説明

腐食検知装置、屋外構造物及び屋外構造物の腐食対策方法

【課題】塩害の経時変化を常に監視しつつ、塩害防止を未然に防ぐことができる腐食検知装置、屋外構造物及び屋外構造物の腐食対策方法を提供する。
【解決手段】腐食検知装置10Aは、4面の略垂直面11−1〜11−4を有する多面体支持部12Aと、該多面体支持部12Aの略垂直面11−1〜11−4に各々設けられる腐食センサ13と、前記腐食センサ13が設けられた多面体支持部12Aを屋外構造物の側面に保持する保持部とを具備してなり、方位を加味した劣化の程度を迅速に判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外構造物の塩害等による腐食を事前に検知することができる腐食検知装置、屋外構造物及び屋外構造物の腐食対策方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば風車等の屋外構造物は、海上や沿岸で設置するので、風車の外部塗装や、風車の内部に設けたトランス、制御盤等が塩害により腐食することが懸念されている。
そのため、装置内部の材質、塗装に即した塩害予測が必要となってきている。
【0003】
その評価方法としてJISZ2371「塩水噴霧試験方法」及びJISK5621「複合サイクル試験」等が確立されている(非特許文献1、2)。
【0004】
また、近年塩害腐食量を予測するセンサとして腐食センサの提案がある(特許文献1)。
【0005】
この腐食センサについて説明すると、二つの異種金属(基板と導電部)を互いに絶縁部で絶縁した状態とし、両者の端部を環境へ露出すると、その環境に応じて両金属間を水膜が連結するので腐食電流が流れる。この電流は卑な金属の腐食速度に対応するので、その腐食センサと用いられている。
【0006】
この腐食センサは、「大気腐食モニタ」(Atmospheric Corrosion Monitor)あるいはACM型腐食センサと称されている。
このセンサの一例を図15及び図16−1、16−2に示す。図15及び図16−1に示すように、ACM型腐食センサ(以下、「腐食センサ」という。)110は、厚さ0.8mmの炭素鋼板を64mm×64mmに切り出し、基板111としており、この基板111の上に、厚膜IC用精密スクリーン印刷機を用いて絶縁ペースト(厚さ30〜35μm)の絶縁部112を塗布し、硬化させている。
続いて、導電ペースト(厚さ30〜40μm、フィラー:Ag)を、基板111との絶緑が保たれるように、絶縁部112のパターン上に積層印刷し、硬化させて導電部113とし、腐食センサを構成している(非特許文献3)。
ここで、前記基板111を第1の導電部とすると共に、導電部113を所定間隔を持って複数設けられる直線状の第2の導電部としている。
【0007】
そして、図16−2に示すように、湿度や海塩(塩化物イオン等)等の水膜114により、導電部113と基板111とが短絡し、これに起因するFe−Agのガルバニック対の腐食電流を電流計115で計測している。なお、図15中、符号116a、116bは端子である。
【0008】
また、前記ACM型腐食センサを用いた、太陽光発電システム部材の塩害腐食量予測法が提案され、湿度と測定電流値及び海塩付着量との関係図より、海塩付着量を推定することが提案されている(非特許文献4及び5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−157647号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】JISZ2371
【非特許文献2】JISK5621
【非特許文献3】http://www.nims.go.jp/mdss/corrosion/ACM/ACM1.htm
【非特許文献4】松下電工技法(Nov.2002) p79−85
【非特許文献5】材料と環境「ACMセンサによる環境腐食性評価」 54、375−382(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、JISZ2371規格及びJISK5621規格試験においては、試験環境が実際の環境と一致していないので、試験精度が悪いという問題がある。
【0012】
また、ACM型腐食センサを用いて、腐食電流から腐食の度合いを推定することはできるものの、屋外構成体を構成する各構成部材のほとんどの素材は、塗装が施されているので、その個々の塗装の塗膜の状況(塗膜の種類や塗膜の厚さ等)に応じた腐食の程度を適宜判断することができない、という問題がある。
【0013】
また、屋外構造物の設置場所において、季節や時間に応じて、風向きが変化するので、塗膜の劣化の原因は、屋外構造物の設置箇所(部位)により異なる。具体的な劣化因子としては、紫外線照射によるもの、ぬれ時間の継続によるもの、海塩の付着によるもの等があり、その腐食環境に応じて屋外構造物の塗膜や部材や部品等のメンテナンスを的確に実施することが切望されている。
【0014】
本発明は、前記問題に鑑み、塗膜の劣化因子を設置箇所(部位)ごとに特定しつつ、その腐食環境に応じて屋外構造物の塗膜や部材や部品等のメンテナンスを的確に実施し、塩害を未然に防ぐことができる腐食検知装置、屋外構造物及び屋外構造物の腐食対策方法
を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、少なくとも4面以上の略垂直面を有する多面体支持部と、該多面体支持部の略垂直面に各々設けられる腐食センサと、前記腐食センサが設けられた多面体支持部を屋外構造物に対して所定方位に保ちつつ保持する保持部とを具備することを特徴とする腐食検知装置にある。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、前記腐食センサが、基板である第1の導電部と、該第1の導電部の上部に所定間隔を持って設けられる絶縁部と、該絶縁部の上部に設けられる第2の導電部とを有し、付着塩分により腐食電流を検知することを特徴とする腐食検知装置にある。
【0017】
第3の発明は、第1又は2の腐食検知装置を、屋外構造物に設けてなることを特徴とする屋外構造物にある。
【0018】
第4の発明は、第3の発明において、腐食検知装置近傍に、日射計、湿度計又はpH計のいずれか一つを設けてなることを特徴とする屋外構造物にある。
【0019】
第5の発明は、第1又は2の腐食検知装置を屋外構造物の所定方位に保ちつつ保持し、前記腐食検知装置により腐食に至るまでの海塩付着量を求め、方位に応じた劣化の状況に応じて屋外構造物の洗浄又は乾燥を行うことを特徴とする屋外構造物の腐食対策方法にある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、海塩、雨水等の腐食性因子の作用による経時変化について、方位を加味して劣化の程度を迅速に判断することができる。これにより劣化抑制のための対策を迅速に講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、実施例1に係る腐食検知装置の概略図である。
【図2】図2は、実施例1に係る腐食検知装置の斜視図である。
【図3】図3は、屋外構造物の一例である風力発電装置に腐食検知装置を設置した際の側面図である。
【図4】図4は、図3の平面図である。
【図5】図5は、実施例1に係る他の腐食検知装置の概略図である。
【図6】図6は、屋外構造物の一例である風力発電装置に腐食検知装置を設置した際の他の側面図である。
【図7】図7は、相対湿度と腐食電流値との関係を示す図である。
【図8】図8は、実施例4に係る腐食検知装置の概略図である。
【図9−1】図9−1は、実施例4に係る膜劣化センサの概略図である。
【図9−2】図9−2は、実施例4に係る膜劣化センサの使用状況の概略図である。
【図9−3】図9−3は、実施例4に係る膜劣化センサの使用状況の概略図である。
【図9−4】図9−4は、実施例4に係る膜劣化センサの使用状況の概略図である。
【図10−1】図10−1は、腐食センサによる計測の一例を示すチャートである。
【図10−2】図10−2は、膜劣化センサの計測の一例を示すチャートである。
【図11】図11は、第1の態様にかかるフローチャートである。
【図12】図12は、第1の態様の変形例にかかるフローチャートである。
【図13】図13は、第2の態様にかかるフローチャートである。
【図14】図14は、第2の態様の変形例にかかるフローチャートである。
【図15】図15は、従来技術に係る腐食センサの平面図である。
【図16−1】図16−1は、従来技術に係る腐食センサの概略図である。
【図16−2】図16−2は、従来技術の腐食時における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0023】
本発明による実施例に係る腐食検知装置及び屋外構造物について、図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係る腐食検知装置の概略図である。図2はその斜視図である。図3は、屋外構造物の一例である風力発電装置に腐食検知装置を設置した際の側面図である。図4はその平面図である。
図1乃至図3に示すように、本実施例に係る腐食検知装置10Aは、4面の略垂直面11−1〜11−4を有する多面体支持部12Aと、該多面体支持部12Aの略垂直面11−1〜11−4に各々設けられる腐食センサ13と、前記腐食センサ13が設けられた多面体支持部12Aを屋外構造物に対して所定方位に保ちつつ保持する保持部15とを具備するものである。
【0024】
ここで、保持部15は、図3に示すように、腐食センサ13が設けられた多面体支持部12Aの各面を所定方位に保ちつつ保持するものであり、例えばタワー102のナセル103の頂面に例えば磁気方位センサを備えたものである。
すなわち、図1において、腐食検知装置10Aの多面体支持部12Aの第1面11−1を、一例として北(N)を指すように設置し、第2面11−2は東(E)、第3面11−3は南(S)、第4面11−4は西(W)を指すようにしている。
この結果、磁気方位センサの情報に基づき、常に所定方位を保つようにしているので、腐食検知装置10Aの4面は常に同じ方位における腐食環境を計測することができる。
【0025】
ここで、腐食センサ13は、前述した図15、図16−1に示すような基板111を第1の導電部とすると共に、該第1の導電部の上部に相互に所定間隔を持って複数設けられる直線状の絶縁部112を介し、前記絶縁部112の上部に第2の導電部として導電部113が形成されている。そして、付着塩分の影響により腐食電流を検知するようにしている。
【0026】
また、第1の導電部を形成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ステンレス鋼などを用いるのが好ましい。また、第2の導電部を形成する材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、グラファイトなどの炭素材料などを用いるのが好ましい。
【0027】
また、絶縁部を形成する材料としては、例えば、SiOなどを用いることができる。
なお、腐食センサ13は、図15に示すような腐食センサ110の構成のものに限定されるものではなく、付着塩分の影響を迅速に判断するものであれば、いずれを用いるようにしてもよい。
【0028】
ここで、図3に示す風力発電装置100について説明する。図3は、屋外構造物の一例である風力発電装置に腐食検知装置を設置した際の側面図である。なお、図4はその平面図である。図3に示すように、風力発電装置100は、例えば地上部101に設置されたタワー102と、タワー102の上端に設けられたナセル103とを備えている。ナセル103は、ヨー方向に旋回可能であり、図示しないナセル旋回機構によって所望の方向に向けられる。ナセル103には、発電機104と増速機105とが搭載されている。発電機104のロータは、増速機105を介して風車ロータ106の主軸107に接合されている。風車ロータ106は、主軸107に接続されたハブ108と、ハブ108に取り付けられた翼109とを備えている。
【0029】
本実施例では、図3及び4に示すように、屋外構造物である風力発電装置100のタワー102のナセル103の頂面に、保持部15を介して腐食検知装置10Aを設けている。
【0030】
これにより、常に所定の方位における腐食環境を計測することができ、方位に応じた腐食の影響を判断することができることとなる。よって、季節風、偏西風、太陽の角度等の特有な環境において、その場の環境に応じた腐食の進行を確認することができることとなる。
【0031】
このように、本発明によれば、海塩、雨水等の腐食性因子の作用による経時変化について、方位を加味して劣化の程度を迅速に判断することができる。これにより劣化抑制のための対策(例えば水洗い処理や乾燥処理等)を迅速に講じることができる。
【0032】
本実施例では、4面としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図5に示す他の腐食検知装置の概略図に示すように、腐食検知装置10Bの多面体支持部12Bが第1面11−1〜第8面11−8として、一例として北(N)を指すように設置するようにしている。これにより劣化の度合いを判断する際の方位の確定が正確となる。
【実施例2】
【0033】
また、腐食検知装置10A又は10Bの近傍に、pH計(図示せず)を設け、そのpHに応じて酸性雨対策を講じるようにしてもよい。
【0034】
すなわち、pHが7の中性域においては、塩素イオン(Cl-)が主体であるが、pHが7以下となると、主体の塩素イオン(Cl-)の他に硫酸イオン(SO4-)が混在してくる。そして、pHが5.8以下となると、塩素イオン(Cl-)よりも硫酸イオン(SO4-)が主体となり、酸性雨対応が必要となる。
酸性雨対策としては、外部塗膜の洗浄の際に入念に洗浄する他、次回の塗膜の塗布の際に、酸性雨対策の塗膜とする等である。
【実施例3】
【0035】
図6は、屋外構造物の一例である風力発電装置に腐食検知装置を設置した際の他の側面図である。
本実施例では、腐食検知装置10A近傍に、湿度計(図示せず)を設け、その湿度に応じた海塩付着量を計測するようにしている。
これにより、腐食因子として重要な海塩付着量を把握することができる。
【0036】
図7に相対湿度と腐食電流値との関係を示す。図7では、予め所定量の海塩を付着させておき、恒温槽中で測定した各海塩付着量におけるACM型腐食センサ110のセンサ出力(電流値:I)と湿度との関係図であり、ACM型腐食センサ110で電流を計測し、湿度計30で湿度を計測することで、海塩付着量を推定できるものである(非特許文献5参照)。
【0037】
なお、図6においては、風力発電装置100のナセル103の頂面に、磁気方位センサを備えた保持部15を具備する腐食検知装置10Aを設置するようにしている。
これにより、磁気方位センサの情報により常に一定方向を保ちつつ、腐食検知装置の4面(又は8面)は常に同じ方位における腐食環境を計測することができ、4面(又は8面)の腐食環境が確認できる。
【0038】
ここで、洗浄は定期的に行うことで足りることもあるが、下記理由により洗浄するのみでは腐食対策にならないこともあるのでその対策について説明する。
すなわち、海上近傍又は海上においては、タワー102の表面に単に海塩が付着している場合には、洗浄することは海塩を流すこととなるので、洗浄効果はある。一方、海塩が付着していない場合には、積極的に洗浄することは、逆効果(腐食促進)であり、低湿度を維持すること(乾燥)が重要である。
例えば、太陽があたっていない北側においては、常時乾燥できていないこともあるので、単なる水膜による錆の発生が生じる場合があり、むしろ乾燥することが必要となる。よって、無駄に洗浄することはむしろ、錆発生を誘発することとなる。
【0039】
よって、塗膜の腐食対策は、洗浄だけではなく、乾燥も必要となる。
そして、タワー102の側面には散水装置の洗浄ノズル30と、ヒータ(50℃程度)31とが設置されている。
ヒータはタワー表面を50℃程度にまで暖めることで、タワー表面を乾燥させる海塩付着量が少ない(<1〜10mg/m2)ときに、洗浄作業が実施されるが、その後に、ヒータにて乾燥させるのが効果的である。
【0040】
ここで、本発明において用いられる前記ヒータは特に限定されるものではなく、例えばシースヒータを例示することができる。
このシースヒータは、金属に直接貼り付けることができ、曲面形状のタワーの表面においても密着性が良好であり、熱伝導性が良いものとなる。
シースヒータは、センサの方向に対応し、ON/OFFが可能であり、例えば東西南北のセンサに対しては、東西南北の方向におけるタワー表面の乾燥を行うようにしている。
シースヒータ等のヒータ31の配置は、腐食検知装置10Aの各方位に対応して、鉛直方向にヒータがジグザグ状に配置しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
また、前記ヒータ31を貼り付ける方法としては、例えばタワーの内側に貼り付けるようにすればよい。これは、ヒータをタワー表面の外側に貼り付けることにより、ヒータに腐食因子が付着されやすくなり、これがかえってタワー表面の塗膜劣化の要因となるので好ましくないからである。
【0042】
また、タワーの外側に貼り付ける場合としては、タワー表面にヒータ埋め込み用の溝を形成し、この溝にヒータを埋め込み、次いで、タワー材質と同じ材質でヒータを埋め込み、その密閉性及び平滑性を確保した後、タワー材質に塗布した場合と同様な塗膜で覆うようにすればよい。
【0043】
そして、腐食検知装置10Aにより計測し、特定の方位に、塩が付着している時には洗浄を行う。この洗浄水としては、雨水又はRO膜による淡水化装置により得られる淡水等を用いるようにすればよい。
【0044】
このような洗浄対策において、本発明のような腐食検知装置10Aを用いることにより、方向性を加味して洗浄をするか加熱乾燥をするかを判断することができる。
【0045】
このように、その方位に応じた腐食に対する対策(洗浄又は乾燥)ができるので、方位を加味した必要な箇所のみを洗浄することにより、洗浄の無駄を省き、環境の経時変化による劣化を効率的に防止することができる。
例えば、ある方位で海塩の付着が多いとき(>50mg/m2)は、洗浄後乾燥を行う。ある方位で海塩の付着がなく、表面が濡れ環境にあるときは、乾燥を行う。
【0046】
また、湿度が低い場合に、海塩の付着があった場合には、海塩による劣化を防止するために、海塩を洗い流す必要がある。
例えば、雨水量が少ない場所においては、海塩を流すことができないので、海塩の堆積による劣化が生じる。このような場合には、雨水やRO膜による淡水によって洗浄することで、海塩を洗い流すことができる。
【0047】
ここで、腐食環境の因子である湿度に基づく塩分濃度による環境の変化について説明する。
図7に示すように、湿度の変化により、水膜のできる度合い(海塩による濡れ性)が変化する。例えば、湿度30%において、海塩量が少ない場合(10mg/m2)には、海塩による影響が少ないので、水膜の発生は少ないので、腐食は進展しない。
しかしながら、海塩量が多くなるにつれて(50mg/m2)、同じ湿度30%においても表面の濡れ性が激しいため、腐食電流が流れることとなるので、腐食が進展していくこととなる。
この水膜は海塩に起因するCl-が混入している度合いを示しているので、濡れ性の指標となり、この結果、湿度を計測することは、湿度による水膜のできることを考慮することとなる。
【0048】
すなわち、湿度が低いからといって、屋外構造物の表面が水に濡れていないので、腐食が進行しないといいきれるものではなく、湿度が低い場合でも塩分濃度が高い場合には、その潮解性による濡れ性により、腐食環境となることとなる。
このような場合には、その付着している海塩を洗浄等により除去する対策を講じる必要がある。
【0049】
このような方位を加味した屋外構造物に対する腐食対策の方法を以下に示す。
1)先ず、腐食検知装置10Aにより腐食の方向性を判別する。
2)海塩の付着量を腐食センサ13で計測する。
3)1)と2)から、方向性に応じた腐食環境が判る。
4)3)の結果より、海塩付着量に応じて、屋外構造物である例えばタワー102の洗浄又は乾燥をするかを判断する。
5)4)の結果に応じて、洗浄又は乾燥を行う。
このように、その方位に応じた腐食に対する対策(洗浄又は乾燥)ができるので、方位を加味した必要な箇所のみを洗浄又は乾燥等を行うことにより、洗浄等の無駄を省き、環境の経時変化による劣化を効率的に防止することができることとなる。
【0050】
次に、本発明の腐食検知作業を実施する工程についてフローチャートを参照しつつ説明する。
図11は第1の態様にかかるフローチャートである。
第1のフローチャートは海塩付着量(b)に基づいて御する場合である。
工程1) 先ず、第1の工程では、センサからの腐食電流(I)を計測し、腐食電流が規定値(a)か否かを判断する(S1)。ここで、工程1)の既定値(a)としては、1μA程度が好適である。
前記工程1)の判断の結果、「a≦電流量計測値(I)」の場合には、雨がかり状態であるとして、工程1)に戻り、腐食電流を引き続き計測する。
工程2) 第2の工程では、前記工程1)の判断の結果、「0<電流量計測値(I)<aの場合」に、センサの腐食電流(I)と湿度計の湿度(%)から海塩付着量(b)を図7から推定する(S2)。
工程3) 第3の工程では、推定した腐食海塩の付着量(b)が「0<海塩付着量(b)<50mg/m2」の場合、さらに「湿度が70%以上か否か」を判断する(S3)。
工程4) 第4の工程では、「湿度が70%以上(Yes)」の場合、屋外構造物の乾燥を行う(S4)。その後、工程1)に戻り、再度腐食電流を計測する。
一方、「湿度が70%未満(No)」の場合、工程1)に戻り、再度腐食電流を計測する。
工程5) 第5の工程では、「海塩付着量(b)≧50mg/m2の場合」には、洗浄作業を行う(S5)。
工程6) 第6の工程では、洗浄表面が50℃以上か否かを判断する(S6)。
工程7) 第7の工程では、「温度が50℃未満(No)」の場合には、屋外構造物の乾燥を行う(S7)。
工程8) 第8の工程では、前記乾燥を行っている際に、センサの交換を行う(S8)。
第6の工程において、「温度が50℃以上(Yes)」の場合には、屋外構造物の乾燥をせずに、センサの交換を行い(S8)、終了する。
このセンサの交換後は、リセットされた状態となり、再度腐食電流を計測する。
【0051】
このように、本方法によれば、電流量と湿度とにより海塩付着量(b)を推定し、この推定に基づき、屋外構造物の腐食状況を判断して、必要であれば、洗浄、乾燥等の処置を講ずることができる。
【0052】
また、第8の工程において、センサを交換するのは、屋外構造物を洗浄しているのに対し、腐食検知装置10Aの腐食センサ13自身を洗浄していないので、腐食センサ13には未だ海塩が付着したままである。よって、両者の腐食環境を同一とするためにセンサを交換して、仕切り直して最初の状態に戻り、腐食環境を計測することとしている。なお、腐食センサに屋外構造物と同様の洗浄手段や乾燥手段などが具備された場合には、腐食センサを交換することなく、計測を継続するようにしてもよい。
【0053】
図13は第2の態様のフローチャートである。
第2の態様フローチャートは海塩付着量(b)に基づく、制御する場合であり、測定回数を確認して、センサ腐食状況を勘案して、腐食検知作業を実施する場合である。
工程1) 先ず、第1の工程では、現在の測定回数の確認を行う(n=1、2、3…:S11)。
工程2) 第2の工程では、センサからの腐食電流を計測し、腐食電流(I)が規定値(a)か否かを判断する(S12)。ここで、工程1)の既定値(a)としては、1μA程度が好適である。
工程3) 第3の工程では、前記工程2)の判断の結果、「0<電流量計測値(I)<a」の場合に、センサの腐食電流(I)と湿度計の湿度(%)から海塩付着量(b)を図7から推定する(S13)。
工程4) 第4の工程では、推定した腐食海塩の付着量が「0<海塩付着量(b)<50mg/m2」の場合、さらに「湿度が70%以上か否か」を判断する(S14)。
工程5) 第5の工程では、「湿度が70%以上(Yes)」の場合、屋外構造物の乾燥を行う(S15)。この乾燥の後、工程1)を経ずに、工程2)に戻り、再度腐食電流を計測する。
一方、「湿度が70%未満(No)」の場合、工程1)を経ずに、工程2)に戻り、再度腐食電流を計測する。
工程6) 第6の工程では、「海塩付着量(b)≧50mg/m2」の場合には、洗浄作業を行う(S16)。
工程7) 第7の工程では、洗浄表面が50℃以上か否かを判断する(S17)。
工程8) 第8の工程では、「温度が50℃未満(No)」の場合には、屋外構造物の乾燥を行う(S18)。
工程9) 第9の工程では、第3の工程で推定した海塩付着量(b)が規定値(d)を超えているか否かを判断する(S19)。
【0054】
ここで、許容値(d)を超えていない場合には、腐食センサ13が再利用可能であると判断し、第1の工程の測定回数の確認に戻る(S11)。そこで、回数を1増加し、n=2とする。
この回数の増加により、第3の工程における海塩付着量の判断に用いて、閾値を50×2(n=2)mg/m2とする。
すなわち、センサに付着する海塩の量が(50×n)mg/m2となり(n=1、2…)、センサの表面に付着する海塩の許容値(d)となるまで、計測を行うことができる。
例えば、許容値(d)を200mg/m2とする場合には、4回(50×4mg/m2)まで腐食センサ13を交換せずに、繰り返して腐食環境の計測が可能となる。
工程10) 第10の工程では、前記許容値を超えた場合には、腐食センサ13を再利用することができないので、センサの交換を行う(S20)。
【0055】
第7の工程において、「温度が50℃以上(Yes)」の場合には、屋外構造物の乾燥をせずに、第9の工程に進み、第3の工程で推定した付着海塩の量(b)が基準値(d)を超えているか否かを判断し(S19)、必要であればセンサの交換を行い(S20)、終了する。
このセンサの交換後は、リセットされた状態となり、再度腐食電流を計測する。
【0056】
このように、電流量と湿度とにより海塩付着量を推定し、この推定に基づき、屋外構造物の腐食状況を判断して、必要であれば、洗浄、乾燥等の処置を講ずることができる。
【0057】
また、センサの使用許容値まで海塩の付着を確認することで、第1の態様の場合とは異なり、センサの交換をせずに、海塩付着量の量を増加することとして、再利用可能としている。
【0058】
また、図12は第1の態様のフローチャートの変形例である。
第1の態様の第2の工程(S2)において、海塩付着量(b)を推定していたが、この変形例のフローチャートでは、この第2の工程において、センサの腐食電流(I)から腐食電気量(クーロン)を推定する(S2’)。この推定した電気量を、閾値である1C(クーロン)と判断して、第3の工程又は、第5の工程を行うようにしている。
このように、電流量の経時変化から電気量を推定し、この推定に基づき、屋外構造物の腐食状況を判断して、必要であれば、洗浄、乾燥等の処置を講ずることができる。
【0059】
図14は第2の態様のフローチャートの変形例であり、同様に第3の工程において、センサの腐食電流(I)から腐食電気量(クーロン)を推定する(S13’)。腐食電気量から腐食状態を判断している。
なお、第4の工程から第8の工程までは、第2の態様と同様のステップであるが、第9の工程では、第3の工程で推定した腐食電気量(1×n)クーロンが許容値(e)を超えているか否かを判断する(S19’)。ここで、腐食電気量の許容値(e)は、3〜15クーロンであり、5クーロンあたりが好適である。
そして、許容値(e)を超えていない場合には、腐食センサ13が再利用可能であると判断し、第1の工程の測定回数の確認に戻る(S11)。そこで、回数を1増加し、n=2とする。
この回数の増加により、第3の工程における腐食電気量の判断に用いて、閾値を1×2(n=2)クーロンとする。
すなわち、腐食電気量が2クーロンとなり、腐食電気量の許容値(e)となるまで、計測を行うことができる。
第10の工程では、前記許容値(e)を超えた場合には、腐食センサ13を再利用することができないので、センサの交換を行う(S20)。
第7の工程において、「温度が50℃以上(Yes)」の場合には、屋外構造物の乾燥をせずに、第9の工程に進み、第3の工程で推定した腐食電気量が基準値(e)を超えているか否かを判断し(S19’)、必要であればセンサの交換を行い(S20)、終了する。
【実施例4】
【0060】
本発明による実施例4に係る腐食検知装置について図8を参照して説明する。
図8に示すように、本実施例に係る腐食検知装置10Cは、直方体構造の多面体支持部12Aの4面に腐食センサ13と、膜劣化センサ20とを各々設けると共に、その頂面にも腐食センサ13を設けている。
【0061】
前記膜劣化センサ20は、図9−1に示すように、検知対象物である屋外構造物の基板21の表面に塗布される塗膜22の上面に設けられる第1の導電部23と、該第1の導電部23を被覆する屋外構造物に塗布する材料と同一の絶縁性の塗膜部24と、該塗膜部24の上部に設けられる所定間隔を持って複数設けられる直線状の第2の導電部25とを有し、前記塗膜部24の劣化により発生する腐食電流を検知するものである。そして、経時変化によって、屋外構造物の塗膜22の劣化によってできる例えば亀裂と同様な亀裂を膜劣化センサ20の塗膜部24に発生させ、この亀裂によって発生する水膜により腐食電流を検知するようにしている。
【0062】
ここで、センサを構成する前記塗膜部24は、屋外構造物の基板21に塗布する塗膜22の塗料と同様のものを塗布してなるものである。そして、その塗膜部24の膜厚は、屋外構造物に塗装される塗膜22よりも薄くなるようにしている(塗膜22の厚さ(D)>塗膜部24の厚さ(d))。
厚みは、より好適には、その塗膜部24の厚さ(d)は、塗膜22のDの約1/3〜4/5程度とすればよい。
また、塗膜構造の上塗り層(耐候性塗膜)のみを検知用として、使用してもよい。これは、耐候性塗料が劣化すれば、塗膜自体の耐候性が大きく損なわれることを防ぐためである。
【0063】
また、この厚みを変更することにより、劣化の進捗度合いを判定することができる。そして、屋外構造物の塗膜22の一箇所において、前記塗膜部24の厚みがそれぞれ異なる複数の膜劣化センサ20を設けて、厚みによる腐食度合いを判定するようにしてもよい。
【0064】
また、第1の導電部23を形成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ステンレス鋼などを用いるのが好ましい。また、第2の導電部25を形成する材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、グラファイトなどの炭素材料などを用いるのが好ましい。
なお、塗膜部24以外は、従来のACM型腐食センサ110と同様の構成であり、第1の導電部23の厚さは例えば0.8mm程度とし、第2の導電部25は導電(Ag)ペーストを用いて、例えば30〜40μmの膜厚としている。
【0065】
図9−2乃至図9−4に本実施例に係る膜劣化センサ20の使用状況の概略図を示す。
図9−2乃至図9−4に示すように、本実施例に係る膜劣化センサ20は、第1の導電部23の上部に設けられる塗膜部24の上面に所定間隔を持って複数設けられる直線状の第2の導電部25が形成されている。その塗膜部24の劣化に応じて、亀裂26が発生する(図9−2参照)。この亀裂26の伸展に応じて発生する水膜27により、第2の導電部25と第1の導電部23とが短絡し、この発生する腐食電流を検知するようにしている(図9−3参照)。
【0066】
また、図9−3に示すような明確な亀裂26が発生しないような場合においても、塗膜部24の経時的な劣化により、塗膜部24に対して水が浸透することにより水の浸透部28が形成され、第2の導電部25と第1の導電部23とが短絡することがあり、この短絡により発生する腐食電流を検知するようにしてもよい(図9−4参照)。
【0067】
これにより、方位に応じた実際の屋外構造物の塗膜と同様の材料による塗膜の劣化の進捗度合いを確認することができることとなる。
【0068】
次に、腐食環境の計測の一例を示す。
先ず、膜劣化センサ20で塗膜の劣化を監視し、腐食センサ13で腐食状況を監視し、湿度計で湿度を監視している。
【0069】
そして、計測の都度、腐食センサ13と膜劣化センサ20の各方位における各々の電流値(I1、I2)を計測すると共に、その計測時点における湿度を計測しておく。
【0070】
そして、計測の都度、腐食センサ13と腐食検知装置10Aの各々の電流値(I1、I2)を計測すると共に、その計測時点における湿度を計測しておく。
【0071】
図10−1は、腐食センサ13の電流値(I1)の計測の一例(例えば120日計測した)であり、図10−2は膜劣化センサ20の電流値(I2)の計測の一例である。
そして、計測を続けている際、図10−2に示すように、膜劣化センサ20で塗膜の劣化(亀裂)を確認(電流値が急激に上昇(100日目))とする。
このような場合、この亀裂の発生するまでにおけるそのセンサの設置環境の海塩の付着の状況を、事前に求めていた腐食センサ13の電流値と湿度との計測結果により、腐食環境を確認することができる。
例えば、亀裂発生するまでの腐食センサ13での電流(I1)の積算、または平均をとり、腐食環境を推定することができる。
【0072】
さらに、図7において、その計測時点における湿度と電流値とによって、そのときの海塩の付着量を確認することができる。
すなわち、腐食センサ13での電流量と、湿度との関係からどれくらい海塩が付着していたかが判断できる。
よって、その計測場所(特定の方位)が腐食しやすい環境であったか否かが判断できる。
【0073】
そして、塗装のやり直しを行う場合、その特定の方位について、例えば膜厚を標準膜厚の塗装で良いのか、膜厚を厚くする厚塗り塗装で良いのかを判断する指標となる。よって、本発明によれば、塗膜の劣化(亀裂等)に至るまでの状況を勘案して、今後の塗膜の劣化を防止する対策を講じることができる。
【0074】
この際、太陽光の日射量を計測できる日射計を用いることにより、亀裂に至るまでに太陽光の影響も確認できる。よって、メンテナンスの時期を単なる時間で決定することなく、季節に応じたメンテナンスの時期を決定することもできる。
すなわち、夏場と冬場とでは、日射量も異なるので、その日射量に応じた対策を図ることが必要となる。設置場所によっても同様に対策が必要となる。
【0075】
さらに、太陽光を分光して特定の波長の紫外光を計測できる分光日射計等を用いるようにすることで、塗膜の劣化に影響が大きい紫外線量を把握することができ、紫外線量の影響も加味した対策を講ずることができる。
すなわち、太陽光の紫外線エネルギーは410kJ/molであり、例えばアクリル系の樹脂の結合エネルギーは365kJ/mol、無機系樹脂の結合エネルギーは435kJ/molであるので、太陽光が長期間に亙って照射されることにより紫外線の影響で、塗膜の塗料の分子間結合が切断され、亀裂や割れ等が発生ることになるからである。
【0076】
また、紫外線量の計測においては、直接塗膜に照射される紫外線量の他に反射による紫外線の影響も考慮する必要があるので、その紫外線量の計測の際には、反射率を考慮した紫外線量に変換することで、より的確な判断をなすことができる。
例えば、反射率は、砂浜であると10〜25%、コンクリートであると10%、水面であると10〜20%、草地や土であると10%以下とする補正が必要となる。
【0077】
また、屋外構造物の壁面と頂面とでは、頂面の塗膜は、壁面の2.5倍程度の紫外線量であるので、例えばナセルの頂面に設置し、ナセルの頂面の劣化の度合いを考慮することも有効である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明に係る腐食検知装置及び屋外構造物は、方位を加味して劣化の程度を迅速に判断することができる、例えば風力発電装置の構成部材の劣化の判断に用いて適している。
【符号の説明】
【0079】
10A〜10C 腐食検知装置
11−1〜11−8 略垂直面
12A、12B 多面体支持部
13 腐食センサ
15 保持部
20 膜劣化センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4面以上の略垂直面を有する多面体支持部と、
該多面体支持部の略垂直面に各々設けられる腐食センサと、
前記腐食センサが設けられた多面体支持部を屋外構造物に対して所定方位に保ちつつ保持する保持部とを具備することを特徴とする腐食検知装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記腐食センサが、
基板である第1の導電部と、該第1の導電部の上部に所定間隔を持って設けられる絶縁部と、該絶縁部の上部に設けられる第2の導電部とを有し、付着塩分により腐食電流を検知することを特徴とする腐食検知装置。
【請求項3】
請求項1又は2の腐食検知装置を、屋外構造物に設けてなることを特徴とする屋外構造物。
【請求項4】
請求項3において、
腐食検知装置近傍に、日射計、湿度計又はpH計のいずれか一つを設けてなることを特徴とする屋外構造物。
【請求項5】
請求項1又は2の腐食検知装置を屋外構造物の所定方位に保ちつつ保持し、
前記腐食検知装置により腐食に至るまでの海塩付着量を求め、
方位に応じた劣化の状況に応じて屋外構造物の洗浄又は乾燥を行うことを特徴とする屋外構造物の腐食対策方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【公開番号】特開2011−33470(P2011−33470A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179860(P2009−179860)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】