臨床的な眼の高次光学収差を得る装置及び方法
高次収差を含む特注眼矯正の処方を改善する装置及び方法。装置は、特注眼矯正の処方の一部として使用することができる球面収差などの高次収差の主観的測定を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年2月12日に出願された米国特許出願61/303,753号の分割出願であり、35 U.S.C.121の下で優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特注眼矯正の最終処方を改善する設計及び方法に関する。球面円柱レンズによる矯正がよく知られており、これらの矯正は広く用いられている。しかしながら、特注矯正は、従来の球面円柱矯正だけでなく、主観的に許容可能な最終処方をより正確に決定しなければならない球面収差などの高次収差の矯正も含む可能性がある。現在利用可能な収差測定装置は、客観的収差値だけを測定し、特注眼矯正の設計に最適かつ主観的に許容可能な高次収差の値を生成しない。本発明は、レンズ又は外科的プロファイルを含む特注眼矯正の処方を改善する装置及び方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、球面収差などの高次収差の許容可能な主観的矯正レベルを決定することができる装置である。結果を使用して、球面円柱屈折異常と球面収差などの高次収差とを有するレンズ又は屈折外科的プロファイルを含む特注眼矯正を設計することができる。
【0004】
更に他の態様では、装置は、視覚経路内に配置され、特定の制御された量の収差を導入する1対の嵌合する多項式プレートを含む。
【0005】
本発明の更に他の態様では、収差生成器が、1倍ケプラー望遠鏡の絞りに配置され、それにより、目の瞳と生成器によって導入される収差との間に高効率の結合が達成される。
【0006】
本発明の更に他の態様では、収差生成器が、光学組立体の瞳平面に配置された位相板の使用によって達成される。
【0007】
本発明の更に別の態様では、眼科検眼レンズが、光学組立体の瞳平面において視覚経路に導入される。
【0008】
本発明の更に別の態様では、光学組立体によって生成された像を直立させて表示された対象物の向きを維持するために、収差生成器内にプリズム組立体又は空気離間ミラー組立体が使用される。
【0009】
本発明の更に別の態様では、光学組立体の視線と被験者の視線が一致するように2つの空気離間ミラーからなるペリスコープ組立体が使用される。
【0010】
本発明の更に別の態様では、赤外線発光ダイオード(LED)照明システムが、被験者の瞳を照明して装置が被験者の視線に合わせられるように構成される。
【0011】
本発明の更に別の態様では、瞳孔サイズと被験者の視線と同様に、望遠鏡に対する被験者の瞳の位置合わせを調整し追跡できるように、光学組立体の対物レンズの前にビームスプリッタが配置される。
【0012】
本発明の更に他の態様では、特注眼矯正を設計し施す方法は、患者の低次客観的球面円柱屈折処方、主観的球面円柱屈折処方、客観的高次収差、球面収差などの主観的高次収差を取得することと、これらの測定値の1つ又は複数を加味する特注眼用レンズを設計し製造することと、レンズを患者の眼内、眼上又は眼の前に装着することと、を含む。
【0013】
本発明の更に他の態様では、特注眼矯正を設計し施す方法は、患者の低次客観的球面円柱屈折処方、主観的球面円柱屈折処方、客観的高次収差、球面収差などの主観的高次収差を取得することと、特注外科的プロファイルを設計することと、この矯正を適切な手段によって目に適用することと、を含む。
【0014】
本発明の更に別の態様では、眼矯正を生成する方法が、低次球面円柱屈折データと主観的高次屈折データを取得する工程と、眼矯正を生成する工程と、を含む。
【0015】
本発明の更に別の態様では、個々の主観的高次収差データが、高次部分に対して考慮される。
【0016】
本発明の更に別の態様では、個々の主観的高次収差データが、複数のファイルの平均である。
【0017】
本発明の更に別の態様では、大きい母集団の主観的高次収差データが、高次部分に対して考慮される。
【0018】
本発明の更に別の態様では、主観的収差が、回転対称である。
【0019】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、球面収差である。
【0020】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、非回転対称である。
【0021】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、コマである。
【0022】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、三葉状である。
【0023】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、連続収差生成器を使用して得られる。
【0024】
本発明の更に別の態様では、部分母集団主観的高次収差データは、高次部分に対して考慮される。
【0025】
本発明の更に別の態様では、データは、主観的高次眼矯正のレベル、範囲、分解能及び許容範囲を説明するために収集される。
【0026】
本発明の更に別の態様では、高次収差の主観的矯正を含む眼矯正を設計する方法が、機械命令などの命令に符号化され、コンピュータにプログラムされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】高次収差の主観的値を決定するために使用される装置。
【図2】図1の装置のような装置の概略図であり、高次収差の主観的値を生成し決定する装置内の光学要素。
【図3】本発明の装置により行なわれた臨床的研究における年齢による被験者の分布を示すデータのグラフ。
【図4】視力検査表。
【図5A】視力検査表を単眼で使用した被験者による主観的球面収差測定結果を示すデータのグラフ。
【図5B】視力検査表を両眼で使用した被験者による主観的球面収差測定結果を示すデータのグラフ。
【図5C】写真シーンを単眼で使用した被験者による主観的球面収差測定結果を示すデータのグラフ。
【図5D】写真シーンを単眼で使用した被験者による主観的球面収差測定結果を示すデータのグラフ。
【図6】客観的球面収差測定の関数として主観的球面収差のプロット。
【図7】被験者による球面収差値の正味差を示すデータのグラフ。
【図8A】第1の被験者の主観的球面収差測定値と客観的球面収差測定値のプロット。
【図8B】第2の被験者の主観的球面収差測定値と客観的球面収差測定値のプロット。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、眼用レンズを含む特注眼矯正の設計の改良に役立つ装置、及びそのようなレンズを屈折矯正手術で使用し処方する方法である。眼用レンズは、コンタクトレンズ、眼鏡レンズ、眼内レンズ、及びインレーレンズ又はオンレーレンズを意味する。眼用レンズは、コンタクトレンズであることが好ましい。眼用レンズは、高次収差に対して主観的に最適化された値を有する特注コンタクトレンズであることが好ましい。屈折矯正手術は、Lasik、Lasek、PRKなどを意味する。
【0029】
高次収差は、球面収差、コマ収差、三葉状収差、又は球面収差異常や非点収差異常などのゼロ又は一次収差と異なる他の収差などの収差を意味する。高次収差は、球面収差であることが好ましい。
【0030】
光学組立体又は装置は、光学無限遠又は近傍を含む特定距離にある対象を目視し、制御可能な量の高次収差を導入することができる位置合わせ可能な双眼又は単眼光学システムを意味する。
【0031】
種々の測定が、視力矯正データを提供するために使用され、レンズの処方と設計に採用される。検影検眼器(Nidek ARK−700A(Nidek Co.,Ltd.,Gamagori,Aichi,Japan)などの自動屈折器)を使用する従来の球面円柱屈折から、患者の低次球面円柱矯正処方要素が得られる。これは、更に、Nidek RT−5100(Nidek Co.,Ltd.,Gamagori,Aichi,Japan)などのフォロプターを主観的に使用することにより改良され、球面屈折力、円筒屈折力及び円筒軸に関する従来の低い次数の値が得られる。高次屈折矯正は、波面測定によって可能になる。眼球波面データは、COAS(Wavefront Sciences Inc.、Albuquerque、N.M.)のような波面センサを用いて、患者から収集する。この波面データは、一般的にはゼルニケ多項式の係数の形であるが、特定のデカルト座標又は極座標における一連の波面の高さであることもできる。ゼルニケ係数を指定する好ましいシステムは、ANSI Z80.28にOSA(米光学学会)の方法として記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
眼矯正を設計する方法は、特注レンズを利用して個人に使用することもでき、大きな母集団又は部分母集団用に平均化されてもよい。この方法によって得られるデータを収集して、より高次の主観的眼矯正のレベル、範囲、分解能及び許容度について説明することができる。基本的な低次の客観的屈折処方の取得は、検影検眼鏡や自動屈折器などを使用することにより決定することができる。低次の主観的屈折処方の取得は、フォロプターなどを使用することにより決定することができる。客観的高次屈折は、波面センサ等を使用することによって得ることができ、一方主観的高次収差は、本発明の装置及び方法によって得られる。特注眼矯正を処方し提供する本発明の方法は、高次屈折要素の主観的許容を考慮する。
【0033】
球面収差は、以下のように定義される。目の球面収差の測定は、幾つかの異なる形式をとってきた。第1の形式は、基準からの逸脱が波又はマイクロメートルで収差が測定される光工学から導出される。第2の形式は、収差がジオプトリーで測定された屈折力異常(又は時には屈折力矯正)と見なされる眼科光学によるものである。2つの集合間の条件の変換は、半径に依存する屈折力異常の式(式1)によって容易になる。
【数1】
ここで、rは、縮小していない瞳半径であり、W(r)は、半径に依存する波面収差関数である。球面収差を表す波面収差関数は、rに関して(式2)と記述することができる。
【数2】
ここで、W040は、球面収差の波面拡張項であり、rmaxは、最大放射広がりである。式を組み合わせることによって、波面収差と球面収差の屈折力異常との関係を決定することができる(式3)。
【数3】
【0034】
更に、球面収差を瞳半径と関係ない量として表したいときがある。これは、一般に、眼科光学では、屈折力異常をrmax2:によって標準化することによって行われる(式4)。
【数4】
【0035】
式(4)の単位は、一般に、mm−3又はD/mm2として示される。この関係は、眼科協定にしたがって、本発明の装置によって得られた球面収差値を屈折力異常の項に変換するために使用されていた。したがって、球面収差は、D/mm2の単位で定義される。他の高次収差の光工学的説明と眼科的説明との類似の関係は、同様に確立されることがある。
【0036】
光学組立体の設計は、連続的に可変で制御可能な収差の生成を含む。Palusinskiら[21]によって、横方向シフト可変収差板が提案された。この収差生成技術は、Luis W.Alvarez[26]によって提案され、今日一般に「アルバレスレンズ(Alvarez Lens)」として知られる可変屈折力レンズを発展させたものである。1対の嵌合する多項式プレートが、ビーム通路に配置される。プレートを横方向に互いに逆方向にシフトさせることによって、相対的シフトが、プレートを通過する波面に対する微分演算のように働く。アルバレスが発見した多項式表面解は、シフトされたときに2次(デフォーカス又は屈折力)波面を生成する3次であった。Palusinskiらによって発見された一般解は、全ての3次波面収差を生成するのに必要とされる表面について述べている。球面収差の生成に関して、適切な多項式表面プロファイルT(x,y)は5次であり、式5によって示される。
【数5】
ここで、kは倍率である。xに沿って等しい反対の量a及び−aだけシフトされたとき、プレートは、式6によって示された波面収差W(x,y)を生成する。
【数6】
ここで、κ=2k(n−1)は、所定の設計の定数である。式(6)から、所望の4次波面項又は球面収差波面項を主に生成しているが、追加の2次波面項(デフォーカスと非点収差に対応する)も生成されることが分かる。これらの追加の収差は、この収差生成方法に依存すると考えられ、完全になくすことはできないが、そのような収差は、システムの適切な設計によって許容可能なしきい値より少なくすることができる。
【0037】
2つの手法を使用して、これらの寄生収差の生成を最小にし、それにより生成される球面収差波面の品質を改善することができる。第1の手法は、W(x,y)の単純な比率評価から生じ、4次収差(球面収差)と2次収差(デフォーカスと非点収差)の生成量が、次の式(7)と(8)で比較される。
【数7】
ここで、r2=x2+y2は、プレート上の波面開口の半径方向広がりを定義する。式(7)又は(8)から、比率の比較は、開口サイズrがシフト量aより大きい場合に、生成される球面収差の量が生成された寄生収差の量より大きくなることを示す。実際に、aに対するrの比率は、重要なのがこの比率の二乗なので、生成された寄生収差の比例量が急速な低下を示すまであまり大きくなくてもよい。
【0038】
寄生収差の生成を少なくする第2の手法は、2次波面収差の平衡をとりやすいように表面描写T(x,y)における利用可能な3次項の幾つかを使用することを必要とする。各3次項をどれだけ追加しなければならないかは、式6を調べるだけでは分からない。しかしながら、このような3次項の適切な量を識別することができるゼルニケ多項式項の最小分散属性を使用することにより分析が行われてきた。この分析では、面T(x,y)は、最初に等価なゼルニケ面に変換され、次に5次より低い項が全て削除される。生成された波面が、近似的には表面描写の導関数なので、削除された表面項により得られた波面が、全体の波面分散に肯定的に追加されるだけである。T(x,y)からより低い次数のゼルニケ項を除去することによって、シフトされたとき得られる表面は、最小残留寄生収差を有する4次波面を生成するはずである。表面を元の多項式形式に変換することにより、式(5)の修正版が下の式(9)として提供される。
【数8】
【0039】
式9の追加項の効果が、横方向シフトの範囲全体にわたる寄生収差の影響を最小にすることであると注意されたい。非対称範囲の球面収差値が望ましい場合、又は球面収差値ゼロに近い寄生収差を範囲の端の寄生収差より良好に制御しなければならない場合は、それに応じて式9の3次項を変更しなければならない。
【0040】
この装置が、人間の視力に使用されるので、球面収差矯正値の範囲は、母集団に見られる球面収差値の範囲を表わすはずである。218の目に関する研究についてPorterらから報告された数を使用することによって、平均測定球面収差は、5.7mmの瞳の場合Z4,0が約+0.14μmであった。これを6mmの瞳の波面収差項W040に変換すると、母集団平均が、λ=594nmで約+3.9波の球面収差になる。また、同じ研究で示されたエラーバーは、個々の変動が平均の両側に3波にもなり得ることを示す。一般集団に広く対応する範囲の可変球面収差矯正を提供するには、装置は、約2波の正球面収差に対して負球面収差を7波も生成するように設計されなければならない。
【0041】
別の連続収差生成器は、2つの逆回転するゼルニケ・プレート(AcostaとBara,2005)を含む。これらの回動プレートの使用は、既に述べた概念と類似しており、2つの嵌合するゼルニケ表面が、互いに対して回転されたときに可変収差を生成する。この概念は、円運動がしばしば横方向運動より発生が容易なので魅力的である。回動プレートの設計は、非回転対称高次収差を視力システムに導入する代替策を提供する。代替態様では、収差は、空間光変調器、フレネル板、適応性光学素子、可変鏡、デジタル・マイクロミラー素子などを含む他の手段によって光学組立体に導入されてもよい。
【0042】
幾つかの眼科装置は、オン軸性能だけを高めるように設計されてもよいが、これは、目がその環境を自然に見ることができるようにしたい視覚装置には有用な設計原理ではない。球面収差矯正器を適度な視野(±4°)で動作するように設計するには、波面矯正を目の瞳内に直接マッピングされなければならない。この条件によりオフ軸波面異常の出現がなくなる。目の瞳に対するこのマッピングは、適度な視野の任意の高次収差矯正に重要なものとして認識されてきた。
【0043】
球面収差矯正を目の瞳に対してマッピングする最も単純な方法の1つは、目が望遠鏡の実際の射出瞳にある状態で、収差生成器を1倍ケプラー望遠鏡などの光学組立体の開口紋りに配置することである。収差生成器が開口絞りにある場合、光線束は、全ての視野角で生成器の中心を通る。この望遠鏡は、±4°の視野で動作するように設計される。様々な視野は、射出瞳で適切に集束する。実際の射出瞳を望遠鏡の外側にすることによって、1倍ケプラーは、目の瞳とマップされた収差矯正との間の効率的な結合を可能にする。代替実施形態では、ケプラー望遠鏡以外の光学リレーシステムが使用されてもよい。
【0044】
システム全体の性能を改善するために、この基本設計に対する修正を行うことができる。望遠鏡の複数の表面を設計パラメータとして使用し収差生成プレートを通る光路を検討する適切なレンズ設計技術によって、望遠鏡の色消しと波面収差の減少を処理することができる。更に、ケプラー望遠鏡によって生成された像が逆さにされるので、ゲージが視野内の物体の向きを維持する場合には像の適切な直立が必要である。これは、典型的には、標準双眼鏡の設計内のプリズム組立体によって処理されるが、空気離間ミラーを使用することによって同様に処理することができる。像直立システム内の4つの反射は、通常、視線のずれと、多くの場合瞳孔間距離の変化を伴う。ゲージは、被験者の視界をできるだけ完全に維持するように設計されるので、望遠鏡の視線を被験者の視線と一致させるために、ペリスコープ構成の2つの追加ミラーが使用された。
【0045】
本発明には瞳孔サイズも関連する。本明細書に示された例には、照明が一貫レベルで維持されなければならない自然の瞳が使用される。瞳は、薬剤の投与の結果、拡張されなかった。照明レベルの低下によって瞳孔サイズが大きくなるほど球面収差の影響が大きくなるので、球面収差測定には低照度設定が最良であることが決定された。視力対象の照明は、約48luxに維持された。この照明レベルでの視界対象照度値は、視力検査表内の支配的な余白のため、2つの対象では僅かに異なっていた。本発明の装置の光透過損が約50%になった後で、目における有効照度は、視力検査表と写真シーンでそれぞれ5.6cd/m2と3.3cd/m2であった。Shack−Hartmann波面収差計装置が使用され、照明がそれに応じて調整され、その結果、客観的測定に類似の照明状態が観察された。
【0046】
これらの条件下の自然瞳孔サイズは5mm〜8mmであり、球面収差の比較は、共通の瞳孔径で行われなければならない。球面収差値は6mmの瞳に対して較正され、これらの較正値が試験された全ての人で同じであったので、瞳孔サイズの更なる変換は不要であった。Shack−Hartmann測定によって、比較に有効な球面収差に関する客観的測定が行われたので、これに応じて、これらのデータセットも6mmの瞳に適合するように調整された。
【0047】
必要に応じて、角膜のトポグラフィに関するデータが、Keratron or Keratron Scout,(Optikon 2000,Rome,Italy)などの装置を使用して患者から収集される。これらの装置は、角膜からの複数の環状リング画像の反射を解釈することによって機能する。トポグラフィーデータは様々な形式で入手可能である。本発明における好ましい形式は、トポグラフィーエレベーションマップとして角膜を描写するものである。トポグラフィーデータは、そのようなデータを使用して最も適切な後面コンタクトレンズ形状の選択を支援することによって、コンタクトレンズ設計のカスタマイズに利用されてもよい。また、トポグラフィーデータは、眼球の収差の原因が角膜か目の内部かを理解するのに役立つ。
【0048】
好ましい実施形態では、低次球面円柱ぼけと球面収差などの高次収差の両方に関して主観的に最適化された値を含む特注眼用レンズが設計される。提案された最終的な特注眼用レンズの改良とその処方精度の改善は、これらの測定値の1つ又は全てを加味する。
【0049】
球面収差は、視界状態、遠近調節、及び個々の目の特性により様々な程度で視力に影響を及ぼすが、網膜に鮮明な像を形成する目の能力を制限する。客観的測定を行って目の様々な収差(球面収差を含む)レベルを決定することができるが、人間の視力システムには、「見える」ものに影響を及ぼす他の因子がある。したがって、目の収差の客観的測定のみに基づく視力矯正手法は必ずしもより良い視力に対応しない。
【0050】
本発明の装置は、視力システムに導入された球面収差の量をユーザが変更できる設計を含む。装置は、図1に示される。被験者は、装置を視覚刺激でのぞき込み、最良画像が知覚されるまで球面収差を調整することができる。代替実施形態では、ユーザは、検査員と対話して、心理物理的質問を用いて最良の終点を決定する。装置の調整は、ユーザが双眼鏡の接眼レンズを覗き込んでいるときにその焦点調整つまみによって最良画像を達成できるようになる方法とまさに類似している。装置の調整は、被験者が最良の視力を知覚するまで2つのマイクロメータ(各目に1つ)を回転させることにより行われる。
【0051】
図2を参照すると、本発明の装置の一方の側又は片眼の光路が示される。収差の量は、連続可変収差生成器(2)の機械的並進によって変更される。これらの生成器は、光路内にあることにより球面収差を発生させる透明位相板である。2つの位相板は、各目の光路内に必要とされる。位相板を互いに横方向に並進させることによって、生じる球面収差の量を調整することができる。被験者が指定距離にある対象を見るために適切な望遠鏡装置が提供される。望遠鏡(1)の対物レンズは、望遠鏡の接眼レンズ(6)から離される。
【0052】
収差生成器(2)によって生成された収差は、目(7)の瞳内に結像される。像をその元の向きに回転させるには追加のミラー又はプリズム(4,5)が必要である。したがって、装置を覗き込んでいる人は、同じシーンを自分に適切な向きで見るが、像には球面収差の付加的な影響がある。装置を使用している被験者は、マイクロメータのつまみ(8)を回転させてシステムに導入される収差の量を変更する。代替実施形態では、これは、ジョイスティックやつまみなどの電子的連動機構でもよい。
【0053】
被験者の目に対する装置の位置合わせは、各試験の前に、手動並進ステージ(3)を使用して調整される。位置合わせの際、位置決め精度を高めるために光学プラットフォーム上のビデオカメラが使用され、目は、カメラのためにLED(9)(各目の1つのLED)によって照明される。LEDは、スペクトルの近赤外領域(好ましくは90nmの半値帯域幅を有する約865nmの中心波長)の光を放射する。位置合わせ後、LED(9)を消灯し、カメラをプラットフォームから取り外す。試験中は、壁面掲示又はシーンの標準室内照明及び/又は制御照明だけが使用される。
【0054】
代替実施形態では、ビームスプリッタが、瞳の像を常置カメラシステム(10)に送って(光学面に垂直に)システムの光学軸に対する瞳位置を常に監視することができる。この構成では、カメラ出力がモニタに表示され、検査員は、システムの整列を調整して、瞳の中心が、モニタに表示された開口の中心、したがってシステムの中心と合うようにする。カメラは、好ましくは、23mmEFL色補正Schneider小型レンズが取り付けられたPixeLink PL−B741EU−Rカメラなどのシステムを含むことができる。これは、130万画素、赤外線強化モノクロ、USB接続のカメラである。
【0055】
眼科医が、患者の主観的応答を利用して標準的球面円柱処方を作成するのと全く同じように、本発明の装置は、球面収差などの収差が人の視力にどのように影響を与えまたどんなレベルの矯正が主観的に好まれるかに関する主観的フィードバックを得るために使用されるツールである。本発明の装置によって、ユーザは、視覚刺激を見て、最良かつ最も許容可能な像が知覚されるまで収差レベルを調整することができる。本発明の装置及び方法による球面収差の主観的測定は、何を「最良の視力」と見なすことができるかを決定するための視力システム全体(脳を含む)の集合的入力を可能にする。
【0056】
本発明の方法は、本発明の装置による試験と測定で取得されたデータを記録することによって実現されてもよい。記録データは、記述と転記又は電子的取得を含む任意の適切な形式で提供されてもよい。そのように取得された収差データは、眼矯正の生成に役立つ形式に変換されてもよい。この矯正は、局所的屈折力プロファイル、位相プロファイル、サグ又はエレベーションプロファイル情報を含んでもよく、レンズ又は屈折外科途用に望ましい眼矯正を生成するために使用される。視力を改善するためのこの方法は、眼矯正を行うことができる。
【0057】
本発明の方法は、コンピュータ読み取り可能な媒体上でコンピュータ読み取り可能なコードとして実現することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体はデータを記憶し、その後、コンピュータシステムによってこれを読み取ることが可能な任意のデータ記憶装置である。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、DVD、磁気テープ、光学データ記憶装置が挙げられる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能なコードが分配されて記憶及び実行されるようにネットワーク接続されたコンピュータシステム上で分配することもできる。
【0058】
本発明は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はこれらの任意の組み合わせ又は部分集合を含む、コンピュータプログラミング又はエンジニアリング技術を用いて実行することができる。コンピュータ読み取り可能なコード手段を有する、結果として得られるあらゆるこうしたプログラムを1以上のコンピュータ読み取り可能な媒体内において実行又は提供することにより、本発明に基づくコンピュータプログラム製品、すなわち製造物品を製造することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体は例えば、固定(ハード)ドライブ、フロッピーディスク、光学ディスク、磁気テープ、読み取り専用メモリ(ROM)などの半導体メモリなど、又はインターネット又は他の通信ネットワーク若しくはリンクなどの任意の送信/受信媒体であってよい。コンピュータコードを含む製造物品は、1つの媒体からコードを直接実行することにより、1つの媒体から別の媒体にコードをコピーすることにより、又はコードをネットワーク上で送信することにより製造及び/又は使用することができる。
【0059】
本発明に基づく装置は、これらに限定されるものではないが、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、記憶装置、通信リンク及び装置、サーバ、入出力装置、又はソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又は特許請求の範囲に記載される発明を実現するこれらの任意の組み合わせ若しくは部分集合を含む1以上の処理システムの任意の部分要素を含む1以上の処理システムであってもよい。
【0060】
ユーザによる入力は、キーボード、マウス、ペン、音声、タッチスクリーン、又は、アプリケーションプログラムなどの他のプログラムによって人がコンピュータにデータを入力することが可能な他の任意の手段から受けとることができる。
【0061】
コンピュータサイエンスの当業者であれば、上記のようにして生成されたソフトウェアを適当な汎用又は専用コンピュータハードウェアと組み合わせて、本発明の方法を実現するコンピュータシステム又はコンピュータサブシステムを容易に構成することができる。
【0062】
例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体上でコンピュータ命令として実現される本方法を用いて上記に述べた設計が生成される。上記に述べた方法の1つに基づいて生成された設計を用いてレンズが製造される。好ましくは、レンズはコンタクトレンズである。ソフトコンタクトレンズを形成する例示的な材料としては、これらに限定されるものではないが、シリコーンエラストマー、本明細書にその全容を参照により援用する米国特許第5,371,147号、同第5,314,960号、及び同第5,057,578号に開示されるものを含むがこれらに限定されないシリコーン含有マクロマー、ヒドロゲル、シリコーン含有ヒドロゲルなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくはその表面はシロキサンであるか、あるいはポリジメチルシロキサンマクロマー、メタクリルオキシプロピルシロキサン及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されないシロキサン官能性、シリコーンヒドロゲル又はヒドロゲルを含む。説明資料は、限定ではなく、アクアフィルコン(aquafilcon)、エタフィルコン(etafilcon)、ゲンフィルコン(gelfilcon)、レンフィルコン(lenefilcon)、センフィルコン(senefilcon)、バラフィルコン(balafilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)又はナラフィルコン(narafilcon)がある。
【0063】
レンズ材料の硬化は、任意の便宜のよい方法で行うことができる。例えば材料を型に入れ、熱、放射線、化学物質、電磁放射線硬化など、及びこれらの組み合わせによって硬化させることができる。好ましくは成型は紫外線を用いて、又は可視光線の全スペクトルを用いて行われる。より具体的には、レンズ材料を硬化させる正確な条件は、選択した材料及び形成すべきレンズによって決定される。適切なプロセスは、その全容を本明細書に参照により援用する米国特許第4,495,313号、同第4,680,336号、同第4,889,664号、同第5,039,459号、及び同第5,540,410号に開示されている。
【0064】
本発明のコンタクトレンズは、任意の好都合な方法で形成することができる。このような方法の1つでは、旋盤を使用して成型インサートを作製する。この成型インサートを使用して型を作製する。次いで、適当なレンズ材料を型の間に配した後圧縮され、本発明のレンズを形成するために樹脂の硬化を行う。当業者であれば、他の任意の数の既知の方法を用いて本発明のレンズを製造することが可能である点は認識されるであろう。
【実施例】
【0065】
(実施例1):
本発明の発明装置を使用する主観的球面収差測定の繰返し精度を14の研究対象により評価した。各研究対象には、各セッション間が2日の合計4つの測定セッションを必要とした。被験者は、年齢が18〜39であることを必要とし、目の感染症や投薬があってはならなかった。使用された発明装置には屈折力矯正装置がなかったので、研究対象は、更に、生来又は球面コンタクトレンズ矯正で正常視でなければならなかった。参加前に視力検査を施し、研究を続けるには各目に少なくとも20/20−2のスコアを必要とした。また、視力検査に合格した全ての被験者を、University of Arizona(Jain,2006)で開発され使用されているShack−Hartmann Aberrometerの前に着席させ、各目の客観的波面測定を行った。被験者がコンタクトレンズを装着した場合、測定は、コンタクトレンズが適所にある状態で行われた。著しい屈折力異常又は非点収差は、研究から片眼又は両目を排除する原因であった。
【0066】
被験者の年齢による分布を図3に示し、平均年齢は27歳である。客観的Shack−Hartmannデータを分析することによって、各目の従来の球体円筒屈折力異常及び非点収差を、固有の球面収差と共に測定した。被験者はそれぞれ、4つの各セッション中に発明装置によって合計24の測定を行なった。ETDRS視力検査表(図4)と実世界写真シーンの2つの視力対象を使用した。2種類の対象が、様々な空間周波数とコントラストレベルを提供し、被験者から6.1m(20フィート)で無作為に交互にされた。各視力対象に3回の繰返し測定を行い、各繰返しに双眼測定と単眼測定を行った。各測定セッションで、被験者の仕事は、本発明の装置を通して見える像が最良の像として主観的に知覚されるまで、球面収差を調整することであった。許容可能調整範囲が広い場合、被験者には、画像劣化が著しい2つの位置の中間点を見つけるように指示した。測定の順序は、セッション内で無作為化されたが、全てのセッションで同じ24の測定を行った。被験者は、7〜15日の期間にわたって、1日の様々な時間に4つのセッションを完了した。
【0067】
それぞれの目に、視力検査表による単眼、視力検査表による双眼、写真シーンによる単眼、写真シーンによる双眼の4つの測定条件を使用した。各条件で、1セッション当たり3つの測定を行った。各条件と各目に対する12の測定値の平均と標準偏差を計算した。平均の2つの標準偏差を超えるデータ点を除去し、この減少したデータセットの平均と標準偏差を再計算した。平均で11又は12個全てのデータ点を使用した。図5A、図5B、図5C及び図5Dに、主観的測定の結果を被験者ごとに示す。図5では、左目で得られたデータを菱形で示し、右目からのデータを正方形で示す。
【0068】
表1に、4つの各条件の測定値の一覧を示す。標準偏差値は、使用された装置の繰返し精度を表わす。表1は、平均的ユーザが、主観的球面収差矯正を0.03D/mm2以内まで繰り返し選択することを示す。試験された被験者は、4つの条件の平均繰返し精度が、0.031D/mm2であり、標準偏差は0.015のD/mm2である。何人かの被験者は大きな逸脱を示し、それは特に被験者Bからのデータに顕著である。
【表1】
【0069】
図6は、全24個の目に関して、単眼視力検査表条件と単眼写真シーン条件両方の客観的収差測定の関数としてプロットされた主観的収差値を示す。線形回帰適合は、2つの測定値の間に相関がほとんどないことを示す。菱形は、視力検査表により得られたデータを表わし、三角形は、写真シーンで得られたデータを表わす。回帰線は、−0.5の傾きを有し、原点を通っている。
【0070】
本発明の装置とShack−Hartmann波面センサからの測定値を使用して、所定の目に望ましい正味球面収差を決定することができる。図7は、各被験者に関して計算された正味球面収差値を示す。菱形は、視力検査表データを表わし、三角形は、写真シーン・データを表わす。左目データは右目データより暗い。図7の検査から、球面収差の客観的測定値と主観的測定値に根本的な差があることが明らかである。球面収差の全体正味値又は差が、非ゼロなだけでなく、被験者間で大きく異なることは明らかである。
【0071】
常置カメラシステム10が使用される装置の代替実施形態では、主観的測定値のばらつきを少なくすることができる。平均年齢35歳の2人の被験者の研究で、主観的球面収差の測定値のばらつきを評価した。被験者は、目の感染症や薬剤がなく、生来正常視であった(習慣的視力矯正なし)。各被験者の客観的Shack−Hartmannデータを取得し、また従来の球体円筒屈折力異常及び非点収差を、固有球面収差と共に測定した。被験者は、客観的Shack−Hartmann収差計を使用して測定する際と、本発明の装置で測定する際の両方で、同じ視覚刺激(デジタル・モニタに表示された実世界のデジタル写真シーン)を見た。
【0072】
カメラ位置合わせシステムがある場合とない場合で、本発明の装置により測定を行った。測定は、数日間にわたって個別のセッションで行い、各セッション中に球面収差の3つの主観的測定値を記録した。
【0073】
表2に、各被験者の測定値の一覧を示した。標準偏差値は、使用される装置の繰返し精度を表わし、カメラ位置合わせシステムの導入により標準偏差が著しく減少することが分かる。
【表2】
【0074】
図8Aと図8Bは、2人の被験者に関して、本発明の装置と客観的収差測定システム(Shack−Hartmannコア収差計)の両方によって得られた球面収差測定値を示す。正方形は、本発明の装置により得られたデータを表わし、菱形は、客観的Shack−Hartmann収差計により得られたデータを表す。この場合、前の実施例と同じように、図8Aと図8Bを調べると、収差計による客観的測定値と本発明の装置による球面収差の主観的測定値とに差があることが明らかである。また、ここで、主観的に好ましい球面収差が0でないことも明らかである。更に、主観的球面収差が、客観的に測定された値から得られたものより常に低いことが明らかである。また、この実施例と前の実施例で、球面収差が被験者によって異なることも明らかである。
【0075】
〔実施の態様〕
(1) 制御されたレベルの収差を被験者の目の瞳平面に導入する調整可能な収差生成光学組立体を含む、視覚収差の主観的測定値を取得する装置。
(2) 前記収差生成器が、視覚経路内に配置されて横方向に較正量だけシフトされたときに特定の制御された量の収差を視覚波面に導入する1対の嵌合多項式プレートを含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 1倍ケプラー望遠鏡の絞りに配置される収差生成器であって、前記望遠鏡が、前記望遠鏡の外部に実際の射出瞳を有し、それにより、前記目の瞳と前記生成器によって導入された前記収差との間に効率的結合が達成される、実施態様1に記載の収差生成器。
(4) 前記収差生成が、前記光学組立体の瞳平面に配置された位相板の使用によって達成される、実施態様1に記載の収差生成器。
(5) 前記光学組立体の瞳平面において前記視覚経路に導入可能な眼科検眼用レンズ受けを有する、実施態様1に記載の装置。
(6) 前記光学組立体によって生成された像を直立させるためにプリズム組立体又は空気離間ミラー組立体が使用される、実施態様1に記載の装置。
(7) ペリスコープ組立体が、前記光学組立体の視線と前記被験者の視線を一致させるために使用する2つの空気離間ミラーからなる、実施態様1に記載の装置。
(8) 赤外線発光ダイオード(LED)照明システムが、前記被験者の瞳を照明して前記装置が前記被験者の視線と位置合わせされ得るように構成される、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記望遠鏡に対する前記被験者の瞳の位置合わせが、瞳孔サイズ及び被験者の視線と同様に、調整され追跡され得るように、前記光学組立体の対物レンズの前にビームスプリッタが配置される、実施態様1に記載の装置。
(10) 患者の主観的高次収差を測定し取得する方法であって、
a.対象を見ることと、
b.前記高次収差を所望のレベルに調整することと、
c.前記収差レベルを記録することと、
d.前記記録データを使用して眼矯正を生成することと、を含む、方法。
【0076】
(11) 眼矯正を提供する方法であって、
a.低次主観的球面円柱屈折患者データを取得することと、
b.高次収差主観的患者データを取得することと、
c.これらの測定値を加味する眼矯正を生成することと、を含む、方法。
(12) 前記高次主観的収差が、連続収差生成器を使用して得られる、実施態様11に記載の方法。
(13) 大きな母集団の前記患者データが得られる、実施態様11に記載の方法。
(14) 部分母集団用の前記患者データが得られる、実施態様11に記載の方法。
(15) 個人の前記患者データが得られる、実施態様11に記載の方法。
(16) 前記収差が、回転対称である、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記収差が、球面収差である、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記収差が、非回転対称である、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記収差が、コマである、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記収差が、三葉状である、実施態様18に記載の方法。
【0077】
(21) 機械命令に符号化されコンピュータにプログラムされる命令を含む高次収差の主観的矯正を加味する眼矯正設計方法。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年2月12日に出願された米国特許出願61/303,753号の分割出願であり、35 U.S.C.121の下で優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特注眼矯正の最終処方を改善する設計及び方法に関する。球面円柱レンズによる矯正がよく知られており、これらの矯正は広く用いられている。しかしながら、特注矯正は、従来の球面円柱矯正だけでなく、主観的に許容可能な最終処方をより正確に決定しなければならない球面収差などの高次収差の矯正も含む可能性がある。現在利用可能な収差測定装置は、客観的収差値だけを測定し、特注眼矯正の設計に最適かつ主観的に許容可能な高次収差の値を生成しない。本発明は、レンズ又は外科的プロファイルを含む特注眼矯正の処方を改善する装置及び方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、球面収差などの高次収差の許容可能な主観的矯正レベルを決定することができる装置である。結果を使用して、球面円柱屈折異常と球面収差などの高次収差とを有するレンズ又は屈折外科的プロファイルを含む特注眼矯正を設計することができる。
【0004】
更に他の態様では、装置は、視覚経路内に配置され、特定の制御された量の収差を導入する1対の嵌合する多項式プレートを含む。
【0005】
本発明の更に他の態様では、収差生成器が、1倍ケプラー望遠鏡の絞りに配置され、それにより、目の瞳と生成器によって導入される収差との間に高効率の結合が達成される。
【0006】
本発明の更に他の態様では、収差生成器が、光学組立体の瞳平面に配置された位相板の使用によって達成される。
【0007】
本発明の更に別の態様では、眼科検眼レンズが、光学組立体の瞳平面において視覚経路に導入される。
【0008】
本発明の更に別の態様では、光学組立体によって生成された像を直立させて表示された対象物の向きを維持するために、収差生成器内にプリズム組立体又は空気離間ミラー組立体が使用される。
【0009】
本発明の更に別の態様では、光学組立体の視線と被験者の視線が一致するように2つの空気離間ミラーからなるペリスコープ組立体が使用される。
【0010】
本発明の更に別の態様では、赤外線発光ダイオード(LED)照明システムが、被験者の瞳を照明して装置が被験者の視線に合わせられるように構成される。
【0011】
本発明の更に別の態様では、瞳孔サイズと被験者の視線と同様に、望遠鏡に対する被験者の瞳の位置合わせを調整し追跡できるように、光学組立体の対物レンズの前にビームスプリッタが配置される。
【0012】
本発明の更に他の態様では、特注眼矯正を設計し施す方法は、患者の低次客観的球面円柱屈折処方、主観的球面円柱屈折処方、客観的高次収差、球面収差などの主観的高次収差を取得することと、これらの測定値の1つ又は複数を加味する特注眼用レンズを設計し製造することと、レンズを患者の眼内、眼上又は眼の前に装着することと、を含む。
【0013】
本発明の更に他の態様では、特注眼矯正を設計し施す方法は、患者の低次客観的球面円柱屈折処方、主観的球面円柱屈折処方、客観的高次収差、球面収差などの主観的高次収差を取得することと、特注外科的プロファイルを設計することと、この矯正を適切な手段によって目に適用することと、を含む。
【0014】
本発明の更に別の態様では、眼矯正を生成する方法が、低次球面円柱屈折データと主観的高次屈折データを取得する工程と、眼矯正を生成する工程と、を含む。
【0015】
本発明の更に別の態様では、個々の主観的高次収差データが、高次部分に対して考慮される。
【0016】
本発明の更に別の態様では、個々の主観的高次収差データが、複数のファイルの平均である。
【0017】
本発明の更に別の態様では、大きい母集団の主観的高次収差データが、高次部分に対して考慮される。
【0018】
本発明の更に別の態様では、主観的収差が、回転対称である。
【0019】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、球面収差である。
【0020】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、非回転対称である。
【0021】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、コマである。
【0022】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、三葉状である。
【0023】
本発明の更に別の態様では、主観的収差は、連続収差生成器を使用して得られる。
【0024】
本発明の更に別の態様では、部分母集団主観的高次収差データは、高次部分に対して考慮される。
【0025】
本発明の更に別の態様では、データは、主観的高次眼矯正のレベル、範囲、分解能及び許容範囲を説明するために収集される。
【0026】
本発明の更に別の態様では、高次収差の主観的矯正を含む眼矯正を設計する方法が、機械命令などの命令に符号化され、コンピュータにプログラムされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】高次収差の主観的値を決定するために使用される装置。
【図2】図1の装置のような装置の概略図であり、高次収差の主観的値を生成し決定する装置内の光学要素。
【図3】本発明の装置により行なわれた臨床的研究における年齢による被験者の分布を示すデータのグラフ。
【図4】視力検査表。
【図5A】視力検査表を単眼で使用した被験者による主観的球面収差測定結果を示すデータのグラフ。
【図5B】視力検査表を両眼で使用した被験者による主観的球面収差測定結果を示すデータのグラフ。
【図5C】写真シーンを単眼で使用した被験者による主観的球面収差測定結果を示すデータのグラフ。
【図5D】写真シーンを単眼で使用した被験者による主観的球面収差測定結果を示すデータのグラフ。
【図6】客観的球面収差測定の関数として主観的球面収差のプロット。
【図7】被験者による球面収差値の正味差を示すデータのグラフ。
【図8A】第1の被験者の主観的球面収差測定値と客観的球面収差測定値のプロット。
【図8B】第2の被験者の主観的球面収差測定値と客観的球面収差測定値のプロット。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、眼用レンズを含む特注眼矯正の設計の改良に役立つ装置、及びそのようなレンズを屈折矯正手術で使用し処方する方法である。眼用レンズは、コンタクトレンズ、眼鏡レンズ、眼内レンズ、及びインレーレンズ又はオンレーレンズを意味する。眼用レンズは、コンタクトレンズであることが好ましい。眼用レンズは、高次収差に対して主観的に最適化された値を有する特注コンタクトレンズであることが好ましい。屈折矯正手術は、Lasik、Lasek、PRKなどを意味する。
【0029】
高次収差は、球面収差、コマ収差、三葉状収差、又は球面収差異常や非点収差異常などのゼロ又は一次収差と異なる他の収差などの収差を意味する。高次収差は、球面収差であることが好ましい。
【0030】
光学組立体又は装置は、光学無限遠又は近傍を含む特定距離にある対象を目視し、制御可能な量の高次収差を導入することができる位置合わせ可能な双眼又は単眼光学システムを意味する。
【0031】
種々の測定が、視力矯正データを提供するために使用され、レンズの処方と設計に採用される。検影検眼器(Nidek ARK−700A(Nidek Co.,Ltd.,Gamagori,Aichi,Japan)などの自動屈折器)を使用する従来の球面円柱屈折から、患者の低次球面円柱矯正処方要素が得られる。これは、更に、Nidek RT−5100(Nidek Co.,Ltd.,Gamagori,Aichi,Japan)などのフォロプターを主観的に使用することにより改良され、球面屈折力、円筒屈折力及び円筒軸に関する従来の低い次数の値が得られる。高次屈折矯正は、波面測定によって可能になる。眼球波面データは、COAS(Wavefront Sciences Inc.、Albuquerque、N.M.)のような波面センサを用いて、患者から収集する。この波面データは、一般的にはゼルニケ多項式の係数の形であるが、特定のデカルト座標又は極座標における一連の波面の高さであることもできる。ゼルニケ係数を指定する好ましいシステムは、ANSI Z80.28にOSA(米光学学会)の方法として記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
眼矯正を設計する方法は、特注レンズを利用して個人に使用することもでき、大きな母集団又は部分母集団用に平均化されてもよい。この方法によって得られるデータを収集して、より高次の主観的眼矯正のレベル、範囲、分解能及び許容度について説明することができる。基本的な低次の客観的屈折処方の取得は、検影検眼鏡や自動屈折器などを使用することにより決定することができる。低次の主観的屈折処方の取得は、フォロプターなどを使用することにより決定することができる。客観的高次屈折は、波面センサ等を使用することによって得ることができ、一方主観的高次収差は、本発明の装置及び方法によって得られる。特注眼矯正を処方し提供する本発明の方法は、高次屈折要素の主観的許容を考慮する。
【0033】
球面収差は、以下のように定義される。目の球面収差の測定は、幾つかの異なる形式をとってきた。第1の形式は、基準からの逸脱が波又はマイクロメートルで収差が測定される光工学から導出される。第2の形式は、収差がジオプトリーで測定された屈折力異常(又は時には屈折力矯正)と見なされる眼科光学によるものである。2つの集合間の条件の変換は、半径に依存する屈折力異常の式(式1)によって容易になる。
【数1】
ここで、rは、縮小していない瞳半径であり、W(r)は、半径に依存する波面収差関数である。球面収差を表す波面収差関数は、rに関して(式2)と記述することができる。
【数2】
ここで、W040は、球面収差の波面拡張項であり、rmaxは、最大放射広がりである。式を組み合わせることによって、波面収差と球面収差の屈折力異常との関係を決定することができる(式3)。
【数3】
【0034】
更に、球面収差を瞳半径と関係ない量として表したいときがある。これは、一般に、眼科光学では、屈折力異常をrmax2:によって標準化することによって行われる(式4)。
【数4】
【0035】
式(4)の単位は、一般に、mm−3又はD/mm2として示される。この関係は、眼科協定にしたがって、本発明の装置によって得られた球面収差値を屈折力異常の項に変換するために使用されていた。したがって、球面収差は、D/mm2の単位で定義される。他の高次収差の光工学的説明と眼科的説明との類似の関係は、同様に確立されることがある。
【0036】
光学組立体の設計は、連続的に可変で制御可能な収差の生成を含む。Palusinskiら[21]によって、横方向シフト可変収差板が提案された。この収差生成技術は、Luis W.Alvarez[26]によって提案され、今日一般に「アルバレスレンズ(Alvarez Lens)」として知られる可変屈折力レンズを発展させたものである。1対の嵌合する多項式プレートが、ビーム通路に配置される。プレートを横方向に互いに逆方向にシフトさせることによって、相対的シフトが、プレートを通過する波面に対する微分演算のように働く。アルバレスが発見した多項式表面解は、シフトされたときに2次(デフォーカス又は屈折力)波面を生成する3次であった。Palusinskiらによって発見された一般解は、全ての3次波面収差を生成するのに必要とされる表面について述べている。球面収差の生成に関して、適切な多項式表面プロファイルT(x,y)は5次であり、式5によって示される。
【数5】
ここで、kは倍率である。xに沿って等しい反対の量a及び−aだけシフトされたとき、プレートは、式6によって示された波面収差W(x,y)を生成する。
【数6】
ここで、κ=2k(n−1)は、所定の設計の定数である。式(6)から、所望の4次波面項又は球面収差波面項を主に生成しているが、追加の2次波面項(デフォーカスと非点収差に対応する)も生成されることが分かる。これらの追加の収差は、この収差生成方法に依存すると考えられ、完全になくすことはできないが、そのような収差は、システムの適切な設計によって許容可能なしきい値より少なくすることができる。
【0037】
2つの手法を使用して、これらの寄生収差の生成を最小にし、それにより生成される球面収差波面の品質を改善することができる。第1の手法は、W(x,y)の単純な比率評価から生じ、4次収差(球面収差)と2次収差(デフォーカスと非点収差)の生成量が、次の式(7)と(8)で比較される。
【数7】
ここで、r2=x2+y2は、プレート上の波面開口の半径方向広がりを定義する。式(7)又は(8)から、比率の比較は、開口サイズrがシフト量aより大きい場合に、生成される球面収差の量が生成された寄生収差の量より大きくなることを示す。実際に、aに対するrの比率は、重要なのがこの比率の二乗なので、生成された寄生収差の比例量が急速な低下を示すまであまり大きくなくてもよい。
【0038】
寄生収差の生成を少なくする第2の手法は、2次波面収差の平衡をとりやすいように表面描写T(x,y)における利用可能な3次項の幾つかを使用することを必要とする。各3次項をどれだけ追加しなければならないかは、式6を調べるだけでは分からない。しかしながら、このような3次項の適切な量を識別することができるゼルニケ多項式項の最小分散属性を使用することにより分析が行われてきた。この分析では、面T(x,y)は、最初に等価なゼルニケ面に変換され、次に5次より低い項が全て削除される。生成された波面が、近似的には表面描写の導関数なので、削除された表面項により得られた波面が、全体の波面分散に肯定的に追加されるだけである。T(x,y)からより低い次数のゼルニケ項を除去することによって、シフトされたとき得られる表面は、最小残留寄生収差を有する4次波面を生成するはずである。表面を元の多項式形式に変換することにより、式(5)の修正版が下の式(9)として提供される。
【数8】
【0039】
式9の追加項の効果が、横方向シフトの範囲全体にわたる寄生収差の影響を最小にすることであると注意されたい。非対称範囲の球面収差値が望ましい場合、又は球面収差値ゼロに近い寄生収差を範囲の端の寄生収差より良好に制御しなければならない場合は、それに応じて式9の3次項を変更しなければならない。
【0040】
この装置が、人間の視力に使用されるので、球面収差矯正値の範囲は、母集団に見られる球面収差値の範囲を表わすはずである。218の目に関する研究についてPorterらから報告された数を使用することによって、平均測定球面収差は、5.7mmの瞳の場合Z4,0が約+0.14μmであった。これを6mmの瞳の波面収差項W040に変換すると、母集団平均が、λ=594nmで約+3.9波の球面収差になる。また、同じ研究で示されたエラーバーは、個々の変動が平均の両側に3波にもなり得ることを示す。一般集団に広く対応する範囲の可変球面収差矯正を提供するには、装置は、約2波の正球面収差に対して負球面収差を7波も生成するように設計されなければならない。
【0041】
別の連続収差生成器は、2つの逆回転するゼルニケ・プレート(AcostaとBara,2005)を含む。これらの回動プレートの使用は、既に述べた概念と類似しており、2つの嵌合するゼルニケ表面が、互いに対して回転されたときに可変収差を生成する。この概念は、円運動がしばしば横方向運動より発生が容易なので魅力的である。回動プレートの設計は、非回転対称高次収差を視力システムに導入する代替策を提供する。代替態様では、収差は、空間光変調器、フレネル板、適応性光学素子、可変鏡、デジタル・マイクロミラー素子などを含む他の手段によって光学組立体に導入されてもよい。
【0042】
幾つかの眼科装置は、オン軸性能だけを高めるように設計されてもよいが、これは、目がその環境を自然に見ることができるようにしたい視覚装置には有用な設計原理ではない。球面収差矯正器を適度な視野(±4°)で動作するように設計するには、波面矯正を目の瞳内に直接マッピングされなければならない。この条件によりオフ軸波面異常の出現がなくなる。目の瞳に対するこのマッピングは、適度な視野の任意の高次収差矯正に重要なものとして認識されてきた。
【0043】
球面収差矯正を目の瞳に対してマッピングする最も単純な方法の1つは、目が望遠鏡の実際の射出瞳にある状態で、収差生成器を1倍ケプラー望遠鏡などの光学組立体の開口紋りに配置することである。収差生成器が開口絞りにある場合、光線束は、全ての視野角で生成器の中心を通る。この望遠鏡は、±4°の視野で動作するように設計される。様々な視野は、射出瞳で適切に集束する。実際の射出瞳を望遠鏡の外側にすることによって、1倍ケプラーは、目の瞳とマップされた収差矯正との間の効率的な結合を可能にする。代替実施形態では、ケプラー望遠鏡以外の光学リレーシステムが使用されてもよい。
【0044】
システム全体の性能を改善するために、この基本設計に対する修正を行うことができる。望遠鏡の複数の表面を設計パラメータとして使用し収差生成プレートを通る光路を検討する適切なレンズ設計技術によって、望遠鏡の色消しと波面収差の減少を処理することができる。更に、ケプラー望遠鏡によって生成された像が逆さにされるので、ゲージが視野内の物体の向きを維持する場合には像の適切な直立が必要である。これは、典型的には、標準双眼鏡の設計内のプリズム組立体によって処理されるが、空気離間ミラーを使用することによって同様に処理することができる。像直立システム内の4つの反射は、通常、視線のずれと、多くの場合瞳孔間距離の変化を伴う。ゲージは、被験者の視界をできるだけ完全に維持するように設計されるので、望遠鏡の視線を被験者の視線と一致させるために、ペリスコープ構成の2つの追加ミラーが使用された。
【0045】
本発明には瞳孔サイズも関連する。本明細書に示された例には、照明が一貫レベルで維持されなければならない自然の瞳が使用される。瞳は、薬剤の投与の結果、拡張されなかった。照明レベルの低下によって瞳孔サイズが大きくなるほど球面収差の影響が大きくなるので、球面収差測定には低照度設定が最良であることが決定された。視力対象の照明は、約48luxに維持された。この照明レベルでの視界対象照度値は、視力検査表内の支配的な余白のため、2つの対象では僅かに異なっていた。本発明の装置の光透過損が約50%になった後で、目における有効照度は、視力検査表と写真シーンでそれぞれ5.6cd/m2と3.3cd/m2であった。Shack−Hartmann波面収差計装置が使用され、照明がそれに応じて調整され、その結果、客観的測定に類似の照明状態が観察された。
【0046】
これらの条件下の自然瞳孔サイズは5mm〜8mmであり、球面収差の比較は、共通の瞳孔径で行われなければならない。球面収差値は6mmの瞳に対して較正され、これらの較正値が試験された全ての人で同じであったので、瞳孔サイズの更なる変換は不要であった。Shack−Hartmann測定によって、比較に有効な球面収差に関する客観的測定が行われたので、これに応じて、これらのデータセットも6mmの瞳に適合するように調整された。
【0047】
必要に応じて、角膜のトポグラフィに関するデータが、Keratron or Keratron Scout,(Optikon 2000,Rome,Italy)などの装置を使用して患者から収集される。これらの装置は、角膜からの複数の環状リング画像の反射を解釈することによって機能する。トポグラフィーデータは様々な形式で入手可能である。本発明における好ましい形式は、トポグラフィーエレベーションマップとして角膜を描写するものである。トポグラフィーデータは、そのようなデータを使用して最も適切な後面コンタクトレンズ形状の選択を支援することによって、コンタクトレンズ設計のカスタマイズに利用されてもよい。また、トポグラフィーデータは、眼球の収差の原因が角膜か目の内部かを理解するのに役立つ。
【0048】
好ましい実施形態では、低次球面円柱ぼけと球面収差などの高次収差の両方に関して主観的に最適化された値を含む特注眼用レンズが設計される。提案された最終的な特注眼用レンズの改良とその処方精度の改善は、これらの測定値の1つ又は全てを加味する。
【0049】
球面収差は、視界状態、遠近調節、及び個々の目の特性により様々な程度で視力に影響を及ぼすが、網膜に鮮明な像を形成する目の能力を制限する。客観的測定を行って目の様々な収差(球面収差を含む)レベルを決定することができるが、人間の視力システムには、「見える」ものに影響を及ぼす他の因子がある。したがって、目の収差の客観的測定のみに基づく視力矯正手法は必ずしもより良い視力に対応しない。
【0050】
本発明の装置は、視力システムに導入された球面収差の量をユーザが変更できる設計を含む。装置は、図1に示される。被験者は、装置を視覚刺激でのぞき込み、最良画像が知覚されるまで球面収差を調整することができる。代替実施形態では、ユーザは、検査員と対話して、心理物理的質問を用いて最良の終点を決定する。装置の調整は、ユーザが双眼鏡の接眼レンズを覗き込んでいるときにその焦点調整つまみによって最良画像を達成できるようになる方法とまさに類似している。装置の調整は、被験者が最良の視力を知覚するまで2つのマイクロメータ(各目に1つ)を回転させることにより行われる。
【0051】
図2を参照すると、本発明の装置の一方の側又は片眼の光路が示される。収差の量は、連続可変収差生成器(2)の機械的並進によって変更される。これらの生成器は、光路内にあることにより球面収差を発生させる透明位相板である。2つの位相板は、各目の光路内に必要とされる。位相板を互いに横方向に並進させることによって、生じる球面収差の量を調整することができる。被験者が指定距離にある対象を見るために適切な望遠鏡装置が提供される。望遠鏡(1)の対物レンズは、望遠鏡の接眼レンズ(6)から離される。
【0052】
収差生成器(2)によって生成された収差は、目(7)の瞳内に結像される。像をその元の向きに回転させるには追加のミラー又はプリズム(4,5)が必要である。したがって、装置を覗き込んでいる人は、同じシーンを自分に適切な向きで見るが、像には球面収差の付加的な影響がある。装置を使用している被験者は、マイクロメータのつまみ(8)を回転させてシステムに導入される収差の量を変更する。代替実施形態では、これは、ジョイスティックやつまみなどの電子的連動機構でもよい。
【0053】
被験者の目に対する装置の位置合わせは、各試験の前に、手動並進ステージ(3)を使用して調整される。位置合わせの際、位置決め精度を高めるために光学プラットフォーム上のビデオカメラが使用され、目は、カメラのためにLED(9)(各目の1つのLED)によって照明される。LEDは、スペクトルの近赤外領域(好ましくは90nmの半値帯域幅を有する約865nmの中心波長)の光を放射する。位置合わせ後、LED(9)を消灯し、カメラをプラットフォームから取り外す。試験中は、壁面掲示又はシーンの標準室内照明及び/又は制御照明だけが使用される。
【0054】
代替実施形態では、ビームスプリッタが、瞳の像を常置カメラシステム(10)に送って(光学面に垂直に)システムの光学軸に対する瞳位置を常に監視することができる。この構成では、カメラ出力がモニタに表示され、検査員は、システムの整列を調整して、瞳の中心が、モニタに表示された開口の中心、したがってシステムの中心と合うようにする。カメラは、好ましくは、23mmEFL色補正Schneider小型レンズが取り付けられたPixeLink PL−B741EU−Rカメラなどのシステムを含むことができる。これは、130万画素、赤外線強化モノクロ、USB接続のカメラである。
【0055】
眼科医が、患者の主観的応答を利用して標準的球面円柱処方を作成するのと全く同じように、本発明の装置は、球面収差などの収差が人の視力にどのように影響を与えまたどんなレベルの矯正が主観的に好まれるかに関する主観的フィードバックを得るために使用されるツールである。本発明の装置によって、ユーザは、視覚刺激を見て、最良かつ最も許容可能な像が知覚されるまで収差レベルを調整することができる。本発明の装置及び方法による球面収差の主観的測定は、何を「最良の視力」と見なすことができるかを決定するための視力システム全体(脳を含む)の集合的入力を可能にする。
【0056】
本発明の方法は、本発明の装置による試験と測定で取得されたデータを記録することによって実現されてもよい。記録データは、記述と転記又は電子的取得を含む任意の適切な形式で提供されてもよい。そのように取得された収差データは、眼矯正の生成に役立つ形式に変換されてもよい。この矯正は、局所的屈折力プロファイル、位相プロファイル、サグ又はエレベーションプロファイル情報を含んでもよく、レンズ又は屈折外科途用に望ましい眼矯正を生成するために使用される。視力を改善するためのこの方法は、眼矯正を行うことができる。
【0057】
本発明の方法は、コンピュータ読み取り可能な媒体上でコンピュータ読み取り可能なコードとして実現することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体はデータを記憶し、その後、コンピュータシステムによってこれを読み取ることが可能な任意のデータ記憶装置である。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、DVD、磁気テープ、光学データ記憶装置が挙げられる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能なコードが分配されて記憶及び実行されるようにネットワーク接続されたコンピュータシステム上で分配することもできる。
【0058】
本発明は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はこれらの任意の組み合わせ又は部分集合を含む、コンピュータプログラミング又はエンジニアリング技術を用いて実行することができる。コンピュータ読み取り可能なコード手段を有する、結果として得られるあらゆるこうしたプログラムを1以上のコンピュータ読み取り可能な媒体内において実行又は提供することにより、本発明に基づくコンピュータプログラム製品、すなわち製造物品を製造することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体は例えば、固定(ハード)ドライブ、フロッピーディスク、光学ディスク、磁気テープ、読み取り専用メモリ(ROM)などの半導体メモリなど、又はインターネット又は他の通信ネットワーク若しくはリンクなどの任意の送信/受信媒体であってよい。コンピュータコードを含む製造物品は、1つの媒体からコードを直接実行することにより、1つの媒体から別の媒体にコードをコピーすることにより、又はコードをネットワーク上で送信することにより製造及び/又は使用することができる。
【0059】
本発明に基づく装置は、これらに限定されるものではないが、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、記憶装置、通信リンク及び装置、サーバ、入出力装置、又はソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又は特許請求の範囲に記載される発明を実現するこれらの任意の組み合わせ若しくは部分集合を含む1以上の処理システムの任意の部分要素を含む1以上の処理システムであってもよい。
【0060】
ユーザによる入力は、キーボード、マウス、ペン、音声、タッチスクリーン、又は、アプリケーションプログラムなどの他のプログラムによって人がコンピュータにデータを入力することが可能な他の任意の手段から受けとることができる。
【0061】
コンピュータサイエンスの当業者であれば、上記のようにして生成されたソフトウェアを適当な汎用又は専用コンピュータハードウェアと組み合わせて、本発明の方法を実現するコンピュータシステム又はコンピュータサブシステムを容易に構成することができる。
【0062】
例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体上でコンピュータ命令として実現される本方法を用いて上記に述べた設計が生成される。上記に述べた方法の1つに基づいて生成された設計を用いてレンズが製造される。好ましくは、レンズはコンタクトレンズである。ソフトコンタクトレンズを形成する例示的な材料としては、これらに限定されるものではないが、シリコーンエラストマー、本明細書にその全容を参照により援用する米国特許第5,371,147号、同第5,314,960号、及び同第5,057,578号に開示されるものを含むがこれらに限定されないシリコーン含有マクロマー、ヒドロゲル、シリコーン含有ヒドロゲルなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくはその表面はシロキサンであるか、あるいはポリジメチルシロキサンマクロマー、メタクリルオキシプロピルシロキサン及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されないシロキサン官能性、シリコーンヒドロゲル又はヒドロゲルを含む。説明資料は、限定ではなく、アクアフィルコン(aquafilcon)、エタフィルコン(etafilcon)、ゲンフィルコン(gelfilcon)、レンフィルコン(lenefilcon)、センフィルコン(senefilcon)、バラフィルコン(balafilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)又はナラフィルコン(narafilcon)がある。
【0063】
レンズ材料の硬化は、任意の便宜のよい方法で行うことができる。例えば材料を型に入れ、熱、放射線、化学物質、電磁放射線硬化など、及びこれらの組み合わせによって硬化させることができる。好ましくは成型は紫外線を用いて、又は可視光線の全スペクトルを用いて行われる。より具体的には、レンズ材料を硬化させる正確な条件は、選択した材料及び形成すべきレンズによって決定される。適切なプロセスは、その全容を本明細書に参照により援用する米国特許第4,495,313号、同第4,680,336号、同第4,889,664号、同第5,039,459号、及び同第5,540,410号に開示されている。
【0064】
本発明のコンタクトレンズは、任意の好都合な方法で形成することができる。このような方法の1つでは、旋盤を使用して成型インサートを作製する。この成型インサートを使用して型を作製する。次いで、適当なレンズ材料を型の間に配した後圧縮され、本発明のレンズを形成するために樹脂の硬化を行う。当業者であれば、他の任意の数の既知の方法を用いて本発明のレンズを製造することが可能である点は認識されるであろう。
【実施例】
【0065】
(実施例1):
本発明の発明装置を使用する主観的球面収差測定の繰返し精度を14の研究対象により評価した。各研究対象には、各セッション間が2日の合計4つの測定セッションを必要とした。被験者は、年齢が18〜39であることを必要とし、目の感染症や投薬があってはならなかった。使用された発明装置には屈折力矯正装置がなかったので、研究対象は、更に、生来又は球面コンタクトレンズ矯正で正常視でなければならなかった。参加前に視力検査を施し、研究を続けるには各目に少なくとも20/20−2のスコアを必要とした。また、視力検査に合格した全ての被験者を、University of Arizona(Jain,2006)で開発され使用されているShack−Hartmann Aberrometerの前に着席させ、各目の客観的波面測定を行った。被験者がコンタクトレンズを装着した場合、測定は、コンタクトレンズが適所にある状態で行われた。著しい屈折力異常又は非点収差は、研究から片眼又は両目を排除する原因であった。
【0066】
被験者の年齢による分布を図3に示し、平均年齢は27歳である。客観的Shack−Hartmannデータを分析することによって、各目の従来の球体円筒屈折力異常及び非点収差を、固有の球面収差と共に測定した。被験者はそれぞれ、4つの各セッション中に発明装置によって合計24の測定を行なった。ETDRS視力検査表(図4)と実世界写真シーンの2つの視力対象を使用した。2種類の対象が、様々な空間周波数とコントラストレベルを提供し、被験者から6.1m(20フィート)で無作為に交互にされた。各視力対象に3回の繰返し測定を行い、各繰返しに双眼測定と単眼測定を行った。各測定セッションで、被験者の仕事は、本発明の装置を通して見える像が最良の像として主観的に知覚されるまで、球面収差を調整することであった。許容可能調整範囲が広い場合、被験者には、画像劣化が著しい2つの位置の中間点を見つけるように指示した。測定の順序は、セッション内で無作為化されたが、全てのセッションで同じ24の測定を行った。被験者は、7〜15日の期間にわたって、1日の様々な時間に4つのセッションを完了した。
【0067】
それぞれの目に、視力検査表による単眼、視力検査表による双眼、写真シーンによる単眼、写真シーンによる双眼の4つの測定条件を使用した。各条件で、1セッション当たり3つの測定を行った。各条件と各目に対する12の測定値の平均と標準偏差を計算した。平均の2つの標準偏差を超えるデータ点を除去し、この減少したデータセットの平均と標準偏差を再計算した。平均で11又は12個全てのデータ点を使用した。図5A、図5B、図5C及び図5Dに、主観的測定の結果を被験者ごとに示す。図5では、左目で得られたデータを菱形で示し、右目からのデータを正方形で示す。
【0068】
表1に、4つの各条件の測定値の一覧を示す。標準偏差値は、使用された装置の繰返し精度を表わす。表1は、平均的ユーザが、主観的球面収差矯正を0.03D/mm2以内まで繰り返し選択することを示す。試験された被験者は、4つの条件の平均繰返し精度が、0.031D/mm2であり、標準偏差は0.015のD/mm2である。何人かの被験者は大きな逸脱を示し、それは特に被験者Bからのデータに顕著である。
【表1】
【0069】
図6は、全24個の目に関して、単眼視力検査表条件と単眼写真シーン条件両方の客観的収差測定の関数としてプロットされた主観的収差値を示す。線形回帰適合は、2つの測定値の間に相関がほとんどないことを示す。菱形は、視力検査表により得られたデータを表わし、三角形は、写真シーンで得られたデータを表わす。回帰線は、−0.5の傾きを有し、原点を通っている。
【0070】
本発明の装置とShack−Hartmann波面センサからの測定値を使用して、所定の目に望ましい正味球面収差を決定することができる。図7は、各被験者に関して計算された正味球面収差値を示す。菱形は、視力検査表データを表わし、三角形は、写真シーン・データを表わす。左目データは右目データより暗い。図7の検査から、球面収差の客観的測定値と主観的測定値に根本的な差があることが明らかである。球面収差の全体正味値又は差が、非ゼロなだけでなく、被験者間で大きく異なることは明らかである。
【0071】
常置カメラシステム10が使用される装置の代替実施形態では、主観的測定値のばらつきを少なくすることができる。平均年齢35歳の2人の被験者の研究で、主観的球面収差の測定値のばらつきを評価した。被験者は、目の感染症や薬剤がなく、生来正常視であった(習慣的視力矯正なし)。各被験者の客観的Shack−Hartmannデータを取得し、また従来の球体円筒屈折力異常及び非点収差を、固有球面収差と共に測定した。被験者は、客観的Shack−Hartmann収差計を使用して測定する際と、本発明の装置で測定する際の両方で、同じ視覚刺激(デジタル・モニタに表示された実世界のデジタル写真シーン)を見た。
【0072】
カメラ位置合わせシステムがある場合とない場合で、本発明の装置により測定を行った。測定は、数日間にわたって個別のセッションで行い、各セッション中に球面収差の3つの主観的測定値を記録した。
【0073】
表2に、各被験者の測定値の一覧を示した。標準偏差値は、使用される装置の繰返し精度を表わし、カメラ位置合わせシステムの導入により標準偏差が著しく減少することが分かる。
【表2】
【0074】
図8Aと図8Bは、2人の被験者に関して、本発明の装置と客観的収差測定システム(Shack−Hartmannコア収差計)の両方によって得られた球面収差測定値を示す。正方形は、本発明の装置により得られたデータを表わし、菱形は、客観的Shack−Hartmann収差計により得られたデータを表す。この場合、前の実施例と同じように、図8Aと図8Bを調べると、収差計による客観的測定値と本発明の装置による球面収差の主観的測定値とに差があることが明らかである。また、ここで、主観的に好ましい球面収差が0でないことも明らかである。更に、主観的球面収差が、客観的に測定された値から得られたものより常に低いことが明らかである。また、この実施例と前の実施例で、球面収差が被験者によって異なることも明らかである。
【0075】
〔実施の態様〕
(1) 制御されたレベルの収差を被験者の目の瞳平面に導入する調整可能な収差生成光学組立体を含む、視覚収差の主観的測定値を取得する装置。
(2) 前記収差生成器が、視覚経路内に配置されて横方向に較正量だけシフトされたときに特定の制御された量の収差を視覚波面に導入する1対の嵌合多項式プレートを含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 1倍ケプラー望遠鏡の絞りに配置される収差生成器であって、前記望遠鏡が、前記望遠鏡の外部に実際の射出瞳を有し、それにより、前記目の瞳と前記生成器によって導入された前記収差との間に効率的結合が達成される、実施態様1に記載の収差生成器。
(4) 前記収差生成が、前記光学組立体の瞳平面に配置された位相板の使用によって達成される、実施態様1に記載の収差生成器。
(5) 前記光学組立体の瞳平面において前記視覚経路に導入可能な眼科検眼用レンズ受けを有する、実施態様1に記載の装置。
(6) 前記光学組立体によって生成された像を直立させるためにプリズム組立体又は空気離間ミラー組立体が使用される、実施態様1に記載の装置。
(7) ペリスコープ組立体が、前記光学組立体の視線と前記被験者の視線を一致させるために使用する2つの空気離間ミラーからなる、実施態様1に記載の装置。
(8) 赤外線発光ダイオード(LED)照明システムが、前記被験者の瞳を照明して前記装置が前記被験者の視線と位置合わせされ得るように構成される、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記望遠鏡に対する前記被験者の瞳の位置合わせが、瞳孔サイズ及び被験者の視線と同様に、調整され追跡され得るように、前記光学組立体の対物レンズの前にビームスプリッタが配置される、実施態様1に記載の装置。
(10) 患者の主観的高次収差を測定し取得する方法であって、
a.対象を見ることと、
b.前記高次収差を所望のレベルに調整することと、
c.前記収差レベルを記録することと、
d.前記記録データを使用して眼矯正を生成することと、を含む、方法。
【0076】
(11) 眼矯正を提供する方法であって、
a.低次主観的球面円柱屈折患者データを取得することと、
b.高次収差主観的患者データを取得することと、
c.これらの測定値を加味する眼矯正を生成することと、を含む、方法。
(12) 前記高次主観的収差が、連続収差生成器を使用して得られる、実施態様11に記載の方法。
(13) 大きな母集団の前記患者データが得られる、実施態様11に記載の方法。
(14) 部分母集団用の前記患者データが得られる、実施態様11に記載の方法。
(15) 個人の前記患者データが得られる、実施態様11に記載の方法。
(16) 前記収差が、回転対称である、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記収差が、球面収差である、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記収差が、非回転対称である、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記収差が、コマである、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記収差が、三葉状である、実施態様18に記載の方法。
【0077】
(21) 機械命令に符号化されコンピュータにプログラムされる命令を含む高次収差の主観的矯正を加味する眼矯正設計方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御されたレベルの収差を被験者の目の瞳平面に導入する調整可能な収差生成光学組立体を含む、視覚収差の主観的測定値を取得する装置。
【請求項2】
前記収差生成器が、視覚経路内に配置されて横方向に較正量だけシフトされたときに特定の制御された量の収差を視覚波面に導入する1対の嵌合多項式プレートを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1倍ケプラー望遠鏡の絞りに配置される収差生成器であって、前記望遠鏡が、前記望遠鏡の外部に実際の射出瞳を有し、それにより、前記目の瞳と前記生成器によって導入された前記収差との間に効率的結合が達成される、請求項1に記載の収差生成器。
【請求項4】
前記収差生成が、前記光学組立体の瞳平面に配置された位相板の使用によって達成される、請求項1に記載の収差生成器。
【請求項5】
前記光学組立体の瞳平面において前記視覚経路に導入可能な眼科検眼用レンズ受けを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光学組立体によって生成された像を直立させるためにプリズム組立体又は空気離間ミラー組立体が使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ペリスコープ組立体が、前記光学組立体の視線と前記被験者の視線を一致させるために使用する2つの空気離間ミラーからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
赤外線発光ダイオード(LED)照明システムが、前記被験者の瞳を照明して前記装置が前記被験者の視線と位置合わせされ得るように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記望遠鏡に対する前記被験者の瞳の位置合わせが、瞳孔サイズ及び被験者の視線と同様に、調整され追跡され得るように、前記光学組立体の対物レンズの前にビームスプリッタが配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
患者の主観的高次収差を測定し取得する方法であって、
a.対象を見ることと、
b.前記高次収差を所望のレベルに調整することと、
c.前記収差レベルを記録することと、
d.前記記録データを使用して眼矯正を生成することと、を含む、方法。
【請求項11】
眼矯正を提供する方法であって、
a.低次主観的球面円柱屈折患者データを取得することと、
b.高次収差主観的患者データを取得することと、
c.これらの測定値を加味する眼矯正を生成することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記高次主観的収差が、連続収差生成器を使用して得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
大きな母集団の前記患者データが得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
部分母集団用の前記患者データが得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
個人の前記患者データが得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記収差が、回転対称である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記収差が、球面収差である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記収差が、非回転対称である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記収差が、コマである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記収差が、三葉状である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
機械命令に符号化されコンピュータにプログラムされる命令を含む高次収差の主観的矯正を加味する眼矯正設計方法。
【請求項1】
制御されたレベルの収差を被験者の目の瞳平面に導入する調整可能な収差生成光学組立体を含む、視覚収差の主観的測定値を取得する装置。
【請求項2】
前記収差生成器が、視覚経路内に配置されて横方向に較正量だけシフトされたときに特定の制御された量の収差を視覚波面に導入する1対の嵌合多項式プレートを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1倍ケプラー望遠鏡の絞りに配置される収差生成器であって、前記望遠鏡が、前記望遠鏡の外部に実際の射出瞳を有し、それにより、前記目の瞳と前記生成器によって導入された前記収差との間に効率的結合が達成される、請求項1に記載の収差生成器。
【請求項4】
前記収差生成が、前記光学組立体の瞳平面に配置された位相板の使用によって達成される、請求項1に記載の収差生成器。
【請求項5】
前記光学組立体の瞳平面において前記視覚経路に導入可能な眼科検眼用レンズ受けを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光学組立体によって生成された像を直立させるためにプリズム組立体又は空気離間ミラー組立体が使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ペリスコープ組立体が、前記光学組立体の視線と前記被験者の視線を一致させるために使用する2つの空気離間ミラーからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
赤外線発光ダイオード(LED)照明システムが、前記被験者の瞳を照明して前記装置が前記被験者の視線と位置合わせされ得るように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記望遠鏡に対する前記被験者の瞳の位置合わせが、瞳孔サイズ及び被験者の視線と同様に、調整され追跡され得るように、前記光学組立体の対物レンズの前にビームスプリッタが配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
患者の主観的高次収差を測定し取得する方法であって、
a.対象を見ることと、
b.前記高次収差を所望のレベルに調整することと、
c.前記収差レベルを記録することと、
d.前記記録データを使用して眼矯正を生成することと、を含む、方法。
【請求項11】
眼矯正を提供する方法であって、
a.低次主観的球面円柱屈折患者データを取得することと、
b.高次収差主観的患者データを取得することと、
c.これらの測定値を加味する眼矯正を生成することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記高次主観的収差が、連続収差生成器を使用して得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
大きな母集団の前記患者データが得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
部分母集団用の前記患者データが得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
個人の前記患者データが得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記収差が、回転対称である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記収差が、球面収差である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記収差が、非回転対称である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記収差が、コマである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記収差が、三葉状である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
機械命令に符号化されコンピュータにプログラムされる命令を含む高次収差の主観的矯正を加味する眼矯正設計方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2013−519449(P2013−519449A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553033(P2012−553033)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/024523
【国際公開番号】WO2011/100544
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(510294139)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/024523
【国際公開番号】WO2011/100544
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(510294139)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
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