脱硝装置及びトンネル用脱硝設備
【課題】トンネル延長方向に対する高さ方向や幅方向が狭い形状の設置スペースでも、脱硝剤ユニットに組み込まれた脱硝剤に対する排ガスの面風速分布の均一化をし、脱硝剤の除去性能を一様に使用し、圧力損失の増加を抑え、かつ脱硝剤の搬出入、ローテーションを容易に行なうことができる脱硝装置及びトンネル用脱硝設備を提供すること。
【解決手段】脱硝装置は、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路1内に導き、排ガス風路1内に設置した脱硝剤ユニット11,12に排ガスを通気させて窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、脱硝剤ユニット11,12を垂直に立てて配置し、ヒンジ15を設けて脱硝装置構造体16に固定し、脱硝剤13を交換するときにはヒンジ15を支点として脱硝剤ユニット11,12を開き、その側面の脱硝剤取り出し口18より脱硝剤13の取り出し及び挿入することができるようにすることを特徴とする。
【解決手段】脱硝装置は、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路1内に導き、排ガス風路1内に設置した脱硝剤ユニット11,12に排ガスを通気させて窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、脱硝剤ユニット11,12を垂直に立てて配置し、ヒンジ15を設けて脱硝装置構造体16に固定し、脱硝剤13を交換するときにはヒンジ15を支点として脱硝剤ユニット11,12を開き、その側面の脱硝剤取り出し口18より脱硝剤13の取り出し及び挿入することができるようにすることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市部の自動車道路トンネルや地下駐車場等の閉鎖空間の窒素酸化物を除去する脱硝装置及びトンネル用脱硝設備に関する。
【背景技術】
【0002】
都市部の自動車道路トンネル内や地下駐車場内等の空気には自動車から排出された排ガスにより低濃度の窒素酸化物を含んでいるため、大気中に排気すると、周辺地域の環境汚染が懸念される。従って、窒素酸化物を除去してから排出されることが望まれるが、トンネル等に設置される脱硝装置は、自動車が走行するトンネルの延長方向(排ガスの流れ方向)と同じ方向には比較的設置スペースを確保し易いが、トンネル延長方向に垂直な方向、即ち高さ方向(トンネル延長に対して直交する鉛直方向を以下に高さ方向という。)や、幅方向(トンネル延長に対して直交する水平方向を以下に幅方向という。)には設置スペースを確保することが難しい。
【0003】
また、脱硝装置に用いられる窒素酸化物除去剤(以下、脱硝剤)の処理風速は1〜3m/s程度と、電気集塵機等の集塵装置の処理風速9〜13m/sに対して約1/10〜1/3と遅いため、道路トンネル等の必要換気風量に対する設備規模が大きくなり、より多くの設置スペースが必要となる。
【0004】
ゆえに、トンネル延長方向に対する高さ方向や幅方向が狭い形状の設置スペースでも、脱硝剤ユニットに組み込まれた脱硝剤に対する排ガスの面風速分布を均一化して、脱硝剤の除去性能を一様に使用し、かつ圧力損失の増加を抑えた脱硝装置及びトンネル用脱硝設備を提供するために、脱硝剤ユニットを隣り合う前記脱硝剤ユニットの端部同士を連接して前記排ガスの流れ方向に複数段配置し上流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度を下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度よりも大きくすることが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、アルカリ系の吸収剤(脱硝剤)を用いた脱硝装置では、脱硝剤に通風してNO2を除去し続けると、NO2の除去能力が低下し、NO2除去率は90%を下回るので、脱硝剤を再生する必要がある。その脱硝剤の再生時には、再生に伴うローテーションを行ない、最も風上の脱硝剤を頻繁に換気所から搬出し、再生完了した脱硝剤を換気所に搬入し、これを最も風下に置かなければならない。当然、搬出入回数が多いと搬出入に伴うコストが膨れ上がる。
【特許文献1】特開2007−275770号公報(図1)(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示されているような配列では、脱硝剤を全て最上部より搬出・搬入しなければならないという課題があった。また、脱硝剤のローテーションを行なうためには一度すべての脱硝剤を取り外し、ローテーションのために組み替えなおして再び脱硝剤を据え付けなければならないという課題もあった。また、最下列の脱硝剤のみメンテナンスする必要がある場合にも、その上部にある脱硝剤を全て搬出する必要があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、トンネル延長方向に対する高さ方向や幅方向が狭い形状の設置スペースでも、脱硝剤ユニットに組み込まれた脱硝剤に対する排ガスの面風速分布の均一化をし、脱硝剤の除去性能を一様に使用し、圧力損失の増加を抑え、かつ脱硝剤ユニットの搬出入、ローテーションを容易に行なうことができる脱硝装置及びトンネル用脱硝設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の脱硝装置は、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記脱硝材ユニットは、縦方向に軸を持つように回動可能とし、さらに、前記枠体は、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記脱硝剤ユニットを回動して開いて、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することを特徴としたものである。
【0009】
また、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記枠体は、ヒンジと、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを前記ヒンジによって排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記ヒンジを支点として前記脱硝剤ユニットを開き、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することを特徴としたものである。
【0010】
また、前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、前記脱硝剤取り出し口を両側面に設けたものである。
【0011】
また、前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、そのヒンジにアームを接続し、前記排ガス風路と接続された構造体に第2のヒンジを設け、前記第2のヒンジとアームを接続し、脱硝剤取り出し口を両側面に設けたものである。
【0012】
また、前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に2層重ねることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に複数層重ねることを特徴とするものである。
【0014】
また、前記脱硝剤ユニットに脱硝剤を充填した脱硝剤トレイを複数挿入し、前記脱硝剤ユニットの側面の脱硝剤取り出し口より脱硝剤トレイの取り出し及び挿入することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、前記脱硝剤ユニットを、隣り合う前記脱硝剤ユニットの端部同士を連接して前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、上流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度を、下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度よりも大きくしたことを特徴とするものである。
【0016】
また、前記脱硝剤ユニットを前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、最下流に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面を、前記排ガスの流れ方向と同じ方向としたことを特徴とするものである。
【0017】
また、前記排ガスの流れ方向に対する排ガス流入面の角度を同一とした前記脱硝剤ユニットを複数段含むことを特徴とするものである。
【0018】
また、前記脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設けたことを特徴とするものである。
【0019】
また、前記脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設け、第1のユニット列の上流側に配置される前記脱硝剤ユニットと第2のユニット列の上流側に配置される前記脱硝剤ユニットとの間隔が、前記第1のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットと前記第2のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットとの間隔よりも大きくしたことを特徴とするものである。
【0020】
また、前記第1のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と、前記第2のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面とを平行としたことを特徴とするものである。
【0021】
また、トンネル内の前記排ガスを前記排ガス風路内に導く換気ファンと、前記排ガス中の粉塵を集塵する集塵機とを備え、前記脱硝装置を、前記集塵機の下流側に配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、トンネル延長方向に対する高さ方向や幅方向が狭い形状の設置スペースでも、脱硝剤ユニットに組み込まれた脱硝剤に対する排ガスの面風速分布の均一化をし、脱硝剤の除去性能を一様に使用し、圧力損失の増加を抑え、かつ脱硝剤ユニットの搬出入、ローテーションを容易に行なうことができる脱硝装置及びトンネル用脱硝設備を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の第1の実施の形態の脱硝装置は、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記脱硝材ユニットは、縦方向に軸を持つように回動可能とし、さらに、前記枠体は、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記脱硝剤ユニットを回動して開いて、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することができるようにするものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の搬出・搬入を最上部より行なう必要がなくなり、各列において脱硝剤を搬出・搬入することができるようになるので、脱硝剤の搬出入作業の簡素化、時間短縮化、コストダウンを図ることができる。
【0024】
本発明の他の実施の形態の脱硝装置は、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記枠体は、ヒンジと、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを前記ヒンジによって排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記ヒンジを支点として前記脱硝剤ユニットを開き、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することができるようにするものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の搬出・搬入を最上部より行なう必要がなくなり、各列において脱硝剤を搬出・搬入することができるようになるので、脱硝剤の搬出入作業の簡素化、時間短縮化、コストダウンを図ることができる。
【0025】
本発明の他の実施の形態は、前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、前記脱硝剤取り出し口を両側面に設けたものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の交換の際に脱硝剤ユニットの両側面の取り出し口にて脱硝剤を取り出し、挿入することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0026】
本発明の他の実施の形態は、前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、そのヒンジにアームを接続し、前記排ガス風路と接続された構造体に第2のヒンジを設け、前記第2のヒンジとアームを接続し、脱硝剤取り出し口を両側面に設けたものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の交換の際に脱硝剤ユニット全体を引き出すことができ、背面側にスペースがない場合であっても両側面の取り出し口より脱硝剤を取り出し・挿入することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0027】
本発明の他の実施の形態は、前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に2層重ねて配置したものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の取り出しの際に1層目のみを取り出し、再生後の脱硝剤を挿入し、さらに、180°回転させて再組み付けすることで、脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0028】
本発明の他の実施の形態は、前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に複数層重ねたものである。本実施の形態によれば、同様に脱硝材の搬出入のコストダウンが図ることができ、さらに脱硝剤を複数層重ねることで脱硝率の向上、再生周期の延長化を図ることができる。
【0029】
本発明の他の実施の形態は、前記脱硝剤ユニットに脱硝剤を充填した脱硝剤トレイを複数挿入し、前記脱硝剤ユニットの側面の脱硝剤取り出し口より脱硝剤トレイの取り出し及び挿入することができるようにしたものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の搬出入が脱硝剤トレイでの取り扱いとなり、作業性の向上を図ることができる。
【0030】
本発明の他の実施の形態は、前記脱硝剤ユニットを、隣り合う前記脱硝剤ユニットの端部同士を連接して前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、上流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度を、下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度よりも大きくしたものである。本実施の形態によれば、上流側に配置される脱硝剤ユニットと比較して下流側に配置される脱硝剤ユニットを通過する抵抗を大きくすることで、下流側に配置される脱硝剤ユニットに流れ込む排ガスの量を抑制できるため、排ガスの流れ方向に配置したそれぞれの脱硝剤ユニットを通過する排ガスの面風速を均一化でき、窒素酸化物の除去性能を均一化することができ、さらに、脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0031】
本発明の他の実施の形態は、排ガスの流れ方向に複数段配置し、最下流に配置される脱硝剤ユニットの排ガス流入面を、排ガスの流れ方向と同じ方向としものである。本実施の形態によれば、排ガスの流れ方向に複数段脱硝剤ユニットを配置した場合でも、限られたスペースの中では、最下流の脱硝剤ユニットの排ガス流入面を排ガスの流れ方向と同じ方向とすることで上流側の脱硝剤ユニットの排ガス流入面を排ガスの流れに対してより直交する角度で配置することができ、さらに排ガスの面風速分布を均一化することができる。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0032】
本発明の他の実施の形態は、排ガスの流れ方向に対する排ガス流入面の角度を同一とした脱硝剤ユニットを複数段含むものである。本実施の形態によれば、排ガスの面風速分布を均一化することができるとともに、下流側の脱硝剤ユニット以外の脱硝剤ユニットを直線的に配置することができるため、設計・施工・メンテナンスを容易にすることができる。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0033】
本発明の他の実施の形態は、脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を、複数列設けたものである。本実施の形態によれば、トンネル内の換気風量に応じて脱硝剤ユニットを増減することができ、さらに、脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0034】
本発明の他の実施の形態は、脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設け、第1のユニット列の上流側に配置される脱硝剤ユニットと第2のユニット列の上流側に配置される脱硝剤ユニットとの間隔が、第1のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニットと第2のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニットとの間隔よりも大きくしたものである。本実施の形態によれば、それぞれのユニット列における脱硝剤ユニットでの排ガスの面風速分布を均一化することができるとともに、トンネル内の換気風量に応じて脱硝剤ユニットを増減することができる。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0035】
本発明の他の実施の形態は、第1のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニットの排ガス流入面と、第2のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニットの排ガス流入面とを平行としたものである。本実施の形態によれば、限られたスペースの中では、下流側の脱硝剤ユニットの排ガス流入面を排ガスの流れ方向と同じ方向とすることで上流側の脱硝剤ユニットの排ガス流入面を排ガスの流れに対してより直交する角度で配置することができ、さらに排ガスの面風速分布を均一化することができる。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0036】
本発明の他の実施の形態は、トンネル内の排ガスを排ガス風路内に導く換気ファンと、排ガス中の粉塵を集塵する集塵機とを備え、脱硝装置を、集塵機の下流側に配置したトンネル用脱硝設備である。本実施の形態によれば、あらかじめ集塵機によって粉塵を除去することで、脱硝剤ユニットの目詰まりを防止することができ、さらには集塵機の下流側に脱硝剤ユニットを配置することで、風速分布を均一化しやすい。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1は、脱硝装置を備えたトンネル用脱硝設備の概略構成図である。
【0039】
本実施例によるトンネル用脱硝設備は、トンネル内の排ガスを排ガス風路1内に導く換気ファン2、排ガス中の粉塵を集塵する集塵機3、及び排ガスを中の窒素酸化物を除去する脱硝装置10とを有する排ガス風路1を、トンネル内の車道4の上方に、車道4と平行に配置している。なお、脱硝装置10は、換気ファン2及び集塵機3の下流側に配置している。
【0040】
図2および図3に本発明の第一の実施例による脱硝装置の概略構成図を示す。図2は通常の使用状態を示しており、図3は脱硝剤13の取り外し・挿入の過程において遮風板14を開けた状態を示している。
【0041】
脱硝装置10は、排ガスの流れ方向(段方向)に複数の脱硝剤ユニット11で構成されている。脱硝剤ユニット11は立てられて設置されている。この脱硝材ユニット11は、枠体11a内に脱硝剤13を縦に積み重ねて配置したものである。枠体11aは、上流側、および下流側の通風面を開口してあり、側面には脱硝剤取り出し口18が開閉可能に設けられている。脱硝ユニット11にはヒンジ15が取り付けられており、脱硝装置構造体16にヒンジ15を介して固定されている。通常使用時には、図2に示すように遮風板14はハンドル17により閉じられており、脱硝ユニット11と脱硝装置構造体16との隙間を遮風している。
【0042】
上記構成により、脱硝剤13の再生のために取り外し・挿入を行なう際には、ハンドル17および遮風板14を開く。次に、図4に示すように、ヒンジ15を利用して、脱硝ユニット11を開く。脱硝ユニット11の側面には脱硝剤取り出し口18があり、脱硝剤取り出し口18を開いて脱硝剤13の取り出し・挿入をすることができる。
【0043】
また、図4に示すように、脱硝剤13は脱硝剤トレイ19に充填してもよい。こうすることにより、脱硝剤13の取り外し・挿入、搬出入が脱硝剤トレイ19でまとめて行なうことができ、取り扱いが容易になり、作業性が向上する。なお、図5は図4における脱硝剤ユニット11の開閉状態の平面断面図を示している。
【0044】
(実施例2)
図6および図7に本発明の第二の実施例による脱硝装置の概略構成図を示す。図6は通常の使用状態を示しており、図7は脱硝剤13の取り外し・挿入の過程において遮風板14を開けた状態を示している。
【0045】
脱硝ユニット11の上下の面の中央にヒンジ15が取り付けられており、脱硝装置構造体16にヒンジ15を介して固定されている。通常使用時には、図6に示すように遮風板14はハンドル17により閉じられており、脱硝ユニット11と脱硝装置構造体16との隙間を遮風している。
【0046】
上記構成により、脱硝剤13の再生のために取り外し・挿入を行なう際には、ハンドル17および遮風板14を開く。次に、図8に示すように、ヒンジ15を利用して、脱硝ユニット11を開く。脱硝ユニット11の側面には脱硝剤取り出し口18があり、脱硝剤取り出し口18を開いて脱硝剤13の取り出し・挿入をすることができる。この場合に、脱硝剤13は脱硝剤トレイ19に充填されており、さらに排ガス貫通方向に2層重ねて脱硝剤トレイ19が脱硝剤ユニット11に挿入されている。脱硝剤トレイ19は2層以上の複数層重ねて挿入しても良い。複数層重ねて挿入することにより、脱硝率の向上、再生周期の延長化を図ることができる。また、図8に示すように、脱硝剤トレイ19を排ガス貫通方向に2層重ねて挿入している。脱硝剤13の取り外し・挿入の際には、脱硝剤取り出し口18を介して1層目の脱硝剤トレイ19のみを取り出し、再生後の脱硝剤13を充填した脱硝剤トレイ19を挿入した上で、脱硝剤ユニット11を180°回転させて脱硝装置構造体16に再組み付けすることで、脱硝剤13のローテーションを容易に行なうことができる。また、脱硝剤取り出し口18は、脱硝ユニット11の両側面に設けられている。こうすることにより、どちらの側面からも、脱硝剤13を取り出し・挿入することができる。なお、図9は図8における脱硝剤ユニット11の開閉状態の平面断面図を示している。
【0047】
図10は脱硝剤トレイ19を示す。脱硝剤トレイ19には取り扱いを容易にするために取手20、自立させるための脚21が取り付けられている。
【0048】
(実施例3)
図11および図12に本発明の第三の実施例による脱硝装置の概略構成図を示す。図11は通常の使用状態を示しており、図12は脱硝剤13の取り外し・挿入の過程において遮風板14を開けた状態を示している。
【0049】
脱硝ユニット11の上下の面の中央にヒンジ15にアーム22が接続されており、脱硝装置構造体16には第2のヒンジ23が取り付いており、アーム22と第2のヒンジ23が接続されている。通常使用時には、図6に示すように遮風板14はハンドル17により閉じられており、脱硝ユニット11と脱硝装置構造体16との隙間を遮風している。
【0050】
脱硝剤13の再生のために取り外し・挿入を行なう際には、ハンドル17および遮風板14を開く。次に、図13に示すように、ヒンジ15、アーム22、第2のヒンジ23を利用して、脱硝ユニット11を開く。その際には、脱硝剤ユニット11の全体を作業エリア手前に引き出すことができるので、脱硝剤ユニット11の背面側にスペースがない場合であっても、両側面の脱硝剤取り出し口18を介して脱硝剤13の取り出し・挿入をすることができる。また、図13に示すように、脱硝剤トレイ19を排ガス貫通方向に2層重ねて挿入している。こうすることにより、図8の場合と同様に、脱硝剤13の取り外し・挿入の際には、脱硝剤取り出し口18を介して1層目の脱硝剤トレイ19のみを取り出し、再生後の脱硝剤13を充填した脱硝剤トレイ19を挿入した上で、脱硝剤ユニット11を180°回転させて脱硝装置構造体16に再組み付けすることで、脱硝剤13のローテーションを容易に行なうことができる。なお、図14は図13における脱硝剤ユニット11の開閉状態の平面断面図を示している。
【0051】
(実施例4)
図15は図1の脱硝装置10を上方より見た平面図(A矢視図)の一実施例を示す。図15において、脱硝装置10は、排ガスの流れ方向(段方向)に複数の脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fを、隣り合う脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fの端部同士を連接して配置した第1のユニット列と、同じく排ガスの流れ方向(段方向)に複数の脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fを、隣り合う脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fの端部同士を連接して配置した第2のユニット列とを設けている。そして、第1のユニット列の上流側に配置される脱硝剤ユニット11Aと第2のユニット列の上流側に配置される脱硝剤ユニット12Aとの間隔が、第1のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニット11Fと第2のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニット12Fとの間隔よりも大きくなるように配置している。また、第1のユニット列の排ガス流入面と第2のユニット列の排ガス流入面とは向き合って配置され、第1のユニット列と第2のユニット列とは対称に配置されている。
【0052】
本実施例においては、一つのユニット列を6段の脱硝剤ユニットで構成した場合で説明するが、一つのユニット列は、2段以上の脱硝剤ユニットで構成することができる。
【0053】
本実施例における脱硝装置10は、第1のユニット列を構成する脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fにおいても、また第2のユニット列を構成する脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fにおいても、上流側に配置される脱硝剤ユニット11A、12Aの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度を、下流側に配置される脱硝剤ユニット11F、12Fの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度よりも大きくしている。
【0054】
脱硝剤ユニット11C,11Dと12C,12Dにはそれぞれの上下の面の中央にヒンジ15が取り付けられている。脱硝剤ユニット11A,11B,11E,11Fと12A,12B,12C,12Dには、ヒンジ15、アーム22、第2のヒンジ23が取り付けられている。
【0055】
図16に、脱硝剤13の再生のために取り外し・挿入を行なう際に脱硝剤ユニット11A、11B、11C,11D,11E,11F、12A、12B,12C,12D,12E,12Fを開いた状態図を示す。脱硝剤ユニット11C、11D、12C,12Dは上下に取り付けられたヒンジ15により開いている。脱硝剤ユニット11A、11B、11E、11F、12A,12B,12E,12Fはヒンジ15、アーム22、第2のヒンジ23を利用して開いている。これらの脱硝剤ユニット11A、11B、11E、11F、12A,12B,12E,12Fの背面側には十分なスペースが無いので、ヒンジ15、アーム22と第2のヒンジ23により、脱硝剤ユニット11A、11B、11E、11F、12A,12B,12E,12Fは作業エリアに引き出して引き出すことができる。
【0056】
図15において、脱硝剤ユニット11Aの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθA、脱硝剤ユニット11Bの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθB、脱硝剤ユニット11Cの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθC、脱硝剤ユニット11Dの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθD、脱硝剤ユニット11Eの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθE、脱硝剤ユニット11Fの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθFとしたとき、θA>θB>θC>θD>θE>θFの関係となっている。第1のユニット列を構成する脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fにおいて説明したが、第2のユニット列を構成する脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fにおいても同様である。
【0057】
また、脱硝剤ユニット11A,11B、11C,11D,11E,11Fそれぞれの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度の関係がθA>θB>θC>θD>θE>θF=0の関係となってもよい。第1のユニット列を構成する脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fにおいて説明したが、第2のユニット列を構成する脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fにおいても同様である。すなわち、最下流に配置される脱硝剤ユニット11F、12Fの排ガス流入面を、排ガスの流れ方向と同じ方向としている。従って、第1のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニット11Fの排ガス流入面と、第2のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニット12Fの排ガス流入面とを平行としてもよい。なお、最下流に配置される脱硝剤ユニット11F、12Fだけでなく、下流側に配置される脱硝剤ユニット11E、12Eについても、θE=0として、脱硝剤ユニット11Eの排ガス流入面と脱硝剤ユニット12Eの排ガス流入面とを平行としてもよい。
【0058】
また、図2及び図3に示す実施例において、最下流に配置される脱硝剤ユニット11F、12Fを除く一部又は全ての脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、12A、12B、12C、12D、12Eの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθA=θB=θC=θD=θEとしてもよい。
【0059】
また、図15、図16では、ユニット列を6列設けた場合を示している。図15、16に示すように、ユニット列を増減させることにより、トンネル内の換気風量に応じて脱硝剤ユニットを増減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、都市部の自動車道路トンネルや地下駐車場等の閉鎖空間に設置される脱硝装置や脱硝設備として適している。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の脱硝装置を備えたトンネル用脱硝設備の概略構成図
【図2】本発明の第1の実施例による脱硝装置の概略構成図(通常使用時)
【図3】同脱硝装置の概略構成図(遮風板開状態)
【図4】同脱硝装置の概略構成図(脱硝剤ユニット開状態)
【図5】同脱硝装置の平面断面図(脱硝剤ユニット開閉状態)
【図6】本発明の第2の実施例による脱硝装置の概略構成図(通常使用時)
【図7】同脱硝装置の概略構成図(遮風板開状態)
【図8】同脱硝装置の概略構成図(脱硝剤ユニット開状態)
【図9】同脱硝装置の平面断面図(脱硝剤ユニット開閉状態)
【図10】同脱硝装置の脱硝剤トレイを示す図(a)斜視図、(b)正面図、(c)底面図
【図11】本発明の第3の実施例による脱硝装置の概略構成図(通常使用時)
【図12】同脱硝装置の概略構成図(遮風板開状態)
【図13】同脱硝装置の概略構成図(脱硝剤ユニット開状態)
【図14】同脱硝装置の平面断面図(脱硝剤ユニット開閉状態)
【図15】本発明の第4の実施例による脱硝装置の備えたトンネル用脱硝設備の概略構成図(通常使用時)
【図16】同トンネル用脱硝設備の概略構成図(脱硝剤ユニット開状態)
【符号の説明】
【0062】
1 排ガス風路
2 換気ファン
3 集塵機
4 車道
10 脱硝装置
11 脱硝剤ユニット
11a 枠体
12 脱硝剤ユニット
13 脱硝剤
14 遮風板
15 ヒンジ
16 脱硝装置構造体
17 ハンドル
18 脱硝剤取り出し口
19 脱硝剤トレイ
20 取手
21 脚
22 アーム
23 第2のヒンジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市部の自動車道路トンネルや地下駐車場等の閉鎖空間の窒素酸化物を除去する脱硝装置及びトンネル用脱硝設備に関する。
【背景技術】
【0002】
都市部の自動車道路トンネル内や地下駐車場内等の空気には自動車から排出された排ガスにより低濃度の窒素酸化物を含んでいるため、大気中に排気すると、周辺地域の環境汚染が懸念される。従って、窒素酸化物を除去してから排出されることが望まれるが、トンネル等に設置される脱硝装置は、自動車が走行するトンネルの延長方向(排ガスの流れ方向)と同じ方向には比較的設置スペースを確保し易いが、トンネル延長方向に垂直な方向、即ち高さ方向(トンネル延長に対して直交する鉛直方向を以下に高さ方向という。)や、幅方向(トンネル延長に対して直交する水平方向を以下に幅方向という。)には設置スペースを確保することが難しい。
【0003】
また、脱硝装置に用いられる窒素酸化物除去剤(以下、脱硝剤)の処理風速は1〜3m/s程度と、電気集塵機等の集塵装置の処理風速9〜13m/sに対して約1/10〜1/3と遅いため、道路トンネル等の必要換気風量に対する設備規模が大きくなり、より多くの設置スペースが必要となる。
【0004】
ゆえに、トンネル延長方向に対する高さ方向や幅方向が狭い形状の設置スペースでも、脱硝剤ユニットに組み込まれた脱硝剤に対する排ガスの面風速分布を均一化して、脱硝剤の除去性能を一様に使用し、かつ圧力損失の増加を抑えた脱硝装置及びトンネル用脱硝設備を提供するために、脱硝剤ユニットを隣り合う前記脱硝剤ユニットの端部同士を連接して前記排ガスの流れ方向に複数段配置し上流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度を下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度よりも大きくすることが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、アルカリ系の吸収剤(脱硝剤)を用いた脱硝装置では、脱硝剤に通風してNO2を除去し続けると、NO2の除去能力が低下し、NO2除去率は90%を下回るので、脱硝剤を再生する必要がある。その脱硝剤の再生時には、再生に伴うローテーションを行ない、最も風上の脱硝剤を頻繁に換気所から搬出し、再生完了した脱硝剤を換気所に搬入し、これを最も風下に置かなければならない。当然、搬出入回数が多いと搬出入に伴うコストが膨れ上がる。
【特許文献1】特開2007−275770号公報(図1)(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示されているような配列では、脱硝剤を全て最上部より搬出・搬入しなければならないという課題があった。また、脱硝剤のローテーションを行なうためには一度すべての脱硝剤を取り外し、ローテーションのために組み替えなおして再び脱硝剤を据え付けなければならないという課題もあった。また、最下列の脱硝剤のみメンテナンスする必要がある場合にも、その上部にある脱硝剤を全て搬出する必要があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、トンネル延長方向に対する高さ方向や幅方向が狭い形状の設置スペースでも、脱硝剤ユニットに組み込まれた脱硝剤に対する排ガスの面風速分布の均一化をし、脱硝剤の除去性能を一様に使用し、圧力損失の増加を抑え、かつ脱硝剤ユニットの搬出入、ローテーションを容易に行なうことができる脱硝装置及びトンネル用脱硝設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の脱硝装置は、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記脱硝材ユニットは、縦方向に軸を持つように回動可能とし、さらに、前記枠体は、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記脱硝剤ユニットを回動して開いて、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することを特徴としたものである。
【0009】
また、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記枠体は、ヒンジと、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを前記ヒンジによって排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記ヒンジを支点として前記脱硝剤ユニットを開き、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することを特徴としたものである。
【0010】
また、前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、前記脱硝剤取り出し口を両側面に設けたものである。
【0011】
また、前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、そのヒンジにアームを接続し、前記排ガス風路と接続された構造体に第2のヒンジを設け、前記第2のヒンジとアームを接続し、脱硝剤取り出し口を両側面に設けたものである。
【0012】
また、前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に2層重ねることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に複数層重ねることを特徴とするものである。
【0014】
また、前記脱硝剤ユニットに脱硝剤を充填した脱硝剤トレイを複数挿入し、前記脱硝剤ユニットの側面の脱硝剤取り出し口より脱硝剤トレイの取り出し及び挿入することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、前記脱硝剤ユニットを、隣り合う前記脱硝剤ユニットの端部同士を連接して前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、上流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度を、下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度よりも大きくしたことを特徴とするものである。
【0016】
また、前記脱硝剤ユニットを前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、最下流に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面を、前記排ガスの流れ方向と同じ方向としたことを特徴とするものである。
【0017】
また、前記排ガスの流れ方向に対する排ガス流入面の角度を同一とした前記脱硝剤ユニットを複数段含むことを特徴とするものである。
【0018】
また、前記脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設けたことを特徴とするものである。
【0019】
また、前記脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設け、第1のユニット列の上流側に配置される前記脱硝剤ユニットと第2のユニット列の上流側に配置される前記脱硝剤ユニットとの間隔が、前記第1のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットと前記第2のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットとの間隔よりも大きくしたことを特徴とするものである。
【0020】
また、前記第1のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と、前記第2のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面とを平行としたことを特徴とするものである。
【0021】
また、トンネル内の前記排ガスを前記排ガス風路内に導く換気ファンと、前記排ガス中の粉塵を集塵する集塵機とを備え、前記脱硝装置を、前記集塵機の下流側に配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、トンネル延長方向に対する高さ方向や幅方向が狭い形状の設置スペースでも、脱硝剤ユニットに組み込まれた脱硝剤に対する排ガスの面風速分布の均一化をし、脱硝剤の除去性能を一様に使用し、圧力損失の増加を抑え、かつ脱硝剤ユニットの搬出入、ローテーションを容易に行なうことができる脱硝装置及びトンネル用脱硝設備を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の第1の実施の形態の脱硝装置は、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記脱硝材ユニットは、縦方向に軸を持つように回動可能とし、さらに、前記枠体は、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記脱硝剤ユニットを回動して開いて、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することができるようにするものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の搬出・搬入を最上部より行なう必要がなくなり、各列において脱硝剤を搬出・搬入することができるようになるので、脱硝剤の搬出入作業の簡素化、時間短縮化、コストダウンを図ることができる。
【0024】
本発明の他の実施の形態の脱硝装置は、窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記枠体は、ヒンジと、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを前記ヒンジによって排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記ヒンジを支点として前記脱硝剤ユニットを開き、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することができるようにするものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の搬出・搬入を最上部より行なう必要がなくなり、各列において脱硝剤を搬出・搬入することができるようになるので、脱硝剤の搬出入作業の簡素化、時間短縮化、コストダウンを図ることができる。
【0025】
本発明の他の実施の形態は、前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、前記脱硝剤取り出し口を両側面に設けたものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の交換の際に脱硝剤ユニットの両側面の取り出し口にて脱硝剤を取り出し、挿入することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0026】
本発明の他の実施の形態は、前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、そのヒンジにアームを接続し、前記排ガス風路と接続された構造体に第2のヒンジを設け、前記第2のヒンジとアームを接続し、脱硝剤取り出し口を両側面に設けたものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の交換の際に脱硝剤ユニット全体を引き出すことができ、背面側にスペースがない場合であっても両側面の取り出し口より脱硝剤を取り出し・挿入することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0027】
本発明の他の実施の形態は、前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に2層重ねて配置したものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の取り出しの際に1層目のみを取り出し、再生後の脱硝剤を挿入し、さらに、180°回転させて再組み付けすることで、脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0028】
本発明の他の実施の形態は、前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に複数層重ねたものである。本実施の形態によれば、同様に脱硝材の搬出入のコストダウンが図ることができ、さらに脱硝剤を複数層重ねることで脱硝率の向上、再生周期の延長化を図ることができる。
【0029】
本発明の他の実施の形態は、前記脱硝剤ユニットに脱硝剤を充填した脱硝剤トレイを複数挿入し、前記脱硝剤ユニットの側面の脱硝剤取り出し口より脱硝剤トレイの取り出し及び挿入することができるようにしたものである。本実施の形態によれば、脱硝剤の搬出入が脱硝剤トレイでの取り扱いとなり、作業性の向上を図ることができる。
【0030】
本発明の他の実施の形態は、前記脱硝剤ユニットを、隣り合う前記脱硝剤ユニットの端部同士を連接して前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、上流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度を、下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度よりも大きくしたものである。本実施の形態によれば、上流側に配置される脱硝剤ユニットと比較して下流側に配置される脱硝剤ユニットを通過する抵抗を大きくすることで、下流側に配置される脱硝剤ユニットに流れ込む排ガスの量を抑制できるため、排ガスの流れ方向に配置したそれぞれの脱硝剤ユニットを通過する排ガスの面風速を均一化でき、窒素酸化物の除去性能を均一化することができ、さらに、脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0031】
本発明の他の実施の形態は、排ガスの流れ方向に複数段配置し、最下流に配置される脱硝剤ユニットの排ガス流入面を、排ガスの流れ方向と同じ方向としものである。本実施の形態によれば、排ガスの流れ方向に複数段脱硝剤ユニットを配置した場合でも、限られたスペースの中では、最下流の脱硝剤ユニットの排ガス流入面を排ガスの流れ方向と同じ方向とすることで上流側の脱硝剤ユニットの排ガス流入面を排ガスの流れに対してより直交する角度で配置することができ、さらに排ガスの面風速分布を均一化することができる。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0032】
本発明の他の実施の形態は、排ガスの流れ方向に対する排ガス流入面の角度を同一とした脱硝剤ユニットを複数段含むものである。本実施の形態によれば、排ガスの面風速分布を均一化することができるとともに、下流側の脱硝剤ユニット以外の脱硝剤ユニットを直線的に配置することができるため、設計・施工・メンテナンスを容易にすることができる。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0033】
本発明の他の実施の形態は、脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を、複数列設けたものである。本実施の形態によれば、トンネル内の換気風量に応じて脱硝剤ユニットを増減することができ、さらに、脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0034】
本発明の他の実施の形態は、脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設け、第1のユニット列の上流側に配置される脱硝剤ユニットと第2のユニット列の上流側に配置される脱硝剤ユニットとの間隔が、第1のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニットと第2のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニットとの間隔よりも大きくしたものである。本実施の形態によれば、それぞれのユニット列における脱硝剤ユニットでの排ガスの面風速分布を均一化することができるとともに、トンネル内の換気風量に応じて脱硝剤ユニットを増減することができる。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0035】
本発明の他の実施の形態は、第1のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニットの排ガス流入面と、第2のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニットの排ガス流入面とを平行としたものである。本実施の形態によれば、限られたスペースの中では、下流側の脱硝剤ユニットの排ガス流入面を排ガスの流れ方向と同じ方向とすることで上流側の脱硝剤ユニットの排ガス流入面を排ガスの流れに対してより直交する角度で配置することができ、さらに排ガスの面風速分布を均一化することができる。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【0036】
本発明の他の実施の形態は、トンネル内の排ガスを排ガス風路内に導く換気ファンと、排ガス中の粉塵を集塵する集塵機とを備え、脱硝装置を、集塵機の下流側に配置したトンネル用脱硝設備である。本実施の形態によれば、あらかじめ集塵機によって粉塵を除去することで、脱硝剤ユニットの目詰まりを防止することができ、さらには集塵機の下流側に脱硝剤ユニットを配置することで、風速分布を均一化しやすい。それらに加えて脱硝剤の搬出入および脱硝剤のローテーションを容易に行なうことができる。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1は、脱硝装置を備えたトンネル用脱硝設備の概略構成図である。
【0039】
本実施例によるトンネル用脱硝設備は、トンネル内の排ガスを排ガス風路1内に導く換気ファン2、排ガス中の粉塵を集塵する集塵機3、及び排ガスを中の窒素酸化物を除去する脱硝装置10とを有する排ガス風路1を、トンネル内の車道4の上方に、車道4と平行に配置している。なお、脱硝装置10は、換気ファン2及び集塵機3の下流側に配置している。
【0040】
図2および図3に本発明の第一の実施例による脱硝装置の概略構成図を示す。図2は通常の使用状態を示しており、図3は脱硝剤13の取り外し・挿入の過程において遮風板14を開けた状態を示している。
【0041】
脱硝装置10は、排ガスの流れ方向(段方向)に複数の脱硝剤ユニット11で構成されている。脱硝剤ユニット11は立てられて設置されている。この脱硝材ユニット11は、枠体11a内に脱硝剤13を縦に積み重ねて配置したものである。枠体11aは、上流側、および下流側の通風面を開口してあり、側面には脱硝剤取り出し口18が開閉可能に設けられている。脱硝ユニット11にはヒンジ15が取り付けられており、脱硝装置構造体16にヒンジ15を介して固定されている。通常使用時には、図2に示すように遮風板14はハンドル17により閉じられており、脱硝ユニット11と脱硝装置構造体16との隙間を遮風している。
【0042】
上記構成により、脱硝剤13の再生のために取り外し・挿入を行なう際には、ハンドル17および遮風板14を開く。次に、図4に示すように、ヒンジ15を利用して、脱硝ユニット11を開く。脱硝ユニット11の側面には脱硝剤取り出し口18があり、脱硝剤取り出し口18を開いて脱硝剤13の取り出し・挿入をすることができる。
【0043】
また、図4に示すように、脱硝剤13は脱硝剤トレイ19に充填してもよい。こうすることにより、脱硝剤13の取り外し・挿入、搬出入が脱硝剤トレイ19でまとめて行なうことができ、取り扱いが容易になり、作業性が向上する。なお、図5は図4における脱硝剤ユニット11の開閉状態の平面断面図を示している。
【0044】
(実施例2)
図6および図7に本発明の第二の実施例による脱硝装置の概略構成図を示す。図6は通常の使用状態を示しており、図7は脱硝剤13の取り外し・挿入の過程において遮風板14を開けた状態を示している。
【0045】
脱硝ユニット11の上下の面の中央にヒンジ15が取り付けられており、脱硝装置構造体16にヒンジ15を介して固定されている。通常使用時には、図6に示すように遮風板14はハンドル17により閉じられており、脱硝ユニット11と脱硝装置構造体16との隙間を遮風している。
【0046】
上記構成により、脱硝剤13の再生のために取り外し・挿入を行なう際には、ハンドル17および遮風板14を開く。次に、図8に示すように、ヒンジ15を利用して、脱硝ユニット11を開く。脱硝ユニット11の側面には脱硝剤取り出し口18があり、脱硝剤取り出し口18を開いて脱硝剤13の取り出し・挿入をすることができる。この場合に、脱硝剤13は脱硝剤トレイ19に充填されており、さらに排ガス貫通方向に2層重ねて脱硝剤トレイ19が脱硝剤ユニット11に挿入されている。脱硝剤トレイ19は2層以上の複数層重ねて挿入しても良い。複数層重ねて挿入することにより、脱硝率の向上、再生周期の延長化を図ることができる。また、図8に示すように、脱硝剤トレイ19を排ガス貫通方向に2層重ねて挿入している。脱硝剤13の取り外し・挿入の際には、脱硝剤取り出し口18を介して1層目の脱硝剤トレイ19のみを取り出し、再生後の脱硝剤13を充填した脱硝剤トレイ19を挿入した上で、脱硝剤ユニット11を180°回転させて脱硝装置構造体16に再組み付けすることで、脱硝剤13のローテーションを容易に行なうことができる。また、脱硝剤取り出し口18は、脱硝ユニット11の両側面に設けられている。こうすることにより、どちらの側面からも、脱硝剤13を取り出し・挿入することができる。なお、図9は図8における脱硝剤ユニット11の開閉状態の平面断面図を示している。
【0047】
図10は脱硝剤トレイ19を示す。脱硝剤トレイ19には取り扱いを容易にするために取手20、自立させるための脚21が取り付けられている。
【0048】
(実施例3)
図11および図12に本発明の第三の実施例による脱硝装置の概略構成図を示す。図11は通常の使用状態を示しており、図12は脱硝剤13の取り外し・挿入の過程において遮風板14を開けた状態を示している。
【0049】
脱硝ユニット11の上下の面の中央にヒンジ15にアーム22が接続されており、脱硝装置構造体16には第2のヒンジ23が取り付いており、アーム22と第2のヒンジ23が接続されている。通常使用時には、図6に示すように遮風板14はハンドル17により閉じられており、脱硝ユニット11と脱硝装置構造体16との隙間を遮風している。
【0050】
脱硝剤13の再生のために取り外し・挿入を行なう際には、ハンドル17および遮風板14を開く。次に、図13に示すように、ヒンジ15、アーム22、第2のヒンジ23を利用して、脱硝ユニット11を開く。その際には、脱硝剤ユニット11の全体を作業エリア手前に引き出すことができるので、脱硝剤ユニット11の背面側にスペースがない場合であっても、両側面の脱硝剤取り出し口18を介して脱硝剤13の取り出し・挿入をすることができる。また、図13に示すように、脱硝剤トレイ19を排ガス貫通方向に2層重ねて挿入している。こうすることにより、図8の場合と同様に、脱硝剤13の取り外し・挿入の際には、脱硝剤取り出し口18を介して1層目の脱硝剤トレイ19のみを取り出し、再生後の脱硝剤13を充填した脱硝剤トレイ19を挿入した上で、脱硝剤ユニット11を180°回転させて脱硝装置構造体16に再組み付けすることで、脱硝剤13のローテーションを容易に行なうことができる。なお、図14は図13における脱硝剤ユニット11の開閉状態の平面断面図を示している。
【0051】
(実施例4)
図15は図1の脱硝装置10を上方より見た平面図(A矢視図)の一実施例を示す。図15において、脱硝装置10は、排ガスの流れ方向(段方向)に複数の脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fを、隣り合う脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fの端部同士を連接して配置した第1のユニット列と、同じく排ガスの流れ方向(段方向)に複数の脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fを、隣り合う脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fの端部同士を連接して配置した第2のユニット列とを設けている。そして、第1のユニット列の上流側に配置される脱硝剤ユニット11Aと第2のユニット列の上流側に配置される脱硝剤ユニット12Aとの間隔が、第1のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニット11Fと第2のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニット12Fとの間隔よりも大きくなるように配置している。また、第1のユニット列の排ガス流入面と第2のユニット列の排ガス流入面とは向き合って配置され、第1のユニット列と第2のユニット列とは対称に配置されている。
【0052】
本実施例においては、一つのユニット列を6段の脱硝剤ユニットで構成した場合で説明するが、一つのユニット列は、2段以上の脱硝剤ユニットで構成することができる。
【0053】
本実施例における脱硝装置10は、第1のユニット列を構成する脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fにおいても、また第2のユニット列を構成する脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fにおいても、上流側に配置される脱硝剤ユニット11A、12Aの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度を、下流側に配置される脱硝剤ユニット11F、12Fの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度よりも大きくしている。
【0054】
脱硝剤ユニット11C,11Dと12C,12Dにはそれぞれの上下の面の中央にヒンジ15が取り付けられている。脱硝剤ユニット11A,11B,11E,11Fと12A,12B,12C,12Dには、ヒンジ15、アーム22、第2のヒンジ23が取り付けられている。
【0055】
図16に、脱硝剤13の再生のために取り外し・挿入を行なう際に脱硝剤ユニット11A、11B、11C,11D,11E,11F、12A、12B,12C,12D,12E,12Fを開いた状態図を示す。脱硝剤ユニット11C、11D、12C,12Dは上下に取り付けられたヒンジ15により開いている。脱硝剤ユニット11A、11B、11E、11F、12A,12B,12E,12Fはヒンジ15、アーム22、第2のヒンジ23を利用して開いている。これらの脱硝剤ユニット11A、11B、11E、11F、12A,12B,12E,12Fの背面側には十分なスペースが無いので、ヒンジ15、アーム22と第2のヒンジ23により、脱硝剤ユニット11A、11B、11E、11F、12A,12B,12E,12Fは作業エリアに引き出して引き出すことができる。
【0056】
図15において、脱硝剤ユニット11Aの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθA、脱硝剤ユニット11Bの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθB、脱硝剤ユニット11Cの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθC、脱硝剤ユニット11Dの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθD、脱硝剤ユニット11Eの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθE、脱硝剤ユニット11Fの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθFとしたとき、θA>θB>θC>θD>θE>θFの関係となっている。第1のユニット列を構成する脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fにおいて説明したが、第2のユニット列を構成する脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fにおいても同様である。
【0057】
また、脱硝剤ユニット11A,11B、11C,11D,11E,11Fそれぞれの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度の関係がθA>θB>θC>θD>θE>θF=0の関係となってもよい。第1のユニット列を構成する脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、11Fにおいて説明したが、第2のユニット列を構成する脱硝剤ユニット12A、12B、12C、12D、12E、12Fにおいても同様である。すなわち、最下流に配置される脱硝剤ユニット11F、12Fの排ガス流入面を、排ガスの流れ方向と同じ方向としている。従って、第1のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニット11Fの排ガス流入面と、第2のユニット列の下流側に配置される脱硝剤ユニット12Fの排ガス流入面とを平行としてもよい。なお、最下流に配置される脱硝剤ユニット11F、12Fだけでなく、下流側に配置される脱硝剤ユニット11E、12Eについても、θE=0として、脱硝剤ユニット11Eの排ガス流入面と脱硝剤ユニット12Eの排ガス流入面とを平行としてもよい。
【0058】
また、図2及び図3に示す実施例において、最下流に配置される脱硝剤ユニット11F、12Fを除く一部又は全ての脱硝剤ユニット11A、11B、11C、11D、11E、12A、12B、12C、12D、12Eの排ガス流入面と排ガスの流れ方向との角度をθA=θB=θC=θD=θEとしてもよい。
【0059】
また、図15、図16では、ユニット列を6列設けた場合を示している。図15、16に示すように、ユニット列を増減させることにより、トンネル内の換気風量に応じて脱硝剤ユニットを増減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、都市部の自動車道路トンネルや地下駐車場等の閉鎖空間に設置される脱硝装置や脱硝設備として適している。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の脱硝装置を備えたトンネル用脱硝設備の概略構成図
【図2】本発明の第1の実施例による脱硝装置の概略構成図(通常使用時)
【図3】同脱硝装置の概略構成図(遮風板開状態)
【図4】同脱硝装置の概略構成図(脱硝剤ユニット開状態)
【図5】同脱硝装置の平面断面図(脱硝剤ユニット開閉状態)
【図6】本発明の第2の実施例による脱硝装置の概略構成図(通常使用時)
【図7】同脱硝装置の概略構成図(遮風板開状態)
【図8】同脱硝装置の概略構成図(脱硝剤ユニット開状態)
【図9】同脱硝装置の平面断面図(脱硝剤ユニット開閉状態)
【図10】同脱硝装置の脱硝剤トレイを示す図(a)斜視図、(b)正面図、(c)底面図
【図11】本発明の第3の実施例による脱硝装置の概略構成図(通常使用時)
【図12】同脱硝装置の概略構成図(遮風板開状態)
【図13】同脱硝装置の概略構成図(脱硝剤ユニット開状態)
【図14】同脱硝装置の平面断面図(脱硝剤ユニット開閉状態)
【図15】本発明の第4の実施例による脱硝装置の備えたトンネル用脱硝設備の概略構成図(通常使用時)
【図16】同トンネル用脱硝設備の概略構成図(脱硝剤ユニット開状態)
【符号の説明】
【0062】
1 排ガス風路
2 換気ファン
3 集塵機
4 車道
10 脱硝装置
11 脱硝剤ユニット
11a 枠体
12 脱硝剤ユニット
13 脱硝剤
14 遮風板
15 ヒンジ
16 脱硝装置構造体
17 ハンドル
18 脱硝剤取り出し口
19 脱硝剤トレイ
20 取手
21 脚
22 アーム
23 第2のヒンジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記脱硝材ユニットは、縦方向に軸を持つように回動可能とし、さらに、前記枠体は、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記脱硝剤ユニットを回動して開いて、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することを特徴とした脱硝装置。
【請求項2】
窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記枠体は、ヒンジと、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを前記ヒンジによって排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記ヒンジを支点として前記脱硝剤ユニットを開き、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することを特徴とした脱硝装置。
【請求項3】
前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、前記脱硝剤取り出し口を両側面に設けた請求項2に記載の脱硝装置。
【請求項4】
前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、そのヒンジにアームを接続し、前記排ガス風路と接続された構造体に第2のヒンジを設け、前記第2のヒンジとアームを接続し、脱硝剤取り出し口を両側面に設けた請求項2に記載の脱硝装置。
【請求項5】
前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に2層重ねることを特徴とした請求項3または4記載の脱硝装置。
【請求項6】
前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に複数層重ねることを特徴とした請求項2〜4いずれかひとつに記載の脱硝装置。
【請求項7】
前記脱硝剤ユニットに脱硝剤を充填した脱硝剤トレイを複数挿入し、前記脱硝剤ユニットの側面の脱硝剤取り出し口より脱硝剤トレイの取り出し及び挿入することができるようにすることを特徴とした請求項2〜6のいずれかひとつに記載の脱硝装置。
【請求項8】
前記脱硝剤ユニットを、隣り合う前記脱硝剤ユニットの端部同士を連接して前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、上流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度を、下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度よりも大きくしたことを特徴とする請求項2〜7のいずれかひとつに記載の脱硝装置。
【請求項9】
前記脱硝剤ユニットを前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、最下流に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面を、前記排ガスの流れ方向と同じ方向としたことを特徴とする請求項8記載の脱硝装置。
【請求項10】
前記排ガスの流れ方向に対する排ガス流入面の角度を同一とした前記脱硝剤ユニットを複数段含むことを特徴とする請求項8または請求項9記載の脱硝装置。
【請求項11】
前記脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設けたことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の脱硝装置。
【請求項12】
前記脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設け、第1のユニット列の上流側に配置される前記脱硝剤ユニットと第2のユニット列の上流側に配置される前記脱硝剤ユニットとの間隔が、前記第1のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットと前記第2のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットとの間隔よりも大きくしたことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の脱硝装置。
【請求項13】
前記第1のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と、前記第2のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面とを平行としたことを特徴とする請求項12に記載の脱硝装置。
【請求項14】
請求項8から請求項13のいずれかに記載の脱硝装置を用いたトンネル用脱硝設備であって、トンネル内の前記排ガスを前記排ガス風路内に導く換気ファンと、前記排ガス中の粉塵を集塵する集塵機とを備え、前記脱硝装置を、前記集塵機の下流側に配置したことを特徴とするトンネル用脱硝設備。
【請求項1】
窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記脱硝材ユニットは、縦方向に軸を持つように回動可能とし、さらに、前記枠体は、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記脱硝剤ユニットを回動して開いて、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することを特徴とした脱硝装置。
【請求項2】
窒素酸化物を含む排ガスを排ガス風路内に導き、前記排ガス風路内に設置した脱硝剤ユニットに前記排ガスを通気させて前記窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、前記脱硝剤ユニットは、通風面を開口した枠体と、この枠体の内部に縦に積み上げて設けた脱硝剤とで構成され、前記枠体は、ヒンジと、側面に開閉可能にした脱硝剤取り出し口とを設け、前記脱硝剤ユニットを前記ヒンジによって排ガス風路内に固定し、前記脱硝剤を交換するときには前記ヒンジを支点として前記脱硝剤ユニットを開き、前記脱硝剤取り出し口より前記脱硝剤の取り出し及び挿入することを特徴とした脱硝装置。
【請求項3】
前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、前記脱硝剤取り出し口を両側面に設けた請求項2に記載の脱硝装置。
【請求項4】
前記枠体の上下中央に前記ヒンジを配置し、そのヒンジにアームを接続し、前記排ガス風路と接続された構造体に第2のヒンジを設け、前記第2のヒンジとアームを接続し、脱硝剤取り出し口を両側面に設けた請求項2に記載の脱硝装置。
【請求項5】
前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に2層重ねることを特徴とした請求項3または4記載の脱硝装置。
【請求項6】
前記脱硝剤を脱硝剤ユニット内で排ガス貫通方向に複数層重ねることを特徴とした請求項2〜4いずれかひとつに記載の脱硝装置。
【請求項7】
前記脱硝剤ユニットに脱硝剤を充填した脱硝剤トレイを複数挿入し、前記脱硝剤ユニットの側面の脱硝剤取り出し口より脱硝剤トレイの取り出し及び挿入することができるようにすることを特徴とした請求項2〜6のいずれかひとつに記載の脱硝装置。
【請求項8】
前記脱硝剤ユニットを、隣り合う前記脱硝剤ユニットの端部同士を連接して前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、上流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度を、下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と前記排ガスの流れ方向との角度よりも大きくしたことを特徴とする請求項2〜7のいずれかひとつに記載の脱硝装置。
【請求項9】
前記脱硝剤ユニットを前記排ガスの流れ方向に複数段配置し、最下流に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面を、前記排ガスの流れ方向と同じ方向としたことを特徴とする請求項8記載の脱硝装置。
【請求項10】
前記排ガスの流れ方向に対する排ガス流入面の角度を同一とした前記脱硝剤ユニットを複数段含むことを特徴とする請求項8または請求項9記載の脱硝装置。
【請求項11】
前記脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設けたことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の脱硝装置。
【請求項12】
前記脱硝剤ユニットを複数段配置したユニット列を複数列設け、第1のユニット列の上流側に配置される前記脱硝剤ユニットと第2のユニット列の上流側に配置される前記脱硝剤ユニットとの間隔が、前記第1のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットと前記第2のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットとの間隔よりも大きくしたことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の脱硝装置。
【請求項13】
前記第1のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面と、前記第2のユニット列の下流側に配置される前記脱硝剤ユニットの排ガス流入面とを平行としたことを特徴とする請求項12に記載の脱硝装置。
【請求項14】
請求項8から請求項13のいずれかに記載の脱硝装置を用いたトンネル用脱硝設備であって、トンネル内の前記排ガスを前記排ガス風路内に導く換気ファンと、前記排ガス中の粉塵を集塵する集塵機とを備え、前記脱硝装置を、前記集塵機の下流側に配置したことを特徴とするトンネル用脱硝設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−99562(P2010−99562A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271711(P2008−271711)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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