説明

腕時計用歯車機構、該歯車機構を備えたカレンダ機構及び腕時計用歯車機構又は該カレンダ機構を備えたアナログ式時計

【課題】小さい歯車であるにもかかわらず比較的容易に製造可能であり噛合いのバックラッシュを最低限に抑え得る腕時計用歯車機構、該歯車機構を備えたカレンダ機構及びこれを備えたアナログ式時計を提供すること。
【解決手段】アナログ式時計2のカレンダ機構1の腕時計用歯車機構8は、相互に噛合する扇形の第一及び第二歯車95,7を有する。第二歯車7が歯板16の一方の表面側にあって小径円弧状部を備えた第二歯車本体部60と、歯板に対面する側とは反対側において該第二歯車本体部に固定され大径板状部と、歯板と大径板状部との間で且つ第二歯車本体部の小径円弧状部と第二歯車歯部との間に配置された弧状の弾性手段80であって、弧の内周面で第二歯車本体部の小径円弧状部に係合し弧の外周面で第二歯車歯部の円弧の内周面を径方向外向きに押して第二歯車歯部の歯を第一歯車の歯と噛合させるもの80とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計用歯車機構、該歯車機構を備えたカレンダ機構及び腕時計用歯車機構又は該カレンダ機構を備えたアナログ式時計に係る。
【背景技術】
【0002】
腕時計用歯車機構において、歯車の各種の誤差を考慮すると相互に噛合する歯車の一対の歯と歯との間に多少の隙間すなわちバックラッシュを設けることは避け難い。腕時計用歯車機構において、このバックラッシュを最低限に抑えるために、歯車を構成する各歯の輪郭形状が個別に弾性的に変形可能にすべく各歯毎にその外表面の内側に開口部(一種の切抜き部)を設けること、典型的には該開口部を歯車の外表面で開口させて変形をより容易にすることは、提案されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、この特許文献1に提案された歯車は、極めて精細なものになることから、腕時計用歯車機構を構成するためには、実際には、プラズマドライエッチングその他のマイクロリソグラフィのような技術によって作らざるを得ず、エンジニアリングプラスチックの成形その他によっては製造され難く、極めて高価なものになるのを避け難い。
【0004】
アナログ式時計のカレンダ機構で、特に一の位の日付と十の位の日付とが別々の日車で表示され結果として日付を大きな文字で表示し得るいわゆるビッグデイトの形態のカレンダ機構は、知られている。
【0005】
このビッグデイトの形態のカレンダ機構として、日付のうち一の位の日付を表示する全体として環状の第一日文字表示部、該第一日文字表示部の内周に形成されトルクを受ける環状の第一日車歯車部、及び第一日文字表示面部の背面側に形成され無端リング状のカム面を規定する駆動カム部を備えた第一日車と、一端部がカム従節として駆動カム部に当接する従動レバー部及び該従動レバー部と一体的な作動レバー部であって先端部に第一の扇形歯車部を備えたものを具備し、前記一端部が駆動カム部のカム面に当接した状態で従動レバー部が回動される際に該従動レバー部の回動に応じて作動レバー部の第一の扇形歯車部が回動される駆動カムレバーと、日付のうち十の位の日付を表示する第二日文字表示部、及び前記第一の扇形歯車部と噛合した第二の扇形歯車部を備えた第二日車とを有するカレンダ機構は、提案されている(例えば、特許文献2)。
【0006】
この特許文献2に提案されているカレンダ機構では、第二日車を回転中心軸線のまわりで一方の向きに偏倚させる弾性偏倚力を及ぼす弾性偏倚手段を有する。
【0007】
しかしながら、この特許文献2に提案されているカレンダ機構では、第一及び第二の扇形歯車部のバックラッシュが大きいと、第二日車の停止位置がずれ、第二日車により表示されるべき十の位の日(第二日文字)が日窓内で適切に位置決め・表示されない虞れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−518981号公報
【特許文献2】特開2007−218856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記諸点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、小さい歯車であるにもかかわらず比較的容易に製造可能であり噛合いのバックラッシュを最低限に抑え得る腕時計用歯車機構、該歯車機構を備えたカレンダ機構及び腕時計用歯車機構又は該カレンダ機構を備えたアナログ式時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の腕時計用歯車機構は、前記目的を達成すべく、相互に噛合する扇形の第一及び第二歯車を有する腕時計用歯車機構であって、第二歯車が、歯板の一方の表面側において該第二歯車の回転中心軸線の近傍に位置し小径円弧状部を備えた第二歯車本体部と、前記歯板に対面する側とは反対側において該第二歯車本体部に固定され該第本体部よりも大径の大径板状部と、該大径板状部と前記歯板との間に位置する円弧状板状体からなる第二歯車歯部であって、円弧の外周面に第二歯車の歯をなす複数の歯を備えたものと、前記歯板と前記大径板状部との間で且つ第二歯車本体部の小径円弧状部と第二歯車歯部との間に配置された弧状の弾性手段であって、弧の内周面で第二歯車本体部の小径円弧状部に係合し弧の外周面で第二歯車歯部の円弧の内周面を径方向外向きに押して第二歯車歯部の歯を第一歯車の歯と噛合させるものとを有する。
【0011】
本発明の腕時計用歯車機構では、弧状の弾性手段が、円弧状板状体からなる第二歯車歯部を径方向外向きに弾性的に押して第二歯車歯部の歯を第一歯車の歯と噛合させるので、第一歯車の歯と第二歯車の歯とが相互に歯みぞを埋め合って第一歯車と第二歯車との噛合い部における無駄な間隙が低減され得、結果として歯面垂直方向のバックラッシュも低減され得る。なお、本発明の腕時計用歯車機構では、実際上、第二歯車歯部を構成する円弧状板状体を形成すればよいので、その製造が比較的容易である。
【0012】
本発明の腕時計用歯車機構では、典型的には、前記弾性手段が全体として弧状の板ばねであって、弧の一部において第二歯車本体部の小径円弧状部に係合し弧の外周面の一部において第二歯車歯部の円弧の内周面を径方向外向きに押して第二歯車歯部の歯を第一歯車の歯と噛合させるものからなる。
【0013】
その場合、狭いスペースで確実に弾性力を発揮し得る。但し、場合によっては、弾性手段が弾性材料の塊であってもよい。
【0014】
本発明の腕時計用歯車機構では、典型的には、前記大径板状部が周方向に間隔をおいて複数の被係合部を備え、前記第二歯車歯部が前記大径板状部に対面する側に周方向に間隔をおいて複数の係合部を備え、該係合部で大径板状部の被係合部に対して径方向に変位可能に係合される。
【0015】
その場合、第二歯車歯部は、係合部と被係合部との係合によって周方向変形が規制される一方で径方向の位置が可変なので、第二歯車歯部が安定に位置決めされ易く、被係合部に対して係合部が径方向に可動な範囲を被係合部の形状等で規制することによって第二歯車歯部が第一歯車部に圧接ないし過度に強く押付けられるのを避け得る。
【0016】
本発明の腕時計用歯車機構では、典型的には、大径板状部の被係合部及び第二歯車歯部の係合部のうちの一方が、径方向に延びた長穴からなり、他方が該長穴に遊嵌されるピン状突起部からなる。
【0017】
その場合、ピン状突起部すなわち度決めピンの径方向の可動範囲を長穴によって規定し得るから、単に長穴の位置や形状を所定に設定するだけで、第二歯車歯部が第一歯車部に圧接ないし過度に強く押付けられるのを確実に避け得る。ここで、典型的には、大径板状部の被係合部が長穴からなり、第二歯車歯部の係合部がピンからなる。但し、逆であってもよい。
【0018】
本発明の腕時計用歯車機構では、典型的には、第二歯車歯部を構成する円弧状板状体は弾性変形によって円弧の湾曲状態が変化され得るように構成される。
【0019】
その場合、第二歯車歯部を構成する円弧状板状体が弾性変形されることにより、一方では、第二歯車歯部を構成する歯と第一歯車部との噛合の周方向の隙間を最低限に抑えることが可能になるだけでなく、第二歯車歯部を構成する円弧状板状体の円弧の曲率半径を変更し得る。
【0020】
ここで、前記の弧状の板ばねは、典型的には、弧の中間部において第二歯車本体部の小径円弧状部に係合し弧の外周面の両端部において第二歯車歯部の円弧の内周面を径方向外向きに押す。これにより、第二歯車歯部を構成する円弧状板状体を径方向外向きに押すだけでなく、円弧状板状体に対してその曲率半径を大きして第一及び第二歯車の噛合いを促す働きをする。
【0021】
本発明の腕時計用歯車機構では、典型的には、第二歯車歯部は、歯の背後に開口部を備える。
【0022】
その場合、上記の弾性変形が促され易く、歯の噛合い部における無駄な隙間が最低限に抑えられ得る。
【0023】
本発明の腕時計用歯車機構では、典型的には、前記開口部が一つながりである外周が閉じられている。
【0024】
その場合、製造が容易である。なお、開口部が一つながりであることによって第二歯車歯部の全体が変形し易い場合であっても、前述のように、大径板状部に周方向に間隔をおいて被係合部を設けると共に第二歯車歯部に該被係合部に係合する係合部を設けるときは、周方向の捩れが規制されて、径方向には大きく変形され易く周方向にはより少ない程度に変形可能な状態になるので、バックラッシュを最低限に抑えるのが容易になる。
【0025】
本発明のカレンダ機構は、前記目的を達成すべく、典型的には、上述のような腕時計用歯車機構を備えたカレンダ機構であって、且つ該カレンダ機構は、日付のうち一の位の日付を表示する全体として環状の第一日文字表示部、該第一日文字表示部の内周に形成されトルクを受ける環状の第一日車歯車部、及び第一日文字表示面部の背面側に形成され無端リング状のカム面を規定する駆動カム部を備え、第一の回転中心軸線のまわりで回転可能な第一日車と、一端部がカム従節として駆動カム部に当接する従動レバー部及び該従動レバー部と一体的な作動レバー部であって先端部に第一の扇形歯車部を備えたものを具備し、前記一端部が駆動カム部のカム面に当接した状態で従動レバー部が回動される際に該従動レバー部の回動に応じて作動レバー部の第一の扇形歯車部が回動される駆動カムレバーと、日付のうち十の位の日付を表示する第二日文字表示部、及び前記第一の扇形歯車部と噛合した第二の扇形歯車部を備え、第二の回転中心軸線のまわりで回転可能な第二日車とを有し、カレンダ機構の第二日車が前記第二歯車を含み、カレンダ機構の駆動カムレバーの第一扇形歯車部が前記第一歯車からなる。
【0026】
この場合、第二日車の回転位置のズレが最低限に抑えられて、第二日文字が所定の表示位置に正確に位置決めされ得る。
【0027】
本発明のカレンダ機構では、典型的には、前記第一及び第二の回転中心軸線が共通の回転中心軸線からなり、第二日車を該共通の回転中心軸線のまわりの一方の向きに偏倚させる弾性偏倚力を及ぼす弾性偏倚手段を有する。
【0028】
その場合、歯車のバックラッシュが更に低減され得る。
【0029】
本発明のアナログ式時計は、前記目的を達成すべく、上述のような腕時計用歯車機構又は上述のようなカレンダ機構を備える。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の好ましい一実施例の腕時計用歯車機構を有する本発明の好ましい一実施例のカレンダ機構を備えた本発明の好ましい一実施例のアナログ式時計について、該時計の本体部を文字板側から見た平面説明図。
【図2】図1のアナログ式時計のカレンダ機構を文字板側から見た平面説明図。
【図3】図2のカレンダ機構のうち駆動カムレバーの作動レバー部の歯車部と第二日車の日表示車の歯車部との噛合い部分を拡大して示した平面説明図。
【図4】図3の噛合い部分のうち一対の歯車部の一対の歯の噛合い状況を更に拡大して示した平面説明図。
【図5】図1のアナログ式時計の本体部を裏蓋側から見た背面説明図。
【図6】図1のアナログ式時計の本体部のうち、カレンダ機構の一部を示す断面説明図。
【図7】図1のアナログ式時計の文字板側から見た外観を示した平面説明図。
【図8】アナログ式時計のカレンダ機構において文字板の日窓に対する第二日車の位置合せ状況を示したもので、(a)は図1のアナログ式時計のカレンダ機構における文字板の日窓に対する第二日車の位置合せに関し、第二日車が所定位置に位置決めされた状態を示した平面説明図、(b)は従来のアナログ式時計の従来のカレンダ機構における文字板の日窓に対する第二日車の位置合せ状況に関し、第二日車の位置のばらつきを示した平面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の好ましい一実施の形態を添付図面に示した好ましい一実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0032】
本発明の好ましい一実施例の腕時計用歯車機構8を有する本発明の好ましい一実施例のカレンダ機構1を備えた本発明の好ましい一実施例のアナログ式時計2は、概ね図5に示したような構造の時計本体ないしムーブメント3を有する。
【0033】
アナログ式時計2は、図5からわかるように、中心軸線Cのまわりで回転自在な秒車13を有すると共に、該秒車13の文字板側に、分車12及び時車11を有する。時車11、分車12及び秒車13の歯車は、日の裏車14a,三番車14b及び五番車14cの如き輪列14を介して相互に噛合されている。なお、図7の文字板側の外観図からわかるように、アナログ式時計2は、中心軸線Cの周りで回転可能な時針11d,分針12d及び秒針13dを有する。文字板5の日窓4には、一の位の日付及び十の位の日付が表示される。この図では、りゅうず6aのところに巻真6がわずかに見えている。図2からわかるように、筒車(時車)11は、日回し中間車15を介して日回し車31の日回し歯車31aを回す。図5において、18は巻真6のA1,A2方向の出入れに応じて回動される規制レバーである。
【0034】
図5に示したような電子時計すなわちクォーツ式の時計である場合、アナログ式時計2は、電池21から給電されて発振動作をする水晶振動子ないしこれを含む水晶缶22及び時計用集積回路23aを含む回路ブロック23や、輪列14等を介して指針11d,12d,13d(図7)を回転させるモータ24を有する。モータ24は、ステータ24a、コイルブロック24b及びロータ24cを備える。26は電池マイナス端子、27は回路押え板である。
【0035】
主として図2からわかるように、アナログ式時計2のカレンダ機構1は、第一日車40と、第二日車7と、ばね負荷された駆動カムレバー90とを有する。
【0036】
第一日車40は、第一の回転中心軸線としての中心軸線Cのまわりで回転可能に配置された環状体41と、該環状体41の厚さ方向にずれた位置において段差部を介して該環状体41の内周縁につながった第一日車歯車部42と、環状体41の文字板5側の主面部からなる第一日文字表示面部43と、環状体41の裏蓋に面する主面側で且つ環状体41の内周縁と第一日車歯車部42との段差部のところにおいて該段差部の外周面に沿って形成された駆動カム部44とを有する。
【0037】
第一日車歯車部42は、31個の歯部42aを有し、中心軸線Cのまわりで回転される。第一日車40の回転は、第一日車歯車部42の隣接歯部42a,42a間において躍制動作する躍制爪部36aを備えた日ジャンパ36によって規制される。
【0038】
駆動カム部44は、中心Cからの半径が最小の円弧に沿った第一カム円弧部44aと、中心Cからの半径が二番目に小さい円弧に沿った第二カム円弧部44bと、中心Cからの半径が三番目に小さい円弧に沿った第三カム円弧部44cと、中心Cからの半径が最大の円弧に沿った第四カム円弧部44dとを有する。円弧部44a,44b,44c,44dは、夫々、概ね、全周のうちの9/31,10/31,10/31,2/31程度の大きさの角度範囲に沿って拡がり、夫々の間の領域は、傾斜した遷移領域45a,45b,45cを介してつながっている。なお、第四カム円弧部44dと第一カム円弧部44aとの間には、概ね半径方向に延びる境界面ないし段差面46が形成されている。
【0039】
第一日車40は、通常運針時には、時車ないし筒車11の回転に応じて回転される日回し車31の日回し爪31bによって第一日車歯車部42の歯部42aで係合されて、一日に一回、C2方向に360/31度だけ回転される。なお、日修正の際には、巻真6がA1方向に引出され、該巻真6の回転が、つづみ車37(図5)及び小鉄車38(図5)を介し、更に、第一日修正中間車ないし第一カレンダ修正車32、第二日修正中間車33a、第三日修正中間車33b、第四日修正中間車33c及び日修正車34を介して第一日車40の第一日車歯車部42に伝達され、巻真6の回転に応じて第一日車歯車部42が例えばC2方向に回転されて日修正が行われる。
【0040】
第一日車40の第一日文字表示部としての第一日文字表示面部43には、第一日文字47をなす文字として、「1,2,3,4,5,6,7,8,9,0」の10個の文字列が三回繰返された後、「1」が付され、全体として31個の文字47が、周方向に等間隔に付されている。第一日文字表示面部43の第一日文字47は、該文字47が、時計2の12時の位置の近傍に達したとき、図6及び図1からわかるように、文字板5の日窓4の右半分の領域4b内において、一の位の日付を表示する。
【0041】
例えば、図6の断面図からわかるように、第一日車40のうち第一日車歯車部42は、第一日文字表示面部43よりも裏蓋に近い側に位置する。第一日車40は、概ね環状の第一日車歯車部42において、地板16に取付けられた第一日車押え49により軽く押えられている。
【0042】
腕時計用歯車機構8を構成する第二歯車としての第二日車7は、大径板状部としての第二日板50と、第二歯車本体部としての日表示車60と、第二歯車歯部としての作動歯車70と、弾性手段を構成する板ばねとしての加圧ばね80とを有する。第二日車7は、第二の回転中心軸線としての中心軸線Cのまわりで回転可能である。ここで、第一及び第二の回転中心軸線は、共通の中心軸線Cからなる。第二日車7は、文字板5の背後において筒車(時車)11の筒部に嵌合された第二日車押え7aにより軽く押えられている。
【0043】
第二歯車本体部としての日表示車60は、基盤としての地板16から文字板5の側に突出した時車11の大径筒部(図示せず)に回転自在に嵌合されている。日表示車60は、周面において径方向に凹んだ凹部62を有し、該凹部62の底部には、小径円弧状部61が形成されている。小径円弧状部61は、回転中心軸線Cの近傍に位置する。小径円弧状部61は、この例では、中央の直線状部61aと、両側の円弧状部61b,61cとを有する。中央の直線状部61aには、ばね止めピン部63aが形成され、両側の円弧状部61b,61cには、ばね案内ピン部63b,63cが形成されている。
【0044】
大径板状部としての第二日板50は、日表示車60よりもはるかに大径で概ね扇形の板状体51(図1)からなり、日表示車60の文字板側、即ち日表示車60のうち地板16に対面する側とは反対側においてカシメ部の如き固定部66により日表示車60に固定されている。
【0045】
第二日板50の扇形の板状体51の外周縁近傍には第二日文字表示面部52が形成されている。
【0046】
第二日文字表示部ないし第二日文字表示面部52は、周方向間隙53を介して突出した四つの概ね台形の表示面部52a,52b,52c,52dを有し、各第二日文字表示面部52a,52b,52c,52dには、第二日文字54として、「0,1,2,3」の文字が付されている。第二日文字表示面部52の第二日文字54は、該文字54が、時計2の12時の位置の近傍に達したとき、図7や図1からわかるように、文字板5の日窓4の左半分の領域4a内において、十の位の日付を表示する。
【0047】
第二日板部50を構成する扇形の板状体51は、より詳しくは、中心部の近傍に小さい扇形の板状部すなわち小扇形板状部55を該板状体51の延在方向の突出部として備え、また、作動歯車部70に重なる領域に周方向に間隔をおいて、被係合部としての径方向延在長穴56(図1及び図を有する。この例では、長穴56は、七つの長穴56a,56b,56c,56d,56e,56f,56gからなる。長穴56の位置や数は異なっていてもよい。
【0048】
第二歯車歯部としての作動歯車部70は、概ね円弧状の板状体71からなり、第二日板50と地板16との間で且つ日表示車60の凹部62内で小径円弧状部61の外周側に配置されている。
【0049】
より詳しくは、エンジニアリングプラスチックの成形品からなる作動歯車部70は、板状体71の円弧の外周面71aに、後述する駆動カムレバー90の扇形歯車部95の歯96に噛合する複数の歯72を備え、且つ隣接する歯72,72の間の谷部73に対面する位置に係合部としての度決めピン74を有する。この度決めピン74は、図6や図4からわかるように、夫々、第二日板部50の長穴56に遊嵌され、該長穴56に沿って径方向E1,E2に変位可能である。この例では、歯72,72間の谷部73及び度決めピン74は、夫々、長穴56に対応して七つある。但し、より多くても少なくてもよい。長穴56での度決めピン74の可動長は例えば50μm程度である。
【0050】
作動歯車部70は、更に、板状体71の内部に概ね円弧状の開口部ないし切欠き部75を有する。より詳しくは、開口部75は、円弧状開口本体部75aと、歯72に対応する部位において該円弧状開口本体部75aから径方向外向きに突出した径方向開口部75bとを有する。従って、作動歯車部70の開口部75を取囲む板状体71の本体部76は、該開口部75の形状が歪むように弾性変形可能である。変形の形状や程度は、所望に応じて選択可能である。
【0051】
全体として弧状の板ばねとしての加圧ばね80は、地板16と第二日板50との間において、日表示車60の凹部62の円弧状部61と作動歯車部70の円弧の内周面部70bとの間に配置されて、作動歯車部70を径方向外向きE1に押す。
【0052】
より詳しくは、全体として概ね弧状の加圧ばね80は、中央の直線状(平板状)部81と、両側の円弧状部82,83とを有し、中央の直線状部81で、日表示車部60の凹部62の底部の中央の直線状部61aのばね止めピン部63aに係止され、ばね案内ピン部63b,63cによって径方向E1,E2に案内される両側の円弧状部82,83で、作動歯車部70の板状体71の円弧の内周面70bを径方向外向きE1に押す。ばね案内ピン部63b,63cは、加圧ばね80の円弧状部82,83が軸線Cの延在方向(時計2の厚さ方向)に位置ずれするのを禁止している。
【0053】
従って、作動歯車部70は、地板16と第二日板50との間において、径方向外向きE1に変位される。作動歯車部70のこの径方向外向きE1の変位は、第二日板50の長穴56に遊嵌された度決めピン74によって案内される。なお、複数の度決めピン74のうちの一部の度決めピン74が対応する長穴56内で採る位置の差異によって作動歯車部70の本体部76の弾性変形が許容ないし吸収され得る。なお、作動歯車部70の第二日板50に対する径方向外向きE1の変位は、度決めピン74が長穴56の径方向外側端部に当接するまで許容される。
【0054】
第二日車7は、通常運針時には、十の位の日付が「0→1」、「1→2」又は「2→3」と変る毎に作動歯車部70において時計回り回転駆動を受けてC2方向に回動され、十の位の日付が「3→0」変る際には作動歯車部70において反時計回りの回転駆動を受けてC1方向に回動され、文字板5の日窓4の左半分の領域4aにおいて、十の位の日付を表示する。
【0055】
なお、ここでは、第二日板50が被係合部としての長穴56を有し、作動歯車部70が係合部となるピン状突起部としての度決めピン74を有する例について説明しているけれども、その代わり、作動歯車部70が長穴を有し第二日板50が該長穴に遊嵌される度決めピンを有していてもよい。
【0056】
駆動カムレバー90は、従動レバー部91と、作動レバー部92と、ばねトルク受部93とを一体的に有し、地板16の突起部16aに中心軸線BのまわりでB1,B2方向に回転自在に穴部90aで嵌合されている。
【0057】
従動レバー部91は、穴部90aの近傍から延在した先端部にカム従節となる当接突起部94を備え、該当接突起部94で第二日車7の駆動カム部44ないし該駆動カム部44を構成するカム円弧部44a,44b,44c又は44dに当接している。作動レバー部92は、穴部90aの近傍から従動レバー部91に対して交差する向きに延在した先端部に扇形歯車部95を備え、腕時計用歯車機構8を構成する第一歯車としての該扇形歯車部95において第二歯車としての第二日車7の作動歯車部70に噛合している。
【0058】
第一日車40のC2方向回転に伴う従動レバー部91の間欠的なB2方向回動に応じて作動レバー部92が第一日車40の駆動カム部44のカム面44a,44b,44c,44dに当接して間欠的にB2方向に回動され、該作動レバー部92の間欠的なB2方向回動に応じて第二日車7の作動歯車部70が間欠的にC2方向に回動される。
【0059】
駆動カムレバー90のばねトルク受部93には、地板16に取付けられた板ばねの形態の駆動カムレバーばね97がばね力を及ぼしている。即ち、駆動カムレバー90は、駆動カムレバーばね97によって中心軸線BのまわりでB1方向の偏倚力を受け、駆動カムレバー90の従動レバー部91の当接突起部94が第一日車40の駆動カム部44に常時押付けられている。従って、駆動カムレバーばね97は、駆動カムレバー90の扇形歯車部95と第二日車7の作動歯車部70との噛合いの周方向のガタを最低限に抑える。
【0060】
なお、駆動カムレバー90に対して駆動カムレバーばね97から一方向への回転偏倚力が与えられる限り、駆動カムレバーばね97を駆動カムレバー90に直接係合させる代わりに別の部材に係合させ、該別の部材を直接的又は間接的に駆動カムレバー90に固定してもよい。その場合、各部材の形状や配置は変更され得る。
【0061】
以上において、腕時計用歯車機構8は、駆動カムレバー90の扇形歯車部95と、第二日車7とからなる。
【0062】
以上の如く構成されたアナログ式時計2のカレンダ機構1では、第二日車7の作動歯車部70が加圧ばね80によって径方向外向きE1に弾性的に偏倚されるから、第二日車7の作動歯車部70が駆動カムレバー90の扇形歯車部95に近接せしめられて、両歯車部70,95間の確実な噛合いが確保され得る。
【0063】
なお、作動歯車部70のこの径方向外向きE1の変位は、第二日板50の長穴56に遊嵌された度決めピン74によって案内され、作動歯車部70の第二日板50に対する径方向外向きE1の変位は、度決めピン74が長穴56の径方向外側端部56xeに当接する位置を限度として規制されるので、加圧ばね80による加圧力が両歯車部70,95間に過度に強く働いて両歯車部70,91の回転が阻害されるのを、避け得る。即ち、第二日車7の作動歯車部70と駆動カムレバー90の扇形歯車部95との噛合いを、単に両歯車部の回転中心B,C間の距離によって規定するのではなく、該噛合い部に近接して位置する第二日板50の長穴56の端部位置によって規定するので、両歯車部70,95間の噛合いをより高確度に規定し得る。
【0064】
更に、このカレンダ機構1では、作動歯車部70は、開口部75を備えた弾性変形可能な本体部76からなるので、作動歯車部70の一つの歯72が扇形歯車部95の一つの歯96と噛合った状態でトルクを受けた場合に、弾性変形する本体部76が隙間を最低限にするように変形され得るので、ガタを最低限に抑え得る。その結果、図4及び図8の(a)に示したように、径方向及び周方向の両方において、作動歯車70が当初状態Qiから変形状態Qfに変形されて無駄な隙間が最低限に抑えられ得るから、駆動カムレバー90の扇形歯車部91と作動歯車部70との間のバックラッシュが最低限に抑えられて、第二日車7が位置決めされ得る。すなわち、作動歯車部70の本体部71が弾性変形されることにより、一方では、作動歯車部70と駆動カムレバー90の歯車部95との噛合の周方向の隙間を最低限に抑えることが可能になるだけでなく、作動歯車部70を構成する円弧状本体部71の円弧の曲率半径を変更し得る。なお、弧状の加圧ばね80は、中央の直線状部81で、日表示車部60の凹部62の底部の中央の直線状部61aのばね止めピン部63aに係止され、両側の円弧状部82,83で作動歯車部70の板状体71の円弧の内周面70aを径方向外向きに押すので、作動歯車部70を構成する本体部71を径方向外向きE1に押すだけでなく、該本体部71に対してその曲率半径を大きくして作動歯車部70と駆動カムレバー90の歯車部95との噛合いを促す働きをする。
【0065】
なお、作動歯車部70の本体部71では、本体部71の開口部75が複数の歯72,72,・・・,72の背後の全域に渡って拡がっているので、作動歯車部70の本体部71の開口部75を取囲む枠部76がある程度太めに形成されていても作動歯車部70の本体部71ないしその枠部76が比較的変形され易く、隙間が残っていれば該隙間を埋めるように(その結果、バックラッシュを低減させるように)変形され易い。反面、そのままでは、該変形が過度になって歯72が周方向に過度に逃げる虞れがあるけれども、弧の歯車機構8では、歯72,72間の各歯みぞ73に径方向に対面する位置にある度決めピン74が第二日板50の径方向延在長穴56に嵌って該度決めピン74のある部位の周方向相対変位が規制されているので、歯72の周方向の過度の変形は実際上禁止され得る(多少の変形は、周方向に隣接する度決めピン74,74が径方向にずれる位置の多少の際によって許容される)。従って、この歯車機構8では、開口部75が一つながりに形成され得るので、その製造ないし成形が容易に行われ得る。
【0066】
従って、図8の(b)において示したように、第二日車7が正規の位置PA0からC1方向又はC2方向に位置ずれした状態PA1,PA2で停止される場合とは異なり、図8の(a)に示したように、第二日車7がC1,C2方向の適切な位置P0に正確に位置決めされ得、適切な日表示が行われ得、第二日車7の回転位置がばらついて第二日文字が所望の表示位置からずれるのを最低限に抑え得る。
【符号の説明】
【0067】
1 カレンダ機構
2 アナログ式時計
3 ムーブメント
4 日窓
4a 左半分の領域
5 文字板
6 巻真
7 第二日車(第二歯車)
7a 第二日車押え
8 腕時計用歯車機構
11 時車
11d 時針
12 分車
12d 分針
13 秒車
13d 秒針
14 輪列
14a 日の裏車
14b 三番車
14c 五番車
16 地板
16a 突起部
17 輪列受
18 規制レバー
21 電池
22 水晶缶
23 回路ブロック
23a 時計用集積回路
24 モータ
24a ステータ
24b コイルブロック
24c ロータ
26 電池マイナス端子
27 回路押え板
31 日回し車
31a 日回し歯車
31b 日回し爪
32 第一日修正車(第一カレンダ修正車)
33a 第二日修正中間車
33b 第三日修正中間車
33c 第四日修正中間車
34 日修正車
36 日ジャンパ
36a 躍制爪部
37 つづみ車
38 小鉄車
40 第一日車
41 環状体
42 第一日車歯車部
42a 歯部
43 第一日文字表示面部(第一日文字表示部)
44 駆動カム部
44a 第一カム円弧部(カム面)
44b 第二カム円弧部(カム面)
44c 第三カム円弧部(カム面)
44d 第四カム円弧部(カム面)
45a,45b,45c 遷移領域
46 段差面
47 第一日文字
49 第一日車押え
50 第二日板部(大径板状部)
51 板状体
52 第二日文字表示面部(第二日文字表示部)
52a,52b,52c,52d 表示面部
53 周方向間隙
54 第二日文字
55 小扇形板状部
56,56a,56b,56c,56d,56e,56f,56g 径方向延在長穴
60 日表示車部(第二歯車本体部)
61 小径円弧状部
61a 中央の直線状部
61b,61c 両側の円弧状部
62 凹部
63a ばね止めピン部
63b,63c ばね案内ピン部
66 固定部(カシメ部)
70 作動歯車部(第二歯車歯部)
71 概ね円弧状の板状体
71a 円弧の外周面部
71b 円弧の内周面部
72 歯
73 谷部
74 度決めピン
75 開口部(切欠部)
75a 円弧状開口本体部
75b 径方向開口部
76 (板状体の)本体部
80 加圧ばね部(弾性手段)
81 中央の直線状(平板状)部
82,83 両側の円弧状部
90 駆動カムレバー
90a 穴部
91 従動レバー部
92 作動レバー部
93 ばねトルク受部
94 当接突起部(カム従節部)
95 扇形歯車部(第一歯車)
96 扇形に並んだ歯部
97 駆動カムレバーばね
A1,A2 出入方向
B1,B2 回転方向
B,C 中心軸線
C1,C2 回転方向
E1 径方向外向き
P0 正規の位置
Qi 作動歯車の当初(変形前)の状態
Qf 作動歯車の変係後(動作時)の状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に噛合する扇形の第一及び第二歯車を有する腕時計用歯車機構であって、第二歯車が、
歯板の一方の表面側において該第二歯車の回転中心軸線の近傍に位置し小径円弧状部を備えた第二歯車本体部と、
前記歯板に対面する側とは反対側において該第二歯車本体部に固定され該第本体部よりも大径の大径板状部と、
該大径板状部と前記歯板との間に位置する円弧状板状体からなる第二歯車歯部であって、円弧の外周面に第二歯車の歯をなす複数の歯を備えたものと、
前記歯板と前記大径板状部との間で且つ第二歯車本体部の小径円弧状部と第二歯車歯部との間に配置された弧状の弾性手段であって、弧の内周面で第二歯車本体部の小径円弧状部に係合し弧の外周面で第二歯車歯部の円弧の内周面を径方向外向きに押して第二歯車歯部の歯を第一歯車の歯と噛合させるものとを有する腕時計用歯車機構。
【請求項2】
前記弾性手段が全体として弧状の板ばねであって、弧の一部において第二歯車本体部の小径円弧状部に係合し弧の外周面の一部において第二歯車歯部の円弧の内周面を径方向外向きに押して第二歯車歯部の歯を第一歯車の歯と噛合させるものからなる請求項1に記載の腕時計用歯車機構。
【請求項3】
前記大径板状部が周方向に間隔をおいて複数の被係合部を備え、
前記第二歯車歯部が前記大径板状部に対面する側に周方向に間隔をおいて複数の係合部を備え、該係合部で大径板状部の被係合部に対して径方向に変位可能に係合されている請求項1又は2に記載の腕時計用歯車機構。
【請求項4】
大径板状部の被係合部及び第二歯車歯部の係合部のうちの一方が、径方向に延びた長穴からなり、他方が該長穴に遊嵌されるピン状突起部からなる請求項3に記載の腕時計用歯車機構。
【請求項5】
第二歯車歯部を構成する円弧状板状体は弾性変形によって円弧の湾曲状態が変化され得るように構成された請求項1から4までのいずれか一つの項に記載の腕時計用歯車機構。
【請求項6】
第二歯車歯部は、歯の背後に開口部を備える請求項5に記載の腕時計用歯車機構。
【請求項7】
前記開口部が一つながりである外周が閉じられている請求項6に記載の腕時計用歯車機構。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つの項に記載の腕時計用歯車機構を備えたカレンダ機構であって、
該カレンダ機構は、
日付のうち一の位の日付を表示する全体として環状の第一日文字表示部、該第一日文字表示部の内周に形成されトルクを受ける環状の第一日車歯車部、及び第一日文字表示面部の背面側に形成され無端リング状のカム面を規定する駆動カム部を備え、第一の回転中心軸線のまわりで回転可能な第一日車と、
一端部がカム従節として駆動カム部に当接する従動レバー部及び該従動レバー部と一体的な作動レバー部であって先端部に第一の扇形歯車部を備えたものを具備し、前記一端部が駆動カム部のカム面に当接した状態で従動レバー部が回動される際に該従動レバー部の回動に応じて作動レバー部の第一の扇形歯車部が回動される駆動カムレバーと、
日付のうち十の位の日付を表示する第二日文字表示部、及び前記第一の扇形歯車部と噛合した第二の扇形歯車部を備え、第二の回転中心軸線のまわりで回転可能な第二日車と
を有し、
カレンダ機構の第二日車が前記第二歯車を含み、
カレンダ機構の駆動カムレバーの第一扇形歯車部が前記第一歯車からなる
カレンダ機構。
【請求項9】
前記第一及び第二の回転中心軸線が共通の回転中心軸線からなり、第二日車を該共通の回転中心軸線のまわりの一方の向きに偏倚させる弾性偏倚力を及ぼす弾性偏倚手段を有する請求項8に記載のカレンダ機構。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか一つの項に記載の腕時計用歯車機構又は請求項8若しくは9に記載のカレンダ機構を備えたアナログ式時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−64598(P2011−64598A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216240(P2009−216240)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)