説明

自動合わせ浮き

【課題】 釣り糸への取付が容易で、合わせ動作が安定する自動合わせ浮きを提供する。
【解決手段】 自動合わせ浮き1は、胴本体20と浮力体10とからなる。胴本体20は上下が塞がれた筒状の胴部21を有し、胴部21の内部の上方には、上下に移動自在であって引張バネにより下方に付勢されている合わせプレート50が、ロック体55との係合によるロック状態にて設置されている。胴部21の内部の下方には、一端が釣り糸に接続されているワイヤ61の他端が接続された、上下に移動自在の移動体30が設置されている。釣り糸が引かれワイヤ61の一端が引かれることにより移動体30が所定位置まで移動すると、合わせプレート50のロック状態が解除され、合わせプレート50の下降と共に移動体30が下方に移動する。すると、ワイヤ61の引き上げに伴い釣り糸が引き上げられ、自動的に合わせ動作が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は自動合わせ浮きに関し、特に浮き釣りにおいて使用される自動合わせ浮きに関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚釣りにおいては、魚釣り用の浮きを釣り人が監視し続け、浮きの状態の変化から魚のアタリを感知して、竿を持ち上げて魚の口に釣り針を掛ける、いわゆる合わせ動作が行われる。この合わせ動作は、経験と熟達が必要なものであり、初心者等には難しいものであった。そこで、以下に示されているような、自動アワセ機能付き浮きが提案されている。
【0003】
図19は、従来の自動アワセ機能付き浮きの使用状態を示す一部切欠側面図である。
【0004】
図を参照して、自動アワセ機能付き浮き80は、フロート体81と、フロート体81を貫通する外筒体82と、外筒体82内部に摺動自在に挿入されて、その一方端部が外筒体82から突出する軸体83とからなる。
【0005】
軸体83の一方端部には釣り糸84を保持する保持キャップ85が取り付けられており、軸体83の他方端部には切欠を有する係止孔86が設けられている。尚、軸体83は外筒体82の内部に設けられた図示しないスプリングによって保持キャップ85が取り付けられている側に付勢されているが、係止孔86が、外筒体82を直角に貫通し回動自在な偏平シャフト87に係合していることにより、所定の位置にロックされている。
【0006】
偏平シャフト87からは、偏平シャフト87を中心として傾動自在な釣り糸ガイド部材88が、外筒体82側面に設けられた切欠孔89を通って外筒体82の外側まで延びている。尚、釣り糸ガイド部材88の傾動に伴い、偏平シャフト87は回動する。
【0007】
使用にあたっては、保持キャップ85、釣り糸ガイド部材88の端部、及び外筒体82の下部に設けられた釣り糸カラミ防止部材90の各々に釣り糸84を通して、保持キャップ85の側を上にして自動アワセ機能付き浮き80を振込む。
魚のアタリにより釣り糸84が下方に引き下げられることによる釣り糸ガイド部材88の傾動に合わせて偏平シャフト87が所定の位置まで回動すると、偏平シャフト87と係止孔86との係合が解除される。すると、軸体83がスプリングの付勢力によって海面側に上昇するので、軸体83の上昇に伴って釣り糸84が引き上げられ、自動的に合わせ動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平7−1978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような自動アワセ機能付き浮きは、釣り糸を複数の箇所に通す必要があり、釣り糸への取付に手間がかかると共に、合わせ動作の安定性を欠くものであった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、釣り糸への取付が容易で、合わせ動作が安定する自動合わせ浮きを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、浮力体と浮力体に接続された胴本体とからなる自動合わせ浮きであって、胴本体は、筒状の胴部と、釣り糸の途中にその一端が接続され、他端が胴部の内部に挿通される連結索と、胴部の内部に設置され、連結索が所定距離以上に繰出されると、連結索を胴部に引込むように作動する連結索引込み手段とを含むものである。
【0012】
このように構成すると、釣り糸の引きによる連結索の所定距離の繰出しに応答して、連結索が引込まれる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、胴部は上下に延びると共に下部が塞がれており、胴部の内部には、下方に位置すると共に上下に移動自在の移動体が設置され、連結索の他端は、胴部の下部から挿通されて胴部の上方に位置する係合体に係合した後移動体に接続し、連結索引込み手段は、移動体が所定位置まで上昇した時、移動体を下方に移動させるように付勢する付勢手段を含むものである。
【0014】
このように構成すると、連結索の釣り糸を介しての一端側にかかる重量が移動体の重量によって軽減される。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、浮力体は、胴本体の上部に脱着自在に取付けられ、移動体には、上方に延び、浮力体を摺動自在に貫通すると共に移動体が最下方に位置する時、浮力体の上面に少なくともその頭部が露出する魚信棒が取付けられるものである。
【0016】
このように構成すると、餌の重量に応じて浮力体を取り替えることができる。又、連結索が繰出されると魚信棒の先端が浮力体の上面より上昇する。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明の構成において、付勢手段は、移動体の上方であって、平面視で少なくともその一部が移動体に重なるように位置し、胴部内を上下に移動自在であると共にその一部が胴部の側壁より外方に突出している合わせプレートと、合わせプレートと胴部の下部との間に設置され、合わせプレートを下方に付勢する引張バネと、合わせプレートを引張バネの付勢力に抗して上昇させた時、合わせプレートを所定の位置にロックして下方への移動を阻止するロック体とを備え、ロック体は、合わせプレートをロックする第1の位置とロックを解除する第2の位置とに移動自在となるように構成されると共に、胴部にはロック体を第1の位置に付勢する伸張バネが取付けられ、ロック体は移動体が所定位置まで上昇すると、第1の位置から第2の位置に移動するものである。
【0018】
このように構成すると、移動体の上昇によってロック体によるロックが解除される。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、移動体は円筒形状の磁石よりなり、移動体の所定位置において面するロック体の部分は移動体の磁力によって反発又は吸着する材料よりなり、ロック体は、移動体の磁力によって移動するものである。
【0020】
このように構成すると、移動体の磁力によってロック体は作動する。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれかに記載の発明の構成において、胴部の下部には、移動体の下方位置を上下に調整する移動体調整手段が設けられるものである。
【0022】
このように構成すると、下方の移動体の位置から所定位置までの長さを調整できる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項3から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、魚信棒には、錘が脱着自在に取付けられるものである。
【0024】
このように構成すると、移動体の見かけ重量を増加できる。
【0025】
請求項8記載の発明は、請求項3から請求項7のいずれかに記載の発明の構成において、浮力体には、浮力体に対する魚信棒の所定部分の通過に応じて無線信号を発信する無線発信手段が設置されるものである。
【0026】
このように構成すると、魚の引きの動作が遠隔場所に通知される。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、釣り糸の引きによる連結索の所定距離の繰出しに応答して、連結索が引込まれるので、釣り糸への取付が容易で、合わせ動作が安定する。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、連結索の釣り糸を介しての一端側にかかる重量が移動体の重量によって軽減されるので、釣り糸に加わる餌の重さにかかわらず、合わせ動作が安定する。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、餌の重量に応じて浮力体を取り替えることができるので、餌の重量に対応させての使用が容易となる。又、連結索が繰出されると魚信棒の先端が浮力体の上面より上昇するので、魚の引き動作が明確に視認できる。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加えて、移動体の上昇によってロック体によるロックが解除され、合わせプレートが下方に移動するので、移動体が確実に下降し連結索が引込まれる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、移動体の磁力によってロック体は作動するので、ロック体の解除動作が安定する。
【0032】
請求項6記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、下方の移動体の位置から所定位置までの長さを調整できるので、魚の種類に応じた合わせの感度を自在に調整できるので使い勝手が良い。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項3から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、移動体の見かけ重量を増加できるので、餌の重量に応じて連結索の重量バランスを取ることが可能となる。
【0034】
請求項8記載の発明は、請求項3から請求項7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、魚の引きの動作が遠隔場所に通知されるので、目を浮きから離しても引きの動作が知らされるので、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の第1の実施の形態による自動合わせ浮きの使用状態を示した模式図である。
【図2】図1で示した自動合わせ浮きの平面図である。
【図3】図1で示した自動合わせ浮きの底面図である。
【図4】ワイヤを通した状態での図2に示したIV−IVラインの概略断面図である。
【図5】図2に示したV−Vラインの概略断面図である。
【図6】図4に示したVI−VIラインの断面図である。
【図7】図4に示したVII−VIIラインの拡大断面図である。
【図8】図4に示したVIII−VIIIラインの拡大断面図である。
【図9】図4に示したIX−IXラインの拡大断面図である。
【図10】図4で示した合わせプレートをロックする動作を示した模式図である。
【図11】図10で示した合わせプレートのロックを解除する動作を示した模式図である。
【図12】図1に示した自動合わせ浮きを分解した状態の概略断面図である。
【図13】図1で示した受信装置の模式図である。
【図14】図1で示した自動合わせ浮きの第1の使用状態(垂らし状態)を示した概略断面図である。
【図15】図1で示した自動合わせ浮きの第2の使用状態(当たり状態)を示した概略断面図である。
【図16】図1で示した自動合わせ浮きの第3の使用状態(引き状態)を示した概略断面図である。
【図17】図1で示した自動合わせ浮きの第4の使用状態(合わせ状態)を示した概略断面図である。
【図18】移動体の位置を変更した場合であって、図1で示した自動合わせ浮きの第1の使用状態(垂らし状態)を示した概略断面図であり、図14に対応する図である。
【図19】従来の自動アワセ機能付き浮きの使用状態を示す一部切欠側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、この発明の第1の実施の形態による自動合わせ浮きの使用状態を示した模式図である。
【0037】
図を参照して、自動合わせ浮き1が、ワイヤ61の一端に接続されたサルカン62及び自動合わせ浮き1に形成された道糸案内リング27を介して、釣り糸64に接続された状態で海面に振り込まれている。これによって、釣り糸64を巻き上げる時にワイヤ61を直接引張ることを防止している。尚、自動合わせ浮き1とは別に受信装置70が釣り人近くに備えられている。
【0038】
図2は、図1で示した自動合わせ浮きの平面図であり、図3は、図1で示した自動合わせ浮きの底面図であり、図4は、ワイヤを通した状態での図2に示したIV−IVラインの概略断面図であり、図5は、図2に示したV−Vラインの概略断面図であり、図6は、図4に示したVI−VIラインの断面図であり、図7は、図4に示したVII−VIIラインの拡大断面図であり、図8は、図4に示したVIII−VIIIラインの拡大断面図であり、図9は、図4に示したIX−IXラインの拡大断面図である。
【0039】
まず、図4を参照して、自動合わせ浮き1は、胴本体20と、胴本体20の上キャップ24に螺合して接続された浮力体10とからなる。このように構成すると、胴本体20と浮力体10とが脱着自在に接続されたものとなるが、この効果は後述する。
【0040】
次に、図2、図4及び図6を参照して、浮力体10は、貫通孔11を有する幅広の略円柱形状であって、内部が密閉された空洞となっているものである。浮力体10の上面には、浮力体10の内部に電池18a及び18bを収容するための、浮力体10に螺合することによって閉じられる蓋12が形成されている。
【0041】
浮力体10の内部には、基板15、リードスイッチ16、水晶発振子17、電池18a及び18b、及び発信回路等を組みこんだ集積回路19からなる無線発信装置13が設置されている。リードスイッチ16は貫通孔11の周壁に対向するように設けられているが、このように構成されていることによる効果は後述する。
【0042】
次に、図4及び図8を参照して、胴本体20は、縦長の円筒状であって側面の一部に上下方向に延びたスリット22a及び22bが形成され、上部が上キャップ24で、下部が下キャップ26で、それぞれ塞がれた胴部21を有する。上キャップ24には貫通孔25が設けられている。
【0043】
又、胴部21の内部の下方には、球形状の磁石よりなる移動体30が設置されている。移動体30は、その外面が、下キャップ26から上キャップ24まで延びる案内ガイド31a、31b、31c及び31dの各々に囲まれ、それらに沿って上下に移動自在となっている。尚、移動体30の重量は使用する餌を含む仕掛け全体の重量より若干重くなるように設定されている。
【0044】
ここで、図2、図4及び図8を参照して、移動体30の上端には、上方に延び、浮力体10の貫通孔11、胴部21の上キャップ24の貫通孔25及び後述する合わせプレート50の貫通孔51の各々を摺動自在に貫通する魚信棒32が取り付けられている。魚信棒32の上部及びその上端に取り付けられた発光体43は、浮力体10の上面に露出している。
【0045】
次に、図4、図5及び図7を参照して、胴部21の内部の上方には、上下に移動自在の合わせプレート50が、平面視で移動体30に重なるように設置されている。このように設置されていることによる効果は後述する。
【0046】
合わせプレート50には、上述した貫通孔51と、ワイヤ通し孔52a及び52bが設けられている。合わせプレート50は中央部が案内ガイド31a、31b、31c及び31dの各々に内接する円形形状を有し、そこから外方に十字方向に延びる突出部を備えている。その突出部の一部はスリット22a及び22bを介して胴部21の側壁から突出しているので、合わせプレート50は、その突出している部分を掴んで任意に上下に移動させることができる。尚、合わせプレート50は、一端が下キャップ26に固定された引張バネ54a及び54bの他端と接続していることから下方に常時付勢されている。図においては、合わせプレート50をロックする第1の位置に伸張バネ58により付勢されているロック体55との係合(図7の破線部分)により、上方においてロック状態にあり、下方への移動が阻止されている。
【0047】
ロック体55は、移動体30が合わせプレート50付近に位置するときに移動体30に面する、磁性体で形成された垂下片56と、レバー57とを有する。レバー57は、胴部21に設けられた開口23を介して胴部21の側壁から突出している。尚、ロック体55は、案内ガイド31aを中心に回動して、図7で示す第1の位置から後述する第2の位置まで移動自在となるように構成されているが、この効果については後述する。
【0048】
次に、図3、図4、図5及び図9を参照して、下キャップ26には、道糸案内リング27及び水抜き孔28a、28b、28c及び28dが設けられており、上述したように引張バネ54a及び54bの一端が固定されている。又、中央には移動体30を載置する合わせタイミング調節ネジ29が設けられており、移動体30の下方位置を合わせタイミング調節ネジ29を操作することによって上下に調整することができるが、このように構成されていることによる効果は後述する。
【0049】
水抜き孔28dからは、図1で示したワイヤ61の他端が、胴部21の内部に挿通されている。ワイヤ61の他端は、合わせプレート50のワイヤ通し孔52a及び52bの各々を通り、かつ、合わせプレート50と上キャップ24との間に設けられた滑車63と係合した状態で、移動体30に接続されている。これにより、ワイヤ61の一端が外方に引かれ、ワイヤ61が胴部21の内部より繰出されると、移動体30が上方に移動する。又、図示しない釣り糸を介してワイヤ61の一端側にかかる重量が移動体30の重量によって軽減されるが、このように構成されていることによる効果は後述する。
【0050】
図10は、図4で示した合わせプレートをロックする動作を示した模式図であり、図11は、図10で示した合わせプレートのロックを解除する動作を示した模式図である。
【0051】
まず、図10の(1)を参照して、伸張バネ58により通常は第1の位置に付勢されているロック体55を、レバー57を押すことによって矢印の方向に移動させ、図で示す第2の位置に待機させる。この第2の位置にあるとき、ロック体55による合わせプレート50のロック状態は解除状態となっている。この状態で合わせプレート50を引張バネ54a及び54bの付勢力に抗して引き上げる。
【0052】
次に、図10の(2)を参照して、ロック体55の付近まで合わせプレート50を引き上げたところでレバー57を離すと、伸張バネ58の付勢によりロック体55が第1の位置に戻る。すると、ロック体55の係合部59と合わせプレート50の係合部53とが係合し、合わせプレート50が下方に移動しないロック状態となる。尚、ロック体55の係合部59の下部にはテーパーが付いているので、合わせプレート50の係合部53が係合部59の下部に当接した状態から更に合わせプレート50を引き上げると、ロック体55が第2の位置に移動していき、完全に合わせプレート50が引き上がると、伸張バネ58の付勢によりロック体55が再び第1の位置に戻り、合わせプレート50がロック状態となる。よって、レバー57を用いなくても、ロック体55により合わせプレート50をロック状態にすることは可能であるが、レバー57を用いた場合の方が、合わせプレート50及びロック体55の磨耗が減り、これらの持ちが良くなる。
【0053】
次に、図11の(1)を参照して、移動体30がワイヤ61の引きにより合わせプレート50の付近まで上昇した状態を示している。ここで、上述したようにロック体55の垂下片56は磁性体よりなるから、垂下片56は磁石である移動体30に引き付けられる。これにより、伸張バネ58の付勢力に抗して再びロック体55が第1の位置から第2の位置に移動し、合わせプレート50のロック状態が解除される。このようにして、移動体30の磁力によってロック体55が作動するから、ロック体55の解除動作が安定する。
【0054】
最後に、図11の(2)を参照して、ロック状態が解除されると、合わせプレート50は、引張バネ54a及び54bの付勢力によって引き下げられる。このとき、上述したように合わせプレート50は移動体30に平面視で重なっているから、合わせプレート50の下降に伴い、移動体30が確実に下降すると共にワイヤ61が引き込まれる。
【0055】
図12は、図1に示した自動合わせ浮きを分解した状態の概略断面図である。
【0056】
図を参照して、まず、胴本体20と浮力体10とが、螺合状態が解除されて分離している。すると、浮力体10を取り替えることができるので、自動合わせ浮き1は、餌の重量に応じた浮力を有する浮力体10を対応させた使用が可能となる。又、魚の種類に応じて適切な浮力を自動合わせ浮き1に与えることが可能となる。
【0057】
次に、魚信棒32が、移動体30に取り付けられ検知磁石34を有する魚信棒本体33、魚信棒ジョイント36、付加錘39a及び39b、浮きトップ40及び発光体43の各々の構成要素に分離している。尚、検知磁石34を有することによる効果については後述する。
【0058】
ここで、魚信棒本体33と魚信棒ジョイント36とは、魚信棒本体33の上部に形成された凹部35に、魚信棒ジョイント36の下部に形成された凸部37が挿入されることにより結合する。又、魚信棒ジョイント36と浮きトップ40とは、魚信棒ジョイント36に形成された挿入孔38に浮きトップ40の下部に形成された挿入棒41が挿入されることにより結合する。更に、浮きトップ40と発光体43とは、浮きトップ40の上部に形成された発光体保持部42に発光体43が挿入されることにより結合する。このように構成すると、魚信棒本体33、魚信棒ジョイント36、浮きトップ40及び発光体43の各々の結合が容易となる。
【0059】
尚、付加錘39a及び39bは、挿入棒41が貫通する筒形状に形成されており、付加錘39a及び39bに挿入棒41を通した状態で挿入棒41を挿入孔38に挿入することで、魚信棒32に脱着自在に取り付けられる。このように構成すると、移動体30の見かけ重量を増加することができるので、餌の重量に応じてワイヤ61の重量バランスを取ることが可能となる。
【0060】
図13は、図1で示した受信装置の模式図である。
【0061】
図を参照して、受信装置70は矩形の箱形状を有し、内部にアンテナ線71が接続された受信マイコンボード72、ブザー73及び電池74を、外部にLED75及びイヤホンジャック76を備え、図7で示した無線発信装置13が発信した信号を受信して、音又は光で信号の受信を釣り人に知らせる。このように構成されることによる効果は後述する。
【0062】
図14は、図1で示した自動合わせ浮きの第1の使用状態(垂らし状態)を示した概略断面図であり、図15は、図1で示した自動合わせ浮きの第2の使用状態(当たり状態)を示した概略断面図であり、図16は、図1で示した自動合わせ浮きの第3の使用状態(引き状態)を示した概略断面図であり、図17は、図1で示した自動合わせ浮きの第4の使用状態(合わせ状態)を示した概略断面図である。
【0063】
まず、図14を参照して、自動合わせ浮き1が釣り糸64の先端に接続された釣り針65に餌66を付けた状態で海面に振り込まれた垂らし状態を示しており、餌66に魚69が食付こうとしている。この状態においては、自動合わせ浮き1には何の変化も無い。
【0064】
次に、図15を参照して、魚69が餌66に食付く、いわゆる当たり状態により、釣り糸64が引かれ、サルカン62と道糸案内リング27との間に釣り糸64に設置されたシモリ玉67がサルカン62に引っ掛かる。この状態で釣り糸64が更に引かれると、サルカン62もシモリ玉67と共に引かれ、ワイヤ61が自動合わせ浮き1より繰り出され、ワイヤ61の他端に接続する移動体30の上昇に伴い、魚信棒32が上昇する。すると、魚信棒32の先端が浮力体10より上昇するので、魚の当たり動作が明確に視認できる。
【0065】
又、魚信棒32の上昇により検知磁石34がリードスイッチ16の傍を通過すると、検知磁石34の磁力によりリードスイッチ16がオンとなり、無線発信装置13から無線信号が発信される。尚、この無線信号は図13で示した受信装置70に受信される。このように構成すると、魚69の当たり動作が遠隔場所に音及び光によって通知されるので、目を自動合わせ浮き1から放していても引きの動作が分かり、使い勝手が良い。
【0066】
更に、図16を参照して、当たりから引き動作に変わり、更にワイヤ61が繰り出されて移動体30が合わせプレート50の付近まで上昇すると、上述のように合わせプレート50のロック状態が解除される。
【0067】
最後に、図17を参照して、ロック状態が解除された合わせプレート50に移動体30が押し下げられて下方に移動するのに伴ってワイヤ61が引き戻される。すると、サルカン62にシモリ玉67が引っ掛かったままなので、ワイヤ61の引き戻しと共に釣り糸64も引き上げられ、釣り針65が魚69の口に掛かる、いわゆる合わせ動作が行われる。
【0068】
図14から図17にて示したように、自動合わせ浮き1は、移動体30の位置から合わせプレート50の位置までの距離(所定距離)以上に、ワイヤ61が釣り糸64に引かれることによって繰り出されると、ワイヤ61を引き込むものであり、釣り糸64への取付が容易で、合わせ動作が安定するものである。又、上述したように、釣り糸64を介してワイヤ61の一端側にかかる重量は移動体30の重量や付加錘によって軽減されているから、釣り糸64に加わる餌66の重さにかかわらず、合わせ感度を適切に維持でき合わせ動作が安定する。更に、ワイヤ61の繰り出しが所定距離未満の当たりや引きでは合わせ動作が行われないので、単に魚69が餌66に触れただけ等、魚69の口に釣り針65が掛からない状態における誤作動が無く、合わせ動作が確実なものとなる。
【0069】
図18は、移動体の位置を変更した場合であって、図1で示した自動合わせ浮きの第1の使用状態を示した概略断面図であり、図14に対応する図である。
【0070】
図を参照して、合わせタイミング調節ネジ29により、移動体30の下方位置が上昇した状態に自動合わせ浮き1が調整されている。尚、他の部分は図14に示したものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0071】
このようにすると、移動体30と合わせプレート50との距離が短くなり、ワイヤ61の引き動作の開始からロック状態の解除までの時間を短くすることができる。すなわち、このように構成すると、移動体30の位置から合わせプレート50の位置までを所望の長さに調節できるので、魚69の種類に応じた合わせの感度を自在に調整でき、使い勝手が良い。
【0072】
尚、上記の第1の実施の形態では、浮力体に無線発信装置が設置されていたが、これは無くても良い。
【0073】
又、上記の第1の実施の形態では、魚信棒に付加錘が取り付けられていたが、これは無くても良い。
【0074】
更に、上記の第1の実施の形態では、合わせタイミング調節ネジが設けられていたが、これは無くても良い。
【0075】
更に、上記の第1の実施の形態では、ロック体は、磁石で形成された移動体の磁力により作動するものであったが、移動体の移動によりロック体が作動するものであれば良い。
【0076】
更に、上記の第1の実施の形態では、ロック体は、磁性体よりなる垂下片が移動体に吸着されることで作動するものであったが、垂下片が移動体の反対磁極を有する磁石よりなり、移動体に吸着されることで作動するものであっても良い。又、垂下片が移動体と同一磁極を有する磁石よりなり、移動体に反発することで作動するものであっても良い。
【0077】
更に、上記の第1の実施の形態では、合わせプレートは全体が平面視移動体に重なるように位置していたが、移動体の少なくとも一部が平面視で重なるように位置していれば良い。
【0078】
更に、上記の第1の実施の形態では、合わせプレートの付勢手段を引張バネとしていたが、下方に付勢するものであれば他のものでも良い。
【0079】
更に、上記の第1の実施の形態では、ロック体の付勢手段を伸張バネとしていたが、第1の位置に付勢するものであれば他のものでも良い。
【0080】
更に、上記の第1の実施の形態では、浮力体は胴本体に対し脱着自在であったが、取り外しができないものであっても良い。
【0081】
更に、上記の第1の実施の形態では、魚信棒の先端に発光体が取り付けられていたが、これに代えてLEDを取付けても良く、あるいはこれらは無くても良い。
【0082】
更に、上記の第1の実施の形態では、自動合わせ浮きと釣り糸とを接続する連結索としてワイヤが用いられていたが、他の糸状のものであっても良い。
【0083】
更に、上記の第1の実施の形態では、ワイヤは滑車に係合していたが、滑車以外のものに係合して方向を変えるように構成しても良い。
【0084】
更に、上記の第1の実施の形態では、移動体に魚信棒が取り付けられていたが、これは無くても良い。
【0085】
更に、上記の第1の実施の形態では、移動体は球形状であったが、例えば円筒形状等の、他の形状であっても良い。
【0086】
更に、上記の第1の実施の形態では、胴本体は円筒状であったが、円筒状以外の筒状であっても良い。
【符号の説明】
【0087】
1…自動合わせ浮き
10…浮力体
13…無線発信装置
20…胴本体
21…胴部
26…下キャップ
29…合わせタイミング調節ネジ
30…移動体
32…魚信棒
39a、39b…付加錘
50…合わせプレート
55…ロック体
56…垂下片
61…ワイヤ
63…滑車
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮力体と前記浮力体に接続された胴本体とからなる自動合わせ浮きであって、
前記胴本体は、
筒状の胴部と、
釣り糸の途中にその一端が接続され、他端が前記胴部の内部に挿通される連結索と、
前記胴部の内部に設置され、前記連結索が所定距離以上に繰出されると、前記連結索を前記胴部に引込むように作動する連結索引込み手段とを含む、自動合わせ浮き。
【請求項2】
前記胴部は上下に延びると共に下部が塞がれており、
前記胴部の内部には、下方に位置すると共に上下に移動自在の移動体が設置され、
前記連結索の前記他端は、前記胴部の前記下部から挿通されて前記胴部の上方に位置する係合体に係合した後前記移動体に接続し、
前記連結索引込み手段は、前記移動体が所定位置まで上昇した時、前記移動体を下方に移動させるように付勢する付勢手段を含む、請求項1記載の自動合わせ浮き。
【請求項3】
前記浮力体は、前記胴本体の上部に脱着自在に取付けられ、
前記移動体には、上方に延び、前記浮力体を摺動自在に貫通すると共に前記移動体が最下方に位置する時、前記浮力体の上面に少なくともその頭部が露出する魚信棒が取付けられる、請求項2記載の自動合わせ浮き。
【請求項4】
前記付勢手段は、
前記移動体の上方であって、平面視で少なくともその一部が前記移動体に重なるように位置し、前記胴部内を上下に移動自在であると共にその一部が前記胴部の側壁より外方に突出している合わせプレートと、
前記合わせプレートと前記胴部の前記下部との間に設置され、前記合わせプレートを下方に付勢する引張バネと、
前記合わせプレートを前記引張バネの付勢力に抗して上昇させた時、前記合わせプレートを所定の位置にロックして下方への移動を阻止するロック体とを備え、
前記ロック体は、前記合わせプレートをロックする第1の位置とロックを解除する第2の位置とに移動自在となるように構成されると共に、前記胴部には前記ロック体を前記第1の位置に付勢する伸張バネが取付けられ、前記ロック体は前記移動体が前記所定位置まで上昇すると、前記第1の位置から前記第2の位置に移動する、請求項2又は請求項3記載の自動合わせ浮き。
【請求項5】
前記移動体は円筒形状の磁石よりなり、
前記移動体の前記所定位置において面する前記ロック体の部分は前記移動体の磁力によって反発又は吸着する材料よりなり、
前記ロック体は、前記移動体の磁力によって移動する、請求項4記載の自動合わせ浮き。
【請求項6】
前記胴部の前記下部には、前記移動体の下方位置を上下に調整する移動体調整手段が設けられる、請求項3から請求項5のいずれかに記載の自動合わせ浮き。
【請求項7】
前記魚信棒には、錘が脱着自在に取付けられる、請求項3から請求項6のいずれかに記載の自動合わせ浮き。
【請求項8】
前記浮力体には、前記浮力体に対する前記魚信棒の所定部分の通過に応じて無線信号を発信する無線発信手段が設置される、請求項3から請求項7記載のいずれかに記載の自動合わせ浮き。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−105576(P2012−105576A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256396(P2010−256396)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(510305550)
【Fターム(参考)】