説明

脚式ロボット

【課題】段差の昇降性能を向上させることができる脚式ロボットを提供する。
【解決手段】各脚部20の接地側先端の外周面下側に近接覚センサ25を設ける。近接覚センサ25は、基体10の左右方向のyrs軸を中心軸とする円弧状に配置された複数のセンサ素子26を備えて構成される。そして、階段を登る際に、近接覚センサ25によって脚先の移動方向に段鼻部を検出した場合には、段鼻部との接触を回避するように脚部20を駆動制御し、着地する際に、近接覚センサ25で脚先の移動方向に着地面を検出した場合には、検出した面に確実に着地するように脚部20を駆動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の脚部によって歩行可能な脚式ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基体に複数の脚部を備え、段差への適応性に優れた脚型ロボットが知られている。このような脚型ロボットでは、脚部の接地状況を把握するセンサが不可欠である。
脚型ロボットの接地検出用のセンサとして、例えば特許文献1に記載のリング型センサがある。このリング型センサは、発光素子としての発光ダイオード(LED)及び受光素子としてのフォトトランジスタのペアを有する光センサ素子を備えるものである。
【0003】
光センサ素子に物体が近づくと、LEDから放射された光がその物体で反射され、その反射光がフォトトランジスタに入射される。このとき、フォトトランジスタには、反射光の強度に依存する電流(検出電流)が流れる。したがって、その検出電流の分布に基づいて、物体の近接方向(方位角θ)および近接距離を算出することができる。
上記リング型センサでは、光センサ素子を、網目状の抵抗ネットワーク上で閉ループを形成するようにリング状に配置することで、全方位対応の近接覚センサを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−53115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のリング型センサでは、複数の物体が同時に当該センサに近接している場合であっても、それぞれの物体の方位角θと近接距離とを別々に算出するために、LEDを1個ずつ順番に点灯するθスキャン方式を採用しているが、この場合、LEDを順番に選択するためのスイッチや選択信号等が必要となり、配線本数や回路面積が増大する。
【0006】
そこで、配線本数や回路面積の削減を目的として、全てのLEDを同時に点灯させる全灯方式を採用することも提案されているが、この場合、複数の物体が同時に当該センサに接近すると、それら複数の物体のそれぞれの方位角θの重み付き平均が算出されてしまう。すなわち、近接物体の正確な方向を把握することができない。そのため、上記平均化により、そこに存在するにもかかわらず、存在しないと誤判断される物体が出てくるおそれがあり、信頼性の高い制御を行うことができない。
そこで、本発明は、段差の昇降性能を向上させることができる脚式ロボットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る脚式ロボットは、基体と、前記基体に対して自由度を有して連結された複数の脚部とを備える脚式ロボットであって、前記脚部の接地側先端の外周面下側に、左右方向の軸を中心軸とする円弧状に配置された複数のセンサ素子を有し、前記脚部の接地側先端に接近した近接物体を検出する近接覚センサを備えることを特徴としている。
【0008】
これにより、脚先に接近している物体を検出することができるので、階段を上るときには脚先に段鼻部が接近しているか否かを判断することができ、階段を下りるときには脚先の下に着地面が接近しているか否かを判断することができる。したがって、この近接覚センサの検出結果に基づいて、段差の昇降性能を向上させるべく適切な処理を行うことができる。また、複数のセンサ素子を円弧状に配置しているため、脚の角度に依らず適切な処理ができる。
【0009】
また、上記において、前記センサ素子は、前記脚部の鉛直方向真下位置を0°としたとき、前記脚部の接地側先端の外周面上における−90°以上90°以下の領域に配置されていることを特徴としている。
このように、センサ素子を配置する領域を適切に設定することで、複数の近接物体が同時に検出可能範囲内に存在する可能性を低減することができる。したがって、複数のセンサ素子を同時に駆動してその平均をとる方式を採用した場合であっても、複数の近接物体が同時に検出可能範囲内に存在することに起因する近接物体の誤検出の発生を抑制することができる。そのため、信頼性の高い近接覚センサを実現することができる。
【0010】
さらに、上記において、前記センサ素子は、光を放射する発光素子と、前記発光素子から放射された光の前記近接物体による反射光を受光する受光素子とを備え、前記反射光の受光強度に応じた検出電流を出力するように構成されていることを特徴としている。
これにより、比較的簡易な構成で近接覚センサを実現することができる。
また、上記において、前記受光素子は、短パルス光の受光に対して前記検出電流を出力可能に構成されていることを特徴としている。
このように、受光素子は、パルス状で短期間の受光においても、十分な応答性をもって受光強度に応じた検出電流を出力可能であるため、適切に近接物体を検出することができる。
【0011】
また、上記において、前記複数の脚部は、前記基体の前後方向に並設された前脚部及び後脚部の2本の脚部を1組とした、1組以上の脚部から構成されており、前記前脚部に設けられた前記近接覚センサの発光素子の発光期間と、前記後脚部に設けられた前記近接覚センサの発光素子の発光期間とが所定時間ずれるように、前記近接覚センサを制御するセンサ制御手段をさらに備えることを特徴としている。
これにより、前脚部の近接覚センサの発光素子から放射される光と、後脚部の近接覚センサの発光素子から放射される光とが干渉するのを防止することができる。その結果、当該光の干渉に起因する近接物体の誤検出の発生を防止することができ、より信頼性の高い近接覚センサを実現することができる。
【0012】
さらにまた、上記において、前記センサ制御手段は、前記各近接覚センサに対応してそれぞれ個別に設けられ、前記近接覚センサを制御するサブ制御手段と、前記各サブ制御手段とハーネスを介して接続され、前記近接覚センサを用いた制御を行うメイン制御手段とを備える。前記ハーネスは、前記近接覚センサを駆動するための駆動用電源を伝送する駆動用電源線と、前記サブ制御手段を制御するための制御信号を伝送する制御信号線とからなる。前記サブ制御手段は、前記駆動用電源線から供給される前記駆動用電源から、前記サブ制御手段の制御に必要な制御用電源を生成する制御用電源生成手段を有する。
【0013】
これにより、メイン制御手段から制御用電源生成手段に駆動用電源線から駆動用電源が供給されると、制御用電源生成手段により、供給された駆動用電源から制御用電源が生成され、サブ制御手段には、制御用電源生成手段から制御用電源が供給される。したがって、メイン制御手段と制御用電源生成手段の間では、制御用電源線が不要となり、その分の省配線化が図れる。
【0014】
また、上記において、前記メイン制御手段は、所定のタイミングで、前記制御信号として、前記前脚部に設けられた前記近接覚センサの発光素子の発光期間と、前記後脚部に設けられた前記近接覚センサの発光素子の発光期間とのずれが前記所定時間となるように補正するための補正信号を、前記前脚部に設けられた前記近接覚センサおよび前記後脚部に設けられた前記近接覚センサにそれぞれ対応する前記サブ制御手段に対して出力することを備えることを特徴としている。
【0015】
これにより、各サブ制御手段は、メイン制御手段から出力される補正信号を受信したタイミングを基準として、自身に対応する近接覚センサの発光素子の発光期間(発光タイミング)を補正することができる。したがって、前脚部に設けられた近接覚センサの発光素子の発光期間と、後脚部に設けられた近接覚センサの発光素子の発光期間とを、確実に重ならないようにすることができる。
【0016】
さらに、上記において、前記脚部は、可動関節を介して複数のリンクを連結してなり、前記可動関節を駆動するための動力を付与するアクチュエータと、前記近接覚センサで検出した前記近接物体の位置情報と、前記脚部の接地側先端部の移動方向とに基づいて、前記アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0017】
このように、近接覚センサで検出した近接物体の位置情報と脚先の移動方向とを照らし合わせることで、階段を上るときには脚先が段鼻部に接触するか否かを判断することができ、階段を下りるときには着地しようとする方向に着地面が存在するか否かを判断することができる。したがって、階段を上るときには段鼻部との接触を回避するための制御、階段を下りるときには確実に着地するための制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のセンサ素子を円弧状に配置した近接覚センサを脚先に設けることで、当該脚先に接近している物体を精度良く検出することができ、段差の昇降性能を向上させるべく適切な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態における脚式ロボットの概略構成を示す正面図である。
【図2】本実施形態における脚式ロボットの概略構成を示す側面図である。
【図3】腰関節の側面図である。
【図4】波動歯車装置の断面図である。
【図5】脚部の全体図である。
【図6】近接覚センサの構成を示す側面図である。
【図7】近接覚センサの動作期間を示す図である。
【図8】発光タイミングの時間合わせの例を示す図である。
【図9】脚式ロボットの移動制御システムを示すブロック図である。
【図10】脚式ロボットの分散制御系の構成を示すブロック図である。
【図11】脚部の断面図である。
【図12】昇降制御時の動作を説明する図である。
【図13】脚部の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における脚式ロボット100の概略構成を示す正面図である。また、図2は、本実施形態における脚式ロボット100の概略構成を示す側面図である。
脚式ロボット100は、略直方体の基体10と、この基体10の四隅に、基体10に対して自由度を有して連結された四本の脚部20と、を備えている。
【0021】
基体10は、基体前後方向の前側基体11と、基体前後方向の後側基体12と、これら前側基体11及び後側基体12を、所定の軸回りに相対変位可能な状態で連結する腰関節13とを備え、前側基体11及び後側基体12には、夫々、二本の脚部20が連結されている。すなわち、基体10の前後方向に並設された前脚部及び後脚部の二本の脚部20を一組として、基体10の左右方向に二組の脚部20が配置された構成となっている。
【0022】
基体10と各脚部20との間には、基体側から順に、第一股関節30と、第二股関節40と、が介装されている。第一股関節30は、基体10の上下軸回りに脚部20を回動させる関節であり、第二股関節40は、基体10の上下軸と直行する軸回りに脚部20を回動させる関節である。すなわち、第二股関節40は、第一股関節30の回動位置に応じて、基体10の左右軸回りや前後軸回りに脚部20を回動させる関節である。これら第一股関節30と第二股関節40とにより、脚部20の立体的な枢動が可能となる。
【0023】
各脚部20は、基体側の基体側脚部21と、接地側の接地側脚部22と、基体側脚部21に対して接地側脚部22を、第二股関節40と平行な軸回りに回動可能な状態で連結する膝関節50と、を備える。膝関節50は、第一股関節30の回動位置に応じて、基体10の左右軸回りや前後軸回りに脚部20を回動させる関節である。これら第二股関節40と膝関節50とにより、脚部20の屈伸が可能となる。
各脚部20の先端には、膝関節50と平行な軸回りに回転する駆動輪60が軸支されている。
【0024】
また、基体10の正面には、三次元距離測定装置14が取り付けられている。三次元距離測定装置14は、距離センサの測定方向に対して直交する二つの軸回りに距離センサを回転させ、これにより得られた測定結果に基づいて、測定範囲内に存在する物体上の連続面を認識する。
三次元距離測定装置14の座標系(以下、センサ座標系と称す)は、基体10の前後方向をxrs軸、基体10の左右方向をyrs軸、基体10の高さ方向をzrs軸とする。なお、距離センサの原点位置においては、距離センサの測定方向がxrs軸と一致し、距離センサの第一の回転軸がyrs軸と一致する。距離センサの第一の回転軸は、z軸回りの走査角度によって向きが変化するが、原点位置においてyrs軸と一致するため、説明の便宜上、距離センサの第一の回転軸をyrs’軸と表記する。
さらに、各脚部20の先端側には、前方物体までの距離を検出する脚先前方センサ23と、接地面までの距離を検出する脚先下方センサ24と、が設けられている。
【0025】
次に、腰関節13の構成について説明する。
図3は、腰関節13の側面図である。
腰関節13は、一般にハーモニックドライブ(登録商標)として知られる波動歯車装置70を備え、この波動歯車装置70を介して、前側基体11及び後側基体12を、基体10のロール軸回りに相対変位可能な状態で連結している。なお、腰関節13は、基体10のピッチ軸(図2の紙面垂直軸)回りに回動可能なものとしても良く、省略しても良い。
【0026】
ここで、波動歯車装置70について説明する。
図4は、波動歯車装置70の断面図である。
波動歯車装置70は、回転中心となる楕円状のカム及びこれに外嵌されたボールベアリングによって構成されるウェーブジェネレータ71と、内周面がボールベアリングの外輪に摺接し外周面に歯が形成された薄肉カップ状のフレクスプライン72と、内周面に形成されたフレクスプライン72よりも多い歯を介してフレクスプライン72に噛合するリング状のサーキュラスプライン73と、で構成されている。ここで、フレクスプライン72が前側基体11に連結され、サーキュラスプライン73が後側基体12に連結されている。
【0027】
一方、ウェーブジェネレータ71のカムには、前側基体11によって軸支された回転軸74が連結され、この回転軸74には、従動プーリ75が固定されている。前側基体11には、回転軸74と略平行なモータ軸を有するモータM1が固定されており、そのモータ軸には、従動プーリ75と周方向に対向する駆動プーリ76が固定されている。これら従動プーリ75と駆動プーリ76とに、図示しないタイミングベルトやVベルトを掛けることで、モータM1の動力をウェーブジェネレータ71に伝達する。なお、動力伝達は、歯車やチェーンであってもよい。
【0028】
上記の構成により、モータM1の回転は、プーリを介した所定の減速比でウェーブジェネレータ71に伝達される。ウェーブジェネレータ71の回転は、フレクスプライン72とサーキュラスプライン73との噛合位置を変化させ、これによって所定の減速比でサーキュラスプライン73を回転させる。すなわち、モータM1の回転により、前側基体11及び後側基体12を、基体10のロール軸回りに相対変位させる。
【0029】
次に、脚部20について説明する。
図5は、脚部20の全体図である。
第一股関節30は、基体10に固定されるボックス状のハウジング31と、基体10の上下軸と略平行な状態でハウジング31に軸支されハウジング31の下方で第二股関節40に連結される関節軸32と、ハウジング31の上面に固定され関節軸32を駆動するモータM2と、を備えている。なお、ハウジング31には、モータM2の回転を所定の減速比で関節軸32に伝達する減速機(例えば波動歯車装置)が収容されている。また、ハウジング31の側面には、関節軸32で基体側脚部21が回動する際に、この基体側脚部21と干渉する部位を、基体側脚部21の軌道に応じて除去した切欠部33が形成されている。
【0030】
第二股関節40は、第一股関節30の関節軸32に固定されるハウジング41と、基体10の上下軸と直交する軸と略平行な状態でハウジング41に軸支され基体側脚部21に連結される関節軸42と、ハウジング41に収容され関節軸42を駆動するモータM2(図示省略)と、を備えている。なお、ハウジング41には、モータM2の回転を所定の減速比で関節軸42に伝達する減速機(例えば波動歯車装置)も収容されている。
基体側脚部21は、上端側が第二股関節40のハウジング41を挟むように対向し且つ関節軸42に固定される一対のフレームで構成される。
【0031】
膝関節50は、基体側脚部21の下端側に一体形成されたボックス状のハウジング51と、基体10の上下軸と直交する軸と略平行な状態でハウジング51に軸支されハウジング51の下部で接地側脚部22に連結される関節軸52と、ハウジング51に収容され関節軸52を駆動するモータM2(図示省略)と、を備えている。なお、ハウジング51には、モータM2の回転を所定の減速比で関節軸52に伝達する減速機(例えば波動歯車装置)が収容されている。また、ハウジング51の上端側には、第二股関節40で基体側脚部21が回動する際に、この第二股関節40のハウジング41と干渉する部位を、基体側脚部21の軌道に応じて除去した傾斜部53が形成されている。
【0032】
接地側脚部22は、上端側が膝関節50のハウジング51を挟むように対向し且つ関節軸52に固定される一対のフレームで構成される。
駆動輪60は、接地側脚部22の下端側に一体形成されたボックス状のハウジング61と、基体10の上下軸と直交する軸と略平行な状態でハウジング61に軸支されハウジング61の下方に少なくとも接地部が露出した車輪62a,62bと、ハウジング61に収容され車輪62a及び62bを駆動するモータM3(図示省略)と、を備えている。なお、ハウジング61には、モータM3の回転を所定の減速比で車輪62a及び62bに伝達する減速機(例えば波動歯車装置)が収容されている。
【0033】
そして、ハウジング61の下端部の外周面には、脚部20の接地側先端に接近した近接物体を検出するための近接覚センサ25が設けられている。
脚式ロボット100は階段を昇降可能であり、階段を昇降する際は、第一股関節30を略正面(図1及び図2に示す向き)に向け、第二股関節40と膝関節50とを駆動して、基体側脚部21と接地側脚部22とを前後上下に運ぶような歩容を取る。
すなわち、脚部20の運動は、主として(zrs,xrs)平面上で行われ、yrs軸方向及びzrs軸回りの回転方向の運動は、基体10の微調整といった補助的なものである。
【0034】
図6は、近接覚センサ25の構成を示す側面図である。
近接覚センサ25は、複数のセンサ素子26を1次元もしくは2次元に配列したセンサユニットであり、ハウジング61の下端部の外周面に、上記センサ素子26を基体10の左右方向のyrs軸(紙面垂直方向の軸)を中心軸とする円弧状に配置して構成されている。
このような構成とすることで、脚式ロボット100が階段を歩行するときの脚部20の動き(zrs軸方向及びxrs軸方向の動き)に対して、脚先に物体が近づいているか否かを検出することができる。
【0035】
ここで、センサ素子26は、鉛直方向真下位置を0°としたとき、ハウジング61の外周面上における−90°以上90°以下の領域に配置されている。なお、センサ素子26を配置する領域はこれに限定するものではないが、例えば、特開2001−53115号公報(特許文献1)のように、複数の物体を検出した際にその平均位置が返されるような構成のセンサを用いる場合は、センサ素子26を中心角180°程度の範囲で配置することが好ましい。
【0036】
センサ素子26としては、例えば反射型光センサ素子を用いることができる。すなわち、センサ素子26は、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード等の発光素子と、当該発光素子の発光期間に同期して受光動作を行うフォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光素子とを備え、発光素子から放射され検出対象の物体Pによって反射された光を受光素子で受光することで、その受光強度に応じた検出電流を出力するように構成されている。
【0037】
ここで、各センサ素子26は、上記中心軸を中心として放射状に光を放射するように配置されている。そして、その光の放射距離、すなわち近接覚センサ25の検出可能範囲は、少なくとも車輪62a,62bの外周(接地部)を越えるように設定されている。なお、近接覚センサ25の検出可能範囲の上限位置は、センサ素子26から光の放射方向で脚部20の最大移動速度×0.1秒程度、もしくは盲導犬ロボット程度の大きさ及び移動速度であれば1cm〜5cm程度の位置とする。
このような構成により、脚先に物体Pが接近して検出可能範囲内に進入し、発光素子から放射され物体Pで反射した反射光を受光素子で受光したときにセンサ素子26から出力される検出電流の分布と大きさとに基づいて、物体Pの位置(方位角θ)および物体Pまでの距離Lが算出できる。
【0038】
また、近接覚センサ25の検出可能範囲が上述の如く限定されているため、物体が検出可能範囲外に存在するときには、脚先が当該物体に接触するおそれがないと判断して、障害物との接触を回避するための接触回避運動を行わないようにすることができる。すなわち、物体が検出可能範囲内に存在するときのみ接触回避運動を行えば良いため、制御アルゴリズムを簡略化することができる。
【0039】
また、この近接覚センサ25は、所定時間毎に所定期間ずつ作動状態となるように構成されている。すなわち、近接覚センサ25の複数の発光素子は、所定時間毎に所定期間、同時に発光し、複数の受光素子は、この発光素子の発光期間に同期して、所定時間毎に所定期間、同時に受光動作を行う。
このとき、環境光による受光強度への影響を軽減するために、受光動作時の検出電流値を環境光に相当する電流分減少補正し、補正後の電流値に基づいて物体Pの位置θ及び距離Lを検出するようにする。ここで、上記環境光に相当する電流値は、発光素子が消灯している期間内に取得した検出電流値を用いる。
【0040】
さらに、基体前方側の脚部(前脚部)20に設けられた近接覚センサ25と基体後方側の脚部(後脚部)20に設けられた近接覚センサ25とで光が干渉しないようにするために、前脚部20に設けられた近接覚センサ25の動作期間(発光素子の発光期間)と、後脚部20に設けられた近接覚センサ25の動作期間(発光素子の発光期間)とをずらすようにする。
【0041】
図7は、近接覚センサ25の動作期間を示す図であり、(a)は前脚部の近接覚センサ25の動作期間、(b)は後脚部の近接覚センサ25の動作期間を示している。
この図7に示すように、発光素子が発光して近接覚センサ25が作動状態となるタイミングを、前脚部の近接覚センサ25と後脚部の近接覚センサ25とで所定時間T1だけずらす。そして、発光素子が発光して近接覚センサ25が作動状態となる期間T2と、近接覚センサ25が作動状態となってから次の作動状態となるまでの期間T3とは、前脚部の近接覚センサ25と後脚部の近接覚センサ25とで等しくなるように設定する。
【0042】
各近接覚センサ25の発光素子の発光タイミングは、電源投入時に前後の近接覚センサ25で発光タイミングが所定時間T1だけずれるように調整され、その後は、近接覚センサ25毎に個別に設けられたサブ制御装置(後述する分散コントローラ37に対応)でクロック信号をカウントする等により制御する。
ただし、電源投入時に発光タイミングをずらしても、各サブ制御装置でのカウントタイミングが微妙に異なると、図8(a)に示すように、ある程度の時間が経過すると、前後の近接覚センサ25の動作期間が重なり、前後の近接覚センサ25で光の干渉が起こり誤検出の原因となってしまう。そこで、所定のタイミングで、メイン制御装置(後述するCPU80に対応)から各サブ制御装置へ時間合わせ信号(補正信号)を出力するようにする。そして、各サブ制御装置は、当該時間合わせ信号を受信したとき、図8(b)に示すように、その時刻を基準として発光素子の発光タイミングを補正する。
【0043】
次に、脚式ロボット100の移動制御システムについて説明する。
図9は、脚式ロボット100の移動制御システムを示すブロック図である。
腰関節13のモータM1には、回転角を検出するエンコーダ75が設けられており、脚式ロボット100は、モータ制御指令及びエンコーダ75の出力信号に基づいてモータM1を駆動するドライバ76と、エンコーダ75及びドライバ76に関する制御(信号処理、駆動制御等)を行う分散コントローラ77とを備える。
【0044】
また、各脚部20において、第一股関節30のモータM2、第二股関節40のモータM2、及び膝関節50のモータM2の夫々には、回転角を検出するエンコーダ35が設けられており、脚式ロボット100は、モータ制御指令、エンコーダ35の出力信号及び近接覚センサ25の出力信号に基づいてモータM2を駆動するドライバ36と、エンコーダ35、ドライバ36及び近接覚センサ25に関する制御(信号処理、駆動制御等)を行う分散コントローラ37とを備える。ここで、例えば、基体10の右側前方に配置された脚部20のモータM2に対応する分散コントローラ37では、基体10の右側前方に配置された脚部20に設けられた近接覚センサ25に関する制御を行うように、分散コントローラ37と近接覚コントローラ25とを適切に対応させて接続する。
【0045】
さらに、各脚部20において、駆動輪60のモータM3には、回転角を検出するエンコーダ65が設けられており、脚式ロボット100は、モータ制御指令、エンコーダ65の出力信号及び脚先センサ23,24の出力信号に基づいてモータM3を駆動するドライバ66と、エンコーダ65、ドライバ66及び脚先センサ23,24に関する制御(信号処理、駆動制御等)を行う分散コントローラ67とを備える。
【0046】
脚式ロボット100は、さらにCPU80を備える。CPU80は、CAN通信I/F80aを介して、分散コントローラ37、67、77とCAN通信可能に接続されている。具体的には、CPU80と分散コントローラ37、67、77とは、図10に示すように、分散コントローラ37、67、77を制御するための制御信号を伝送する制御信号線(CANH、CANL)と、モータM1〜M3、エンコーダ35、65、75、ドライバ36、66、76(以下、これらを電気機器と総称する。)を駆動するための駆動用電源を伝送する駆動用電源線(V+、V-)とからなるハーネスで接続されている。
【0047】
ここで、上記制御信号としては、上述した時間合わせ信号がある。すなわち、CPU80は、所定のタイミングで、前脚部の近接覚センサ25の発光素子の発光期間と、後脚部の近接覚センサ25の発光素子の発光期間とが図7に示すように所定時間ずれるように補正するための時間合わせ信号を、前脚部の近接覚センサ25および後脚部の近接覚センサ25にそれぞれ対応する分散コントローラ37に対して出力する。
【0048】
そして、CPU80は、ROM等の所定領域に格納されている制御プログラムを起動させ、その制御プログラムに従って、電気機器を用いた昇降制御処理を行う。昇降制御処理は、例えば、障害物検出処理および脚部駆動制御処理からなる。
障害物検出処理では、三次元距離測定装置14から入力した面データに基づいて、センサ座標系の座標をグローバル座標系の座標に変換し、連続面の境界線上の点を階段の特徴点として抽出する。次に、抽出した特徴点に基づいて階段の幅及び階段の段鼻部の実座標を算出する。そして、算出した階段の幅および段鼻部の実座標、並びに3軸姿勢センサ(不図示)のセンサ信号に基づいて逆運動学計算および重心計算を行い、その計算結果に基づいて脚先(駆動輪60)の着地位置を決定する。
【0049】
着地位置が決定されると、脚部駆動制御処理を行う。脚部駆動制御処理では、前方脚先センサ23および下方脚先センサ24からそれぞれセンサ信号を入力し、入力した前方脚先センサ23のセンサ信号に基づいて踏板までの距離を算出し、入力した下方脚先センサ24のセンサ信号に基づいて脚先と踏板の位置関係を算出する。そして、決定した着地位置および算出した両距離に基づいてドライバ36、46へのモータ指令信号を生成し、生成したモータ指令信号をドライバ36、46に出力し、脚先が踏板に着地したか否かを判定し、脚先が着地したと判定するまで脚部駆動制御処理を繰り返し実行する。
【0050】
また、この脚部駆動制御処理では、近接覚センサ25からセンサ信号を入力し、入力したセンサ信号に基づいて、脚先が踏板に着地したと判定するまでの間、近接物体の有無を検出する。このとき、脚式ロボット100が段差を乗り越えようとしているときに脚先の移動方向に近接物体を検出した場合には、脚先が障害物に接触すると判断し、当該障害物との接触を回避する接触回避運動を行うべくドライバ36,46へのモータ指令信号を生成し、生成したモータ指令信号をドライバ36、46に出力する。
【0051】
一方、脚先ロボット100が脚先を踏板に着地させるために、踏板の上方から脚先を下ろしているときに脚先の移動方向に近接物体を検出した場合には、足場となる踏板を検出したと判断し、検出した踏板に脚を下ろすべくドライバ36,46へのモータ指令信号を生成し、生成したモータ指令信号をドライバ36、46に出力する。
また、各分散コントローラ37,67,77は、モータM2が速度制御モード又はトルク制御モードであるときに、予め設定した一定期間、CPU80から新しい指令が送信されない場合、各モータM1〜M3を停止するためのモータ指令信号を生成し、生成したモータ指令信号をドライバ36、46に出力する。このように、各分散コントローラ37,67,77は、CPU80の動作異常時における安全装置として機能させることができる。この機能は、特に車輪62a及び62bを駆動するモータM3に対して好適である。
【0052】
次に、分散コントローラ37の配置構造について説明する。
図11は、脚部20の断面図である。
脚部20は、図11に示すように、第二股関節40と膝関節50とが連結する基体側脚部21の第二股関節40側端部には、第二股関節40のモータM2および分散コントローラ37が配置され、分散コントローラ37には、CPU80からのハーネス(制御用信号線LCおよび駆動用電源線LP1)が接続されている。なお、エンコーダ35はモータM2に内蔵されている。
【0053】
また、基体側脚部21の膝関節50側端部には、膝関節50のモータM2および分散コントローラ37が配置され、分散コントローラ37には、上段の分散コントローラ37を介して、CPU80からのハーネス(制御用信号線LCおよび駆動用電源線LP1)が接続されている。なお、エンコーダ35はモータM2に内蔵されている。
分散コントローラ37は、基板(不図示)に実装されている。同基板上には、駆動用電源線LP1に接続され、駆動用電源線LP1から供給される駆動用電源から制御用電源を生成するDC−DCコンバータ(制御用電源生成手段)38が設けられている。そして、分散コントローラ37とDC−DCコンバータ38とは、制御用電源を伝送可能に接続されている。なお、基板上に限らず、DC−DCコンバータ38を基板の近傍に設け、分散コントローラ37とDC−DCコンバータ38とを制御用電源線で接続してもよい。
なお、上記において、分散コントローラ37及びCPU80がセンサ制御手段に対応し、モータM2がアクチュエータに対応し、ドライバ35及び分散コントローラ37がアクチュエータ駆動制御手段に対応している。
【0054】
次に、脚式ロボット100の昇降制御時の動作について説明する。
脚式ロボット100の移動経路上に階段が存在すると、三次元距離測定装置14から入力した面データに基づいて、階段の特徴点が抽出される。そして、抽出された特徴点に基づいて階段の幅および段鼻部の実座標が算出され、算出された階段の幅および段鼻部の実座標に基づいて脚先の着地位置が決定される。
【0055】
さらに、脚先センサ23、24からそれぞれセンサ信号が入力され、踏板までの距離および脚先と踏板の位置関係が算出される。そして、決定された着地位置および算出された両距離に基づいてモータ指令信号が生成され、生成されたモータ指令信号がドライバ36、66に出力される。これにより、車輪62a,62bが回転するとともに各関節30,40,50が駆動し、脚式ロボット100が姿勢を適切に保ちつつ階段を乗り越える。
その際、脚先に設けられた近接覚センサ25からセンサ信号が入力され、近接物体の有無を判定する。このとき、図12(a)に示すように、矢印Aの方向に脚部20を移動して階段を乗り越えようとしているとき、近接覚センサ25の検出可能範囲内に近接物体が存在しない場合には、そのまま階段を乗り越える動作を継続する。
【0056】
一方、脚部20を移動して階段を乗り越えようとしているとき、図12(b)に示すように、近接覚センサ25の検出可能範囲内に階段の段鼻部が存在する場合には、段鼻部を検出した方向(領域αに含まれる方向)への移動を制限する。すなわち、脚部20が領域α外の矢印Bの方向へ移動しようとしている場合には、そのまま階段を乗り越える動作を継続するが、脚部20が領域αに含まれる矢印Cの方向へ移動しようとしている場合には、矢印Cの方向への移動を制限する接触回避運動を実施する。
【0057】
接触回避運動として、先ず、脚部20の移動を停止するために、脚部20の移動速度を0とするようなモータ指令信号を生成し、生成したモータ指令信号をドライバ36、66に出力する。次に、脚部20の移動方向を、矢印Cの方向から階段を回避可能な方向(例えば、矢印Cの方向に直交する上方向)へ変更するようなモータ指令信号を生成し、生成したモータ指令信号をドライバ36、66に出力する。
【0058】
また、脚部20が階段を乗り越え、決定された着地位置に着地しようとしているときにも、近接覚センサ25のセンサ信号に基づいて近接物体の有無を判定する。このとき、図12(c)に示すように、近接覚センサ25の検出可能範囲内に踏板が存在することを検出した場合に、踏板を検出した方向(例えば、領域βに含まれる矢印Dの方向)に確実に脚を下ろすようにする。
【0059】
このように、本実施形態では、脚部20の接地側先端に近接覚センサ25を設け、階段の昇降制御時に近接物体の有無を検出し、脚部20の移動方向における近接物体の有無に応じて脚部20の駆動を制御する。これにより、段差を乗り越える際に脚先が段鼻部に接触するのを防止したり、段差を下りる際に確実に着地させたりすることができる。したがって、脚先ロボット100の昇降性能を向上させることができる。
このとき、近接覚センサ25のセンサ素子26を、脚部20の接地側先端の下側外周面に、左右方向の軸を中心軸とする円弧状(中心角180°程度)に配置するので、昇降制御時に検出すべき近接物体を適切に検出することができる。
【0060】
センサ素子26を広範囲に配置しすぎると、複数の物体が同時に近接覚センサ25に接近した場合に、それら複数の物体のそれぞれの方位角θの重み付き平均を算出することになり、近接物体の正確な方向を把握することができなくなるが、本実施形態のようにセンサ素子26を中心角180°程度の円弧状に配置することで、複数の物体が同時に近接覚センサ25に接近する可能性を低減することができる。これにより、近接物体の誤検出を抑制することができ、近接物体の位置検出の信頼性を向上させることができる。
【0061】
また、センサ素子26を、発光素子と受光素子とを含んで構成される反射型光センサ素子とするので、比較的簡易な構成で適切に近接物体を検出することができる。
さらに、前脚部に配置された近接覚センサ25の動作期間(発光素子の発光期間及び受光素子の受光動作期間)と、後脚部に配置された近接覚センサ25の動作期間とが所定時間ずれるようにするので、前後に配置された近接覚センサ25間での光の干渉を防止することができる。これにより、より高精度な物体検出を行うことができる。
【0062】
また、各近接覚センサ25の動作期間は、それぞれ個別の分散コントローラ37で制御するものとし、各分散コントローラ37とCPU80とを、制御用信号線LCおよび駆動用電源線LP1からなるハーネスで接続する。そして、駆動用電源線LP1から供給される駆動用電源から制御用電源を生成するDC−DCコンバータ38をハーネスの配線経路上に設け、分散コントローラ37とDC−DCコンバータ38を、制御用電源を伝送可能に接続する。これにより、CPU80と分散コントローラ37の間では、制御用電源線が不要となり、その分の省配線化が図れる。
【0063】
さらに、所定のタイミングで、CPU80から各分散コントローラ37に対して、時間合わせ信号を出力する。これにより、各分散コントローラ37は、各近接覚センサ25の動作タイミングが正常なタイミングとなるように補正し、前後の近接覚センサ25の動作期間を確実にずらすことができる。したがって、各分散コントローラ37のカウントタイミングのずれに起因して前後の近接覚センサ25の動作期間が重なってしまうのを防止することができる。その結果、前後の近接覚センサ25による光の干渉を防止し、近接物体の誤検出を防止することができる。
【0064】
なお、上記実施形態においては、図5に示すように、近接覚センサ25を一方の車輪62aの近傍にのみ配置する場合について説明したが、両方の車輪62a,62bの近傍にそれぞれ配置するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、駆動輪60が2つの車輪62a,62bを備える場合について説明したが、例えば図13に示すように、1つの車輪62のみが設けられた駆動輪60を備える脚式ロボット100にも本発明を適用可能である。この場合にも、図13に示すように、車輪62の近傍に近接覚センサ25を配置することで脚先に接近した物体を適切に検出することができる。
【0065】
さらに、上記実施形態においては、センサ素子26として発光素子と受光素子とで構成される反射型光センサ素子を適用する場合について説明したが、センサと物体との距離が近い場合に、当該物体の距離および位置(センサ配列に対する位置)を出力可能なセンサであれば、これに限定されるものではない。
また、センサ素子26の検出信号の処理方式としては、例えばセンサ素子26の検出信号を個別に処理する方式を用いることもできる。この場合は、センサ素子26の配置範囲は広い方(例えば、中心角180°以上)が好ましい。同様に、センサ素子26の検出信号の処理方式に応じて、センサ素子26の配置範囲を適宜変更することが可能である。
【0066】
さらに、上記実施形態の近接覚センサ25を基体10から突出する部分、例えば膝関節50に取り付けるようにしてもよい。これにより、膝関節50と略同等の高さの障害物を、膝関節50を折り曲げて乗り越える場合などに、膝関節移動方向の確実な障害物接触回避が可能となり、障害物の乗り越え等の精度を向上させることができる。
また、上記実施形態においては、4本の脚部20を備える脚式ロボット100に本発明を適用する場合について説明したが、脚部20の本数はこれに限定されるものではなく、例えば2本の脚部を備える脚式ロボットにも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
100…脚式ロボット、10…基体、11…前側基体、12…後側基体、13…腰関節、14…三次元距離測定装置、20…脚部、21…基体側脚部、22…接地側脚部、23…脚先前方センサ、24…脚先下方センサ、25…近接覚センサ、26…センサ素子、30…第一股関節、35…エンコーダ、36…ドライバ、37…分散コントローラ、40…第二股関節、50…膝関節、60…駆動輪、62a,62b…車輪、65…エンコーダ、66…ドライバ、67…分散コントローラ、70…波動歯車装置、75…エンコーダ、76…ドライバ、77…分散コントローラ、80…CPU、M1〜M3…モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、前記基体に対して自由度を有して連結された複数の脚部とを備える脚式ロボットであって、
前記脚部の接地側先端の外周面下側に、左右方向の軸を中心軸とする円弧状に配置された複数のセンサ素子を有し、前記脚部の接地側先端に接近した近接物体を検出する近接覚センサを備えることを特徴とする脚式ロボット。
【請求項2】
前記センサ素子は、前記脚部の鉛直方向真下位置を0°としたとき、前記脚部の接地側先端の外周面上における−90°以上90°以下の領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の脚式ロボット。
【請求項3】
前記センサ素子は、光を放射する発光素子と、前記発光素子から放射された光の前記近接物体による反射光を受光する受光素子とを備え、前記反射光の受光強度に応じた検出電流を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の脚式ロボット。
【請求項4】
前記受光素子は、短パルス光の受光に対して前記検出電流を出力可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の脚式ロボット。
【請求項5】
前記複数の脚部は、前記基体の前後方向に並設された前脚部及び後脚部の2本の脚部を1組とした、1組以上の脚部から構成されており、
前記前脚部に設けられた前記近接覚センサの発光素子の発光期間と、前記後脚部に設けられた前記近接覚センサの発光素子の発光期間とが所定時間ずれるように、前記近接覚センサを制御するセンサ制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の脚式ロボット。
【請求項6】
前記センサ制御手段は、前記各近接覚センサに対応してそれぞれ個別に設けられ、前記近接覚センサを制御するサブ制御手段と、前記各サブ制御手段とハーネスを介して接続され、前記近接覚センサを用いた制御を行うメイン制御手段と、を備え、
前記ハーネスは、前記近接覚センサを駆動するための駆動用電源を伝送する駆動用電源線と、前記サブ制御手段を制御するための制御信号を伝送する制御信号線とからなり、
前記サブ制御手段は、前記駆動用電源線から供給される前記駆動用電源から、前記サブ制御手段の制御に必要な制御用電源を生成する制御用電源生成手段を有することを特徴とする請求項5に記載の脚式ロボット。
【請求項7】
前記メイン制御手段は、所定のタイミングで、前記制御信号として、前記前脚部に設けられた前記近接覚センサの発光素子の発光期間と、前記後脚部に設けられた前記近接覚センサの発光素子の発光期間とのずれが前記所定時間となるように補正するための補正信号を、前記前脚部に設けられた前記近接覚センサおよび前記後脚部に設けられた前記近接覚センサにそれぞれ対応する前記サブ制御手段に対して出力することを備えることを特徴とする請求項6に記載の脚式ロボット。
【請求項8】
前記脚部は、可動関節を介して複数のリンクを連結してなり、
前記可動関節を駆動するための動力を付与するアクチュエータと、
前記近接覚センサで検出した前記近接物体の位置情報と、前記脚部の接地側先端部の移動方向とに基づいて、前記アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の脚式ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−86205(P2013−86205A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228263(P2011−228263)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】