説明

自動券売機及びその券売制御方法並びに自動券売機システム及びその券売制御方法

【課題】会員および非会員によるチケット購入動作を正確に識別して、会員に対して会員特典ポイントによる割引販売を行うことのできる自動券売機システムを提案すること。
【解決手段】自動券売機システム1では、自動券売機3に入金があった後にカードリーダー33による会員カード5の読取が有効となる(ST1、ST2、ST3)。この後に、会員管理サーバー2による会員認証(ST23)を経て、自動券売機3が会員販売モードに切り替わり(ST7B−1)、入金残高が0円になると(ST11)、自動券売機3の会員販売モードが解除されて一般販売モードに戻る(ST13)。会員が立ち去った後の自動券売機3が会員販売モードのままになっていることが無く、非会員によって会員販売モードでチケットが割引価格で購入されてしまうことを防止でき、非会員によるチケット購入によって会員に会員特典ポイントが付与されてしまうことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作面に配列されているチケット購入ボタンの一つが操作されると、それに対応する食券などのチケットを発行する自動券売機及びその券売制御方法に関する。また、本発明は、自動券売機とその会員管理サーバーを備えた自動券売機システム及びその券売制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動券売機、例えば食券の自動券売機には、一般に、その操作面に縦横に複数個の食券購入ボタンが配列されており、各食券購入ボタンには、品目および金額が表示されている。食券購入者は、紙幣あるいは硬貨を投入して、希望する食券購入ボタンを操作して食券を購入することができる。このような自動券売機は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−139355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、商品などの販売システムとして、事前に会員登録を行った顧客に対して会員カードを発行し、会員カードを提示して商品購入を行うと会員特典ポイントを加算し、次回の商品購入時に購入金額の割引などの特典を与える会員販売システムが知られている。このような販売システムでは、顧客が、店舗の支払いカウンターで会員カードを店員に渡すと、店員が会員カードをカード読取装置で読み取らせて、例えばPOS端末を、その会員との取引が開始された状態あるいは取引中の状態に切り替える。店員が読取後の会員カードを顧客に返却し、顧客が購入商品の支払いを行う。この後に、店員は、その顧客会員との取引状態にあるPOS端末を通常の状態に戻し、これにより一連の会員取引が終了となる。
【0005】
無人で発券動作を行う自動券売機に会員販売システムを採用して、会員に対して一般顧客とは異なるサービスを与えることは、集客力などの点で有利である。この場合には、自動券売機と通信回線を介して会員管理サーバーを接続し、会員認証および会員特典ポイントの管理を、無人の自動券売機の側ではなく会員管理サーバーの側において行うことがセキュリティなどの観点から望ましい。しかしながら、このような自動券売機と会員管理サーバーからなる自動券売機システムは、店員によるカウンター取引とは異なり、次のような問題が発生する可能性がある。
【0006】
自動券売機において、会員が会員情報を入力して会員認証を行うと、自動券売機は会員取引状態に切り替わる。会員取引状態に切り替わった後に、その会員がチケットの購入を止めて自動券売機から立ち去ってしまった場合には、自動券売機は会員取引状態のままになってしまう。この状態で会員でない一般の人(非会員)がチケットを購入すると、その人によるチケット購入金額に基づき、立ち去った会員に対して会員特典ポイントが付加されてしまうので、チケット販売側にとっては好ましくない。
【0007】
また、会員が前回のチケット購入によって会員特典ポイントを獲得している場合において、この会員が自動券売機において会員認証後にチケットの購入をせずに立ち去ったときには、次にチケットを購入する会員でない一般の人(非会員)に対して、立ち去った会員の会員特典ポイントを用いた割引販売が行われてしまう。これでは、会員特典サービスが有効に機能しない。
【0008】
さらに、会員取引状態において行われる非会員の取引が会員取引であると判断されると、会員のチケット購入履歴が正確でなくなり、チケット販売者および会員の双方にとって好ましくない。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、簡単な構成により、会員および非会員によるチケット購入動作を正確に識別できるようにした自動券売機及びその券売制御方法、並びに自動券売機システム及びその券売制御方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の自動券売機の券売制御方法は、
チケット購入用の金銭を受け入れる入金受入れ工程と、
入金後に会員情報の読取を行う会員情報読取工程と、
読み取った前記会員情報を予め定めた通信先に送信して、当該通信先から、会員であることの認証あるいは認証拒否を表す会員認証結果を受信する認証結果受信工程と、
受信した前記会員認証結果が前記認証拒否の場合にはチケット販売モードを一般販売モードのままでチケット購入ボタンの操作を待ち、前記会員認証結果が認証の場合には前記チケット販売モードを会員販売モードに切り替えて前記チケット購入ボタンの操作を待つモード設定工程と、
前記チケット購入ボタンが操作されると、設定されている前記一般販売モードあるいは前記会員販売モードでチケット販売動作を行うチケット販売工程と、
前記入金の残高が0円になると、前記チケット販売モードが前記会員販売モードの場合には、当該会員販売モードを解除するモード解除工程と、
前記チケット販売工程の後の時点で、前記会員販売モードによるチケット販売履歴を前記会員情報に対応付けした形態で前記通信先に送信するチケット販売履歴送信工程とを有していることを特徴としている。
【0011】
本発明の券売制御方法では、自動券売機に入金後に会員情報の読取を行うようにしている。換言すると、入金がないと会員情報の入力が有効にならない。したがって、チケット販売モードが会員販売モードに切り替わった時には既に入金が行われているので、この時点で会員がチケット購入を止めてそのまま立ち去ることは無い。また、この時点で会員がチケット購入を止めて、入金額の返却処理を行うと、入金残高が0円になるので、会員販売モードが解除される。同様に、会員販売モードでチケット購入を行った後に入金残高が0円になった場合も会員販売モードが解除される。よって、会員が立ち去った後の自動券売機が会員販売モードのままになっていることが無く、非会員によって会員販売モードでチケットが購入されてしまうことを防止できる。
【0012】
ここで、会員に対して会員特典ポイントを用いてチケット購入代金の割引サービスを行うことができる。この場合には、
前記認証結果受信工程において、前記会員認証結果が認証の場合に、認証された会員に付与されている会員特典ポイントを受信し、
前記会員販売モードによる前記チケット販売工程では、前記チケットの購入金額から前記会員特典ポイントに対応する金額を減額した割引販売金額で前記チケット販売動作を行うようにすればよい。
【0013】
非会員による会員販売モードでのチケット購入を防止できるので、非会員によるチケット購入金額に応じた会員特典ポイントが、チケットを購入していない会員に付与されてしまうことを防止できる。また、非会員によるチケット購入が、会員特典ポイントによる割引価格で行われてしまうことを防止できる。
【0014】
次に、本発明の自動券売機は、
チケット購入用の金銭を受け入れる入金部と、
入力される会員情報を読み取る会員情報読取部と、
予め定めた通信先との間で通信を行う通信部と、
チケットを購入するために操作されるチケット購入ボタンと、
前記チケット購入ボタンが操作されると、一般販売モードおよび会員販売モードのうちのいずれかのチケット販売モードで前記チケットの販売動作を行う発券制御部とを有し、
前記発券制御部は、上記の券売制御方法によりチケット販売動作を行うことを特徴としている。
【0015】
一方、本発明は、自動券売機と、当該自動券売機との間で通信可能な会員管理サーバーとを備えた自動券売機システムの券売制御方法であって、
前記自動券売機は、
チケット購入用の金銭を受け入れる入金受入れ工程と、
入金後に会員情報の読取を行う会員情報読取工程と、
読み取った前記会員情報を前記会員管理サーバーに送信して、当該会員管理サーバーから、会員であることの認証あるいは認証拒否を表す会員認証結果を受信する認証結果受信工程と、
受信した前記会員認証結果が前記認証拒否の場合にはチケット販売モードを一般販売モードのままでチケット購入ボタンの操作を待ち、前記会員認証結果が認証の場合には前記チケット販売モードを会員販売モードに切り替えて前記チケット購入ボタンの操作を待つモード設定工程と、
前記チケット購入ボタンが操作されると、設定されている前記一般販売モードあるいは前記会員販売モードでチケット販売動作を行うチケット販売工程と、
前記入金の残高が0円になると、前記チケット販売モードが前記会員販売モードの場合には、当該会員販売モードを解除するモード解除工程と、
前記チケット販売工程の後の時点で、前記会員販売モードによるチケット販売履歴を前記会員情報に対応付けした形態で前記会員管理サーバーに送信するチケット販売履歴送信工程とを実行し、
前記会員管理サーバーは、
前記自動券売機から前記会員情報を受信すると、会員データベースに記憶保持されている情報に基づき会員認証を行い、会員認証結果を前記自動券売機に返信する認証工程と、
前記自動券売機から前記チケット販売履歴を前記会員情報に対応付けした形態で受信すると、前記会員データベースにおける該当会員のチケット購入履歴を更新するデータベース更新工程とを実行することを特徴としている。
【0016】
ここで、会員に対して会員特典ポイントを用いてチケット購入代金の割引サービスを行う場合には、
前記自動券売機は、
前記認証結果受信工程では、前記会員認証結果が認証の場合に、認証された会員に付与されている会員特典ポイントを受信し、
前記会員販売モードによる前記チケット販売工程では、前記チケットの購入金額から前記会員特典ポイントに対応する金額を減額した割引販売金額で前記チケット販売動作を行い、
前記会員管理サーバーは、
前記認証工程では、前記会員認証結果として認証する旨の結果を返信する場合に、前記データベースに記憶保持されている認証された会員に付与されている会員特典ポイントも返信し、
前記データベース更新工程では、前記自動券売機から受信した前記チケット販売履歴に基づき前記会員特典ポイントの算出処理を行い、前記会員データベースにおける該当する会員特典ポイントを更新する。
【0017】
次に、本発明の自動券売機システムは、
自動券売機と、当該自動券売機との間で通信可能な会員管理サーバーとを有し、
前記自動券売機は、上記構成の自動券売機であり、
前記会員管理サーバーは、
前記自動券売機との間で通信を行うサーバー側通信部と、
前記会員情報および前記会員特典ポイントを対応付けした形態で記憶保持している会員データベースと、
前記自動券売機の側から前記サーバー側通信部を介して受信した前記会員情報を前記会員データベースの記憶内容と照合して会員認証を行い、会員認証結果を前記サーバー側通信部を介して前記自動券売機に送信する会員認証部と、
前記自動券売機の側から前記サーバー側通信部を介して受信した前記チケット販売履歴に基づき、前記会員データベースにおける前記会員特典ポイントを更新するデータベース更新部とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、自動券売機に入金があった後に会員情報の読取が有効となり、この後に会員認証を経て自動券売機が会員販売モードに切り替わり、入金残高が0円になると、会員販売モードが解除される。よって、会員が立ち去った後の自動券売機が会員販売モードのままになっていることが無く、非会員によって会員販売モードでチケットが購入されてしまうことを防止できる。この結果、会員によるチケット購入履歴を正確に知ることができ、これに基づき正確に会員特典を付与することができる。また、会員に対する特典の付与が不必要に行われる事態、会員特典が非会員によって利用されてしまう事態を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した自動券売機システムの全体構成図である。
【図2】(a)は図1の自動券売機システムの自動券売機を示す外観斜視図であり、(b)はそのチケット購入ボタンの説明図であり、(c)はその金額表示部の説明図である。
【図3】図1の自動券売機システムの制御系を示す概略構成図である。
【図4】図1の自動券売機システムによるチケット販売動作を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して本発明を適用した自動券売機システムの実施の形態を説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は自動券売機システムの全体構成を示す説明図である。自動券売機システム1は、会員管理サーバー2と、当該会員管理サーバー2によって管理される複数台の自動券売機3と、自動券売機3の利用会員に事前に発行される磁気カードからなる会員カード5から構成される。会員管理サーバー2と各自動券売機3の間はインターネットなどの通信回線6を介して接続可能である。会員カード5には会員情報5aがバーコードの形態で記憶されており、会員管理サーバー2の側において会員認証が行われる。自動券売機3の側では、会員に対して会員特典ポイントに基づくチケットの割引販売が行われ(会員販売モード)、一般利用者(非会員)に対しては正規の一般販売価格でチケットの販売が行われる(一般販売モード)。
【0022】
(自動券売機)
図2(a)は自動券売機3を示す外観斜視図である。この図に示すように、自動券売機3は、縦長の直方体形状の筐体11を備え、その前面には、一方の側端を中心として開閉可能な前面扉12が取り付けられている。前面扉12の前面は、縦横に長方形のチケット購入ボタン13が30個配列された操作面14となっている。チケット購入ボタン13の一つを操作すると(押すと)、操作されたチケット購入ボタン13に割り当てられている品目を購入するための品目チケット15が発行されるようになっている。
【0023】
操作面14におけるチケット購入ボタン13の上側部分には、紙幣挿入口16、会員カード5の挿入口17、硬貨投入口18、返却レバー19、および蛍光表示管などからなる表示装置の金額表示部20が配置されている。また、操作面14におけるチケット購入ボタン13の下側部分には、品目チケット15および釣銭の受取口21と、釣銭払い出し用のおつり/精算ボタン22が配置されている。
【0024】
図2(b)はチケット購入ボタン13を示す説明図である。この図に示すように、チケット購入ボタン13は、わずかに横長の長方形状をしており、その上半部分が品目ラベル表示部13aであり、その下半部分はボタン本体13bである。ボタン本体13bは前方に僅かに突出しており、ここを押すと、チケット購入ボタン13に割り当てられている品目選択信号が発生する。品目ラベル表示部13aは透明なプラスチック素材からなり、その裏面には、着脱可能な状態で品目ラベル24が装着されている。
【0025】
品目ラベル24には、チケット購入ボタン13に割り当てられている品目(商品名)および価格が印刷されており、これらは、品目ラベル表示部13aを透して目視可能である。各チケット購入ボタン13の品目ラベル表示部13aの背面側には、各品目ラベル表示部13aに対峙するように、発光ダイオードが配列された構成のバックライトパネル(図示せず)が取り付けられており、各チケット購入ボタン13の品目ラベル24が見易くなっている。
【0026】
チケット購入ボタン13のボタン本体13bの中央部分には、横長の長円形の表示部が形成されており、ここには、当該チケット購入ボタン13に割り当てた品目チケット15が販売可能であるか否かを表す円形の販売可能ランプの表示部13cと、当該品目チケット15が売り切れ状態であることを表すための「売切」文字を表示するための売切れランプの表示部13dが配置されている。これらの表示部13c、13dの背面側には、それぞれ、販売可能ランプおよび売切れ表示ランプが配置されている。
【0027】
図2(c)は金額表示部20を示す説明図である。この図に示すように、金額表示部20には、投入金額およびエラー状態を表示するための7セグメント表示器からなる金額表示/エラー番号表示部20aと、動作中であることを表示する動作中表示部20b、および販売中止中であることを表す販売中止表示部20cが配置されている。また、釣銭切れを表す100円硬貨切れ表示部20dおよび10円硬貨切れ表示部20eと、紙幣の使用ができないことを表す紙幣受付禁止表示部20fと、会員販売モード(会員販売モード)の時にポイントを表示するポイント表示部20gとが配列されている。金額表示部20の背面には、これらの表示部20b〜20gを点灯させるためのランプがそれぞれ配置されている。
【0028】
(制御系)
図3は自動券売機システム1の制御系を示す概略構成図である。まず、自動券売機3の制御系は、CPU、ROMおよびRAMを備えた発券制御部30を中心に構成されている。発券制御部30はROM内に格納されている制御プログラムを実行することにより発券に必要な各種の制御動作を行う。
【0029】
例えば、発券制御部30はチケット購入ボタン13、金額表示部20の各ランプの点灯、各チケット購入ボタン13のバックライトパネルの点灯などを制御する。また、自動券売機内蔵の硬貨識別機31および紙幣識別機32を駆動制御して、金銭の入金処理、精算処理、釣銭払出処理などを行わせる。さらに、入金があった後に、自動券売機内蔵のカードリーダー33によって、カード挿入口17から挿入された会員カード5の会員情報5aの読取を行わせる。
【0030】
発券制御部30は、読み取った会員情報5aを、通信部34を介して会員管理サーバー2に送信し、会員管理サーバー2から返信される会員認証結果に基づきチケット販売モードを設定する。例えば、通常のチケット販売モードを一般販売モードに設定しておき、会員であると認証された場合には、一般販売モードを会員販売モードに切り替える。
【0031】
また、発券制御部30は、チケット購入ボタン13が操作されると、自動券売機内蔵の発券機構部35を駆動制御して、一般販売モードあるいは会員販売モードで発券動作を行わせる。発券機構部35は、例えば、ロール紙ホルダ36に保持されているロール紙37から繰り出される記録紙37aにプリンタ38により品目および販売金額を印刷し、オートカッタ39によって記録紙37aを切断することにより定形の品目チケット15を作成して発行する。
【0032】
ここで、発券制御部30には記憶部40が接続されており、この記憶部40は不揮発性メモリからなり、券売機設定内容の記憶領域、動作履歴の記憶領域、エラー履歴の記憶領域等の記憶領域を備えている。券売機設定内容の記憶領域には、各チケット購入ボタン13の番号Aと、品目Bおよび価格Cとが対応付けされた対応テーブル40aが保持されている。
【0033】
一方、会員管理サーバー2の側の制御部60には、各自動券売機3との間で通信を行うサーバー側通信部61と、会員情報を記憶保持している会員データベース62と、各自動券売機3の記憶部40に記憶保持されている情報を記憶保持している券売機データベース63とが備わっている。また、各自動券売機3の側からサーバー側通信部61を介して受信したカード情報を会員データベース62に記憶保持されている会員情報と照合して会員認証を行い、当該会員認証の認証結果をサーバー側通信部61を介して自動券売機3に返信する会員認証部64を備えている。さらに、自動券売機3の側から受信した会員に対するチケット販売履歴に基づき、会員データベース62における当該会員の会員特典ポイントを含むチケット購入履歴を更新する会員情報更新部65を備えている。
【0034】
また、会員管理サーバー2の制御部60は券売機情報書き換え部66を備えており、この券売機情報書き換え部66は、各自動券売機3に対するアクセス権を有する管理者通信端末4からの書き換え要求に応じて、券売機データベース63に記憶保持されている自動券売機3における各チケット購入ボタン13(ボタン番号A)に割り当てられている品目Bおよび価格Cの書き換えを行う。
【0035】
すなわち、自動券売機3の管理権限のある操作者が、管理者通信端末4から管理サーバー2にアクセスして、アクセス権を有していることが認証されると、当該管理者通信端末4の画面が品目ボタン編集画面4aに切り替わる。この品目ボタン編集画面4a上において、各チケット購入ボタン13、品目B、価格Cの割り当て内容の変更を行うことができる。
【0036】
さらに、会員管理サーバー2は券売機更新部67を備えており、券売機データベース63が書き換えられると、サーバー側通信部61を介して、書き換え対象の自動券売機3との間で通信を行って、当該自動券売機3の記憶部40の情報を変更後の内容に更新させる。
【0037】
(発券動作)
図4は自動券売機システム1のチケット販売動作を示す概略フローチャートであり、図4(a)は自動券売機側の動作を示し、図4(b)は会員管理サーバー側の動作を示してある。まず、図4(a)に示すように、自動券売機3は入金待ち状態にあり(ステップST1)、チケット購入希望者により入金されると、入金受入れ処理を行い(ステップST2:入金受入れ工程)、金額表示部20に投入金額を表示する。また、記憶部40の対応テーブル40aの価格Cを参照して、入金額以下の価格Cが割り当てられているチケット購入ボタン13の操作のみを有効とし、操作が有効なチケット購入ボタン13のバックライトを点灯することにより、操作可能なチケット購入ボタン13、換言すると購入可能な品目チケット15の種類を知らせる。
【0038】
入金後に、自動券売機3では、カードリーダー33による会員カード5の読取が可能な状態に切り替わり、会員の場合には会員カードを挿入するように、とのメッセージなどを金額表示部20に表示する(ステップST3)。換言すると、入金されるまでは、会員カード5をカード挿入口17から挿入できないか、あるいは、会員カード5をカード挿入口17に挿入することは可能であっても、カードリーダー33による読取動作が起動しないようになっている。
【0039】
会員カード5が挿入されない場合には非会員であると判断して、チケット販売モードを一般販売モードのままとする(ステップST3→ST4A→ST7A)。これに対して、会員カード5が挿入されると、カードリーダー33によって会員情報5aの読取を行う(ステップST4B:会員情報読取工程)。自動券売機3は、読み取った会員情報5aを会員管理サーバー2に送信し、当該会員管理サーバー2から、会員であると認証された否かの会員認証結果の返信を待つ(ステップST5)。
【0040】
図4(b)に示すように、会員管理サーバー2の側では、会員情報5aを自動券売機3から受信すると(ステップST21、ST22)、会員データベース62に記憶保持されている会員情報に基づき会員認証を行い(ステップST23:認証工程)、会員認証結果を自動券売機3に返信する(ステップST24)。ここで、会員であると認証された場合には、会員データベース62に記憶保持されている当該会員に付与されている会員特典ポイントも会員認証結果と一緒に返信する。
【0041】
図4(a)に示すように、自動券売機3は、会員管理サーバー2の側から会員認証結果を受信すると(ステップST6:認証結果受信工程)、受信した会員認証結果が、会員ではないとの認証拒否であれば、チケット販売モードを一般販売モードのままでチケット購入ボタンの操作を待つ(ステップST6→ST7A:モード設定工程)。これに対して、会員認証結果が、会員であると認証された内容の場合には、チケット販売モードを一般販売モードから会員販売モードに切り替えてチケット購入ボタンの操作を待つ(ステップST7B−1:モード設定工程)。また、この場合には、会員認証結果と共に受信した会員特典ポイントを、RAM内の所定領域に一時的に記憶保持すると共に金額表示部20に表示する(ステップST7B−2)。
【0042】
この後に、チケット購入者によってチケット購入ボタン13の一つが操作されると(ステップST8)、自動券売機3は設定されている一般販売モードあるいは会員販売モードでチケット販売動作を行う(ステップST9A、ST9B:チケット販売工程)。一般販売モードによる販売(ステップST9A)、すなわち、非会員に対するチケット販売は、操作されたチケット購入ボタン13に予め割り当てられている価格C(一般価格)によって行われ、入金額から価格Cが減算される。この後は、一般販売モードによるチケット販売履歴(品目、販売金額、自動券売機番号、販売日時等)を会員管理サーバー2に送信する(ステップST10A)。
【0043】
これに対して、会員販売モードによる販売(ステップST9B)、すなわち、会員に対するチケット販売においては、品目チケット15の価格Cから会員特典ポイントに対応する金額を減額した割引金額でチケット販売を行う。この後は、会員販売モードによるチケット販売履歴(品目、割引販売金額、自動券売機番号、販売日時等)を会員情報に対応付けした形態で会員管理サーバー2に送信する(ステップST10B:チケット販売履歴送信工程)。
【0044】
次に、入金残高が0円になると動作が終了する(ステップST11)。例えば、チケット販売によって入金残高が0円になると動作が終了する。あるいは、おつり/精算ボタン22が操作されて入金残高が精算されて0円になると動作が終了する。ここで、チケット販売モードが会員販売モードであった場合には、入金残高が0円になると、一定時間だけ最新の会員特典ポイントを表示し(ステップST12)しかる後に、会員販売モードを解除して一般販売モードに戻して動作を終了する(ステップST13:モード解除工程)。なお、チケット販売履歴を会員管理サーバー2に送信する工程(ST10A、ST10B)は、入金残高が0円になった後に行うことも可能である。
【0045】
図4(b)に示すように、会員管理サーバー2の側では、自動券売機3からチケット販売履歴を会員情報に対応付けした形態で受信すると(ステップST25)、会員データベース62における当該会員のチケット購入履歴を更新する(ステップST26:データベース更新工程)。この更新においては、自動券売機3から受信したチケット販売履歴(割引販売金額)に基づき会員特典ポイントを算出し、会員データベース62における該当する会員特典ポイントを、算出した新たな会員特典ポイントに更新する。
【0046】
以上説明したように、自動券売機3においては、入金後に会員情報の読取を行うようにしている。換言すると、入金がないと会員情報の入力が有効にならない。したがって、チケット販売モードが会員販売モードに切り替わった時には必ず入金が行われた後であり、この時点で会員がチケット購入を止めて払い戻し処理を行わずに、そのまま立ち去ることは無い。また、この時点で会員がチケット購入を止めて、入金額の返却処理を行うと、入金残高が0円になり、会員販売モードが解除される。同様に、会員販売モードでチケット購入を行った後に入金残高が0円になった場合も会員販売モードが解除される。よって、会員が立ち去った後の自動券売機3が会員販売モードのままになっていることが無く、非会員によって会員販売モードでチケットが購入されてしまうことがない。
【0047】
なお、本例では、チケット販売金額に応じて会員特典ポイントによる割引および新たな会員特典ポイントの付加を行うようにしている。この代わりに、チケット販売代金はそのままとし、会員管理サーバー2の側において会員によるチケット購入金額に応じた会員特典ポイントを加算し、加算された会員特典ポイントに応じて各種の特典を会員に対して与えることも可能である。この場合においても、本例のシステム1においては、各会員に対するチケット販売履歴が正確に記憶保持されているので、各会員に対してチケット販売状況を正確に反映したサービスを提供できる。
【符号の説明】
【0048】
1 自動券売機システム
2 会員管理サーバー
3 自動券売機
4 管理者通信端末
5 会員カード
5a 会員情報
11 筐体
12 前面扉
13 チケット購入ボタン
14 操作面
15 品目チケット
16 紙幣挿入口
17 カード挿入口
18 硬貨投入口
19 返却レバー
20 金額表示部
21 受取口
22 おつり/精算ボタン
24 品目ラベル
30 発券制御部
31 硬貨識別機
32 紙幣識別機
33 カードリーダー
34 通信部
35 発券機構部
36 ロール紙ホルダ
37 ロール紙
37a 記録紙
38 プリンタ
39 オートカッタ
40 記憶部
40a 対応テーブル
60 制御部
61 サーバー側通信部
62 会員データベース
63 券売機データベース
64 会員認証部
65 会員情報更新部
66 券売機情報書き換え部
67 券売機更新部
A ボタン番号
B 品目
C 価格

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チケット購入用の金銭を受け入れる入金受入れ工程と、
入金後に会員情報の読取を行う会員情報読取工程と、
読み取った前記会員情報を予め定めた通信先に送信して、当該通信先から、会員であることの認証あるいは認証拒否を表す会員認証結果を受信する認証結果受信工程と、
受信した前記会員認証結果が認証拒否の場合にはチケット販売モードを一般販売モードのままでチケット購入ボタンの操作を待ち、前記会員認証結果が認証の場合には前記チケット販売モードを会員販売モードに切り替えて前記チケット購入ボタンの操作を待つモード設定工程と、
前記チケット購入ボタンが操作されると、設定されている前記一般販売モードあるいは前記会員販売モードでチケット販売動作を行うチケット販売工程と、
前記入金の残高が0円になると、前記チケット販売モードが前記会員販売モードの場合には、当該会員販売モードを解除するモード解除工程と、
前記チケット販売工程の後の時点で、前記会員販売モードによるチケット販売履歴を前記会員情報に対応付けした形態で前記通信先に送信するチケット販売履歴送信工程とを有していることを特徴とする自動券売機の券売制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記認証結果受信工程では、前記会員認証結果が会員であることを認証するものである場合に、認証された会員に付与されている会員特典ポイントを受信し、
前記会員販売モードによる前記チケット販売工程では、前記チケットの購入金額から前記会員特典ポイントに対応する金額を減額した割引販売金額で前記チケット販売動作を行うことを特徴とする自動券売機の券売制御方法。
【請求項3】
チケット購入用の金銭を受け入れる入金部と、
入力される会員情報を読み取る会員情報読取部と、
予め定めた通信先との間で通信を行う通信部と、
チケットを購入するために操作されるチケット購入ボタンと、
前記チケット購入ボタンが操作されると、一般販売モードおよび会員販売モードのうちのいずれかのチケット販売モードで前記チケットの販売動作を行う発券制御部とを有し、
前記発券制御部は、請求項1または2に記載の券売制御方法によりチケット販売動作を行うことを特徴とする自動券売機。
【請求項4】
自動券売機と、当該自動券売機との間で通信可能な会員管理サーバーとを備えた自動券売機システムの券売制御方法であって、
前記自動券売機は、
チケット購入用の金銭を受け入れる入金受入れ工程と、
入金後に会員情報の読取を行う会員情報読取工程と、
読み取った前記会員情報を前記会員管理サーバーに送信して、当該会員管理サーバーから、会員であることの認証あるいは認証拒否を表す会員認証結果を受信する認証結果受信工程と、
受信した前記会員認証結果が認証拒否の場合にはチケット販売モードを一般販売モードのままでチケット購入ボタンの操作を待ち、前記会員認証結果が認証の場合には前記チケット販売モードを会員販売モードに切り替えて前記チケット購入ボタンの操作を待つモード設定工程と、
前記チケット購入ボタンが操作されると、設定されている前記一般販売モードあるいは前記会員販売モードでチケット販売動作を行うチケット販売工程と、
前記入金の残高が0円になると、前記チケット販売モードが前記会員販売モードの場合には、当該会員販売モードを解除するモード解除工程と、
前記チケット販売工程の後の時点で、前記会員販売モードによるチケット販売履歴を前記会員情報に対応付けした形態で前記会員管理サーバーに送信するチケット販売履歴送信工程とを実行し、
前記会員管理サーバーは、
前記自動券売機から前記会員情報を受信すると、会員データベースに記憶保持されている情報に基づき会員認証を行い、前記認証結果を前記自動券売機に返信する認証工程と、
前記自動券売機から前記チケット販売履歴を前記会員情報に対応付けした形態で受信すると、前記会員データベースにおける該当会員のチケット購入履歴を更新するデータベース更新工程とを実行することを特徴とする自動券売機システムの券売制御方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記自動券売機は、
前記認証結果受信工程では、前記会員認証結果が認証の場合に、認証された会員に付与されている会員特典ポイントを受信し、
前記会員販売モードによる前記チケット販売工程では、前記チケットの購入金額から前記会員特典ポイントに対応する金額を減額した割引販売金額で前記チケット販売動作を行い、
前記会員管理サーバーは、
前記認証工程では、前記会員認証結果として認証を返信する場合に、前記データベースに記憶保持されている認証された会員に付与されている会員特典ポイントも返信し、
前記データベース更新工程では、前記自動券売機から受信した前記チケット販売履歴に基づき前記会員特典ポイントの算出処理を行い、前記会員データベースにおける該当する会員特典ポイントを更新することを特徴とする自動券売機システムの券売制御方法。
【請求項6】
自動券売機と、当該自動券売機との間で通信可能な会員管理サーバーとを有し、
前記自動券売機は、請求項3に記載の自動券売機であり、
前記会員管理サーバーは、
前記自動券売機との間で通信を行うサーバー側通信部と、
前記会員情報および前記会員特典ポイントを対応付けした形態で記憶保持している会員データベースと、
前記自動券売機の側から前記サーバー側通信部を介して受信した前記会員情報を前記会員データベースの記憶内容と照合して会員認証を行い、当該会員認証の認証結果を前記サーバー側通信部を介して前記自動券売機に送信する会員認証部と、
前記自動券売機の側から前記サーバー側通信部を介して受信した前記チケット販売履歴に基づき、前記会員データベースにおける前記会員特典ポイントを更新するデータベース更新部とを備えていることを特徴とする自動券売機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−33159(P2012−33159A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148036(P2011−148036)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)