説明

自動取引システム

【課題】 不正な取引を防止し、かつ、顧客が端末部を用いた取引を迅速に行うことができる自動取引システムを提供する。
【解決手段】 第2のバイオメトリクス情報所得部12により所得されたバイオメトリクス情報に基づき、予めこのバイオメトリクス情報に対応する取引情報を、登録部31から読み出し、記憶部51に記憶させる。また、ATM20の第1のバイオメトリクス情報所得部11により所得されたバイオメトリクス情報に基づき、このバイオメトリクス情報に対応する取引情報を、記憶部51から読み出し、ATM20に出力させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば金融機関に設置されるATM(自動取引装置)のような端末部を含む自動取引システムに関し、特に、顧客を識別するために、アイリスデータのようなバイオメトリクス情報を用いる自動取引システムに関する。
【0002】
【従来の技術】金融機関等に設置されるATMを用いて、顧客と取引を行う自動取引システムでは、一般的に、口座番号が記録されたキャッシュカードと称されるカードが用いられている。
【0003】この自動取引システムでは、顧客にカードをATM内へ挿入させ、端末部であるATMの操作キーを用いて顧客により入力される暗証番号を、予め登録された暗証番号と照合することにより、ATMを操作する顧客が、カードから読み取られる口座の所有者であるか否かを確認している。
【0004】このような暗証番号を用いた自動取引システムでは、カードを入手した第三者が、暗証番号さえ知れば、不正な取引が可能になるという問題がある。この問題を解決するために、顧客に固有な情報であるバイオメトリクス情報を利用する自動取引システムが提案されている。
【0005】このバイオメトリクス情報を利用する自動取引システムでは、各顧客のバイオメトリクス情報として、例えばアイリスデータがホストコンピュータのような登録部に登録されている。
【0006】このホストコンピュータに登録されたアイリスデータは、顧客がATMを操作する際に、このATMに設けられたカメラ等を備えるバイオメトリクス情報所得部により所得されるアイリスデータと照合される。
【0007】そのため、ATMを操作する顧客が特定の口座の所有者であるか否かを、暗証番号を用いることなく、確実に確認することができ、これにより、第三者による不正な取引を防止することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなバイオメトリクス情報を利用する自動取引システムでは、アイリスデータが画像情報であることから、情報量が多くなり、そのため1件当たりのアイリスデータの照合時間が長くなる。
【0009】さらに、ホストコンピュータに登録されたアイリスデータの数が多くなることから、ATMに設けられたカメラにより所得されたアイリスデータに一致するアイリスデータを、ホストコンピュータに登録されたアイリスデータから、検索するための所要時間が長くなる。
【0010】そのため、ATMに設けられたカメラによりアイリスデータが所得された後に行われる検索処理中、顧客は、ATMの前で長い時間待たされることがあり、これにより、ATMを用いた取引を迅速に行うことができないといった問題があった。
【0011】このことから、不正な取引を防止し、かつ、端末部を用いた取引を迅速に行うことができる自動取引システムが望まれていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、顧客が端末部に到着するまでに、予めバイオメトリクス情報を所得し、顧客が前記端末部に到る間に、この所得されたバイオメトリクス情報に基づく検索処理を実行させることにより、バイオメトリクス情報を検索するための所要時間を見かけ上短くし、これにより、顧客の端末部の前での待ち時間を短縮させるという基本構想に立脚する。
【0013】本発明は、具体的には次の構成を採用する。
〈構成〉本発明は、取引情報の入出力端となる少なくとも一つの端末部と、端末部に設けられバイオメトリクス情報を所得するための第1のバイオメトリクス情報所得部とが設けられる自動取引システムにおいて、取引情報が登録される登録部と、第1のバイオメトリクス情報所得部によりバイオメトリクス情報が所得される前に、バイオメトリクス情報を所得するための第2のバイオメトリクス情報所得部と、登録部から読み出される取引情報を記憶する記憶部と、制御部とを設けたことを特徴とする。
【0014】この制御部は、第1のバイオメトリクス情報所得部によりバイオメトリクス情報が所得されるに先立ち、第2のバイオメトリクス情報所得部により所得されたバイオメトリクス情報に基づき、該バイオメトリクス情報に対応する取引情報を登録部から予め読み出し、読み出した当該取引情報を記憶部に記憶させる。
【0015】また、前記した制御部は、第1のバイオメトリクス情報所得部により所得されたバイオメトリクス情報に基づき、該バイオメトリクス情報に対応する取引情報を記憶部から読み出し、読み出した当該取引情報を端末部に出力させる。
【0016】〈作用〉本発明に係る自動取引システムでは、前記した制御部の制御下で、顧客が端末部に到着する前に、第2のバイオメトリクス情報所得部により、顧客のバイオメトリクス情報が所得される。
【0017】また、この所得されたバイオメトリクス情報に対応する取引情報を登録部から予め読み出すために、第2のバイオメトリクス情報所得部により所得されたバイオメトリクス情報に基づく検索処理が、顧客が前記端末部に到る間に、実行される。
【0018】このことから、前記バイオメトリクス情報に基づく検索処理が、例え顧客の端末部への到着前に完了しなくとも、顧客の端末部への到着前に、前記検索処理が既に開始していることから、顧客の端末部への到着後に前記検索処理を開始する従来技術と比べて、前記検索処理は早く完了する。
【0019】そのため、前記検索処理の検索結果として顧客の取引情報が記憶される記憶部から、第1のバイオメトリクス情報所得部により所得されるバイオメトリクス情報に基づき、顧客の取引情報を読み出すことにより、端末部を操作する顧客に対応する取引情報を、端末部に早く出力させることができる。
【0020】従って、本発明に係る自動取引システムによれば、バイオメトリクス情報を検索するための所要時間を見かけ上短くすることにより、顧客の端末部の前での待ち時間を短縮することができる。
【0021】第1のバイオメトリクス情報所得部は、端末部に一体的に設けることができる。また、第1のバイオメトリクス情報所得部は、端末部に近接させ端末部と別体に設けることができる。
【0022】第2のバイオメトリクス情報所得部を、第1のバイオメトリクス情報所得部が配置された部屋の入口近傍に、第1のバイオメトリクス情報所得部から隔てて配置することにより、顧客の端末部の前での待ち時間を一層短縮することができる。
【0023】第1のバイオメトリクス情報所得部により、ある顧客のバイオメトリクス情報が所得される前に、第2のバイオメトリクス情報所得部により、異なる顧客のバイオメトリクス情報を所得させることができる。
【0024】バイオメトリクス情報として、眼の画像情報、すなわちアイリスデータを用いることにより、比較的容易に顧客を識別することができる。
【0025】口座番号が記録されたカードを併用し、取引情報を登録部あるいは記憶部から読み出すことにより、同一の顧客が複数の口座を所有する場合であっても、顧客が取引に用いる口座を、カードから読み取られる口座番号に基づき比較的容易に判別することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
《具体例1》
〈構成〉図1は、本発明に係る自動取引システムを、銀行等の金融機関に設置される自動取引装置(以下、ATMと称する)20を端末部として含む自動取引システム10に適用した例を示す。
【0027】図1に沿って自動取引システム10の全体を説明する前に、顧客の眼の画像情報、すなわちアイリスデータを所得する第1のバイオメトリクス情報所得部11(図1参照)が設けられたATM20を、図2に沿って説明する。
【0028】ATM20に設けられた第1のバイオメトリクス情報所得部11は、カメラ21およびアイリスデータ生成処理部22を備える。ATM20を利用する顧客の眼の映像は、図2に示すように、従来におけると同様、図示の例ではATM20に一体的に組み込まれるカメラ21により撮影される。
【0029】この撮影された眼の映像は、アイリスデータ生成処理部22によって、従来におけると同様、アイリスデータを生成するための所定の処理を受けることにより、ATM20を利用する顧客のアイリスデータが所得される。
【0030】第1のバイオメトリクス情報所得部11により所得されたアイリスデータと、後述するサーバ50(図1参照)内のアイリスデータとを照合することにより、従来におけると同様、暗証番号を用いることなく、ATM20を利用する顧客が識別される。
【0031】ATM20には、後述するように、識別された顧客の取引情報が、サーバ50から入力される。また、ATM20には、顧客が操作パネル23上に表示される取引キーを押下することにより、例えば取引の種類および金額のような情報が入力される。ATM20に入力されるこれらの情報に基づき、従来におけると同様、取引処理部24(図1参照)の制御下で、所望の取引が実行される。
【0032】顧客が入金取引あるいは出金取引を行う場合、従来よく知られているように、紙幣は紙幣入出金口26を介して顧客とATM20との間で受け渡され、硬貨は硬貨入出金口25を介して受け渡される。
【0033】通帳挿入口27に通帳を挿入しあるいはカード挿入口28にキャッシュカードを挿入することにより、顧客が取引のための口座を指定するために操作パネル23を操作する手間を不要とすることができる。
【0034】自動取引システム10に設けられた前記したATM20は、図1に示すように、例えば銀行の営業店に、この営業店の入口から隔てて設置される。
【0035】ATM20を含む本発明に係る自動取引システム10は、ATM20の他に、口座を所有する多数の顧客のデータが予め登録された従来と同様なホストコンピュータ30と、各営業店に設置され、来店した顧客1のアイリスデータを所得するための来店顧客データ所得装置40と、ホストコンピュータ30から読み出され、ATM20に入力される前記した顧客の取引情報を記憶するための前記したサーバ50とを備える。
【0036】ATM20、ホストコンピュータ30、来店顧客データ所得装置40およびサーバ50は、LAN等の通信回線60を経て相互に接続されている。
【0037】ホストコンピュータ30には、アイリスデータを見出しにして、各顧客のアイリスデータおよび該アイリスデータに対応する取引情報が、顧客データとして登録される登録部31と、ホストコンピュータ30を制御するためのホスト制御部32とが設けられている。登録部31には、口座を所有する全顧客の顧客データが登録されることが望ましい。
【0038】登録部31には、顧客の取引情報として、例えば所持する口座の種類、所有する口座番号、口座の預金残高、貸付残高、取引履歴、各種自動振替等の情報が登録される。ある口座を例えば夫婦等の複数の顧客が共用する場合、登録部31には、複数の顧客の各アイリスデータが、ある口座に対応して登録される。
【0039】また、顧客の取引情報として、顧客の個人情報である例えば住所、氏名、電話番号、生年月日、勤務先、年収、家族構成、身体的ハンディキャップ情報およびブラックリスト情報等の情報を登録することができる。
【0040】来店顧客データ所得装置40は、来店した顧客1のアイリスデータを所得する第2のバイオメトリクス情報所得部12と、第2のバイオメトリクス情報所得部12により所得された顧客1のアイリスデータを、ホストコンピュータ30に送信する所得装置制御部43とを備える。
【0041】第2のバイオメトリクス情報所得部12には、営業店の入口近傍に設置され、前記したATM20のカメラ21と同様に顧客1の眼の映像を撮影するためのカメラ41と、ATM20のアイリスデータ生成処理部22と同様に顧客1のアイリスデータを生成するためのアイリスデータ生成処理部42とが設けられている。
【0042】所得装置制御部43は、第2のバイオメトリクス情報所得部12により所得された顧客1のアイリスデータを、通信回線60を介してホストコンピュータ30のホスト制御部32に送信する。
【0043】ホスト制御部32は、来店顧客データ所得装置40から送信された顧客1のアイリスデータに一致するアイリスデータを登録部31から検索することにより、来店した顧客1のアイリスデータおよび該アイリスデータに対応する取引情報、すなわち顧客1の顧客データを、登録部31から読み出す。
【0044】また、ホスト制御部32は、登録部31から読み出された顧客データを、通信回線60を介してサーバ50に送信する。
【0045】サーバ50には、ホストコンピュータ30から送信された顧客データを記憶するための記憶部51と、サーバ50を制御するためのサーバ制御部52とが設けられている。サーバ50の記憶部51およびサーバ制御部52は、ATM20あるいは来店顧客データ所得装置40に一体的に設けることができる。
【0046】来店顧客データ所得装置40に、前記したATM20と同様、通帳挿入口およびカード挿入口を設け、この通帳挿入口に通帳を挿入しあるいはカード挿入口にカードを挿入することにより、通帳またはカードを用いて口座を指定することができる。これにより、同一の顧客1が複数の口座を所有する場合、取引に用いる口座に関する顧客データのみを、ホストコンピュータ30から読み出し、サーバ50に記憶させることができる。
【0047】サーバ制御部52は、ホストコンピュータ30からサーバ50に送信された顧客1の顧客データを、記憶部51に記憶させる。
【0048】来店顧客データ所得装置40の第2のバイオメトリクス情報所得部12によりアイリスデータが所得された顧客1は、ATM20を操作するために来店顧客データ所得装置40からATM20に移動する。この移動中に、第2のバイオメトリクス情報所得部12により所得された顧客1のアイリスデータに一致するアイリスデータを、ホストコンピュータ30の登録部31から検索する処理が実行される。
【0049】ATM20の操作のためにATM20に到着した顧客1のアイリスデータが、第1のバイオメトリクス情報所得部11により所得されると、前記したように、第1のバイオメトリクス情報所得部11により所得された顧客1のアイリスデータは、ATM20に設けられたATM制御部29により、通信回線60を介してサーバ50のサーバ制御部52に送信される。
【0050】サーバ制御部52は、ATM20から送信された顧客1のアイリスデータと、記憶部51に記憶されたアイリスデータとを照合し、顧客1のアイリスデータに一致するアイリスデータを記憶部51から検索する。サーバ制御部52は、検索されたアイリスデータに対応する顧客1の取引情報を、記憶部51から読み出し、通信回線60を介してATM20に送信する。
【0051】前記したATM制御部29は、サーバ50からATM20に送信された顧客1の取引情報を受信し、受信した顧客1の取引情報を、前記した取引処理部24に入力させる。
【0052】また、ATM制御部29は、前記したように、ATM20を操作する顧客1が操作パネル23上の前記取引キーを押下することにより、操作パネル23からの入力情報を取引処理部24に入力させる。これらの取引処理部24に入力される情報により、前記したように、取引処理部24により取引のための処理が行われる。
【0053】〈動作〉本発明に係る自動取引システム10の動作を図3のタイミングチャートに沿って説明する。顧客1が銀行の営業店に来店すると、来店顧客データ所得装置40の第2のバイオメトリクス情報所得部12により、前記したように、顧客1のアイリスデータが所得される(ステップS1)。
【0054】顧客1がATM20に移動中、ステップS1で所得された顧客1のアイリスデータは、来店顧客データ所得装置40の所得装置制御部43により、ホストコンピュータ30に送信される。ホストコンピュータ30に送信された顧客1のアイリスデータは、ホスト制御部32により、登録部31に登録されている顧客のアイリスデータとそれぞれ照合される(ステップS2)。
【0055】ステップS2での照合の結果、ステップS1で所得された顧客1のアイリスデータに一致するアイリスデータが検索される。この検索されたアイリスデータおよび該アイリスデータに対応する取引情報は、ホスト制御部32により、登録部31から読み出され(ステップS3)、サーバ50に送信され(ステップS4)、サーバ50のサーバ制御部52により、記憶部51に記憶される(ステップS5)。
【0056】ATM20の前に来た顧客1は、ATM20の第1のバイオメトリクス情報所得部11により、アイリスデータが所得される(ステップS6)。
【0057】ステップS6で所得された顧客1のアイリスデータは、サーバ50に送信され、サーバ50の記憶部51に記憶されているアイリスデータと照合される(ステップS7)。
【0058】ステップS7での照合の結果、ステップS6で所得されたアイリスデータに一致するアイリスデータに対応する取引情報が、サーバ50の記憶部51から読み出され、ATM20に送信される(ステップS8)。
【0059】ホストコンピュータ30の登録部31に、顧客1の取引情報として、例えば車椅子の使用を表す身体的ハンディキャップ情報を予め登録しておくことができる。これにより、ATM制御部29がサーバ50から前記身体的ハンディキャップ情報を受信したとき、顧客1の車椅子からの操作性のために、ATM制御部29により、操作パネル23の高さおよび傾き等を調節する図示しない調節機構を動作させることができる。
【0060】また、登録部31に登録される取引情報に基づき、来店顧客データ所得装置40によりアイリスデータが所得された顧客1が車椅子を使用すると判断されるとき、当該顧客1を車椅子用ATM20に案内することができる。
【0061】登録部31に、顧客1の取引情報として、例えば視覚障害を表す身体的ハンディキャップ情報を予め登録しておくことができる。これにより、ATM制御部29がサーバ50から前記身体的ハンディキャップ情報を受信したとき、目の不自由な顧客1の操作性のために、ATM制御部29により、音声等でATM20の操作を案内する図示しない操作案内部と、ATM20に設置される電話の受話器等から構成され、この受話器の設置位置が前記操作案内部により顧客1に案内される図示しないハンドセット機構とを動作させることができる。
【0062】登録部31に、顧客1の取引情報として、前記した生年月日情報を予め登録しておくことができる。これにより、ATM制御部29が高齢者を表す生年月日情報を受信したとき、高齢者である顧客1の操作性のために、ATM制御部29により、ATM20の操作を音声で案内するとともに、顧客1がATM20をゆっくり操作できるように、ATM20の動作を制御することができる。
【0063】また、ATM制御部29が若者を表す生年月日情報を受信したとき、若者である顧客1の操作性のために、ATM制御部29により、ATM20の操作を音声なしで案内するとともに、ATM20を迅速に操作できるように、ATM20の動作を制御することができる。
【0064】登録部31に、顧客1の取引情報として、例えば顧客1が毎回の支払い等の特定の取引のみを行っているという取引履歴を予め登録しておくことができる。これにより、ATM制御部29が顧客1の取引情報として前記取引履歴を受信したとき、ATM制御部29により、前記特定の取引情報の操作のための取引キーが他の取引キーより大きく目立つ色でかつ目立つ位置に操作パネル23上に表示されるように、ATM20の動作を制御することができる。また、取引頻度の高い順に取引キーが目立って表示されるように、ATM20の動作を制御することができる。
【0065】登録部31に、顧客1の取引情報として、例えば未婚、既婚、若者、中年、年金者、男性および女性等の個人情報を予め登録しておくことができる。これにより、ATM制御部29が顧客1の取引情報として前記個人情報を受信したとき、顧客1に応じた商品を広告するために、ATM制御部29により、例えば車のローン、結婚資金のローン、家のローン、学資ローン、各種定期預金、資産運用および年金等の商品を説明するためのキーが操作パネル23上に表示されるように、ATM20の動作を制御することができる。
【0066】何れにしても、ATM制御部29により、予め登録部31に登録された顧客1の取引情報に基づき、顧客1に応じATM20の操作性を高めることができ、また、必要に応じて顧客1に応じた商品を広告することができる(ステップS9)。
【0067】顧客1が、ATM20の操作パネル23上に表示される取引キーを用いて、取引する種類および金額等の情報を入力することにより、前記したように、取引処理部24により、取引が開始される(ステップS10)。
【0068】本発明に係る自動取引システム100では、前記したように、顧客1がATM20に到着する前に、来店顧客データ所得装置40の第2のバイオメトリクス情報所得部12により顧客1のアイリスデータが所得され、顧客1がATM20に移動する間に、第2のバイオメトリクス情報所得部12により所得された顧客1のアイリスデータに一致するアイリスデータを、ホストコンピュータ30の登録部31から検索する処理が実行される。
【0069】このことから、顧客1のアイリスデータの検索処理が、例え顧客1のATM20への到着前に完了しなくとも、顧客1のATM20への到着前に、前記検索処理が既に開始していることから、顧客1のATM20への到着後に前記検索処理を開始する従来技術と比べて、前記検索処理は早く完了する。
【0070】そのため、顧客1のアイリスデータに対応する取引情報を記憶部51から読み出し、ATM20に迅速に出力させることができることから、見かけ上、アイリスデータを検索するための所要時間を短縮することができ、これにより、顧客1のATM20の前での待ち時間を短縮することができる。
【0071】前記した具体例では、ATM20のみを端末部として含む自動取引システム10を説明したが、図4に示すように、ATM20の他に、従来よく知られたプレ入力装置70、相談端末装置80、無人契約装置90、振込専用機100および記帳専用機120を端末部として含む自動取引システム110を採用することができる。
【0072】また、前記した具体例では、カメラ21がATM20に一体的に設けられた例を示したが、カメラ21をATM20と電気的に接続することにより、カメラ21を該ATM20と別体に設けることができる。
【0073】また、前記した具体例では、バイオメトリクス情報として、アイリスデータを用いる例を説明したが、アイリスデータの代わりに、指紋、掌および声紋等の画像情報である他のバイオメトリクス情報を用いることができる。
【0074】
【発明の効果】本発明に係る自動取引システムでは、前記したように、端末部に向かう顧客のバイオメトリクス情報は、顧客が端末部に到着する前に、第2のバイオメトリクス情報所得部により所得され、このバイオメトリクス情報に対応する取引情報を登録部から読み出す処理は、顧客が端末部に到る間に、実行されることから、顧客が端末部を用いて取引する際の待ち時間を短縮することができ、これにより、不正な取引を防止し、かつ、端末部を用いた取引を迅速に行うことができる。
【0075】また、取引情報として、個人情報等の顧客の各種情報を登録部に登録することにより、前記した効果に加えて、端末部の操作性の向上および端末部を用いた商品広告等のサービスを、顧客に応じて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動取引システムを示すブロック図である。
【図2】自動取引装置の斜視図である。
【図3】自動取引システムの動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】自動取引システムの変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 顧客
10 自動取引システム
11 第1のバイオメトリクス情報所得部
12 第2のバイオメトリクス情報所得部
13 制御部
20 自動取引装置(端末部)
21 カメラ
22 アイリスデータ生成処理部
23 操作パネル
24 取引処理部
29 ATM制御部
30 ホストコンピュータ
31 登録部
32 ホスト制御部
40 来店顧客データ所得装置
41 カメラ
42 アイリスデータ生成処理部
43 所得装置制御部
50 サーバ
51 記憶部
52 サーバ制御部
60 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 取引情報の入出力端となる少なくとも一つの端末部と、該端末部に設けられバイオメトリクス情報を所得するための第1のバイオメトリクス情報所得部とが設けられる自動取引システムであって、取引情報が登録される登録部と、前記第1のバイオメトリクス情報所得部によりバイオメトリクス情報が所得される前に、バイオメトリクス情報を所得するための第2のバイオメトリクス情報所得部と、前記登録部から読み出される取引情報を記憶する記憶部と、前記第2のバイオメトリクス情報所得部により所得されたバイオメトリクス情報に基づき、予め該バイオメトリクス情報に対応する取引情報を前記登録部から読み出し、読み出された当該取引情報を前記記憶部に記憶し、かつ、前記第2のバイオメトリクス情報所得部により所得された後に前記第1のバイオメトリクス情報所得部により所得されたバイオメトリクス情報に基づき、該バイオメトリクス情報に対応する取引情報を前記記憶部から読み出し、読み出された当該取引情報を前記端末部に出力させる制御部とを含むことを特徴とする自動取引システム。
【請求項2】 前記第1のバイオメトリクス情報所得部は、前記端末部に一体的に設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。
【請求項3】 前記第2のバイオメトリクス情報所得部は、前記第1のバイオメトリクス情報所得部が配置された部屋の入口近傍に、前記第1のバイオメトリクス情報所得部から隔てて配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。
【請求項4】 前記第2のバイオメトリクス情報所得部は、前記第1のバイオメトリクス情報所得部によりバイオメトリクス情報が所得される前に、前記第1のバイオメトリクス情報所得部によりバイオメトリクス情報が所得される顧客と同一の顧客のバイオメトリクス情報を所得することを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。
【請求項5】 前記バイオメトリクス情報は、眼の画像情報であることを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。
【請求項6】 前記制御部は、取引情報のうちの口座番号が記録されたカードの該口座番号を読み取ることにより、読み取られた当該口座番号と、前記第1のバイオメトリクス情報所得部により所得されたバイオメトリクス情報とに基づき、前記バイオメトリクス情報に対応する取引情報を、前記記憶部から読み出し前記端末部に出力させることを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。
【請求項7】 前記制御部は、取引情報のうちの口座番号が記録されたカードの該口座番号を読み取ることにより、読み取られた当該口座番号と、前記第2のバイオメトリクス情報所得部により所得されたバイオメトリクス情報とに基づき、予め前記バイオメトリクス情報に対応する取引情報を、前記登録部から読み出し前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1記載の自動取引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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