説明

自動取引装置

【課題】開閉可能なカバー4を備え、本体1に固定した本体固定金具11と、カバー4に固定されたカバー固定金具17によりカバー4を固定する自動取引装置1において、組み立てが容易で、かつ、カバー4に強い外力が働いた場合でもカバー4が外れないようにする。
【解決手段】カバー固定金具17は、先端に引っ掛け手段を備え、カバー4を閉めるときにカバー固定金具17の引っ掛け手段を本体固定金具11に乗り上げさせて進み、本体固定金具11を越えたときに引っ掛け手段により本体固定金具11に引っ掛けてカバー4が開かないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機や現金処理装置などの自動取引装置のカバーの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現金自動預払機などの自動取引装置では、硬貨や紙幣の現金の入出金処理を行う入出金部、取引の操作を行う操作部、キャッシュカードのリードライト等を行うカード処理部を備え、さらに通帳を取扱う場合では印字部、磁気ストライプリードライト部、改頁部等を備える。
【0003】
そして、現金の補充やジャム除去などの保守を行うために、開閉扉を備え、セキュリティを考慮して各扉に鍵や電磁ロックによる錠解除機構を備えるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、背面側を壁で保護して設置する自動取引装置では、図4に示したように、上部側は、施錠可能でz部を支点とし矢印Bのように開くアッパー扉部15、前面側には、施錠可能な左右扉部2、3を具備し、背面側は、組立性を優先し、施錠する構成とはせず、矢印Cおよび矢印Rのように開閉し、本体に固定された本体固定金具11と背面カバー4に固定されたカバー固定金具17を取付ネジで固定できる構成となっている。
【0005】
すなわち、図5に示したように、本体固定金具11に取付ネジ16を仮止めして備え、カバー固定金具17にはU溝5を設け、矢印Cのように背面カバー4を閉じるときに、本体固定金具11の取付ネジ16にカバー固定金具17のU溝5が嵌り、本体固定金具11に仮止めされた取付ネジ16を締めることによりカバー固定金具17と本体固定金具11を固定できる構成となっている。
【0006】
このように、本体固定金具11の取付ネジ16を仮止めとし、カバー固定金具17のネジ穴をU溝5とすることにより背面カバー4の組み立てを容易にするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−272453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の自動取引装置1では、以上のような構成とすることにより、背面カバー4の組立ては容易となるが、自動取引装置ごと盗まれたり背面側に入り込まれたりして、背面カバー4を図6の矢印Rのように強く背面側に引っ張られると、装置本体から背面カバー4が外れてしまい装置内部の現金を盗まれてしまう恐れがあり、高いセキュリティを維持することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、開閉可能なカバーを備え、本体に固定した本体固定金具と、前記カバーに固定されたカバー固定金具により前記カバーを固定する自動取引装置であって、前記カバー固定金具は、先端に引っ掛け手段を備え、前記カバーを閉めるときに前記カバー固定金具の前記引っ掛け手段を前記本体固定金具に乗り上げさせて進み、前記本体固定金具を越えたときに前記引っ掛け手段により前記本体固定金具に引っ掛けて前記カバーが開かないようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動取引装置によれば、以上のように構成したので、組み立てが容易で、かつ、カバーを強く引っ張られてもカバーが外れることがなく、高いセキュリティを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の自動取引装置の要部構成および動作説明図である。
【図2】実施例2の自動取引装置の要部構成および動作説明図である。
【図3】実施例3の自動取引装置の要部構成および動作説明図である。
【図4】自動取引装置の外観構成および動作説明図である。
【図5】従来の自動取引装置の要部構成および動作説明図である。
【図6】従来の自動取引装置の要部構成および動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、自動取引装置の外観構成は図4を用いて説明した従来の自動取引装置と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【実施例1】
【0013】
(構成)
図1は、実施例1の自動取引装置1の要部構成を示す構成図である。同図に示したように、実施例1の自動取引装置1の背面カバー4の固定にかかる構成は、本体に固定された本体固定金具11と背面カバー4に固定されたカバー固定金具17を取付ネジで固定できる構成とし、本体固定金具11に取付ネジ16を仮止めして備え、カバー固定金具17にはU溝5および先端に引っ掛け手段としてのつぶし曲げ部6を備えた構成となっている。
【0014】
(動作)
以上の構成により実施例1の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を、図1を用いて以下詳細に説明する。
【0015】
実施例1の自動取引装置1は、背面カバー4に固定されたカバー固定金具17の先端につぶし曲げ部6が設けられているので、図1(c)矢印Cのように背面カバー4を閉じると、つぶし曲げ部6が破線のように本体固定金具11の上に乗り上げ、カバー固定金具17のU溝5が取付ネジ16のネジ部に嵌りながらさらに進み、つぶし曲げ部6が本体固定金具11を過ぎると矢印Dのように落下し、本体固定金具11に引っ掛かる。
【0016】
そして、取付ネジ16を締めてカバー固定金具17と本体固定金具11を固定して背面カバー4を装置本体に固定する。
【0017】
すると、図1(b)の破線矢印Rのように背面側に背面カバー4を強く引いてカバー固定金具17が移動しても、つぶし曲げ部6のa部が本体固定金具11のb部にぶつかりそれ以上背面側に移動することがなく、背面カバー4がはずれることがない。
【0018】
なお、以上の説明では、図1(a)のようにつぶし曲げ部6を、U溝5を挟んで2箇所設ける例を示したが説明したが、いずれか1箇所のみ設けるようにしてもよい。
【0019】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の自動取引装置によれば、開閉可能な背面カバーを備え、本体に固定した本体固定金具と、前記背面カバーに固定されたカバー固定金具により前記背面カバーを固定する自動取引装置であって、前記カバー固定金具は、先端につぶし曲げ部を備え、前記背面カバーを閉めるときに前記カバー固定金具の前記つぶし曲げ部を前記本体固定金具に乗り上げさせて進み、前記本体固定金具を越えたときに前記つぶし曲げ部により前記本体固定金具に引っ掛けて前記背面カバーが開かないようにしたので、組み立てが容易で、かつ、背面カバーに強い外力が働いた場合でも背面カバーが外れることがなく、高いセキュリティを維持することができる。
【実施例2】
【0020】
(構成)
図2は、実施例2の自動取引装置1の要部構成を示す構成図である。同図に示したように、実施例2の自動取引装置1の背面カバー4の固定にかかる構成は、背面カバー4に固定されるカバー固定金具17の先端に引っ掛け手段としての打ち出し部7を設けた構成となっている。その他の構成は実施例1の構成と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0021】
(動作)
以上の構成により実施例2の自動取引装置は、以下のように動作する。この動作を、同図を用いて以下詳細に説明する。
【0022】
実施例2の自動取引装置1は、背面カバー4に固定されたカバー固定金具17の先端につぶし曲げ部6が設けられているので、図2(c)矢印Cのように閉じると、カバー固定金具17の先端に設けられた打ち出し部7が破線のように本体固定金具11の上に乗り上げ、カバー固定金具17のU溝5が取付ネジ16のネジ部に嵌まりながらさらに進み、打ち出し部7が本体固定金具11を過ぎると矢印Dのように落下し、本体固定金具11に引っ掛かる。
【0023】
そして、取付ネジ16を締めてカバー固定金具17と本体固定金具11を固定して背面カバー4を装置本体に固定する。
【0024】
すると、図2(b)の破線矢印Rのように背面側に背面カバー4を強く引いてカバー固定金具17が移動しても、打ち出し部7のc部が本体固定金具11のb部にぶつかりそれ以上背面側に移動することがなく、背面カバー4がはずれることがない。
【0025】
なお、以上の説明では、打ち出し部7を1つ設けるように説明したが、複数設けるようにしてもよい。すなわち、複数設けるようにすれば、背面側に背面カバー4を強く引いたときに、複数の打ち出し部7c部が本体固定金具11のb部にそれぞれぶつかり、それ以上背面側に移動することを確実に防止でき、背面カバー4が外れることを確実に防止することができる。
【0026】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2の自動取引装置によれば、開閉可能な背面カバーを備え、本体に固定した本体固定金具と、前記背面カバーに固定されたカバー固定金具により前記背面カバーを固定する自動取引装置であって、前記カバー固定金具は、先端に打ち出し部を備え、前記背面カバーを閉めるときに前記カバー固定金具の前記打ち出し部を前記本体固定金具に乗り上げさせて進み、前記本体固定金具を越えたときに前記打ち出し部により前記本体固定金具に引っ掛けて前記背面カバーが開かないようにしたので、組み立てが容易で、かつ、背面カバーに強い外力が働いた場合でも背面カバーが外れることがなく、高いセキュリティを維持することができる。
【0027】
また、カバー固定金具の先端に打ち出し部を設ける構成としたので、カバー固定金具の製造工程において、曲げ加工と打ち出しを同時に行いことができ、製造工程を少なくできるという効果もある。
【実施例3】
【0028】
(構成)
図3は、実施例3の自動取引装置の要部構成を示す構成図である。同図に示したように、実施例3の自動取引装置1の背面カバー4の固定にかかる構成は、背面カバー4に固定されるカバー固定金具17の先端側に引っ掛け手段としての斜め曲げ部8と角穴9を設け、一方、本体固定金具11の先端に突起部10を設けた構成となっている。その他の構成は実施例1の構成と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0029】
(動作)
以上の構成により実施例3の自動取引装置は、以下のように動作する。この動作を、同図を用いて以下詳細に説明する。
【0030】
実施例3の自動取引装置は、背面カバー4に固定されたカバー固定金具17の先端に斜め曲げ部8が設けられているので、図3(c)矢印Cのように背面カバー4を閉じると、斜め曲げ部8が破線のように最初に本体固定金具11の上に乗り上げ、カバー固定金具17のU溝5が取付ネジ16のネジ部に嵌まりながらさらに進み、本体固定金具11の先端の突起部10に乗り上げこれを過ぎると角穴9に突起部10が嵌って矢印Dのようにカバー固定金具17が落下し、図3(b)の状態となり、本体固定金具11に引っ掛かる。
【0031】
そして、取付ネジ16を締めてカバー固定金具17と本体固定金具11を固定して背面カバー4を装置本体に固定する。
【0032】
すると、図3(b)の破線矢印Rのように背面側に背面カバー4を強く引いてカバー固定金具17が移動しても、カバー固定金具17の角穴9のd部が突起部10のe部にぶつかりそれ以上背面側に移動することがなく、背面カバー4がはずれることがない。
【0033】
なお、以上の説明では、角穴9、突起部10をそれぞれ1箇所設けるように説明したが、複数設けるようにしてもよい。すなわち、複数設けるようにすれば、背面側に背面カバー4を強く引いたときに、複数の角穴9のd部がそれぞれの突起部10のe部にぶつかり、それ以上背面側に移動することを確実に防止することができ、背面カバー4が外れることを確実に防止することができる。
【0034】
(実施例3の効果)
以上のように実施例3の自動取引装置によれば、開閉可能な背面カバーを備え、本体に固定した本体固定金具と、前記背面カバーに固定されたカバー固定金具により前記背面カバーを固定する自動取引装置であって、前記本体固定金具は、突起部を備え、前記カバー固定金具は、前記カバー固定金具の先端を曲げて成した斜め曲げ部と、角穴を備え、前記背面カバーを閉めるときに前記背面カバー固定金具の前記斜め曲げ部を前記本体固定金具に乗り上げさせて進み、前記背面カバーを閉めたときに前記突起部と前記角穴を嵌合させ前記本体固定金具に引っ掛けて前記背面カバーが開かないようにしたので、実施例1と同様、組み立てが容易で、かつ、背面カバーに強い外力が働いた場合でも背面カバーが外れることがなく、高いセキュリティを維持することができる。
【0035】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、図4(c)に示したように、背面カバー4に固定するカバー固定金具17および対向する装置側位置に本体固定金具を2個設ける例として説明したが、中央部等に1個のみ設けた場合でも、3個以上設けた場合でも本発明を適用することができる。
【0036】
また、以上の実施例の説明では、開閉可能なカバーとして背面カバー4を例として説明したが、装置前面側に備える前面カバーや装置上面側に備える上面カバーにも本発明を適用することができる。
【0037】
また、以上の実施例の説明では、カバー固定金具17に設けたU溝5に取付ネジ16を嵌め、取付ネジ16を締めて装置本体と背面カバー4を固定する例を説明したが、U溝、取付ネジ16を設けない構成とし、つぶし曲げ部6、打ち出し部7、角穴9のみにより本体固定金具11に引っ掛けるようにしてもよい。
【0038】
また、以上の実施例の説明では、本体固定金具11をコ型形状として説明したが、つぶし曲げ部6、打ち出し部7等を引っ掛けるようにできればよく、矩形としてもよいしその他の形状としてもよい。
【0039】
また、以上の実施例の説明では、背面カバー4の上部を開く構成の例を説明したが、左右端を支点として左右に開く構成のものであってもよいし、中央を開く観音開きとする構成のものであってもよい。この場合、左端若しくは右端または中央部にカバー固定金具17をそれぞれ設けるようにすればよい。
【0040】
また、以上の実施例の説明では、カバー固定金具17の一方の側を背面カバー4に固着させ他方の側を装置前面方向に曲げた形状のカバー固定金具17を例として説明したが、他方の側を側面に沿って曲げた形状として実施例と同様にその先端につぶし曲げ部6、打ち出し部7等を設け、装置本体側面に備えた本体固定金具に引っ掛けるようにしてもよい。
【0041】
また、以上の実施例および変形例をそれぞれ別に実施するのではなく、本発明の趣旨に基づいてこれらを組み合わせるようにしてもよい。
【0042】
例えば、カバー固定金具17の先端側の一方を図1の実施例1のようなつぶし曲げ部6とし他方を図2の実施例2のような打ち出し部7を設けるようにしてもよい。或いは、カバー固定金具17の先端側の一方を実施例1のようなつぶし曲げ部6とし他方を図3の実施例3のような斜め曲げ部8、角穴9を設ける構成としてもよい。或いは、カバー固定金具17の先端側の一方を実施例2のような打ち出し部7とし他方を実施例3のような斜め曲げ部8、角穴9を設けた構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、背面カバーを有する現金自動預払機や現金処理装置などの自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 自動取引装置
2 右扉
3 左扉
4 背面カバー
5 U溝
6 つぶし曲げ部
7 打ち出し部
8 斜め曲げ部
9 角穴
10 突起部
11 本体固定金具
16 取付ネジ
17 カバー固定金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能なカバーを備え、本体に固定した本体固定金具と、前記カバーに固定されたカバー固定金具により前記カバーを固定する自動取引装置であって、
前記カバー固定金具は、先端に引っ掛け手段を備え、
前記カバーを閉めるときに前記カバー固定金具の前記引っ掛け手段を前記本体固定金具に乗り上げさせて進み、前記本体固定金具を越えたときに前記引っ掛け手段により前記本体固定金具に引っ掛けて前記カバーが開かないようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記引っ掛け手段は、前記カバー固定金具の先端をつぶし曲げて成したつぶし曲げ部としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記引っ掛け手段は、前記カバー固定金具の先端の一部を打ち出して成した打ち出し部としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記本体固定金具は、突起部を備え、
前記引っ掛け手段は、前記カバー固定金具の先端を曲げて成した斜め曲げ部と、前記カバーを閉めたときに前記突起部と嵌合する角穴と、からなるようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記カバーは背面カバーであって、
前記本体固定金具は、仮止め可能な取付ネジを備え、
前記カバー固定金具は、前記カバーを閉じるときに前記取付ネジに嵌るU溝を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−25670(P2013−25670A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161852(P2011−161852)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】