説明

自動二輪車の荷掛け構造

【課題】荷物保持のためのロープ掛け作業をする時にフックの位置を視認し易くできるとともに、車両幅方向への突出を抑制することができる自動二輪車の荷掛け構造を提供する。
【解決手段】メインフレーム27から車体後方かつ上方に延びる左右一対のリヤフレーム14と、前記リヤフレーム14の間に形成される荷台2と、リヤフレーム14の少なくとも上方および外方を覆うリヤフレームカバー25と、リヤフレーム14に連結される荷掛けフック1fと、を備える自動二輪車の荷掛け構造である。そして、リヤフレームカバー25の上端面部25aと最外端面部25bとの境界角部25eには、リヤフレームカバー内側に窪む凹部3が形成され、荷掛けフック1fは凹部3内に設けられ、かつ最外端面部25bよりも内側の位置するように配置された自動二輪車の荷掛け構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動二輪車に関し、特に、自動二輪車の乗車用シートの下方側に荷物を積載する自動二輪車の荷掛け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動二輪車の荷台に荷物を積載し、積載物の落下を防止するためにロープやネットを車両に引っ掛ける構造は良く知られており、例えば、特許文献1にその構造が開示されている。
この特許文献1には、後輪側のクッションの上端に該クッションのシリンダに沿って車体下方に延びる荷掛けフックおよびシートレールに固定されたフックフレームに支持されて、テールカウルの下側から突出するように設けられた荷掛けフックの構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−180363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された自動二輪車の荷掛け構造においては、荷掛けフックがシート下側に配置されている。このため、ロープなどをこの荷掛けフックに掛ける際にフックの位置が視認しにくい。したがって、荷物をロープ等で固定する際にシート下側まで覗き込んでロープ掛け作業をする必要があった。
一方、車両側方に突出する荷掛けフックを設ける構造においては、ロープ等の掛け作業をするときにシート下側まで覗き込む必要がなく、ロープ掛け作業性は向上するものの荷掛けフックが車両幅方向に突出するために、車幅が大きくなると共に外観性に大きな影響を与える問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロープ掛け作業をする時に荷掛けフックの位置を視認し易くできるとともに、荷掛けフックの車両幅方向への突出を抑制することができる自動二輪車の荷掛け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、
メインフレームから車体後方かつ上方に延びる左右一対のリヤフレームと、
前記左右一対のリヤフレームの間に形成される荷台と、
前記左右一対のリヤフレームの少なくとも上方および外方を覆うリヤフレームカバーと、
前記リヤフレームに連結される荷掛けフックと、
を備える自動二輪車の荷掛け構造において、
前記リヤフレームカバーの上端面部と最外端面部との境界角部には、前記リヤフレームカバーの内側に窪む凹部が形成され、
前記荷掛けフックは前記凹部内に設けられ、かつ前記最外端面部よりも内側に位置するように配置されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記荷掛けフックは、前記リヤフレームに沿って車両前後方向に複数設けられた前記凹部内に配置されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の構成に加えて、
前記凹部の少なくとも車体下方側の凹部底壁面には孔が設けられ、前記孔から前記荷掛けフックが前記凹部内に露出するように構成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の構成に加えて、
前記荷掛けフックは前記凹部内において車両前後方向に沿う棒状に構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の構成に加えて、
前記荷掛けフックは前記凹部の凹部前後壁面を貫通するように構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の構成に加えて、
前記凹部の前記凹部底壁面が車両側方に向って下側へ傾斜したことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項2に記載の構成に加えて、
隣り合う複数の前記凹部内の前記荷掛けフックは前記リヤフレームに連結された1つのフックフレームにより構成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項2に記載の構成に加えて、
前記荷掛けフックは複数の前記凹部ごとに対応して個別に前記リヤフレームに連結されたフックフレームにより構成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1〜8の何れか一項に記載の構成に加えて、
前記リヤフレームの前部から上方且つ前方に延びてから車両後方に延出されたシートフレームと、
前記シートフレームの上方に支持されたシートと、
前記シートの下面と前記荷台と、によって区画され、かつ前方開口、左右側方開口及び後方開口を有する物品収納空間を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、荷掛けフックがリヤフレームカバーの上端面部と最外端面部との境界角部の凹部の中に設けられているので、荷掛けフックを車体上方側から見やすくでき、荷物保持の際のロープ掛け作業を行い易くすることができる。しかも、荷掛けフックはリヤフレームカバーの最外端面部よりも内側に位置するように構成されているので、車体幅方向への突出を抑制することができる。また、荷掛けフックはリヤフレームカバーの下側に位置された後輪とは該リヤフレームカバーを挟んで反対側(上側)に位置するので、車両走行時に後輪で巻き上げられた泥等が付着し難くなり、ロープ等の汚れも回避され使い勝手の良いクリーンな状態を維持することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、リヤフレームに沿って車両前後方向の複数の荷掛けフックにより車両前後方向の種々の位置でロープ等を引っ掛けることができて荷物の形状及び大きさに対応することができるとともに、リヤフレームに沿って荷物を止めるようにロープを設けることができるので、車体との一体感を持って荷物を固定することが可能である。
【0017】
請求項3の発明によれば、凹部には凹部底壁面に車体下方側に開口する孔が設けられているので、上方に開放された凹部に入る水の排出を容易にし、水が溜まるのを回避することができる。
また、凹部に形成する孔は凹部前後壁面にわたって形成さらない構成においては、凹部底壁面のみに設けられるので、孔の大きさを小さくすることができ、リヤフレームカバーの剛性を維持し易い構造とすることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、荷掛けフックは車体前後方向に沿う棒状に構成されているので、ロープの引っ掛け位置はその棒状部分の長さだけ何れの位置にも掛けることができて、掛け位置の自由度が増して荷物固定がしやすくなり、また、幅広い帯状のロープを使用したときには、帯状の幅広ロープの装着が容易かつ確実にでき、荷物の固定をしっかりすることができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、荷掛けフックが凹部前後壁面を貫通するように構成されているので、荷掛けフックは凹部の前後幅のいっぱいの大きさに使用することができ、フック領域を大きくすることができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、凹部底壁面が車体外側に向って広がるような傾斜構造とされて凹部がフレームカバー外側に開いた形状になるので、凹部内の荷掛けフックへのロープ装着がし易い。また、水やゴミが凹部から排出し易い。
【0021】
請求項7の発明によれば、複数の荷掛けフックが車体前後方向に沿う1つのフックフレームにて構成されるので、複数の凹部を設けても最小限のフックフレームで複数の荷掛けフックを設けることができてフレーム構造の複雑化が回避できる。また、フックフレームがフレームに取付けされる箇所も減らせる。
【0022】
請求項8の発明によれば、荷掛けフックごとにフックフレームが配置された構造になっているので、フックフレームを凹部のサイズに合わせた小さいサイズにすることができる。したがって、コンパクトな荷掛けフックにすることができ、荷掛けフックの剛性を高めることが容易である。
【0023】
請求項9の発明によれば、物品収納空間はシートによって上方が覆われことにより、荷台に積載した荷物に雨が当り難くすることができ、しかも、収納ボックスとは違い前方開口、左右側方開口及び後方開口を有して前後左右方向に壁面が設けられていないので、収納する荷物には種々の形状サイズのものを自由に積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る自動二輪車の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す自動二輪車の左側面図である。
【図3】図1に示す自動二輪車の要部斜視図である。
【図4】本発明に係る第1実施形態における荷掛けフックの保持構造を示すための部分斜視図である。
【図5】図3のA−A線に沿った部分の要部断面図である。
【図6】本発明に係る自動二輪車の第1実施形態における荷台部分の使用状態を示す要部側面図である。
【図7】本発明に係る自動二輪車の第2実施形態を示す要部斜視図である。
【図8】本発明に係る自動二輪車の第3実施形態を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
なお、添付図面においては、運転者から見た方向に従い車体前方を「Fr」、車体後方を「Rr」、車体左方向を「L」、車体右方向を「R」、車体上方向を[U]、車体下方向を[D]と表示する。また、添付図面の見る向きは符号の向きに見るものとする。
【0026】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態について、図1〜図6を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る車両の斜視図を示す。図1に示すように、車両としての自動二輪車10は、メインフレーム27から車体後方かつ上方に延びる左右一対のリヤフレーム14と、リヤフレーム14の間に形成される荷台2と、リヤフレーム14の上方および外方を覆うリヤフレームカバー25と、を有する。このリヤフレーム14に連結された荷掛けフック1fがリヤフレーム14に沿って左右3個ずつ計6個(図1及び図2においては車両左側のみ図示)設けられている。
【0027】
また、ステップフロア13から後方斜め上へリヤフレーム14が延び、このリヤフレーム14の前方部位からシートフレーム15が前方且つ上方に延びてから車体後方に延出されており、このシートフレーム15の上端にシート12を架け渡すように載せた構造である。なお、このシート12は、シートフレーム15に対して、図1の矢印Bのごとく跳ね上げ可能に構成されており、シート12により開閉されシート下にシート下トレイ80を有している。
また、ハンドル11とシート12との間には運転者が足を乗せる平坦なステップフロア13を備えている。さらに、リヤフレーム14の間にはリヤフレーム14に沿って傾斜した荷台2が設けられている。
【0028】
このように本実施形態においては、シート12とシートフレーム15と荷台2で囲った領域が物品収納空間16として形成されている。
この物品収納空間16は、図1に示されているように、シート下前方側(ステップフロア13側)の前面17とシート下後方側の後面18ならびにシート下両側方側の左右側面19,19が開放されており、物品収納領域としては前方開口21、左右側方開口22,22及び後方開口23を有した構成である。
【0029】
また、本実施形態においては、リヤフレーム14の車両後方への延長線より下側に、テールランプ36が配置されている。この構成により後方開口23から物品収納空間16内へ長尺物品を容易に挿入することができる。また、物品収納空間16はシート12によって上方が覆われるので、荷台2に積載した荷物6に雨が当り難くすることができる。しかも、収納ボックスとは違い、前後左右方向に壁面が設けられていないので、収納する荷物6としては種々の形状サイズのものを自由に積載することができる。
【0030】
また、本実施形態の自動二輪車10は、図2の側面図に示すように、メインフレーム27の後端からリヤフレーム14が後方に延びた構造であり、このリヤフレーム14に、シリンダ28を前傾させた4サイクルエンジン29を含むパワーユニット30がスイング可能に取付けられている。そして、このパワーユニット30により後輪31が駆動される。
【0031】
また、メインフレーム27の前端のヘッドパイプ26にステアリングシャフト32が旋回自在に取付けられており、このステアリングシャフト32の上端のハンドルホルダ33を介してハンドル11が取付けられている。また、ステアリングシャフト32の下端にはフロントフォーク34を介して前輪35が回転自在に取付けられている。
【0032】
また、ステップフロア13の前端から一体的に延びて立上ったレッグシールド24によって運転者の脚前方を保護できるように構成されている。また、ステップフロア13の後端に接続されてリヤフレーム14を覆う前掲のリヤフレームカバー25が設けられている。
なお、このリヤフレームカバー25は、本実施形態においては荷台2とは別体にて構成されているが、この両部材は一体に構成されていてもよい。
【0033】
その他の構成として、ヘッドパイプ26を囲むように配置された電装品ボックス38、ハンドル11の中央付近に配置された速度計39、ヘッドパイプ26の前方側に配されたフロントキャリヤ兼用のヘッドランプ支持パイプ41並びにヘッドランプ42、さらには前輪35の上方を覆うフロントフェンダ43、ステップフロア13の下側に配された燃料タンク44、この燃料タンク44の上方側の開閉可能なリッド(燃料供給口)45、車体後方側でパワーユニット30の上方に配されたエアクリーナ46、このエアクリーナ46とは反対側(車体右側)に配されたサイレンサ47、後輪31とリヤフレーム14との間に配された一対のリヤクッション48、後輪31の上方を覆うリヤフェンダ49等を備えている。また、リヤフレーム14の前方側から立ち上がったシートフレーム15は、リヤフレーム14に対してボルト15a,15aにより固定されるとともにシートフレーム後方側が支持ブラケット9を介して固定されている。
【0034】
本実施形態における荷掛けフック1fの構造について詳細に説明する。
本実施形態における荷掛けフック1fは、図3および図5に示すように、リヤフレームカバー25の凹部3の内側に位置するように構成となっている。
すなわち、リヤフレームカバー25には、その上端面部25aと最外端面部25bとの境界角部25eに、リヤフレームカバー内側に窪む凹部3が形成され、この凹部3内に荷掛けフック1fが配置されている。
そして、この荷掛けフック1fはリヤフレームカバー25の上端面部25aよりも内側に位置し、かつ最外端面部25bよりも内側の位置するように配置された構成となっている。
【0035】
このように荷掛けフック1fがリヤフレームカバー25の上端面部25aと最外端面部25bとの境界角部25eの凹部3の中に設けられていることで、荷掛けフック1fを車体上方側から見やすくできる。
したがって、荷物保持固定に際してロープ掛け作業のときに車体下方側を覗きこむようにしなくても荷掛けフック1fへの掛け作業を容易に行うことができる。
【0036】
しかも、荷掛けフック1fはリヤフレームカバー25の最外端面部25bよりも内側に位置している構成であるので、車体幅方向へ突出していない。
また、本実施形態においては、荷掛けフック1fはリヤフレームカバー25の下側に位置された後輪とは該リヤフレームカバー25を挟んで反対側(上側)に位置している。この構成によれば、車両走行時に後輪31によって巻き上げられた泥等が荷掛けフック1fに付着し難くなる。したがって、荷掛けフック1fの汚れの回避ならびにロープ等の汚れも回避され使い勝手の良いクリーンな状態が維持される。
【0037】
本実施形態においては、荷掛けフック1fは、リヤフレーム14に沿ってその前方側、中央ならびに後方側に3個設けられている。
したがって、荷台2に積載した荷物を車両前後方向の種々の位置でロープ等を引っ掛けて固定することができ、荷物の形状および大きさに対応することができるとともに、荷台2に沿ってしっかりと固定できるので、車体との一体感を持って荷物を積載することができる。
【0038】
本実施形態においては、各凹部3は車体下方側の凹部底壁面3bに、車体前後方向に長いスリット状の孔4が設けられている。
このように、凹部3の車体下方側に開口する孔4が設けられていることで、上方に開放された凹部3に水が入っても排出を容易にすることができる。
【0039】
また、本実施形態においては、荷掛けフック1fは凹部3内において車両前後方向に沿う棒状に構成されている。
このように荷掛けフック1fが車体前後方向に沿う棒状に構成されていることで、ロープの引っ掛け位置は車体前後方向に対してその自由度が増して荷物固定位置の選択範囲が広くなる。また、車体前後方向に沿う棒状であると幅広い帯状のロープを使用したときには、例えば図6に示すよう、荷台2上の荷物6に対して帯状の幅広のロープ8の装着が容易かつ確実にでき、荷物6の固定をしっかりすることができる。
【0040】
本実施形態においては、荷掛けフック1fは図3に示すように、凹部3の凹部前後壁面3c,3c(図3においては凹部前後壁面のうち後方側の片方のみ図示している)を貫通するように構成されている。
この荷掛けフック1fは、図4に示すように、リヤフレーム14に脚部1bを介して連結された1つのフックフレーム1の棒状部1aによって、3個の荷掛けフック1fが同時に形成されている。
【0041】
このように凹部3の凹部前後壁面3c,3cを、車体前後方向に沿う棒状部1aが貫通して荷掛けフック1fが構成されたことで、凹部3の前後幅いっぱいの大きさをフック領域として使用することができ、フック領域を大きくすることができる。
また、複数の荷掛けフック1fが車体前後方向に沿う1つのフックフレーム1にて構成されていることで、多数の凹部3を設ける構成としても例えば左右2個のフックフレーム1で多数の荷掛けフック1fを形成することができ、フレーム構造の複雑化が回避される。
【0042】
本実施形態においては、図5に示すように、凹部3はその凹部底壁面3bが車体側方に向って車体下側へ傾斜している。
この凹部底壁面3bの傾斜構造によれば、凹部3がカバー外側に開いた形状になり、例えば、ロープを上方から荷掛けフック1fの内側に通す場合(図5における矢印S方向)、例えば、凹部側壁面3aと荷掛けフック1fの間に挿入するようにして通したときに、ロープ8が凹部3から出るときに、凹部底壁面3bの傾斜がガイド面になりロープ8が出やすい。また、逆にロープ8を荷掛けフック1fの外側から内側へ引っ掛けるような場合においても、凹部底壁面3bの傾斜はロープ8を通すガイド面になり、凹部3へのロープ装着がし易い。また、水やゴミも凹部3から排出し易い。
なお、本実施形態においては、凹部側壁面3aは図5に示すように、略垂直に構成されているが、凹部側壁面3aを上側に向って開くように傾斜(図5において上方が右側に傾斜)させた構成としてもよい。
【0043】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図7を参照しながら詳細に説明する。
なお、本実施形態においては、前掲の第1実施形態と同様な構成については同符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施形態における特徴的な構成は、荷掛けフック51fが(図示は左側の3個のみ)凹部3ごとに対応して合計6個(左右対称の位置に)設けられている。すなわち、本実施形態において、各フックフレーム51は、リヤフレーム14に平行な棒状部51aと該棒状部51aの両端側にリヤフレーム14に略垂直に立ち上がった脚部51bとから構成されており、この棒状部51aがスリット状の孔4を介して凹部前後壁面3c,3cを貫通するように構成されている。したがって、この棒状部51aがリヤフレーム14に平行な荷掛けフック51fを構成している。
なお、本実施形態においては、リヤフレームカバー25の構成は、第1実施形態と全く同じに構成されている。
【0045】
このような本実施形態の構成は、荷掛けフック51fごとにフックフレーム51が個別に設けられている。この構成によれば、フックフレーム51は棒状部51aが短く構成され、また、棒状部51aの径が小さくされても荷掛けフック51fの剛性を維持することが容易である。
【0046】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図8を参照しながら詳細に説明する。
なお、本実施形態においては、前掲の第1実施形態および第2実施形態と同様な構成については同符号を付して説明を適宜省略する。
【0047】
本実施形態における特徴的は、荷掛けフック61fが(図示は左側の3個のみ)凹部3ごとに対応して合計6個設けられている点は前掲の第2実施形態と同様である。しかし、凹部底壁面3bに設けられた孔64の構成ならびにこの孔64から凹部内に荷掛けフック61fが露出する構造が異なっている。
すなわち、各フックフレーム61は、リヤフレーム14に平行で荷掛けフック61fを構成する棒状部61aの両端側からリヤフレーム14に略垂直に延びる脚部61bが、凹部底壁面3bの孔64を貫通するように構成されている。
【0048】
したがって、前掲の実施形態のように凹部前後壁面3c,3cまで延びた孔は形成されておらず、孔64は凹部底壁面3bのみに設けられた構造である。このように、孔64が凹部底壁面3bのみに形成された小さい構成であることで、リヤフレームカバー25の剛性を維持し易くなっている。
【0049】
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明は前掲の構成に限るものではなく、例えば、荷掛けフックの形状は棒状に限らず適宜変形することができ、その数や位置についても前掲の実施形態に限るものではなく種々変更することができる。
また、本発明は前掲の自動二輪車に限らず、三輪車および四輪車に広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0050】
1,51,61 フックフレーム
1a,51a,61a 棒状部
1b,51b,61b 脚部
1f,51f,61f 荷掛けフック
2 荷台
3 凹部
3a 凹部側壁面
3b 凹部底壁面
3c 凹部前後壁面
4,64 孔
6 荷物
8 ロープ
9 支持ブラケット
10 自動二輪車
12 シート
14 リヤフレーム
15 シートフレーム
16 物品収納空間
25 リヤフレームカバー
26 ヘッドパイプ
27 メインフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインフレーム(27)から車体後方かつ上方に延びる左右一対のリヤフレーム(14)と、
前記左右一対のリヤフレーム(14)の間に形成される荷台(2)と、
前記左右一対のリヤフレーム(14)の少なくとも上方および外方を覆うリヤフレームカバー(25)と、
前記リヤフレーム(14)に連結される荷掛けフック(1f,51f,61f)と、
を備える自動二輪車の荷掛け構造において、
前記リヤフレームカバー(25)の上端面部(25a)と最外端面部(25b)との境界角部(25e)には、前記リヤフレームカバー(25)の内側に窪む凹部(3)が形成され、
前記荷掛けフック(1f,51f,61f)は前記凹部(3)内に設けられ、かつ前記最外端面部(25b)よりも内側に位置するように配置されたことを特徴とする自動二輪車の荷掛け構造。
【請求項2】
前記荷掛けフック(1f,51f,61f)は、前記リヤフレーム(14)に沿って車両前後方向に複数設けられた前記凹部(3)内に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の荷掛け構造。
【請求項3】
前記凹部(3)の少なくとも車体下方側の凹部底壁面(3b)には孔(4,64)が設けられ、前記孔(4,64)から前記荷掛けフック(1f,51f,61f)が前記凹部(3)内に露出するように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車の荷掛け構造。
【請求項4】
前記荷掛けフック(1f,51f,61f)は前記凹部(3)内において車両前後方向に沿う棒状に構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の自動二輪車の荷掛け構造。
【請求項5】
前記荷掛けフック(1f,51f)は前記凹部(3)の凹部前後壁面(3c,3c)を貫通するように構成されたことを特徴とする請求項4に記載の自動二輪車の荷掛け構造。
【請求項6】
前記凹部(3)の前記凹部底壁面(3b)が車両側方に向って下側へ傾斜していることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の自動二輪車の荷掛け構造。
【請求項7】
隣り合う複数の前記凹部(3)内の前記荷掛けフック(1f)は前記リヤフレーム(14)に連結された1つのフックフレーム(1)により構成されたことを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車の荷掛け構造。
【請求項8】
前記荷掛けフック(51f,61f)は複数の前記凹部(3)ごとに対応して個別に前記リヤフレーム(14)に連結されたフックフレーム(51,61)により構成されたことを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車の荷掛け構造。
【請求項9】
前記リヤフレーム(14)の前部から上方且つ前方に延びてから車両後方に延出されたシートフレーム(15)と、
前記シートフレーム(15)の上方に支持されたシート(12)と、
前記シート(12)の下面と前記荷台(2)と、によって区画され、かつ前方開口(21)、左右側方開口(22,22)及び後方開口(23)を有した物品収納空間(16)を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の自動二輪車の荷掛け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−18410(P2013−18410A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154269(P2011−154269)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)