説明

膝関節用テーピングテープ

【課題】膝関節の固定に最適であり、膝の裏側に挟まることがなく、自分自身で確実にしかも簡単にテーピングをすることのできる膝関節用テーピングテープを提供すること。
【解決手段】テープ基材と、前記テープ基材の一方側面の全面に亘って設けられた粘着材層と、を有する膝関節用テーピングテープであって、前記膝関節用テーピングテープは、膝を正面側から支持するように貼着される膝支持貼着部と、前記膝支持貼着部の一方側の端部からそれぞれ延設された少なくとも2本の一方側延設部と、前記膝支持貼着部の他方側の端部からそれぞれ延設された少なくとも2本の他方側延設部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膝関節の動作範囲を所定の範囲に抑制するため、膝およびその周囲へ貼着して用いられる膝関節用テーピングテープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、伸縮性を有する布製の基材と、この基材の片面に粘着材層とを有する粘着テープを用いて、人体の関節部の動作範囲を所定の範囲に抑制することがスポーツ,医療,介護などの現場で行われている。
【0003】
これは、関節部の怪我を未然に防止する目的や怪我の応急処理などを目的とする技法であり、一般に「テーピング」と呼ばれている。
テーピングに用いられる粘着テープはテーピングテープと呼ばれ、長尺状の粘着テープが芯材に巻装されてなるものが、ドラッグストアやスポーツ用品店などで入手可能である。
【0004】
ところで、このようなテーピングテープを用いて行われるテーピングは、専門知識が必要であるため、正しく行うには専門知識を有する医療従事者やスポーツトレーナーなどにやってもらうのが一般的である。しかしながら、テーピングが必要なその都度、医療従事者やスポーツトレーナーの元に出向くことはなかなか難しく、例えば足腰が弱くなった高齢者にとっては、テーピングのための通院自体が大変な労力である。
【0005】
そこで予め所定の形状にカットされた粘着テープを作成しておき、これを用いることで自分自身でも簡単にテーピングを行えるようにしたテーピングテープが発明されている(特許文献1)。
【0006】
このようなテーピングテープ100は、図21に示したように長辺と短辺からなる長方形形状であり、テープ基材102の片面に粘着材層104を有し、この粘着材層104側の一部に非粘着部106が設けられ、短辺側から非粘着部106近辺に及ぶ切れ目108が施されて成るものである。
【0007】
そして、例えば膝150にこのテーピングテープ100を使用する場合には、図22に示したように、膝150の裏側にテーピングテープ100の非粘着部106を当て、残りの4つの端部を膝の裏側から膝150の膝の皿(膝蓋骨)152周囲に巻着することで、自分自身で確実に関節部の良好な固定ができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4579447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら特許文献1に開示されたテーピングテープ100を膝150に用いた場合、膝150を曲げた際にテーピングテープ100の非粘着部106が膝150の屈曲部分である裏側に挟まって異物感を感じる場合があり、場合によっては膝150の繰り返しの曲げ伸ばしによってテーピングテープ100が変形し、膝150の裏側にテーピングテープ100の変形した箇所が食い込んで炎症を生ずる場合があった。
【0010】
また、単に切れ目108を入れているだけであるため、4つに分かれた端部がうまく膝に合わせて広がり難く、上手く貼着することは困難であった。
なお特許文献1に開示されたテーピングテープ100は、適用箇所を関節部としており、どこに用いるものかを限定したものではない。ところが関節部は例えば手首,足首,膝などいずれとして同じ動きをする箇所はないため、予めカットされたテーピングテープ100は、どの部位に用いるかを考えた上で開発されたものでなければ、確実な効果を得ることはできないものである。
【0011】
したがって、所定の関節部に合わせた適切な固定ができ、上記したような従来の問題を解消し、自分自身で確実にテーピングをすることのできるテーピングテープが求められているのが現状である。
【0012】
本発明は、このような現状に鑑み、膝関節の固定に最適であり、膝の裏側に挟まることがなく、自分自身で確実にしかも簡単にテーピングをすることのできる膝関節用テーピングテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、
本発明の膝関節用テーピングテープは、
テープ基材と、前記テープ基材の一方側面の全面に亘って設けられた粘着材層と、を有する膝関節用テーピングテープであって、
前記膝関節用テーピングテープは、
膝を正面側から支持するように貼着される膝支持貼着部と、
前記膝支持貼着部の一方側の端部からそれぞれ延設された少なくとも2本の一方側延設部と、
前記膝支持貼着部の他方側の端部からそれぞれ延設された少なくとも2本の他方側延設部と、
を有することを特徴とする。
【0014】
このように構成されていれば、膝の正面側から膝関節用テーピングテープを貼着することとなるため、膝の裏側に膝関節用テーピングテープが挟まって違和感を生ずるようなことがない。
【0015】
さらに、膝支持貼着部と2本の一方側延設部と2本の他方側延設部の合計5つの部位から膝関節用テーピングテープが構成されており、使用時には各部位を予め決められた箇所に単純に貼着させるだけで良いため、誰でも簡単で確実にテーピングをすることができる。
【0016】
また、本発明の膝関節用テーピングテープは、
前記膝支持貼着部と前記一方側延設部との境界部分に、切欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の膝関節用テーピングテープは、
前記膝支持貼着部と前記他方側延設部との境界部分に、切欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
このように切欠き部が設けられていれば、一方側延設部と他方側延設部とを、例えば内腿と外腿とに貼着させる際に、膝関節用テーピングテープの貼着方向を微妙に変化させ易くすることができる。
【0019】
さらに、膝支持貼着部と一方側延設部との境界部分,膝支持貼着部と他方側延設部との境界部分から剥がれを生じたり、膝関節用テーピングテープの粘着材層の一部分だけが向き合わせになって互いに貼り付いてしまうようなことを防止でき、確実にテーピングをすることができる。
【0020】
また、本発明の膝関節用テーピングテープは、
前記膝支持貼着部に貼着位置調整用切欠き部が設けられていることを特徴とする。
このような貼着位置調整用切欠き部が膝支持貼着部の上部に設けられていれば、膝の皿(膝蓋骨)部分の下から支持するように膝支持貼着部を貼着する際に、膝の皿(膝蓋骨)部分の曲面に沿って膝支持貼着部を貼着することができ、また貼着位置を分かり易くさせることができる。したがって、誰でも簡単で確実にテーピングをすることができる。
【0021】
また、本発明の膝関節用テーピングテープは、
前記膝支持貼着部を中心として左右方向にのみ伸縮し、上下方向には伸縮しないことを特徴とする。
このように伸縮する方向が決められた膝関節用テーピングテープであれば、膝関節の最低限必要な動作範囲を確保しながら、確実に動作範囲を抑制することができる。
【0022】
また、本発明の膝関節用テーピングテープは、
前記膝支持貼着部に、
使用時における前記膝支持貼着部の伸縮量を確認可能とする伸縮指標が付されていることを特徴とする。
【0023】
このように伸縮指標が付されていれば、どの程度伸張した状態で、膝支持貼着部を膝の所定の部位に貼着すれば最適なテーピングを行えるかを確実に知ることができ、誰でも確実に正しくテーピングを行うことができる。
【0024】
また、本発明の膝関節用テーピングテープは、
前記粘着材層は、
前記膝関節用テーピングテープが伸縮する左右方向に合わせて直線状,波状,ジグザグ状のいずれかの形状で塗布されていることを特徴とする。
【0025】
このような形状で粘着材層が設けられていれば、膝関節用テーピングテープの伸縮に合わせて、粘着材層も伸縮させることができ、膝関節用テーピングテープの伸縮効果を阻害せず、テーピングの効果を最大限に利用することができる。
【0026】
さらに、粘着材層の形状が直線状,波状,ジグザグ状であれば、各条間に通気路が確保されることになるため、皮膚と膝関節用テーピングテープとの間に汗が溜まったり、皮膚が炎症を生じてしまうようなことを効果的に防止することができる。
【0027】
また、本発明の膝関節用テーピングテープは、
前記粘着材層上に剥離層が設けられ、
前記剥離層には、前記膝支持貼着部と前記一方側延設部と前記他方側延設部との各境界部分にミシン目が入れられていることを特徴とする。
【0028】
このように各部の境界部分にミシン目が入れられていれば、膝関節用テーピングテープの使用時において、想定していない箇所が予期せぬ部位に貼り付いてしまうことなどを防止することができ、確実にテーピングを行うことができる。
【0029】
また、本発明の膝関節用テーピングテープは、
前記剥離層には、前記膝関節用テーピングテープを構成する各部に相当する部分に、前記膝関節用テーピングテープの使用時における貼着順序を示す順序指標が付されていることを特徴とする。
【0030】
このように順序指標が付されていれば、膝関節用テーピングテープの使用時において貼着順序が明らかであるため、誰でも間違うことなく正しい順序でテーピングを行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の膝関節用テーピングテープは、膝関節の固定に特化した最適形状に予めカットされており、膝の前面側から貼着するようになっているため、膝の裏側に挟まってしまうことがなく、自分自身で確実にしかも簡単にテーピングをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の膝関節用テーピングテープの断面を示した概略図である。
【図2】図2は、本発明の膝関節用テーピングテープを正面側から視認した斜視図である。
【図3】図3は、本発明の膝関節用テーピングテープの伸縮指標について説明するための説明図であって、図3(a)は膝支持貼着部を左右に伸ばす前の伸縮指標の状態図、図3(b)は膝支持貼着部を左右に伸ばした際の伸縮指標の状態図である。
【図4】図4は、本発明の膝関節用テーピングテープを背面側から視認した斜視図である。
【図5】図5は、本発明の膝関節用テーピングテープの順序指標について説明するための斜視図である。
【図6】図6は、本発明の膝関節用テーピングテープの使用状態を示した斜視図である。
【図7】図7は、本発明の膝関節用テーピングテープの他の実施形態を示した正面図である。
【図8】図8は、本発明の膝関節用テーピングテープの他の実施形態を示した正面図である。
【図9】図9は、本発明の膝関節用テーピングテープを貼着する前の膝を中心とした箇所を示した斜視図である。
【図10】図10は、本発明の膝関節用テーピングテープの使用における貼着手順を説明するための説明図であって、膝支持貼着部の剥離層を剥がしている状態を示した状態図である。
【図11】図11は、本発明の膝関節用テーピングテープの膝支持貼着部を左右に伸ばした状態を示した状態図である。
【図12】図12は、本発明の膝関節用テーピングテープの膝支持貼着部を膝に貼着した状態を示した斜視図である。
【図13】図13は、本発明の膝関節用テーピングテープの使用における貼着手順を説明するための説明図であって、第1一方側延設部の剥離層を剥がしている状態を示した状態図である。
【図14】図14は、本発明の膝関節用テーピングテープの第1一方側延設部を内腿に貼着した状態を示した斜視図である。
【図15】図15は、本発明の膝関節用テーピングテープの使用における貼着手順を説明するための説明図であって、第1他方側延設部の剥離層を剥がしている状態を示した状態図である。
【図16】図16は、本発明の膝関節用テーピングテープの第1他方側延設部を外腿に貼着した状態を示した斜視図である。
【図17】図17は、本発明の膝関節用テーピングテープの使用における貼着手順を説明するための説明図であって、第2一方側延設部の剥離層を剥がしている状態を示した状態図である。
【図18】図18は、本発明の膝関節用テーピングテープの第2一方側延設部を内腿に貼着した状態を示した斜視図である。
【図19】図19は、本発明の膝関節用テーピングテープの使用における貼着手順を説明するための説明図であって、第2他方側延設部の剥離層を剥がしている状態を示した状態図である。
【図20】図20は、本発明の膝関節用テーピングテープの第2他方側延設部を外腿に貼着した状態を示した斜視図である。
【図21】図21は、従来のテーピングテープを示した斜視図である。
【図22】図22は、従来のテーピングテープの使用状態を示した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<膝関節用テーピングテープ10>
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
本発明の膝関節用テーピングテープ10は、膝関節の動作範囲を所定の範囲に抑制するため、膝50およびその周囲へ貼着して用いられるものである。
【0034】
具体的には図1に示したように、テープ基材12と、テープ基材12の一方側面の全面に亘って設けられた粘着材層14と、粘着材層14の上に設けられた剥離層16と、を有する積層体からなり、使用の際には剥離層16を剥がして使用されるものである。
【0035】
ここでテープ基材12の材質としては、一般的なテーピングテープに用いられているものが使用でき、例えば伸縮性を有する天然ゴム,合成ゴム,布などを用いることができる。
【0036】
また粘着材層14の材質についても、一般的なテーピングテープに用いられているものが使用でき、例えばアクリル系,ゴム系,ビニルエーテル系,シリコーン系などを用いることができる。中でもアクリル系は、貼着された際に皮膚への刺激が少ないため好ましい。
【0037】
剥離層16についても、一般的なテーピングテープに用いられているものが使用でき、例えばシリコーンモノマーで表面処理された紙などを用いることができる。
このような積層体からなる膝関節用テーピングテープ10の具体的な形態は、図2に示したように、膝50を正面側から支持するように貼着される膝支持貼着部18と、この膝支持貼着部18の一方側(図1では左側)の端部からそれぞれ延設された少なくとも2本の一方側延設部(第1一方側延設部20,第2一方側延設部22)と、膝支持貼着部18の他方側(図1では右側)の端部からそれぞれ延設された少なくとも2本の他方側延設部(第1他方側延設部24,第2他方側延設部26)と、を有してなり、全体で左右方向に長細い長方形の形態をしている。
【0038】
なお、膝支持貼着部18と一方側延設部(図1では第2一方側延設部22)との境界部分には切欠き部28が設けられており、同様に膝支持貼着部18と他方側延設部(図1では第2他方側延設部26)との境界部分にも切欠き部30が設けられている。
【0039】
この切欠き部28,30は、第2一方側延設部22と第2他方側延設部26とを、例えば内腿62と外腿64とに沿って貼着させる際に、膝関節用テーピングテープ10の貼着方向を微妙に変化させ易くして、膝支持貼着部18との境界部分から第2一方側延設部22と第2他方側延設部26とが剥がれを生じたりすることを防止するためのものである。
【0040】
本形態では、膝支持貼着部18の下辺側にのみ切欠き部28,30を形成しているが、上辺側の第1一方側延設部20と第1他方側延設部24との境界部分に設けても、さらには両側に設けても良いものであり、適宜変更が可能なものである。
【0041】
また、膝支持貼着部18の切欠き部28,30が設けられている下辺側と対向する上辺側には、貼着位置調整用切欠き部32が設けられている。
この貼着位置調整用切欠き部32は、膝の皿52部分(膝蓋骨部分)を下から支持するように膝支持貼着部18を貼着する際に、膝の皿52部分(膝蓋骨部分)の下側が貼着位置調整用切欠き部32にちょうど収まるように設定されており、これにより膝の皿52部分(膝蓋骨部分)の曲面に沿って膝支持貼着部18をぴったりと貼着することができる。
【0042】
また、貼着位置調整用切欠き部32は、貼着位置の目安にもなるので、テーピングを間違えることなく所定の位置に確実にすることができる。
さらに、膝支持貼着部18の正面には、使用時における膝支持貼着部18の伸縮量を自分自身で確認可能とする伸縮指標38が付されている。
【0043】
この伸縮指標38は、膝関節用テーピングテープ10の貼着時における適切な伸縮量を確認するためのものであり、本実施形態では楕円形の中に文字が記載されてなるものである。
【0044】
このような伸縮指標38は、図3(a)に示したように、膝支持貼着部18を左右に引張る前には楕円形であるものの、図3(b)に示したように膝支持貼着部18を左右に引張ると丸形となる。この丸形を貼着時の適切な膝支持貼着部18の引張り具合としておけば、誰でも確実に適切な引張り具合で膝支持貼着部18を貼着することができる。
【0045】
なお、伸縮指標38は特に形状が限定されるものではなく、適切な膝支持貼着部18の引張り量が分かるようになっていれば例えば文字や色が付されていても良いものである。
このような膝関節用テーピングテープ10は、長辺の方向(一方側延設部20,22と他方側延設部24,26を有する左右の方向)にのみ伸縮し、短辺方向には伸縮しないことが好ましい。
【0046】
このように膝関節用テーピングテープ10が一方向のみに伸縮するという特性を有していれば、使用の際に、膝50の最低限必要な動作範囲を確保しながらにして、確実に動作範囲を所定の範囲に抑制させることができる。
【0047】
さらに膝関節用テーピングテープ10の背面側に位置する剥離層16には、図4に示したように膝支持貼着部18と一方側延設部20,22との境界部分および膝支持貼着部18と他方側延設部24,26との境界部分、すなわち貼着予定の位置に合わせてミシン目34が入れられている。
【0048】
ミシン目34を予め入れておくことで、膝関節用テーピングテープ10の使用時に想定していない箇所が予期せぬ部位に貼り付いてしまうことなどを防止できる。
なお、図4では第2一方側延設部22上の剥離層16を一部剥離した状態となっており、剥離層16の下に位置する粘着材層14が直線状に塗布されている。この粘着材層14の塗布形状については、膝関節用テーピングテープ10の伸縮する長辺の方向に合わせていれば如何なる形状であっても良く、直線状以外にも例えば波状,ジグザグ状などとすることができる。
【0049】
このような形状であれば、膝関節用テーピングテープ10の伸縮に合わせて粘着材層14も伸縮されるため、膝関節の固定範囲を適切な範囲とし、最低限に必要な可動範囲は確保することができる。
【0050】
さらに、各形状の条間に通気路が形成されることになるため、皮膚への接触面積も少なくて済み、通気性が悪く皮膚への接触面積が大きい場合に生ずる炎症などを極力防止することができる。
【0051】
また剥離層16には、図5に示したように使用の際に貼着されるべき順序を示す順序指標36が付されていることが好ましい。このような順序指標36は、図5に示した数字のように、貼着順序が一目見て分かるような指標であれば如何なるものであっても良く、数字以外にもアルファベット,ひらがな,カタカナ,絵など特に限定されるものではない。
【0052】
このような形態を有する膝関節用テーピングテープ10の貼着状態を図6に示す。
膝関節用テーピングテープ10は、膝支持貼着部18の貼着位置調整用切欠き部32が膝の皿(膝蓋骨)52部分の下端にぴったり合うようにして貼着され、一方側延設部(第1一方側延設部20,第2一方側延設部22)が太腿60の内腿62に並んで貼着され、他方側延設部(第1他方側延設部24,第2他方側延設部26)が太腿60の外腿64に並んで貼着されることで、確実に動作範囲を所定の範囲に抑制することができる。
【0053】
なお第1一方側延設部20の好ましい貼着位置および貼着方法としては、内腿62の内側広筋に沿って引張らずにそのまま貼着することであり、第2一方側延設部22の好ましい貼着位置としては、内腿62の半腱様筋に沿って引張らずにそのまま貼着することである。
【0054】
一方、第1他方側延設部24の好ましい貼着位置としては、外腿64の外側広筋に沿って引張らずにそのまま貼着することであり、第2他方側延設部26の好ましい貼着位置としては、外腿64の大腱二頭筋に沿って引張らずにそのまま貼着することである。
【0055】
このように本発明の膝関節用テーピングテープ10は、膝50の正面側から貼着するために上記したような特異な形態を有しており、この形態によって使用時には各部位を予め決められた箇所に単純に貼着させるだけで誰でも簡単で確実にテーピングをすることができる。
【0056】
また上記説明に用いた膝関節用テーピングテープ10の形態は略長方形であったが、これに限定されるものではなく、例えば図7に示したようにX状としたり、図8に示したようにU字状としても構わないものである。要は膝50を中心として内腿62と外腿64に貼着されるものであるため、これに適した形態になっていれば、本発明の特徴的な構成を満足する如何なる形態でも良いものである。
【0057】
さらに図7および図8に示した膝関節用テーピングテープ10には切欠き部28,30を設けているが、これについても膝関節用テーピングテープ10の形態によっては無くても良いものであり、形態に合わせて適宜設けるか否かを選択すればよいものである。
【0058】
<膝関節用テーピングテープ10の製造方法>
膝関節用テーピングテープ10は、図1に示した積層体を大きなシート状にし、これを膝関節用テーピングテープ10の形に合わせた抜き型で打ち抜き加工して製造される。
【0059】
打ち抜き加工の際には、所定の位置に切れ目40が入れられて2つの一方側延設部と2つの他方側延設部が設けられるとともに、剥離層16のミシン目34も同時に形成されるようになっている。
【0060】
図2に示した略長方形の形態は、図7,図8に示した形態に比べて、打ち抜き加工の際にシートの無駄となる箇所が少なくて済み、製造コストを抑える上では好ましい形態である。
【0061】
<膝関節用テーピングテープ10の使用手順>
以下、上記説明した膝関節用テーピングテープ10の使用手順について説明する。
【0062】
本発明の膝関節用テーピングテープ10が貼着される部分は、図9に示したように膝50および膝の皿52(膝蓋骨)部分の周囲、ならびに太腿60の内腿62と外腿64である。
【0063】
まず、図10に示したように膝関節用テーピングテープ10の背面側から、膝支持貼着部18の剥離層16のみを剥離する。
次いで、図11に示したように膝関節用テーピングテープ10の膝支持貼着部18の正面側に付された楕円形の伸縮指標38が丸形になるまで、膝支持貼着部18を矢印で示した左右の方向に引張る。
【0064】
この状態で図12に示したように、膝を軽く曲げて体が前屈みとなった状態で、膝支持貼着部18の貼着位置調整用切欠き部32が、膝の皿(膝蓋骨)52部分の下にぴったりと位置するように膝関節用テーピングテープ10の膝支持貼着部18を貼着する。
【0065】
次いで、図13に示したように膝支持貼着部18の一方側(図13では右側)に位置する第1一方側延設部20上に位置する剥離層16を剥がす。
そして、図14に示したように第1一方側延設部20を内腿62の内側広筋に沿って、引張らずに貼着する。
【0066】
次いで、図15に示したように膝支持貼着部18の他方側(図15では左側)に位置する第1他方側延設部24上に位置する剥離層16を剥がす。
そして、図16に示したように第1他方側延設部24を外腿64の外側広筋に沿って、引張らずに貼着する。
【0067】
次いで、図17に示したように膝支持貼着部18の一方側(図17では右側)に位置する第2一方側延設部22上に位置する剥離層16を剥がす。
そして、図18に示したように脚を後ろへ半歩ほど下げて太腿60を伸ばした状態としてから、第2一方側延設部22を内腿62の半腱様筋に沿って、引張らずに貼着する。
【0068】
次いで、図19に示したように膝支持貼着部18の他方側(図19では左側)に位置する第2他方側延設部26上に位置する剥離層16を剥がす。
そして、図20に示したように第2他方側延設部26を外腿64の大腿二頭筋に沿って、引張らずに貼着する。
【0069】
これにより本発明の膝関節用テーピングテープ10の貼着が完成する。
なお、上記した使用手順では、第1一方側延設部20と第1他方側延設部24とを先に、第2一方側延設部22と第2他方側延設部26とを後に貼着しているが、この順序を逆にしても良いものである。
【0070】
このように本発明の膝関節用テーピングテープ10は、膝関節の固定のために特化して最適な形状に予めカットされてなるものであり、膝50の前面側から貼着するようになっているため、膝50の裏側に挟まってしまうことがなく、自分自身で確実にしかも簡単にテーピングをすることができるものである。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば上記実施形態では一方側延設部および他方側延設部はそれぞれ2本であるが、2本以上であっても良く、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0072】
10・・・膝関節用テーピングテープ
12・・・テープ基材
14・・・粘着材層
16・・・剥離層
18・・・膝支持貼着部
20・・・第1一方側延設部
22・・・第2一方側延設部
24・・・第1他方側延設部
26・・・第2他方側延設部
28・・・切欠き部
30・・・切欠き部
32・・・貼着位置調整用切欠き部
34・・・ミシン目
36・・・順序指標
38・・・伸縮指標
40・・・切れ目
50・・・膝
52・・・膝の皿(膝蓋骨)
60・・・太腿
62・・・内腿
64・・・外腿
100・・・テーピングテープ
102・・・テープ基材
104・・・粘着材層
106・・・非粘着部
108・・・切れ目
150・・・膝
152・・・膝の皿(膝蓋骨)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ基材と、前記テープ基材の一方側面の全面に亘って設けられた粘着材層と、を有する膝関節用テーピングテープであって、
前記膝関節用テーピングテープは、
膝を正面側から支持するように貼着される膝支持貼着部と、
前記膝支持貼着部の一方側の端部からそれぞれ延設された少なくとも2本の一方側延設部と、
前記膝支持貼着部の他方側の端部からそれぞれ延設された少なくとも2本の他方側延設部と、
を有することを特徴とする膝関節用テーピングテープ。
【請求項2】
前記膝支持貼着部と前記一方側延設部との境界部分に、切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の膝関節用テーピングテープ。
【請求項3】
前記膝支持貼着部と前記他方側延設部との境界部分に、切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の膝関節用テーピングテープ。
【請求項4】
前記膝支持貼着部に貼着位置調整用切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膝関節用テーピングテープ。
【請求項5】
前記膝関節用テーピングテープが、
前記膝支持貼着部を中心として左右方向にのみ伸縮し、上下方向には伸縮しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膝関節用テーピングテープ。
【請求項6】
前記膝支持貼着部に、
使用時における前記膝支持貼着部の伸縮量を確認可能とする伸縮指標が付されていることを特徴とする請求項5に記載の膝関節用テーピングテープ。
【請求項7】
前記粘着材層は、
前記膝関節用テーピングテープが伸縮する左右方向に合わせて直線状,波状,ジグザグ状のいずれかの形状で塗布されていることを特徴とする請求項5または6に記載の膝関節用テーピングテープ。
【請求項8】
前記粘着材層上に剥離層が設けられ、
前記剥離層には、前記膝支持貼着部と前記一方側延設部と前記他方側延設部との各境界部分にミシン目が入れられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の膝関節用テーピングテープ。
【請求項9】
前記剥離層には、前記膝関節用テーピングテープを構成する各部に相当する部分に、前記膝関節用テーピングテープの使用時における貼着順序を示す順序指標が付されていることを特徴とする請求項8に記載の膝関節用テーピングテープ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate