主鎖へシリコーンをグラフトさせる共有結合を形成するため、ポリシロキサンマクロマーの末端反応性官能基と反応可能な反応基を含有するポリオレフィン型のポリマーと、末端に反応性官能基を有するポリシロキサンマクロマーの放出反応(reactive extrusion)により得られるグラフトシリコーンコポリマー類からなる。
【0022】これらのポリマー類、およびそれらの調製方法は、国際特許出願第95/00578号に記載されている。
【0023】反応性のポリオレフィン類は、ポリシロキサンマクロマーの末端官能基と反応可能な反応性官能基を含有する、ビニルエステル類または等価なもの、ポリエチレン類またはエチレンから誘導されるモノマー類のポリマー類、例えば、プロピレン、スチレン、アルキルスチレン、ブチレン、ブタジエン、(メタ)アクリラートからなるグループから選択されるのが好ましい。それらは特に、エチレンまたはエチレン誘導体類、およびカルボキシル官能基を含有するもの、例えば、(メタ)アクリル酸;酸無水物の官能基を含有するもの、例えば、マレイン酸の無水物;酸塩化物の官能基を含有するもの、例えば、(メタ)アクリル酸の塩化物;エステル官能基を含有するもの、例えば、(メタ)アクリル酸のエステル類;またはイソシアナート官能基を含有するものからなるグループから選択されるモノマーのコポリマー類からなるグループから選択される。
【0024】シリコーンマクロマー類は、好ましくは、アルコール類、チオール類、エポキシ基類または第1級または第2級アミン類から選択される、ポリシロキサン鎖の末端、または末端近傍に、機能化された基を含有するポリシロキサン類、特に、次の一般式(III):
【化12】


[上式(III)中、Tは、NH2、NHR’、エポキシ官能基、OHまたはSHからなるグループから選択され;R5、R6、R7およびR’は独立して、C1−C6のアルキル、フェニル、ベンジルまたはC6−C12のアルキルフェニルまたは水素を示し;sは2〜100の数であり;tは0〜1000の数であり、yは1〜3の数である]に相当するものから選択される。それらは、好ましくは5000〜300000、さらに好ましくは、8000〜200000、特に好ましくは、9000〜40000の数平均分子量を有する。
【0025】本発明のグラフトシリコーンポリマー類は、好ましくは、組成物の全重量に対して、0.01〜20重量%の範囲内の量で使用される。この量は、さらに好ましくは、0.1〜15重量%、特に好ましくは、0.5〜10重量%の間で変えられる。
【0026】本発明で使用される少なくとも1つの脂肪鎖と親水性のユニット類を含有するイオン性の両親媒性ポリマー類は、好ましくは、(1) 少なくとも1つの脂肪鎖を含有するグループにより修飾された、イオン性のホロサイド類(holosides);
− 少なくとも1つの脂肪鎖を含有する基、例えば、アルキル、アリールアルキル、またはアリールアルキル基、またはそれらの混合物を含有する基によって変性した第4級化カチオン性セルロース類、なお、アルキル基は好ましくはC8−C22の基である:− (カチオン性)第4級化アルキルヒドロキシエチルセルロース類、例えば、アメリコール(Amerchol)社から販売されているクワトリソフト(Quatrisoft)LM−X 529−8(C18のアルキル)、クワトリソフト LM−X 529−18−A、クワトリソフト LM−X 529−18−B(C12のアルキル)、クワトリソフト LM 200、およびクロダ(Croda)社から販売されているクロダセル(Crodacel)QM、クロダセル QL(C12のアルキル)およびクロダセル QS(C18のアルキル);
− アニオン性の糖類(C12−C18)の多価アルコール類、例えば、ペトロファーム(Petroferm)社から販売されているエマルサン(Emulsan)(D−ガラクトサミン/アミノウロン酸混合物);
(2) 少なくとも1つの脂肪鎖を含有するモノマー類と無水マレイン酸のコポリマー類;例えば:− n−オクタデシル=ビニル=エーテル/無水マレイン酸のコポリマー類、例えば、ISP社から販売されているガントレズ(Gantrez)AN−8194;
(3) 少なくとも1つの脂肪鎖を含有するモノマー類とクロトン酸のコポリマー類;例えば:− 酢酸ビニル/クロトン酸/ステアリン酸アリルのターポリマー類;
(4) メタクリル酸/アクリル酸エチル/ポリオキシエチレン化されたメタクリル酸ステアリルのターポリマー類、例えば、ローム アンド ハス社から販売されているアクリソール(Acrysol)22、アクリソール 25、およびDW−12 06A;からなるグループから選択される。
【0027】本発明の少なくとも1つの親水性ユニットと少なくとも1つの脂肪鎖を含有する両親媒性のポリマー類は、好ましくは、組成物の全重量に対して、0.01〜20重量%の量で使用される。この量は、さらに好ましくは、0.1〜15重量%、特に好ましくは、0.5〜10重量%の間で変えられる。
【0028】化粧品的または皮膚科学的に許容可能な媒体は、好ましくは、水、または水と化粧品的に許容可能な溶媒、例えば、単独でまたは混合物として使用可能な、モノアルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類または脂肪酸エステルとの混合物からなる。
【0029】特に、低級アルコール類、エタノール、イソプロパノール、多価アルコール類、例えば、ジエチレングリコール、またはグリコールエーテル類、例えば、ジエチレングリコールまたはグリコールのアルキル=エーテル類を挙げることができる。
【0030】本発明のグラフトシリコーンポリマー類は、前記化粧品的に許容可能な媒体に溶解できる、または粒子の水性分散液の形態で使用し得る。
【0031】また、本発明の組成物は、植物性、動物性、鉱物性または合成の油類、ポリマー類、ビタミン類、タンパク質類、サンスクリーン剤類、防腐剤類、香料類、界面活性剤類、シリコーン類、グリセロール類および脂肪酸類のエステル類、脂肪酸エステル類、脂肪鎖を含有しない増粘剤類、および化粧品の分野で従来より使用されている任意の他の添加剤から選択される、少なくとも1つの添加剤類を含有することができる。
【0032】これらの添加物類は、組成物の全重量に対して0〜20重量%の範囲内の割合とすることができる。各々の添加剤の厳密な量はその性質によるものであり、当業者によって容易に決定される。
【0033】もちろん、当業者であれば、本発明の組成物に固有の有利な特性が、考えられる添加により、悪影響を受けないか、実質的に受けないように留意して、添加される任意の化合物類および/または化合物を選択するであろう。
【0034】本発明組成物類は、ゲル、ミルク、クリーム、多かれ少なかれ増粘したローション、またはフォームの形態で提供することができる。
【0035】それらは、特に、ヘアセッティングローション類、ブロー乾燥用ローション類、固定組成物類(fixing compositions: ラッカー類)およびスタイリン用組成物類である。ローション類は、種々の形態、特に、気化した形態または泡状形態の組成物を確実に適用するため、エアゾール容器、または噴霧器またはポンプ作動式のスプレー類にパッケージされてもよい。このような包装形態は、例えば、髪の処理または固定用のフォーム、またはラッカー、スプレーを得ようとする場合に用いられる。
【0036】また、組成物類は、洗髪、染色、脱色、パーマネントウエーブ処理または髪のストレート化の前もしくは後において適用される、すすがれるまたはすすがれない組成物類、またはシャンプー類とすることもできる。
【0037】本発明の組成物がエアゾールフォームまたはラッカーを得るために、エアゾールの形態でパッケージされる場合、揮発性炭化水素類、例えば、n−ブタン、プロパン、イソブタン、ペンタン、塩化および/またはフッ化した炭化水素およびそれらの混合物から選択可能な、少なくとも1つの噴霧剤を含有する。また、噴霧剤として、二酸化炭素ガス、一酸化二窒素、ジメチルエーテル、窒素、圧縮空気およびそれらの混合物を使用することもできる。
【0038】本発明のさらなる主題は、上述した組成物をケラチン物質類に適用し、ついで任意に水ですすぐことからなる、ケラチン物質類、例えば、ヒトの髪のトリートメントのための非治療的方法である。
【0039】
【実施例】以下に示す実施例を使用して本発明をされに詳しく例証するが、記載された実施例は、本発明を限定するものではない。
【0040】
実施例1:スタイリングゲル−以下に示す構造(1)のグラフトシリコー 0.5g(活性物質)
ンポリマー−ローム アンド ハス社からアクリソール 1g(活性物質)
22の名称で販売されている、メタクリル 酸/アクリル酸エチル/オキシエチレン化 されたメタクリル酸ステアリル(55/3 5/10)のターポリマーの30%水性分 散液−アミノメチルプロパノール、前記シリコー 適量 ンポリマーとターポリマーを100%中和−脱塩水 全体を100gとする量
【0041】構造(1):a) 60重量%のtert−ブチルアクリラートと;
b) 20重量%のアクリル酸と;
c) 20重量%の次の式:
【化13】


(上式中、nは、マクロマーの数平均分子量が約9000〜12000になるように選択された数である)で表されるシリコーンマクロマー;(重量%はモノマー類の全重量に対して算出される)からなるモノマー類の混合物から、ラジカル重合により得られたコポリマー。
【0042】比較粘度テスト架橋したポリ(アクリル酸)ホモポリマータイプの従来の増粘剤、例えば、3V社から販売されているシンサレン(Synthalen)Kのレオロジー特性を、1重量%の前記増粘剤と、1重量%の実施例1に記載されたグラフトシリコーンポリマーを含有する水溶液において調査した。増粘した溶液の粘度を、Contraves TV システムを具備したRheomat 180で測定した。全ての溶液は、アミノメチルプロパノールでpH7.5に中和した。
【0043】本発明の少なくとも1つの親水性ユニットと脂肪鎖を含有するイオン性の両親媒性ポリマーP1のレオロジー特性を、1重量%の前記増粘両親媒性ポリマーを含有する水溶液と、1重量%の前記増粘剤と、1重量%の実施例1に記載されたグラフトシリコーンポリマーを含有する水溶液において調査した。
【0044】調査された本発明の両親媒性ポリマーP1は、次に示すものである:−P1:ローム アンド ハス社からアクリソール 22の名称で販売されている、メタクリル酸/アクリル酸エチル/オキシエチレン化されたメタクリル酸ステアリル(55/35/10)のターポリマーの30%水性分散液;
【0045】溶液の粘度を、次の表にセンチポアズで示す。
【0046】
【表1】


【0047】本発明のグラフトシリコーンポリマーと架橋したポリ(アクリル酸)ホモポリマーの組み合わせが調製物の粘度を減少させるのに対し、少なくとも1つの親水性ユニットと脂肪鎖を含有する本発明のイオン性の両親媒性ポリマーP1は、実質的に、グラフトシリコーンポリマーを含有する溶液の粘度を増加させている。
【0048】化粧品特性の比較テスト5人の被験者に対して、感覚評価テストを行った。化粧品の特徴として、SA20型の敏感な、および濡れた髪の束に適用した後の、髪のもつれのほどけやすさ、および感触の滑らかさについて調査した。次の3つの溶液A、B、およびCを、これら5人各々に対し、洗髪前の髪の束に、髪の束5gにつき、0.5g適用した:実施例1のグラフトシリコーンポリマーを1重量%含有する溶液A;実施例1のグラフトシリコーンポリマーを1重量%と、架橋したポリ(アクリル酸)ホモポリマーであるシンサレン Kを1重量%含有する溶液B;実施例1のグラフトシリコーンポリマーを1重量%と、上述したポリマーP1を1重量%含有する溶液C。
【0049】全ての溶液は、アミノメチルプロパノールでpH7.5に中和した。
【0050】各々の化粧品特徴について、被験者は0〜5のグレードで評価した。テストの結果を次の表に要約した。
【0051】
【表2】


【0052】5人の被験者は、グラフトシリコーンポリマーを含有する溶液Cに、本発明の少なくとも1つの親水性ユニットと脂肪鎖を有する増粘剤のイオン性両親媒性ポリマーが存在することで、グラフトシリコーンポリマーを単独で含有する溶液A、または従来の増粘剤である架橋したポリ(アクリル酸)ホモポリマータイプと、前記グラフトシリコーンポリマーとの組み合わせを含有する溶液Bに対し、髪の感触の滑らかさ、および髪のもつれのほどけやすさが改善されると評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 化粧品的に許容可能な媒体に、(a) 60重量%のtert-ブチルアクリラートと;
(b) 20重量%のアクリル酸と;
(c) 20重量%の次の式:
【化1】


(上式中、nは、5〜700の範囲内の数である)
で表されるシリコーンマクロマー;
からなるモノマー類の混合物から、ラジカル重合により得られうるコポリマーであり、重量%がモノマー類の全重量に対して算出されるものである、ポリシロキサンを含有するモノマー類によりグラフトされた非シリコーン有機骨格を有する少なくとも1つのグラフトシリコーンポリマーと、(1) 少なくとも1つの脂肪鎖を含有するグループにより修飾された、イオン性のホロサイド類;
(2) 少なくとも1つの脂肪鎖を含有するモノマー類と無水マレイン酸のコポリマー類;
(3) 少なくとも1つの脂肪鎖を含有するモノマー類とクロトン酸のコポリマー類;
(4) メタクリル酸/アクリル酸エチル/ポリオキシエチレン化されたメタクリル酸ステアリルのターポリマー類;
からなるグループから選択される少なくとも1つのイオン性の両親媒性ポリマーとを含有せしめてなることを特徴とするケラチン物質のトリートメントのための化粧品組成物。
【請求項2】 グラフトシリコーンポリマーが、10000〜2000000の数平均分子量を有し、ガラス転移温度Tgまたは結晶融点Tmが少なくとも−20℃であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】 グラフトシリコーンポリマーが、組成物の全重量に対して、0.01〜20重量%の範囲内の量で使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】 両親媒性ポリマーが、組成物の全重量に対して、0.01〜20重量%の範囲内の量で使用されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】 植物性、動物性、鉱物性または合成の油類、ポリマー類、ビタミン類、タンパク質類、サンスクリーン剤類、防腐剤類、香料類、界面活性剤類、シリコーン類、グリセロール類および脂肪酸類のエステル類、脂肪酸エステル類、脂肪鎖を含有しない増粘剤類、および化粧品の分野で従来より使用されている任意の他の添加剤からなるグループから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含有してなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】 化粧品的に許容可能な媒体が、水、または水と少なくとも1つの化粧品的に許容可能な溶媒との混合物からなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】 化粧品的に許容可能な溶媒が、モノアルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類、脂肪酸エステル類、およびそれらの混合物からなるグループから選択されることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】 ケラチン物質がヒトの髪であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】 グラフトシリコーンポリマーが、化粧品的に許容可能な媒体に溶解されるか、または粒子の水性分散液の形態で使用されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】 ゲル、ミルク、クリーム、多かれ少なかれ増粘したローション、またはフォームの形態で提供されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】 スタイリング用製品であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】 洗髪、染色、脱色、パーマネントウエーブ処理または髪のストレート化の前または後において適用される、すすがれるまたはすすがれない製品、またはシャンプー類からなるグループから選択される髪用の製品であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】 フォーム、ラッカー、またはスプレーを得るため、エアゾール容器、または噴霧器もしくはポンプ作動式のスプレーの形態でパッケージされることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。

【特許番号】特許第3354807号(P3354807)
【登録日】平成14年9月27日(2002.9.27)
【発行日】平成14年12月9日(2002.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−257132
【出願日】平成8年9月27日(1996.9.27)
【公開番号】特開平9−110632
【公開日】平成9年4月28日(1997.4.28)
【審査請求日】平成8年9月27日(1996.9.27)
【前置審査】 前置審査
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【氏名又は名称原語表記】LOREAL